「生命の木に基づく大アルカナ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 170) ---
In the Golden Dawn card an even more profound suggestion is made concerning our
human value systems.
ゴールデン・ドーンのカードにおいては、我々人間の価値の体系に関する、さらに一層
深遠な示唆がなされる。

On the right hand is seen the Tree of Life, while on the left is another Tree
which is the Qlippoth.
右手の側に、「生命の木」が見られ、その一方、左には、「クリフォト」である、
もう一つの「木」がある。
--- ここまで ---

ゴールデン・ドーン版カードの特徴となっているのは、稲妻が落ちた「王冠を頂く塔」の
右側にある、白い「光の生命の木」と、左側にある「闇の生命の木」です。

物理学風に言えば、高エネルギーの「粒子」が、バベルと称するターゲットに衝突して、
大量の「正物質=光の生命の木」と「反物質=闇の生命の木」を生みだしているという、
宇宙創生の粒子加速器による実験の構図となります。

つまり、この「16:塔」こそが、我々宇宙の物質を創造するための「小径」であると考える
ことが出来るわけで、このあたりは、「15:悪魔」による「霊の物質化」というイベントと
共に考察していく必要があります。

そういうことを考えていくと、この「塔から墜ちる2人の人」は、塔に登って墜ちたのでは
なく、天から創造されて、地へと下る「原初の人間たち」と見ることも出来るわけです。
この辺りは、『旧約聖書:創世記』2:7にあるように、神が「命の息」を吹き入れたという
ことと、関連がある可能性もあります。
まあ、いずれにしても、このカードは「至高の三角形」である天界と、地上界との関連を
強く示唆するものですので、そういう怪しげな世界に興味のある人は、色々と想像を
膨らませてみると宜しいのではないかと思うのでした。