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動物キャラバトルロワイアル4っぽふさふさ
0001名無しさん@お腹いっぱい。
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2010/04/18(日) 11:01:27ID:x//Ny0Cx
動物なキャラでバトロワを
しようっていうスレだにゃ。

キャットファイト?いいえ漢の闘いです!(メスもいるよ)
予約をされる場合の期限は5日。延長は2日まで。

まとめwiki
ttp://www6.atwiki.jp/animalrowa/pages/1.html

したらば
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/11497/
0200 ◆TPKO6O3QOM
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2010/08/25(水) 20:59:50ID:KRpzKDKT
カエル、ぼのぼの、アマテラス、投下します
0201雨の降る昼、いったいどうする  ◆TPKO6O3QOM
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2010/08/25(水) 21:02:14ID:KRpzKDKT
 キュウビの忌々しい声が聞こえなくなったのを確認して、カエルは横線の引かれた名簿に目を落とした。十五の命が新たに散り、丁度半分の者が命を落としたことになる。あと二十ニの命が消えれば、このふざけた呪法は終わる。
 それを面白がっているキュウビの首を討ち落としたい衝動を、カエルは深い吐息と共に抑え込んだ。とはいえ、この地での知り合いの全てを目の前で失った彼にとっては、今回の放送は単なる事実確認以上の意味合いは無かった。他者から比べれば、大分楽な身の上だろう。
 死者の読み上げが死亡した順番らしいことに気づけたのも、己が精神的に余裕があったためだ。
 
 雨はまだまだ続きそうであった。ただ、雷を伴うような代物ではないらしい。放送の直前、大地を揺るがすような雷音が轟いたが、それ以降は静かなものである。
 しかし、だからといって、目的もないのに外出するのは自殺行為でしかない。地下の鍾乳洞の探索も保留せねばならないだろう。水没の危険は勿論のこと、自分の位置が地図で確認できない以上、闇雲に進むことはできない。近くに禁止区域が設けられたのだから尚更だ。
 一先ず、カエルは腹ごしらえをすることにした。とはいえ、事前に確認した食料はあまり食が進むような代物ではなかった。しかしながら、贅沢を言っていられる状況でもない。
 カエルは数個の硬いパンと共に、蛙の腿肉を香草と一緒に焼いたものを取りだした。今の姿の己にこんなものを与えてくるとは、やはり、あのキュウビの根性は修復不可能なほどにねじくれているようだ。
 冷えた油が白く固まっているそれを摘み、食い千切る。
 それらとパンを水で流しこんだ時、小屋の扉が音を立てた。軋みと共に扉が引かれ、外の雨音と冷気が小屋の中に入り込んでくる。
 骨を投げ捨て、剣の柄に手を掛けたカエルの眼に入ってきたのは、柔らかそうな体毛を雨に濡らした子供の獣だった。毛の脂のせいだろうか。雨に濡れても、獣の体毛は膨らみを保っている。

「こんにちはー。カエルさんはひとりなの?」

 子供はカエルの存在に気付くと、円らな瞳を一、二回瞬かせてから、唇毛をふぁさと揺らし、のんびりとした口調で挨拶をしてきた。
 子供に続いて入ってきたのは、白い狼だ。幾つか戦闘を繰り広げて来たのか、所々に巻かれた布は泥水に汚れ、後ろ足を引きずっている。
 最初の場所でキュウビに躍りかかって行った、アマテラスという狼だろう。詳細名簿とやらには白い狼が他にも認められたが、大きさからみて間違いないはずだ。
 しかし、だからといって、こちらに無害とは限らない。探していた相手ではあるが、それがこちらに友好的である必然は無い。脳裏に浮かぶのはギロロたちの姿だ。カエルは気付かれないよう重心を僅かに移動させる。
 と、アマテラスはその大きな体躯に似合わない、人懐こい動作で尻尾を振って見せた。敵ではないと、安心しろとでも言うように。その間の抜けた表情に気勢を殺がれ、カエルは構えを解いた。
 こちらの返事がないことを不思議に思ったのか、子供が首を捻りながら、少し大きな声で同じ言葉を繰り返してきた。
 聞こえなかったとでも思ったのだろう。こちらが警戒していたことにも気付いていない様子だ。これまで生き残ってきたのが不思議なほどに警戒心がない。よく言えば純真無垢、悪く言えば盆暗だ。
 胸中で苦みを掻き消し、カエルは肩を竦めた。

「見ての通りさ。俺は……名前もカエルだ。そっちは?」

「ぼくはぼのぼの。こっちはオオカミさん」

 ぼのぼのの言葉にアマテラスが一声咆えた。ぼのぼのはアマテラスの名を言わなかった。アマテラスに言うなとでも釘を刺されているのだろうか。
 そのアマテラスはというと、後ろ足の痛々しい傷をぺろぺろと舐めている。
 見かねて、カエルは支給品にあったマッスルドリンコなるものを皿に注いでやった。気休めに近いが、怪我の回復に一番必要なのは体力だ。
 液体の臭いに鼻を動かしているアマテラスから目を逸らし、カエルはぼのぼのに向き合った。

「よし、じゃあ、ぼのぼの。休む暇なくて申し訳ないが、幾つか話をしよう。まず、ここまでどうしてきたか、教えてくれ」

0202雨の降る昼、いったいどうする  ◆TPKO6O3QOM
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2010/08/25(水) 21:04:31ID:KRpzKDKT

 ぼのぼのは、いいよ。と頷いた。

「あのね。ぼく、ガッコウに戻ろうとしたんだけど、そうしたら、このオオカミさんと、大きなスナドリネコさんみたいな子がね、喧嘩してたの。それで色々あって、気付いたら崖の上だったんだ。まだ大きなスナドリネコさんは居たから、オオカミさんとここに逃げて来たの」

 ぼのぼのは茫洋とした口調で、滔々と喋った。カエルが聞きたかったのはこれまでの経緯なのだが、そうは受け取ってもらえなかったらしい。
 今の言葉から分かったのは、ぼのぼのとアマテラスが出会って間もないということのみだ。名前を言わなかったのは、単にまだ知らなかっただけのようだ。
 質問の仕方を変えるか。しかし、ぼのぼのの様子から、こちらの意図する情報を引き出すのは困難に思えた。簡単な質問から先に片づけて行った方がいいだろう。カエルはデイバッグから詳細名簿を取り出し、床に座ったぼのぼのの前に広げた。

「知り合いや、見たことがある奴はいるか?」

 ぼのぼのの告げた者達の中にアライグマが居た。直接は知らないが、ツネ次郎の仲間だった参加者だ。仲の良い友達であったらしく、研究所に墓を作ったことを教えると、ぼのぼのは僅かに表情を曇らせた。変化に乏しいが、それが多分彼なりの哀しみなのだろう。
 また、警戒していた因幡てゐという女は、彼に良くしてくれたらしい。意外とここに書かれていることは当てにならないのかもしれない。仮に事実であっても、その者の本質ではない可能性が高いと見た方がいい。
 ムックルの項目に警戒とだけ付け加え、カエルはぼのぼのとの情報交換を切り上げた。知り合いを絡めれば、カエルが欲しい情報を引き出せるだろう。
 ただし、彼は今回の放送で、親しい知り合いを二人失っている。そして、訊き出そうとすれば、否が応にも、その二人に触れることになる。死を知って間もない子供にはきついだろう。
 カエルはアマテラスに視線を移した。横になっていたアマテラスは、視線に気づいたか、ぱっと顔を上げた。その深い色の瞳を見つめるが、それでオオカミの思考が伝わってくるわけではない。
 神様と書かれていたのでひょっとしたらと思ったのだが、そういった便利な能力はないらしい。
 貝を石で割り出したぼのぼのに声をかける。

「……ぼのぼの。悪いが、通訳してくれないか? 俺には狼の言葉が分からなくてな」

 ぼのぼのは貝を食べるの止め、しばし中空を見つめた後で応えた。

「ぼくもわかんないよ」
「な、なんだと?」

 思わぬ返答に、カエルの声は高くなった。ぼのぼのは、ツネ次郎と同じように獣と人の両方の言葉が分かる存在とカエルは考えていたのだが、違うのだろうか。ぼのぼのは続ける。

「初めて会ったときにもアマテラスさんとお話しできなくて、おかしいなあって思ったの。他の皆とはお話できるのに、どうしてなんだろう……?」

 彼自身、不思議に思っているようだ。カエルは問いを重ねた。

「……他の、その、なんだ。獣たちとは会話できるものなのか? 熊とか、猪とか」
「できるよー。今だって、カエルさんとお話してるじゃない」
「いや、まあ、それはそうだが……それでも、こいつの言葉は分からんと?」
「うん。……ごはん、食べていい?」
「……ああ。食べるといい。ゆっくりとな」

 嘆息を溢し、カエルはアマテラスの前にしゃがみ込んだ。アマテラスは瞳を輝かせている。犬が何か面白いことを期待しているときの、あの瞳だ。
 通訳もないとなると、複雑な意思疎通は不可能だし、得られる情報も限られてくる。キュウビが何者であるかなど、最も知りたかった情報をアマテラスから聞くことは出来ないということだ。
 可能なのは、知り合いの確認だけか。カエルは詳細名簿を広げ、アマテラスに知り合いが居たら教えてくれ。と伝えた。アマテラスは、最初の頁にあるぼのぼのに対し、一つ吼えた。これが返事らしい。グレッグル同様、こちらの言葉は理解してくれているようだ。
 アマテラスの知り合いは、ぼのぼの、アライグマ、ニャース、楽俊、シロ、ムックルだけだった。内、手を組めそうなのはニャースのみだ。
 知り合いの確認だけで済んでしまった情報交換に肩を落とし、カエルは名簿を仕舞った。貝を食べ終わって満足げなぼのぼのにアライグマのことを伝えてやる。
0203雨の降る昼、いったいどうする  ◆TPKO6O3QOM
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2010/08/25(水) 21:05:42ID:KRpzKDKT

「ぼのぼの。アマテラスはアライグマと会ったそうだぞ」
「そうだよ。アマテラスさんと初めて会ったとき、アライグマくんと一緒だったんだよ」
「ん? おまえ、アライグマとは再会できなかったと言っていなかったか?」 
「言ったよ。最初の真っ暗い所で別れたあと、アライグマくんとは会えなかったんだよ」
「……そういうことか」

 キュウビのデモンストレーションの場で、既にぼのぼのはアマテラスと逢っていたということらしい。もしかすると殺された栗鼠も、ぼのぼのの知り合いだったのかもしれない。それを訊く気にはなれないが。
 他にすることはあるだろうか。少々多すぎる荷物を、彼らに譲るくらいであろうか。こちらの情報を明かした所で、彼らには話のタネになる以上の意味はなさそうだ。首を振って、頭を掻く。
 ふと、ぼのぼのがアマテラスに語りかけている言葉が耳に入る。

「――ラスさん。ぼく、ガッコウに戻らなくちゃ。多分、あの大きなスナドリネコさんはいないよ。ケロロさん待ってるし、ニンゲンさんが死んじゃうかもしれないし。アマテラスさんも一緒に行こうよ」

 ニンゲン――ぼのぼのはそう言った。そのことを考える前にカエルは訊き返していた。

「ぼのぼの! ニンゲンが死ぬってのは、どういうことだ?」

 ぼのぼのはきょとんとしながら、ゆったりと答えて来た。

「ガッコウにね、ニンゲンさんがいたんだよ。いたそうな傷がいっぱいあって、ケロロさんがてゐさんを呼んでこいってぼくに言ったの。てゐさんはコヒグマくんのおとうさんの傷も診てくれたんだよ。でも……てゐさん、キツネさんに名前を呼ばれちゃった」

 俯いたぼのぼのに、アマテラスが気遣うように鼻を鳴らした。
 それを横目に、カエルは思案する。ニンゲンという参加者は居ない。ニンゲンとは、すなわち人間と見て間違いないだろう。この地に、"人間"がいる。それも、名簿にも載っていない存在がだ。
 ここから脱出する鍵になるか。それとも、キュウビの罠か。
 しかし、足を踏み入れねば両者を判別することすら出来ない。

「ぼのぼの、俺も一緒に行こう。その人間に俺も会ってみたい」

 カエルの申し出に、ぼのぼのは二三首を捻った。

「カエルさんは、ケガとか分かるの?」
「まあ、多少はな」
「それじゃあ、カエルさんも一緒に行こう」

 言うが早いか、ぼのぼのはアマテラスの背に乗った。アマテラスはカエルへ顔を向けると、一つ吼えた。そして、誘うように尻尾を揺り動かす。

「……乗れっていうのか?」

 もう一度、アマテラスが吼える。カエルはデイバッグを抱え、アマテラスの背に跨った。二人の重みに砕けることなく、アマテラスは雨の中に踏み出していった。
0204雨の降る昼、いったいどうする  ◆TPKO6O3QOM
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2010/08/25(水) 21:06:36ID:KRpzKDKT


【C-6/一日目/昼】

【カエル@クロノトリガー】
【状態】:健康、多少の擦り傷、疲労(小)、魔力消費(小)、寂寞感、びしょ濡れ、アマテラスの背の上
【装備】:なんでも切れる剣@サイボーグクロちゃん、マントなし
【所持品】:支給品一式(食料:パンと蛙の腿肉料理)、ひのきのぼう@ドラゴンクエスト5、モンスターボール@ポケットモンスター、しらたま@ポケットモンスター 、銀の不明支給品(0〜2、確認済)、石火矢の弾丸と火薬の予備×9@もののけ姫 、
マハラギストーン×3@真・女神転生if、風雲再起の不明支給品(0〜2、確認済)、参加者詳細名簿、ペット・ショップの不明支給品(1〜3、確認済)、スピーダー@ポケットモンスター×6、グリンガムのムチ@ドラゴンクエスト5、ユーノのメモ
【思考】
基本:キュウビに対抗し、殺し合いと呪法を阻止する
1:学校へ行く。
2:ニャースの捜索。
3:ギロロにあったら話をつけて誤解を解く。
4:余裕があれば鍾乳洞内を調べる。
※ツネ次郎と情報交換をしました。ぼのぼのとアマテラスの知り合いを把握しています。
※異世界から参加者は集められたという説を知りました。
※参加者は同一世界の違う時間軸から集められたと考えています。
※天容の笛@忍ペンまん丸、しらたま@ポケットモンスターとパルキア@ポケットモンスターの存在を知りました。
※ペット・ショップ、ミュウツー、クロコダイン、クロ、チョッパー、ケットシー、因幡てゐ、ラルク、ムックルを危険ないし要警戒と認識しました。
※ログハウスの下にある鍾乳洞は抜け道のようなものと推測しています。
※死者の読み上げが、死亡した順番であることに気付きました。
※アマテラスがオープニングの時点で意思疎通が出来なかったことを知っています。

【ぼのぼの@ぼのぼの】
[状態]:健康、戸惑い、アマテラスの背の上
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ベンズナイフ@HUNTER×HUNTER、貝割り用の石@ぼのぼの、貝×4
[思考]
基本:殺し合いはしない。
1:学校に戻る。
2:てゐについていきシマリスとヒグマの大将が生き返る者の所まで案内してもらうはずだったのに。
3:殺し合いに乗っている者がいたら、このナイフを使ってとめる
[備考]
※アニメ最終話48話後からの参戦です
※支給品の説明書は読んでいません。
※銀に不信感を持ちましたが悩んでいます。
※ケロロ軍曹と情報交換をしました。
※体を洗ったので、血の臭いは殆ど落ちました。
※第一回放送、第二回放送を聞きましたが、あまり理解していません。
※ムックルを危険人物と認識しました。



【アマテラス@大神】
【状態】:全身打撲(中・治療済) 、胴に裂傷(小)、後ろ足に裂傷(中)、体力回復・治癒促進中
【装備】:所々に布が巻かれている。ぼのぼの、カエル
【道具】:なし。
【思考】
基本:打倒キュウビ。絶対に参加者を傷つけるつもりはない。
0:??????
【備考】
※アマテラスの参戦時期は鬼ヶ島突入直前です。そのため、筆しらべの吹雪、迅雷の力は取り戻していません。
※筆しらべの制限に気付いているかもしれません。
※キュウビの目的について、何か勘付いているかもしれません。
※筆しらべ「光明」と「月光」で昼夜を変えることはできないようです。
※筆しらべ「桜花」で花は咲かせられるようです。
※筆しらべは短期間に三回使うと、しばし使えなくなるようです。爆炎などの大技だと、また変わってくるかもしれません。
0206修正
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2010/08/25(水) 23:20:25ID:KRpzKDKT
 キュウビの忌々しい声が聞こえなくなったのを確認して、カエルは横線の引かれた名簿に目を落とした。十五の命が新たに散り、丁度半分の者が命を落としたことになる。あと二十ニの命が消えれば、このふざけた呪法は終わる。
 それを面白がっているキュウビの首を討ち落としたい衝動を、カエルは深い吐息と共に抑え込んだ。とはいえ、この地での知り合いの全てを目の前で失った彼にとっては、今回の放送は単なる事実確認以上の意味合いは無かった。
 他者から比べれば、大分楽な身の上だろう。死者の読み上げが死亡した順番らしいことに気づけたのも、己が精神的に余裕があったためだ。
 
 雨はまだまだ続きそうであった。ただ、雷を伴うような代物ではないらしい。放送の直前、大地を揺るがすような雷音が轟いたが、それ以降は静かなものである。
 しかし、だからといって、目的もないのに外出するのは自殺行為でしかない。地下の鍾乳洞の探索も保留せねばならないだろう。水没の危険は勿論のこと、自分の位置が地図で確認できない以上、闇雲に進むことはできない。近くに禁止区域が設けられたのだから尚更だ。
 一先ず、カエルは腹ごしらえをすることにした。とはいえ、事前に確認した食料はあまり食が進むような代物ではなかった。しかしながら、贅沢を言っていられる状況でもない。
 カエルは数個の硬いパンと共に、蛙の腿肉を香草と一緒に焼いたものを取りだした。今の姿の己にこんなものを与えてくるとは、やはり、あのキュウビの根性は修復不可能なほどにねじくれているようだ。
 冷えた油が白く固まっているそれを摘み、食い千切る。
 それらとパンを水で流しこんだ時、小屋の扉が音を立てた。軋みと共に扉が引かれ、外の雨音と冷気が小屋の中に入り込んでくる。
 骨を投げ捨て、剣の柄に手を掛けたカエルの眼に入ってきたのは、柔らかそうな体毛を雨に濡らした子供の獣だった。毛の脂のせいだろうか。雨に濡れても、獣の体毛は膨らみを保っている。

「こんにちはー。カエルさんはひとりなの?」

 子供はカエルの存在に気付くと、円らな瞳を一、二回瞬かせてから、唇毛をふぁさと揺らし、のんびりとした口調で挨拶をしてきた。
 子供に続いて入ってきたのは、白い狼だ。幾つか戦闘を繰り広げて来たのか、所々に巻かれた布は泥水に汚れ、後ろ足を引きずっている。
 最初の場所でキュウビに躍りかかって行った、アマテラスという狼だろう。詳細名簿とやらには白い狼が他にも認められたが、大きさからみて間違いないはずだ。
 しかし、だからといって、こちらに無害とは限らない。探していた相手ではあるが、それがこちらに友好的である必然は無い。脳裏に浮かぶのはギロロたちの姿だ。カエルは気付かれないよう重心を僅かに移動させる。
 と、アマテラスはその大きな体躯に似合わない、人懐こい動作で尻尾を振って見せた。敵ではないと、安心しろとでも言うように。その間の抜けた表情に気勢を殺がれ、カエルは構えを解いた。
 こちらの返事がないことを不思議に思ったのか、子供が首を捻りながら、少し大きな声で同じ言葉を繰り返してきた。
 聞こえなかったとでも思ったのだろう。こちらが警戒していたことにも気付いていない様子だ。これまで生き残ってきたのが不思議なほどに警戒心がない。よく言えば純真無垢、悪く言えば盆暗だ。
 胸中で苦みを掻き消し、カエルは肩を竦めた。

「見ての通りさ。俺は……名前もカエルだ。そっちは?」

「ぼくはぼのぼの。こっちはオオカミさん」

 ぼのぼのの言葉にアマテラスが一声咆えた。ぼのぼのはアマテラスの名を言わなかった。アマテラスに言うなとでも釘を刺されているのだろうか。
 そのアマテラスはというと、後ろ足の痛々しい傷をぺろぺろと舐めている。
 見かねて、カエルはアマテラスにケアルガを掛けた。柔らかい光が身体を包む。
 しかし、その身に刻まれた傷は全く治った様子はなかった。一方で、カエルは常よりも重い疲労を感じていた。思えば、ウォータガを使ったときにも同様の違和感はあったのだ。
 どうやら、今の身体は、理由は分からないが、本調子とはいえないようだ。もっとも、魔法の効能がないのは、相手にも問題があるのかもしれないが。
 仕方なく、カエルは支給品にあった栄養剤を皿に注いで、アマテラスの前に置いた。気休めではあるが、回復魔法の効果が見込めない以上、体力を回復させるより他に法がない。
 液体の臭いに鼻を動かしているアマテラスから目を逸らし、カエルはぼのぼのに向き合った。

「よし、じゃあ、ぼのぼの。休む暇なくて申し訳ないが、幾つか話をしよう。まず、ここまでどうしてきたか、教えてくれ」
0207名無しさん@お腹いっぱい。
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2010/08/25(水) 23:22:06ID:KRpzKDKT
また、カエルの状態票に

※魔法の制限に気付いたこと
※回復魔法の効果の発現がとてもゆっくりになっていること

を加えておきます。
0209とても優しい瞳をしてたあなたが歌う――  ◆TPKO6O3QOM
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2010/08/27(金) 23:30:17ID:Q5F87Dqb
 滑走するザフィーラの顔面を雨粒が容赦なく叩きつけていく。勢いに乗った水滴は石つぶての如く露出した肌を穿ち、腕で保護していなければ目も開けていられない。
 地上を見下ろせば、風に煽られた草木による緑の大波が広げられていた。キュウビの放送はそろそろのはずだが、この雨音の中、それを聞きとれるか、些か不安になる。
 雨にけぶった視界の向こうに、ホテルらしき建物の影が見えてきた。それと同時に、肌がちりつくような違和感をザフィーラは覚えた。
 見上げると、ホテルの上空に重く暗い雲が幾重にも立ち込め、それ自体が一個の生き物のように蠢いている。その姿は、まるで雲が意思を持ってホテルに集っているようだ。
 ザフィーラは高度を下げ、地面を這うような軌道へと変えた。視界は狭まるが、空に居て雷に打たれては堪らない。
 ホテルの輪郭がはっきりと見えて来た時、上空が眩く耀いた。耳を劈くような轟音と共に、純白の光刃がホテルを斬り裂いた。その衝撃はザフィーラの臓腑にまで響き、視界が一瞬にして白一色に染まる。
 しばしして、ザフィーラは己が声を上げながら地面を転がっていることに気付いた。ほんの数瞬、気絶していたのかもしれない。泥を払いながら彼はホテルを確認し――思わず声を漏らした。

 ホテルの形が変わっていた。雨のために延焼することはないようだが、白煙をあげる建物の上半分が崩れてしまっている。一体どれほどの衝撃がホテルを襲ったのだろうか。先程のは、ただの雷ではなかったのかもしれない。
 近づくと、ホテルの壁には黒々とした雷の爪痕が刻まれていた。周囲には、雨で流しきれない焦げた臭いが漂っている。
 未だ雷の影が残る目を擦りながら辺りを見渡すと、ホテルからふらふらとした足取りで離れていく人影を見つけた。落雷の際、ホテルに居たのかもしれない。目の端で、不自然に瓦礫が動いたような気がしたが、一旦無視して人影に接触することを選んだ。
 トナカイの子のときの経験を踏まえて、空は飛ばず、徒歩で距離を縮めていく。ある程度近づいた所で、ザフィーラは声を張り上げて呼び掛けた。
 雨の帳の中、人影がびくりと震えて立ち止まるのが分かった。その反応を多少訝しく思うものの、ザフィーラは名前を告げながら歩みを進めた。
 相手を確認し、ザフィーラは己の頬が緩むのを止められなかった。全身の毛をしとどに濡らしているものの、人影はあのトナカイの子供であったのだ。
 トナカイの子供も、こちらの姿を認めたらしい。厳しかった表情が崩れ、愛らしい円らな瞳を大きく見開き――、

「うきゃあ!」

 と悲鳴を上げた。そのまま駆けだそうとするのを、寸での所で腕を掴み、引きとめる。トナカイの子供は余計にパニック状態になり、腕や足をぶんぶんと振り回し始めた。蹄がザフィーラの腕や足を掠めて行く。

「お、おい、落ち着け!」
「おばけ! ゆーれい! 助けてー祟られるー皿数えてくるーあくりょーたいさーん!」
「あ、暴れるな!」
「おれが悪かったよぉーちゃんといくから今は――」

 腰に手をまわして抱き上げながら、子供がどうやら己を幽霊か何かと勘違いしているらしいことに気付く。
0210とても優しい瞳をしてたあなたが歌う――  ◆TPKO6O3QOM
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2010/08/27(金) 23:32:20ID:Q5F87Dqb

「待て待て! 俺は生きてる。生きてるぞ! おばけじゃない!」
「おばけは皆そう言うんだー! ビームに当たって海に落ちたの、知ってんだぞー! びしょ濡れなのが証拠だー!」

 どうやら、トナカイの子供は、ザフィーラが海に落ちて死んだと思い込んでいるらしい。難儀しながら身体の位置を変えて、ザフィーラは子供と向き合った。その目を、できるだけ穏やかに見つめながら諭すように言葉を紡ぐ。

「俺は海に落ちてない。あのとき、鉄橋の下からおまえの同行を窺ってたんだ。俺が空を飛べるのは知っているだろう?」
「……落ちて、ない?」
「そうだ。落ちちゃいない」

 トナカイの子供が、瞳に怯えを浮かべながらも平静を取り戻しつつあるのを見て取り、ザフィーラは彼を地上に下ろした。腰をかがめ、視線を合わせる。

「お、おれ、あんたが海に落ちて……おれ、あんたを殺したとおもって……」
 
 子供はくしゃりと顔を歪め、俯いた。安堵とも取れるし、どこか怒っているようにも見える。ただ、その様子から、子供が余程思いつめていたことは伝わって来た。あれから大変な目にもあって来たのだろう。小さな身体の至る所に包帯が巻かれ、血が滲んでいる。

「すまなかった。あのときは、おまえのことを警戒していたんだ。すぐに出て行けば良かったな」

 詫びると、子供が口の中で何事か呟いた。しかし、雨音に紛れてザフィーラには聞きとれなかった。それを聞き返そうとしたとき、子供がきっと顔を上げた。表情は、先程の厳しいものに変わっている。

「ザフィーラは、この殺し合いに乗ってんのか?」

 問いの口調も、子供らしからぬ、とても緊張を帯びた物になっている。眼光も酷く鋭く、それは断罪者のように、一片の不義も見逃すまいとしているように見える。

「いいや。乗っていない」
「……誰かを殺したのか?」
「それも否だ」

 二つ目の答えに、子供の顔は歳相応のものへと戻った。

「そっかー……良かったあ。おれ、トニートニー・チョッパーっていうんだ。チョッパーでいいや」
「宜しくな、チョッパー」

 差し出された蹄を握ろうとしたそのとき――視界の外から飛び込んできた影がチョッパーを弾き飛ばした。雨音で、接近に気付けなかったようだ。地面に転がったチョッパーは目を回したのか、起き上がってこない。
 チョッパーに追撃しようとする襲撃者の前に、ザフィーラは半身を滑り込ませた。裂帛の気合と共に地面を踏みしめ、反対の足を蹴り上げる。
 それを襲撃者は毬のように跳んでかわし、四足で着地した。そこから一呼吸も置かずに、襲撃者は飛沫を飛ばしながらザフィーラに襲いかかって来た。
 そのあまりに速い挙動に目を見張りながら、ザフィーラは動きに合わせて拳を振り降ろした。拳は襲撃者の顔面に突き刺さる。地面に叩きつけられた襲撃者は、しかし、怯むことなく上半身を跳ね上げ、関節を無視した動きで抜き手を繰り出した。
 ザフィーラは身を捩ってその軌道から逃れるも、手刀は背負っていたデイバッグを切り裂いた。中身が地面に散らばる。
 それを無視し、ザフィーラは流れそうになる身体を踏みとどめ、更に小さく地面を蹴った。背筋だけで宙に躍った襲撃者に肉薄し、そこから半歩奥に踏み込んだ。それと同時に繰り出した掌底は胸板へと吸い込まれ、骨を砕いた感触が右腕を奔っていく。
 襲撃者は受け身も取れずに地面を転がった。何処からかキュウビの声が聞こえて来たが、それに構っている暇はない。案の定、襲撃者は身を起こしてきた。間合いと共に稼げたのはほんの一呼吸の時間――しかし、それで充分だった。
 ザフィーラは力ある言葉を高らかに叫び、魔力を展開した。

「縛れ! 鋼の軛!」

0211とても優しい瞳をしてたあなたが歌う――  ◆TPKO6O3QOM
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2010/08/27(金) 23:36:52ID:Q5F87Dqb
 魔力によって生成された光の拘束条が大地より飛び出し、襲撃者の四肢を貫き、その動きを止めた。襲撃者は口から泡を飛ばしながら身を捩っている。
 改めて、襲撃者の姿を確認する。
 おそらくはネズミか何かなのだろう。しかし、その身体を覆っているのは柔らかい毛皮ではなく、焼け焦げた皮膚の黒い残骸だ。その所々に、肉の朱が覗いている。右目は血だまりになっており、もう片方の瞳は白く澱んでいた。生物として、死んでいなくてはおかしい状態だ。
 襲撃者が大きく雄叫びを上げた――と、同時に襲撃者はザフィーラの目の前に立っていた。

「く――ッ!」

 相手の凄惨な姿に集中を乱したか。しかし、どうやって拘束を逃れたのかという疑問を思考の外に追いやり、ザフィーラは後ろへ跳んだ。しかし、すでに襲撃者は攻撃の体勢に入っている。ザフィーラの後退よりも、襲撃者が前進する方が――早い。
 襲撃者が左腕を打ち出した。拳ではない。腕の先に手はなかった。断面から、尖った骨が覗いている。襲撃者は四肢を引き千切って、拘束を解いたのだ。
 骨の槍はザフィーラの脇腹を深く抉った。同様に、右腕も腹に差し込まれる。ザフィーラの喉から苦鳴が漏れた。襲撃者は“両目”でザフィーラを見、嗤うように眦を蠢かした。
 ザフィーラの苦鳴が、絶叫へと変わる。刺された痛みからではない。傷口から異物が侵入し、根を張るようにして肉を裂き、身体を作り変えられていくような感触。
 彼は叫びながら、力いっぱい襲撃者を蹴り飛ばした。肉を裂く音と共に、激痛が全身を駆け廻った。思わず片膝をついたザフィーラの周りには、瞬く間に血だまりが出来ていく。
 弾け飛んだ襲撃者の両腕には、ザフィーラの血と肉がごっそりと纏わりついていた。その下から表れたのは、青い毛に覆われたオオカミの前足だ。いつの間にか、襲撃者の両足も元に戻っている。それどころか、黒焦げだった身体にうっすらと毛が生え始めていた。
 著しい速さで再生しているらしい。それに加えて、他者の肉体を侵食し、吸収する力もあるようだ。拘束するなど、甘い対処法では意味のない相手だったのだ。
 ザフィーラは乱れる呼吸を無理やり整えた。
 もし、ここで獲り逃せば、大事に至ることは火を見るより明らかだ。あの吸収能力が、肉体の再構成だけでなく、個々の持つ能力までも吸収できるのだとしたら――。既に、ザフィーラの魔法をも奪われているのだとしたら――。
 ザフィーラは掠れた声で――叫ぶ。

「縛れ、鋼の、軛――!」

 生成された幾本もの光の槍は、襲撃者の頭部や胸部を貫いた。しかし、襲撃者は止まらない。肉体を引き裂きながら、そして再生しながら、拘束を解こうとする。一本や二本では、致命傷にも至らないらしい。
 ならば、再生する部位がなくなるほどの傷を与えるより他に法はない。
 ザフィーラは込みあげる血塊を吐き捨て、力ある言葉を重ねた。魔法陣が構成され、光の奔流が襲撃者に襲い掛かる。奔流の正体は、無数の槍だ。それが襲撃者の全身を貫いていく。襲撃者の絶叫が響く。
 光が消え去ったとき、襲撃者の姿は何処にもなかった。一片の肉片も残さず、光の刃によって刺し貫かれたのだ。千切れていた四肢が泥の中に転がっているが、それが動く様子はない。
 ザフィーラは荒くため息を吐いた。脇腹を両腕で抑えながら、チョッパーが倒れていた方に首を巡らせる。
 彼は既に意識を取り戻し、立ち上がってこちらを凝視していた。一先ず、大した怪我もないらしい。そのことに、ザフィーラは小さく笑みを刻む。
 ゆっくりとした足取りで、チョッパーが近寄ってくる。と、デイバッグを投げ捨てながら、彼が何事か呟いたのが聞こえた。

「何、だ? 雨でよく、聞こえな――」

 チョッパーの上半身が膨れ上がり――。

「――い」

 叫びと共に、チョッパーのの蹄がザフィーラに叩き込まれた。
 

0212とても優しい瞳をしてたあなたが歌う――  ◆TPKO6O3QOM
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2010/08/27(金) 23:38:00ID:Q5F87Dqb




 蹄を振り下ろす。その度に朱色の飛沫が辺りに散った。

「やっぱりおまえもヒト殺しなんじゃないか!」

 蹄が肉を叩く。

「おまえもヒトを殺すんじゃないか!」

 蹄が骨を砕く。

「おまえも、あいつらと同じなんじゃないか!」

 蹄が地面を叩く。

「おまえが、早く出てきてくれてたら――!」

 イギーに意地悪をされることもなかったのに――。
 楽俊とやらと戦うことにならなかったかもしれないのに。
 ザフィーラがすぐ出てきてくれていれば、ピカチュウは死ななかったかもしれないのに――。

 チョッパーは腕を止めた。それと同時に、身体が元の大きさに戻る。ランブルボールの効果が切れたのだ。
 彼の眼前には赤い池が広がっていた。そこに倒れ伏す男には胸から上がなかった。ただ、骨と肉片が泥の中に散らばっている。
 このヒト殺しに出会わなかったら、もっと違ったはずだ。己は万能薬でいられたはずだ。

 チョッパーは頬をぬぐった。それに沿って紅い線が引かれるも、すぐに雨が流れ落としていく。

 これで正真正銘、自分はヒト殺しだ。万能薬では完全になくなった。
 チョッパーは込み上げてくる笑いの衝動に任せて、肺を震わせた。泣くように、チョッパーは嗤った。その衝動が漸くおさまり、チョッパーはぽつりと呟いた。

「行こう……」

 南は嫌だった。イギーがいる。会えば、覚悟が鈍る気がした。そうなったら、ただ惨めな自分が残るだけだ。向かうなら北がいい。
 一先ず荷物を拾おうと、チョッパーは振り返った。
 
 目の前に深紅が広がっていた。





 ムックルは桃色の被り物を吐きだした。キママウよりも小さい獣が身に着けていたものだ。朱に染まったそれは雨に打たれ、更に汚い色へと変じていく。
 ムックルの後方には、喰い千切った残りの半身が落ちていた。更に、その傍には人間の男の死体があるのだが、堅そうで食べる気にはなれなかった。
 ちらりと、彼は焼け焦げた城を見た。その臭いに、ムックルは口吻を歪めた。火は嫌な臭いだ。雷も同じだ。
 
 あそこは駄目だ。
 
 安全に雨宿りのできる場所を探し、ムックルは南への移動を再開した。


0213とても優しい瞳をしてたあなたが歌う――  ◆TPKO6O3QOM
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2010/08/27(金) 23:39:01ID:Q5F87Dqb




【ザフィーラ@魔法少女リリカルなのはシリーズ 死亡】
【トニートニー・チョッパー@ワンピース 死亡】
【残り 19匹】 



【D-4/ホテル跡/一日目/日中】

【ムックル@うたわれるもの】
【状態】:全身にダメージ(小)、精神的疲労(小)、母への強い思慕、興奮(大)、びしょびしょ、南に移動中
【装備】:鋼鉄の牙@ドラゴンクエスト5
【道具】:なし
【思考】
基本:殺し合いに乗る。
1:雨宿りできる場所を探す。
【備考】
※ムックルの参戦時期はアニメ第5話で、食料庫に盗み食いに入る直前です。
※ツネ次郎に懐きました。缶詰をツネ次郎がくれたものだと勘違いしたため。
※風雲再起に苦手意識を持っています。
※モロから一連の狩りの仕方(気配の殺し方等)を教わっています。
※アマテラスの本当の姿が見えています。
※筆しらべ『水郷』を浴びたため、血は大分洗い流されました。
※放送を聞きましたがあまり理解していません。特に禁止エリアの部分。


※ザフィーラの支給品一式、ランブルボール@ワンピース×2、ブロンズハチェット@聖剣伝説Legend of Manaがホテル付近に散らばっています。
※チョッパーのデイバッグ(支給品一式*2 、応急処置用の医療品、担架)がホテル付近に放置されています。
※DG細胞は完全に消滅しました。 

0215名無しさん@お腹いっぱい。
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2010/08/27(金) 23:56:36ID:/UdFF5Gs

ああ…ザフィーラ…行動が裏目にでまくりだったな…

しかしこれでついに20匹以下か
一日で終わりそうな勢いだ

>>TPKO6O3QOM氏
こちらも乙
学校に今行くとか危険すぎる…
0216代理:蛙人乱れし修羅となりて  ◇k3fZfnoU9U
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2010/08/31(火) 20:48:51ID:3n/HJWr2
放送で禁止エリアを聞いた後、ケットシーは校内を適当にうろついていた。
死者の名前は風雲再起と楽俊が呼ばれたこと以外軽く聞き流している。
放送直前にもの凄い稲光と轟音がしたことすら彼にはどうでもいいことだった。
自分が生き残れば誰が死のうと関係ないと考えていたのだから…。


「ラクシュンの言っていた男ってコイツのことかな?結局グッド根性君ってわけじゃなかったのかよー、だらしなさすぎるぜー」

給食室にて男の死体を目の前にしてケットシーはほんの少しだけがっかりした。
楽俊が言っていた死にかけそうな男に関してもあわよくばと狙っていたのだ。
しかし彼には弱肉強食の理がある。
それに放送前、大量のマグネタイトを吸収できたことにより余裕がある。
死体を蹴りでこづいた後ケットシーは給食室を後にする。
大量の食糧や治療用の道具には目もくれずに…


「ヒーホー、みんな人生エンジョイしてるー?って無視かーい。誰の声も聞けないなんてオイラ寂し過ぎるぜー」

適当に散策してたどり着いた放送室にてケットシーは適当に機械盤をいじったりマイクに向かって意味もなく喋ったりと子供っぽくマイペースに行動を起こす。
ただ、彼は放送のスイッチをONにした状態でマイクに向かってしゃべっていることに
気づいてない。
放送室というものは役割の都合上一方通行でしか言葉を送れない。
それゆえ本人にそのつもりがなくても現在位置を教えているのと同じことである。

「反応なくてツマンネーし、そろそろココも飽きてきたぜー。さっさと別のとこいこーっと」

そんなことを叫びながら放送室を出て下り階段に向かおうとする彼の耳に『ドドドドド』という足音が入る。
先程の校内放送を聞き向かってきた人物なのだが、ケットシーはそれを知る由などないだろう。
ケットシーは足を止めて音のする方を見る。
足音の主は建物内なのに砂埃を撒き上がらせながら確実にこちらに近づいてきていた。
0217代理:蛙人乱れし修羅となりて  ◇k3fZfnoU9U
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2010/08/31(火) 20:50:28ID:3n/HJWr2
「こーんな時に正義の味方、さんじょーいって生意気な奴が現れるのっていわゆるお約束な展開?ってことは、オイラ悪役?」

余裕を見せながら独り言を呟くケットシーだったが、砂埃は彼の方にホーミングしてくる。
そして砂埃の主、ケロロに首を掴まれそのまま絞められる形となる。

「てめえも我輩のジムを狙う不届き者かぁー!」
「ジ、ジム?そ、そんな知り合い…オイラには…存在しないぜ」
「てめぇ、我輩にそんな嘘つくんじゃねえええぇぇ」
「ホントに…オイラ、ジムなんて…初耳……!!」

さすがのケットシーも首を絞められているせいか、いつもの他人をからかうような口調で無くなっていた。
ケットシーは絞り出すような声で知らないと訴える。
しかし、ケロロは聞く耳を持たずに理不尽に怒鳴りつけた挙句さらにケットシーの首を絞める手に力を入れる。
それと同時にケットシーは今自分の首を絞めている目の前の奴のオーラに気づく。
それは彼の世界で言う魔王や魔神、邪神に近いものであった。

「問答無用、ジムの敵は我輩の敵であることを思い知るであります。うおおおおおおお、ろっしょおおおおおい!!」

気合いの雄叫びと共にケロロはケットシーの首を持ち上げ、窓ガラスの方へと全力投球を放つ。
ケットシーは首を持ち上げられ抵抗できないまま窓をぶち破り外に放り出される。
舞い散る硝子と共にケットシーの身体は自由落下をしていく。
先刻、彼が手をかけた女の人生を辿るかのごとく…
そして残されたケロロは…

「我輩のジムを狙っておいてこれで済むと思うなよ。その首をへし折ってやるであります」

窓から声高らかに宣言しケットシーの元へと向かって行った。
……階段で確実に。
修羅化したとはいえ甘さが残っているのは、ケロロ小隊故か。
0218代理:蛙人乱れし修羅となりて  ◇k3fZfnoU9U
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2010/08/31(火) 20:51:13ID:3n/HJWr2


「ゲホゲホッ、まーたまたアンラッキーな出会いをしてしまったぜ。もしかして今日の出会い運サイアクー?」

そう呟きながらケットシーは起きあがろうとするが、全身に痛みが走る。

「オイラただマグネタイトが欲しくて甘い奴をKILLしてきただけなのに、こーんな目に遭うなんて世の中嫌なこと多すぎるぜー」

ケットシーは強い雨に打たれながら大の字に倒れ愚痴をこぼす。
彼が手をかけた兎に比べると骨折していない分だけましではあるが、彼自身は知らぬ存ぜぬという感じであった。

「ん?ヤッベー、まさかアイツがここに来る?しつこすぎてアイツ嫌われ者確定―、だけどオイラはこのグッドアイテムでさっさとエスケープできんだぜー」

雨音によりほとんどはかき消されているもののほんの僅かにドドドドドという音が再び彼の耳に届く。
ケットシーは全身の痛みに耐えながらキメラの翼を取り出す。
と同時に緑の鬼神が姿を見せる。

「今更そんな羽なんて飾りなんだよおおおぉぉ!」

ケロロはケットシーを見るや否や止めを刺さんとするが如く、叫びながら恐ろしい早さで突進を繰り出してきた。
その勢いはどこからか『何とかトリニティアターック』とか聞こえてきそうなものである。
突進の勢いによる渾身の右ストレートがケットシーを襲おうとする刹那…

「できるだけ……ここから遠くにエスケープだぜー!」

その言葉と共にケットシーの身体は空高く舞い上がる。
その一方ケロロの拳は虚しくも空を切る。

「ヒャッハー、アイキャンフラーイ!」

そのままケットシーは『遠く逃げれるところ』へとワープする。
一方再び取り残された蛙修羅ケロロは…

「ちっくしょおおお、しかし我輩のジムを狙うものを生かしたままにしておけるものかあああ!」

ジムを狙う刺客を追い学校を発つ。
刺客であるケットシーが飛んで行った方角へと…
0219代理:蛙人乱れし修羅となりて  ◇k3fZfnoU9U
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2010/08/31(火) 20:51:56ID:3n/HJWr2
【C-4/校庭/1日目/日中】

【ケロロ軍曹@ケロロ軍曹】
【状態】ガンプラ破壊によるマジギレモード
【装備】なし
【道具】なし
【思考】
0:こんな世界、焦土にしてやらぁ……!!
1:ジムを狙うものは皆殺しじゃあ!!
※キレて暴れている所為で、いろいろなことを失念しています。
※ピカチュウ、キラーパンサー、オカリナをゲームに乗ったと誤解しています(名前は知らない)
※ピカチュウ、キラーパンサーの言葉は通じないようです。他は不明。
※キュウビに宇宙人の協力者がいるか、キュウビ自身が宇宙人であると考えています。
※会場の施設は、全て人間が以前使用していた物と考えています。
※ぼのぼのと情報交換をしました。
※給食室に、加藤清澄@バキの死体があります。
※給食室の加藤清澄を重要人物と考えています。
※第2放送は耳に入っていません。

【C-4/ワープ中/1日目/日中】

【ケットシー@真女神転生if...】
【状態】:疲労(中) 、帽子なし 、全身にガラス片が刺さっている
【装備】:まぼろしのてぶくろ@MOTHER3 、デザートイーグル@真女神転生if...(コロナショット@真女神転生if...(12発))
【所持品】:支給品一式、和道一文字@ワンピース、雷の石@ポケットモンスター、拡声器、折れたシャムシール@真女神転生if...、
      巨大キノコ@スーパーマリオシリーズ、グリードアイランドカード(追跡)@HUNTER×HUNTER 、
      ケットシーの帽子@真女神転生if...、フィジカルミラー@ペルソナ3、カマンベールチーズ@現実
      ヒョウヘンダケ×3@ぼのぼの、キメラのつばさ*1@DQ5、伝説の剣のルビー@ハーメルンのバイオリン弾き
      エルルゥの毒薬@うたわれるもの(テクヌプイの香煙×5、ネコンの香煙×5、紅皇バチの蜜蝋×5、ケスパゥの香煙×5)
【思考】
基本:生き残る。ゲームに乗るかキュウビに逆らうかは他の参加者をよく確かめてからにする
1:ワープした先で休憩する。
2:余裕があれば首輪の解除をする。
【備考】
※雷の石をマハジオストーン@真女神転生if...と勘違いしています
※まぼろしのてぶくろを防具と勘違いしています。拡声器を攻撃アイテムと勘違いしています。
※魔法の制限の可能性に気づきました
※グリードアイランドカードの使用法を聞きました
※オカリナ、ヒグマの大将、グレッグル、ミュウツーの情報を聞きました
※帽子をかぶった猫のことを自分のこととは思っていません。
※カマンベールチーズは楽俊に支給された食料です。
※第2放送は禁止エリアの場所以外適当に聞き流しています。
※キメラの翼の移動先はケットシーが行った中で小学校から一番遠い場所であるF-5駅のようです。
0220名無しさん@お腹いっぱい。
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2010/08/31(火) 21:12:03ID:3n/HJWr2
代理終了。
投下乙でした。
ケロロ、暴走継続中かい。
動機がプラモ壊れたからというのは、コナンでありそうだから困りものですな。
あのネコは何も悪いことしてないのに!!

指摘ですが、キメラのつばさはDQ5では、たしか最後に立ち寄った町や施設に行く能力だった気がします。
そうなると、行き先はホテルになってしまうのですが。


続いてアライグマの父、投下します。
0221俺の背丈追い越して、いつかはあいつも――  ◆TPKO6O3QOM
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2010/08/31(火) 21:13:03ID:3n/HJWr2
 周囲を弾力性のある幕が覆い包んでいる。空気が入り込むような隙間は無いのに、不思議と呼吸は苦しくない。仄かに湿り気のある空間は、温泉に浸かっているような心地よさすら感じられる。
 と、真っ暗闇であった視界が段々と色を帯びて来た。視界一面に、雨に濡れた大通りが広がっていた。雨粒が全身を叩き、耳障りな音を奏でている。いつの間にか、疾飛丸によって外に追い出されたらしい。
 首を巡らせると、背後に城が聳え立っていた。しかし、最初に目にしたときほどの迫力は感じない。
 彼は己の両腕を見下ろした。黒い装甲に覆われた、頑強で無骨な二本の腕(かいな)。その先についている掌を何度か握ったり開いたりしてみる。節くれ立った指は、その見た目に反して滑らかに動いた。手首を返し、何度かそれを繰り返す。
 一度大きく息を吐き、彼はゆっくりと立ち上がった。見えていた風景が大きく変わる。地面は遙か下となり、そのあまりの変化に彼は立ちくらみを覚えた。景色がぐるりと回り、踏鞴を踏む。どうにか左足を素早く少し引いて踏ん張り、重心を落として体勢を整えた。
 転倒しなかったことに安堵し、彼は大きく肩を竦めた。視界には、遊園地の敷地の大部分が広がっている。目を付けていた観覧車は今も、雨の中でゆっくりと回転を続けていた。
 しかし、あの輪っかを使うのは今でも難しそうだ。この場所からでも見上げるしかない代物をどう扱えばいいのか、見当がつかない。
 落胆に首を振ってから、足元に落ちていた長刀を拾う。これも一緒に放り出されてきたらしい。連れの首を落とした刀の輝きには大きく劣るものの、雨水に濡れた刀身は不気味な剣呑さを湛えていた。
 刀を右手から左手へと移しながら、彼は首を捻った。遊びで作ったことはあっても、実際に使用したことはない。
 蘇るのは、連れが殺された時の光景だ。あの女のように肉を両断するにはどのようにすればよいのか。ただ振り回すだけでいいのか。何度か振ってみるものの、使いあぐねて、彼は刀を一旦地面に突き刺した。
 と、雨音に混じって、あの狐の声が流れ始めた。それを無視して思案していると、彼の息子の名前が読み上げられた。
 彼は顔を上げた。呼吸が荒くなり、鼓動が痛いほどに速くなる。
 狐はまだ何事か告げていた。されど、その内容はまったく頭に入ってこなかった。
 
 本当に息子の名は呼ばれたのか――。

 彼が確かめたいのはそのことだけだ。やがて、狐の声は聞こえなくなった。狐は、彼が一番聞きたいことを繰り返しはしなかった。雨音だけの静謐が戻る。
 聞き間違い。
 そうだと思いたかった。しかし、己の耳がそんな粗末な代物でないことを、他ならぬ彼自身が知っている。
 この地にて、彼の関心事は己と息子、その知り合いの命だけだ。それ以外で、彼の意思を中断させるものはない。
 つまり己の耳は、確かに聞いたということだ。息子の名が呼ばれるのを。

 彼の息子は――死んだのだ。
 
 雨音がやけに大きく、身体の奥底まで響いていた。

 息子――。
 生まれた時、弱々しく、触れれば崩れてしまいそうだったことを覚えている。妻の乳を吸い、彼にさえ無邪気に甘えて来た。それがこそばがゆく、邪見に扱いもした。
 狩り場、木の実の生る土地、生きるための術と知恵――色々と教えた。しかし、息子は馬鹿だった。控え目に言っても、出来はよくはなかった。早く一人前にならないものかと、苛立ちもした。
 けれども、それでいいのだ。手がかかり、煩わしい――それが子供なのだ。
 それに、息子が居る日々は退屈しなかった。必ず何かをしでかした。殴りつけたこともあったが、何も変わらぬ日々に鮮やかな彩を加えてくれていた。
 ただ――生きてくれているだけで充分だった。
 自慢の、とは言わない。だが、妻と己の宝であったことには変わりない。好いた女と一緒になり、そして――生まれた我が子だ。
 
 たった一人の、ただ一人の、彼の息子だ。
0222俺の背丈追い越して、いつかはあいつも――  ◆TPKO6O3QOM
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2010/08/31(火) 21:14:04ID:3n/HJWr2

 いずれは大きくなり、好いた女と共に巣立っていくはずだった。事と次第では、己が巣を出て行ってもいい。孫の顔など見る必要はない。そんなことは面倒だ。己は只、息子が立派に独り立ちするのを見届けられれば、それでいい。
 旅から無事に帰って来た時、誇らしさと共に、幾許かの寂しさがあったことを思い出す。息子が自分の手から離れつつあることを、あのとき悟ったものだ。
 
 己を追い越して、少しずつ離れていく息子の背中を見送る。それが父親の役割だ。時が来れば、もうそれしか出来なくなるのだ。
 だけれども――もう、見届けるべき背中は何処にも見えない。息子は独りで、あまりにも速く先へ行ってしまった。父親に、見送る暇すら与えずに。
 
 己が立ち入れぬ未来へと、足を踏み入れていく息子の姿を見たかった。毒づきながらも、門出を祝ってやりたかった。悔しさが、煮え立つ澱みとなって腹の内に蓄積されていく。
 
 誰もが死ぬ。いつでも死ぬ。いつかは死ぬ。子が親より先に死ぬこともある。
 それは知っていた。だが、分かってはいなかった。
 呼吸をするのが困難なほどの苦しみが身を包むのか。身を引き裂かれた方がましなほどの痛みを覚えるのか。何も分かってはいなかった。
 息子を失ったことなどなかったのだから――。

 彼は徐に刺してあった刀を引っ掴むと、衝動のままにそれで周囲を薙ぎ払った。傍に在った施設から破片が鮮血のように舞い散り、大きな傷跡が刻まれる。
 彼は大きく肩で息をしながら、先の施設に対し、もう一度刀を振るった。悲鳴を上げながら、施設はゆっくりと崩れて行った。
 その光景を視界に納め、彼は刀を肩に担いだ。何を悩んでいたのか。何も、斬る必要はないのだ。ただ、これで殴りつければ事足りる。殴りつけるだけで、生き物は死ぬ。

 もう、己を縛りつけるものは何もない。己の命以外に気に掛けるものは何もないのだ。ならば、これからすることは一つだった。
 何が何でも生き残り、妻に詫びねばならない。信用して息子を託してくれた、あの心優しい女を支えてやらねばならない。同時に、親として息子の仇も討ってやりたい。

 そのために彼は――全員を殺すことした。



【A-2/遊園地/一日目/日中】

【アライグマの父@ぼのぼの】
【状態】:頭部に怪我、尻尾に切創(止血)、疲労(中)、軽度の貧血、アヴ・カムゥ内
【装備】:アヴ・カムゥ@うたわれるもの、アヴ・カムゥ専用の長刀@うたわれるもの、デイバッグ
【所持品】:地図、空飛ぶ靴@DQ5、魔除けの札@大神
【思考】
基本:全員を始末する。
1:参加者を探す。
【備考】
※札は少し湿っています。
※アイテムの説明は読んでいません。
※イギーと情報交換をしました。
※空飛ぶ靴は遊園地の入り口前が指定されていました。
※B-1からA-2の遊園地入り口までの間にアライグマの父の支給品が落ちている可能性があります。
※空を飛んだ時、月が地上よりも大きく見える気がしました。
※ボニーの考察は獣の卍参照。
※デイバッグは、コクピット内のアライグマの父が背負っています。
※第二回放送の内容を、アライグマが死んだこと以外聞いていません。

※遊園地の城付近の施設が倒壊しています。
0229名無しさん@お腹いっぱい。
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2010/10/22(金) 11:17:35ID:qcV60HXG
大神伝ってゲームボーイじゃできないのがなあ
0231 ◆TPKO6O3QOM
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2010/10/30(土) 11:15:27ID:9GJLZZI4
オカリナ、アライグマの父、投下します。
0232空が別れを告げている  ◆TPKO6O3QOM
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2010/10/30(土) 11:16:20ID:9GJLZZI4


 叩きつけるような雨の中を、一羽の白い鳥影が舞っていた。いや、舞っているというのは語弊があるかもしれない。
 その羽ばたきに力強さはなく、風が吹く度に大きく身体を傾がせる。崩された体勢を立て直す余裕もなく、その小さな姿は大きく北に流されていく。
 轟く様な強風と、石礫のような雨粒が吹き乱れ、地上の木々は大きく揺れていた。弾き飛ばされた枝葉が幾枚も宙を飛んで行く。
 傍目から見ても、この天候の中を飛ぶのは無謀というものだろう。ましてや、鳥は疲弊しきっていた。どこぞの木で翼を休めるのが一番の選択だ。
 しかし、それでもその鳥は懸命に東へと向かっていた。向かおうとしていた。風に戻され流され、それでも少しずつ東へと進んでいく。
 風のせいで視界もままならぬ中、鳥は命を削るように両翼を羽ばたかせた。
 休んでいる暇などないと、小さな身体は語っている。
 実の所、この鳥は一度羽を休ませていたのだ。小さな公園で、鳥はしばしの休憩を取っていた。
 そのときに鳥は、己が知る獣たちの死を知った。
 尊敬する父。この地で共に行動してきた仲間たち。そして、これから探すはずであった者たち――。
 その殆どが死んだ。少なくとも、この地で己を直接知る者は、もう誰もいない。
 この鳥がもっと違う選択をしていれば、その幾つかの命は助かったかもしれない。
 しかし、それを後悔しても詮無いことだと鳥は知っていた。鳥を駆り立てているのは後悔ではない。仲間の死は覚悟していたことだ。決死の覚悟を決めた仲間の背中は、まだ鳥の脳裏に焼き付いている。
 身体に纏わりついた雨水は、風の圧力も加わって鉛のように重くなっていた。
 しかし、それ以上に重い枷が、鳥の背に課せられていた。死んでいった者たちの遺志が、切迫した衝動となって鳥の全身を駆け廻っていた。それは時として、息苦しく鳥の身体を苛んだ。
 されど、この枷は翼を休めることを許さなかった。
 伝えなくてはならない。見届けなくてはならない。散り散りになった想いを、繋いでいかなければならない。
 それが残された者の使命だ。生かされたということは、つまり託されたということだ。鳥は一度、託す側であった。今度は違う。此度は、己が背負う番なのだ。
 風が奔る。雨が爆ぜる。
 その中を、小さな白影が飛んで行く――。



 低空を横切っていく小さな鳥を、彼は目に留めた。弱っているのか、鳥は覚束ない羽ばたきで東へと進んでいく。目立つであろう、今の彼に気付く様子はない。
 彼が立っている橋の袂だ。そこから一気に橋を渡り、右手にある大刀を振るい――仕留める。
 狩りとも言えぬ行動だが、それは簡単に成功するように思えた。手頃な獲物だ。
 しかし、ここに居る獣たちは普通ではない。甘く見れば、こちらが考えもつかないような手段を用いてくることが大いにあり得るのだ。
 まずは様子を見た方がいい。追跡し、確信を持った上で仕留めるのだ。
 彼は、鳥を東に行く鳥の姿を視界に留めながら、橋を渡りだした。
0233空が別れを告げている  ◆TPKO6O3QOM
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2010/10/30(土) 11:17:34ID:9GJLZZI4


【B-2/一日目/日中】

【オカリナ@ハーメルンのバイオリン弾き】
【状態】魔力消費(中〜大)、疲労(大)
【装備】なし
【道具】支給品一式、ミニ八卦炉@東方project、世界の民話、治療用の薬各種、不明支給品0〜2個(治療道具ではない)
【思考】
基本:ゲームには載らない。キュウビを倒す……だけどもし――。
1:C-4の学校に向かい重症の男を治療する。
2:そこでニャースを待つ。
3:できるならミニ八卦炉は使いたくない
※参戦時期は死亡後です。
※自分の制限について勘付きました。
※人間と関係ない参加者もいるのではと思っています。
※ケットシーを危険な獣と判断しました。
※治療用の薬の内訳は後の書き手にお任せします。
※オカリナの考察
・無意味に思えるアイテムを混ぜて、誰かが参加者に何かを知らせようとしているのではないか。
・キュウビ一味は一枚岩ではない。
縁者を人質にとり、殺し合いを強制してくるのではないか。全員ではないにしても、部外者が拘束されている。
※プックルの反論
・呪法=殺し合いとは限らない
・殺し合いは目くらましかも


【B-2/橋/一日目/日中】

【アライグマの父@ぼのぼの】
【状態】:頭部に怪我、尻尾に切創(止血)、疲労(中)、軽度の貧血、アヴ・カムゥ内
【装備】:アヴ・カムゥ@うたわれるもの、アヴ・カムゥ専用の長刀@うたわれるもの、デイバッグ
【所持品】:地図、空飛ぶ靴@DQ5、魔除けの札@大神
【思考】
基本:全員を始末して、仇を取る。
1:オカリナを追跡する。
【備考】
※札は少し湿っています。
※アイテムの説明は読んでいません。
※イギーと情報交換をしました。
※空飛ぶ靴は遊園地の入り口前が指定されていました。
※B-1からA-2の遊園地入り口までの間にアライグマの父の支給品が落ちている可能性があります。
※空を飛んだ時、月が地上よりも大きく見える気がしました。
※ボニーの考察は獣の卍参照。
※デイバッグは、コクピット内のアライグマの父が背負っています。
※第二回放送の内容を、アライグマが死んだこと以外聞いていません。

 
0237名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2010/11/04(木) 23:27:00ID:7RU+oQdp
遅くなりましたが投下乙です!
オカリナ逃げてー! ……でも所持品見たらミニ八卦炉が。で、追っ手の兵装がアヴ・カムゥ……
親父追わないでー! な事にならない事を願っておりますw
0238名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2010/12/08(水) 04:23:50ID:NvC/JMSZ
わたしには彼氏がいます。
彼とわたしはデートの時、どちらかの家に行き、
だれもいないとき、部屋で横になって裸でだきあいます。
それがだんだんエスカレートしていって、学校の体育倉庫で服をぬがされ、まだ3年生ですが、
学年で1番大きいおっぱいをつかむように触られたり、しゃぶったりされます。
最初は苦手だったんだけど、だんだん気持ちよくなりサイコーです。
しかも、わたしは学年1美人でもてます。
彼も同じで、美男美女でよくみんなにうらやましく思われます。
: : このカキコ見たあなたは4日後に不幸が訪れ44日後に死にます。
それがイヤなら、コレをコピペして5ケ所にカキコして下さい。
わたしの友達はこれを信じず4日後に親が死にました。
44日後友達は行方不明・・・・。
いまだに手がかりもなく、わたしはこのコピペを5ケ所に貼り付けました。
すると7日後に彼氏ができ、10日後に大嫌いな人が事故で入院しました。
: :     信じる信じないは勝手です。
0240名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2010/12/28(火) 20:52:38ID:UsEmGivU
ほしゅ
0241名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2011/01/04(火) 10:12:06ID:j1Kj/9UZ
保守
0242名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2011/01/16(日) 13:45:05ID:FPqBrEa6
保守
0244名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2011/01/25(火) 10:35:34ID:ygcSFWlZ
ほしゅ!
0245名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2011/01/27(木) 14:44:45ID:E4XAC8UE
補修冬虫夏草
0246名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2011/02/03(木) 19:33:07ID:ZMB2zox3
保守してみる
0247名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2011/02/06(日) 18:15:46ID:6qApeCSq
次の予約こないねえ
0248名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2011/02/14(月) 11:24:17ID:vm3DAH0V
ギロロ入ったの半年前だっけ
0249名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2011/02/19(土) 14:12:05ID:ugczwrdV
保守
0250名無しさん@お腹いっぱい
垢版 |
2011/02/27(日) 18:58:19.64ID:Pauti/JZ
保守
0251名無しさん@お腹いっぱい
垢版 |
2011/03/07(月) 21:58:39.09ID:xuXDeC6Z
保守
0252名無しさん@お腹いっぱい
垢版 |
2011/03/12(土) 08:16:53.31ID:rEAFkP6y
皆さんご無事でしょうか…

保守
0253名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2011/03/18(金) 15:19:29.76ID:j2mw1v/O
保守
0254名無しさん@お腹いっぱい
垢版 |
2011/03/27(日) 08:46:28.45ID:JBSb7tvF
保守ー
0255名無しさん@お腹いっぱい
垢版 |
2011/04/02(土) 22:57:38.67ID:RO/aSQeO
保守
0256名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2011/04/09(土) 17:06:23.68ID:Gm5vbEQS
ほしゅられほしゅう?
0257名無しさん@お腹いっぱい
垢版 |
2011/04/16(土) 12:32:42.31ID:GqCCjfZW
保守!
0258名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2011/04/19(火) 20:05:16.37ID:zL/QaLB8
保守保守
0259 ◆TPKO6O3QOM
垢版 |
2011/04/23(土) 12:59:02.61ID:zlJJsYUL
カエル、アマテラス、ぼのぼの、オカリナ、アライグマの父、ケロロ軍曹投下します
0260 ◆TPKO6O3QOM
垢版 |
2011/04/23(土) 13:02:37.93ID:zlJJsYUL

と思ったのですが、仕様変わったのか、ほとんど文章が書き込めないようなので、したらばに投下しておきます。
0264◇SO3BDqFnYo
垢版 |
2011/04/24(日) 23:37:11.88ID:NhXmoyVT
 
(一)

 風が体の自由を奪っていく。その唸りは、悪意に満ち満ちた哄笑のようにオカリナには聞こえていた。
 四肢から垂れ下がるような倦怠感は、もう己を騙せる範疇をとうに過ぎていた。
 しかし、オカリナは魔族だ。殺されることはあっても、魔力の消費以外で死ぬことは無い。
 そのことは、己に託された想いを実行することに幾許かの希望を与える。
 だが同時に、この痛苦から解放されることもないことを示してもいた。諦めぬ限り、この体は苛まれ続ける。
 もう、体は地面すれすれを飛行していた。仲間の一人が持っていた、浮遊して移動する板――それと大体同じ高度だろうか。
 それを操っていた、愛らしい黄色い仲間はもういない。その板にぶら下がっていた愉快で剛毅な仲間も、もういない。
 一人ぼっちだ。虚ろな穴が心に穿たれ、感情がそこから砂のように零れ落ちていく。そのとどまることの無い喪失感は、降り注ぐ雨よりも冷たく体を貫いた。
 この苦しみを、あの娘に与えてしまっていたのか。二重の苦しみが胸を締め付ける。
 横風に、大きく体が煽られた。
 
「――てっめえはぁー! 最初に我輩のジムを奪おうとした不届き者その一ィィィィィィィッ!」

 怒号が雨音を突き破った。緑色の物体がオカリナの嘴の先を掠めていく。
 それは泥水を跳ね飛ばしながら急停止すると、跳ねるようにしてオカリナに向き直った。
 緑色の表皮。不恰好な赤ん坊のような体系。黄色い帽子――電波塔で出会った、あの緑色の獣人だ。
 疲労のためか、雨風による騒音と視界の悪さのためか。オカリナは彼の接近に気づけなかった。
 楽俊との対話の中で、彼との軋轢は誤解であるのではないかとオカリナは考えていた。話せば分かり合える。その可能性は十分あるようにも思えた。
 しかし、この雨風では如何なる言葉も彼の耳まで届くまい。そこまで声を張り上げる体力そのものがない。また、彼自体、正気を失っているようだ。全身から怒りと殺気が湯気のように昇りたっている。
 時期が悪いのであれば、また出直せばいいだけだ。ただ、そのためには逃げなくてはならない。問題は、それが一番の無理難題であるということだ。
 既に翼は鉛の塊のように重い。自分の意思では自由に操ることなど、もう不可能に近いだろう。初撃こそ運よく避けられた形となったが、次からはそうもいくまい。例え凌げたとしても、近い内に必ず捉まる。
 捉まれば、そこで終わりだ。
 それでも、ここから離れなければ――。
 だが、想いとは裏腹に羽ばたきは力を失い、オカリナの小さな体は泥の中に落下した。
 緑色の獣人は歓喜とも絶叫とも取れる声を上げた。と、それとは別に微かな振動をオカリナは感じた。
 朧気な視界の中で、旋風のごとく疾走してくる影が映る。獣人とオカリナの間に滑り込んだ陰は影は、不安定な足場にも関わらず力強く踏み込むと流れるように脇に構えた棒を振りぬいた。
 すぱぁんと小気味良い音を立てて、獣人が打ち倒された。半ばから折れた棒切れが宙を舞う。

「ケロロさーん」

 のんびりとした声とワンと言う吼え声が聞こえた。


0265◇SO3BDqFnYo 代理投下
垢版 |
2011/04/24(日) 23:39:04.78ID:NhXmoyVT
(二)

 大雨の音は、ガッコウの中に入ると余計に大きく感じられた。
 カエルさんは、さっきケロロさんとケンカしていた白いカラスさんとお話している。白いカラスさんはオカリナさんというらしい。
 オカリナさんはすごく疲れているようで、オオカミさんの額の上にちょこんと蹲ったまま、ほとんど身動きしない。息もどこか苦しそうで、ぼのぼのは不安になる。
 カエルさんとオカリナさんはとても難しい話を、難しい顔をして話していた。
 
「――アマテラスさんの言葉は、最初のときから通じていなかった?」
「そうぼのぼのは言っていたな。楽俊の言う翻訳装置なんてものがあるにしても、少なくともこいつには作用していなかったことになる。始めからな」
「……そうしますと、異世界間で言葉が通じないという事態も可能性は低くなりそうですね」
「そいつは分からんよ。まあ、さっきも言ったが、まず"異世界"という部分が疑問なんだが」
「頑固ですね」
「前にも言われたよ」
「でも、なぜ言葉が通じないんでしょう? 翻訳装置がなかったとしたら」
「こいつが"神"だから……かな。人と獣の言葉が通じないんだ。神なんて更に次元が違うだろう?」
「……魔族と人は言葉が通じますよ」
「それは多分、お互いが思っている程には大きな違いはないんじゃないか? 俺はそう思えるようになってきたよ」

 カエルさんは穏やかに言った。今のカエルさんは、一緒にいて安心する。
 だけど――と、ぼのぼのはオオカミさんの背に体を預けながら髭をしゅんと垂らした。
 カエルさんは、かつてぼのぼのがてゐさんに教えてもらった方法と似たやり方で二人のケンカを止めた。
 手早く袋から木の棒を取り出してからのカエルさんの動きは、迅速で無駄がなく、見蕩れてしまうほどだった。
 だけど、のびてしまったケロロさんを見下ろすカエルさんは、何故かとても怖かった。
 そのカエルさんを止めたのは、オオカミさんの声だった。何を言っているかは分からないけれど、何を言いたいかは分かる。そんな吼え声だった。
 今、ケロロさんは、カエルさんの持っていた細長い紐を何本も束ねた物で一本棒みたいに縛られている。

「確かに、人も魔族も変わらないでありますなー。いたいけな我が輩をムチで縛り上げるなどというマニアック――いや、暴虐非道な仕打ちをするし。
 というか、そんな我が輩を放置して何を気だるい午後的な雰囲気を醸し出しているでありますか!? そんなわけで教育委員会に訴えられたくなければ、この縄を解いてくれなさい」
「どんなわけにしても、殺しにかかってきたものに自由を与えるわけにもいかんだろ」
「その誤解は解けたはずであります!」
「それとは別に、因幡てゐの殺害の疑いも完全に晴れたわけじゃない」
「それは……我が輩自身も確信を持って否定できない痛い所を……」

 ケロロさんとオカリナさんのケンカの理由は、オカリナさんの友達の言葉が分からなかったことらしい。それに加えて、オカリナさんの友達の一人はとても怖い顔をしていたんだそうだ。
 気絶したケロロさんをオカリナさんが庇った事で、カエルさんも納得した。
 だけど、その後ガッコウまで戻ったとき、ぼのぼのは変わり果てたてゐさんと再会した。てゐさんにはコヒグマくんのおとうさんと同じような穴が頭や胴に開いていた。
 死んでしまったてゐさんを見て、カエルさんは又怖いカエルさんに戻ってしまった。気絶していたケロロさんを叩き起こし、真偽を問い質した。
 目を覚ましたケロロさんは戸惑っていて、てゐさんの死体を確認すると、もごもごと口ごもってしまった。そんなケロロさんに、カエルさんはより怖いカエルさんになった。
 ケンカになってしまうのかとぼのぼのは心配したが、ケロロさんが口にした猫と言う言葉にオカリナさんが反応した。ケットシーさんという、危ないネコさんがいると聞いていたらしい。
 ケロロさんが口にした特徴は、カエルさんの持っているショウサイメイボにあるケットシーさんのものと一致した。スナドリネコさんをもっと軽薄にした雰囲気のネコさんだ。
 ぼのぼのと出会った時にケロロさんがジュウを持っていなかったことと、ケットシーさんがラクシュンさんをジュウで殺したらしいことを知って、カエルさんは少し怖くないカエルさんに戻った。
 ガッコウに入り、ニンゲンさんの居た部屋にケロロさんの案内で戻った。ニンゲンさんは死んでしまっていた。今度は穴が開いていなかった。
 ニンゲンさんが誰なのか、カエルさんもオカリナさんも知らなかったし、何も分からなかった。ニンゲンさんの死体は、すぐ隣の部屋にまだある。
 カエルさんは、雨が止んだら埋めてやろうと言っていた。
0266ひとつ火の粉の雨の中  ◇TPKO6O3QOM 代理投下
垢版 |
2011/04/24(日) 23:40:37.30ID:NhXmoyVT

「まあまあ。ケロロさんの言い分を信じてあげましょうよ。私は信じてもいいと思ってますよ」
「おお。さすがオカリナ殿。こんな素敵なカラス殿に襲い掛かるなど、後一歩のところでギロロに続いて我が輩まで犯罪行為に手を染めてしまうところでありました!」
「こんな風に縛っておけば一先ず何も出来ませんし」
「………………」

 と、ズシンズシンとガッコウが揺れた。地震かとぼのぼのは思った。揺れは段々と大きくなっていく。
 ただ、ずっと下から突き上げてくるような揺れではなかった。何か近づいてきたとカエルさんが言った。森を大きなウシさんが通ったときのことを、ぼのぼのは思い出した。
 カエルさんと、引きずられたケロロさんが部屋を出て行った。オカリナさんが不安そうに目をしばたたかせた。

「まさか! あれは……ザクT――!?」

 ケロロさんの何処か嬉しそうな叫びの直後、周囲が大きな音を立てて崩れた――。

 



 顔に叩きつけられる雨で、ぼのぼのは目を覚ました。
 起き上がると、辺りは一変していた。周りには大小様々な瓦礫が転がっている。ガッコウは両端だけ建っていて、真ん中が無くなっていた。
 そのガレキの中で、真っ黒い巨人の周りを白い影が躍る様に動き回っていた。火花が雨の中で散る。
 オオカミさんだ。オオカミさんの尻尾が振るわれた。巨人の左腕が肘の辺りから斬り飛ばされ、噴き出した血が雨を赤に変える。
 絶叫が周囲の空気を振るわせた。
 その声には聞き覚えがあった。アライグマくんのお父さんの声だ。姿が全然違ってしまっているが、あの巨人はアライグマくんのお父さんなのだ。
 今度は、オオカミさんとアライグマくんのお父さんがケンカをしているのだ。ぼのぼのは周囲を見渡した。ケロロさんもカエルさんもオカリナさんも誰も居ない。ケンカを止められるのは、自分しかいない。
 ぼのぼのは傍に落ちていた袋から、変わった石を取り出した。これを刺せば、ケンカを止められるとてゐさんが言っていたのだ。
 ぼのぼのはオオカミさんたちに歩き出した。瓦礫の間を通り抜けながら、ぼのぼのは一歩一歩近づいていく。
 ぼのぼのに気づいたオオカミさんが駆け寄ってきた。そのすぐ後ろではアライグマくんのお父さんが苦しそうにのたうち回っていた。
 オオカミさんは、ぼのぼのを守るようにパッとアライグマくんのお父さんに向き直った。
 そのオオカミさんの背中に、ぼのぼのは石を突き立てた。
 甲高い声が雨音を切り裂いた。オオカミさんはばたりと倒れて痙攣すると、すぐに動かなくなった。その肢体は見る間にねずみ色に変わり、石のように変わっていく。

「……オオカミさん――?」

 ぼのぼのは戸惑いの声を上げた。ふいに周囲が暗くなったようにぼのぼのは感じた。
 空を見上げたぼのぼのを、アライグマくんのお父さんの右腕が押しつぶした。


0267ひとつ火の粉の雨の中  ◇TPKO6O3QOM 代理投下
垢版 |
2011/04/24(日) 23:42:00.92ID:NhXmoyVT

(三)

 瓦礫を押しのけて、カエルは立ち上がった。体の節々に痛みが走るが、これでも幸運だったと言うべきだろう。
 廊下の窓から見えたのは、こちらに向けて大刀を構えた黒い巨人だった。あんな姿の参加者は載っていなかった為、おそらくはあれが支給品の一つなのだろう。
 とっさに身を投げ出した直後に、光芒が校舎を両断した。
 立ち上がったカエルは、よろめきながら離れていく巨人の後姿だった。巨人には左腕がない。追い討ちを掛ける好機だが、それをなせるだけの準備も余力もカエルには残っていなかった。
 まずは他の四匹の安否の確認だ。一匹はすぐに見つかった。
 自分に似た緑色の足が投げ出されている。その上半身には大きな瓦礫がめり込み、周囲に大きな血だまりを作っていた。確認するまでもない。死んでいる。
 赤いダルマとはやはり知り合いだったらしいが、結局彼がどういった人物なのか、ほとんど知ることは出来なかった。ただ、少なくとも、手当たり次第に襲い掛かるような愚か者ではないらしいが。
 やがて、血にまみれた毛皮と肉の塊を見つけた。青い毛皮の一部がかろうじて見て取れる。ぼのぼのだ。奥歯をかみ締める。ぼのぼのの遺体の傍には、粉々砕かれた石のような物が散らばっていた。
 追悼の祈りを後回しにし、カエルはオカリナとアマテラスの名を呼んだ。
 しばしして、瓦礫の上に丁寧に横たえられたオカリナを見つけた。そっと抱き上げると、しっかりと呼吸しているのが見て取れた。自然と安堵の吐息が漏れる。
 ふと、カエルは周囲が今まで以上に暗いことに気づいた。太陽の姿が見えないのは相変わらずだが、それにしても暗すぎる。まだ昼過ぎだというのに、黄昏時のような按配だ。
 カエルはオカリナを抱きかかえると、アマテラスを探して移動を開始した。

 
 




【ケロロ軍曹@ケロロ軍曹 死亡】
【アマテラス@大神 死亡】
【ぼのぼの@ぼのぼの 死亡】
【残り 16匹】



【C-4/一日目/午後】

【オカリナ@ハーメルンのバイオリン弾き】
【状態】魔力消費(中〜大)、疲労(大)、気絶中
【装備】なし
【道具】支給品一式、ミニ八卦炉@東方project、世界の民話、治療用の薬各種、不明支給品0〜2個(治療道具ではない)
【思考】
基本:ゲームには載らない。キュウビを倒す……だけどもし――。
1:????????????
2:できるならミニ八卦炉は使いたくない
※参戦時期は死亡後です。
※自分の制限について勘付きました。
※人間と関係ない参加者もいるのではと思っています。
※ケットシーを危険な獣と判断しました。
※治療用の薬の内訳は後の書き手にお任せします。
※オカリナの考察
無意味に思えるアイテムを混ぜて、誰かが参加者に何かを知らせようとしているのではないか。
キュウビ一味は一枚岩ではない。
縁者を人質にとり、殺し合いを強制してくるのではないか。全員ではないにしても、部外者が拘束されている。
※プックルの反論
呪法=殺し合いとは限らない
殺し合いは目くらましかも
※カエル、ケロロとある程度情報交換しました。
※それぞれが違う世界から呼ばれたと気付きました。
※ディアルガ、パルキア、セレビィ等のポケモンや、妖精等の次元や時空を操る存在がキュウビによって捕らえられているかもしれないと考えています。
※この会場にいる獣達は全員人間とかかわりをもつ者だと勘違いしています。
※その間違えた前提を元にキュウビの呪法が人間に対してつかわれるものだと推測しています。
※『世界の民話』に書かれている物語が異世界で実際に起きた出来事なのではと疑っています。ハクオロ@うたわれるもの、ラヴォス@クロノトリガー、野原一家@クレヨンしんちゃん、主人公@ドラゴンクエスト5について書かれていたようです。


0268ひとつ火の粉の雨の中  ◇TPKO6O3QOM 代理投下
垢版 |
2011/04/24(日) 23:44:47.27ID:NhXmoyVT

【カエル@クロノトリガー】
【状態】:複数の擦り傷・打撲、疲労(小)、魔力消費(小〜中)、びしょ濡れ
【装備】:なんでも切れる剣@サイボーグクロちゃん、マントなし
【所持品】:支給品一式(食料:パンと蛙の腿肉料理)、モンスターボール@ポケットモンスター、しらたま@ポケットモンスター 、銀の不明支給品(0〜2、確認済)、石火矢の弾丸と火薬の予備×9@もののけ姫 、
マハラギストーン×3@真・女神転生if、風雲再起の不明支給品(0〜2、確認済)、参加者詳細名簿、ペット・ショップの不明支給品(1〜3、確認済)、スピーダー@ポケットモンスター×6、ユーノのメモ
【思考】
基本:キュウビに対抗し、殺し合いと呪法を阻止する
1:アマテラスを探す。
2:ニャースの捜索。
3:ギロロにあったら話をつけて誤解を解く。
4:余裕があれば鍾乳洞内を調べる。
※オカリナ、ケロロとある程度情報交換しました。
※異世界から参加者は集められたという説を知りました。
※参加者は同一世界の違う時間軸から集められたと考えています。
※天容の笛@忍ペンまん丸、しらたま@ポケットモンスターとパルキア@ポケットモンスターの存在を知りました。
※ペット・ショップ、ミュウツー、クロコダイン、クロ、チョッパー、ケットシー、因幡てゐ、ラルク、ムックルを危険ないし要警戒と認識しました。
※ログハウスの下にある鍾乳洞は抜け道のようなものと推測しています。
※死者の読み上げが、死亡した順番であることに気付きました。
※アマテラスがオープニングの時点で意思疎通が出来なかったことを知っています。
※制限に気が付きました。
※回復魔法の効果の発現が遅くなっています。しかし、本人は回復魔法の効果がなくなっているかもと思っています。
※アマテラスが死んだことに気づいていません。


【アライグマの父@ぼのぼの】
【状態】:頭部に怪我、尻尾に切創(止血)、疲労(中)、軽度の貧血、激痛による錯乱、アヴ・カムゥ内
【装備】:アヴ・カムゥ@うたわれるもの、アヴ・カムゥ専用の長刀@うたわれるもの、デイバッグ
【所持品】:地図、空飛ぶ靴@DQ5、魔除けの札@大神
【思考】
基本:全員を始末して、仇を取る。
1:??????????
【備考】
※札は少し湿っています。
※アイテムの説明は読んでいません。
※イギーと情報交換をしました。
※空飛ぶ靴は遊園地の入り口前が指定されていました。
※B-1からA-2の遊園地入り口までの間にアライグマの父の支給品が落ちている可能性があります。
※空を飛んだ時、月が地上よりも大きく見える気がしました。
※ボニーの考察は獣の卍参照。
※デイバッグは、コクピット内のアライグマの父が背負っています。
※第二回放送の内容を、アライグマが死んだこと以外聞いていません。
※アヴ・カムゥの左腕がなくなっています。

0269ひとつ火の粉の雨の中  ◇TPKO6O3QOM 代理投下
垢版 |
2011/04/24(日) 23:46:53.18ID:NhXmoyVT
以上で代理投下を終了します。

>>265>>268
にて長すぎる行があるため書き込めなかったので、勝手ながら適当な箇所で改行しました。
書き手氏の意向では無い箇所での改行かと思われますので、wiki収録時に修正して置いてください。
0270 ◆TPKO6O3QOM
垢版 |
2011/04/24(日) 23:58:37.61ID:/tOdnhNY
代理投下ありがとうございます。
お手数かけてしまい、申し訳ありません
0271名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2011/05/03(火) 08:13:01.57ID:1m85voIa
保守
0272名無しさん@お腹いっぱい
垢版 |
2011/05/08(日) 08:27:35.05ID:qKCb3xXT
保守
0273名無しさん@お腹いっぱい
垢版 |
2011/05/19(木) 21:19:52.24ID:COJRV4Eu
保守
0274名無しさん@お腹いっぱい
垢版 |
2011/05/23(月) 22:48:07.93ID:mId2lqnw
保守
0275名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2011/05/26(木) 20:49:27.01ID:aCenevy6
ザフィーラの項目、乙です
0276名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2011/06/04(土) 09:25:16.43ID:uqMu/xOE
保守
0285名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2012/02/18(土) 12:19:11.58ID:s4aFRtN9
個人的な意見だけど、企画自体をやり直した方がいいような気がする。

一日目で残り16匹はきついかと。このまま完結出来るならそれに越した事は無いけど、停滞してる以上やり直しも考えた方がいいかな、と
0286名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2012/02/18(土) 12:56:47.22ID:NGA79XCP
>>284
大丈夫。ゲリラも可だよ。


>>285
やり直すってのは、参加者自体はそのまんまでってこと?
初期から携わってた身から言わせてもらうと、それは無意味だと思うよ。
人なんて最初からほとんどいなかったんだから。
新規参加者で舞台も全部ひっくるめてやり直しってのなら、リスタートなんて言わず、
新ロワとして始めた方がずっといい。
それも俺ロワみたいな形態のが、テーマも参加者も統一出来ていいと思うよ。
0287284
垢版 |
2012/02/18(土) 13:33:02.79ID:dL/V2fr8
>>285
>>286氏と同意見ですかね。
停滞は確かですが、ここはここで残して別途で新しい企画を立ち上げるという形の方が、色々と都合は良さそうに思えます。
やり直し(リスタートの意味だと思いますが)をしまうとなると、ここまで書かれた作品が全て無かった事になるわけで。
WIKIは残るとしても、未完を確定させてしまう事になりますし、それはちょっと勿体無いかなあと思うので。

>>286
返答どうもです。
0288285
垢版 |
2012/02/18(土) 14:01:38.42ID:s4aFRtN9
>>286
>>287
ご意見ありがとうございます。
>>ここまで書かれた作品が全て無かった事に
確かにそうですね。これまでの書き手氏の努力を考えると、リスタートというのは少し浅はかでした。私としてもここのSSは質が高いものが多いのでこのまま続けていきたいとは思うのですが…

>>新ロワとして始めた方がずっといい。
現在テストしたらばで議論中のギャルゲロワ2ndの様に投票段階からの復活orやり直しということでしょうか?
いずれにしても新ロワとして再開した方が良いかどうか皆様のご返答をいただきたいと思います。
0289名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2012/02/18(土) 18:21:11.20ID:NGA79XCP
>>288
もし投下をして頂けるなら、これ以上嬉しいことはないですよ。
一人だけで投下って状況に気持ちが萎えてしまっていることが大きいですから。
だけど、新ロワで始めるというのであれば、競合するって訳じゃあございませんし(人いないし)、
止める気はありませんよ。
ただ、パロロワ系掲示板で呼びかけるより、モフモフ系好きのコミュニティで提案する方が
内容も参加作品も意に沿ったものになると思います。pixivとかの繋がりとかで。
285氏の好みによるものではありますけどね。
0290287
垢版 |
2012/02/18(土) 22:27:30.85ID:dL/V2fr8
>>288
上での書き込みと同じ様な内容になってしまいますが、
立ち上げるのは、こことは無関係の新ロワ、と割り切って考えた方がよろしいかと思います。
その方法では、ここの停滞を解決出来るわけではありませんが、それはリスタートでも然程変わらないと思いますし。
であれば、リスタートよりは新ロワを立ち上げるという形の方が、ローリスクハイリターンかと。
0291285
垢版 |
2012/02/19(日) 16:49:00.89ID:1T+Em+y2
そうですね…やはり新ロワを立ち上げるというのは時期尚早だったような気がしまします。
リスタートというのもこのロワを停滞させたままにしたくないと自分なりに考えた打開策ですので。

現状では完結出来るかどうか分かりませんが、出来るところまで投下していきたいというのが私なりの結論です。
先走ってしまい申し訳ありませんでした。
0292名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2012/02/19(日) 17:52:05.60ID:YhZNdW6Y
>>291
了解ですー。
ご参加のほど、鬼瓦のごとく堅ぁくお待ちしております。
こちらも書いていくつもりはありますので。
0294未完成の自画像  ◆ZFT/mmE33.
垢版 |
2012/04/26(木) 22:49:29.76ID:pJyc8Otd
階段側から差し込む非常灯の僅かな灯りが、今の地下室内を照らす唯一の光源だった。
壁一面。天井一面。室内は床を除き、辺り一面に満遍なく杭が突き刺さっていた。
天井に備え付けられていた筈の蛍光灯は、全てが割れ落ちてしまっている。それも杭が原因なのは一目瞭然だ。
そんな荒れ果てた室内の中で、ラルクはゆっくりと首を巡らせた。
この部屋の出入り口は、二つ。
階段側の入り口の扉は、変形して床に投げ出されていた。その様はこの屋敷の玄関の扉と同様。ラルクが追跡していた犬に破られたのだろうか。
奥側の扉は室外へと弾き飛ばされていたが、こちらは天井や壁と同じく杭により破壊された痕跡が見られた。
そう言えば、あの犬も杭にやられたようだ。それは、犬の側の壁に突き刺さっていた杭に肉片の一部が付着していた事から窺える。
床に撒き散らかされている蛍光灯の破片を踏み砕きながら、ラルクはぱっくんトカゲの仲間らしき者の死骸まで歩を進めた。
状態を確認すれば、この獣人は身体に幾らかの裂傷があるものの、致命傷は喉元の傷だと一目で分かる。
推察するに、まずこの獣人がある程度の抵抗の末に犬に咬み殺され、次に襲われたペンギンが杭を操り犬を始末した、といったところか。
あの振動は、部屋中に杭が突き刺さった際の衝撃という訳だ。

側に落ちているバイオリンを拾い上げ、ラルクはぱっくんトカゲに抱きかかえられているペンギンを観察するように伺い見る。
杭を操る。というよりは、ジンの力、或いはドリアードの力。どちらかの属性の魔法で杭を吹き飛ばしたと考える方が妥当か。
なるほど、これ程の物量を纏めて吹き飛ばせる魔力を持つのだとしたら、確かに侮れない存在だ。使い方次第では相当強力な戦力になりそうだ。
しかしこのペンギンは、ラルクが見つけた時には気を失っていた。犬に負わされたと思える程の外傷はどこにも見られなかったのにも関わらず、だ。
理由として考えられるのは――――力の使い過ぎというセンが濃厚だろうか。
もしそうだとすればペンギンは、力の加減も出来ない未熟者となる。更に言えば、仲間の危機に何の手助けもしなかった臆病者だ。
つまり現時点ではこの子供は、強力な戦力にも成り得るかもしれないが、足手纏いとなる可能性の方が遥かに高い、という事。ならば、生かすべきか。殺すべきか――――。
警戒した表情でこちらを睨むぱっくんトカゲと、目が合った。

(……とりあえず、保留にするか)

無難な結論を出し、ラルクは奥の出口に視線を向けた。
流石に階段からの薄明かりではそちらまでは殆ど届かず、奥は暗闇に包まれている。
狼系の獣人で夜目がそれなりに効くラルクの眼を持ってしても見通す事は出来ない。それ程の漆黒の闇だ。
出口の前まで身体を運ぶと、空気の流れを全身に感じた。
犬がこの地下室までの扉を破壊した為、上階からの空気が階段を通って地下室内に流れ込み、この出口から抜けているのだろう。
空気の通り道となっている。それはつまり、この闇の先が外に通じている事の証明。
ラルクは闇に一歩、足を踏み入れた。
と、同時に、幾つもの小さな炎が周囲に灯り、辺りの様相が鮮明に浮かび上がった。
壁に設置されていた松明が点灯したのだ。人間が入り込んだ際に反応する仕掛けという事か。
そこは、洞穴のようだった。とは言え、大自然の創り上げた天然ものではなく、人の手が加えられた形跡がある。
洞穴の内部は先の様子が窺い知れない程に、広く、長い。
非常事態に備えた抜け道として作られたのだとすれば、屋敷の主は、どうやら敵の多い人物のようだ。
この先が何処に通じているのかは興味を惹かれるが、これも今は保留で良い。

地下室内から、パラパラと破片が落ちてくる音が耳に届いた。
身体を翻し、ラルクは室内に戻る。それに合わせて、洞穴の松明は自動的に消灯した。
灯りに慣れた眼が闇に順応するまで、数瞬。やがて闇の中に陰が浮かび上がると、ラルクは天井を見上げた。
視認までは出来ないが、再び、破片が舞い落ちる音が鳴る。
杭だらけの天井。ともすれば、ここは崩れ落ちる危険性もある。
この場で何が起こったのかは大体の推測が出来た。これ以上の長居は、無用だ。
未だに睨みつけてくるぱっくんトカゲに向き直し、ラルクは口を開いた。

「お前には幾つか聞きたい事がある」
「……俺の方もだ。お前、一体――――」
「話は上に戻ってからだ。崩落で奈落に逆戻りなどという、くだらん死に方は御免だからな」

言葉を遮り移動を促すが、ぱっくんトカゲは動こうとしない。
フン、と一つ鼻を鳴らし、ラルクは先に階段へと戻る。
後ろから、ぱっくんトカゲのついて来る気配が漸く聞こえた。
0295未完成の自画像  ◆ZFT/mmE33.
垢版 |
2012/04/26(木) 22:50:45.75ID:pJyc8Otd
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


通り雨であって欲しい。
ムックルのその切実な願いも虚しく、雨脚は時間と共に強くなる一方だった。
北から吹く強風に乗った、横殴りの大雨は、駆ける躯体を激しく打ちつけ続けていた。
幾度と無く立ち止まり、水滴を飛ばそうと身体を震わせるものの、この暴風雨の中でそれは一時凌ぎにもならない。
足を動かし始めればすぐに身体は重くなった。
限界まで雨水を吸った白毛が肌にへばり付いた。水の重みが全身にのしかかり、体力の消耗が激しさを増していった。
濡れた身体に吹きつける風が、体温を奪い続けた。走っても走っても、身体は温まらなかった。

こんなの、つまらない。

たまらなく不快な感触が重なる中で、ムックルはとにかく走った。雨宿りの出来る場所を求めて走り続けた。
そうして彼が足を止めたのが、切り立った崖の下だった。
高くそびえ立つ崖は北からの雨風を遮ってくれる。細かな雨粒はともかく、豪雨を凌ぐならばうってつけの場所だ。
ポタポタと身体中から垂れ落ちる水滴を、ムックルはもう一度身を震わせて辺りに飛ばす。
とりあえずこの崖下ならば、風向きが変わらぬ限りは再び濡れ鼠に戻る心配はない。しばらくはこの辺りで身を休めていても良いかもしれない。

ムックルはその場にしゃがみ込み、後ろ脚をピンと伸ばすと、丹念にそれを舐め始めた。
みすぼらしく変わり果ててしまった外見を整えようと、ザリザリと音を立てながら顔と舌を動かしていく。
乱れた毛並みをある程度まで繕い終えれば、次の部位だ。
大腿の内側。外側。前脚。脇腹。お腹。お尻や尻尾も忘れない。しばらくの間一心不乱に舐め回し、とにかく毛並みを整える。
そして全身を気の済むまで取り繕ったところで、消耗した体力が胃袋に訴えかけてきた。
最後に食べたのは小さな獣の半身だけだった事を思い出す。育ち盛りの小虎の胃がそれで満足出来る筈もない。
立ち上がり、辺りの様子を窺うムックルだったが、しかし、何の気配も捉えられない。
見える範囲に獲物の姿は無く、物音も臭いも完全に雨風に掻き消されてしまっている。
已む無く、ムックルは獲物を求めてその場から動き始めた。もう一度雨の中に入る気は起こらない故、移動するのは崖沿いだ。
雨に打たれぬよう、崖下をまっすぐと進む事しばし。やがてムックルが見つけたのは、崖に開いた一つの横穴だった。
獲物がいるかもしれない。中に向けて通常の虎の倍以上もある鼻を動かせば、極僅かながらも嗅ぎ取れたのは血の臭い。
ご飯の臭いだ――――本能に導かれるままに洞窟内へと入り込む。
と、同時に、幾つもの小さな炎が周囲に灯り、辺りの様相が鮮明に浮かび上がった。
唐突に点灯した炎に驚きの色を浮かべるも、ムックルはすぐに気を取り直す。
驚いている場合ではない。今優先すべきは獲物の方だ。
火の臭いは嫌いだが、しかし、空腹と、雨に打たれる程ではない。
獲物の探しにくい土砂降りの外へ出るよりは、獲物の臭いのする火の側の方がまだマシだ。
それにこの火の温もりは、彼の冷えた身体にはむしろ心地良さすら覚えさせてくれていた。湿り臭さが、薄まっていく。

一歩進むに連れ、仄かにだが濃さを増す血の臭いに、胃袋が刺激される。
鼻をひくつかせ、ムックルは洞窟の奥へ奥へと入り込んでいった。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
0296未完成の自画像  ◆ZFT/mmE33.
垢版 |
2012/04/26(木) 22:53:00.33ID:pJyc8Otd
何かの前兆か。それとも、既に何かが起きてしまっているのかもしれない。
エントランスホールの中央で二つの荷物――――自分とクズリの物だ――――を広げ、一つにまとめる作業の途中。
無意識の内に幾度となく、窓の外を気にして顔を向けてしまうイカルゴの目に映る景色は、何度見直してもやはり薄闇だった。
前触れは何も無かった。時間帯としてはまだ昼間。それなのに、辺りは突然に、陽が沈んでしまったかのような暗さに包まれた。
天候が荒れ始めた訳でも、暗雲が湧き出した訳でもない。ホールの窓ガラスを喧しく叩く強風と雨脚は、変化の前後でもその勢いを増してはいない。
ならば、何が起きた。この殺し合いの舞台の中で、何が変わった。
キュウビはこの殺し合いを呪法と言っていた。
イカルゴにその手の知識は無いが、言葉のイメージは何となくだが想像出来る。例えば一回目の放送時にこの空の変化も呪法に因るものだとしたら、キュウビの目的は順調に段階を進めているという事になるのだろう。
では、このまま呪法とやらが完成してしまえば、一体何が起こってしまうのか――――。
不安を掻き立てる演出としては、この暗闇は最適だった。まるで、空を包む闇が胸中に侵食してきたかのように、イカルゴの中には漠然とした感情が広がっていたが、それを拭い落とす術は無く。
イカルゴはトカゲに覆わせた蓑の中で諦めの息を吐き出すと、窓のすぐ側で外の様子を眺めている狼男に目を移した。

ラルク。腕を組んだ体勢で壁にもたれ掛かっている狼男は、そう名乗った。オーボウから聞いていた通りの名だ。
外の変化も気にはなるが、当座の問題は寧ろこちらの狼男の方だ。イカルゴは今、この狼男の扱いをどうするべきか、決めあぐねているのだ。
地下室から上がってきた後の二人の情報交換は、互いに対する警戒心から来る緊張感とは裏腹に終始淡々と行われた。
ラルクはイカルゴの質問には全て澱みなく答えた。
殺し合いに乗っているのかと問えば、人を選んでいるだけだと返し。
これまでに出会ったに参加者を聞けば、一人一人思い返すように名前を紡ぎ。
彼自身にとっては不利益にしかならない行動――――オーボウやウマゴンを殺した事も、躊躇わずに答えた。イカルゴを彼らの仲間だと確認した上でだ。
それらの態度には、とても嘘偽りがあるとは思えなかった。
もしもラルクにイカルゴを騙す気があるのならば、最低限オーボウ達を殺した事は伏せる筈だろう。
先程まん丸を殺害しようとした時もそうだ。強行しようと思えば、出来た筈なのだ。
それらをしなかったという事は、ラルクは、単純に殺し合いに乗っている訳ではない、との理屈にはなる。
少なくとも、相手の裏をかくような駆け引きや騙し合い等の頭脳戦で戦うタイプには見えない。言ってみればゴンやナックル達と近いだろうか。あの二人と同じく、不器用で、愚直な性格。
だとすると、彼も最終的には打倒キュウビを目指している一人だ。ザフィーラの知り合いであるユーノという人物とは共闘もしたというのだから、協力は出来る。その筈なのだが――――。

後ろで横たわっているまん丸は、あれから意識が戻らないままだ。
ラルクが不器用で愚直な性格だというのなら。足手纏いは切り捨てる。その言葉も本意からのものなのだろう。
イカルゴもこれまでは、情などまず持ち合わせていないキメラアント達と仲間として行動を共にしてきた。
最優先にすべきは自分の命であり、自分や他の誰かの身を危険に晒す弱者や足手纏いは必要ない、との理屈は、決して彼の好むところではないが、身に沁みて理解している。
いや、別にそれはキメラアントに限った事では無い。意味合いこそ違えど、状況によっては人間達でも同じような選択をする。
0297名無しさん@お腹いっぱい。
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2012/04/26(木) 22:53:04.61ID:FLxAt/3t
sien
0298未完成の自画像  ◆ZFT/mmE33.
垢版 |
2012/04/26(木) 22:54:07.22ID:pJyc8Otd
例えば、キルア達王討伐隊でもそう。
任務の遂行中で誰かが動けなくなる程の怪我を負ったとしたら。
オーラを使い果たして立ち上がる事も出来なくなったら。
仲間達だけでなく、催眠をかけられている人民の行列に何かしらの危険が及びかけたとしたら。
見捨てろと明言した者は誰一人いなかったが、個々の役割を忠実に守る事は何度も念を押され、約束させられた。
つまりは、誰かを助ける事で己の役割を果たせなくなってしまうのならば。誰かが足手纏いと成り果ててしまったのならば。迷わず見捨てろという事だ。
無論それは王討伐=人類の未来という大義の為の話であり、訳も分からず殺し合いの場に放り込まれた者に適用出来る理屈では無いのかもしれないが、大を生かす為に小を殺すという点ではあちらもこちらも状況は然程変わらない。
終わりは唐突に、理不尽に訪れるものだという事は、NGLでキメラアントの大群に襲われた時に思い知らされた。力の無い弱者はただ死ぬしか無いという事も。
生物の本能としても、キュウビ討伐の戦いとしても、自然界のルールとしても、大局を見れば他者を切り捨てる事を否定しきるだけの理由は有る筈がないのだ。
故に、イカルゴにはラルクの言い分は否定出来ない。説得の自信も、交渉の材料も無い。
だが――――イカルゴのプライドと信念がそれを認めたくないのもまた事実。理屈と感情の板挟み、物語ではありふれた話だ。
せめてラルクが殺し合いに乗っていてくれていたのならば、例え殺される事になろうとも全力で戦えるのだが、生憎とそうではない。
結局のところ、協力か。それとも敵対か。どちらを選べば良いのか分からずに今に至る。

(キルアならこんな時どうすんだろーな……)

葛藤の中、イカルゴは作業の手を止めていた事に気付き、億劫そうにそれを再開した――――その時だった。
ラルクが弾かれたように振り返る気配が目の端に入った。
反射的にイカルゴが動いてしまうその直前――――突然に現れた何者かの気配を後方に感じた。

敵襲。

気付いた瞬間、すかさずイカルゴは後ろのまん丸に向け、トカゲの身体を操っていた。
振り返りがてら、侵入者の姿を視認する。そいつは、これまで見た事も無い程に巨大な白虎だった。
位置から察するに、あの地下への通路から飛び出してきたらしい。抜け道から入り込んできたか。迂闊さを呪うも、あの道を塞ぐ手立ても監視する人手も無かったのも事実。ミスと断ずる事は出来ないし、引きずっている場合ではない。

白虎は恐ろしい早さでイカルゴに迫っていた。
まん丸までの距離はたったの数歩。そこまでは確実に自分が早い。
問題は、まん丸を抱え上げてから、次のリアクションが取れるかどうか。それもギリギリだが、自分の方が早い――――。

その計算は、白虎の次の動作に完全に狂わされた。白虎は後ろ脚で一際強く床を蹴り、地面を滑るかのように躍りかかって来たのだ。
咄嗟にイカルゴはまん丸を抱え上げる事を中断し、まん丸に舌を伸ばしながら横に跳んだ。
メレオロン並の長く器用な舌は、脚力同様にこのトカゲの長所。
長々と伸ばされた舌が小柄なペンギンを絡め取り、引き戻す。それは僅かな差ではあったが、白虎が左前肢を叩きつけるよりも先を取った。
だが、白虎は着地すると同時に軽やかに身を捻り、巨体に似合わぬ機敏な動作でまっすぐにイカルゴを追尾する。
その、顔面――――イカルゴは横に跳びながら、既にトカゲの右腕から突き出した照準を敵に合わせ、己の頭を膨らませていた。

(蚤弾(フリーダム)!)

育て上げた蚤が空気圧に押され、銃口から勢い良く射出された。
この至近距離。そして、巨大であろうが所詮は虎だ。いくら俊敏であろうとも、彼の蚤弾より速くは動けない。
エントランスホール内に硬い岩盤にでもぶち当たったかのような激突音が響いた。
蚤弾は狙い通り、白虎の眉間に着弾した。仰け反りを見せ、巨体はその場に崩れ落ちる――――筈だったのだが。

「っ!?」

白虎の顔は確かに弾かれはしたが、それはほんの僅かな時間の事。瞳に怒りを宿し、すぐに体勢を立て直して三度目の突進を見せた。
イカルゴの顔が、焦りで歪んだ。
蚤弾には、マガジンは無い。一発撃つ毎にリロードを繰り返さなくてならないのだ。その暇が、今は無い。
離した距離は、瞬き一つの間で呆気無く詰められた。
次の瞬間に奮われた巨大な豪腕を、イカルゴの目が捉える事は無かった。
トカゲの身体は身動き一つ取る事も無く、叩き潰されていた――――。
0299未完成の自画像  ◆ZFT/mmE33.
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2012/04/26(木) 22:55:11.60ID:pJyc8Otd
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


結局何の役にも立たなかったか。
ぱっくんトカゲの力を試す意味合いも含めて、事の顛末を冷えた目で眺めていたラルクがその感想を抱くのと、ぱっくんトカゲの陰からタコのような軟体動物が飛び出したのは、ほぼ同時だった。
数瞬して、ラルクは気付く。あれがオーボウの言っていた、殺した筈のヨッシーの「動いた理由」なのだと。
教会で言葉を交わした時とはまるで別人と変わっていたヨッシーは、自身に都合の悪い質問になると答えを濁すだけだった。
何故生きているのか。その問いにもヨッシーは沈黙を返したのみ。
その為、動いている訳については幾つかの推測は立てたものの確信までは至らなかったが、これで得心がいった。単純といえば単純な話だ。あのタコが死体に取り憑いて操っていたのだ。
魔術の類での遠隔操作ではなく、直接死体に取り憑いて操る能力を持つタコ。――――となれば、多少話は変わってくる。

タコはペンギンの子供を頭の上に掲げ、襲撃者の白虎から距離を取ろうと必死に数本の触腕を足替わりに動かしていた。
ぱっくんトカゲの身体を一撃で肉塊へと戻した白虎もまたその存在に気付き、不可思議そうな顔でトカゲとタコを見比べていた。が、すぐに一層目を輝かせてタコへの追撃に移った。
先程触腕の一本から撃ち出した技――雪原で頭部を撃ち抜いたのはあれか――も白虎には効いた様子は見られない。あのペンギンを囮にでも使わぬ限り、今度こそタコは逃げ切れはしないだろう。
ラルクの予想通り、間もなくタコは壁際に追い詰められた。それは、ラルクにとってはチャンスでもある。
逃げ場の無いタコに、白虎は容赦無く爪を振るわんとする。
極力敵意を殺し、白虎の視界に入らぬよう位置取りを意識していたラルクは、そのギリギリのタイミングを見計らい、身体を瞬発させていた。
犬の荷物に入っていた二つのまんまるドロップのおかげで、身体は今までよりも大分軽い。右手の中の短剣をくるりと回し、逆手に構える。
白虎がこちらの気配に気付いたが、遅い。タコにその爪が届くよりも早く。白虎が回避するよりも早く。ラルクは白虎の背中に飛び乗っていた。
勢いのついたラルクの全体重がぶつかり流石の巨体もよろめくが、白虎は踏ん張りを効かせ、何とか倒れまいとする。
その、躯体の硬直した一瞬の隙。タコが触腕から何かを撃ち出し――恐らくは空気――上方へと飛ぶのを尻目に、ラルクは構えたナイフを躊躇わずに襟首に振り下ろした。

だがその一振りが奏でたものは、ラルクの望んだ音ではなかった。
響いたのは、まるで石畳にナイフを突き立てたかのような低く鈍い音。掌に、強烈な痺れが走った。
刃は肉を貫いてはいない。この白虎、単純にタフだというだけではない。体毛の下に何か鎧でも仕込んでいるのか、掠り傷一つ負わせる事すら叶わなかった。

(まさかこいつもゴーレムじゃあるまいな!?)

しかし、虎型のゴーレムなど聞いた事も無い。尤も、それを言うならば猫も同じだが。
ラルクの下で、白虎が大きく躯体を揺るがせた。振り落とす気だ。

「チッ!」

刃が通らぬ以上、乗り続ける事は無意味。完全にバランスを崩されるより先に、ラルクは白虎から飛び退いた。
数メートル程離れた場所に着地するラルクへとその躯体を向けた白虎は、歪めた口元から銀色の牙を覗かせ、鋭い眼光をぶつけてきた。今ので完全に標的を変更したようだ。
元の標的は――白虎の姿を常に意識しつつ素早く辺りに視線を回すと――天井だ。
タコはペンギンを抱えたまま、その吸盤で天井に張り付いていた。
ペンギンも漸く目覚めたらしく、タコと何やら言葉をかわしているが、どちらも手助けに来る気配は無い。
ペンギンが未だ身体を動かす事までは出来ないのか。或いは、今度はこちらが囮に使われる番か。
0300未完成の自画像  ◆ZFT/mmE33.
垢版 |
2012/04/26(木) 22:55:56.44ID:pJyc8Otd
(……まあ、どちらでも良い)

こうなれば、実力の分からぬ者に下手に動かれるよりは、一人の方が戦い易い。少なくとも、敵の行動が読み易くなるのは確かだ。
この白虎が、ラルクだけに向かって来ると言うならば――――。

今にも飛びかからんとする獣の眼光を、ラルクは真正面から受け止めた。
獣の一挙一動、見逃すまいと、集中力を高めていく。
表から吹き込む暴風の鳴き声も、震え止まぬ窓の音も、睨み合いの中から存在を消して行く。
残るものは、対峙する獣の姿と唸り声。ただ、それだけ。

先に動きを見せたのは白虎の方だった。
瞬間で身を伏せるその構えは、猫科動物の狩りの予備動作。
白虎の構えに合わせて、ラルクは――――身体を、翻していた。完全に白虎に背中を向け、走り出したのだ。
見据えるは、ドアが壊れっぱなしの玄関口。
白虎が反射的に駆け出したのが、後ろを振り向かずとも分かった。
向かい風の強風に煽られ、脚が鈍る。その間にも白虎が距離を詰めてくる。二足歩行と四足獣。空気抵抗の差が、如実に現れる。
それでもラルクは一切後ろを見る事無く、ただ外へ向かって身体を運んだ。
玄関口を抜け、廂の下に出れば、降り注ぐ大雨がラルクの身体を撃ち付ける。白虎の気配はすぐ側にまで迫っていた。

次の一歩で、追いつかれる。

そう確信を抱いていながら、ラルクはその一歩を踏み出した。
咆哮と共に、背後の殺気が増した。

ラルクの身体は確実に白虎の射程内に在った。そして、白い前脚が一筋の閃光を作った。
その一閃は、確かにラルクの紅い鎧ごと、背中を切り裂いていた。
ぱっくんトカゲ同様、狼男の身体も叩き潰した――――恐らく白虎はそう思った筈だ。

だが、その思考はすぐに驚愕へと擦り変わっただろう。それは、白虎の表情にありありと浮かび上がっていた。
白虎が確かに捉えた筈のラルクの身体は、今もそこにあった。白虎と重なって、今もその場所に存在していた。
すり抜ける肉体。その謎を、白虎が解き明かす事は無い。いや、身を持って解き明かしたとも言えるのかもしれないが。

直後、豪邸の前に爆音が鳴り響いた。
白虎と重なるラルクの身体が唐突に火柱と成り変わり、その巨体を高々と打ち上げたのだ。

地閃殺――――創り出した分身より立ち昇る爆発で敵を攻撃する、ラルク独自の奥義。

屋敷の玄関前に大量の砂埃が一瞬にして広がった。その中から、白虎の巨体が数メートル上空に舞い上がった。
とは言え、ラルクもこれで終わるとは思っていない。
白虎の身体能力は尋常では無い。ラルクが一撃で失神させられた程の技に耐え、かつ、刃を通さぬ硬さを誇る。これだけで死ぬとは到底思えない。
――――地閃殺は、前奏曲に過ぎない。
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