安彦氏、所要22場所で遂に新入幕へ「やっとスタートラインに立てた」

 大相撲名古屋場所で十両東6枚目の剣翔(27)が13勝2敗の成績を収め、初の十両優勝。同時に秋場所での新入幕を確実にした。十両互助会会長の在任中の十両優勝は初めてだ。

 最高位に程近い番付で迎えた今場所は、以前からの腰の痛みに加え、ここ数場所苦しんでいる蜂窩織炎の症状がまた右ふくらはぎに出た。
今場所も連日、病院で点滴を受けてから場所入り。この影響で前半戦は必死の土俵が続き、6日目の霧馬山戦は立ち合い変化、
翌7日目の豊山戦では寄り切られて土俵から落ちる際、足元を非常に庇う様子が見受けられ、状態が心配された。
それでも「長い時間相撲を取れないから、早い相撲を心がけた」と、速攻を意識。張り差しを多用し、右四つで一気に出る相撲は日増しに厳しさも伴ってきた。
後続が崩れたことで優勝争いもトップを独走したまま14日目に優勝決定。終わってみれば中日から8連勝のまま自己最多の13勝まで星が延びた。

 平成28年初場所の新十両以来、8場所連続で8勝7敗か7勝8敗を繰り返す記録を樹立。「幕下に落ちたくない気持ちが強くて、8勝したらほっとしてた」。
以降もそのスタンスは続き、“プラマイワン”の称号を与えられ互助会での存在感を集めていった。今年3月には、復興十両互助会4代目となる会長に就任。
しかし、今場所は十両の上位で序盤から好成績を挙げられたことで番付を気にすることなく、「幕内に上がりたい」と宣言するなど、いつになく欲が前面に出ていた。
 苦節22場所、「長かった。やっとスタートラインに立てる。速い攻め、思いきった相撲を取りたい」と幕内での活躍を誓う。
4年前の新十両会見では、同じ追手風部屋で日大の先輩である遠藤について「人気・実力ともに超えたい」と語っていた剣翔。初心を呼び起こし、本領発揮をする時が来た。
【サポーツニッポン】