随分前の独身時代に会社の先輩で、同じ部所の年上既婚女性と関係を持った事がある。
関係は一年間続いたよ。
でも旦那さんが東北地方への転勤となり、彼女は会社を退職して居なくなった。
それから自分も二度の転勤をしながら結婚し、今は神奈川県の統括支店の管理職。
その職場に春先に女子新入社員が配属されて来た。まあそれ自体は珍しくとも何ともない話しなのだが。
問題だったのは、女子新入社員が先輩に良く似ていた事だった。何となく気になった私は人事部に彼女に関して問い合わせた。
そして気になりは当たった。彼女の母親の名前と漢字は先輩と同じ・・・だけど名字は違ったんだ。
だから支店での新入社員歓迎会の席でそれとなく、新入社員の身の上話しを全員に聞く。
そこで分かったのは、彼女の母親には離婚歴が有って、その原因が母親の過去の不倫と自分が旦那の子で無いのが原因だと。
私はその話しを聞いた時、平静を保つのがやっとだったよ。
「君の実父は誰なのか分からないのかい」と聞いたら、彼女は首を左右に降り「母は頑として未だに教えてくれません・・・」と言うのがやっと・・・・
帰りの電車の中で当時を思いだしながら、彼女の誕生日から逆算して数え先輩と最後の日に何度も中出ししていたのを思い出す。
それを思いだし全身の血の気が引くのを覚えた。
もう終わった事だと思っていたのだが、実は未だ終わっていなかったのだと自分を苛む。
そして先輩に会って、真実を確かめ娘かも知れない彼女に謝罪し、何も知らない妻に話して自分の子としての認知を認めて貰うべきなのか。
それともこのまま知らない振りをして、全ての秘密を墓場にまで持って行くべきなのか。
答えが出て来ない、若気の至りでは済まされない事なのは確かなのだ。
そして娘かも知れない彼女が新入社員として支店に入って来て、早3ヶ月が過ぎた。
飲み込みも良く要領も良く、周りの評価も良い。つい私も喜んでしまう。
「まるで娘の様に喜んでいませんか」と、周りに冷やかされてしまう時も。
だけど家に帰り何も知らない妻の顔を見ると、自分の中の両親の呵責に苛んでしまう。
当時私は先輩に対して本気だった。何度もベッドの上で「旦那さんと別れて、自分と一緒になろう」と頼んだ程に。