ときは9月、地中海沿岸の町。雨にぬれる小さな町は活気がなく、すっかり寂れていた。
人々は借金を抱えて苦しい生活をしているのだ。

その町へ、一人のMRがやってきた。そして町に一つしかないホテルに入ると、
受付のカウンターに100ユーロ紙幣を置き、部屋を選ぶために2階へ上がって行った。
ホテルの主人は114.59ドルをひっつかんで、借金返済のために肉屋へ走った。
肉屋は12,939.68円を持って養豚業者へ走り、借金を返した。
養豚業者は795.43元を握ると、つけにしてある餌代と燃料代を払うために販売業者に走った。

販売業者は7,329.39ルーブルを手にすると、この厳しいご時世にもかかわらず、つけでお相手をしてくれる町の遊女に返そうと彼女のもとに走った。遊女は130,088.05ウォンを懐にしてホテルに走り、たびたびカモを連れこんだホテルに借りていた部屋代を返済した。

ホテルの主人は、その130,088.05ウォンを受け取ると、100ユーロ紙幣をカウンターの元の位置に置いた。
ちょうどそのとき、部屋をチェックして2階から降りてきたMRが、どの部屋も気に入らないと云って 100ユーロ紙幣をポケットにしまいこみ、町を出て行った。

誰も稼いでないけど、町中の誰もが借金を返し終わり、町は活気を取り戻した。