スルガ銀シェアハウス所有者、物件放棄で返済免除へ。
2019/11/21 日本経済新聞 朝刊
 スルガ銀行による不正な融資で過大な借り入れをしたシェアハウスの所有者が、物件を手放せば借金の返済を免除されることで
調整が進むことが20日、分かった。同行のシェアハウス融資を巡っては返済に行き詰まる所有者との係争が続く。同行は創業家と
の資本関係を解消したのに続き、不正融資問題を解決して不祥事に区切りを付ける。(関連記事9面に)
 関係者によると、スルガ銀はシェアハウス向けの債権を第三者に売却するための入札手続きを始めたもようだ。投資ファンドなどが
、転売可能な価格を見積もって応札する見通し。シェアハウスの所有者が土地と建物を物納すれば、借金の返済をなくすことを債権
売却の条件としている。
 借り入れには自己責任が伴うものの、スルガ銀による書類の改ざんなどで身の丈を超える借り入れをした人は多い。スルガ銀は被
害者補償の観点で物納を受け入れるようだ。ハウスの運営を続けたい所有者は対象外だ。
 スルガ銀から借り入れた所有者の多くは、返済に行き詰まっている。

スルガ銀、債権放棄へ、新たな収益源課題に。
2019/11/21 日本経済新聞 朝刊
 スルガ銀行がシェアハウス所有者向けの貸出債権を事実上、放棄する方向になった。土地・建物の返却を条件に借金を帳消しに
する異例の対応は、所有者側の弁護団が求めていたものだ。スルガ銀は一連の不正融資に伴い経営陣を刷新し、筆頭株主も創業
家から家電量販大手のノジマに代わった。再建に向けた「負の遺産」の処理にメドがつき、今後は「新たな収益源探し」という課題が
重みを増していく。
(3面参照)
 「シェアハウスと創業家の問題の解決なしにスルガ銀行の再生はない」。今年6月に外部から招かれて副社長に就いた嵯峨行介
氏は7月の日本経済新聞のインタビューでこう述べ、早期解決に取り組む姿勢を強調していた。一連の不正融資を許した統治不全
の象徴とされた創業家による支配については10月、創業家が約13%の全株式をノジマに譲渡し決着した。
 残っていたもう一つの課題が不正融資の発覚の端緒となったシェアハウス問題だった。財務的には約1000億円の最終赤字に
つながった19年3月期に多額の貸倒引当金を計上。手当ては済んでいるものの、借り手との間でのトラブルを抱え続けていては、
再生はおぼつかない。
 昨年10月にスルガ銀に対して6カ月間の一部業務停止を含む業務改善命令を出した金融庁も、創業家との関係解消と「債務者
への適切な対応」を求めていた。シェアハウス問題で異例の対応に踏み切ることで、一連の不祥事に伴う「負の遺産」の処理にメド
をつける格好になるが、新たな収益源探しには課題も多い。
 スルガ銀は14日に、投資用不動産向け融資を引き続き柱に据えつつも新規融資を大幅に絞る計画を公表した。まず身をかがめ
る姿勢を強調したが、その先、どうやって稼いでいくかは見通せていない。再建に向けた本当の難路は、マイナス圏を脱却するこれ
からだ。