◇日本テニス協会ナショナルチーム 高田充 男子ヘッドコーチに聞く
 西岡良仁がツアー初優勝----------------------------------------------◇

■男子ツアーで日本勢5人目のシングルス優勝者となった西岡良仁(ミキハウス)
について、指導する日本男子日本テニス協会ナショナルチームの高田充・男子
ヘッドコーチに話を聞いた。

――西岡は今年1月にツアーに復帰したばかり。優勝は驚きだった?

高田「驚きですね。けがから復帰して10か月目でこういう結果が出るのは。ただ
でさえ復帰は難しい。しかも大きなけが(左ひざ十字じん帯の断裂)で9か月の
ブランクがあった。1年間、健康でプレーするだけでも大変なことだと思うのに、
こういう結果が出るというのは大きな驚きですね。

 けがをする前に世界ランク58位になっていたので、ランキング的にもそうだし、
実力を見ても、そのまま行っていたら優勝の可能性はあったと思う。ただ、けが
のためにそれがずいぶん違ってしまった。

 リハビリの期間中に弱い部分を強化できているので、けがをする前の体と比べ
てすごくよくなった部分はある。パワーがついたというより、体がしっかりした。
体がしっかりしてきたことで、ちょっとしたことでは打ち負けなくなったという
のは大きく役立っている」

――昨年の杉田祐一(三菱電機)、今年5月のダニエル太郎(エイブル)の優勝
は刺激になった。

高田「もちろん2人の優勝による相乗効果は大きい。でも、その前に添田豪
(GODAI)、伊藤竜馬(北日本物産)、が世界ランクで100位を切って、ロ
ンドン五輪に出場した、そういうところから始まっている。ナショナルチームが
できて、国内で育った彼らをサポートできるようになり、成果が現われてきた。
ほかの日本人選手も、いままで破れなかった100位の壁を彼らが突破したことで、
自分たちもいけると思っただろう。

 杉田はなかなか100位が切れず、四大大会にも出場できなかった。仁川(韓国)
のアジア大会でも、西岡の金メダル獲得という場面に立ち会って、刺激を受けた。
そこから飛躍が始まった。添田、伊藤からの流れが大きい。杉田とダニエルの活
躍は西岡の刺激になったが、さかのぼればそこから始まっていると思う」

――23歳の西岡の優勝は若い世代にも励みになる。

高田「綿貫陽介(日清食品)や高橋悠介(三菱電機)辺りの底上げは期待してい
る。西岡の活躍は彼らの刺激になったと思う。楽天オープンで予選を突破して、
本戦でも2回戦まで進んだ綿貫は、手応えを感じていると思う。ただここ(ツ
アー)に定着するためにはランキングを上げないといけない。今のランキングで
はツアーにチャレンジできない。地道にチャレンジャー大会でポイントを稼ぐ必
要があるが、これ(楽天オープン)を見たことで、チャレンジャー大会への取り
組み方は変わってくると思う」

http://app.jta-tennis.or.jp/cgi-bin/mailmagazine/backno2.cgi?no=1872