▼ ココロムシノイキさんへ

この世が完全であった時代には、誰も価値ある人間に注意を払うこともなく、能力ある人を敬うこともなかった。
支配者とは木のてっぺんの枝にすぎず、人民は森の鹿のようだった。
彼らは誠実で正しかったが、自分たちが 『義務を果たしている』 という認識はなかった。
彼らは互いに愛し合い、しかもそれが 『隣人愛』 だとは知らなかった。
彼らは誰もだますことはなかったが、それでも自分たちが 『信頼すべき人間』 だとは認識していなかった。
彼らは頼りになる人間だったが、それが 『誠』 だとは知らなかった。
彼らは与えたり受け取ったりしながら自由に生きていたが、自分たちが 『寛大』 だとは知らなかった。
それゆえに彼らの行為は語られたことがない。
彼らは歴史を作らなかった。
                                        〜詠み人知らず〜

                                                  沖縄 宜野湾 居酒屋 ゆんたく亭