>>66
俺はこのスープの虜になってしまった。

他のスタッフに知れてしまうのも、
ましてや客に提供することすら
惜しく感じる。

俺は行動に出た。

他のスタッフが出勤する前に
寸胴ごと店から持ち出し
自宅に持ち帰ったのだ。
このスープのレシピを知りたい。
このスープの秘密を知りたい。

かのシェフに聞くまでは・・・・

もう底の見えかけている寸胴の中を
ぼんやりと眺めながら
俺は得体のしれない消失感に襲われていた。