ジョコ撃破のダニエル太郎 スペインでの苦労ようやく実る

 まさかの大金星に世界が沸いた。

 11日、テニスのパリバ・オープン(OP)男子シングルス2回戦で元世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(30)を撃破したのは、
日本人のダニエル太郎(25)だった。

 4大大会通算12勝を誇る世界ランク13位のジョコビッチに対し、ダニエルは同109位(5日現在)。
予選から勝ち上がったダニエルの勝利は大番狂わせで、パリバOP公式サイトはこの一戦を「日曜日の衝撃」というタイトルで報じた。

 ダニエルが「相手は本調子ではなかった」と言ったように、ジョコビッチは右肘の故障明け。今年1月の全豪OP後に手術し、今大会が復帰戦だった。

 それでも、「自分のキャリア、将来にとって大きな1勝」と喜んだダニエルの勝利はマグレなのか。スポーツライターの武田薫氏はこう言う。

「確かにジョコビッチは病み上がりでミスが多く、ラッキーというのもあります。ただ、太郎も予選で厳しい試合をしつこく戦って自信をつけていた。
25歳はテニス界では焦りを感じる年齢ですが、『自分はまだこれから』『身長もまだ伸びている』と言っていて、マイペースで周りを気にしない。
本人が主にクレー(赤土)コートを選んでプレーするのも、健康で長く現役を続けたいから。
パワーや回転が吸収され、ストローク勝負になりやすいクレーの方がハードコートより選手寿命が長いと判断したのでしょう」

 ダニエルは日本人の母とアメリカ人の父を持ち、5歳でテニスを始めた。日本語、英語、スペイン語、ロシア語がペラペラのマルチリンガル。
14歳のとき、家族で名古屋からスペインに移住し、クレーが多いバレンシアのアカデミーで練習してきた。しかし、昨秋、拠点を日本に戻したという。

「主な理由はスペイン人コーチとの仲たがいです。10年以上ついていたため、大人になっても子供扱いするコーチにストレスを感じ、ケンカが絶えなかった。
一家で移住したスペインでも父親がオランダで仕事をするなど、家族はバラバラの生活。
日本にはモデルのガールフレンドもいるので、環境を変えたかったのかもしれません」(前出の武田氏)

 スペインでの苦労も身になったようなのだ。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180313-00000016-nkgendai-spo