「専業主婦より共働き主婦の方が産んでいる」という統計事実
働く女性急増のウラで起きた"家の中の変化"
少しは欧米に近づいた夫の家庭内労働
たった4年で「子育ての外注」賛成33%→74%
https://president.jp/articles/-/72034?page=1
海老原 嗣生 (2023年8月)
直近22年の出生動向基本調査で「女は働くべきでない」は0.7%、「結婚まで」も2.6%
「男性は外、女性は家庭」という意識はこの10年で退潮し、直近22年では否定派が64.3%と圧倒的多数となっています。「育児期間を除いて働くべき」という意見を加えると、およそ9割にもなります
直近22年であれば、結婚しても仕事を続ける人が79.8%
出産しても仕事を続ける人が正社員は91.3%。非正規の出産後の就業継続率も60%となっています
既婚女性に聞いた夫の家事育児支援状態
「日常的に支援している」が、家事41%、育児34%でトップ。これに「ひんぱんに支援してくれる」が、家事23.4%、育児14.8%あり、両方加えると、普通に支援してくれる夫が、家事では6割強、育児で約半数となっています
2006年はたった10分だった夫の育児家事時間が、直近22年であれば「子どもと遊ぶ20分」を差し引いても、夫の家事育児時間が、雇用者(妻がパート)41分、妻が正社員なら53分になっています。妻の2〜3割程度に夫の支援は増えています
夫の家事時間は、育児より時間が少ないのですが、女性が家事をしている間、子供を引き受けるからでしょう
特に今の乳幼児がいる共働き家庭では、夫は、子どもと遊ぶ以外に、育児と家事で1時間以上、働いているのです
また、「家事の外注を利用するべきか」は18年は26.3%から22年47.8%へ増加しています
育児に関しては18年に外部サービス・シッター利用への賛成が33.5%とマイナーだったものが、22年には74.1%と圧倒的多数になっています(実際利用したは数%) 日本の選択 「年収の壁の廃止」か「移民に参政権」か
「配偶者扶養控除」をなくし「子ども支援」を徹底すべき
https://toyokeizai.net/articles/-/746100?page=10
デービッド・アトキンソン(2024年4月)
今後、日本人が懸念しなくてはいけない最大の問題は社会保障です。日本では1990年以降、高齢者が増えているうえ、高齢者層の平均年齢もどんどん上昇しています。その結果、社会保障支出は1990年度の約47.4兆円から、2023年度には約134.3兆円に増えています
一方で、現役世代(生産年齢人口)が激減してしまっています。日本の税負担が次第に重くなっている最大の原因です。社会保障の負担は1990年度にはGDPに対して約10.2%でしたが、2023年度には、約23.5%に相当する負担がGDPから吸い上げられています。経済に対して、猛烈な負担になっているのです
これを10年ごとで生産年齢人口1人当たりに直すと、生産年齢人口1人あたりの社会保障費負担
1990年:55万1372円
2000年:90万5952円
2010年:128万2554円
2020年:177万771円
2023年:181万7813円
社会保障支出が仮に横ばいに推移したとして、生産年齢人口1人あたりの社会保障費負担(予想)
2030年 198万2873円
2040年 232万719円
2050年 268万5463円
2060年 303万9837円
2018年に、厚生労働省は2040年度の社会保障支出が約190兆円まで増えると予想しました
生産年齢人口で割ると、約328万円の負担となります。この負担を考えると、持続性がない社会保障制度を断念するか、経済GDPを成長させるしかありません
経済GDPは、人口増加とイノベーションによる賃上げの2つの要因で成長します。歴史的には、この2つの要因が経済成長に寄与する割合は、およそ半分ずつでした
GDPは「人口×労働参加率×労働生産性」という数式で表せます
つまり国の経済は、人口×労働参加率という量で成長するか、イノベーションという質で成長するか、そのいずれかしかないのです
人口が減るのであれば、労働参加率や労働生産性を上げていかないと、経済の規模GDPは縮小し、社会保障制度を支えきれません
今後は2060年に向かって、生産年齢人口はさらに約3000万人も減ると予想されています。人手不足は始まったばかりですが、これからさらにさらに深刻になります 日本の選択 「年収の壁を廃止」か「移民に参政権」か
「配偶者扶養控除」をなくし「子ども支援」を徹底すべき(2)
https://toyokeizai.net/articles/-/746100?page=10
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長 (2024年4月)
年収の壁には、次のような弊害があります
(1) 家計を困窮させる
(2) 国の生産性を下げる
(3) 財政を悪化させる
(4) 人手不足の原因になる
(5) 既婚女性の労働参加が進まなければ、移民の激増につながる
東京大学大学院経済学研究科の北尾早霧教授の「女性と労働参加と生産性:税・社会保障制度の役割」論文があります
『本論文では、女性の労働参加と賃金構造を説明する世代重複型モデルを構築する
その上で、財政政策に焦点を当て、「配偶者控除」「第3号被保険者の社会保険料免除および遺族年金」が女性の行動にどのような影響を及ぼしているか分析する
その結果、いずれの制度も女性の就労意欲を抑制し、賃金水準を低下させることがわかった
3つの政策が全て廃止されていた場合、平均労働参加率は13パーセントポイント、平均賃金は約28%高い水準になるというシミュレーション結果が得られた
労働参加率が上昇するだけでなく、より多くの女性が非正規ではなく正規雇用を選び、ライフサイクルを通じた人的資本の蓄積によって所得が増加する
税負担は増すが、所得増の効果が上回ることで平均消費水準は上昇し、政府歳入の増加分を還元することにより、厚生も改善することが示された
持続的な所得水準の上昇には、生産性の上昇が不可欠だ
無所得あるいは低所得の配偶者の生活費を支えるために講じられてきた政策は、低所得者を保護するという本来の役割を果たしておらず、女性の労働参加や生産性と賃金上昇の大きな足枷となっている』
実は2060年に向かって、生産年齢人口はさらに約3000万人も減ると予想されています
女性の労働参加が進まなければ、大量の低賃金の移民を受け入れざるをえなくなります。移民が増えると、小規模自治体では外国人が人口の過半数を占めるところも現れるでしょう
いずれ参政権を認めざるをえなくなるのです 日本の選択 「年収の壁の廃止」か「移民に参政権」か
「扶養控除」をなくし「子ども・子育て支援」を徹底すべき(1)
https://toyokeizai.net/articles/-/746100?page=10
デービッド・アトキンソン(2024年4月)
今後、日本人が懸念しなくてはいけない最大の問題は社会保障です
日本では1990年以降、高齢者が激増しています。その結果、社会保障支出は1990年度の約47.4兆円から、2023年度には約134.3兆円に増えています
一方で、現役世代(生産年齢人口)が1400万人ほど激減しています
日本の税負担が次第に重くなっている最大の原因です。社会保障の負担は1990年度にはGDPに対して約10.2%でしたが、2023年度には、約23.5%に相当する負担がGDPから吸い上げられています。経済に対して、猛烈な負担になっているのです
これを10年ごとで生産年齢人口1人当たりに直すと、生産年齢人口1人あたりの社会保障費負担
1990年:55万1372円
2000年:90万5952円
2010年:128万2554円
2020年:177万771円
2023年:181万7813円
社会保障支出が仮に横ばいに推移したとして、生産年齢人口1人あたりの社会保障費負担(予想)
2030年 198万2873円
2040年 232万719円
2050年 268万5463円
2060年 303万9837円
2018年に、厚生労働省は2040年度の社会保障支出が約190兆円まで増えると予測しました
生産年齢人口で割ると、約328万円の負担です。この負担を考えると、持続性がない今の社会保障制度を断念するか、経済GDPを成長させるしかありません
経済GDPは、人口増加とイノベーション・生産性による賃上げの2つの要因で成長します。歴史的には、この2つの要因が経済成長に寄与する割合は、およそ半分ずつでした
GDPは「人口×労働参加率×労働生産性」の数式で表せます
つまり国の経済は、人口×労働参加率という量で成長するか、イノベーション・生産性という質で成長するか、そのいずれかしかないのです
人口が減るのであれば、労働参加率や労働生産性を上げていかないと、経済の規模GDPは縮小し、社会保障制度を支えきれません
今後は2060年に向かって、生産年齢人口はさらに約3000万人も減ると予測されており、人手不足はこれからさらに深刻化します
(続く) 日本の選択 「年収の壁を廃止」か「移民に参政権」か
「扶養控除」をなくし「子ども・子育て支援」を徹底すべき(2)
https://toyokeizai.net/articles/-/746100?page=10
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長 (2024年4月)
年収の壁には、次のような弊害があります
(1) 家計を困窮させる
(2) 国の生産性を下げる
(3) 財政を悪化させる
(4) 人手不足の原因になる
(5) 既婚女性の労働参加が進まなければ、移民の激増につながる
東京大学大学院経済学研究科の北尾早霧教授らの「女性と労働参加と生産性:税・社会保障制度の役割」という論文があります
『本論文においては、女性の労働参加と賃金構造を説明する世代重複型モデルを構築する
その上で、財政政策に焦点を当て、「配偶者控除」「第3号被保険者の社会保険料免除および遺族年金」が女性の行動にどのような影響を及ぼしているか分析する
その結果、いずれの制度も女性の就労意欲を抑制し、賃金水準を低下させることがわかった
3つの政策が全て廃止されていた場合、平均労働参加率は13パーセントポイント、平均賃金は約28%高い水準になるというシミュレーション結果が得られた
【労働参加率が上昇するだけでなく、より多くの女性が非正規ではなく正規雇用を選び、ライフサイクルを通じた人的資本の蓄積によって所得が増加する
税負担は増すが、所得増の効果が上回ることで平均消費水準は上昇し、政府歳入の増加分を還元することにより、厚生も改善することが示された】
持続的な所得水準の上昇には、生産性の上昇が不可欠だ
無所得あるいは低所得の配偶者の生活費を支えるために講じられてきた政策は、低所得者を保護するという本来の役割を果たしておらず、女性の労働参加や生産性と賃金上昇の大きな足枷となっている』
つまり現行の法制度では、女性の場合、結婚することで所得を制限されてしまっているのです
実は2060年に向かって、生産年齢人口はさらに約3000万人も減ると予想されています
結果として労働力不足に対応するために、大量の低賃金の移民を受け入れざるをえなくなります。移民が増えると、小規模自治体では外国人が人口の過半数以上を占めるところも現れるでしょう
いずれ、参政権を認めざるをえなくなるのです 日本の選択 「年収の壁の廃止」か「移民に参政権」か
「扶養控除」をなくし「子ども・子育て支援」を徹底すべき(3)
https://toyokeizai.net/articles/-/746100?page=10
デービッド・アトキンソン(2024年4月)
GDPは「人口×労働参加率×労働生産性」の数式で表せます
日本では生産年齢人口が1994年のピークから、すでに1400万人も減っています
しかし、一方で就業者数は増えています
特に45歳以上の女性と、高齢者の労働参加率が劇的に上がった結果、労働参加率は世界最高水準に達しているのです。非正規雇用の比率が上がっている原因はここにあります
総務省の労働力調査によると、2024年2月の時点で、日本の生産年齢人口の78.6%は就業しています。男性は84.0%で、女性は73.0%でした。20〜69歳の労働参加率は80.6%でした
労働参加率が高くなっても、生産年齢人口が減るので、将来的に就業者数を維持することが困難なのが、すでに分かっています
現在、既婚女性たちは「年収の壁」を超えないように労働時間を調整しています。つまり、今の税制は女性が供給する労働時間を制限する結果をもたらしているのです
最低賃金引き上げの議論では、「年収の壁があるため、最低賃金を引き上げると、既婚女性の労働時間がいっそう短くなり、人手不足が悪化する」という声が上がっています
日本の女性は能力が高いのにもかかわらず、税制の影響で労働時間が制限されてしまうため、正社員ではなくアルバイトやパートといった非正規雇用を選んでしまいがちです
そのため、日本の女性の所得は男性に比べて平均55.4%にとどまってしまっています。
ここまで社会保障の負担が劇的に重くなり、国民負担率を重くしているので、労働供給と賃金に悪影響を与える税制のゆがみは、制度自体を完全に廃止しなければ解決できません
実は2060年に向かって、生産年齢人口はさらに約3000万人も減ると予想されています
仮に年収の壁が消えないのなら、労働力の確保に苦労する企業が増えます
2060年に予想される生産年齢人口を、今の企業数に、労働条件の良い大企業から配分していきますと、中小企業の数は激減します。
中小企業経営者から移民の増加を要望する声が高まることが予見されるのです