「登録できない」結婚相談所に見放された47歳独身男性

 「あなたのような方を紹介することはできません

 北海道で暮らす男性(47)は5年前、結婚相談所に電話をかけた。名前、居住地域、最終学歴、職業、年収、と矢継ぎ早の質問に淡々と答えていると、突然、そう言われ、電話を一方的に切られた。

 北海道の私立大学に進学し、運送会社に就職。だが、入社後5年ほどで、経営悪化に伴う希望退職制度に応じた。「まだ30歳。新しい職は見つかる」と考えていたが、地元銀行の破綻などの影響で景気は低迷。
転職先は見つからず、清掃や警備員のアルバイトでしのぐ暮らしが続いた。

 これまで恋人がいたことはない。友人に聞かれれば「昔はいた」と答えた。30代後半になると、親類から「まだ相手がみつからないの?」。肩身が狭くなっていった。

 5年ほど前、アルバイトから契約社員になったのを機に、結婚相談所に電話をかけた。収入はほぼ変わらないが、安定する気がしたからだ。だが、冷たくあしらわれ、登録すらできなかった。

 今も飲み会に参加しているが、女性の連絡先は聞きづらい。「大学はいいところを出ていないとね」「公務員と結婚したい」と言った女性がいた。「自分は女性が求めるものを持っていないのかも」と感じ、気後れする。

 昨秋、職場で配置換えがあり、手取り収入が月15万円から10万円に減った。家賃は2万8千円。値引きのシールが貼られるのを待って総菜を買い、冬は室内でも厚着して、「もう我慢できない」と感じるまでストーブを
つけない。それでも年金とパートで暮らす70代の両親からの仕送り2万円がないと、生活が立ち行かない。(田中聡子)

https://digital.asahi.com/sp/articles/ASL6W551SL6WUCLV00B.html