「支払うものは支払っていますよ」
 8月1日、元大関・琴光喜の田宮啓司氏(42)は、本誌の直撃に怪訝そうな表情でこう答えた。

「たしかに最後の給料は、やっと支払われました。ただ……」

 事の顛末を語りはじめるのは、田宮氏が経営する株式会社「MITSUKI」の社員として、名古屋市内の焼き肉店に勤務していたAさん。

「4月分の給料を受け取った後、『激務で給料も安いので辞めたい』と伝えたら、社長からは『給料を上げるから残ってほしい』と。渋々5月も働いたのですが、もらえた額はほとんど横ばい。これはダメだと思い、再び社長に退職の意志を伝えて、6月いっぱいまで働きました」

 給料支払い日は、毎月10日となっていた。そこで、Aさんが7月11日に、6月分の給料について店に連絡すると、田宮氏はAさんに逆ギレした。

「(辞めたことに)損害賠償請求するから、給料なんかあるわけないじゃん!」

 しかし、民法627条1項には、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する」と定められている。