関西電力、使用済みMOX燃料「県外搬出」の奇策
6/12(月) 23:35配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/edeab86d473d903b0f1009f16d95a0dcf18bd1a7

国と電気事業連合会が目指す原子力発電所の使用済みプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の再処理に向けた実証実験で、関西電力が福井県内の原発の使用済み核燃料を2020年代後半にフランスへ搬出することになった。
関電は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設を今年末までに県外選定する約束を守れなかった場合の原発停止を免れるとの認識だ。ただ、核燃料を継続的に搬出できるかは不透明で、「ウルトラC」ともいえる解決策に地元の理解が得られるか疑問はぬぐえない。

使用済み燃料を処理して再利用する「核燃料サイクル」は国の原子力政策の柱。21年10月に閣議決定した第6次エネルギー基本計画は、使用済みMOX燃料の処理・処分について「30年代後半の技術確立をめどに研究開発に取り組む」とした。

一方で、中間貯蔵施設の選定問題は関電に黒雲のようにのしかかってきた。
これまでも、青森県むつ市の他社施設を共同利用する案が浮上したものの、むつ市の猛反発を受けた経緯もある。今回、電事連の実証実験で使用済みMOX燃料を搬出する役割を担うことで、意外なところに打開の糸口を見出したといえる。

ただ、懸念がすぐに解消するわけではない。電事連の計画では、使用済みMOX燃料は仏オラノ社の工場で30年代初頭に再処理の実証実験を行うが、世界最先端の技術で、現時点でオラノ社も使用済みMOX燃料の再処理を実用化するに至っていない状態だ。

また、関電は廃炉を決めた原発を除く原発7基で、年約130トンの使用済み核燃料が発生し、敷地内のプールで貯蔵しているという。
約5〜7年で満杯になる計算で、関電の計画では「30年ごろに使用済み核燃料の中間貯蔵を2千トン規模で操業開始」としている。森望社長は福井県の杉本達治知事との面談で「今回の搬出だけでは不十分。あらゆる可能性を追求する」とも述べた。

長期的に燃料を搬出する絵はまだ描けていない。県側の理解を得るために、関電には引き続き具体的な方策を示す取り組みが求められる。(牛島要平)