さらに米大使館(東京・赤坂)は国会、首相官邸、各省庁に近く、NSAの特殊収集部隊が配置されているといわれる。
米中央情報局(CIA)が代々手がけてきたような盗聴器やスパイを使う手法はリスクも高く、電子情報を大量窃取する手法へと、9・11以降の監視は移り変わっている。
日米間の場合、最も情報を盗みやすいのは国際ケーブルを使った通信、例えば外務省から米ワシントンの日本大使館へ、
東京の本社から米国内の支社へ電話するような場合だと、スノーデンはみる。

「通信が暗号化されていなければそのまま会話が聞けるし、
暗号化されていれば解読キーを扱う機関に金を払ってキーを盗む。
電話番号を打ち込むだけで、会話を楽に盗聴できる仕組みがあるのです」

 通信インフラに侵入して情報を盗み出す「特殊情報源工作(SSO)」である。

すべての情報のコピーがNSAに流れ込む

 スノーデンはこのSSOこそが「今日のスパイ活動の大半であり、問題の本当の核心」と言う。

 SSOは主に、太洋横断通信ケーブルの上陸地点に設備をつくり、
ケーブルからNSAのデータベースへと情報を転送する。これにはケーブルを管理する民間通信会社の協力が不可欠だ。
NSAの内部文書は世界中で80社以上と「戦略的パートナーシップ」を築いたと誇る。
提携相手によって「BLARNEY(ブラーニー)」「FAIRVIEW(フェアヴュー)」など異なるコード名をつけたプログラムが世界中に張り巡らされている。