午前4時、また今日も目が覚めてしまった
昔の習慣がなかなか抜けない
俺は10年も新聞配達をしてきたからだ
後1時間、起きるのが遅くても良いのだが、4時きっかりに脳が覚醒してしまう
しかし、この習慣のおかげでいつも朝のニュースチェックを十分に行えるため、悪いことでもないように思えた
朝食のトーストを食べながら、インスタントコーヒーを飲んでいると玄関からコトンと音がした
俺を散々いじめた元同僚が今日も俺にニュースを運んできた音だ
この音を聞く度に、俺はもう二度とあの生活には戻るまいという決意を新たにできる
電子書籍で新聞を読む人が大勢となった時代にもかかわらず、俺はこの音を聞くためだけに紙の新聞をとり続けているのだ
コーヒーカップを置き、玄関へ向かうと、いつもの様にポストに新聞が差し込まれていた
新聞を手に取るとハラリと一枚チラシが落ちた
そこには大きな漢字一文字だけが印刷されていた
「ああ兆、これは兆刊だ!」
新聞暴威の脳内に雷のような衝撃が走り、全身が震えた
裏をめくると走り書きでこう書かれていた
「兆や兆るんや 兆らなければまた朝刊配り こう教育してやった」