嫁の怪我が綺麗に治る頃、ずっといてくれないかって言った
その頃になると最初こそ無口で必要以上喋らなかった嫁も、口数は最初に比べたら多くなってた
会話の中でいい子なんだろうなって言うのは伝わってきてたし、何より胃袋を掴まれたことで完全に惚れてた
だから嫁の飯はうまいし俺は今の生活が幸せだから、もし嫁さえ嫌でなければ出て行かないでほしいって伝えた
部屋はちょっと狭いけど、嫁が綺麗にしてくれるおかげで布団さえ買い足せば二人で暮らせなくもなかった
嫁は付き合うってこと?って聞いてきたから、俺は好きだけど、嫁の気持ちも尊重したい、だから嫁がいいと言ってくれるまで手も出さない
ただ好きになった子が苦労するのわかりきってるなら助けてあげたいだけだって伝えた
もし好きな奴ができて一緒に住むのに不都合になるなら仕方ないけど、住むところ確保のために夜の仕事するならここに住んで普通の仕事探せばいいって言った
俺みたいな奴についてきて、家に上がり込んで素直に飯作るような子、夜の世界じゃやってけないって思ったからなんとか頼み込んだ
嫁は一日時間くれって言ったけど、次の日にはよろしくお願いしますって言ってくれてすごく嬉しかった
そこからはとりあえず携帯すら持ってなかった嫁に俺名義でガラケー持たせた
履歴書に連絡先かけない相手なんか誰も雇ってくれないだろって無理やり渡した
そこから嫁は早かった
駅前にあるファストフード店の面接を次の日には取り付け、面接のその場で採用決定
ひたすら働き続け、次の月には今までありがとうって給料まるごと渡してきた
食費の他に下着やある程度の服とか確かに俺が使った金額はいくらかあったけど、それを大幅に上回る額だった
そんなこんなで俺の卒業まで2年間嫁はそこの店舗で働き続け、俺の就職を機に退店
今じゃ派遣から入った大手企業で正社員としてバリバリやってる
就職と同時に引っ越すまで結局5畳1Rで2年間過ごした
ちなみに布団は買い足さなかった
シングルのロフトベッドを二人で使い続けた
最初の頃は手出さないって約束した以上本当にただ一緒に寝るだけ
あるときに酔っ払った嫁に襲われたのをきっかけになし崩し的に関係スタート
今もベッドだけは同じものをってことで寝室は一緒で一緒に寝てる