「協会側の報告書の内容をメディアが大きく報じるから、あたかもそれが“確定した事実”だと思われているが、貴乃花親方側の『意見書』の内容を踏まえると、
実際には事件の加害者側である日馬富士や横綱・白鵬と、被害者である貴ノ岩の証言には大きな食い違いがあることがわかるのです」
そこには、事件発覚後、執行部が貴乃花親方に執拗に被害届の取り下げを求めていたことも書かれていたという。さらに、危機管理委員会による貴ノ岩への
聞き取りの際、示談を促されたといった経緯も記されており、協会が事件を“矮小化”しようと必死だったとも解釈できるのだ。
しかし、その反論意見書は“封印”され、いまだに公表されていない。本誌が確認した「意見書」の内容について取材・検証を進めると、貴乃花親方の
真の問題意識と怒りが「誰に向けられているのか」がはっきり浮かび上がってくる。
◆「お前もぶっ飛ばすぞ!」
関係者への取材を総合すると、事件当夜の経緯を明かしている1通目の「意見書」では、暴力行為に走った当事者である
日馬富士以上に、「白鵬の言動」に関して、協会の報告書の記載への反論が目立つという。
「たとえば、協会の報告書には事件の起きた鳥取での会合で、『(出席していたメンバーの一人である)照ノ富士は、
多量の日本酒を飲んで大分酔っていた』という記述があります。この部分について、貴乃花側の意見書では、
照ノ富士が蜂窩織炎(ほうかしきえん・毛穴や傷口から細菌が侵入して、皮膚の深い組織が炎症を起こす感染症)を
抱えていて飲酒を控えなければいけなかったのに、“白鵬がジョッキに日本酒を注いで飲ませた”といった状況の
詳細が克明に記されている」(協会関係者)
事件当夜の二次会では、宴席が進むうちに白鵬の説教が始まり、一段落したところで貴ノ岩がスマホをいじったので、
日馬富士がその態度に激高──協会の報告書などをもとに、繰り返し報じられてきた経緯だが、
貴乃花親方側の「意見書」では、かなりニュアンスが違っているという。