大学に入って初めてのバイトが、
百貨店の中の配送センター希望で採用された。

何故か2日目からはワイシャツにネクタイをして来いと言われて、
お中元特設売り場に配属。
仕事はお持ち帰りの大量の注文を包装してそれらを手提げ袋に詰めて、
お客様の自家用車かタクシー乗り場まで運ぶポーターの役目。

その時の売り場主任が短大卒で入っていた嫁で、
こっちは浪人もしていたからもうベテランの貫禄。
私は奥手でまだ童貞だったから、
他の女店員(デパガ)にもどう接して良いか分からずに、
ひたすら脇目も振らずにハイハイと働いていた。

お中元の時期も終わりに近づき、
ちょっと一息ついて汗を拭っていたら、
額の汗を指に取って、
「良い汗かいてるね、未成年じゃないだろ?今日飲みに行こう!」
初めて盛り場の居酒屋で飲んで、
そのまま嫁の家までお持ち帰りされた。

急行で1時間も掛かる田舎で、
茅葺のお屋敷で嫁の部屋は離れにあった。
定休日の翌日は家族でもてなして呉れて、
そのまま(学生身分で)マスオさんになった。

嫁は私が気になって、
人事部に採用情報を聞いて目を付けていたと後で分かった。
その後色々順調で不満不足は全くない。