▼ 【人を羨まず、嫉かず、追い抜けB】・・・・・

   生臭い間が人間である。生臭いとは、いつも世間や仲間や第三者の目を意識し、
   その中に優越感や利益を追求する姿勢を保つことを意味する。その気がなくなっ
   たら、人間棺桶へ片足つっこんだと同然であろう。競争意識は死ぬまでなくならな
   いものだ。他人が羨ましい、わが身に比べて友人がうまくやっているのが妬ましい。
   よほどの人格者か徳を積んだ宗教家(そんなのいないが)でない限り、人間は、
   そういった業を背負っている。「お前は偉かったよ、立派だよ」とわけもなく言える
   のは、自らをより評価した場合である。そこには自負と軽視が共存しているからだ。
   それでは友情を損なうものだ。「士は己れを知る者のために死す」というのは中国
   の古語であるが、現代では、まるでUFOほども信じられていない。しかし、人の功績
   を知れば、それを虚心に褒めそやす度量を持つことは大切なことである。それが
   できるためには、自分がそれを追い越し、それ以上の功績を挙げうるというはっきり
   とした裏づけと自負があってのことだ。自ら努力して向上することが、人の功績を
   認めることによって、友人を増やすことができるのだと自覚しなければならない。