世界読解 サイバー戦は始まっている
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111108/amr11110819540006-n1.htm
 日本が「下手人は中国」と疑うのはやむを得ない。怖い顔の中国の報道官が「不快だ」といっても、
攻撃を受けた側はもっと不快である。昨年9月の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の直後に、
防衛省や警察庁などに加えられたサイバー攻撃の発信源は9割が中国だったからだ。

 米国情報当局は間髪入れずに、中国とロシアを名指しで「世界で最も積極的かつ持続的に
産業スパイ活動をしている」と似て非なる案件を公表した。報告書が「米経済機密の盗難」と
産業スパイに特化するのは、軍事分野はすでに戦争中だからだ。

 中国軍がサイバー攻撃に力を入れていることに疑いの余地はない。中国中央テレビが気功集団「法輪功」の
サイトに攻撃を仕掛ける映像を流してしまったことがある。番組は軍が制作に携わったサイバー戦争の特集番組で
軍機関が開発した攻撃システムとして紹介された。
 画面には法輪功と関係する団体名がズラリと並ぶ。攻撃ボタンを押すと、大量のウイルスメールが送りつけられて
サイトを破壊する能力を証明した。後に映像を削除したところをみると、中国がサイバー攻撃への関与を否定する
ことと矛盾するからだろう。

 元国家情報長官のマッコネル提督は「中国は湾岸戦争の教訓から米国の衛星を破壊し、米国のネットに侵入
する能力を得て米国に対抗すべきとの結論に達した」という。中国は1997年に「網軍」と称する組織が24時間
のネット監視を開始した。同年にサイバー部隊を創設し、03年に北京に情報化部隊を創設した。
 99年には2人の中国空軍大佐が『超限戦』という本を出版し、たとえ軍事力が米軍レベルになくとも、
サイバー攻撃によって米軍をまひさせれば十分に対抗できると示唆した。
 米政府は政府機関が相次ぐ攻撃を受けてこの5月、サイバー攻撃によって武力行使に匹敵する死傷、
破壊が行われた場合には、軍事的な報復の対象になることを明らかにした。