日本4.0 国家戦略の新しいリアル (文春新書)
Edward N. Luttwak (原著), エドワード ルトワック (著), 奥山 真司 (翻訳)
出版社: 文藝春秋 (2018/9/20)
https://www.amazon.co.jp/dp/4166611828
内容紹介
内戦を完璧に封じ込めた「1.0」=江戸、
包括的な近代化を達成した「2.0」=明治、
弱点を強みに変えた「3.0」=戦後。
そしていま、日本は自ら戦える国「4.0」に進化する!

世界的戦略家による緊急提言!
日本に核武装はいらない。
必要なのは「先制攻撃能力」と「作戦実行メンタリティ」だ。

[ルトワック語録より]
●日本のチャンスは北朝鮮の非核化が本格的に開始されてからだ。
●戦争で必要なのは、勝つためになんでもやるということだ。そこにはズルをすることも含まれる。
目的は「勝つこと」であり、「ルールを守ること」ではないからだ。
●見事なパレードを行う軍隊は、ほぼ実戦で役に立たない。無駄なことにコストを使っているからだ。
●米中の対立の主戦場は、もはや軍事的な領域から、地経学(ジオエコノミックス)的領域に移りつつある。
●もし日本が本当にリアルな戦略を考えるならば、最優先されるべきは少子化対策だ。

内容(「BOOK」データベースより)
戦後日本を守ってきた「同盟による抑止」。しかし、これが通用しない相手に対し、どうやってこの国を守るか?
その答えが「日本4.0」だ。先制攻撃能力の構築、日本に必要な特殊部隊のあり方など、世界的戦略家による緊急提言。

2018.09.23
エドワード・ルトワック『日本4.0 国家戦略の新しいリアル』はマジでリアル
https://peachcle.com/book-japan-4-0-luttwak/
日本1.0は江戸時代。戦国時代の争いが終わった後の長期的に安定した江戸というシステムのことです。
日本2.0は明治維新以降。近代化、富国強兵を進めて西欧諸国に追いつき、強大な国家の一員となったことです。
日本3.0は敗戦後から復興してこれまでに至るまでの日本です。冷戦下に置いて安全保障は日米同盟を頼りにすることで、
他のリソースを経済発展に費やして豊かになってきたこれまでの日本です。

そして、日本4.0は、北朝鮮をはじめとした周辺国からの危機の時代に対処する日本のあり方です。
ルトワックはこう語ります。
”抑止のルールの外側に出ようとする国家に対して必要なのは、「抑止」ではなく防衛としての「先制攻撃」なのである。”

ルトワックのリアリズムからすれば、9条を改正してキチンとした軍組織にすることは当然なのですが、
ルトワックは核兵器は必要ないという。核兵器は相手の核しか抑止できない。と同時に、それがわかっている相手で無いと
持っていても意味が無いというわけです。
要するに、正気で無い相手に対しては、核抑止論は全く意味がなく、必要なのは相手の核を無効にするための
先制攻撃能力だというのです。

それに、イージスアショアの配備の計画がありますが、これもあまり意味は無いと。意味が無いわけでは無いのですし、
配備すればいいのですが、それが完成するのは今から5年とか6年とか先の話。現在の危機には全く対応できないわけです。
ルトワックは今ある航空兵器をさっさと改修しろと言います。


最後に、この本の中で目をひいたルトワックの言葉を置いておきます。これまでで述べたこととはちょっと趣が違いますが、
日本にとって大切かメッセージでもあると思います。

”私は日本の右派の人々に問いたい。あなたが真の愛国者かどうかは、チャイルドケアを支持するかどうかでわかる。
民族主義者は国旗を大事にするが、愛国者は国にとって最も大事なのが子どもたちであることを知っているのだ。”