三十数年からずっと好きだったど真ん中に、二十数年ぶりに会った。お互いもう既婚。
あっちは人気商売人の嫁になってた。
一見幸せそうなのに、どこか憂いみたいなのがあって、図々しくも少し踏み込んで聞いてみたら
「あの人と結婚したことで、目の端には常に別の女性が入ってくる。私はそういう存在から疎まれたり、貶されたり、恨まれたり。
いつからか、私はあの人には要らない存在になっちゃったみたい」
と寂しそうに笑ってた。
たまらず、帰りに告白して抱きしめたら
「元気付けてくれてありがとう。でもそういうことは奥様としなくちゃ。娘ちゃんの将来、大事にしなきゃダメだよ」
って言われた。
「でも、告白されてすごく嬉しかったよ。こんな私でも好きでいてくれる存在がいたんだって、なんか力が湧いてきた。
これでまた頑張れるよ」
って笑ってた。健気過ぎてもう一度抱きしめたくなったら怒られた。
家族に秘密を作ったらダメだよ、って言われて、そのままど真ん中は踵を返して「またねー」と帰ってしまった。