>>22続キ

スピーチ全体を通して英文で示唆されているのは、日本の人々は、帝国主義により軍部に取られ失っていた主権を、
この連合国との条約のおかげで取り戻すことができたので、世界のコミュニティに再参加できるようになります、という意味合いです。
ところがこれが、そうではなく、当時の内閣は「連合国の占領から、この条約で日本国が独立国家としての主権を取り戻した」といった意味合いで訳し、国会に報告しています。
これも誤訳です。吉田茂首相のスピーチを全文読みましたが、文章からアメリカ人によって書かれたものであることは明らかで、その日本語訳を吉田茂首相は読み上げただけだというのが真相です。
米国側公文書の資料ではそう記録されています。
このスピーチの英文原文の本意は、決定権が帝国軍部から日本の市民に移り、民主主義を標榜することになるので、国際連合の世界に参加できるようになりますという意味合いです。
サンフランシスコ講和条約そのものも、会議場での吉田首相のスピーチも、連合国としては、@日本の自治は日本の人民に任せるという民主主義の合意、
A但し対外主権を含む国としての最高独立性は留保し厳しく制限するというものであり、それを、条約文や吉田首相のスピーチを麗しき誤訳をすることで日本国が対外主権国家として独立したかのように日本人に幻想を抱かせるという絵であったとみます。