そのうちに
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朝 揚げアンパン ウエハース
昼 焼きそば ポテチ 2019-02-26 モルガンS Overweight継続 5400円 → 5300円
2019-02-26 モルガンS Equalweight継続 210円 → 200円
2019-02-08 マッコーリー Neutral継続 180円 → 170円 日銀、統計不正に加担か。黒田総裁が「調査手法見直し」を先導していた事実が判明=今市太郎
https://www.mag2.com/p/money/639594
少なくとも黒田総裁が、国家データ偽装により無理やり創出したインチキ・アベノミクス(別名:ウソノミクス)に猛烈に加担して
片棒を担いでいた共同正犯であることだけは、どうも明確な状況です。これはもはや、言い訳のしようがない状況に陥っている
ように見えます。 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:7bff9ed63942b4cd01610d20b2c06e65) みずほ銀、興銀リースの第三者割当増資を引き受けへ
https://jp.reuters.com/article/mizuho-bank-ibj-leasing-idJPKCN1QF0YI
[東京 26日 ロイター] - みずほフィナンシャルグループ(8411.T)と興銀リース(8425.T)は26日、みずほFG連結子会社の
みずほ銀行が、興銀リースによる635万5000株、約164億円の第三者割当増資をすべて引き受けると発表した。これに
より、最大14.9%の希薄化が生じるとしている。払込期日は3月29日。
みずほ銀は、興銀リースの既存株主から市場外の相対で普通株式265万株も取得し、第3位株主から21.7%を保有する
筆頭株主になる。みずほFGがグループ全体で保有する興銀リース株は22.2%になり、持ち分法適用会社となる予定。
一方、興銀リースは、丸紅(8002.T)の子会社「エムジーリース」の第三者割当増資を引き受けることも発表した。エムジーリー
スは丸紅との折半出資会社になる。 「みずほリース」で銀商連携、丸紅と資本提携発表。
2019/02/27 日本経済新聞 朝刊
みずほフィナンシャルグループ(FG)と丸紅は26日、リース事業の連携に向けた互いの系列会社の資本提携を発表した。みずほは
系列の興銀リースに追加出資して持ち分法適用会社とし、丸紅も約5%を出資。6月をめどに社名を「みずほリース」に変更する。銀行
と商社の連合でシェアリングビジネスなどの新たな法人需要を取り込む。
みずほは興銀リースの第三者割当増資の引き受けなどで、3月中に出資比率を22・2%に引き上げる。取得価格は200億円台の見
込み。興銀リースは株主総会を経て社名を変更し、みずほの中核リース会社となる。みずほは他の系列リースの資本参加も呼びかける。
興銀リースも3月、丸紅子会社のエムジーリース(東京・千代田)の株式50%を約87億円で取得。それぞれの持ち分法適用会社とす
る。社名も「みずほ丸紅リース(仮称)」に変更し、リース事業を一体運営する。航空機やトレーラーなど丸紅の海外リース子会社の合流
も検討する。
みずほは連結収益へのリース事業の取り込みが他メガに出遅れていた。シェアリングビジネスやあらゆるモノがネットにつながる「IoT」
で製造業はサービス産業化を進め「持たざる経営」へのニーズが高まっている。航空機など既存領域の収益を取り込みつつ、新たな分野
へのリースの提供で挽回する。 みずほ、米ドル新指標の短期運用商品、邦銀で初。
2019/02/27 日本経済新聞 朝刊
みずほ銀行はロンドン銀行間取引金利(LIBOR)に代わる米ドルの新指標「担保付き翌日物資金調達金利(SOFR)」を使った短期
運用商品を、邦銀で初めて売り出した。不正操作問題で既存のLIBORの先行きが危ぶまれる中、資産運用会社や生命保険会社と
いった機関投資家に新たな運用手段を提供する。
ニューヨーク支店が譲渡性預金(CD、6カ月物)と呼ばれる短期運用商品を2億ドル(約221億円)発行した。CDは銀行預金の一種
で第三者に自由に譲渡できる。
SOFRはニューヨーク連銀が18年4月から公表している。 金融庁が3メガ銀や農林中金など一斉調査、CLO投資で
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-28/PNMHZS6K50XS01?srnd=cojp-v2
2019年2月28日 18:29 JST
残高の大きかった農林中金、ゆうちょ銀、MUFGにはより重点的に
2、3カ月後に再度一斉調査を予定−保有拡大の動きあれば個別調査
米ローン市場の加熱に警戒感が広がるなか、金融庁が今年1月、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)など3メガバンクや
農林中央金庫など大手7銀行グループに対し、ローン担保証券(CLO)投資に関する一斉調査を実施していたことが28日に明らか
になった。複数の同庁関係者が匿名を条件に明らかにした。
今回の調査の対象金融機関はMUFG、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、りそなホールディングス、
三井住友トラスト・ホールディングス、農林中金、ゆうちょ銀行。うち、事前調査でCLO投資残高の大きかった農林中金、ゆうちょ銀行、
MUFGに対してはより重点的な調査を実施したという。
具体的には、リスク分析や監視のシステムなど管理状況について調査したほか、10年前の金融危機時並みのストレスがかかった
場合の損失規模について説明を受け、内容を精査した。関係者は、国際的にシステム上重要な銀行(G−SIB)に指定されている3
メガ銀行などに加え、機関投資家として金融機関との契約を多数抱える農林中金、ゆうちょ銀行で問題が発生した場合も金融システ
ム全体に幅広く波及する恐れがあるとの認識を示した。
米国では、CLOの裏付け資産となるレバレッジドローン(高リスクローン)の市場が加熱。利回りの高さが投資家の人気を集め、20
18年の発行額は過去最大となった。18年末にかけて、ジャネット・イエレン前連邦準備制度理事会議長、エリザベス・ウォーレン上院
議員らが次々とレバレッジドローン市場のリスクを指摘。こうした事態を受け、金融庁はCLOに特化した調査に踏み切ったという。
同庁関係者の1人は、最近、米国のレバレッジドローン貸付先企業で、自己資本に対する借入金などの割合を示す「レバレッジ比率
」が上昇し、質が劣化してきていることに懸念を感じていると話す。こうした問題意識はすでに調査先に伝えており、金融庁は各グルー
プのCLO保有について2、3カ月後に再度一斉に点検することを計画しているという。CLO保有拡大の動きがあれば個別の調査も検
討する。
リスクは管理
MUFGの広報担当者はリスクは厳重に管理しているとコメント。現在保有している分については市場リスクの量を常に計測してい
るほか、新規分についてはストレステストを実施し個別に確認していると話した。
ゆうちょ銀行の大野利治執行役・財務部長は14日の会見で市場や投資家のリスクに対する目線が厳しくなる中で、格付けが「AAA
」のCLOは良い投資の選択肢の一つと述べた。農林中金の広報担当からはコメントを得られなかった。
東洋大学の野崎浩成教授は「CLOの残高は結構なピッチで増えてきている。クレジット市場の変調に対し、非常に脆弱(ぜいじゃく)
な部分がある。また、流動性も高いようで低い。その意味で市場のクラッシュというものに対し脆弱性を持っている」と指摘。農林中金
について「CLOそのものが危険だと言うつもりはないが、保有量のコントロールが必要な段階にきたと思う」と述べた。 株、世界的な「政策期待相場」は長期化か 日銀追加緩和の思惑も
2019/03/05 12:26 日経速報ニュース
5日午前の東京株式市場で日経平均株価は131円安と反落した。前日に18年10月の高値から12月の安値までの下落幅の「半値戻し」
となったことから、いったん目標達成感からの利益確定売りに押された格好だが、朝方には下げ幅を20円あまりまで縮める場面があった。
世界的な実体経済の悪化が鮮明になっているものの、むしろ市場では政策期待が相場全体を支える展開を予想する声も広がっている。
きょう開幕した中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では政府活動報告で、2019年の経済成長率の目標を「6〜6.5%」と、18
年の「6.5%前後」から2年ぶりに引き下げた。中国メディアの財新と英調査会社IHSマークイットが午前に発表した中国の2月の非製造業
購買担当者景気指数(PMI)は51.1と、前月(53.6)から2.5ポイント低下。2018年10月(50.8)以来の低い水準となった。
「中国の景気減速を嫌気して海外ヘッジファンドからの売りが目立った」(マッコーリーキャピタル証券の増沢丈彦氏)。午前の東京市場で
は東エレクやTDKなどのハイテク株に加え、ファナックや安川電などの中国売上比率の高い銘柄に売りが目立った。
ただ、5日の中国株は底堅く推移しているなど、中国の李克強(リー・クォーチャン)首相が全人代で列挙した大型減税などの政策効果に
期待した買いが今後も「実態悪」をカバーする可能性はある。
米株式相場も同様の構図だ。米国では住宅関連中心に足元で悪い経済統計が相次いでいる。経済指標が市場予想をどれだけ上回った
り、下回ったりしたかを示す、米シティグループの「エコノミック・サプライズ指数」では、米国はマイナス圏で1年7カ月ぶりの水準にまで沈ん
でいる。ただ、前日4日こそ米中貿易交渉の合意を期待した買いの一巡で下落したものの、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ停止
の思惑を支えにした上昇基調は崩れていない。
日本では1月の鉱工業生産指数が大幅に落ち込み、市場では「消費と設備投資が大きく増えない限り、1〜3月期の国内総生産(GDP
)はマイナス成長になる可能性がある」(第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミスト)との警戒が強まっている。市場では「政府は3
月の月例経済報告で全体の景気判断を3年ぶりに引き下げる可能性もある」(外資系証券のストラテジスト)との声も聞かれる。
一部で浮上しているのが、日銀による追加緩和の観測だ。12年末に第2次安倍内閣が発足して以降、政府が景気判断を引き下げたの
は14年10月、15年10月、16年3月の3回。引き下げ直後に、日銀は追加緩和で対応した経緯がある。14年10月はETFの買い入れ枠など
を拡大、16年1月はマイナス金利政策の導入、16年7月はETFの買い入れ枠をさらに拡大した。午前の円相場は株安にかかわらず、前日
比で下げに転じる場面があった。追加緩和の思惑が足元の円安基調の底流にあるとも受け取れる。
日米中とも景気減速が鮮明になってきた中、素直に受け取れば株式相場は調整余地を探ってもおかしくはない。ただ、足元は各国の中
央銀行が足並みをそろえて「ハト派」姿勢を強めれば、カネ余りによる世界的な「過剰流動性相場」の様相を呈してくる可能性が高い。当面
は実態悪を政策期待が上回り、じり高基調が長期化する可能性もありそうだ。 日銀、膨らむETF保有 株価17%下落なら「含み損」
https://www.asahi.com/articles/ASM345GZ6M34ULFA026.html‬
日本銀行が大規模な金融緩和で買う上場投資信託(ETF)の保有が膨らんでいる。株式投資を促す「呼び水」の位置付けだったが、
今は株価下落局面での買い支え役で、昨年の購入額は過去最高になった。日銀保有のETFはまだ含み益があるが、今後含み損を
抱えれば日銀の財務悪化につながり、通貨の信認に影響しかねない。
2月末の衆院財務金融委員会。黒田東彦(はるひこ)総裁は日銀保有のETFについて問われ「TOPIX(東証株価指数)が1350ポイ
ント程度を下回ると、時価が簿価(取得時の価格)を下回る計算になる」と明らかにした。立憲民主党の末松義規氏の質問に答えた。
日銀保有のETFの簿価は2月末時点で24兆5千億円。ニッセイ基礎研究所の推計では時価はこれより高く、簿価との差額の「含み
益」は3兆9千億円ある。
黒田総裁は、TOPIXが100ポイント下がるごとに含み益は1・6兆円減るとも説明。4日のTOPIXの終値は1627ポイントで、今後景
気減速などで17%下落すれば含み益は吹っ飛ぶ。 ソフトバンクVF、ゴールドマンやみずほなどから融資確保
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-05/PNVVDD6TTDSA01
ソフトバンクグループのビジョン・ファンドは、ゴールドマン・サックス・グループやみずほフィナンシャルグループなどから
の銀行融資30億ドル(約3360億円)を確保した。事情に詳しい2人の関係者が明らかにした。
いわゆる「キャピタルコール」方式での融資だと関係者が非公開情報だとして匿名を条件に語った。三菱UFJフィナン
シャル・グループ(MUFG)やシティグループ、サンバ・フィナンシャル・グループも参加しているという。 日銀が景気判断の下方修正を議論へ、海外経済と輸出、生産
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-05/PNVOY66TTDS201?srnd=cojp-v2
2%物価目標へのモメンタム維持、追加緩和必要ないとの姿勢は堅持
下方修正なら輸出と生産は17年4月以来、海外経済は昨年3月以来
日本銀行は14、15両日開く金融政策決定会合で、海外経済の減速を背景に1月の輸出、生産が大きく減少したことを受けて、これら
景気の個別項目に関する判断を下方修正するかどうか議論する見通しだ。複数の関係者への取材で明らかになった。
海外の中央銀行がよりハト派(金融緩和)的な姿勢に転じる中で、国内の景気判断が下方修正されれば、現在の超低金利政策がさら
に長期化する可能性がある。市場の一部には日銀の追加緩和観測があるが、複数の関係者によると、日銀は2%の物価目標に向け
たモメンタムは維持されており、今のところ追加緩和は必要ないとの姿勢を堅持する見込みだ。
日銀は1月の決定会合で、海外経済は「総じてみれば着実な成長」が続いており、輸出、鉱工業生産とも「増加基調」にあるとの判断を
示した。その後公表された1月の輸出は前年比8.4%減と2カ月連続で減少。日銀が算出する実質輸出も前年比5.3%減と2年ぶりの
水準に落ち込んだ。特に中国向けの落ち込み(7.7%減)が目立った。同月の鉱工業生産指数は前月比3.7%低下と3カ月連続で前月
を下回った。
下方修正されれば輸出、生産は2017年4月以来、海外経済は昨年3月以来となる。政府は1月の月例経済報告で輸出を「このところ
弱含んでいる」に引き下げ、2月に海外経済を2カ月連続で下方修正した。経済産業省は鉱工業生産の判断を「足踏みをしている」に引
き下げた。中国の春節の影響で季節調整が落ち込みを大きくした可能性もあり、日銀は2月以降の統計を注視する構えだ。 銀行・自治体、崩れる蜜月、三菱UFJ、「指定金」一部返上へ、聖域設けず採算見極め。
2019/03/06 日本経済新聞 朝刊
銀行と地方自治体との蜜月関係が崩れ始めた。公金の収納や支払いを一手に引き受ける指定金融機関(指定金)で、三菱UFJ銀行は
近畿地方を中心に10市ほどで指定を辞退する。手数料の大幅な減免で手厚く優遇してきた一方、公金預金の運用や地方債の引き受け
といった資金取引の収益が超低金利で減った。三菱UFJ銀の例は自治体取引がもはや聖域ではなく、採算をドライに見極める銀行が増
えてくることを示している。
三菱UFJ銀は全国で約60の自治体から指定されている。2016年末に手数料の引き上げを求める交渉を始めた。この2年あまりで不
調に終わった自治体は兵庫県芦屋市のほか、大阪府池田市や埼玉県所沢市など10を超える。指定金を順次返上していく方針だ。
例えば、芦屋市。三菱UFJ銀は行員の派遣費用などの名目で年7万円程度の手数料を1500万円程度に上げるよう芦屋市に求めたが
、拒まれた。さらに一般に1件で数百円する振り込みの手数料も、自治体の取引では「10円でも取れれば御の字」(金融関係者)。三菱U
FJ銀は芦屋市の市庁舎内に置くATMも撤去する予定だ。
みずほ銀行も手数料の引き上げ交渉を始めた。都内で東京都と23区、7市の指定金を務める。最近は採算が厳しく「公金の富士」として
旧行時代から続いた関係でも看過できなくなっている。
地方銀行も事情は同じだ。全国64の地方銀行が加盟する全国地方銀行協会は、自治体の取引で適切な手数料を取れないとして総務
省に要望書を出したことがある。地銀だけで年1000億円以上のコスト負担を余儀なくされていると訴えた。
鳥取銀行は19年1月、鳥取県南西部で岡山県との県境にある日南町の支店を閉めた。町民生活に支障をきたしかねないとして、町は5
億円超の公金預金を解約して撤回を迫ってきたが、銀行は応じなかった。
地銀のトップは地元経済界の顔であり、地域社会で自治体とも波風を立てにくかった。それでも人口減と高齢化に直面する地域では、指
定金として公金を預かる市町村でも支店を維持する余裕がなくなってきた。
指定金は自治体の「金庫番」。かつて預金集めに精を出した金融機関は指定金の獲得でもしのぎを削った。公共事業を受注した事業者
への支払い、補助金の振り込みといった取引で手数料を大幅に優遇。役所に出張所を置いて、常駐する行員らが税金の収納などにあた
る。経費は銀行の負担だ。納税関連などでは無料のサービスもある。
そんな指定金の高いコストに目をつむってきたのも、豊富な公金預金の運用や地方債の引き受けといった資金取引の収益で穴埋めでき
たからだ。だが、00年ごろからは運用や債券の引き受けで入札制が定着し、指定金のうまみは大きく減った。超低金利下の運用難で預金
をかき集める必要もなくなった。手数料の引き上げで採算の改善を見込めない自治体との取引は撤退せざるを得ない。
芦屋市議会で昨年6月に開かれた定例会。「引き続き(庁舎内の)ATMを設置してもらえるようお願いできないか」。市議の訴えに、市の
会計責任者は「収益を上げられなければ(銀行は)撤去せざるを得ないだろう」と答えるしかなかった。
野村資本市場研究所の江夏あかね主任研究員は「銀行と自治体が歩み寄って解決策を見いだすことが重要だ」という。三菱UFJ銀の
動きは銀行と自治体の関係も大きく変容しつつあることを象徴している。 焦点:地銀の収益環境が悪化、信用コスト増と含み減 格差も鮮明
https://jp.reuters.com/article/regionalbank-creditrisk-idJPKCN1QM14G
[東京 5日 ロイター] - 地方銀行を取り巻く経営環境が、一段と厳しさを増している。減少傾向にあった信用コストが拡大に転じ、
世界経済の減速を背景にした株価の下落によって有価証券の益出し余力も低下しており、この2つの収益押し上げ要因に局面変
化の兆しが出ているためだ。地銀・第二地銀104行のうち、2018年12月期に3行が最終赤字に転落し、11行で有価証券が含
み損となった。 景気悪化・物価目標困難なら、躊躇なく金融緩和強化=原田日銀委員
https://jp.reuters.com/article/boj-harada-idJPKCN1QN09O
[甲府市 6日 ロイター] - 日銀の原田泰審議委員は6日、山梨県金融経済懇談会で講演し、景気が悪化し、2%の物価安定目標の
達成が困難になるなら、ちゅうちょなく金融緩和を強めることが必要との考えを示した。同委員は、2018年末から景気の下方リスクが
高まっているとし、中国の輸入数量の一段の低下などのリスクが顕現化する場合、「量・質・金利の政策手段によって、遅滞なく追加的
な金融緩和をすることが必要」とした。 BOJ点描 原田委員、緩和効果への自信崩さず 物価目標には歯切れ悪く
2019/03/06 13:07 日経速報ニュース
日銀の原田泰審議委員は6日、甲府市の金融経済懇談会で講演し日銀の量的・質的金融緩和の成果を強調した。
原田氏は大規模緩和がもたらす副作用に関する市場などの懸念に対し、「貸し出しを増加させる効果があった」と否定。
早すぎる「出口」による景気悪化のリスクに警鐘を鳴らした。 2019/03/07 11:05
みずほFG(8411)
欧州系大手証券、レーティング据え置き、中立。目標株価引き下げ、185円。
欧州系大手証券が3月6日、みずほフィナンシャルグループ<8411>のレーティングを中立(Neutral)に据え置いた。
一方、目標株価は200円から185円に引き下げた。因みに前日(3月5日)時点のレーティングコンセンサスは3.15
(アナリスト数13人)で「中立」の水準、目標株価コンセンサスは211円(アナリスト数13人)となっている。
03/07 8411 みずほFG JPM Neutral継続 200円→204円
2019/03/07 11:05
みずほFG(8411)
米系大手証券、レーティング据え置き、中立。目標株価引き上げ、204円。
米系大手証券が3月7日、みずほフィナンシャルグループ<8411>のレーティングを中立(Neutral)に据え置いた。
一方、目標株価は200円から204円に引き上げた。因みに前日(3月6日)時点のレーティングコンセンサスは3.15
(アナリスト数13人)で「中立」の水準、目標株価コンセンサスは211円(アナリスト数13人)となっている。 地銀株、みずほFGの苦境に連想売り 国内リテールの厳しさ如実に
2019/03/07 14:59 日経速報ニュース
7日の東京株式市場で銀行株が総じて下落した。みずほフィナンシャルグループ(8411)が6日、2019年3月期に店舗や次期勘定系
システムの減損処理などで約6800億円の損失を計上すると発表したことがきっかけだ。傘下のみずほ銀行に収益を頼る国内リテール
行としての色が濃いみずほFGの決断は、同様に国内依存型で厳しい環境に置かれている地方銀行株への連想売りにつながっている。
みずほFG株は7日、一時171円50銭と前日から3円70銭(2.1%)下落した。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)などのメガバン
クよりも、下げが目立ったのは地銀株だ。千葉銀行(8331)は一時4.0%下げたほか、コンコルディア・フィナンシャルグループ(7186)や
ほくほくフィナンシャルグループ(8377)も3%あまり下落する場面があった。
みずほFGの連結営業費用を傘下の主力行がどれだけ賄っているかを計算すると、みずほ銀単体の業務粗利益は連結営業費用の約
8割。連結ベースからみずほ銀単体の業務粗利益を差し引いた割合でみると5割程度にとどまる。三井住友FGの場合は三井住友銀行
とそれ以外がいずれも8割程度と同水準の稼ぎがあり、三菱UFJは三菱UFJ銀行以外で稼ぐ割合のほうが高い。
みずほFGは「稼ぐ力」をみずほ銀に頼っている状態で、他のメガバンクと比べて銀行の本業が業績全体に与える影響が大きい。「国内
リテール銀行の代表格とみなされるみずほFGが店舗の減損処理に踏み切ったことで、地銀などの減損リスクも意識された」(SBI証券
の鮫島豊喜シニアアナリスト)という。
みずほFGの損失の大半がシステム投資だったことも、地銀の業績圧迫の警戒を強めている。低金利環境が利ざやを圧迫し、企業の
資金需要は乏しい。銀行店舗の収益性は高まりにくい。「各行はキャッシュレス社会が近づき、業務のデジタル化に向けた投資を求め
られている」(藍沢証券の三井郁男・投資顧問部ファンドマネージャー)なか、人口減が特に顕著な地方に地盤を置く地銀は、システム投
資を増やしたところで回収の見込みが立ちづらいのが実情だ。
市場環境も逆風だ。みずほFGが計上する6800億円の損失のうち、1800億円分は外国債券などの売却損やデリバティブ(金融派生商
品)取引の見直しに関係するもの。トランプ米大統領が選挙で勝利した16年秋以降、米連邦準備理事会(FRB)の利上げもあって米10年
物国債の利回りは1.8%程度から一時3%を超える水準まで上昇(債券価格は下落)。みずほFGが持つ外債の含み損も次第に増え、昨
年12月末時点で含み損は1400億円強となっていた。
海外事業や金融とIT(情報技術)を融合させたフィンテックに活路を見いだしにくい地銀。金利低迷で国内運用が難しく、消去法的に外
債投資に傾斜していたところは多いとされる。「当然、外債で含み損を抱えている地銀も多いとみられる。株式の売却益で相殺しながら粛
々と処理していくしかない」(SBI証券の鮫島氏)。
みずほFGの抱える問題を煎じ詰めていくと、ことごとく地銀に行き着くという構図だ。 コラム:みずほFG、巨額減損で味わう「苦いクスリ」
https://jp.reuters.com/article/bv-column-mizuho-idJPKCN1QO0JO?il=0
[香港 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - みずほフィナンシャルグループ(8411.T)が味わっている「苦いクスリ」は、日本の銀行が抱える
病を投資家にも味わわせている。
国内2位のみずほFGは6日、固定資産の減損など合計約6800億円の損失を2019年3月期決算に計上すると発表した。減損処理の結
果、当期純利益の見通しは前期比86%減の800億円となった。
店舗統廃合による減損処理や外債の含み損処理は、超緩和的な金融政策の症状といえる。少なくとも統廃合を緩和する新たな規制が実
現すれば、いくぶん落ち着くだろう。
日本の金融機関は長い間、日銀による異例のマイナス金利政策の下で苦しんでいる。法人顧客に対する手数料にコストを上乗せしたくな
い、もしくはそれができない銀行は、利ざや縮小を余儀なくされた。
それを補おうと、多くの銀行が高いリターンを求めて海外市場に目を向けた。みずほFGは、証券ポートフォリオを全面的に見直しており、そ
の理由の1つに「過去の外債投資」があるという。このことは、そうした努力がいかに切迫したものかを物語っている。
巨額の減損損失が明らかになったことで、わずか数日前に全国銀行協会の会長でもあるみずほ銀行の藤原弘治頭取が会見で、日銀によ
る金融緩和政策の「負の副作用」について警鐘を鳴らしたのも納得がいく。2%のインフレ目標よりも金融の安定が大事だと同頭取は主張
する。
しかし不安定な現在の状況下において、日銀の黒田東彦総裁は身動きが取れない。日銀が金融政策の正常化を検討しているとの昨年7
月のロイター報道を受け、日本の株式相場は急降下した。
黒田総裁は、純資産に対して株価が危険なほど割安に取引されている銀行の苦境に同情を示していないわけではないが、コスト削減で埋
め合わせが可能との考えを示唆している。日本では、高齢化と過疎化が地方で進んでいるにもかかわらず、第二地銀を含めた地銀の数は
100行を超える。統廃合が解決策であることは明白だ。実際のところ、今回のみずほの損失の大半は店舗の統廃合やリテール網のソフト
ウエアなどを巡る固定資産の減損である。
こうした統合プロセスを遅らせてきた独占禁止法の適用が間もなく見直される可能性がある。政府は今週、地方銀行の統合基準を見直し、
独占禁止法に例外規定を設ける計画を明らかにした。もし実現すれば、コスト削減に役立つ取引の機運が高まるだろう。
銀行はまた、自ら立て直しを図ることができる。海外の債券市場に手を出すのではなく、テクノロジーを駆使して人員削減を行ったり、現金
取引を減らしたりすることが可能だ。最終手段として、法人顧客にマイナス金利によって発生するコストを手数料として請求することも検討
できるだろう。砂糖が何さじかあれば、金融緩和による苦いクスリも飲むことができるだろう。 S&P、みずほFG業績下方修正「格上げシナリオ変わらずも時期遅くなる可能性」
2019/03/07 18:25 日経速報ニュース
S&Pグローバル・レーティングは7日、みずほフィナンシャルグループ(8411)が業績予想を下方修正したのを受けて「格付けや見通し
の変更に直ちにつながるものではない」との見解を発表した。みずほFGの格付けは「シングルAマイナス」。格付け見通しは「ポジティブ」
で格上げのシナリオを想定しているが、今回の発表で格上げの時期が遅くなる可能性もあると指摘している。
S&PはみずほFGが業績予想の下方修正に伴う収益性の悪化は自己資本のシナリオに「一定程度織り込んでいる」としている。損失
の計上の大部分を占めるシステム関連の償却費用についても、来期以降に計上予定のものを前倒しで処理しただけであり「自己資本の
シナリオを大きく修正するほどの影響はない」との見方を示した。
一方で業績予想の修正によって国内外の事業環境の不確実性などが再認識され「収益性への低下圧力は引き続き強い」と指摘。収益
性と収益の安定性が想定以上に悪化し、自己資本水準が低下した場合は格付けの見通しを「ポジティブ」から「安定的」に修正する可能
性があるとした。 みずほ、銀行中心脱却に後れ、「Oneみずほ」戦略に誤算、坂井社長、収益モデル転換急ぐ。
2019/03/08 日本経済新聞 朝刊
勘定系システムを中心とする6800億円の巨額損失を発表したみずほフィナンシャルグループ(FG)。丸紅との資本提携による系列リー
スの再編やLINEとの新銀行設立など、就任1年で坂井辰史社長が矢継ぎ早に打ち出した戦略は銀行中心主義から脱却できなかった裏
返しだ。佐藤康博前社長時代に旧3行の融和を最優先した「One(ワン)みずほ」戦略に誤算が生じたからでもある。
「過去の経営課題の認識を適時適切に処理した」。坂井社長は6日の記者会見で巨額の損失計上に発展した理由を聞かれ、こう述べた。
これは前経営陣が課題を認識しながら実行しなかったとも読める発言だった。
2018年4月の就任後、坂井社長がまず命じたのは、この10年間の経営の総括だった。2019年度から始まる新中期経営計画の土台
とするためだ。佐藤前社長(現会長)が掲げたOneみずほ戦略への批判にもつながりかねない指令。幹部に驚きが広がった。
Oneみずほ戦略とは銀行・信託・証券の3社での一体運用だった。ただ、現実は銀行支配の強化。富士、第一勧業、日本興業の3行が
経営統合し、銀行同士で争いが絶えない非効率な構造が残っていたから。その結果、銀行・信託・証券の外枠にあるリースやカード戦略
が他のメガバンクに比べ遅れた。システムトラブルなど困難な時期を乗り越えるため、中核会社での求心力に力点を置いたことの弊害が
生まれた。
みずほは銀行中心のビジネスモデルからも脱却できていない。店舗やシステムに投資し、収益を生むモデルは人口減少や低金利のな
かで崩壊しつつある。これらのコスト計上をいったん前倒しする巨額損失の計上は、伝統的な収益モデルから、ようやく脱却する意味合い
がある。
みずほは11年の東日本大震災後に大規模なシステム障害を招いた。Oneみずほは旧3行の勢力争いから脱却し、効率的なグループを
目指すスローガンとなった。13年にみずほ誕生から当初10年、みずほコーポレート銀行とみずほ銀行の2バンク体制を敷いていたが、そ
れを合併し、FGと銀行でトップを旧3行で分け合う3トップ体制も廃止した。
求心力の向上には一定の成果をもたらしたが、社内の融和を意識するあまり、事業戦略やヒト・カネ・モノの配分は銀行中心から脱しき
れず、銀行出身者が主要子会社のトップを独占。結果の追求より社内プロセスを重視する文化も残った。
リースや消費者向けローンなどの取り込みも遅れた。興銀リースと旧第一勧業銀行系の東京センチュリー、旧富士銀行系の芙蓉総合リ
ースとも距離を取っていた。他メガに比べ連結純利益に占める銀行単体の割合がメガで唯一8割を越える要因になった。
みずほは2月、興銀リースを持ち分法適用会社にし社名を「みずほリース」にすると発表。丸紅とも連携してシェアリングビジネスといった
成長分野でのサービス展開を構想する。みずほの信用力で商売する以上「連結収益に協力すべきだ」(みずほ幹部)という判断だ。「みず
ほ」の名を冠したのは、将来的なほか2社の資本参加の呼び水とする思惑も絡む。
Oneみずほが求心力だとすれば、坂井改革は遠心力の発揮とも取れる。
デジタル化の急激な進展で決済や送金などのサービスに異業種の新興企業が参入し、銀行との境界線が溶け始めた。自前主義から脱
却し、異業種やノンバンクとの連携を成長力の源泉とする取り組みだ。
18年には対話アプリ大手のLINEと、20年の銀行設立に向けて「黒子」として協力する提携を発表。19年3月には地銀約60行と連携し
て、現金を使わないキャッシュレス決済の「Jコインペイ」を開始した。これらの動きも「自前主義」からの脱却という流れのなかにある。
みずほの経費率は7割台で他メガに比べて高く、巨額損失の計上で、来年度以降の業績は下押し圧力が緩和するのは間違いない。
ただ現時点では将来のマイナス要因を先取りして潰したにすぎず、本業の利益である業務純益の弱さの抜本的な解決には至っていない。
計画中の中期経営計画で次の成長戦略をどう打ち出すかが焦点になる。 東南ア銀、融資好調―三菱UFJ・三井住友が攻勢、地場銀買収で成長取り込む。
2019/03/08 日本経済新聞 朝刊
東南アジアは邦銀も市場開拓に熱心だ。三菱UFJフィナンシャル・グループと三井住友FGが地場銀行を買収し、参戦している。
三菱UFJ銀行は2013年に資産規模でタイ5位のアユタヤ銀行を5千億円超で買収した。アユタヤ銀は18年12月期、中小企業向け
融資残高が前年比13・5%と大きく伸び、増益の原動力となった。バンコク銀行などタイ四大銀との貸出残高の差は縮まる一方、不良
債権比率は約2・1%と相対的に低い。
三菱UFJ銀はインドネシアのバンクダナモンを子会社にする計画。バンク・ラクヤット・インドネシア(BRI)など大手と利益規模でまだ1
ケタの差があるものの、18年に住宅ローン残高を29%伸ばした。三菱UFJはフィリピンのセキュリティバンクにも20%出資している。
三井住友は今年2月、インドネシア中堅の年金貯蓄銀行(BTPN)と現地法人を合併させ、バンクBTPNの保有株を40%から100%
近くに引き上げた。総資産は同国で16位から10位へ浮上。携帯電話を使った個人向け金融サービスの開発に力を入れる。
インドネシアは2・5億人に上る巨大市場で、りそなプルダニア銀行が老舗。りそな前身の旧大和銀行時代の1958年、日本とインドネ
シアの初の合弁企業として設立した。今春にも横浜銀行と大同生命保険が出資し、3社で90%超の株式を保有する。 大手証券3社、主要企業業績予想を下方修正 中国次第の色彩も
https://jp.reuters.com/article/securities-company-forecast-idJPKCN1QP0HJ
[東京 8日 ロイター] - 大手証券3社は、2018年度、19年度の主要企業の業績見通し(金融除く)をそろって引き下げた。中国経済
の悪化で、製造業を中心に業績に陰りが出てきていることを反映させた。3社とも年度ベースの経常増益予想は維持しているものの、楽
観的な予想とは裏腹に説明会では慎重な声も聞かれた。中国経済の動向が鍵を握っているとの見方が多く、19年度下期からの回復は
、中国次第の色彩が強まっている。
国内景気が後退局面に入った可能性がある中で、企業業績がさらに失速すれば、消費増税実施の是非を含め、経済政策にも影響を与え
る可能性がある。
<18年度は最終減益予想>
「中国悪化の影響がだいぶ広がりを持ってきていて、規模感がもう一段大きくなった」──。
野村証券の松浦寿雄チーフ・エクイティ・ストラテジストは、足元の状況についてこう述べ、企業業績の先行きに強い警戒感を示した。
野村が予想した主要企業303社(金融除く)の経常増益率は、18年度が前年比5.0%増(前回予想8.9%増)、19年度が同7.5%
増(同9.7%増)。増益基調は維持しているものの、3カ月前からは下方修正した。
気がかりなのが18年度の金融を含んだ主要企業334社の税引増益率予想。同0.8%減(前回予想1.9%増)とマイナス予想とした。
金融を除く303社も同0.7%増(同3.1%増)とほぼ横ばいの水準まで予想を引き下げており、松浦チーフ・エクイティ・ストラテジストは
「金融含むが減益予想、除く金融も0.7%増と大きな余裕がない。経常利益も足元の業況悪化は厳しく、利益が圧縮、あるいは減益に
突っ込んでしまう可能性もないわけではない」と厳しい見方を示した。
SMBC日興証券も、主要250社(金融含む)の18年度純利益増益率を前年比1.3%減(前回予想1.0%増)とマイナスに見直した。
日興証券SMBCの伊藤桂一チーフクオンツアナリストは「前年度は米国税制改正の影響で一時的な利益が乗っていたので、発射台が
高かったという事情もある。だが、マイナス成長ではあるので注意しておきたい」と語った。 <来期上期まで減益か>
四半期でみると、足元の厳しい状況はより鮮明となる。野村が集計した10─12月期の主要企業303社(金融除く)の経常損益は前年
比17.2%減と、4─6月期の同16.9%増、7─9月期の同9.8%増から状況が一変している。
野村は来期、利益の伸びが加速するシナリオを描いているが、松浦チーフ・エクイティ・ストラテジストは「おそらく来期の上期までは減益
が確定で、戻るとしても下期からではないか」との見通しを示した。
同氏は15年度から16年度にかけての悪化・回復パターンと今回を比較し、「当時は売り上げがV字回復することで業績が大幅に回復
した。しかし、今回は売り上げがまだ増収なので、トップライン主導の戻りは厳しいかもしれない。逆に言えば、来期の下期の戻りはそれ
ほど強くならない可能性がある」と警戒感を示している。
SMBC日興証券の圷正嗣・チーフ株式ストラテジストも「来期の4─6月期はまだ大幅減益だが、7─9月期は減益幅縮小、10─12月
期、1─3月期は中国景気の好転等を考えるとおそらく増益になってくるだろう」と下期回復を見込んでいる。
ただ、野村とは違い、同社の主要企業224社(除く金融)の経常増益率予想は18年度が前年比7.1%増(前回予想9.8%増)、19年
度が6.1%増(同7.8%増)と伸びがやや鈍化する見通しとなっている。
大和も鈍化予想だがSMBC日興よりもその度合いが大きい。主要企業200社の経常増益率予想は18年度の前年比8.4%増(前回
予想9.8%増)に対し、19年度が2.4%増(同7.9%増)と伸び率は大きく低下すると予想している。
大和は2020年度予想も出しており、経常増益率予想は前年比5.5%増と、19年度2.4%増から加速を見込んでいる。
大和証券の高橋和宏・株式上席ストラテジスト「2020年度予想は増益率が高まる。新たな成長局面が展望される中で、今は待つ時期
になる」と語った。
企業の業績予想は結局、中国経済次第の面もある。SMBC日興の圷チーフ株式ストラテジストは「過去の中国の景気サイクルをみると
、政府が財政や金融を緩めてから実体経済に波及してくるパターンが数多く起こっている。足元でこの兆候がみえてきたということは、中
国景気は年後半持ち直してくる」との見通しを示した。 世界の株価、景気不安視、日経平均、4日で800円下げ。
2019/03/09 日本経済新聞 朝刊
株価の頭打ち感が世界的に強まってきた。景気の悪化懸念が重荷となっているためで、日経平均株価は8日、大幅に4日続落して前
日比430円安で終えた。米国や欧州、中国でも株価は弱含んでいる。米金融政策が引き締め姿勢から距離を置いたことなどを受け、世
界の株式相場は2018年末以降、反発を続けてきたが、じわじわと強まる景気不安に耐えきれなくなってきた構図だ。
日経平均は続落した4日間で合計約800円下落した。個別銘柄では前日に業績を下方修正した川崎汽船が一時13%安と急落。日本
郵船などほかの海運株も売られた。海運はグローバル景気に業績が左右されやすい銘柄の代表格だ。
8日は欧州市場でも売りが続き、独DAX指数と仏CAC40指数は3日続落となっている。同日の米ダウ工業株30種平均は5日続落で
始まり、直近高値比の合計下落幅は800ドルを超える場面があった。ドイツ銀行やJPモルガン・チェース、シティグループなど金融株の下
げが目立つ。
「世界の主要中銀による引き締め姿勢の後退という材料よりも、世界的な景気懸念という不安要因に目を向けざるを得なくなってきた」(
大和証券の壁谷洋和チーフ・グローバル・ストラテジスト)ことが大きい。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が利上げ休止を示唆したことなどをきっかけに、世界の株価は反発を続けてきた。だが足元
では、中国景気の減速を示す経済統計などが相次ぎ、中国政府は19年の経済成長率の目標を「6〜6・5%」に引き下げた。
景気不安は欧州にも及んでおり、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は7日発表した声明文で「不透明な地政学要因が継続するなか保
護主義の脅威、新興国市場が脆弱であることが景気心理に影響を及ぼしている」と指摘。19年のユーロ圏の成長率見通しを1・1%と3
カ月前比で0・6ポイント下方修正した。
景気が比較的しっかりしているとされる米国でも小売売上高や中古住宅販売は弱含んでいる。アトランタ連銀が試算する2019年1〜3
月期の国内総生産(GDP)は6日時点で、0・5%増と低成長を示している。
景気減速を示唆するシグナルが多数点灯し、世界的な株売り圧力につながっている。株安トレンドが徐々に鮮明になるなか、「相場の
流れに乗って取引するファンドの一種、CTA(商品投資顧問)も売りに動き始めている」(UBS証券のキース・トゥルーラブ株式本部副本部
長)との声も聞かれた。
世界の株価は昨年末以降、急反発し、例えば米ダウ平均は直近安値から約2割上昇した。「短期の戻り相場」と割り切っていた投資家
も少なくないとみられ、景気不安が払拭されないままだと、株安圧力が当面はくすぶり続ける恐れがある。 消えた前向きな「驚き」―世界の指標鈍化、株価に試練(スクランブル)
2019/03/09 日本経済新聞 朝刊
世界の株価が再び試練に直面している。欧米の株安の流れが日本に波及し、8日の日経平均株価は前日比430円安となった。世界の
中央銀行はハト派路線に傾くが、投資家は強気に転換しきれない。その背景には世界経済の「驚き」が消えたことがある。経済指標が振
るわず、年初からの株高で改善してきたはずの市場心理が再び陰りはじめた。
「今年も難しい年になる」。アバディーン・スタンダード・インベストメンツのマーティン・ギルバート最高経営責任者(CEO)は金融市場の試
練は終わっていないと話す。足元では低金利が支える「適温相場」が再来したかにみえたが、市場はむしろ「経済成長の鈍さ」と向き合わ
なくてはならないとみる。
1月初旬からの株価の戻りを支えたのは、米連邦準備理事会(FRB)の引き締め路線からの転換と、景気の先行きへの過度な悲観の
後退だった。だが、欧州中央銀行(ECB)が年内の利上げ断念を発表した7日は世界的に株価が下落した。緩和でも株高とならなかった
のは、中銀のハト派転換がすでに市場で十分に織り込まれていたからだ。
□ □
気がかりなのは、世界景気の先行きへの悲観修正が一巡してきたことだ。これを端的に示すのが、米シティグループが算出する「エコノ
ミック・サプライズ・インデックス」だ。雇用や生産などの経済指標と、事前の市場予想との乖離(かいり)幅を指数化している。前向きな「驚
き」が増えれば、株価には追い風となる。
米国は1月初めにマイナス25まで沈んだあと、大きくプラスに転じていた。だが、2月の経済指標は米サプライマネジメント協会(ISM)の
製造業景況感指数が約2年ぶりの低水準となるなど鈍化も目立つようになった。日本も同様にマイナス圏に押し戻されている。株価の戻
りを支えた前向きな「驚き」が消え、投資家は「やはり悪い」景気に直面せざるを得なくなっている。
中国についても、三菱UFJ銀行の鈴木敏之シニアマーケットエコノミストは「景気減速のマグニチュード(震度)を読み切れないのが不安
の根源」と話す。2月の貿易統計では輸出が前年同月に比べ約2割減と急減した。民間調査会社が中国の製造拠点の稼働状況を調べ
た「スペース・ノウ」指数も低下が続く。
□ □
一方、BNPパリバ香港の岡沢恭弥アジア地域機関投資家営業統括責任者は「景気懸念で売られる時は、むしろ買いだとみる投資家
も多い」と指摘する。FRBなどが市場に配慮した政策運営を続ける限り、景気の底割れを防げるとみる。
驚きが消えて現実に向き合いはじめたところで、金融政策に頼る相場のもろさが顔をのぞかせた。金融緩和と実体経済の弱さが綱引き
する中で、投資家の心理が不安定に揺れ動く展開はまだ終わっていないとみるべきだろう。( 2019/03/08 16:05
みずほFG(8411)
日系大手証券、レーティング弱気継続。目標株価引き下げ、170円。
日系大手証券が3月8日、みずほフィナンシャルグループ<8411>のレーティングを弱気(Underweight)に据え置いた。
一方、目標株価は180円から170円に引き下げた。因みに前日(3月7日)時点のレーティングコンセンサスは3.15(アナ
リスト数13人)で「中立」の水準、目標株価コンセンサスは209円(アナリスト数13人)となっている。 03/09 8411 みずほFG 三菱UFJMS Underweight継続 180円→170円 03/08 8411 みずほFG ドイツ Hold継続 215円 → 200円
ドイツ証券では目標株価を215円から200円にやや引き下げた。レーティングは「ホールド」を継続した。同証券では、
今回の業績見直しに対して、「来年度からの新中計(中期経営計画)を前に過去からの負の遺産を可能な限り処理する
もの」と指摘。特に新システムに万全を期すために、将来負担の9割以上を一気に処理し、新中計での収益増を目指し
ていると推測している。これは、同社が株式売却により最終利益を引き上げていることへの負担を軽減させることになる。
株式売却益への依存度低下は健全な施策とみている。
03/11 8411 みずほFG 三菱UFJMS Underweight継続 180円→170円
2019/03/08 16:05
みずほFG(8411)
日系大手証券、レーティング弱気継続。目標株価引き下げ、170円。
日系大手証券が3月8日、みずほフィナンシャルグループ<8411>のレーティングを弱気(Underweight)に据え置いた。
一方、目標株価は180円から170円に引き下げた。因みに前日(3月7日)時点のレーティングコンセンサスは3.15(アナ
リスト数13人)で「中立」の水準、目標株価コンセンサスは209円(アナリスト数13人)となっている。 三井住友FG − 【四季報先取り】三井住友FG
詳細
【上向く】貸出金伸長。ただ、利ザヤは国内小幅縮小。有証利息も低調。売却益も減る。カード完全子会社化に伴い税負担増。
20年3月期は国内利ザヤ下げ止まりも。貸出金は海外軸に順調増。役務も堅調。与信関係費用は漸増ながら、経常益は上向く。
【共同開発】GMOペイメントゲートウェイ・VISAと次世代決済プラットフォーム共同開発へ。キャッシュレス分野に一手。
三菱UFJFG − 【四季報先取り】三菱UFJFG
詳細
【横ばい】国内利ザヤ縮小続くも、海外資金利益伸長。だが債券損益悪化。与信費用低位、モルスタ貢献でも及ばず。
20年3月期は海外軸に資金利益順調。ただ構造改革コスト先行、与信費用平常化もあり利益横ばい。
【買 収】独DVBバンクから航空機ファイナンス事業を7000億円超で買収、19年中完了目標。学芸大学駅前に開設
の次世代店舗は、70〜100店規模まで拡大企図。 日銀、ゼロ金利適用残高の比率を引き上げ マイナス金利適用は平均5兆円程度に
2019/03/11 17:45 日経速報ニュース
日銀は11日、当座預金のうちゼロ金利が適用される「マクロ加算残高」の算出に使う基準比率について、3月の積み期間は32.5%
4月と5月の積み期間は35.5%にすると発表した。いずれの期間も2018年12月〜19年2月の積み期間の31.5%から比率を引き上げる。
金融機関の間で裁定取引が行われたと仮定すると、3〜5月にマイナス金利が適用される政策金利残高は平均で5兆円程度となる
見込み。
6〜8月の積み期間に適用する基準比率は6月10日に公表する予定だ。 りそなHLD − 【四季報先取り】りそなHLD
詳細
【順 調】預貸利ザヤ縮小の一方で貸出は堅調。手数料収入も伸長。統合一時益あるが、税効果剥落。増配。
20年3月期は貸出は中小企業向けに好調維持。利ザヤも底打ち資金利益復調。手数料も保険、決済関連、
住宅ローン関連など増勢。経常益順調増。
【人材紹介】19年5月メドに職業紹介事業を開始、顧客の事業承継や人手不足に対するコンサル力強化。
外債含み損処理は一巡。 2019年03月12日09時42分
三菱UFJが続伸、米10年債利回りが6日ぶり反発し米金融株高に追随
https://kabutan.jp/stock/news?code=8306&b=n201903120215
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>が続伸。前週に580円近辺を横に走る25日移動平均線を下放れたが、
目先買い戻しが優勢となっている。前日の米国株市場ではゴールドマン・サックス、シティーグループ、JPモルガン、
バンク・オブ・アメリカなど大手金融機関が買われ米株市場のリバウンドに貢献した。米10年債利回りも6日ぶり反発
し終値ベースで2.64%台に上昇、これを背景に米国事業展開に厚い同社株も買い戻される流れとなっている。 麻生財務相:日銀の2%物価目標、「もう少し考えを柔軟に」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-12/PO8XE46KLVRF01
2%に行っていないからといって怒っている一般庶民はいない
最初に目標に掲げたのでどうしてもやらざるを得ないという形に
麻生太郎財務相は12日の参院財政金融委員会で、日本銀行が達成を目指している2%の物価目標について「もう少し考えを
柔軟にやってもおかしくないのではないか」と語った。共産党の大門実紀史氏への答弁。
麻生財務相は「2%と最初に目標に掲げたのでどうしてもそれをやらざるを得ないという形になっている」と指摘。「2%に行って
いないからといって怒っている一般庶民がいるか、私の知っている範囲では1人もいない」と語った。欧州中央銀行(ECB)など同
じ2%目標を掲げる海外の中銀をみると「1.99%では駄目で2.0%でなくては駄目だという発想は全くない」との認識も示した。
日本商工会議所の三村明夫会頭は先週のインタビューで、日銀による異次元緩和の長期化に伴い「弊害もいろいろ出てきてい
る」と指摘。「もうそろそろ2%物価上昇にこだわらない、もう少し柔軟な金融政策をとってほしい」と述べた。 みずほ銀、興銀リース株を追加取得 グループで23.5%保有へ
https://jp.reuters.com/article/mizuho-kogin-idJPKBN1QT0NM?il=0
[東京 12日 ロイター] - みずほフィナンシャルグループ(8411.T)は12日、連結子会社のみずほ銀行(千代田区)が、
興銀リース(8425.T)の普通株式64万8000株を、市場外の相対取引で既存株主から新たに取得することを決定したと
発表した。相対取引の実施予定日は3月29日。みずほFGは2月にもみずほ銀による興銀リース株の取得方針を発表
していた。一連の取得を通じ、グループ全体で興銀リース株の23.5%を保有することになる。 日銀の雨宮正佳副総裁は12日の参院財政金融委員会で、上場投資信託(ETF)の買い入れについて、
「日経平均株価が1万8000円程度を割り込むと、日銀の保有ETFの時価が簿価を下回る」と発言した。
2018年9月末の数値を元に計算したという。
共産党の大門実紀史氏への答弁。
2019/3/12 15:03
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL12HHW_S9A310C1000000/ 日銀の雨宮副総裁、ETF「日経平均1万8000円割れで簿価下回る」 参院財金委
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL12HHW_S9A310C1000000/
日銀の雨宮正佳副総裁は12日の参院財政金融委員会で、上場投資信託(ETF)の買い入れについて、
「日経平均株価が1万8000円程度を割り込むと、日銀の保有ETFの時価が簿価を下回る」と発言した。
2018年9月末の数値を元に計算したという。
共産党の大門実紀史氏への答弁。 国内の洋上風力、総事業費2兆円、みずほ銀が試算。
2019/03/13 日本経済新聞 朝刊
国内で計画される洋上風力発電の総事業費が2兆円に達することがみずほ銀行の試算でわかった。政府は再生可能エネルギーを
主力電源に育てる方針で、昨年には洋上風力の開発を促す法律が成立した。環境に配慮する「ESG投資」で石炭火力発電には逆風
が吹いており、銀行も融資をシフトする可能性がある。
現在、環境影響評価(アセスメント)中の13件の事業費を試算した。総発電量は計約537万キロワット。1キロワット当たりの建設費
を約56万円と設定、アセスにかかる費用を除いてはじき出した。太陽光やバイオマスなど再生エネルギー全体の総事業費は稼働済
みも含め総額5兆円規模で4割を洋上風力が占めることになる。
洋上風力は事業規模が大きく、複数の金融機関が事業融資(プロジェクトファイナンス)で資金を出す。アセス手続き前の案件も含め、
10件は3メガ銀が主幹事として融資を検討しているとみられ、みずほはこのうち5件に助言している。
政府は再エネ比率を17年度の16%から30年度に22〜24%にする目標を掲げている。 みずほFグループ − 【四季報先取り】みずほFグループ
詳細
【小幅増益】内外とも貸出順調。ただ、市場部門が想定以下。与信費用の戻り益減り、経常益減額。
20年3月期は国内中小向け利ザヤ小幅縮小だが、貸出は内外とも堅調。役務は法人が伸長。
システム償却負担と与信費用増すが、経費圧縮発現で経常増益に。
【Jコイン】QR決済のJコインペイを19年3月開始、地銀と連携。
独フランクフルトで証券業認可取得、英国のEU離脱に対応。 ポジション)日銀追加対応、まずは指針修正か 緩和長期化を約束 「利下げ」円急騰時に温存
2019/03/13 22:35 日経速報ニュース
内外の景気が減速する中、日銀の追加緩和に対する関心が強まっている。ただ金利引き下げなどの本格的な対応は副作用が強く、円
相場急騰など大きな混乱が起きたときのために温存しそうだ。代わりに、まずは政策指針の修正で対処する可能性がある。今の金融緩
和政策をより長く手がけることを約束し、多少なりとも経済刺激効果を出すことを狙う。
追加緩和の手法について日銀は従来、長短金利の引き下げや資産買い入れの拡大などを挙げてきた。だが副作用があり、簡単には実
施しにくい。
既にマイナス水準の短期政策金利やゼロ%程度の長期金利誘導目標をさらに下げれば、金融機関の収益に打撃を与える。機関投資
家の資産運用にも負の作用を及ぼす。上場投資信託(ETF)購入の増額も、株価が本来の企業価値を一段と反映しなくなる恐れが指摘
される。
日銀内で聞こえるのは、本格的な行動を起こすのは急激な円高進行など深刻な事態に陥ったときとの声。市場でも「追加緩和は、1ド
ル=100円を突破するような円高になった場合」(JPモルガン証券の佐々木融氏)との指摘が聞かれる。
ただ、足元の景気減速を傍観する印象を与えるのは日銀にとっても得策ではない。そこで先行きの政策に関する指針(フォワードガイダ
ンス)を修正する可能性がある。
日銀は2013年4月に異次元緩和を導入して以降、緩和策を粘り強く続ける姿勢を印象付けるため、3つの指針を導入してきた。長めの
金利に下げ圧力をかけて円高防止効果などを狙った。
第1の指針が異次元緩和という今の政策を「2%物価目標の安定的な持続に必要な時点まで継続する」との約束。第2が「資金供給量
(マネタリーベース)の拡大」を「消費者物価上昇率(生鮮食品を除く)が安定的に2%を超えるまで続ける」という方針だ。第3は「現在の
きわめて低い長短金利」を「消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、維持する」との約束である。
重要なのはいずれも表現に曖昧さを残す点。第1の指針は、物価2%の達成見通しさえ立てば今の政策の枠組みをやめられるようにも
読める。第2の指針では、「資金供給量拡大」が具体的にどの程度の増加か不明。第3の指針も、「きわめて低い長短金利」をいつまで維
持するか不明確だ。
いずれも表現を明確にすれば、日銀の緩和姿勢が一段と長く続くとの予想を市場に広げられる。
当面、夏場にかけて第3の指針の修正が課題になる可能性がある。消費増税は10月に予定されており、今の表現だと年内に「きわめて
低い長短金利」の引き上げがあるとの見方も出かねないからだ。長短金利の超低水準が来年も続くことを示唆する表現に改めるのが一案だ。
ただ、指針修正について「日銀が強調しなくても、多くの市場参加者が異次元緩和の長期化を予想している」(みずほ証券の上野泰也
氏)との指摘もある。こうした見方が大勢を占めるなら緩和効果は限られそうだ。 24時間送金、みずほ参加、10連休明けから、3メガ銀足並み。
2019/03/14 日本経済新聞 朝刊
みずほ銀行は10連休(4月27日〜5月6日)明けから、夜間や休日でも24時間送金できる全国銀行協会のシステムに接続する。
三菱UFJ銀行、三井住友銀行の2行はすでにサービスを提供しており、3メガ銀が出そろうことで顧客の利便性が向上する。
5月7日からサービスを始める。みずほ銀は昨年から社内の次期勘定系システムへのデータ移行を段階的に進め、2月に作業を終
えた。みずほ信託銀が移行作業を予定する7月の3連休中は、みずほ銀の夜間・休日送金も臨時休止となる。同信託銀は7月以降の
接続を検討する。
銀行間の送金は金融機関をつなぐ「全銀システム」を経由する。稼働が平日午前8時30分〜午後3時30分のため「他行宛ての振り
込みは午後3時まで」といった制約を生み、午後3時以降や休日の振り込みは翌営業日にしか相手に届かなかった。
これを解消するため、昨年秋に「モアタイム」と呼ぶシステムが稼働した。送金元と振込先の双方の銀行が対応していれば、給与や
賞与を除く1億円未満を365日送金できる。大手行や信用金庫などが参加し、メンテナンス時間を除けば約6割が平日・休日とも24
時間接続している。 環境債裏付けに協調融資を組成、三井住友銀。
2019/03/14 日本経済新聞 朝刊
三井住友銀行は信託の機能を使い、企業のグリーンボンド(環境債)を裏付けとした協調融資を組成する。債券投資ではなく、融資の
かたちを整えることで地方銀行や信用金庫でも参加しやすくしたのが特徴だ。資金の出し手を広げ、企業の債券発行を後押しする。
まず中部地方の上場企業が太陽光発電の建設資金として出す100億円以上のグリーンボンドを対象にする。 金融政策、物価2%の絶対値にこだわりすぎるべきでない=全銀協会長
https://jp.reuters.com/article/fujiwara-ba-idJPKCN1QV190
[東京 14日 ロイター] - 全国銀行協会の藤原弘治会長(みずほ銀行頭取)は14日の定例会見で、日銀の金融政策について
「物価2%の絶対値にこだわりすぎるべきではない」などと述べ、柔軟な金融政策に転換するべきとの考えを示した。
藤原会長は「物価目標は、たとえば1%から2%などレンジで示すなど、より柔軟化する余地があるのではないか」と指摘した。さ
らに、金融政策の理念について「物価の安定を図ることを通じて、持続的な経済成長を実現するという点にある。物価安定と景気
の回復の両立を息長く維持する観点での政策運営が必要」と語った。
また、大手行や地銀などが保有するローン担保証券(CLO)について「投資環境を踏まえて、リスク顕在化の兆候がないかモニタ
リングレベルをあげるべき」との認識を示した。 【高論卓説】超低水準の地銀PBR 異次元緩和の副作用、収益悪化に悲鳴
https://www.sankeibiz.jp/business/news/190314/bse1903140500001-n1.htm
日本銀行の異次元金融緩和が始まってから間もなく6年になる。その功罪をめぐる論議が活発になってきたが、効き目が強烈だった
だけに、副作用も強かった。副作用の一つは金融機関の収益環境の悪化である。地方銀行、第2地銀の約半数が預貸業務を主力と
する本業で2年以上赤字を続けている。みずほフィナンシャルグループは2月上旬、2019年3月期連結決算で約6800億円の損失を
計上すると発表した。店舗や次期勘定系システムの減損処理などに伴う損失だ。今後の収益の一段の悪化を見越し、多少の余裕が
あるうちに重荷になりそうな“負の遺産”を一掃しておこうとの狙いが込められた決定だった。(経済ジャーナリスト・加藤隆一)
株式市場における銀行の評価は厳しい。株価純資産倍率(PBR)を低い順に並べたランキングの上位は地銀、第2地銀株が独占して
いる。それもトップの高知銀行0.12倍(3月11日現在、以下同)、11位の島根銀行0.22倍といった具合に0.1〜0.2倍台の超低
水準にひしめく。PBRの低さは地銀、第2地銀に限らない。メガバンク3行も0.5倍前後できびすを接している。
PBRは株価が1株当たり純資産の何倍まで買われているかを示す投資指標である。1.0倍が貸借対照表を基にした理論的な解散
価値といわれ、通常はPBR1.0倍が株価の一応の下値のめどとされてきた。地銀、第2地銀株のPBRのあまりの低さには市場関係
者も驚きを隠さない。株価は解散価値もないとみなし、先行きの消滅さえ予見するかのような超低水準に張り付いているからだ。市場
からはお定まりの“割安”の声さえ上がらない。
スルガ銀行がシェアハウス向け融資で審査書類の改竄(かいざん)など不正に手を染めた。許されない暴走だったが、異次元緩和の
下で減り続ける預貸業務の利益を補おうとの焦りがもたらした不正でもあった。資金運用難で米国の信用度の低い社債やローン担保
証券の大量取得に走った地銀、第2地銀も多い。ゼロどころかマイナス金利下ではローリターン(少ない利益)を求めるにもハイリスク(高
い危険)を冒さざるを得ない。
ゆうちょ銀行の貯金預入限度額が4月から現行の2倍の2600万円となる。資金運用難で「預金はもういらない」が銀行界の潮流だ。
あるバンカーは「そんなにお金を集めてどうするの」と揶揄(やゆ)する。某証券マンは「親会社の日本郵政は成長戦略の一環で不動産
への進出を画策している」とうがつ。提携相手の企業名まで取り沙汰されている。仮に後発の日本郵便が不動産業務で利益を求めると
すれば、経営のリスクが高まるのは必至だ。
地銀、第2地銀は金融仲介機能を通じ特色ある地元企業を育て、地域経済を支えてきた。しかし、長引く超金融緩和は地銀、第2地
銀の経営を疲弊させ、預貸の本業の赤字を常態化させつつある。地域経済の低迷にもつながる。
金利があってこその銀行経営、金融システムの安定だ。超金融緩和の物価2%上昇の目標は逃げ水のように遠ざかる。マイナス金
利にまで踏み込んだ超金融緩和は経営を立ち行かなくさせよう。地銀、第2地銀株が軒並み異常ともいう低PBRに放置されているのは
超金融緩和の出口策を求めている悲鳴にも聞こえる。 2019-03-15 東海東京 Neutral継続 640円 → 625円
2019-03-15 モルガンS Equalweight継続 200円 → 190円
03/15 8411 みずほFG モルガンS Equalweight継続 200円→190円
03/15 8306 三菱UFJFG 東海東京 Neutral継続 640円→625円 マイナス金利、経済冷やす?、功罪、世界で論争、日銀政策に影響も。
2019/03/16 日本経済新聞 朝刊
中央銀行が経済を刺激するために政策金利を0%未満にする「マイナス金利政策(3面きょうのことば)」に世界の有力な学者やエコノミスト
が疑問を投げかけている。導入した欧州と日本で経済の回復が弱いうえに、金融緩和として物価を上げる効果すら疑う説が出てきたためだ。
世界経済の減速を前に、市場関係者の関心は金融緩和に向かっている。しかしマイナス金利の評価が割れたままでは、緩和政策の展開は
一段と難しくなる。(関連記事5面に)
貸出金利が上昇
マイナス金利は銀行の貸し渋りを招き、経済を冷やすのではないか。米国の元財務長官でハーバード大教授のローレンス・サマーズ氏とノ
ルウェー中銀のエコノミストらは1月、こう主張する論文を発表した。
同氏らが検証したのは、スウェーデンが2015年に導入したマイナス金利だ。中銀に預けるお金の金利がマイナスになった銀行は自ら預か
る預金はマイナス金利にできず、収益が悪化した。預金の多い銀行ほど貸し出しが鈍ったという。金利がマイナス0・5%になると貸出金利は
0・15%上昇し、国内総生産(GDP)は0・07%押し下げられるとした。
スウェーデン中銀はホームページで火消しに走った。「時間はかかったが、住宅ローン金利は政策金利の引き下げに応じて下がっている」。
全体で見れば貸し出しの伸びはマイナス金利の前後で大きく変わらず、政策への評価は割れる。
マイナス金利が物価の停滞を招くとの見方も出ている。低金利で資金調達のコストが低いと、企業は値上げをしなくても収益を得られる。低
収益の事業でも続けられ、過当競争で物価が下がる。東短リサーチの加藤出氏は「低金利が長く続くと物価や潜在成長率、生産性を下げる
と考える専門家が増えてきた」と話す。
こうした考え方から、利上げがむしろ経済を押し上げるという分析も出てきた。米コロンビア大のマーチン・ウリベ教授は米国の1954年から
2018年の経済データを分析。継続すると表明した上で段階的に利上げをすると金利以上に物価が上がり、物価を考慮した実質金利が下が
って経済にプラスになるとした。
日本でも早大の小枝淳子准教授が同様の分析をした。日銀が16年9月に政策金利をマイナス0・1%からゼロ%に上げたと仮定すると政
策金利よりも物価が上がり、実質金利が下がって景気を押し上げる試算になったという。個人の見解だが、18年11月に公表したのは日銀
の金融経済研究所だ。BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は「日銀の議論に影響する可能性は十分ある」と話す。
マイナス金利は金融緩和を強化するとされてきた。1930年代に大恐慌を分析した経済学者のアービング・フィッシャー氏による「名目金利
=実質金利+期待インフレ率」の方程式では、名目金利が一定なら物価が低迷すると実質金利が上がる。マイナス金利にすると実質金利
に下げ圧力が働くため、経済にプラスの効果が期待できる。
物価目標届かず
こうした理論などから12〜15年に北欧の中銀や欧州中央銀行(ECB)がマイナス金利を採用し、16年には日銀が銀行から預かるお金の
一部をマイナス金利にした。銀行は日銀にお金を預けると損をするため、民間への貸し出しを増やす。設備投資が増え、景気や物価を押し上
げるとされた。
それから3年。16年に前年比0・3%低下した生鮮食品を除く消費者物価は、18年には0・9%上がった。黒田東彦総裁は15日の記者会
見で「マイナス金利は全体として金融緩和の効果をあげている」と語った。
だが、日銀の予測では目標の2%には20年度にも届かない。リーマン・ショック後、日欧と同様に大規模な金融緩和を進めた米連邦準備
理事会(FRB)や英中銀はマイナス金利は採用せず、利上げに転じた。SMBC日興証券の丸山義正氏は「日本と欧州が利上げに至らない
ことは、政策効果の現実を示す」と語る。
一方で19年に入り、FRBは15年から進めてきた利上げを一時停止すると表明した。今後の緩和路線への関心が高まり、マイナス金利が
経済にプラスとの見方も再び浮上している。2月上旬にはサンフランシスコ連銀のバスコ・カーディア氏が、リーマン・ショックの時に米国でマ
イナス金利を採用していれば、より早く経済が上向いたはずだとする論文を公表した。
世界の中銀が緩和に動けば、すでに超低金利の日本との金利差は縮み、円高圧力になる。日銀も緩和に進むなら、選択肢の一つは「短
期政策金利の引き下げ」(黒田総裁)だ。異次元緩和は再び、評価の定まらない実験への決断を迫られる。 日銀「景気、年後半に回復」、決定会合「緩やかに拡大」維持、追加緩和をけん制。
2019/03/16 日本経済新聞 朝刊
日銀は15日開いた金融政策決定会合で、景気の現状について「緩やかに拡大している」との判断を維持した。生産と輸出の動きはさえな
いが、黒田東彦総裁は記者会見で2019年後半には中国と欧州の経済が持ち直すとの見方を示した。だが、先行きの不透明感は強い。強
気ともいえる景気認識の裏には、追加緩和を促されても手段が限られるとの懸念がある。(1面参照)
15日の決定会合では長期金利をゼロ%程度に誘導するなどの金融緩和策の現状維持を決めた。
一方で景気の見方については輸出と生産、海外経済の判断を引き下げた。輸出と生産は1月は「増加基調にある」と判断していたが、輸出
は「足元では弱めの動き」、生産は「緩やかな増加基調にある」に修正した。黒田総裁は「海外経済の減速が輸出、生産に影響を与えている」
と述べた。
中国経済の減速で日本企業の輸出に陰りが出ているほか、半導体などの生産活動にも影響が出ている。日銀算出の実質輸出は1月に前
月比5・2%低下。経済産業省がまとめる鉱工業生産指数は1月まで前月比で3カ月連続で下がった。
内閣府公表の1月の景気動向指数では一致指数が3カ月連続で低下し、機械的に決まる基調判断は景気後退の可能性を示唆している。
それでも「緩やかに拡大」とする総括判断を据え置いたことについて黒田総裁は「所得と支出の好循環が続くシナリオは変わっていない」と
説明した。「設備投資は順調で、消費も振れを伴いながら堅調に推移している」とも語った。
輸出と生産が弱含む要因となった海外経済については、中国と欧州が19年後半には回復基調に戻るとした。欧州は自動車販売が環境
規制による一時的な減速から持ち直すほか、中国向け輸出も回復するとみる。中国経済について黒田総裁は「大規模な景気対策がすでに
決定し実行されつつあり、どんどん減速していく状況にはない」とした。
民間エコノミストの間でも中国経済がある程度持ち直すとの見方が多い。15日に閉幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で2兆
元(約33兆円)規模の減税と社会保険料下げなどの経済対策を打ち出したためだ。日本総合研究所の関辰一氏は「政府の内需刺激策で急
激な失速は回避できる」とみる。
ただ中国は地方政府や企業の過剰債務などの構造問題を抱えていて、対策には限界があるとの見方もある。市場では経済の減速が進め
ば「日銀は4月にも追加緩和を迫られる」(SBI証券の道家映二氏)との見方がなおくすぶっている。
日銀内でも1月の決定会合で「経済・物価の下方リスクが顕在化するなら政策対応の準備をしておくべきだ」との発言が出たことが主な意見
で明らかになっている。大規模な金融緩和に積極的なリフレ派の原田泰審議委員も「リスクが顕現化すれば、遅滞なく追加緩和をすることが
必要だ」と6日の講演で強調した。
一方で金融機関の収益悪化など長引く緩和の副作用への警戒もあり、追加緩和のハードルは以前よりも高い。
日銀は15日にはひとまず景気に強気な見方を示し、市場にくすぶる追加緩和の期待とは距離を置いた。だが仮に景気が一段と曇れば、副
作用を考慮しながら追加緩和のタイミングを探るという難しい作業が待ち受ける。
日銀は景気の総括判断を据え置いた
前回(1月) 今回 方向
総括判断 緩やかに拡大している 同じ →
海外経済 着実な成長が続いている 緩やかに成長している ↓
輸出 増加基調にある 足元では弱めの動きとなっている ↓
生産 増加基調にある 緩やかな増加基調にある ↓
個人消費 緩やかに増加している 同じ → 緩和長期化、銀行業界に焦り リスク投資で損失…経営揺らぐ懸念
https://www.sankeibiz.jp/business/news/190315/bse1903150500003-n1.htm
日本銀行の大規模金融緩和の長期化に対し、銀行業界が焦燥感を募らせている。市場では今後の景気後退入りを見込んだ追加緩和
観測もくすぶり、緩和を手じまいする「出口戦略」は一層遠のきそうだ。低金利の長期化で本業の貸出業務は利益を出せず、リスクの高い
投資に傾注して損失を出し、経営の安定性が揺らぐ懸念が強まっている。
全国銀行協会の藤原弘治会長(みずほ銀行頭取)は14日、会長として臨む最後の記者会見で、大規模緩和について「経済全体で損失
が利益を上回る状態に陥るリスクが高まっていないか十分精査してほしい」と見直しを要望した。また、日銀が掲げる2%の物価上昇目標
にはこだわらない柔軟な対応を求めた。
景気が後退局面入りした可能性が指摘される中、銀行業界の訴えには、政府が景気は穏やかな回復基調にあるとの認識を維持している
今が将来の正常化に向けた政策修正の「ラストチャンス」(大手銀幹部)という切迫感がある。
実際、エコノミストの間では日銀がいずれ追加緩和に踏み切るとの見方が徐々に強まっている。足元の株価回復を受け、今すぐ景気の下
支えが必要になるとみる向きは少ないが、年末に向け景気悪化が進み上場投資信託(ETF)の買い増しなどの対応が必要になるとの見立
てが広がっている。
今年に入って利上げを中断した米連邦準備制度理事会(FRB)には既に利下げ観測も浮上。現実になれば日米の金利差縮小による円
高進行を防ぐため日銀も追加緩和を検討せざるを得ず、出口戦略は数年単位で後ずれする可能性が高い。
超低金利で利ざやが減った金融機関は収益を求めリスクを取る傾向を強め、昨年後半からの株安や米金利上昇を背景に株式や外債投
資の運用失敗で損失を計上する事例が相次ぐ。みずほフィナンシャルグループが2019年3月期の業績予想で計約6800億円の巨額損
失を発表したのも外債運用などで約1800億円の損失を出したのが一因だ。
比較的高い利回りに引かれ低格付け企業への融資を証券化したローン担保証券(CLO)を買い入れた邦銀も多く、金融庁は価格低下
時の損失に懸念を強める。
全国地方銀行協会の柴戸隆成会長(福岡銀行頭取)は「信用性が低い商品から問題が出る。世界経済が踊り場に差し掛かる中、十分
注意している」と説明する。( 銀行カードローンに逆風、融資残高、8年ぶり減少、家計債務が膨張(エコノフォーカス)
2019/03/18 日本経済新聞 朝刊
銀行のカードローン事業が曲がり角を迎えている。国内の融資残高は2018年末に減少に転じた。過剰融資の恐れがあるとの批判を
受け、審査を厳格にしたことが直接の原因だ。ただ、こうした要因がない米国でも伸びが鈍化している。低金利環境の長期化で貸し付け
がじわじわと増加し、家計が債務に耐えきれなくなりつつあることも背景にある。(荒木望)
日銀のまとめによると、国内の銀行カードローンの融資残高は18年12月末時点で約5兆7千億円。17年12月末に比べて0・8%減と
なり、8年ぶりに減少に転じた。
銀行カードローンは銀行の個人向け貸し出しの一種で、利用者は無担保で利用目的を問わずにお金を借りられる。金利は最大で10%
以上と割高だが、限度額に達するまでは繰り返し使える。
厳格審査に転換
融資残高は日銀の金融緩和政策による低金利の追い風を受けて増加してきた。異次元緩和が始まった13年以後、一時は年10%以
上のペースで伸びた。残高は5年間で2兆円近く膨らんだ。
銀行は企業向けの貸出金利が低下するなか収益源の一つとして力を入れ、利用者も低金利で以前よりは利払い負担が減ったことに着
目した。貸し手と借り手の双方にメリットがあったことで残高が増えてきた。
ただ融資が急増すれば、利用者の返済能力を上回る恐れがある。最高裁によると、減少傾向にあった個人の自己破産が16年から増加
に転じ、18年も7万3084件と前年比で6・2%増えた。
カードローンの過剰融資が自己破産が増えた原因の一つといった批判を受け、全国銀行協会は17年に融資審査を厳格にすることを申
し合わせた。「年収の2分の1まで」など融資上限を自主的に決める銀行も増えた。審査の厳格化で融資の拡大にブレーキがかかった。
米は伸び率半減
ただ、海外に目を向けると、日本のような審査厳格化がない米国でもカードローンの伸びは鈍化している。融資残高は17年に一時8%も
伸びていたが、足元では4%台まで低下した。
最大の要因は家計債務の増加だ。ニューヨーク連銀によると米国の家計の負債額は18年末時点で約13兆ドルにのぼる。5年前より20
%近く増えた。
米連邦準備理事会(FRB)が利上げに動いたことで、利用者の負担は高まっている。膨らんだ借金を返せなくなる人も増え始め、返済が
90日以上延滞している負債の残高は約4千億ドルに達するとみられる。
学生ローンの債務残高も1兆4千億ドルと10年前の2倍以上だ。マネックス証券の大槻奈那氏は「延滞が重なってカードローンを使えな
くなる人が増え、新規の契約が抑えられている」とみる。
日本は米国ほどではないものの、家計債務は上昇傾向にある。日銀の資金循環統計によると、18年9月時点で家計の負債額は前年
比2・7%増の319兆円。05年以来、約13年ぶりの多さだ。
約1800兆円ある家計資産に隠れて見逃されがちだが、いずれ金利が上昇した際には米国のように返済延滞の問題が深刻になる恐れ
がある。国内の自己破産の件数が減らなければ「さらに貸し出しの減少が続く可能性がある」(大槻氏)。
銀行の個人向け貸し出しの主力は住宅ローンだが、カードローンも全体の5%程度を占める。預金と貸し出しの金利差で稼ぐ従来型のビ
ジネスが壁にぶつかる国内銀行。厳しさを増す経営環境の一端がカードローンの苦境にも表れている。 邦銀の対外与信残高、18年12月末で4兆1213億ドル 日銀集計
2019/03/18 09:25 日経速報ニュース
日銀が18日発表した国際決済銀行(BIS)国際資金取引・与信統計によると、2018年12月末時点の邦銀の対外与信残高
(最終リスクベース)は4兆1213億ドルだった。9月末比で786億ドル増加した。先進国向けでは米国向けが791億ドル増加し
たほか、オフショア・発展途上国向けではケイマン諸島向けが184億ドル増加したことが影響した。
BISの国際与信統計は主要31カ国・地域に本店を置く銀行の国際的な与信活動を集計しており、日本の分は日銀が取りま
とめて四半期ごとに集計している。 海外マネー、日本国債に 長期金利に低下圧力
2019/03/18 21:02 日経速報ニュース
海外マネーが日本国債に流入している。世界的に金利が低下するなかで日本国債の魅力が高まり、欧州の投資家を中心に
購入が増えている。1〜2月の買越額が4兆円強の高水準に達したことで日本の金利低下を促し、外国為替市場で円高を防ぐ
一因にもなっている。 リース基準、市場揺らす―企業価値の見極めに甘さ(スクランブル)
2019/03/19 日本経済新聞 朝刊
会計ルールの変更が日本株市場を揺らしている。不動産など事業に使うリース資産を貸借対照表に計上する内容で、一部銘柄では収益
力指標である総資産利益率(ROA)が約1割下がるなど大きな影響を与える。こうした銘柄の株価は弱含むが「従来の市場評価が甘かった
のでは」との指摘もある。ルール変更は投資家に対し、真の企業価値を見極めていたかを突きつけている。
「今ごろ売るのは本質的な価値を分析していなかった証しではないか」。アバディーン・スタンダード・インベストメンツの窪田慶太インベスト
メント・ディレクターはこう指摘する。多くの投資家がにわかにリスク要因として基準変更を警戒し始めている。
きっかけは今月上旬、日本の会計基準を作る企業会計基準委員会がリース会計見直しに向けた議論を始めたことだ。航空機や店舗、不
動産など事業に使う「オペレーティングリース」(オペリース)を貸借対照表に計上することを検討する。購入に近い「ファイナンスリース」はす
でに計上されているが、賃貸借方式のオペリースは未計上だった。日本の上場企業で対象規模は20兆円弱に上る。
実際の影響が出るのはまだ先だが、市場は敏感に反応している。先月末比の株価をみると日本航空が3・2%安、東京センチュリーが5・
1%安に沈む。
□ □
大和証券の橋本純一シニアクオンツアナリストの分析によると、オペリースを活用する企業の多くで資産が増えROAが低下する。
例えばオペリースの比率が高い大東建託はROAが11・4ポイント、東建コーポレーションは9・7ポイント低下する。ROAが6・6ポイント低
下する保育施設運営のライクキッズネクストの株価は前月末に比べて12%下落した。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は「多くの企業から投資先を絞り込む際に、指標が悪化した銘柄は機械的に排除さ
れやすくなる」と話す。財務指標や投資指標をもとに機械的に銘柄を選び出す「クオンツ運用」の拡大が背景にある。
会計基準国際化の流れを受けて「資産計上は財務の透明化やひいては健全化につながり長期的には有効な措置」。こう語るのは三菱U
FJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジストだ。
□ □
基準変更の余波はリース需要の減退につながる可能性もある。さらに、リース会社にとっては米ボーイング機「737MAX」の墜落事故も
悪材料視されている。航空機リースを手掛ける三菱UFJリースやオリックスは保有機があるとされ、三菱Uリースは発注済み案件も残る。
「安全性のイメージ低下で機体の運用収益が悪化する可能性がある」(外資系証券)
もっとも、会計基準が変わっても「企業が手掛ける本質的なビジネスモデルや価値は変わらない」(セゾン投信の瀬下哲雄運用部長)。企
業価値をどう見抜くか、試されるのは投資家自身といえそうだ。
(寺井伸太郎)
リース基準見直しの影響を〓受けやすい銘柄が軟調だ
ROAの低下幅 先月末比の株価騰落率
大東建 ▲11.4ポイント 0.1%
ライクKN ▲6.6 ▲12.0
エイチーム ▲5.3 ▲0.7
グリーンズ ▲5.0 ▲2.6
ライク ▲4.1 ▲6.4
パーク24 ▲3.6 ▲3.5
ラウンドワン ▲3.5 ▲0.4
エコス ▲2.6 ▲8.0
ファイズ ▲2.5 ▲1.5
FJネクスト ▲2.3 ▲1.6
日経平均 ― 0.9
(注)ROAの低下幅は大和証券の試算値、▲は下落 リース基準に揺れる市場、企業価値の見極めに甘さ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4260569018032019EN1000/
リース会社にとっては米ボーイング機「737MAX」の墜落事故も悪材料視されている。航空機リースを手掛ける三菱UFJリースや
オリックスは保有機があるとされ、三菱Uリースは発注済み案件も残る。「安全性のイメージ低下で機体の運用収益が悪化する可
能性がある」 日銀内で21年度の2%達成厳しいとの見方、4月展望リポート
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-18/POJR7F6TTDS101
「もう少し考えを柔軟にやってもおかしくない」−麻生財務相
2%目標変更の必要があるとか変更が好ましいと思わない−黒田総裁
日本銀行は4月末に2021年度の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)前年比の見通しを新たに示すが、物価目標として掲げる
2%を達成するのは21年度も厳しいとの見方が日銀内の一部で出ている。複数の関係者への取材で明らかになった。
日銀は4月24、25両日の金融政策決定会合で経済・物価情勢の展望(展望リポート)を策定し、見通し期間を1年延長し21年度までの
経済、物価見通しを示す。複数の関係者によると、21年度の物価見通しについてはまだ正式な議論が始まっていないが、日銀内の一部
の関係者は、物価が上がりにくい状況が続いていることから21年度も2%に達するのは難しいとみている。
日銀は13年4月、黒田東彦総裁の下で、約2年を念頭に2%の物価目標の達成を目指すとして異次元緩和を開始。累次の追加緩和を
行ったが、足元の物価上昇率は1%に満たず目標は遠い。達成時期は6回先送りされ、昨年4月に公表自体を取りやめた。超低金利政
策が長期化する中、金融機関経営への影響など副作用が累積しており、異次元緩和への批判的な声が強まる可能性もある。
麻生太郎財務相は12日の国会答弁で、2%物価目標は「もう少し考えを柔軟にやってもおかしくないのではないか」と言明。15日の記者
会見では「2%にこだわり過ぎると、そちらの方がおかしくなる点は考えておかねばならない」と述べた。日本商工会議所の三村明夫会頭
は7日のインタビューで、「弊害もいろいろ出てきている」として、2%にこだわらずより柔軟な政策運営を行うべきだとの考えを示した。
黒田総裁は15日の記者会見で、2%物価目標を「変更する必要があるとか、変更することが好ましいとは思っていない」との考えを表明。
一方で、達成時期については「長期にわたる低成長やデフレの経験などを踏まえると、物価上昇率が高まるには相応の時間かかる可能
性がある」との見方を示した。 株、小高く推移か・木野内氏 欧米の金融株高を好感
2019/03/19 08:20 日経速報ニュース
木野内栄治・大和証券チーフテクニカルアナリスト 19日の東京株式市場で日経平均株価は前日終値(2万1584円)から100円程度高い
2万1600円台後半で小高く推移しそうだ。18日は経営不振に陥っていたドイツ銀行の統合交渉発表を受けて欧州で銀行株が上昇。この流
れが好感され、金融株がけん引する形で米ダウ工業株30種平均も上げた。欧州での大手金融機関の統合は国内の銀行株に直接的な影
響を与えないものの、東京市場でも投資家心理が上向く材料となるだろう。
年内の利上げ回数などが焦点となる米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を20日に控え、内容を見極めたいとして積極的に上値
を追う投資家は少ない。だが、上昇基調を保つ中国の上海株式相場が一段と上値を試す展開となれば、日本株の上昇を後押ししそうだ。 株主還元響かぬ相場―欠ける成長戦略万年割安も(スクランブル)
2019/03/20 日本経済新聞 朝刊
東京市場のよりどころとなってきた株主還元の神通力が薄れてきた。これまで自社株買いを発表すると株価上昇効果を確認しやすかった
が、足元では自社株買いを発表しても値崩れする銘柄が目立つ。代表的な高配当利回り銘柄である商社株の動きをみると、日本株が「万
年割安」化する懸念が浮上する。
「3月中に仕込んでおこうかと」。ある外資系投資会社の担当者は、4〜5月の本決算の到来を前に自社株買い期待の高い銘柄を物色中
だ。発表直後の上昇局面で売り抜けるためだ。本来、企業が自社株買いを実施するのは中長期投資家を増やす狙いがあるが、足元では「
短期ラリーの格好の材料になっている」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成氏)。
自社株買いの金額は2018年度に過去最高になる見通しだ。積み上がった資金の還元は評価され、自社株買いは株価上昇のけん引役
だった。例えば、常連で知られたキヤノン。17年5月末に公表した際は株価が実施前水準を割り込むまでの「賞味期限」は約1カ月間。昨年
11月公表のアマダホールディングスも賞味期限は1カ月弱だった。
だがこの期限が短くなっている。11年ぶり1000億円という規模で3月12日に自社株買いを発表した信越化学工業。翌日こそ上昇したが
14日は急落し実施前水準を割り込んだ。3月5日公表の森永製菓の賞味期限も約1週間だ。2月19日に自社株買いを公表した広告制作
大手のAOI TYO Holdingsに至っては足元で7%安い。
□ □
背景には企業統治改革を通じ、投資家と企業の対話が進む中、「市場が求める還元の質が上がった」(JPモルガン証券の阪上亮太氏)こ
とがある。自社株買い表明時に、明確かつ継続的な還元方針や成長につながる投資戦略などがセットになっているかが株価を左右する。
株主還元に力を入れているにもかかわらず、万年割安株から脱却できない代表例が商社株だ。大手7社では豊田通商を除く6社の配当利
回りが4%前後の高水準で推移。予想PER(株価収益率)も5〜7倍台と東証1部の14倍台より低い。全社が19年3月期に最高益を見込
み、配当も増やすが、1月末以降の株価は同6社が日経平均の上昇率(4%)を下回る。
□ □
伊藤忠商事によるデサントへの敵対的TOB(株式公開買い付け)の意味は大きい。他の大手商社と異なり、非資源事業の利益比率が8割
を超える伊藤忠にとり、繊維部門の代表格であるデサントは成長に欠かせないからだ。伊藤忠は22年の北京五輪を見据え、デサントの中国
事業を強化する青写真を描く。伊藤忠の成長戦略への市場の評価も上々だ。2月5日に1000億円規模の自社株買いを発表したが、株価は
19日まで4日続伸、終値では約1カ月ぶり高値を付けた。
アベノミクスへの期待が薄れるなか、海外勢の日本企業の成長力による選別は厳しくなっている。商社株の経営者が「割安ですよ」と訴えて
も評価が高まらない期間が長かったように日本株も成長と向き合わないと万年割安株化する懸念をはらむ。 S&P500とダウ下落、ハト派的FOMC受け金融株に売り
https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPKCN1R12R9
[ニューヨーク 20日 ロイター] - 米国株式市場はS&P500とダウが下落した。米連邦準備理事会(FRB)がハト派スタンスを示した
ことを受け、金利に敏感な金融株が下落し、指数の重しとなった。
取引序盤から下落していた主要3株価指数は米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明を受け、一時上げに転じたが、プラス圏を維持
したのはナスダックだけだった。
ナショナル・セキュリティーズ(ニューヨーク)のチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は、「FOMCの声明に対する初動はいつも
間違っている」と述べた。
今回のFOMCでは、年内の追加利上げを行わないことを示したほか、バランスシート縮小の終了に関する見通しも示した。
FOMC後にプラス圏に浮上した指数を抑えたのが銀行株。S&P金融.SPSYは引け前の1時間で大幅に売られ、2.1%安となった。
キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズ(ニューヨーク)のトレーディング部門責任者、R.J.グラント氏は、イールドカーブのフラット化を受け
、「特に銀行株への売りが急増した」と述べた。
S&P500の主要11セクターのうち、6セクターが値下がりした。 NY金融・外為ハイライト FRBが緩和に逆戻り? 低金利「常態化」時代に
2019/03/22 06:53 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=古江敦子】驚くほどハト派(引き締めに慎重な姿勢)だった――。21日の米債券相場は前日の米連邦公開市場
委員会(FOMC)の余韻で買いが先行し、10年物国債利回りは一時2.49%と約1年2カ月ぶりの低水準を付けた。米連邦準備理事
会(FRB)が2015年末から始めた政策正常化の着地点について「想定以上に緩和的」との見方が広がっている。米国は過去に経験
したことのないほどの長期にわたる低金利常態化の時代を迎えるかもしれない。 みずほFG「覚悟の損失計上」も... 「周回遅れ」がささやかれる背景
http://news.livedoor.com/article/detail/16195878/
みずほフィナンシャルグループ(FG)が、2019年3月期連結決算で約6800億円もの巨額損失を計上する。連結最終利益(純利益)は従来の
5700億円の見通しを800億円(18年3月期は5765億円)に大幅に下方修正した。
超低金利や人口減少で銀行経営が厳しさを増す中、将来予想される損失を一括計上し、体質改善を図るとしているが、3メガバンクのなか
でも対応の遅れが指摘され、「周回遅れ」といった酷評も聞こえる。
巨大な店舗網が重荷に
今回の計上は坂井辰史社長が3月6日の会見で、「反転攻勢への大きな取り組みだ」と述べたように、「負の遺産」を整理することで身軽に
なり、キャッシュレス決済といった新たなIT投資などを加速させる狙いだ。
損失計上の多くを占めたのが、店舗網と銀行システムで、合わせて、今回の損失6800億円のうち約5000億円を占める。
店舗については、2017年11月、IT化などで業務量が減るとして、今後10年間でグループ従業員数を1万9000人減らして約6万人にし、国内
約500拠点の2割にあたる約100拠点を閉鎖する構造改革を公表していた。今回、これに加え、都市部を中心に数十拠点を追加で統廃合す
るなどのため、関連費用を約400億円計上した。資産の時価が帳簿上の価格を下回った分を処理する「減損処理」だ。
また、現在、銀行の新たな基幹システムへの移行を進めており、7月全面稼働予定だが、価値が目減りする分として毎年計上する償却費用
を前倒しで約4600億円を一括計上する。
このほか、米国の金利上昇で価格が下落した米国債など外国債券を売却することで生じる損失約1800億円も処理する。
「ビジネスモデル維持できない」危機感
メガバンクといえば、全国に張り巡らせた店舗網と巨大な銀行システムを基礎に、預金を集め、融資をして収益をあげてきた。だが、人口が
減少する中、日銀の異次元金融緩和で超低金利が長引き、融資ではほとんど利益が出ない状況。「莫大な固定費をかけて預金を運用する
ビジネスモデルは維持できない」(坂井社長)という認識が、今回の巨額損失処理を決断させたのだ。
ただ、みずほの決断はいかにも遅いというのが金融界の大方の見方だ。三菱UFJFGや三井住友FGはすでに2018年3月期中に店舗の減損
処理を終えている。それでも、同期の純利益で首位・三菱UFJを約4000億円下回った。三菱UFJや三井住友は、それぞれ海外事業やリース
事業など、国内銀行業以外の収益源を育てているが、みずほにはそうした強みは見当たらず、「稼ぐ力」の見劣りは明らかだ。
特にみずほの懸念材料は自己資本不足だ。不足と言っても、国際業務をできなくなる水準ではないが、自己資本比率は三井住友の14%台
、三菱UFJの11%台に対し、みずほは9%台にとどまる。
自己資本の厚さは投資余力に直結する。三井住友は従来から収益性のいいリース事業に力を入れており、三菱UFJも独銀から航空機ファイ
ナンス事業を7000億円超で買収するなど、M&Aを積極的に進めている。両グループは海外展開も着々と進め、「M&A含めた成長投資に資
本を投じる」(三井住友)と、前向きだ。
LINEとも組んで次世代に乗り出すが...
これに対し、みずほは余力に乏しく、今回の巨額損失計上で利益が800億円に落ち込む中、年間配当は維持すると表明しており、その原資
は1900億円に達する。1000億円以上の持ち出しになり、その分、自己資本は一段と傷む。
さらに、デジタル化やキャッシュレス化に伴い、決済や送金といったサービスに異業種のIT企業の参入などで、金融業界は大きな変化にさら
されている。みずほも手をこまねいているわけではなく、2018年にLINEと銀行設立に向けた協力で提携、地銀60行と組んで現金を使わない
キャッシュレス決済「Jコインペイ」もこのほど開始した。ただ、これらはまだ緒に就いたばかりで、今後、必要になる投資を考えると、この面で
も投資余力に不安は隠せない。
新年度(2020年3月期)から新たな中期計画(5月発表予定)がスタートし、その前に「負の遺産」を処理し、V字回復を演じたいという狙いだろ
うが、計画で、どのような成長軌道を描き出せるかが問われている。 長期金利、マイナス0.065%に低下 2年4カ月ぶり
2019/03/22 09:17 日経速報ニュース
22日午前の債券市場で長期金利は一段と低下した。指標となる新発10年物国債利回りは前営業日比0.025%低い
(価格は高い)マイナス0.065%を付けた。2016年11月以来約2年4カ月ぶりの低さとなる。米連邦公開市場委員会(F
OMC)の結果を受けた世界的な債券買いの流れが続いている。 長期金利、マイナス0.070%に低下 約2年4カ月ぶり
2019/03/22 14:10 日経速報ニュース
22日午後の債券市場で長期金利が低下幅を広げた。指標となる新発10年物国債利回りは前営業日比0.030%低い
(価格は高い)マイナス0.070%と2016年11月上旬以来の低水準を付けた。国内の証券会社などから、米連邦公開市
場委員会(FOMC)の結果を材料にした債券買いが再び入った。 米国株、反落で始まる ダウ106ドル安、世界経済の減速懸念強まる
2019/03/22 22:40 日経速報ニュース 2019年03月25日09時14分
三菱UFJなどメガバンクが売られる、景気減速懸念による逆イールド発生を嫌気
https://kabutan.jp/stock/news?code=8306&b=n201903250156
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>が3日続落、三井住友フィナンシャルグループ<8316>も続落となるなどメガバンクに
売りが目立っている。前週末の米国株市場ではシティグループやJPモルガンなど大手金融株が軒並み大幅安に売られ、リスク
オフ相場を助長した。米国では世界景気の減速に対する懸念から、長短金利の逆転現象が起こっており、これによる運用環境の
悪化が嫌気された。米国事業を展開する日本のメガバンクもこの地合いを引き継ぐ展開となっている。 長期金利が低下、マイナス0.095%。
2019/03/25 日本経済新聞 夕刊
25日午前の債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りはマイナス0・095%となり、2016年8月以来約2年
7カ月ぶりの水準まで低下(価格は上昇)した。世界経済の減速懸念を背景に「安全資産」とされる債券に買いが入った。
海外金利の低下で、日本国債には強い金利低下圧力がかかっている。国内市場では償還までの期間が10年より長い超長期の
金利も低下した。20年物国債の利回りも0・325%と2年6カ月ぶり低水準を付けた。
先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を受け、米連邦準備理事会(FRB)が悲観的な景気見通しに転じたとの受け止めが広が
った。 日銀利下げ確率上昇、欧米「ハト派化」、下押し圧力(ポジション)
2019/03/26 日本経済新聞 朝刊
金融市場が織り込む日銀の利下げ確率が上昇している。米連邦準備理事会(FRB)の急速な「ハト派化」と景気の先行き懸念を踏まえて
、日銀がいずれ利下げなどの追加緩和に追い込まれるとの見方が強まった。世界的な金利低下に伴い国内金利の下押し圧力に拍車がか
かり、今後、長期金利がマイナス0・2%近くまで下がるとの見方も浮上している。
「日銀の追加緩和策は何か」。JPモルガン証券の佐々木融氏は今月中旬、ニューヨークに出張した際、多くの機関投資家から日銀の次の
一手について聞かれた。
1月に海外出張したときにはあまり話題にならなかったが、「世界の主要中央銀行がハト派的に姿勢を変化させる中、日銀にも投資家が注
目し始めた」(佐々木氏)。
市場の政策金利に関する見通しは翌日物金利スワップ(OIS)から算出できる。OISは一定期間の翌日物金利(変動金利)と固定金利を交
換する取引で、政策金利に関する見通しが織り込まれる。金融政策の先行きに対する市場の見方を反映するといわれる。
野村証券の松沢中氏がOISから市場が見込む1年先の0・1%の利下げ確率を計算した結果、22日時点で約60%と、2月初めの約30%
から大きく上昇した。6カ月先でも確率は約50%になる。
松沢氏は「20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)以降、国内外の機関投資家から日銀の追加緩和に関する問い合わせが増えた」と話
す。20日のFOMCでは2019年中の利上げを見送り、9月末で資産縮小を停止する方針を示した。
FRBが示した金融引き締めに慎重な「ハト派」の姿勢は市場の想定を上回り、世界で株価が下落し、金利が低下するなど金融市場が大き
く反応した。欧州中央銀行(ECB)も年内の利上げを断念しており、日銀も動くとの思惑が出やすい。
日本の景気指標や物価が弱含んでいることも、追加緩和観測を呼びやすくなっている。4月1日に日銀が公表する全国企業短期経済観測
調査(短観)では企業の景況感が大幅に悪化するとの見通しが強まっている。
4月下旬の金融政策決定会合では今後3年の経済・物価見通しを示す。SBI証券の道家映二氏は「景気や物価の見通しを下げて、日銀は
何もしませんというわけにはいかない」と指摘。日銀が4月会合で上場投資信託(ETF)の買い入れを増やすほか、長期金利の上限をゼロ%
にして長めの金利を抑制する可能性があるとみる。
市場の追加緩和観測が高まれば、足元の金利低下に拍車がかかる可能性がある。25日の国内債券市場では長期金利の指標となる新
発10年物国債利回りが一時マイナス0・095%まで下がった。16年9月に日銀が長期金利をゼロ%程度に誘導し始めて以来、最低の利
回りだ。幅広い年限の国債が買われ、利回りが低下しやすくなっている。
日銀は18年7月の政策修正で長期金利の変動幅をマイナス0・2〜プラス0・2%程度とした。市場では「今後、場合によってはマイナス
0・2%近くまで下がる可能性がある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美氏)との声も出ている。 銀行の外債運用、岐路に、頼みの綱、米国債「逆ざや」、過去投資分も含み損に。
2019/03/28 日本経済新聞 朝刊
国内銀行の外債運用が岐路に立っている。投資先の代表格である米国債は調達コストを加味すると足元で「逆ざや」に陥っている。
過去の投資分もコストが利回りを上回る状態だ。保有しているだけで損が膨らむ計算で、損切りを迫られる銀行が増える可能性がある。
厳しい本業を外債などの有価証券運用の収益で補ってきたこれまでの構図は崩れつつある。
銀行は3カ月など短期で資金を調達し、より高い利回りが見込める長期投資で運用して利益をあげる。外債の場合は、まず米ドルなど
の外貨を調達したうえで米国債などを購入する。調達コストは為替変動リスクを避けるための費用に相当する。足元の米10年物国債
利回りは2・4%程度で、日銀が0%近辺に抑え込んでいる日本に比べればはるかに高い水準だ。このため邦銀はここ数年、米国債へ
の投資を伸ばしてきた。
日銀によると2019年1月時点で、国内銀行による米国債を含む外国証券の保有残高は46兆6527億円。前年同月比1%減ってい
るが、同じ期間に16%減の65兆1130億円となった日本国債より減少ペースは緩やかだ。だが、ここにきて頼みの綱だった米国債の
投資妙味が急速に薄れている。
三井住友アセットマネジメントによると米国債購入にあてるため、為替変動リスクを抑えながらドルを調達するコストは2・9%程度。つ
まり2・4%の利回りを得るために2・9%のコストを支払う「逆ざや」状態に陥っている。新たに米国債を買うと、その時点から損失を抱え
てしまうため事実上、買えなくなる。
より期間が長く価格変動リスクも大きい米30年債でも利回りは3%弱で、調達コストを考慮すると利回りはほぼトントンだ。
米中貿易摩擦に伴う景気悪化懸念を背景に米長期金利が低下する一方、旺盛な投資ニーズに伴いドルの調達コストが高止まりして
いることが背景にある。米連邦準備理事会(FRB)による利上げ停止宣言もあり、今月22日には10年物国債の利回りが3カ月物を下
回る逆転現象も起きた。
収益環境の悪化懸念からJPモルガンやバンク・オブ・アメリカなどの米金融大手も株価を大きく下げている。影響を受けるのは新規投
資にとどまらない。過去に購入した米国債についても国内銀行は購入用のドルを3カ月ごとに調達し直すため、過去の投資分も時間が
たつほど含み損が増えることになる。
みずほフィナンシャルグループ(FG)が19年3月期に計上する約6800億円の損失は店舗やシステムの減損処理に伴うものが主体
だが、含み損を抱えた外債の売却損も含まれている。金融庁幹部は「みずほで起きたことは同じように地銀でも起きる」と話す。
今後はどの時点で損切りをするかが銀行決算の焦点となる。一方、投資時に為替変動リスクを抑えているため、売却しても外国為替
市場への影響は限られそうだ。
米国債投資は日銀のマイナス金利政策に伴う国内での運用難を補う頼みの綱だった。貸し出しなど本業から得られる利益が細り続け
るなか、外債の運用益や不良債権処理費用が極めて低い水準だったことが銀行経営を下支えしてきた。だが新規の米国債投資が難し
くなるうえ、足元で不良債権処理費用は増加に転じている。経営環境は一段と厳しさを増すことになる。 長期金利、マイナス0.100%に 2年7カ月ぶり低水準
2019/03/28 18:45 日経速報ニュース 367文字
28日午後の債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが低下(価格は上昇)し、一時マイナス0.100%と
2年7カ月ぶりの低い水準を付けた。世界経済の減速懸念から、海外の長期金利が大幅に低下しており、国内債券にも金利低
下圧力がかかっている。
日銀、ETFを702億円買い入れ 2日連続(28日)
2019/03/28 17:35 日経速報ニュース 459文字
日銀は28日、株価指数連動型上場投資信託(ETF)を前日と同じ702億円買い入れた。買い入れは2日連続。28日午前の東
証株価指数(TOPIX)の終値は1.74%安だった。 インタビュー:過度なリスクテイク、金融政策に責任帰すべきでない=全銀協会長
https://jp.reuters.com/article/takashima-japan-bank-interview-idJPKCN1RC0WO
[東京 1日 ロイター] - 1日付で全国銀行協会の会長に就任した三井住友銀行の高島誠頭取は、日銀のマイナス金利政策の継続
が金融機関を過度なリスクテイクに追い込んでいるとの見方に対し、リスク量などの判断は経営者の責任に帰すべき問題で、金融政
策に責任を押し付けるべきではないとの考えを示した。ロイターとのインタビューで述べた。
市場では、世界的にクレジット・リスクが意識される中で、ハイ・イールド債やローン担保証券(CLO)などの保有リスクが浮上している。
高島会長はCLOについては「リーマン危機前にあったCLOとは枠組みが異なっている。過去の反省材料が織り込まれた商品設計に
なっている」と説明する一方、行き過ぎた運用にはリスク管理上、問題があるとの認識を示した。
また、日銀のマイナス金利政策について「2%の物価目標設定は、柔軟に作る余地はある」と指摘した。
主なやり取りは以下の通り。
――日銀のマイナス金利政策をどのように評価するか。
「日銀は物価が2%を超え、持続するのを確認するまで現状の政策を続けると説明している。だが、そこまでリジッド(頑な)な目標を設定
するのはいかがなものか。欧米でも、2%を超えてから初めて金利を上げたとか、出口の議論を始めたということでは必ずしもない」
「これまでの金融政策で成果は確実に上がっている。センチメントも含めてデフレではない状況に持ってきたし、貸出金利も押し下げた。明
らかに経済状況は好転している。目標設定は、柔軟に作る余地はあると感じている。副作用も含めた総合的な検証を引き続き行い、適切
な金融政策の展開をお願いする」
――低金利を背景に収益的に追い込まれた金融機関が、リスクの高い投資やビジネスに乗り出しているのではないか。
「日銀の金融政策のせいで利回りが上がらず、運用難に陥ってるため、銀行がハイリスクな運用や行き過ぎた業務をしているとの指摘
がある。しかし、全ては個別銀行のリスク選好の枠組みや、顧客本位の業務運営をどのように進めるのかという経営者の責任に帰属す
る問題だ。日銀の金融政策の責任で、そうなっているという議論はあってはならない。利ざやや市場業務の収益環境が悪いというのは、
言い訳にならない」
――実際にハイリスクの運用に傾いているとの指摘もある。CLOにリスクはないか。
「CLOで言えば、確かに相当な割合を日本の投資家が持っているというデータもある。しかし、リーマン危機前にあったCLOとは枠組み
が異なっていることも客観的な事実。過去の反省材料が一定程度織り込まれた商品設計になっている」
――リーマン危機の時にも「トリプルAだから大丈夫」という指摘があった。
「物事には矩(のり)というものがある。いくら1つ1つの案件を詳細に見て安全だとしても、100件全部を取りにいくかというと別問題だ。
リーマンの反省材料として格付け会社の運営もあり、当時のトリプルAと今のトリプルAは異なる。ただ、経営の規律として、いくら良いも
のだとしても、野放図にやることは本来のリスク管理の原則から外れることになる。ましてリスクの所在や分析ができないにもかかわらず
、これを買っておかないと今期の業績が厳しいから買うんだ、という金融機関はあってはならない」 ――企業との関係でメインバンクの機能が落ちてきているのではないか。
「確かに、メインバンクが果たしてきた融資先企業への監視機能が弱ってきている。1つには、上場している大企業では、情報開示レベル
がどんどん上がってきており、メインバンクだからといってやみくもに情報交換をして、金融支援を頼むということができなくなっている」
「もう1つは、全体の競争環境が厳しくなってくる中で、金融サービスが限りなく均一化して、価格差がなくなっていることがある。情報の
優位性や親密度などによる差が付かなくなり、メインバンクの存在感が薄れている」
「何が必要かと言えば、顧客企業が中長期的に抱える課題に対し、銀行がどれだけ真剣にソリューションとして総合的な提案ができるの
かということに尽きる」
――企業の課題解決のためには何が必要か。
「大企業であっても自社だけで新しいビジネスモデルが作れる時代ではなくなっている。多くの顧客企業が、銀行と一緒に新しいビジネス
モデル、プラットフォームを作り、付加価値を生み出せないかと考えている。こうしたオープンイノベーションの流れは、銀行としてもチャンス
だ。いろいろな企業と様々な形で連携し、新しい世界に対応するビジネスモデルを作ることが、ソリューションの新しい形として広がっている」 三菱UFJ銀、新卒45%減、来春採用、みずほFGも2割減、デジタル人材は重視。
2019/04/02 日本経済新聞 朝刊
三菱UFJ銀行は2020年春の新卒採用数を530人と、前年比で45%減らす方針を固めた。銀行業のデジタル化が加速する中、支店の
窓口などに人を多く配置してきた銀行員の働き方が大きく変わってきている。19年春の採用を半減したみずほフィナンシャルグループ(FG)
も2割程度減らす方針で採用抑制の波は続く。どう質の高いデジタル人材を確保できるかが今後の競争力を左右しそうだ。
三菱UFJ銀の内部では当初、20年春の新卒採用を3割程度減らす案が有力だったが、削減数を積み増す形となった。店舗改革や行員
の配置換えによる構造改革が、当初計画より前倒しで進みそうと判断したためだ。
18年5月に公表した改革案は、23年度までに行員が窓口で対応する従来型の店舗を515店から半減させるというもの。6500人が自
然減で減少し、3000人分の業務量を削減する。内部ではこの数字をさらに積み増す議論が進んでいる。
背景にあるのは攻めと守りの発想だ。定型的な業務を自動化する「RPA」(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入し、少ない人数
で機動的に業務を回せるようにする。一方で全体の経費率を下げ、低金利が続く厳しい経営環境を乗り切る狙いもある。
他のメガバンクは先行して採用減に動いている。1日に開かれた入社式ではみずほFGの新入社員(持ち株会社、銀行、信託の合計)が
約700人と前年に比べてほぼ半減した。三井住友銀行も一般職にあたるビジネスキャリア職を抑制し全体では667人と前年比17%減っ
た。
みずほFGは20年春の新卒採用数を前年から2割程度減らし500人台半ばとする方針だ。三井住友銀も1割減の600人を計画。3メガ
バンク合計の採用数は前年から3割弱減り、約1700人となる見込みだ。
採用を減らすなかで、どう優秀な人材を確保するかが課題になる。全国銀行協会の高島誠会長(三井住友銀頭取)は1日の就任会見で
就職人気ランキングでの銀行順位低下について「真摯に受け止める」と述べる一方、保守的でチャレンジのできない職場という従来のイメ
ージが覆されつつあることに期待を込めた。
各行の最重要テーマがデジタル人材の確保だ。三菱UFJ銀は23年度までに多機能ATMや、ペーパーレスでの取引により窓口業務を
減らした次世代店舗を70〜100店舗設ける計画。19年春の採用では、金融工学などを学んだ理系人材を獲得するため、総合職の中に
「システムデジタルコース」という新たな採用形態を導入。専門的な知識を持つ数人を採用した。
三井住友銀も19年春の採用で数理モデルで市場動向を分析したり、デジタル技術で新しい金融サービスを開発したりする職種を新設。
理系の大学院を卒業した男女6人を採った。来春には約10人の採用を計画している。
ただ、デジタル人材の獲得競争は厳しさを増す。経済産業省の試算では30年にIT(情報技術)人材は約59万人不足する見通し。家電
や自動車メーカーも利用者の利便性を高めるソフトウエア開発に力を入れており、採用数を増やしている。 検証みずほ巨額損失(下)米債逆ざや、含み損蓄積―市場頼みの収益構造に限界。
2019/04/02 日本経済新聞 朝刊
「ファンディング(資金調達)コストと運用利回りの差がマイナスになっているようなものを一気に処理する」。6800億円の損失を発表した
3月6日の記者会見。みずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井辰史社長は1500億円に上る外国債券の含み損の処理をこう説明した。
日銀による異次元金融緩和で日本国債の金利が低下し、邦銀は近年、米国債への投資を増やしてきた。みずほが2019年3月期に処
理する外債も米国債が大半で16年11月の米大統領選前の金利が1〜2%程度だった当時に購入したものだ。
だが、大統領選でトランプ氏が勝利したことをきっかけに財政拡張懸念から米長期金利が上昇(債券価格は下落)。足元は2・5%近辺
で推移する。さらに政策金利の引き上げにより米ドルの調達コストも上昇した。
銀行は短期で資金を調達して、より高い利回りが見込める長期投資で運用して利益を上げるが、調達コストが債券の運用利回りを上回
るようになった。低金利時に購入した債券は保有しているだけで損が膨らむ「逆ざや」の状態に陥っていた。
外債投資を伸ばしてきたのは他行も同じだ。貸借対照表の「その他有価証券」に占める外債の比率はみずほ、三菱UFJフィナンシャル・
グループ、三井住友フィナンシャルグループとも18年12月時点で3割を超す。
含み損もみずほの1445億円に対し、三菱UFJは1592億円、三井住友は941億円。9月末時点で3メガとも2千億円を超える構図も
共通。ただみずほは含み損の比率が他行より高い。
金融庁は早期の「損切り」を水面下で促し続けてきた。ただ損切りは3メガ銀行で見劣りする決算の数字をさらに下げることになる。みず
ほは決断できぬままでいたが、金融庁が「新社長になり、新しい中期経営計画をつくる前」は絶好のタイミングとみて畳みかけた。金融庁
幹部は語る。「今回のみずほの決断を高く評価している」
みずほの含み損の比率が相対的に高いのは、市場部門頼みの収益構造も背景にある。純利益に占める傘下銀行の割合はみずほが
18年3月期で85%。これに対し、三菱UFJは63%、三井住友は78%。海外や消費者ローンなどの出資先の利益取り込みで先行する
他2行にみずほは劣後している。
低金利で預貸利ざやが稼げないなかでは国債運用へのプレッシャーが高まりやすい。みずほは本業のもうけを示す業務純益に占める
国債等債券損益(日本国債や社債など含む)の割合が他メガより高く推移してきた。含み益がある外債を売却して「益出し」する結果、市
場変動時に含み損を吸収する余力が他行に比べ薄くなっていた。
「対顧客部門も含めボラティリティー(変動率)を抑えて安定的な収益基盤を強固にする」。坂井社長は会見で、こう宣言した。低金利が
続くなか、銀行の収益環境はすぐには改善する見通しを立てにくい。市場部門以外の収益の柱を何にするのか。暗中模索が続く。 <東証>三菱UFJが買い気配 米長期金利の上昇で
2019/04/02 09:01 日経速報ニュース
1日の米長期金利が大幅に上昇した。調達金利と貸出金利の利ざや縮小懸念が後退し、米株式市場では
JPモルガン・チェースなど銀行株が買われた。 2019/04/02 18:00
三井住友FG(8316)
証券、レーティング中立。目標株価4,400円。
証券が4月2日、三井住友フィナンシャルグループ<8316>のレーティングを中立(中立)とした。また、目標株価は4,400円としている。
因みに前日(4月1日)時点のレーティングコンセンサスは4.46(アナリスト数13人)で「やや強気」の水準、目標株価コンセンサスは
5,252円(アナリスト数13人)となっている。
2019/04/02 19:55
三井住友FG(8316)
米系大手証券、レーティング強気継続。目標株価引き下げ、6,000円。
米系大手証券が4月2日、三井住友フィナンシャルグループ<8316>のレーティングを強気(買い)に据え置いた。
一方、目標株価は6,090円から6,000円に引き下げた。因みに前日(4月1日)時点のレーティングコンセンサスは
4.46(アナリスト数13人)で「やや強気」の水準、目標株価コンセンサスは5,252円(アナリスト数13人)となっている。
04/02 8316 三井住友FG GS 買い継続 6090円→6000円 2019/04/02 19:55
三菱UFJFG(8306)
米系大手証券、レーティング据え置き、中立。目標株価引き下げ、810円。
米系大手証券が4月2日、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>のレーティングを中立(中立)に据え置いた。
一方、目標株価は840円から810円に引き下げた。因みに前日(4月1日)時点のレーティングコンセンサスは4.62
(アナリスト数13人)で「強気」の水準、目標株価コンセンサスは793円(アナリスト数13人)となっている。
2019/04/02 18:00
三菱UFJFG(8306)
証券、レーティング中立。目標株価590円。
証券が4月2日、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>のレーティングを中立(中立)とした。また、目標株価は
590円としている。因みに前日(4月1日)時点のレーティングコンセンサスは4.62(アナリスト数13人)で「強気」の水
準、目標株価コンセンサスは793円(アナリスト数13人)となっている。 2019/04/02 19:55
みずほFG(8411)
米系大手証券、レーティング据え置き、中立。目標株価引き下げ、220円。
米系大手証券が4月2日、みずほフィナンシャルグループ<8411>のレーティングを中立(中立)に据え置いた。
一方、目標株価は240円から220円に引き下げた。因みに前日(4月1日)時点のレーティングコンセンサスは
3.14(アナリスト数14人)で「中立」の水準、目標株価コンセンサスは203円(アナリスト数14人)となっている。
2019/04/02 18:00
みずほFG(8411)
証券、レーティング中立。目標株価170円。
証券が4月2日、みずほフィナンシャルグループ<8411>のレーティングを中立(中立)とした。また、目標株価は
170円としている。因みに前日(4月1日)時点のレーティングコンセンサスは3.14(アナリスト数14人)で「中立」
の水準、目標株価コンセンサスは203円(アナリスト数14人)となっている。 3メガ銀、年度内上場目指す東芝メモリに融資1兆円−報道
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-04-03/PPDO956S972I01
2019年度中の上場を目指す東芝メモリホールディングスの資金調達案が固まり、3メガバンクが合計で1兆円を融資すると
日本経済新聞が3日夜に報じた。
報道によると、みずほ、三井住友、三菱UFJの3メガ銀行のほか、日本政策投資銀行も3000億円の優先株を引き受ける計
画という。3メガ銀は計9000億円を融資するほか、これとは別に1000億円のコミットメントライン(融資枠)も設ける。
東芝メモリは合計1.3兆円を原資に米アップルなどの取引先が持つ優先株を買い戻し、既存の借り入れも返済するとも報道。
株式上場の審査に不利とされる取引先の持ち株比率が高い点を解消し、今年度中の上場に一歩近づけるとしている。 仕組み複雑なローン担保証券、専門家不足の地銀損失懸念
https://www.sankeibiz.jp/business/news/190404/bse1904040500001-n1.htm
国内の超低金利で運用難に陥ったメガバンクや農林中央金庫、ゆうちょ銀行は、高い利回りを期待してローン担保証券(CLO)を
購入し、地方銀行も追随して国内勢による投資が拡大した。ただ、CLOは仕組みが複雑でリスク判断が難しい面もあり、運用の専
門家が少ない地銀は損失を抱える可能性が高まるとの懸念も出ている。
CLOの残高は、昨年末時点で農林中金が6兆8000億円、三菱UFJフィナンシャル・グループが2兆5000億円、ゆうちょ銀が1
兆円で、国内金融機関の保有量の大半を占める。投資対象のCLOの格付けは最上位の「トリプルA」がほとんどで「損失発生のリス
クは限定的」(金融関係者)と説明する。
一方、地銀の保有拡大を危ぶむ声もある。CLOは信用度が低い海外企業への融資を証券化したもので専門性が高く、メガバンク
などに比べれば「海外の個別のローンについて、中身を分かる人材が地銀には乏しい」(マネックス証券の大槻奈那チーフ・アナリス
ト)とみられているからだ。
全国地方銀行協会の柴戸隆成会長(福岡銀行頭取)は3月13日の記者会見で、CLOの損失リスクについて「世界経済が踊り場
に差し掛かっている中で、非常に注視している」と警戒感を示した。 東芝メモリに1兆円融資、3メガ銀、年度内上場に一歩。
2019/04/04 日本経済新聞 朝刊
2019年度中の上場をめざす東芝メモリホールディングスの資金調達案が固まった。3メガバンクが合計で1兆円を融資し、
日本政策投資銀行も3千億円の優先株を引き受ける計画だ。この計1・3兆円を原資に、米アップルなどの取引先が持つ優
先株を買い戻し、既存の借り入れも返済する。取引先の持ち株比率が高いと株式上場の審査に不利とされている点を解消し、
今年度中の上場に一歩近づける。(関連記事15面に)
みずほ、三井住友、三菱UFJの3メガ銀行が計9千億円を融資するほか、これとは別に1千億円のコミットメントライン(融資
枠)も設ける。各行は契約に先立ち、融資する意思を明らかにする「コミットメントレター」を近く出す予定。融資を実行した後に
貸付債権の一部を三井住友信託銀行に譲渡する。
政投銀は議決権のない社債型優先株を3千億円引き受ける方向で詰めの交渉を進めている。出資の意向を表明していた
INCJ(旧産業革新機構)は資金を出さない方針に転じた。
東芝メモリは調達した資金を元手にアップルなどの取引先や機関投資家が持つ優先株38%を約5300億円で買い戻し、
消却する。優先株は普通株より優先して配当などを受けられる株式。買い戻した後の出資比率は米投資ファンドのベイン
キャピタルが35%から56%、東芝は25%から41%に高まる見通しだ。残り資金で6千億円に上る既存借り入れを返済する。 早期上場、融資条件に、銀行団、東芝メモリに提示。
2019/04/04 日本経済新聞 朝刊
東芝メモリホールディングスが上場に向けた資金確保にめどをつけた。11月以降に新規株式公開(IPO)を検討するが、年度内に
上場ができなければ銀行団から返済を求められかねない契約条件が付いている。融資と引き換えに早期の上場が半ば義務づけら
れたともいえる。
融資に付けられるのは、貸出先の財務状況が悪くなったり、格付け会社が格下げしたりした場合、融資金の返済を求める権利で
ある「財務制限条項」(コベナンツ)。本来は財務の健全性を保ってもらうために盛り込むが、今回は上場の実現が努力義務となる。
3メガバンクなどが早期の上場を求めるのは、資金調達の手段を広げることで借入金に頼る財務体質の改善につなげるためだ。
上場益で融資の返済原資を早めに確保してほしいとの思惑もある。
実際にいつ上場できるかは半導体の市況に左右される。東芝メモリが主力とするNAND型フラッシュメモリーは足元で需要の落
ち込みが鮮明で、2019年1〜3月期には連結営業損益が赤字に転落したようだ。銀行団は「19年が市況の底」(関係者)で、そ
の後は回復に向かい、年度内の上場はできるとみている。ただ市況の回復がずれ込めば上場の時期をめぐる駆け引きが再燃する
可能性も残る。 消去法の増配期待買い―業績失速懸念の裏返し(スクランブル)
2019/04/04 日本経済新聞 朝刊
4月半ばから本格化する決算発表シーズンを控え、投資家の関心が増配など株主還元策に向かっている。世界景気の減速で2019年
3月期業績は3期ぶりの最終減益となった公算が大きく、今期も伸び悩み懸念が強い。業績が相場全体を押し上げるのは期待薄で、投資
マネーは消去法で還元余力のあるキャッシュリッチ企業などを選別し始めている。
「株価上昇が期待薄だから、還元策の見返りがないと株式を保有する意味がない」。こう話す三井住友DSアセットマネジメントの小出修
氏は、企業の経営陣と対話の機会があるたび、増配や自社株買いの拡充を求めているという。株主還元は銘柄選別でこれまで以上に「非
常に大きな要素になっている」と話す。
還元強化への関心の高まりは、業績拡大期待の乏しさの裏返しでもある。調査会社リフィニティブによると、アナリストによる主要上場企
業の19年度の純利益予想は前期比3・7%増にとどまる。岡三証券によると、アナリストの19年度予想の上方修正と下方修正の割合の
差からはじくリビジョンインデックスは3月、マイナス26・5に沈んでおり、流れは下向きだ。
こうしたなか、すでに還元強化を切り口に銘柄を選別する動きは広がっており、資産に占める現金の比率が高い「キャッシュリッチ企業」
の株価は堅調だ。厚い手元資金は配当や自社株買いの原資になりうる。
□ □
2月末からの主要銘柄の騰落率を見ると、現金比率が5割のオービック、約4割のHOYA、ファナックはそろって1割以上上昇している。
同期間の日経平均株価は小幅高どまりだ。3日は債券や為替を含む市場全体が「リスクオン」に傾いたが、そんな中でも先に挙げた3銘
柄の上昇率は日経平均を上回った。
この流れは続くのか。カギは実際に決算発表シーズンが始まり、企業が市場の期待に応える還元策を打ち出せるかにかかっている。
ここ数年、企業と市場は蜜月の関係にあった。配当と自社株買いをあわせた還元総額はこの5年でほぼ倍増し、18年度に15兆円と過
去最高を更新した。日本の景気が拡大局面に入った13年初めからみると、配当込み東証株価指数(TOPIX)は通常のTOPIXを約25ポイ
ント上回っている。
□ □
資本効率を意識した経営の浸透や東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)などに合わせ、企業は還元を拡大
してきた。経営者には「やることはやってきた」という自負もあるだろうし、景気や業績が下り坂に向かえば、キャッシュの流出を控えたいと
考えるのも想像に難くない。
だが、企業の手元資金が100兆円を超えるなか、投資家の求めるハードルは高い。日本企業の配当性向は3割程度と米国の約5割と
比べてまだ低い。小出氏は「還元拡充を続けなければ、海外投資家の日本市場への関心が一段と冷え込んでしまう」と危機感を募らせる。 米金利、上昇圧力じわり、リスク調整の時間差売りで、円安基調後押しも(ポジション)
2019/04/04 日本経済新聞 朝刊
米金利に短期的な上昇圧力が掛かっている。米連邦準備理事会(FRB)による利上げ休止宣言で金利低下(債券価格は上昇)が加速。
値動きの安定を好む一部の投資家が、時間差で債券の持ち高を圧縮し始めているためだ。米金利がこのまま上昇し続ければ、円安基調
を後押ししそうだ。
3日の米長期金利(10年物国債利回り)は2・5%近辺で推移する。3月20日にFRBが2019年の利上げ見通しを0回と発表。同27日
には長期金利が2・3%台後半まで急速に低下したが、その後は反発傾向が続いている。
背景にあるのは、米国債の今後の動きについて市場参加者の予想を映す予想変動率の上昇だ。予想変動率の一つである「MOVE指数
」は3月27日に一時60を超え、年初以来3カ月ぶりの高水準になっていた。これは米金利が底打ちしたタイミングと重なる。野村証券の中
島武信氏は「ここで『リスクパリティ戦略』の資金が債券売りに動いた」とみる。 米国株、買い優勢で始まる 米中貿易交渉の合意期待強まる
2019/04/04 22:46 日経速報ニュース 海外勢の株売り、日銀買いが相殺、海外勢、売越額31年ぶり高水準、株安なら自己資本毀損。
2019/04/05 日本経済新聞 朝刊
海外投資家が日本株の売りを膨らませている。2018年度の売越額は約5兆6300億円と、31年ぶり高水準となった。米中貿易戦争
などを背景に世界経済の先行きに慎重姿勢を強めたためだ。ただ日銀がほぼ同額(約5兆6500億円)の買いで相殺し、売り買いが拮抗。
海外勢の売りを日銀が一手に受け止めるいびつな構図が鮮明になっている。
東京証券取引所が4日発表した投資部門別売買動向をもとに集計した。海外勢の売越額はバブル経済の本格化で日本株の上昇が続
いた1987年度以来の高水準となる。売り越しは2年連続。
海外勢の売りが膨らんだ最大の要因は世界景気の減速への警戒だ。日本株は輸出型の製造業が多く、世界景気の動向に左右されや
すい。米中貿易戦争や中国経済の減速など先行き不透明感が強まるなか、海外勢が日本株の投資判断を下げる例が相次いだ。世界最
大の資産運用会社、米ブラックロックは18年7月に日本株の投資スタンスを「強気」から「中立」に約1年8カ月ぶりに変更した。
世界3位の資産運用会社、米ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは、米中貿易戦争の解決の道筋が見えないことなどを理
由に、リスク資産である株式そのものに対する投資割合を18年10〜12月に引き下げた。このうち日本株についても円高リスクなどを理
由に19年に入ってから投資判断を「中立」から「やや弱気」に引き下げている。
こうした海外勢の売りを日本株の上場投資信託(ETF)買いで吸収したのが日銀だ。日銀は「リスクプレミアムの縮小」を目的に、日経平
均がおおむね1万円を下回っていた10年にETFを買い始めた。購入額は当初4500億円だった。16年には6兆円とする方針を打ち出した。
日銀のETF買い入れ額を集計すると、18年度は5兆6500億円に及ぶ。保有残高は3日時点の推計で、約29兆円と、東証1部の時価
総額(約600兆円)の5%弱を占めるもようだ。
日銀はETFの大規模な購入を通じて資産価格の上昇や個人消費の活性化を促し、物価上昇につなげる効果を見込む。だが、中央銀行
が直接株高を支える異例の政策はリスクも大きい。
日銀の雨宮正佳副総裁は3月、国会で「日経平均株価が1万8000円程度を下回ると保有ETFの時価が簿価を下回る」との試算を示した。
足元の相場水準からはまだ距離があるが、ひとたび株安局面に転じて日銀の自己資本が毀損する事態になれば、通貨の信認も揺らぎか
ねない。 2019年04月05日11時03分
りそなHDについて、みずほ証券は保有割合が5%を超えたと報告 [大量保有報告書]
りそなホールディングス <8308> について、みずほ証券は4月5日受付で財務省に大量保有報告書(5%ルール報告書)を提出した。
報告書によれば、みずほ証券と共同保有者のりそなHD株式保有比率は5.52%となり、新たに5%を超えたことが判明した。報告義務
発生日は3月29日。
■財務省 : 4月5日受付
■発行会社: りそなホールディングス <8308>
■提出者 : みずほ証券
◆義務発生日 保有割合(前回→今回) 保有株数 提出日時
2019/03/29 ― % → 5.52% 128,377,370 2019/04/05 10:28
■提出者および共同保有者
(1)みずほ証券
― % → 0.95%
(2)アセットマネジメントOne
― % → 4.58% <東証>りそなHDが反落 前期下方修正「収益の柱見えない」の声
2019/04/08 09:42 日経速報ニュース
(9時40分、コード8308)りそなHDが反落している。前週末比で小高く始まった後下げに転じ、一時9円30銭(1.9%)安の
487円80銭まで下落した。5日に2019年3月期の業績見通しを下方修正し、連結純利益を前の期比28%減の1700億円と
した。従来は15%減の2000億円で、徐々に嫌気した売りが優勢になった。
外債を中心とする保有有価証券の含み損処理が収益を圧迫した。SBI証券の鮫島豊喜シニアアナリストは「貸し出し利回
りの低下や手数料収入の伸び悩みが続くなか、保有する債券の収益性も悪化しており収益の柱が見えない状況だ」と話した。 焦点:CLO投資、農中・ゆうちょ急増 大手銀保有は今後も増加へ
https://jp.reuters.com/article/clo-nochu-yucho-idJPKCN1RK0N3?il=0
[東京 8日 ロイター] - ローン担保証券(CLO)に関し、農林中央金庫とゆうちょ銀行(7182.T)の運用残高が急増している。ロイターが
上記2社やメガバンクなど主要9社を対象に実施したアンケート調査で分かった。調査対象期間の間に保有を増やしていない金融機関も
、日銀の金融緩和の長期化やドル調達コストの上昇で、この先は保有が増えそうだと民間アナリストは予想している。
今回のアンケート調査は、米国で発行されたCLOの保有状況、リスク管理体制、今後の方針について、三菱UFJフィナンシャル・グルー
プ(8306.T)、三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行、りそなホールディングス(8308.T)、新生銀行(8303.T)、あおぞら銀行(8304
.T)、ゆうちょ銀、農林中央金庫の9行を対象に実施した。
保有状況については、18年3月末、6月末、9月末、12月末の残高などを聞いた。回答期間は3月11日―15日で、全社が回答した。
<急増は2社>
18年3月末以降、保有残高が急増したのは農林中金とゆうちょ銀。農林中金は米国を含めたCLO保有残高が、18年12月末時点で6兆
8000億円。3カ月に1兆円のペースで増え、同年3月末比1.8倍となった。
ただ、地域別のCLO残高は回答しなかった。ゆうちょ銀は、18年12月末の米CLOの保有残高が1兆円で、同年3月末の2倍になった。
農林中金は、国際分散投資を基本方針に「全体としてリスクバランスのとれた健全性と収益性の高いポートフォリオを構築することが目標」
と回答。「債券、株式、クレジット資産の主要アセットクラスから得られる収益とリスクを、リスク管理部門による適切なけん制を効かせなが
ら、アセットクラス間の相関なども考慮のうえ資本の範囲内でコントロール」しているという。
<5社は大きく増やさず>
三菱UFJ、三井住友銀、みずほ銀、三井住友信託銀、新生銀は、調査対象期間中に保有を大きく増やしていない。
18年12月末の各行の米CLO保有残高は、三菱UFJが傘下の三菱UFJ銀、三菱UFJ信託銀の合算で2兆5000億円、三井住友銀が
770億円、みずほ銀が5000億円程度、三井住友信託銀が3048億円、新生銀が数百億円。
三菱UFJは18年12月末の保有残高しか明らかにしなかったが「15年の残高より増えていない」とコメントした。
三井住友も18年12月末の保有残高のみ回答したが「18年3月末以降、残高は特段大きく増減していない」とした。
三井住友信託銀は18年3月末以降、保有残高が緩やかに増えた。ただ、「リスクリターンを見極めつつ、慎重に取り組みを進めてきた」と
説明。保有しているのはAAA格のみで、かつ、原資産であるレバレッジドローンがデフォルトに陥った際に損失を吸収する劣後部分が分
厚い商品に絞っているとした。
同行は、リスク管理手法として、CLOのストラクチャーの強度、組成したマネージャーの能力などの見極めに加え、CLOおよびその裏付け
資産であるレバレッジドローンについて、バリュエーション面と融資規律の2側面から、市場に過熱感がないかモニタリングしているとした。
米CLOを保有している金融機関は、いずれもAAA格のみ保有していると回答した。
<りそな、あおぞらは保有なし>
一方、りそなホールディングスとあおぞら銀は18年3月末以降、一貫して保有がゼロだった。りそなは、りそな銀など傘下の銀行がいずれ
も米CLOを保有していないと回答した。「グループ各社の海外有価証券投資については、国債もしくはそれに準じる信用力の高いものを
中心に運用を行っている。米国で発行されているCLOは投資対象としていない」とした。
あおぞら銀は、米CLOに投資していない理由として、「レバレッジドローンに取り組む場合、個別案件・債務者ごとのリスクを精査する方針
であるため」と回答した。 <先行き着実に保有増の見方>
今後の保有方針について、三井住友信託銀は「来期も、適正なスプレッドが確保できる限りにおいて、リスク耐性の強固な案件に取り組
んでいく方針」とした。
新生銀は「当面は現状のアロケーションの範囲で推移させる方針」と回答。みずほ銀は「市場動向を見極めつつ検討していく」とした。
金融庁は3月末、証券化商品の保有にあたってのリスク評価を厳格化する規制を導入したが、日本国債の利回りが低く、日本の金融機
関による外貨建て金融商品への投資は続くと専門家はみている。
SMBC日興証券・下里裕吉マーケットアナリストは、米ドルの調達コスト上昇で、米ドル建て商品の中でも「スプレッドのあるモーゲージや
クレジットに、資金が向かう可能性が高い。クレジットの中では、CLOを手掛けざるを得ない」と指摘。「どんどんCLOのエクスポージャー
を上げることはないにせよ、粛々と積み増す方向ではないか」と予想している。 みずほ、AIで中小に無担保融資、来月から、迅速に資金供給。
2019/04/10 日本経済新聞 朝刊
みずほ銀行は5月、人工知能(AI)を活用して返済能力を評価する、中小企業向けの無担保融資を始める。法人融資にAIを使うのは
大手行で初めて。口座の入出金情報などを分析し、財務諸表だけでは見えない商流や事業の将来性から金利などを算出する。非対面
でコストを抑えながら、従来は融資が難しかったスタートアップなどへの融資を拡大する。
AIを使った非対面の融資では、リクルートホールディングスやオリックス系のアルトア(東京・千代田)など異業種が先行する。ただ対象
企業は自社のサイトや会計ソフトの利用業者が対象だった。幅広い顧客を持つ銀行が参入することで、中小の資金繰りの改善につなが
る可能性がある。
みずほ銀が5月に始める中小やスタートアップ向けの無担保融資では、スマートフォン(スマホ)などで申し込み、融資実行まで来店せ
ずに完結する。決算書類は不要で、みずほ銀が口座の入出金のほか、顧客が同意したクラウド会計ソフトや電子商取引(EC)サイトでの
販売データなどを収集。企業ごとの融資上限や金利をはじき出す。
融資上限は1千万円で貸付期間は最長1年。用途は運転資金で、主に飲食業や小売業の利用を想定する。10分ほどで金利などの
条件が示され、最短で2営業日で資金が振り込まれる。みずほ銀に口座を持つ企業が対象だが将来は同行口座がなくても利用できる
ようにする。審査モデルの他行への販売も視野に入れる。
銀行の法人融資は、顧客が決算書類を持って来店する必要があり、申し込みから融資実行まで2週間程度かかる。審査も通常は2
〜3期分の決算書類が必要だ。このため多額の運転資金が必要なスタートアップや、将来性はあっても足元の業績が悪い企業の急な
資金ニーズに機動的に対応するのが難しい。
また中小零細には「RM」と呼ばれる営業担当者を配置していないことも多い。このため非財務データを入手しようとすると、人件費など
のコストがかさみ採算も合わない。みずほ銀は非対面でコストが軽い利点を生かし、担保や保証に頼らない「事業性評価融資」の拡充
につなげる狙いだ。 金融政策、効果と副作用を考慮し適切に運営していく=黒田日銀総裁
https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-idJPKCN1RM0SH
[東京 10日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は10日、都内で開かれた信託大会であいさつし、物価2%目標の実現には
時間がかかり、海外経済を中心にさまざまなリスクが存在する中で、金融政策は効果と副作用の両方を考慮しながら適切に
運営していくことが大事だ、と語った。
総裁は、日本経済について「輸出・生産面に海外経済の減速の影響がみられるものの、緩やかに拡大している」とし、輸出に
ついて「中国向けの資本財や情報関連財を中心に、足元弱めの動きとなっており、これが最近の生産面の弱さにつながって
いる」との認識を示した。
一方、国内需要は「堅調な動きが続いている」と述べ、「企業・家計の両部門で、景気拡大の基本的なメカニズムは維持され
ている」と認識。
内需は先行きも「増加基調をたどる」とするとともに、海外経済も「中国における景気刺激策の効果などから、総じてみれば緩や
かに成長していく」との見通しを示した。
物価は「景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べると、弱めの動きが続いている」としながらも、「最近では、原材料価格や
人件費の上昇などを反映し、食料工業製品を中心に価格引き上げの動きが増えてきている」と指摘。
今後もプラスの需給ギャップが継続し、企業の価格設定スタンスが積極化していけば「企業や家計の予想物価上昇率も徐々に
高まっていく」との見方を示した。
その上で、「2%の物価安定の目標の実現にはなお時間を要する。海外経済の動向を始め、さまざまなリスク要因も存在する」
と指摘。
金融政策運営は「需給ギャップがプラスの状態ができるだけ長く続くよう、ベネフィットとコストの両方を考慮しながら、適切な政策
運営を行っていくことが大事」とし、「現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが適当」と説明した。 金融溶ける境界線(4)「信頼」で勝てるか(迫真)終
2019/04/12 日本経済新聞 朝刊
メガバンクで社長が自ら発表する案件は、それほど多くない。2月20日、みずほフィナンシャルグループ社長の坂井辰史(59)は本社
で新たなサービスの説明にのぞんだ。「安全、信頼を競争の源泉とすることに大きな意味がある」。デジタル通貨「Jコインペイ」で、銀行
を脅かす新たな決済サービスに対抗するという決意表明だった。
Jコインはスマートフォン(スマホ)でQRコード決済や利用者間の送金ができる。銀行口座からアプリに一定額をチャージしておき、買い
物は即時決済する。Jコインを使う送金や銀行口座への戻し入れは無料。口座に戻すと手数料がかかるLINEペイなどとの違いはここに
ある。
みずほがこだわったのは利便性だけではない。「時間をかけてもいい。しっかりやれ」。昨年末、こんな指示が行内に飛んだ。2019年
初めに開始する案もあったJコインは、サイバー犯罪やマネーロンダリング(資金洗浄)を防ぐシステムの構築に万全を期した。過去にシス
テム障害で苦しんだ経験から、金融は「信頼」がすべてとの思いは強い。
「オール福島でキャッシュレス決済というビジネスチャンスに対応したい」。3月20日、福島県郡山市で開かれた中小事業者向けのセミ
ナー。主催した東邦銀行専務の竹内誠司(60)は約70人に語りかけた。竹内の横には同じ福島を地盤とする第二地銀の福島銀行と大
東銀行の担当者が並んでいた。3行を結びつけたのも、Jコインだ。
福島県は11年の東日本大震災後、訪日客の戻りが鈍い。「福島は通過点にすぎないのか」。竹内の目にこう映った福島でも、福島市
や郡山市では新興の決済サービスを利用できる小売店が増えてきた。このままでは、疲弊する地元経済を立て直す切り札を奪われる。
3行が手を組むために、銀行系のサービスを選んだのは自然の流れだ。
だが、サービスの価値は銀行が決めるものではない。白河市の物販店で働く永沼朋美(33)はセミナーでJコインの概要を聞いたが、導
入はためらう。「JAバンクや信用金庫など身近な金融機関が参加していない」。Jコインのアプリはできたが、加盟店集めは始まったばかり。
まだ買い物では使いにくい。
溶ける金融の境界線で銀行は生き残れるのか。時間との勝負も始まっている。 米国株、反発で始まる 銀行決算を好感、ディズニー株急騰も支え
2019/04/12 22:51 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=松本清一郎】12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発して始まった。
午前9時50分時点では前日比264ドル高の2万6407ドルで推移している。主要企業の先陣を切って
2019年1〜3月期決算を発表した米銀行最大手JPモルガン・チェースの業績が予想以上に好調で、
銀行株を中心に決算期待の買いが広がった。
ドイツ長期金利が大幅上昇 ユーロ圏や中国の経済指標に反応
2019/04/12 23:20 日経速報ニュース 米国株、ダウ小反落で始まる、ゴールドマン株下落が重荷
2019/04/15 22:51 日経速報ニュース 米ゴールドマン1─3月期は大半の業務で減収、株価下落
https://jp.reuters.com/article/goldman-results-idJPKCN1RR1WN
[15日 ロイター] - 米金融大手ゴールドマン・サックス(GS.N)が15日発表した第1・四半期(1─3月)決算は、ほぼすべての
主要業務で減収となったものの、コスト削減策が奏功し1株利益は市場予想を上回った。
米シティ、第1四半期利益が予想上回る 投資銀行部門が好調
https://jp.reuters.com/article/citigroup-results-idJPKCN1RR1WU
[15日 ロイター] - 米金融大手シティグループ(C.N)が15日発表した第1・四半期(3月31日まで)決算は減収となったが、
経費削減や投資銀行部門の好調、純金利マージンの拡大などで利益は予想を上回った。 三井住友FL、水力発電拡大、運営にらみ資本参加。
2019/04/16 日本経済新聞 朝刊
三井住友ファイナンス&リース(SMFL)は、水力発電所の改修や開発を手がける「みらいエネルギー・パートナーズ」
(東京・港)に30%を出資した。これまでのように発電機をリースで納めるだけでなく、発電所の運営に乗り出すことをにらみ、
資本参加して知見を深める。 「割高」株に殺到するマネー
2019/04/16 22:34 日経速報ニュース
株式市場で株価が会社の解散価値を大きく上回る「割高」銘柄に投資マネーが群がっている。上場企業による2020年3月期業績見通し
発表が4月下旬から本格化するが、米中貿易交渉など外部環境が不透明で、業績が回復するかは予断を許さない。海外勢の打診買いは
一部の人気銘柄に向かい、さらなる人気に拍車をかけている。
ファーストリテイリング、KDDI、ソフトバンクグループ――。16日の東京市場ではこの3銘柄で日経平均株価を98円強押し上げた。共通
するのはPBR(株価純資産倍率)が日経平均を構成する225銘柄の平均(1.14倍)を上回る点だ。PBRが6倍のファーストリテイリングは
一時2%高、7倍の資生堂は一時1%高となり、いずれも年初来高値を付けた。
PBRは株価を1株あたり純資産で割ったもので、純資産と比べ株価が割安かを判断する。PBRが1倍を下回れば純資産から見た株価
は割安、1倍を超えれば割高と判断できる。16日は利益確定売りの目立った中国関連銘柄でもダイフクやハーモニック・ドライブ・システム
ズなどPBRの高い銘柄は上昇が続いた。
背景にあるのがぬぐえぬ業績への懸念だ。ある大手運用会社のファンドマネジャーは「自動車などPBRが低い割安株は慎重な業績予
想を出してくるだろう」とみる。4月に入り「景気減速下でも安定した業績成長が見込める成長株の割合を高めている」と明かす。
指数に連動した運用をするパッシブ資金の流入も時価総額の大きな高PBR株の上昇に一役買う。英系投資ファンド、オービス・インベス
トメントの日本法人の時国司社長は「海外勢が機械的に似た銘柄に投資する流れだ」と指摘する。
こうした同質性の動きが市場全体に反映される。高PBR銘柄群は海外勢が好む成長銘柄と重なる。東証株価指数(TOPIX)グロースは
4月に年初来高値を更新したが、割安銘柄群で構成するTOPIXバリューは上昇が鈍い。ある外資系証券のトレーダーは「大型連休後の
上昇の可能性を考え、持たざるリスクを意識する海外勢がPBRが高い成長銘柄に打診買いを入れている」と話す。
ただ、割高株相場は息切れしやすい。腰の入った相場上昇には物色の広がりが欠かせない。相場の先行きを占う上で、投資家が注目
するのが23日の日本電産の決算発表だ。
永守重信会長兼最高経営責任者が1月に前期業績を下方修正した際に「世界的に受注や売り上げ、出荷がガタンガタンと落ちた」と発
言すると、投資家心理は冷え込んだ。それから3カ月。ファイブスター投信投資顧問の大木将充氏は「永守氏の発言が世界経済に前向き
になれる『そこそこの内容』なら市場の雰囲気は明るくなる」と期待する。
期初の会社の業績計画は弱い数字となりやすい。減益もありうるため海外勢、個人とも強気になりきれないのが今の相場だ。だが「人の
行く裏に道あり花の山」という相場格言を信じるならば、意外な仕込み時かもしれない。 日銀、来年末にも日本株最大株主に、公的年金上回る。
2019/04/17 日本経済新聞 朝刊
株式市場で日銀の存在感が一段と大きくなっている。日本経済新聞の推計では、日銀は2020年末にも公的年金を上回り、日本最大の
株主となる見通しだ。機関投資家・外国人が主導して発展してきた日本の資本市場は、中央銀行が主導するこれまでにない段階に入る。
日銀は、日本株に投資する上場投資信託(ETF)を年間約6兆円購入している。日銀の保有残高(時価ベース)は3月末時点で28兆円強
となった。東証1部の時価総額の4・7%に相当する。日銀が同じペースで買い続けると仮定すると、20年11月末には約40兆円に増える。
現在6%超を保有すると見られ、最大の株主である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を上回る計算だ。
個別企業でみると、日銀の存在感は一段と増す。日銀が公表する買い入れ基準などをもとに実質保有額を試算すると、日東電工やファナ
ック、オムロンなど23社で筆頭株主になったもよう。上位10位以内の株主を指す「大株主」基準では3月末時点で、上場企業の49・7%と
半数で日銀が大株主となった。
日本の資本市場は、資本規制緩和に対する警戒感から株式持ち合いが形成され、個人から銀行や保険会社などに主役が交代したのが
第1幕だ。
その後、海外投資家の影響力が急速に増した段階を第2幕とすると、日銀が市場の主役となってきた現在は第3幕といえる。公的年金に
代わって日銀が最大株主となる来年末は日本の資本市場の転換点となる。
日銀は、市場の不安定な動きを抑え、2%の物価上昇率目標を達成するための金融政策の一環として日本株を購入している。日銀の黒
田東彦総裁は16日の国会答弁で、「企業や家計の(消費や投資など)前向きな経済活動を支える」と意義を強調した。株高は投資家に資
産効果をもたらし、心理を明るくするなど、経済に及ぼす好影響は少なくない。
ただ純投資目的で株式を保有しているわけではない日銀が市場の主役となる副作用は大きい。経済協力開発機構(OECD)は15日に公
表した対日経済審査報告書で日銀のETF買い入れについて「市場の規律を損ないつつある」として懸念を示した。日銀がETFを通じて業績
にかかわらず、幅広く株式を買うためだ。東証1部では、過去10年間で5回以上赤字を計上した企業は計54社にのぼる。新日本科学など
赤字の回数が8回に達した企業も存在する。
日銀が筆頭株主とみられる企業の幹部は「株式報酬などで従業員の士気を高めようとしても、日銀買いで株価が下がりにくいため、効果
が期待しにくい」と漏らす。
株安局面に転じて日銀の自己資本が毀損する事態になれば、通貨の信認も揺らぎかねない。日銀の雨宮正佳副総裁は3月に国会で「日
経平均株価が1万8000円程度を下回ると保有ETFの時価が簿価を下回る」との試算を示した。足元の株価水準からは距離があるが、将
来の景気後退局面などで含み損が発生する可能性はゼロではない。
満期を迎えると償還する国債や社債と違い、ETFには満期がない。残高を減らすには市場に売却する必要があるが、株価の下落を招かな
いように長い時間をかけて慎重に売却せざるを得ない。
【表】日銀が筆頭株主とみられる主な企業
社名 実質保有比率(%)
日東電工 15.3
ファナック 12.7
オムロン 12.5
日本ハム 12.2
宝HD 11.7
東海カーボン 11.0
安川電機 10.3
サッポロHD 8.0
ユニチカ 6.7
京王電鉄 6.3
(注)3月末時点、日銀買い入れ基準と日経会社情報DIGITALの株主情報などから推計、一部略称 債券15時 長期金利が一段と低下、マイナス0.030% 先物は反発
2019/04/18 15:08 日経速報ニュース 銀行スマホ決済「バンクペイ」今秋に、手数料抑え競合追う。
2019/04/23 日本経済新聞 朝刊
デビットカードの運営を担う日本電子決済推進機構は22日、スマートフォン(スマホ)を使ったQRコード決済「Bank Pay」(バンクペイ)を
今年秋に始めると発表した。店頭でスマホをかざすと代金が銀行口座から引き落とされるしくみだ。異業種からの参入で決済サービスの独
占が崩れるなか、主導権の奪還をめざす金融界の試みには課題も残る。
利用者はアプリをダウンロードし、最大8つの口座を登録する。決済時に店側のQRコードを読み取ったり、自らのスマホに表示したりする
ことで支払いを済ませる。銀行のキャッシュカードで支払い、口座から代金を直接引き落とす「Jデビット」のスマホ版だ。
当初は2020年4月に始める計画だった。今年10月の消費増税で、現金を使わないキャッシュレスの買い物にポイントを還元する政府の
施策に合わせ、半年前倒しした。地方銀行や信用金庫、JAバンクなど700以上の金融機関が参加の意向を伝え、「将来的には1千以上
が対応する予定だ」(推進機構)という。
金融機関が加盟店を開拓すると決済額に応じた手数料が入る。決済に関連した膨大なデータを分析すれば、金融商品の提案にも生か
せるようになると期待を込める。
「オールバンクでやらなければLINEのような相手には勝てない」。検討会を立ち上げた昨年8月上旬、大手行の担当者は銀行界挙げた
取り組みの必要性を力説した。
背景には、決済を事実上独り占めしてきた銀行が脇役に降りることへの危惧がある。通信業界ではインフラを提供する事業者は「土管」と
呼ばれ、価値を生むのは土管を通して消費者にコンテンツを届ける事業者だ。
QRコード決済で先行するLINEペイやPayPay(ペイペイ)では、あらかじめ銀行口座などを登録してもらうが、支払時に現金が引き落とさ
れても銀行側の実入りは乏しい。「インフラのただ乗り」(関係者)を許しているのが実情だ。金融界が主導権を取り戻せなければ、通信業
界のように土管化しかねないとの危機感は強い。
小売店や飲食店など加盟店を開拓する際の武器は1%台とした低廉な手数料率。Jデビットという既存の基盤を使うことで投資を抑え、最
大3%以上とされる競合より有利な料率にした。店側もタブレット端末やQRコードを記したステッカーの準備で事足り、新たな専用端末もい
らない。
それでも手数料の安さはもろ刃の剣だ。地方銀行の担当者が「認知度を上げるにはポイントの還元が不可欠」と訴えるように、料率が低
ければ還元に回すポイントの原資を稼ぐのは難しい。利用を促すしくみが乏しいなか、どう利用者に浸透を図るかが課題となる。
「銀行が提供する複数の決済サービスで混乱を与えてはいけない」。推進機構は最近開いた検討会でこう呼びかけた。そんな懸念に応
えるように「はまPay」を手がける横浜銀行は22日、自ら開拓した加盟店をバンクペイでも使えるよう加盟店の相互開放を検討すると発表
した。みずほ銀行が3月に地銀と始めた「Jコインペイ」とあわせ、銀行界が足並みをそろえられるかは今後の普及に向けた試金石となる。 東芝メモリに出融資伝達、政投銀と3メガ、計1.3兆円。
2019/04/24 日本経済新聞 朝刊
日本政策投資銀行と3メガバンクは23日までに、東芝メモリホールディングスに総額1兆3千億円の出資と融資を実行する意向を伝えた。
政投銀が3千億円の優先株を引き受け、みずほ、三井住友、三菱UFJの3行は計1兆円を融資する。5月下旬に契約を結ぶ見通しだ。大型
の資金調達にめどがたち、年度内の上場をめざす東芝メモリには追い風となりそうだ。
正式な契約を結ぶ前に、出資や融資の意思を明らかにする「コミットメントレター」を各行が東芝メモリに送った。
政投銀は政府の出資金を一部使う「特定投資業務」の一環で、議決権のない社債型優先株を3千億円引き受ける。2014年に1千億円で
引き受けた九州電力の優先株を上回り、一企業への拠出額では最高額となる。
政投銀は「東芝メモリの企業価値だけでなく、産業競争力の底上げにもつながる」と出資を決めた。
みずほ、三井住友、三菱UFJの3メガ銀などが計9千億円を融資し、運転資金として1千億円のコミットメントライン(融資枠)を設ける。東芝
メモリは融資金をもとに借入金を返済するほか、米アップルなど取引先が持つ優先株を約5300億円で買い戻す。
融資にあたって、3メガ銀は19年度内の新規株式公開(IPO)を努力義務とした。上場が実現すれば貸出金利を引き下げる条項を盛り込む。 日銀決定会合、大規模緩和を修正 フォワードガイダンスを明確化
2019/04/25 12:36 日経速報ニュース
日銀は24〜25日に開いた金融政策決定会合で、短期の政策金利をマイナス0.1%、長期金利である10年物国債金利をゼロ%程度に
誘導する金融緩和策(長短金利操作)の現状維持を賛成7、反対2の賛成多数で決めた。そのうえで、政策運営方針をより明確にする
ためにフォワードガイダンスを強化し、少なくとも2020年春ごろまで低い長短金利の水準を維持することを明示した。
同時に発表した4月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、政策委員が示した2021年度の消費者物価指数(CPI)上昇率見通
しは、消費税率引き上げと教育無償化政策の影響を除き1.6%だった。
金利操作のための国債買い入れについては、保有残高の増加額が「年間約80兆円をめどとしつつ、弾力的な買い入れを実施する」と
した。国債以外の資産買い入れ方針については、上場投資信託(ETF)の保有残高を年約6兆円、不動産投資信託(REIT)を年約900
億円に相当するペースで増加するよう買い入れることなどを全員一致で決めた。 <東証>三菱UFJ、日銀緩和修正で一時売り先行
2019/04/25 12:49 日経速報ニュース
(12時45分、コード8306)後場寄り直後は三菱UFJに売りが先行し、一時は前日比7円20銭安の544円30銭と前引け(546円)を
下回った。日銀は25日まで開催した金融政策決定会合で、政策運営方針をより明確にするためにフォワードガイダンスを強化し、
少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持すると明示した。金融緩和策の長期化が意識されて債券
相場が強含むと、銀行株には売りが先行した。ただ相場全体が持ち直すなか、銀行株にも買い戻しが入り、その後は上げに転じ
る場面もあった。 野村の前期、最終赤字1004億円 のれんの減損響く
2019/04/25 16:25 日経速報ニュース
野村ホールディングス(8604)が25日発表した2019年3月期の連結決算(米国会計基準)は、最終損益が1004億円の赤字
(前の期は2193億円の黒字)だった。ホールセール部門で814億円ののれんの減損損失を計上したほか、不透明な市場環境
のなか顧客の取引が減少し個人営業部門も大幅減となった。
収益合計(金融費用控除後)は25%減の1兆1167億円、税引き前損益は377億円の赤字(前の期は3281億円の黒字)だった。
ホールセール部門はのれんの減損に加え、債券取引が低調に推移し日本を含む全地域で減収となった。個人営業部門は手数
料収入の減少などにより税引き前利益は495億円と前の期から半減した。
同日記者会見した北村巧財務統括責任者(CFO)は、個人営業部門が大幅減益となったことについて、「客のニーズを拾いき
れなかったことを反省している。対応策として株、債券、投信に加え、オルタナティブ商品も併せて提案できるよう商品戦略の見
直しに着手する」と述べた。
併せて同社は業績悪化の責任を取り、野村ホールディングスと野村証券の取締役と執行役について、19年3月期の業績に
連動する変動報酬(=役員賞与)をゼロとすることを明らかにした。 野村、10年ぶり赤字、前期最終1004億円、構造改革進まず、大和なども4割超減益。
2019/04/26 日本経済新聞 朝刊
野村ホールディングス(HD)は25日、2019年3月期の連結最終損益(米国会計基準)が1004億円の赤字に転落したと発表した。
通期で赤字転落は09年3月期以来10年ぶり。08年の金融危機後に買収した米リーマン・ブラザーズののれん代を減損処理したこと
が大きな要因。ただ、本業では不振が長引く債券売買事業や国内個人営業(リテール)の構造問題にメスを入れるのが遅れた面は否
めない。
大和証券グループ本社の最終利益も42・3%減の638億円、SMBC日興証券も45・5%減の347億円だった。構造不況の波が大
手証券に襲いかかっていることを浮き彫りにした。
「極めて不本意な決算」(野村の北村巧財務統括責任者=CFO)、「アベノミクスが始まって以来、最も厳しい1年」(大和証券グルー
プ本社の佐藤英二最高財務責任者=CFO)――。
野村は1年前の18年3月期決算で2193億円の黒字を計上していた。赤字額が4ケタに膨らんだのは採算性が悪化した証券事業に
メスを入れるのが遅れたためだ。個人営業部門とアセットマネジメント部門もそれぞれ5割前後の減益となった。
大手証券を襲う構造問題の1つは市場部門だ。長引く金融緩和政策による低金利環境で債券売買のトレーディングで収益が激減した。
野村の日米欧を中心とした債券等のトレーディング収益は約2300億円で、前の期から1000億円程度減少した。1月以降は米長期
金利の変動が大きく、回復可能性はあるものの、債券トレーディングの事業規模について欧州で5割、海外全体で4割を縮小する構造
改革に追い込まれた。
2つ目はリテールの不採算構造だ。野村の営業部門の税前利益は前の期から52%減の495億円となり、金融危機当時の水準まで
逆戻りした。預かり資産は2倍弱に増え、株式相場も大きく上昇しているのに利益を生まない。大和の個人部門の経常利益も同52%減
の246億円と半減した。
追い打ちをかけたのが「回転売買」を控えたこと。金融庁が求める顧客本位の営業に基づき、各社は毎月分配型投信や株式の頻繁な
売買を手控えている。積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の導入で、投資家に低コストや長期投資の投資先選定の傾
向が強まり、株式の売買仲介や投信の販売に伴う手数料収入が減少した。
3つ目はそもそもデジタル化対応に出遅れた危機感の薄さだ。20年前にインターネット証券会社が営業を開始して以降、若い投資家
を奪われても、店舗と人を軸に据えた対面販売の事業モデルを改革できなかった。野村は4月に全部門横断でデジタル活用を検討する
「未来共創カンパニー」を立ち上げ、LINEと組んで準備を進める合弁証券会社も開業を急いでいる。
しかし、対応策が後手に回った結果、野村は赤字転落した。今後数年かけて30以上の店舗を統廃合し、黒字回復を急ぐことになった。
大和とSMBC日興も無縁ではない。大和の佐藤CFOは「一歩踏み込んだコスト構造の見直しの検討を始めている」と明言。SMBC日
興の近藤雄一郎専務も「抜本的なコスト改善を計画している」と踏み込んだ。 武田、1500億円下振れ、シャイアー買収費など重荷、前期税引き前。
2019/04/26 日本経済新聞 朝刊
武田薬品工業は25日、2019年3月期の連結税引き前利益(国際会計基準)の予想を下方修正すると発表した。これまでの会社見通
しに比べ1502億円(61%)減の950億円。アイルランド製薬大手、シャイアーの買収手続きにかかった費用のほか、同社が抱える在庫
の評価替えや特許の償却など会計上の損失処理が重荷となった。
武田は1月8日にシャイアーの買収を完了し、2月1日に18年4〜12月期の決算を発表した。このとき、シャイアーの業績を約3カ月分含
む通期の利益見通しは、会計処理や費用の見通しを立てるのが困難なため修正は見送り、4月に発表するとしていた。
税引き前利益を大幅に下方修正した主な理由の一つは買収関連費用だ。約6兆円を投じたシャイアー買収は、日本企業による海外企
業のM&Aとして過去最大規模だっただけに、銀行や法律事務所に支払った助言費用などが1260億円にのぼった。
もう一つが会計上の処理だ。買収時には対象企業の資産などを、すべて時価(市場価格)に洗い替えする。シャイアーのような製薬会社
は、原価を基にした在庫の評価と市場での売価の乖離(かいり)が大きいため、武田は在庫評価を4500億円ほど上乗せした。
この分だけシャイアーは売上原価が上がり、約3カ月で約820億円の減益要因になった。残る3700億円前後もシャイアーの売り上げに
応じて1年ほどで計上されるとみられ、その後は影響がなくなる。
このほか、シャイアーが持つ医薬品の特許など無形資産の償却費用が約990億円あった。税引き前利益はこうした会計上の処理によ
って1860億円下押しされた。
純利益については「現在計算中のため」として、予想を取り下げた。
武田はシャイアー買収によるコスト低減効果について、22年3月期までに税引き前ベースで少なくとも年14億ドル(約1554億円)として
いる。
キャッシュフロー(現金収支)を伴わない会計上の処理などで減益となったが、本業は好調を維持している。前期の売上高はシャイアーの
約3カ月分が上乗せされたほか、武田の主力薬の販売も伸び、予想比3470億円(20%)増の2兆970億円となった。為替や事業売却
などの影響を除いた「コア利益」は4割増の4590億円だった。 三井住友銀、資金洗浄対策改善へ。
2019/04/26 日本経済新聞 夕刊
三井住友銀行は26日、米ニューヨーク連邦準備銀行からマネーロンダリング(資金洗浄)防止に関する内部管理が不十分と
の指摘を受け、改善措置を講じることで同連銀と合意したと発表した。制裁金は科されていない。外部の専門家による助言を
得ながら対策の高度化に努める。同連銀は三井住友銀ニューヨーク支店を点検した結果、マネロン対策で必要な水準に達して
いないと指摘した。 低格付け債に熱視線、運用難、利回り求め急浮上、日銀の政策も後押し(ポジション)
2019/04/27 日本経済新聞 朝刊
国内で初めて無担保普通社債が発行されてから34年。社債市場の歩みはほぼ平成の世と重なる。改元目前のいま、にわかに市場
の関心を集めるのが格付けの低い社債だ。長引く金融緩和で運用難に直面する投資家は、多少の信用リスクを負ってでも利回りを追求
する。日銀の政策対応も投資家を後押しする。
「社債の金利水準の低さにがくぜんとする」。富国生命保険の小野寺勇介財務企画部長はこうこぼす。今週の流通市場では三井不動
産の残存7年物の社債が0・28%で取引された。原発のテロ対策工事で揺れる関西電力の残存4年物の利回りは0・19%だ。5年前は
同程度の年限で、三井不債が0・5%、関西電債は0・6%程度だった。
発行市場でもトヨタファイナンスなど高格付け債の発行金利はゼロに迫る。2013年に日銀が始めた異次元緩和、16年のマイナス金利
政策を受けて社債金利は低下の一途をたどる。債券投資家は少しでも高い利回りを求めて低格付けの債券に目線を向け始めた。
「投資適格」で最も格付けの低いトリプルB格の社債売買が盛り上がるか――。日銀が25日に「適格担保」の条件緩和を発表すると、債
券市場の関係者は沸いた。
適格担保は、日銀が金融機関を対象に資金供給オペ(公開市場操作)する際に受け入れる担保のこと。従来、社債を担保に使うには「
シングルA格以上」が条件だったが、「トリプルB格以上」に緩める。
これに呼応し、「オペに参加する地域金融機関がトリプルB格の社債に投資できるよう内部基準を緩和する可能性がある」(大和証券の
大橋俊安チーフクレジットアナリスト)。投資家層の厚みが出れば市場は活性化する。トリプルB格には東芝や川崎汽船、トクヤマなど財務
立て直しの途上にある企業が多い。
「投機的等級」であるダブルB格の公募社債も初めて登場する。消費者金融大手のアイフルは5月下旬にも、1・5年債を発行する予定だ。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が昨年、ダブルB格にも投資できる体制を整え、運用会社も対応しようとするなかで、待ち望ま
れていた1号案件だ。
ニッセイ基礎研究所の徳島勝幸・年金研究部長は「日本版ハイイールド債(高利回り債)市場に向けた一歩」とみる。証券会社はアイフル
に続く低格付け債の発行に向けて水面下で動き始めた。米国ではハイイールド債の利回り低下も警戒されるが、日本はようやく市場が立
ち上がる段階だ。
2000年代半ばをピークに社債の売買代金は細る一方だった。金融規制の強化やマイナス金利の影響で社債市場のダイナミズムは低
下してきた。低格付けの社債の投資は信用リスクの高さに見合った分析や管理体制が求められる。そうした社債の発行や売買が活発に
なれば市場の厚みが増す。令和日本の社債市場は新たな時代を迎えることになる。 みずほ・政投銀がカルソニックカンセイ優先株、計700億円取得。
2019/05/01 日本経済新聞 朝刊
みずほ銀行と日本政策投資銀行は、自動車部品大手カルソニックカンセイの親会社、CKホールディングス(CKHD)の優先株を
それぞれ約350億円取得する。CKHDが欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)から自動車部品部門のマネッティ・
マレリを買収する資金の一部となる。
優先株のほか、邦銀大手による約6500億円の融資も決まった。融資にはみずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、三井住
友信託銀行が参加する。
CKHDは優先株だけでなく普通株も新規発行し、親会社である米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が引き受
ける。CKHDの現預金と合わせ約8000億円の買収資金の全容が固まった。
政投銀の優先株取得のうち、約200億円は政府からの出資金が充てられる。民間企業の成長資金供給を目的とする「特定投資業
務」の一環で、日本の自動車部品の世界での競争力を確保する狙いがある。みずほ銀と政投銀がリスクをとって優先株の取得に踏み
切ることで、巨額の融資が集まりやすくなった側面がある。
電動化や自動運転などによる次世代車の開発競争が活発化している。カルソニックカンセイは自動運転に関わる電子部品、マネッ
ティは電子制御装置(ECU)に強みを持っている。互いの強みを生かして独ボッシュなど世界の自動車部品メーカーに対抗する。 IDを非表示にする場合 ※1!extend:none::1000:512
IDを表示し、強制コテハンは表示しない(5ch標準設定と同じ)
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IDを表示し、IPアドレスと強制コテハンを表示!extend:checked:vvvvvv:1000:512 りそなHD純利益26%減、前期、外債売却損で。
2019/05/11 日本経済新聞 朝刊
りそなホールディングスが10日発表した2019年3月期の連結決算は、純利益が前の期比26%減の1751億円だった。
含み損を抱えた外国債券などの売却が利益を約227億円押し下げた。20年3月期の連結純利益の見通しは前期比9%
減の1600億円とした。
同日、自社株買いの実施も発表した。発行済み株式の1・29%にあたる3千万株、総額100億円を上限に13日〜6月
14日に取得する。りそなは03年に注入された公的資金の返済を進めてきたが、株主還元が目的の自社株買いは初となる。 りそなHDの前期、純利益26%減 傘下3行統合の影響などで
2019/05/10 16:48 日経速報ニュース
りそなホールディングス(8308)が10日発表した前期(2019年3月期)の連結決算は、純利益が前の期比26%減の1751億円だった。
グループの関西アーバン銀行、近畿大阪銀行、みなと銀行の3行の経営統合に伴う税務の影響や、前の期に計上した保証子会社の
再編による利益がはく落したことが重荷になった。
本業のもうけを示す実質業務純益(グループ5行合算ベース)は同8%減の1953億円だった。債券関係損益の損失計上などが響いた。
今期(20年3月期)の連結業績目標で、純利益は前期比9%減の1600億円とした。配当予想は年21円(中間10円50銭、期末10円50
銭)と前期と同額にした。
あわせて、発行済み株式数(自己株式を除く)の1.29%にあたる3000万株、100億円を上限とする自社株買いを発表した。取得期間は
5月13日から6月14日。 銀行と貸金業界、信用情報を共有、21年度めどにローン残高や返済状況、過剰な個人融資抑制。
2019/05/15 日本経済新聞 朝刊
銀行業界はローンを過剰に借り入れた多重債務者を減らすため貸金業界との連携を強化する。2021年度にも借り手の信用情報に
ついて自己破産といった「事故情報」に加え、ローン残高や返済履歴を共有し、融資審査に利用する。事実上の融資抑制策となるが、
銀行業界は収益性の高い個人向けのカードローン事業の健全性を高める方が重要だと判断した。
貸金業界とは対照的に個人への融資規制が緩かった銀行業界で、カードローンの審査が厳しくなりそうだ。
全国銀行協会が運営する信用情報機関の全国銀行個人信用情報センターが貸金業界系の日本信用情報機構(JICC)やシー・アイ
・シー(CIC)と個人の信用情報を共有する。システム改修を経て、早ければ21年度にも実現する。
全銀協はすでに貸金業界系の2機関とカードローンの延滞や自己破産といった事故情報に加え、キャッシュカードの紛失情報を共有し
ている。今回の連携で借入残高の情報を加えることで、銀行はローンを申し込んだ人が貸金会社からいくら借りているかを把握できる。
収入に比べて過度な借金を抱え、多重債務者になりそうな人を事前につかんで、融資を断ることができる。
日銀によると銀行、信用金庫のカードローンは18年12月末で約1049万件ある。貸金業界の無担保ローン情報が加わると、単純合
算で約4220万件の残高情報が照合できるようになり、多重債務を防ぐための情報の厚みが格段に増す。全銀協は現在、月次で更新
しているカードローンの利用データを貸金業界と同じ日次に改め、共有情報を照合しやすくする。
消費者ローンを巡っては、多重債務問題を受けて10年に完全施行となった改正貸金業法で、貸金会社による融資を借り手の年収の
3分の1までとする総量規制が導入された。その後、貸金業の融資は減り、3月時点で3件以上の借り入れた人は119万人超と10年
度比で7割弱減った。
一方、銀行のカードローンは総量規制の対象から外れている。多重債務問題の「抜け穴」と批判されたこともあり、約8割の銀行が年
収に見合って融資できる上限額を厳しくした。17年以降はカードローン広告の自粛も申し合わせた。
こうした対応で18年12月末の残高は約5兆7千億円と前年比で0・8%減り、8年ぶりに前年末の水準を下回った。ただ、残高は10
年度比でなお約1・8倍の高い水準になっている。
全銀協が3月に公表した調査では銀行と貸金会社の両方を利用している人の約40%で、借入総額が年収の3分の1を超えていた。
この比率は18年1月公表の前回調査から5ポイント上昇している。
全銀協は3月から「貸付自粛制度」も始めた。ギャンブル依存症や浪費癖があると個人信用情報センターに自主申告している人には、
カードローンの申し込みがあっても融資しない仕組みだ。日本貸金業協会は同様の制度を導入済みで、全銀協か貸金業協会のいずれ
かに申請すれば自動で情報が共有される。
情報共有で分析可能な顧客データが増えれば、人工知能(AI)の活用によって、ローン審査の改善にも寄与する可能性もある。近年
は利用者がスマートフォンなどで入力した個人情報から、AIが信用力を割り出して金利や融資額を決める手法が広がってきている。
銀行と貸金会社の情報共有が広がれば、審査の速度や正確性が向上する。
▼個人信用情報機関 個人向けローンの融資額や残高、返済や延滞状況といった信用情報を集め、会員が融資判断の際に参照で
きるようにする組織。銀行、消費者金融会社、クレジットカード会社、信販会社などの会員を対象に情報を収集・提供する。業態ごとの
主に3つの機関がある。融資・与信審査の迅速化や過剰借り入れの防止を図るために欠かせない役割を担っている。 「ダイナース」120億円減損、三井住友トラスト、会員数伸び悩む。
2019/05/15 日本経済新聞 朝刊
三井住友トラスト・ホールディングスは14日、2019年3月期連結決算で「ダイナース」ブランドのカード会社について約120億円を
減損処理する方針を決めた。15年にすべての株式を取得したが、会員数の伸び悩みで業績が振るわないため。連結納税制度の導
入で税負担が軽くなり、純利益は1750億円としていた従来予想の範囲に収まりそうだ。
傘下の三井住友信託銀行は米シティグループから400億円強でシティカードジャパンを買収し、社名を「三井住友トラストクラブ」に
改めた。富裕層が比較的多いダイナースカードの保有者に対し、信託銀行の金融サービスを提供するといった相乗効果を期待した。
ただ、新システムの開発・導入が遅れ、積極的な営業政策を展開しづらかった。口座は45万前後で足踏みし、買収後の純利益も
10億〜20億円程度にとどまっていたようだ。のれん代を前倒しで処理し、20年3月期以降の償却費を抑える。
あわせて三井住友信託と傘下の日興アセットマネジメントは7月に監査等委員会設置会社へ移行する。業務を執行する取締役に
権限を委譲し、取締役会は経営戦略を活発に議論できるように組織を見直す。 武田、最終赤字3830億円、シャイアー買収、関連費が重荷、今期、新薬開発の速度カギ。
2019/05/15 日本経済新聞 朝刊
武田薬品工業は14日、20年3月期の最終損益(国際会計基準)が3830億円の赤字(前期は1091億円の黒字)になる見通しと発表
した。最終赤字は5期ぶり。アイルランド製薬大手シャイアーの買収に伴う費用が重荷になる。今後はシャイアーが手掛ける有望な新薬候
補を計画通り販売につなげることが、市場の評価を高める条件になる。
シャイアーの在庫の評価替えに伴う会計上の負担が重荷となり、営業損益は1930億円の赤字(前期は2049億円の黒字)となる見通
し。9日に発表した点眼薬事業などの売却は業績予想に織り込まなかった。
半面、売上高に当たる売上収益は57%増の3兆3000億円を見込む。シャイアーの業績が初めて年間で寄与する。「シャイアーとの統
合は速いペースで進んでいる」。都内の武田本社で開かれた記者会見で、クリストフ・ウェバー社長はこう強調した。
本業のもうけを示す「コア利益」は92%増の8830億円の見通し。世界で販売する14の主力薬品の販売が好調に推移する。前期に売
り上げが35%伸びた潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」は今期も20〜30%増える見通し。血液がん治療薬「ニンラーロ」も
2〜3割増える。
シャイアーとの統合によるコスト削減も貢献する。22年3月期までに税引き前で14億ドル(約1550億円)としていたコスト効果の目標を
約20億ドルに引き上げた。コスタ・サルウコス最高財務責任者(CFO)は14日、日本経済新聞社の取材に対して「21年3月期までに目
標の7割を達成する」と語った。
中長期の成長力のカギを握るのは、開発中の新薬候補の成否だ。統合を通じてシャイアーが強みを持つ希少疾患向けの開発案件が候
補に加わった。血小板関連やウイルス感染症などは第3段階(最終段階)にある。
シャイアーから開発を引きついだ新薬候補で有望視されるのが、食道炎向けで第3段階の治験が進む「TAK―721」だ。既存の薬より
炎症を抑えやすいという。国内証券アナリストによると、28年3月期のピーク時に396億円の売り上げ計上を見込む。
武田が開発を進めてきた新薬では「TAK―788」が有望だ。非小細胞肺がんで幅広い原因に対して効果を持つとされる。市場ではピー
クの35年3月期の売上高が672億円になるとの見方がある。武田は同薬について今期中に第3段階の治験を始める見通しだ。
武田の株価は直近高値を付けた今年3月に比べて1割低い。市場が重視するのが新薬開発のスピード感だ。シャイアーから引き継いだ
希少疾患などの新薬開発を円滑に進められるかが、株価回復のカギを握る。
【表】シャイアーとの統合で希少疾患などの新薬候補が加わった
第2段階〓(開発中期) 第3段階〓(最終段階)
武 田 がん、消化器、中枢神経 がん
シャイアー 希少疾患(慢性肺疾患、遺伝性の難病) 消化器、希少疾患(血小板関連、ウイルス感染症)
(注)主要5領域(がん、消化器、希少疾患、中枢神経、血液製剤)が対象 追加緩和、今すぐ検討しているわけではない=黒田日銀総裁
https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-monetary-policy-idJPKCN1SL09T?il=0
[東京 15日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は15日午前の衆院財務金融委員会で、物価安定目標に向けたモメンタムが
損なわれた状況になれば追加緩和の検討を行うという従来の考え方を繰り返した。その上で「追加緩和はモメンタムが失わ
れる状況になった時の話で、今すぐ追加緩和を検討しているということではない」とした。前原誠司委員(国民)の質問に答えた。
米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が金融政策の正常化プロセスを停止しているものの、現時点で、緩和する
ということではないとした上で「リーマン・ショック後のような状況とはかなり違うと思っている」と述べた。
ただ、米中貿易摩擦が長期化するなどリスクが顕在化し、日本経済に影響が出て物価安定目標に向けたモメンタムが損なわ
れることになれば「当然、追加緩和を検討していく」と述べた。
緩和の手段については、短期政策金利の引き下げ、長期金利操作目標の引き下げ、資産買い入れの拡大、マネタリーベース
の拡大ペースの加速などが考えられるとし「効果とともに金融仲介機能や市場機能に及ぼす影響もバランスよく考慮する必要
がある」と述べた。政策のコストとベネフィットを比較考量しながら「さまざまな手段を組み合わせて対応することも含めて、その
時々の状況に応じて適切な方法を検討していく」とした。
また、現時点では「すぐに物価安定目標が達成される状況にはなく、しばらくは強力な金融緩和を続けることが必要」とした。 焦点:日本の国債市場、令和で一段と膠着 消費増税の不透明感も影響
https://jp.reuters.com/article/japan-bond-market-idJPKCN1SM0OV
[東京 16日 ロイター] - 令和入り後、日本の国債市場が一段と膠着している。円高・株安が進んでいるにもかかわらず、15日まで
の7営業日で先物終値2JGBv1の値幅はわずか1銭。10年債金利JP10YTN=JBTCもマイナス0.055%近辺で小動きとなっている。
日銀の金融政策に変化は当面予想しにくいとして、海外勢が米独などの国債市場に「主戦場」を移しているほか、消費増税を巡る不
透明感が売買を手控えさせているとの指摘が出ている。
<「動かない日銀」の見方広がる>
日銀は当面動かない──。円債市場にこうした見方が広がったのは、4月24─25日の金融政策決定会合で日銀がフォワードガイダ
ンスを変更してからだ。
同会合で、金融政策の方向性を示すフォワードガイダンスは「海外経済の動向や消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確
実性を踏まえ、当分の間、少なくとも2020年春ごろまで、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定している」に変更さ
れた。
従来は「2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ」とされていたことから、消
費増税の影響にかかわらず、2020年春ごろまで現在の政策を続ける姿勢を明確化させたと受け止められている。
同会合以前からも、日銀の金融政策変更余地は乏しいというのが市場に広く浸透した見方だった。だが、フォワードガイダンスで「現
状維持」を強調したことにより、少なくとも2020年春までは、金融引き締め方向だけでなく、金融緩和方向の政策変更も可能性が低
くなったとみられている。
4月会合は「(日銀は)結果的にはしばらくは『動かない』ということを宣言した形となった」とJPモルガン証券・債券調査部長の山脇貴
史氏は話す。
<海外勢は米独市場に移動>
海外では、米連邦準備理事会(FRB)は利上げを停止し、今度は利下げの思惑が浮上。緩和強化に動いている欧州中央銀行(ECB)
も次の一手が注目されている。
米国債市場は逆イールドが一部の年限で発生しているが、ドイツの国債市場はまだ長短金利差が大きく、フラットニングの余地がある。
一方、日本の金利曲線は超長期ゾーンに至るまでべったりとゼロ近辺に張り付いている。
金利がマイナス圏にある中長期債を積極的に買う主体は「海外勢か日銀ぐらい」(国内証券)とされる。「米独市場などの方が今は面白
いとして、海外投資家はそちらに向かっている」(外資系投信)ことが、円債市場が一段と膠着する1つの要因になっている。
財務省が公表する「対外及び対内証券売買契約等の状況」によると、中長期債で海外投資家は昨年10月以降、7カ月連続で買い越
しが続き、今年1─2月には2兆円超に膨らんだが、3─4月は1兆円台前半と買いの勢いは鈍化した。
最新の数字となる5月5─11日の週は5535億円の買い越しとなったが、「米国による対中関税を巡り、世界中でリスク回避ムード
が強まった割には、買い越し額は膨らまなかった」(国内証券)という。
「月2兆円規模という過去にないペースで買いを入れた結果、ロングを膨らませ過ぎた面もあるのだろう」と三菱UFJモルガン・スタンレ
ー証券、シニア債券ストラテジストの稲留克俊氏はみている。 <消費増税の有無、焦点は日本株か>
日本の消費増税を巡る先行き不透明感が強くなっていることも、投資家に円債市場での売買を手控えさせている。
消費増税の延期は、財政状況の悪化を予想させ、債券の売り材料となる。2度目の延期(16年6月1日)の際はほとんど影響がなか
ったが、1度目の延期(14年11月18日)の際には、債券価格がいったん下落し、その後反発している。
増税実施か延期か──。市場はまだ見定めている段階だが、「増税延期でも、国債格下げがなければ下がったところで買えばいい。
状況が不透明な今は動く必要はない」(前出の外資系投信)とされ、相場膠着の要因になっている。
16日の円債市場で、国債先物終値は前日比7銭高の上昇。令和になって初めて「1銭」の壁を破ったが、大引けにかけて伸び悩んだ。
「世界的な金利低下(債券価格上昇)が鮮明化しており、さすがに円債市場にも影響してきた。日本株が下がり過ぎなければ増税延
期の思惑も高まらないだろう」とパインブリッジ・インベストメンツの債券運用部長、松川忠氏は指摘する。
日経平均.N225の下落幅は16日は125円だったが、令和に入ってからは16日までに1195円に達した。16日の終値は2万1062
円だが、2万円を切ってくれば、消費増税延期の可能性上昇として円債売りの材料になるとの見方も出ている。本来、株安は債券買
いの要因だが、行き過ぎれば逆方向の思惑を高めることにもなりそうだ。 上場地銀の7割、減益、前期最終、不良債権の処理費3倍に。
2019/05/17 日本経済新聞 朝刊
地方銀行の収益環境が厳しさを増している。上場する78の地方銀行・第二地方銀行・グループの2019年3月期決算は全体の7割の
55行が最終減益だった。超低金利の影響で本業の稼ぐ力が伸びず、不良債権の処理費用も前の期の約3倍に膨らんだ。国内景気の
拡大局面でも稼げない地銀の姿が浮き彫りになった。(関連記事7面に)
19年3月期の連結純利益の合計は11%減の8604億円で、3期連続の減益となった。投資用不動産向けの不正融資問題で赤字に
転落したスルガ銀行を除くとほぼ横ばいだが、2期連続で1兆円を割る低水準だ。
貸し出しや投資信託販売など、手数料収入による本業利益(コア業務純益)は6%減の1兆1899億円だった。日銀のマイナス金利政
策を受けて地銀の長期貸出金利は平均で1%を割っている。一部の地銀は利ざやがマイナスに陥った。これ以上、利ざやが縮小すると
「銀行業務が成り立たない」(筑邦銀行の佐藤清一郎頭取)状況だ。
融資先の業績が悪化すると破綻に備えて貸倒引当金を計上する。こうした与信費用は3247億円と約3倍に急増した。武蔵野銀行は
曙ブレーキ工業の私的整理などを受けて107億円の損失を計上した。
融資先の業績不振で特に目立つのは中小企業だ。前の期までは経営が堅調で引当金の「戻り益」を計上する地銀も相次いだが、一転
して状況が変わった。「(中小企業では)人手が確保できず売り上げが増えない」(東北銀行の村上尚登頭取)と指摘する声がある。
地銀は成長力の高い企業を探すが、有望な融資先の開拓は足踏みしている。低金利で利ざやが小さいなか積極的に融資先を増やす
動きが出づらい面がある。
各行の見通しでは、20年3月期の連結純利益は合計で前期比2%増の8755億円の見込み。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の
笹島勝人氏は「店舗の削減などで大幅にコストを減らさないと収益力の改善は難しい」と指摘する。 金融庁「限界地銀」に照準、業務改善命令も視野、含み益6000億円消失、運用難に拍車。
2019/05/17 日本経済新聞 朝刊
地方銀行が正念場を迎えている。上場地銀78行・グループの2019年3月期決算は全体の7割で最終減益となり、収益を支えてきた
有価証券運用でも含み益が約6千億円減るなど苦戦が鮮明だ。低金利の長期化や人口減少で収益環境が厳しさを増すなか、経営戦略
の見直しは急務だ。金融庁は将来にわたって収益力が低い「限界地銀」に対し、業務改善命令も視野に抜本的な対応を迫る。(1面参照)
日本経済新聞のまとめによると、19年3月期の有価証券の含み益は合計で約4兆7千億円と18年3月期と比べて11%減った。金額
にして6千億円近くが消失した計算だ。青森県のみちのく銀行は21億円の含み損に転落(前の期は16億円の含み益)。日本株で運用
する投資信託で株安の流れが響いたという。このほか、福島銀行でも15億円の含み損となった。
「不良債券」の処理に動いた地銀も目立った。池田泉州銀行は外国債券などの含み損の処理で93億円の損失を計上。関西みらいフィ
ナンシャルグループ傘下のみなと銀行は、米国債を中心に有価証券70億円あまりを損切り。債券関係損益が33億円の赤字となった。
多くの地銀で誤算となったのが米金利の上昇だ。18年秋に米長期金利が3・2%台と約7年ぶりの水準に上昇(債券価格は下落)する
まで、少しでも高い利回りで運用したい地銀は米国債投資に動いた。だが、一部の地銀では想定外の金利上昇で含み損が発生し、なく
なく損切りを迫られたもようだ。
米金利は18年11月以降は低下基調にあるが、運用助言会社の和キャピタルの小栗直登社長は「目先の金利収益を追う運用から脱
せておらず、高度化に向けた人材育成が必要だ」と指摘する。
さらに地銀の運用難は拍車がかかる可能性が高い。野村証券によると、20年3月期に償還を迎える国債は4兆2千億円に達する見通
しだ。すでに19年3月期だけで5兆円近い国債が償還した。リーマン・ショックから10年。日銀が大規模緩和を進めた結果、長期金利は
ゼロ%近くまで低下した。過去に仕込んだ比較的高い利回りの国債が一斉に償還していっており、運用資金の振り向け先を見つけるの
は容易ではない。
日銀は4月に公表した金融システムリポートで、約6割の地銀が10年後の28年度に最終赤字になると試算した。人口減少や低成長
による資金需要の低迷で貸し出しが細るとの見立てだが、有価証券運用についても「益出し余力は低下してきており、金融機関の間で
ばらつきも大きくなっている」と指摘している。実際、地銀が持つ日本国債は19年2月時点で約20兆円と異次元緩和が始まる前から半
減した。
全国の地銀を監督する金融庁は将来の収益性に着目し、本業の赤字が続く地銀には経営の抜本的な見直しを迫る方針だ。19年3月
期の決算を踏まえ、今後5年間ほどの本業の利益や自己資本比率を試算。貸出金や有価証券の運用による利息配当金が一定の水準
を下回る地銀に対しては、有価証券の益出し余力が十分か、追加の経費計上が必要かなど見通しの妥当性を検証する。
九州地方のある地銀頭取は「同じ地元で体力のない他の地銀を救済する経営統合も想定しなければならない」と警戒する。
本業の赤字が続いたり、国内銀行に最低限求める自己資本比率が4%を下回ったりしそうな地銀には業務改善命令を出すことも視野
に入れる厳しい内容だ。地銀の体力があるうちから早めに経営改善に動き、持続可能なビジネスモデルを描き直す――。地銀の経営を
支えてきた有価証券運用を含めて経営戦略の再構築は待ったなしだ。ある金融庁幹部は「地銀トップの当事者意識が問われている」と
指摘する。 三井住友銀が気候変動ファンド NGOの格付けを世界で初活用
https://www.sankeibiz.jp/business/news/190520/bse1905200500002-n1.htm
三井住友銀行が、気候変動問題に積極的な企業に運用対象を絞った投資信託の取り扱いを開始することが分かった。提携する
国際非政府組織(NGO)が気候変動への取り組み状況により企業を評価し、銘柄選定に反映させる。NGOによる評価を銘柄選定
に活用する投信は世界初という。
6月に長野県軽井沢町で開かれる20カ国・地域(G20)のエネルギー・地球環境分野の閣僚会議で気候変動問題に注目が集ま
るのを契機に、環境に配慮した商品の販売を決めた。
英国の国際的なNGO「CDP」が二酸化炭素(CO2)の排出削減策や、気候変動によるリスクに備えているかなどの観点で企業
を格付けする。
商品名は「SMBC・アムンディ クライメート・アクション」。運用はフランスの大手運用会社アムンディの子会社が手がけ、三井住
友銀が販売する。投信の銘柄は欧米株を中心とし国内株も7%程度入る。申込期間は今月27日から。
銀行業界では、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が15日、原則として石炭火力発電への新規融資をやめると発表するなど、
環境問題への取り組み姿勢が強まっている。 3メガで独り負けのみずほが新経営計画で描く「坂井社長色」
https://diamond.jp/articles/-/202603
「細かい数字にこだわる様子は、人によってはマイクロマネジメントだと感じるだろう」――。約8万人の従業員を抱えるみずほフィナン
シャルグループ(FG)。この“巨大戦艦”を統べる坂井辰史社長をよく知るあるOBは、こうした表現でその経営スタイルを言い表す。
しかし、昨年の社長就任当初にこうした周囲の人物評を坂井社長本人にぶつけてみたところ、「私自身はビジョナリーだと思っている
」と反論。経営トップとして「3〜5年後をイメージしてビッグピクチャー(大局)をとらえないと経営できない」という持論を展開した。
そして5月15日、みずほFGはその坂井社長が率いるようになって初となる新たな経営計画を発表した。その中身を見てみると、坂井
社長の「ビジョナリー論」を象徴する要素が散りばめられていた。
代表的なのが、通例では3年ごとだった計画の期間を5年に伸ばしたこと。みずほFGは今回の計画において、デジタル化や少子高齢
化の進展に対応した「次世代金融への転換」の実現を掲げたが、「3年という期間だと今までの延長線上に(物事を)見てしまう」(坂井
社長)ことがネックとなる。そこで、「目に見える形で成果を上げる」(同)ために、今年から「中期」という言葉を取り「5ヵ年経営計画」と、
5年という長期間で事業プランを描いていく考えだ。
さらに、本業のもうけを示す「連結業務純益」を、5年後に9000億円にするという強気の収益計画を掲げた。その強気ぶりは、昨年5月
に発表された2018年3月期決算の連結業務純益4578億円と比べればわかる。大きな利益剥落がなかったこの実績と比べると、およそ
倍増となる大きな数字をぶち上げたのだ。
露呈する3メガの「2強1弱」
だが、新経営計画と同じタイミングで発表された19年3月期決算は、強気の目標をにわかには信じがたい有り様だ。連結業務純益は
前年同期比14%減の3933億円で、連結純利益に至っては同83%減の965億円まで落ち込んでいる。
その主因は、次期勘定系システムの減損処理と外国債券の含み損処理を一気に行ったこと。一連の損失は、将来にわたりみずほF
Gの決算を苦しめると考えられていたため、坂井社長も「(損失の)一括処理がベストの選択だと確信している」と胸を張るが、他の2メガ
バンクに大きく水を空けられた印象は否めない。
また、みずほFGは新たな経営計画から、これまで掲げてきた経費率という経営指標を外した。「重要な指標だが、経営の管理手法の
一つに過ぎない」(坂井社長)とし、その代わりに自己資本利益率(ROE)を重視するという。
しかし、姿を消したその経費率も、みずほFGの新経営計画の実現可能性に影を落とす。数字が小さいほど経営が効率的であることを
示す指標だが、19年3月期の実績を見れば、三菱UFJFGは71.0%、三井住友FGは60.3%という中で、みずほFGは78.8%。みずほFGは
他の2メガの後塵を拝している。
確かに、どこの銀行のトップも決算を総括すれば「厳しい」と言葉がこぼれる時代だ。その証拠に、19年3月期決算において、3メガバン
クグループはそろって前年比で最終減益。低金利環境がもたらした本業の融資事業の低迷は相変わらずだが、加えて昨年は、米国の
金利上昇やそれに伴う株式市場の急落が発生したことで、各社の市場運用部門が稼ぎ損なっている。
例えば三菱UFJFGは、連結業務純益で1兆0785億円となり前年同期比13%減、連結純利益だと同12%減の8726億円だ。詳細を見
ると、子会社のシステム開発が頓挫したことを主因に2027億円の特別損失を被ったことに加え、市場運用部門が同883億円減の不調だ
ったことが大きく響いた。
また三井住友FGも、連結業務純益は前年同期比1%減の1兆1923億円、連結純利益は同1%減の7267億円と振るわない。市場運用
部門は増益を保ったが、「上期の貯金で下期の苦しいところを支えた」(太田純社長)と、昨年後半の相場の急変にはさいなまれたようだ。
とはいえ、連結純利益では三菱UFJFGが業界最大手ながら、連結業務純益で見れば三井住友FGが三菱UFJFGを追い抜くなど、上位
2社が見せるトップ争いに対してみずほFGは食らい付く気配がない。「2強1弱」。19年3月期の決算は、3メガバンクグループの“構図”を
際立たせる結果となった。 坂井社長が説くマインドセット
「最後に一言申し上げます」。5月15日、居並ぶ報道陣に対して新たな経営計画を一通り説明した坂井社長は、独特の言い回しでこう
切り出した。「今回の経営計画は、あえてあらかじめ定められた目指すべき姿に向かって進むという形にはしていません」「むしろこの計
画は、私たちみずほにとっての一種の運動論、あるいは行動論だと考えています」――。
前述の通り、新たな経営計画には「5年後に9000億円」といった数字の計画があり、それを実現するための重点的な取り組み分野も
記されている。しかし、事業部門別の具体的な戦略プランに関しては、経営計画に記載されている内容は乏しいのが現状だ。
その一方で人材育成面では、職員の熱意や専門性を重視すること、それを支えるために、社員のやりたい仕事を重視した人事制度に
変えると明記した。つまり、今回の経営計画は、戦略以上に“マインドセット”としての側面が強いと訴えたかったわけだ。
「利益倍増計画」という「ビッグピクチャー」を掲げた坂井社長だが、数字をぶち上げるだけであれば誰でもできる。経営手腕が問われる
のは、どのようにその計画を実行に移し、実現するかだ。
みずほFGの内情に詳しい金融関係者は「みずほの経営陣は他のメガバンクと比べて、細かいところまで詰めて稼ぐという執念に欠け
る」と語る。新経営計画の成否は、周囲が坂井社長の特徴だと語る「マイクロマネジメント」が、今後適切な形で発揮されるかどうかに
懸かっている。 日銀、政権の政策、逆風、教育無償化など、物価下押し要因に(ポジション)
2019/05/21 日本経済新聞 朝刊
日銀の政策手詰まり感が強まっている。国内では安倍政権が主導する政策が2%の物価安定目標の達成に逆風となる。目標未達な
ら追加緩和を求める声が強まりかねないが、有効な追加緩和策は限られる。一方、世界経済の不透明感を背景に、米欧の中央銀行は
正常化路線を一時休止した。日銀自身の円高進行の「抑止力」は乏しく、円高リスクをはらんでいる。
20日発表の2019年1〜3月期の国内総生産(GDP)速報値は、マイナス成長も見込んでいた市場予想に反して前期比実質0・5%
増となった。市場はひとまず好感し、リスク回避姿勢の後退で株高・円安が進んだ。
日銀の黒田東彦総裁は17日、都内で講演し「物価安定の目標に向けたモメンタム(勢い)は引き続き維持されている。時間はなおか
かるものの、2%に向けて徐々に上昇率を高めていく」と強調した。だが日銀の内憂外患は深まるばかりだ。
日銀は13年度に「2年程度で2%」の物価安定目標を掲げたが、14年4月の消費増税の影響を除くと年度ベースで上昇幅が1%を超
えない。
19年後半を見込む景気回復シナリオにも米中の対立激化が影を落とす。米トランプ政権は経済成長を一段と後押しするため、米連邦
準備理事会(FRB)に利下げを迫る。実際に利下げとなれば日米の金利差が縮まり、円高圧力が強まる。
物価の下押しリスクは安倍政権による政策にも内在する。10月には消費増税を控え、その増収分を財源に使う幼児教育・保育などの
無償化は物価のマイナス要因になる。内閣府はCPIの総合指数を0・3ポイント程度押し下げると見込む。
携帯電話料金引き下げも相次ぐ。10月の楽天の参入により値下げ競争が一段と過熱する可能性もある。BNPパリバ証券の河野龍太
郎氏は、通信料引き下げがCPIを0・3ポイント下げるとみる。
外国人労働者受け入れ拡大を賃金が上がりにくくなる要因とみる向きもある。みずほ銀行の唐鎌大輔氏は「賃金上昇の足かせになり
、物価下押し要因となる」とみる。そうなれば物価上昇の勢いを判断する際に重視する需給ギャップ(日本経済全体の需要と潜在的な供
給力の差)にマイナス作用が働く可能性がある。
第2次安倍政権の発足直後の13年1月、政府と日銀の共同声明には「政策連携を強化し、一体となって取り組む」と明記した。しかし
2%物価安定目標を達成する見通しは立たず「政府の政策との整合性は疑問だ」(唐鎌氏)との声も聞かれる。日銀幹部も「携帯料金引
き下げや教育無償化による物価への影響は否定できない」と認める。
巨額債務を抱えながら政府が財政出動を続けられるのは、日銀の金融緩和で国債利払い費が低水準で済んでいるからだ。安倍政権
は日銀の後押しで長期政権を築きながら、上がらぬ物価に苦慮する日銀のハシゴを外す――。そんな構図が浮かぶ。物価目標を達成で
きないまま、景気後退と円高が進む展開も現実味を帯びる。
安倍政権主導の政策が物価下押し圧力に
外国人労働者の受け入れ拡大
新たな在留資格「特定技能」を新設する改正出入国管理法が4月に施行。賃下げ圧力などが働く可能性
携帯電話料金の引き下げ
菅官房長官が昨夏に「4割程度引き下げの余地がある」と発言。各社が順次引き下げへ
教育無償化
10月の消費税率引き上げを財源に幼児教育・保育などを無償化。安倍政権が2017年衆院選で公約に掲げて勝利 ETF買い入れは株価変動抑制に効果、株価引き上げ効果は大きくない=日銀総裁
https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-etf-idJPKCN1SR061
[東京 21日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は21日の衆議院財務金融委員会で、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れ
は株価の引き上げが目的ではなく、その効果があっても大きなものではないとの認識を示した。ただ、株価の変動を抑制している
のは事実とも語った。川内博史委員(立憲)の質問に答えた。
黒田総裁は、日銀によるETF買い入れは、リスクプレミアムに働きかけ、経済・物価にプラスの影響を及ぼしていくと説明。現在は、
株式市場のリスクプレミアムの状況に応じて弾力的に買い入れ額を上下させており「リスクプレミアムが拡大することを防止、変動
幅を小さくしているという意味では、株価の大きな変動を抑制している効果があるのことは事実」と述べた。ただ「株価引き上げが目
的ではない。東証時価総額の4%程度の保有であり、株価引き上げの効果があってもそれほど大きなものではない」と指摘した。
昨年9月末でETFの市場の時価総額は37兆円、このうち日銀は29兆円を保有している。
現代貨幣理論(MMT)については「理論モデルがはっきりしない」とした。そのうえで、日本の財政当局は機動的な財政運営ととも
に、中長期的に持続可能な財政構造を確立するための取り組みを進めており、市場の信認確保に努めていると指摘。そのため、M
MTが前提としている「財政赤字や債務残高を考慮しないというスタンスにはない」とし、金融政策についても「物価安定目標実現の
ために最も適切なイールドカーブ形成を促すよう国債を市場から買い入れている。これは、物価の安定のために実施しており、財政
ファイナンスではない」と述べた。
総裁は「日本の財政や金融政策運営はMMTが想定している状況とは全く異なっている」と繰り返した。 債券、15年ぶり買い越し、大手銀4月、世界経済減速懸念で。
2019/05/22 日本経済新聞 朝刊
大手銀行が債券を買っている。日本証券業協会が21日までにまとめた4月の売買動向(短期証券を除く)によると、同月としては15年
ぶりに買い越しに転じた。例年、新年度が始まる同月は債券を売る傾向が強い。ただ世界経済の減速懸念から「安全資産」である国債な
どの需要が高まったほか、そもそも保有残高が少なく、売り余地が狭まっているようだ。
日証協が公表した公社債の投資家別売買動向によると、大手銀(都市銀行)は4月に債券を6306億円、買い越した。4月は利益目標
を早めに達成するために、保有する債券を売って利益を確保する傾向がある。当初はこうした売りが出たが、次第に買いが優勢になったと
いう。
理由は主に2つ。1つ目は米中貿易摩擦を背景に世界経済の減速懸念が強まったことだ。米欧の中央銀行が相次いで金融引き締め路
線を停止。日銀がまとめた3月の全国企業短期経済観測調査(短観)でも大企業製造業の景況感が大幅に悪化し、景気の先行き懸念か
らリスク回避の資金が国債に集まった。
2つ目はすでに銀行が持つ債券が大幅に減っていることだ。日銀は異次元の金融緩和に伴い、銀行から大量の国債を買い続けてきた。
銀行は様々な取引の担保に差し入れるために一定の国債を持っておく必要がある。
日銀のある政策委員も3月の金融政策決定会合で「金融機関の国債保有額が資金調達の担保として最低限、必要な水準まで近づいて
いる可能性がある」と指摘している。このため、日銀は4月の決定会合で銀行が日銀から資金調達する際の担保の要件を緩和することを
決めた。 大手金融グループ 経営効率化を加速 低金利で環境厳しさ増す
2019年5月22日 20時17分
長引く低金利で経営環境が厳しさを増していることから、大手金融グループは、経営の効率化を急ぐ方針を相次いで打ち出しています。
このうち、三井住友銀行のSMBCグループは、店舗で行う書類づくりなど単純な事務作業を機械化することによって、今年度末までに
これまでの計画よりおよそ1000人分多い、5000人分近い業務量を削減することにしています。
また、過去に大量採用した行員の退職が進むことで、人員の数は、今年度末までにおよそ4000人減る見込みだということです。
一方、三菱UFJ銀行は店舗の統廃合の計画を上積みし2023年度末までに全体の35%にあたるおよそ180の店舗を減らすことにしてい
るほか、業務量についても従来の計画より500人以上多い1万人分以上を減らすとしています。
さらに、みずほフィナンシャルグループも統廃合する店舗を従来の計画より30店舗増やし2024年度までに130店舗減らすほか2026年度
までに1万9000人の従業員を減らすとした計画を、できるかぎり前倒しで取り組むとしています。
長引く低金利による収益の低下に加えて、IT企業など新たなライバルの参入で金融業界を取り巻く経営環境は厳しさを増しており、各
グループにとって、利用者の利便性を損なわずにどう効率化を進めるかや、成長が見込める分野にどう人材を振り向けていくかが課題
になっています。 三井住友FG、ITで省力化5000人 業務削減、1000人弱分上振れ
https://www.sankeibiz.jp/business/news/190523/bse1905230500003-n1.htm
三井住友フィナンシャルグループがITなどによる省力化技術を活用し、2017〜19年度の中期経営計画の期間中に、ローン関連
事務などの業務量を5000人弱分削減する見通しであることが22日、分かった。従来計画から1000人弱分上振れする。
17日に開催した投資家向け説明会で明らかにした。超低金利の長期化で国内の収益環境は厳しさを増しており、店舗なども含め
合理化に力を入れている。計画期間中に国内の人員が定年退職などの自然減で4000人減る見込みであることも示した。
業務量削減は、定型的な仕事を自動化する「ロボティック・プロセス・オートメーション」(RPA)と呼ばれる技術の活用が中心だ。同
じメガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループやみずほフィナンシャルグループも国内事業を抜本的に見直している。 米長期金利が1年8カ月ぶり低水準、NY株は232ドル安
2019/05/29 05:32 日経速報ニュース 545文字
【ニューヨーク=後藤達也】米長期金利の低下が続いている。28日の債券市場で米10年物国債の利回りは2.26%と2017年9月以来、
1年8カ月ぶりの低さに低下(価格は上昇)した。米中貿易戦争が世界経済に悪影響を与えるとの懸念が強く、安全資産である米国債を
買う動きが続いている。米株式市場では売りが先行し、米ダウ工業株30種平均は先週末より237ドル安い2万5347ドルに下落した。
トランプ米大統領は27日、訪問先の日本で「中国は合意したがっているが、私たちはその用意がない」と述べた。中国も歩み寄る姿勢は
見せておらず、市場では米中戦争が長期化するとの見方が増えている。23日に発表された5月の米製造業の景況感指数も大きく悪化し
ており、米景気の先行きにも警戒感が出始めている。
長期金利が短期金利を下回る「逆イールド」という状態も一段と進んでいる。米モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏は「貿易交
渉の結果にかかわらず、米景気減速や景気後退のリスクが起こり始めている」と指摘する。市場では米連邦準備理事会(FRB)が年内に
1〜2回利下げするとの観測も強まっている。
米株式市場では、長期金利の低下で利ざやが縮小するとの観測から、ゴールドマン・サックスなど金融株が大きく値を下げた。 日銀の桜井審議委員、「追加緩和、現時点で不要」、副作用を意識。
2019/05/31 日本経済新聞 朝刊
日銀の桜井真審議委員は30日、静岡市で記者会見し、米中貿易摩擦の再燃などを踏まえて「景気はかなり微妙な段階に来ており、
(先行きの)不確実性も高まった」と語った。景気や物価を下支えするため、大規模な金融緩和が長期化するとの見通しを示した。ただ、
銀行収益の悪化など副作用を意識し「追加緩和は現時点で必要ない」との認識も示した。
桜井氏はこれまでも地方での講演や会見の場で追加緩和に慎重な意見を述べてきた。こうした姿勢を今回も維持した。
経済情勢が大きく悪化するなど「必要があれば、いろんな手段を考えていく」とも語った。当面は中国の景気対策の効果をはじめとする
海外経済の動向や10月に予定する消費増税の影響を慎重に見極める考えを示した。
桜井氏は金融緩和が長引くことで「地方の金融機関の経営はトレンドとして厳しい状況にある」と認めた。そのうえで、運用難の金融機
関が投融資を増やすなど「リスクを抱えつつあるかもしれない」と指摘した。金融緩和の副作用を「今までと違う観点から広く慎重に考え
る必要がある」と強調した。 ▽31日の起債予定
発行体 年限 発行額
・武田(4502) 60年 5000億円
(劣後債、5年5カ月目以降の期限前償還条項付き) アクアパレス, ,palace,0019,
アトリエなにわ, ,naniwa,naniwa,
エクセレントクラブ男爵, ,dvip,5229,
エメラルド皇帝, ,e-vip,0923,
エル・クィーン, ,会員ページなし,
エルドール, ,avip,1977,,
MSJグループ(サブマリン・姿麗人・ミンク), ,3WAY,7221,
オーキッド倶楽部, ,会員ページなし,,
オペラ, ,operamember,yoisigoto
カモミール, ,member,ree,
クラブオアシス,→サンタ・フェG,,,,
クラブ華, ,member,55hana,
ケリーヒルズ, ,netmember,birkin
コルドンブルー, ,cordon,4126
サテンドール, ,1126,
サブマリン,→MSJグループ,3WAY,7221
サンタ・フェG,個人ごとに違うものが必要(クラブオアシス、ビッグマン、サンタ・フェ、セリアオペラ、シーザースパレス),,,,
シーザースパレス,→サンタ・フェG,,,,
シャトー・ルイ(川崎), ,louiloui,cl1232,
シャトーペトリュス, ,1288,,
ジャルディーノ, ,gvip,0915,
女帝, ,3875,6938,
d-collection, ,d-coll,3500, ハールブルグ, ,6802,4977,
薔薇の園, ,3872,0077,,
ピカソ,,picasso,651028,
フォーシーズン(吉原 ,,imadesho,abenomics
プレジデントクラブ, ,1918,0202,
ボジョレ・ヌーボー, ,12345,montrachet,
マティーニ, ,sting80,police08,
マティーニ(携帯), ,sting80,police08,
マンダリン, ,mandarin,first3,
ムーランルージュ, ,3874,1299,
メイクアップ, ,mvip,0209,
阿吽(あうん), ,会員ページなし,
王室, ,okg3790,0338713790
王様と私, ,会員ページなし,
牛若丸, ,ushiwaka,bestsoap,
金瓶梅(吉原),※★でS有無 p、ハート有無も意味あり, ,
金瓶梅PLATINUM,※★でS有無 p、ハート有無も意味あり,会員ページなし,,
銀馬車, ,会員ページなし,
恵里亜, ,eria,0071,
迎賓館, ,GK,4194,
姿麗人, ,→MSJグループ,,,
石亭本店, ,sekitei40,※6桁の数字
石榴, ,zakuro,vip3396,
多恋人倶楽部, ,talent,2222,
秘書室, ,5603,4463,
麗嬢, ,reijou,777 米国株、買い先行 米の対メキシコ関税見送りを好感
2019/06/10 22:42 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=戸部実華】10日の米株式相場は買い先行で始まった。午前9時35分現在、ダウ工業株30種平均は
前週末比175ドル51セント高の2万6159ドル45セントで推移している。トランプ米大統領が7日夜、メキシコからの全輸入品
への関税発動を見送ると発表した。サプライチェーン(供給網)が寸断される事態が回避され、買い安心感が広がった。
メキシコに生産拠点を持つ自動車のゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターが高い。相対的に安全資産とされる
米国債は売られて米長期金利が上昇しており、利ざや改善期待からゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど
金融株に買いが優勢となっている。 金利低下、日銀のジレンマ、容認なら、年金の運用難拍車、阻止なら、円高を招くリスク(ポジション)
2019/06/11 日本経済新聞 朝刊
米国発の金利低下が日銀のジレンマを深めている。幅広い年限で国債利回りの低下(債券価格は上昇)が進むなか、さらなる下げを
容認すれば金融緩和の副作用が強まる半面、食い止めようとすれば円高を招くリスクもあるためだ。超低金利を生かした財政支出で景
気や物価の押し上げを求める声も強まっており、日銀の政策運営のかじ取りは難しさを増している。
長期金利の指標になる10年債利回りは7日に一時、マイナス0・135%と2年10カ月ぶりの低い水準まで低下。10日も上昇機運は
乏しかった。
米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測で米金利が急低下し、日本の金利も下がっている。プラスの利回りを確保しようと、償還
までの期間が10年超の超長期債への投資も活発化。半年前に0・9%台だった40年債の利回りは足元で0・4%を下回る。長短の金
利差が縮まり、利回り曲線(イールドカーブ)は寝た状態になっている。
日銀は短期金利をマイナス0・1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する「長短金利操作」を政策の柱に据える。2016年のマイナス金
利政策の導入後、長期金利がマイナス0・3%まで下がるなど利回り曲線全体が沈み、年金の運用難や金融機関の収益圧迫といった
副作用に対応するため16年9月から今の政策に切り替えた。昨年夏の微調整を経て長期金利は「マイナス0・2〜プラス0・2%程度」
の範囲に収まるよう誘導している。
ある日銀幹部は「長期金利はまだ下限(マイナス0・2%)まで距離があり、問題ない」と話す。だが市場では「金利はかなり微妙な水
準まで下がり、一段の低下は金融緩和の副作用を深刻にする」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純氏)との声も出る。
市場参加者が注目するのは一段の金利低下時の日銀の出方だ。食い止める場合、国債の買い入れオペ(公開市場操作)を減額した
り、買い入れる国債の利回りに下限を設定したりする手がある。ただ日米で同時に金利が下がる局面で日銀が金利低下を容認しない
となれば、日米金利差は縮小し、円高を招きかねない。
日銀は金融政策の軸足を金利の操作に置く一方、国債購入などを通じたマネタリーベース(資金供給量)の拡大方針も維持している。
ここ数年の国債保有残高の急拡大に伴い、残高の増額ペースは鈍っているが、長期金利を下げないように一段と購入を抑制すれば政
策の整合性が取れなくなる恐れも出てくる。
日銀内では長期金利の下限を厳密にマイナス0・2%とはせず、それ以上の金利低下もある程度容認する案も浮かぶ。その場合でも
「金融機関の体力は長短金利操作を始めたころよりも落ちている」(大和証券の谷栄一郎氏)ため、副作用への対策をセットで講じる必
要に迫られそうだ。
足元では世界景気の先行き不安などを理由とした大規模な追加経済対策も取り沙汰され始めた。超低金利が続くなかでは財政規律
への意識も緩みがち。金利低下は財政政策と金融政策の境界線を曖昧にしかねない危うさもはらむ。 なんじゃこのスレはあああああああああああああああああ 米国発の金利低下で日銀板挟み
https://www.sankeibiz.jp/business/news/190613/bse1906130500005-n1.htm
米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測を背景にした米国発の金利低下で日本銀行が板挟みに陥りそうだ。金利低下
による景気刺激を優先すれば金融機関の収益力悪化など大規模金融緩和の副作用が拡大し、逆に金利を上げようと手を打てば日
米の金利差縮小で円高が進みかねない。これまで以上に慎重な手綱さばきを求められる。
日銀は昨年7月から、長期金利の変動幅がプラス0.2%〜マイナス0.2%程度の範囲に収まるよう国債売買などの市場調節(オ
ペレーション)で誘導する方針を示している。指標となる新発10年債の終値利回りが今月5日にマイナス0.130%と2年10カ月ぶり
の低水準に沈んだ(価格は上昇)ことで徐々に防衛ラインが意識されそうだ。
長期金利が一段と低下した場合、日銀はどんな手を打つのか。副作用の拡大を防ぐには、金融機関からの国債購入額を減らして
金利を押し上げる必要がある。
ただ、市場ではFRBが早ければ7月にも利下げに動くとの観測が強まり、米国の長期金利も低下している。日米の金利が同時に
下がる場面で日本だけ押し上げに動けば、日米の金利差が縮小するとの思惑から円を買ってドルを売る動き強まり円高が進みかね
ない。
また、今月末に見込まれる米中首脳会談が決裂するなど貿易摩擦が一層悪化した場合、FRBの利下げが加速し急激な円高にな
りそうだ。日銀も景気下支えや円高防止のため利下げを含む追加緩和を検討せざるを得ず、副作用は拡大する。
このため、日銀は副作用への配慮と追加緩和の優先順位を問われる局面に入りそうだ。桜井真審議委員は「どちらを取るのかとい
うジレンマに陥ったとき、バランスを考えなければいけない。大変厳しい判断を迫られる」と指摘している。 銀行の議決権行使のあり方、今後の検討課題=高島・全銀協会長
https://jp.reuters.com/article/japan-banks-idJPKCN1TE0WP
[東京 13日 ロイター] - 全国銀行協会の高島誠会長(三井住友銀行頭取)は13日の定例会見で、銀行が持つ政策保有株式の
議決権行使について、どのような対応が望ましいかは引き続き検討していく必要があるとの考えを示した。
日本版スチュワードシップ・コードの浸透で、機関投資家は議決権行使結果の開示を進めているが、銀行は開示していない。高島会
長は「一般の機関投資家は投資家を背後に抱えているため、積極的に開示が必要」とする一方で、銀行は一般の機関投資家と立場
が異なり、銀行勘定で政策保有株式を保有していると説明。「スチュワードシップコードに対応して開示をすることにはつながらない」と
語った。
その上で、「今後は、スチュワードシップ活動でどのような役割を発揮するのかは検討していく必要がある」との認識を示した。 日本株ADR14日 売り優勢、LINEが下落 ソニーは3%高
2019/06/15 05:08 日経速報ニュース 162文字
【NQNニューヨーク=横内理恵】14日の米株式市場で日本株の米預託証券(ADR)には売りが優勢だった。
同日の米株式相場が反落し、日本株のADRにも売りを誘った。LINEやホンダ、武田が下落。野村や三菱UFJも安い。
一方、米ヘッジファンドが半導体部門の分離・独立を要求したと伝わったソニーが3%あまり上昇。みずほFGも上げた。 武田、「背伸び」でメガファーマに 重い債務が課題
2019/06/19 21:24 日経速報ニュース
武田薬品工業は6.2兆円の巨額買収をテコに、製薬企業で世界9位の売上高を手に入れた。ライバルを見渡すと、薬を生む資金力は
なお武田を上回る。「背伸び」した分、重い債務というハンディも背負う。出遅れたバイオ製薬でトップになるには、焦点を絞った投資が
求められる。
「世界のトップテンでも、グローバルに売り上げが成長する薬を14も抱えているところはない」。5月14日の決算説明会で、クリストフ・
ウェバー社長は世界で戦う力を強調した。
製薬企業が新薬を生む方法は自力か外部から種を買うかの大きく2つがある。研究開発と購入のどちらにも資金をつぎ込める潤沢な
現金創出力が欠かせない。
この力を測るため、研究開発費(R&D)に、本業で稼ぐ現金に近いEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)を足した「R&D+EBIT
DA」を「創薬資金力」と見立てて比較した。「創薬資金力」から基礎研究や治験に費用を振り向け、他社やベンチャー企業の製品を購入
する。
1位のジョンソン・エンド・ジョンソンの「創薬資金力」は4.3兆円と1年で第一三共を買収できる規模がある。研究開発に年1.2兆円を投
じ、自前で薬を生む力に定評がある。17年にはスイスのバイオ医薬品大手を3.4兆円の現金で買収し、自前と購入の両輪をフル回転さ
せている。
米ファイザーは3.3兆円。特許切れを買収で乗り切る「ファイザーモデル」で成功している。19年12月期も疼痛(とうつう)治療薬「リリカ」
の米特許が6月に切れるが、利益水準は前年並みを維持する見込みだ。
武田はどうか。買収ではシャイアーの現金を生む力を強調してきた。シャイアーは希少疾患向けの薬が主軸のため、治験が小規模で
すむ。
ただ、買収後の20年3月期の「創薬資金力」は1.4兆円と上位10社の平均2.5兆円の半分強しかない。現金を生む効率を示す売上高
に対する「創薬資金力」の割合は約40%と平均50%のトップ10に劣る。グローバル品が14あっても利益率の高い大型薬が少ない。
財務面での課題も大きい。買収により有利子負債は約5.7兆円にまで膨らんだ。有利子負債を「創薬資金力」で割ると4.2倍程度と、
他のメガファーマの実績値(0〜2倍台)と比べると突出して高い。
武田の株価が8430円の最高値を付けたのは07年と12年も前だった。糖尿病など生活習慣病の領域でヒットが多く1.8兆円の手元資
金を蓄えたが、そこが製薬業界の転換点だった。
創薬のカギは化学合成で作る「低分子化合物」から、抗体などを利用する「高分子化合物」にシフトし、競争環境も一変した。急成長
する米アッヴィは抗体医薬の抗リウマチ薬「ヒュミラ」の売上高が6割を占める。有望な種を抱えるベンチャー企業も取り合いだ。ファイザ
ーは17日、米バイオ医薬品会社を1.2兆円で買うと発表した。
シャイアーの買収は、10年に渡って苦しんだ武田の起死回生を狙う1手だ。多額の負債を抱えながら、バイオ医薬品でも先行するライ
バルと戦うには資源の集中が欠かせない。
ウェバー社長は非中核資産の売却に乗り出し、5月にはシャイアーから引き継いだ点眼薬事業などを売却すると発表した。売却資金
で有利子負債の1兆円余りを返済する予定だ。
疾患領域も絞る。がん、中枢神経、消化器系疾患と、シャイアー買収で加わった希少疾患と血液製剤の5分野で業界トップを狙う。開
発中の新薬候補ではようやく、バイオや中分子など低分子以外の技術に基づく製品が約7割になっている。
「総花主義、自前主義からの脱却」(坂根正弘取締役会議長=コマツ相談役)が今回の買収策のテーマだった。まだ投資家からの信
頼を十分には得られておらず、株価は17年末に比べ4割安の水準で低迷が続く。医薬品業界に詳しい北川哲雄・青山学院大学名誉教
授は「買収の目利き力や創薬力があることを実績として示すまでは市場の評価は得られない」と指摘する。
日本発のメガファーマと認められるようになるために「創薬資金力」を引き上げながら、それを使った開発でも優位に立ち続ける――。
船出したTAKEDAの航海は決して順風満帆ではない。 「金融相場に幕」警戒感―決算悪化、緩和で支えられず(スクランブル)
2019/07/13 日本経済新聞 朝刊
金融緩和への期待が世界の株高を支える相場が続いている。11日の米市場ではダウ工業株30種平均が史上初の2万7000ドル
超えとなり、12日の東京株式市場でも日経平均株価は小幅高となったが、市場のムードは楽観からはほど遠い。これから本格化する
4〜6月期の決算発表で業績の悪さが意識されれば、「金融相場が終わる」との警戒感が出始めている。
「欧米の中長期投資家はみな、今は動けないと話している」(CLSA証券の釜井毅生エグゼキューション・サービス統括本部長)。米
連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言から7月の0・25%の利下げがほぼ確実視されるのに投資家の腰を重くしている
のが、目前に迫る4〜6月期決算だ。
□ □
日本企業の業績は米中貿易摩擦の影響を受け始めている。4〜6月期の業績は前年同期に比べて2ケタ減益との見方が多い。現状
の株価は一定程度の業績悪化は織り込んでおり、決算発表が「悪材料出尽くし」となる可能性もあるが、想定より悪い決算が続けば「
下期回復のシナリオが修正されるリスク」もある。
3〜5月期決算に対する市場の反応にも2つの見方に揺れる投資家心理が透けてみえる。3〜5月期の純利益が前年同期比7割減
だったと発表した安川電機。受注動向の改善を好感する声もあったが、12日の株価は一時5%安に沈んだ。
□ □ 日本に先駆け4〜6月期決算発表が始まる米国では、今決算が下期回復シナリオの修正にとどまらず、金融相場の終わり
を招く可能性を指摘する声が上がる。
UBSのストラテジスト、フランソワ・タハン氏はS&P500種株価指数と米国の「サプライズ指数」との関係に注目する。サプライズ指数
は、経済統計の事前の市場予想と結果の乖離(かいり)幅を指数化した指標で、市場予想に対して実績が悪ければ指数は低下する。
今年2月以降、サプライズ指数が低下すると株価は上昇した。景気が悪くなればFRBが緩和をして支えるとの期待からだ。
2007〜08年にもサプライズ指数と株価が逆行したが、08年9月に突如崩れ、サプライズ指数と株価が連動して下がった。きっかけ
はS&P500の「予想1株当たり利益(EPS)の伸び率が0%を下回ったこと」(タハン氏)。業績悪化が顕在化すれば緩和期待では株
価を支えられない。同じ現象は01年にも起きている。S&P500の予想EPS成長率は急速に低下し足元で4・5%程度。決算が悪けれ
ばマイナスに転じてもおかしくない。
これまでは緩和期待が景気や企業業績の悪さを覆い隠すことで株高を演出してきた。米国株は日本株ほど業績悪化を織り込んでお
らず、決算で成長率が下がって金融相場が終幕したときの影響は大きい。
日本株の投資家にとって、日本企業の下期回復シナリオが修正されることに米国株の下落が重なれば最悪のケースとなる。今回の
決算は投資戦略の再考につながるかもしれない。 マイナス金利の深掘り、金融仲介機能はさらに低下=全銀協会長
https://jp.reuters.com/article/jba-takashima-boj-idJPKCN1UD14N
[東京 18日 ロイター] - 全国銀行協会の高島誠会長(三井住友銀行頭取)は18日午後の定例会見で、日銀のマイナス金利
深掘りの可能性について「マイナス金利深掘りによる物価上昇の効果については、慎重に見極める必要がある」と述べ、副作用
にも留意する必要があるとの認識を示した。
マイナス金利深掘りの副作用については「金融仲介機能のさらなる低下を引き起こす」と指摘するとともに、金融機関の収益低下
を招き、その結果として「銀行システムの格付けが引き下げられれば、外貨調達コストの増加などを通じて悪循環的に金融仲介
機能不全に陥るリスクがある」との見解を示した。
日本政府による韓国向け輸出管理の運用の見直しについては「あくまで輸出管理の厳格運用。金融規制を含めた対抗的な制裁
措置とは性格がまったく異なる」と述べ、今後、金融規制措置には至らないとの見通しを示した。その上で「民間ベースのビジネス
関係は金融を含めて健全に清々と行われている。従来通り、Win−Winのビジネス関係を維持したい」と語った。 アサヒ、豪ビール最大手買収、1.2兆円で合意。
2019/07/20 日本経済新聞 朝刊
ビール国内首位のアサヒグループホールディングスは19日、ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)から
オーストラリア事業を買収することで合意したと発表した。取得価格は1兆2000億円。国内ビール市場が2018年まで14年連続で
縮小する中、海外で需要が伸びる高級ビールの販路を広げる狙い。日本のビール大手による海外のビール会社の買収で1兆円を超え
るのは初めて。(関連記事7面に)
買収するのはインベブ傘下のカールトン&ユナイテッドブリュワリーズなど。同社は豪州で5割弱のシェアを持つ最大手で、「ビクトリ
アビター」といったブランドで知られる。18年12月期の売上高は約1700億円。最終的な買収額は契約完了時に対象事業が持つ
現金や負債などを考慮するため流動的な面がある。
同国の高級ビール市場は伸びており、アサヒは今回の買収で主力「スーパードライ」の販路確保につなげる狙いもある。
インベブはアジア子会社の上場を市況などを理由に7月に断念した。過去のM&A(合併・買収)に伴う巨額負債の圧縮などのため
に代替の資金調達手段を求めていた。アサヒは高級ビールの世界展開を成長戦略に掲げており、海外M&Aに積極的だ。16〜17年
には計1兆2000億円を投じ、インベブから相次ぎ欧州ビール事業を買収していた。
最大2000億円、普通株で調達。
2019/07/20 日本経済新聞 朝刊
アサヒグループホールディングスは19日、自己株式の活用を含む普通株式で最大2000億円を調達すると発表した。買収による
財務悪化に対応する。野村証券などが引き受ける。このほか劣後債2000億円や社債などの発行も検討する。買収資金にあてる
約1兆2000億円のブリッジローン(つなぎ融資)は三井住友銀行が全額融資する。 90歳まで運用せず生きると…、老後資産、6割超で枯渇、三菱UFJ信託調査。
2019/07/29 日本経済新聞 朝刊
老後への備えに注目が集まるなか、資産運用せずに90歳まで長生きした場合、6割を超える世帯で金融資産が枯渇する恐れが
あることが三菱UFJ信託銀行の調査でわかった。2千人超に家計の保有資産や収支を個別に聞き取り、推計した。「人生100年時
代」に備えた資産運用の重要性を訴える狙いがある。
調査によると、退職後から全く資産運用しない場合、90歳まで金融資産を保てる世帯は全体の34%にとどまった。年率3%で運
用すれば全体の53%、このケースで介護費用が生じなければ、全体の84%が90歳時点でも金融資産が残っているという。201
7年の日本人の平均寿命は女性が約87歳、男性が約81歳。
17年の家計調査によると、高齢者世帯の貯蓄額の中央値は1600万円強。今回の調査はこの中央値に合わせる形で退職時の
保有資産が600万〜3千万円となる50歳以上の男女、約2200人を調べた。資産は持ち家を除き、退職金など金融資産を対象とし
、公的年金などの収入額、生活費やローンの返済といった支出額を聞き取った。
そのうえで各種統計に基づき、海外旅行や住宅改修、介護など老後に生じる可能性がある大きな出費を織り込み、保有資産が何
歳までもつかはじいた。
金融庁の審議会は6月、平均値で老後資金に2千万円の蓄えが必要だとする報告書を出し、物議をかもした。 米利下げでも…国内金利は上昇?―融資の25%「低採算」、日銀、不良債権化を警戒。
2019/07/30 日本経済新聞 朝刊
日本で続く低金利は運用難を招き、一部でゆがみが生じている。日銀によると2017年度の銀行融資は全体の約25%が
「貸し倒れリスクに見合わない低い金利」で、調査を始めた01年度以降、最高だった。大規模緩和に伴うカネ余りを背景に企
業向け融資は毎年3%前後で伸びているが、リスクや採算を度外視した融資は将来の不良債権につながる恐れがある。
日銀が帝国データバンクの情報に基づき、総資産利益率(ROA)と借金依存度を基準に貸出金利との関係を調べた。
利益率が低かったり、借金への依存度が高かったりする企業にもかかわらず、優良企業より低利な融資の比率は25%に
達した。金融機関別に見ると低採算の融資が全体に占める割合が「25〜30%」となっているのが29%と最多で、「40〜45
%」も2%あった。
信用力が乏しく「ミドルリスク」と呼ばれる企業向け融資は本来、金利が高く、厚めに利ざやを取ることができるため銀行の
採算は改善する。ただ融資先の開拓が難しくなるなか、規模を確保するために貸し倒れリスクを反映しない低い金利での融
資が広がっている。
低採算の融資先は利払い能力が低いこともあり、日銀は「景気悪化や金利上昇などのショックが起きると、信用コストが急
激に増える可能性がある」と指摘。ただ銀行融資の増加は日銀による超低金利政策の結果でもある。大量のマネーが本来
貸すべきでない相手に回っているともいえる。 <東証>武田が8カ月ぶり安値 大和は判断下げ、「ニンラーロ」売り上げ予想減額
2019/08/16 11:18 日経速報ニュース
(11時15分、コード4502)武田が続落している。一時前日比84円(2.3%)安の3531円と、昨年12月19日以来およそ8カ月ぶりの
安値をつけた。アイルランド製薬大手シャイアーの買収費用負担で、2020年3月期が最終赤字になる見通しを示すなど業績悪化
への懸念が株価の重荷となるなか、大和証券が15日付で武田株の投資判断を5段階中で上から2番目の「2(アウトパフォーム)
」から真ん中の「3(中立)」に引き下げたことも売りを促している。
大和は売り上げが大和想定を下回っていることなどを理由に、血液がん治療薬「ニンラーロ」や高血圧薬「アジルバ」の売上高予
想を減額した。2019年7〜9月期以降の想定為替レートも1ドル=105円と従来の110円から円高・ドル安方向に見直し、全体の
業績予想も引き下げ、目標株価は従来の4500円から3700円に見直した。担当アナリストの橋口和明氏は同日付のリポートで「開
発パイプラインの現況に鑑みれば楽観的かもしれないが、今後の動向次第では評価上昇余地が浮上する可能性はある」とみていた。 マイナス金利「深掘り」判断に割れる日銀、円高圧力・副作用の板挟み。
2019/08/30 日本経済新聞 朝刊
金融緩和手段としてマイナス金利を深掘りすることを巡り日銀内で意見が割れている。鈴木人司審議委員は29日、一段と金利が
低下すればむしろ緩和効果が反転しかねないと懸念を表明。一方、別の委員は7月の金融政策決定会合で深掘りすべきだと主張し
た。深掘りは円高抑止に一定の効果があるとみる向きもあるが、副作用も大きく慎重に是非を検討する。
「副作用を上回る効果があるかは非常に慎重に検討する必要がある」。鈴木氏は29日の熊本市での記者会見でこう述べ、マイナ
ス金利の深掘りに慎重な考えを重ねて示した。すでにマイナス圏に沈む長短金利がさらに下がれば、利ざやの縮小や運用難が銀行
収益を圧迫。自己資本比率の低下を避けたい銀行は融資を絞り、むしろ緩和の効果が反転する可能性にも触れた。
収益低下に耐えられなくなった銀行が預金に手数料を課し、実質的に預金がマイナス金利になりかねないとの認識も示した。そのう
えで「現時点で緩和の必要性はない」と述べた。
マイナス金利政策は銀行が日銀に預ける当座預金残高の一部にマイナス0・1%を適用するしくみ。余剰資金を日銀に積んでおくこ
とに「罰金」を課し、お金を融資や投資に振り向けさせることで経済の好循環につなげるのが本来の狙いだ。
現在マイナス金利が適用されている当座預金残高は約19兆円で、単純計算で銀行界の「実害」は190億円。ただ長期金利も含め
た金利全体を押し下げることで、低い金利で調達し、それより高い金利で貸すことで得られる利ざや収入が大幅に縮むというのがマイ
ナス金利政策に伴う銀行界への本質的な影響だ。
マイナス金利を深掘りしても、銀行の経営体力が弱れば、本来の目的である貸し出し増を通じた経済の刺激効果は限られるとの見
方も多い。一方、片岡剛士審議委員は7月の金融政策決定会合で、「短期政策金利を引き下げる(マイナス金利を深掘りする)ことで
金融緩和を強化することが望ましい」として、金融政策の現状維持に反対票を投じた。
黒田東彦総裁は同会合後の記者会見で「マイナス金利については色々な意見があることは承知している」と述べたうえで「片岡委
員の考え方で、委員会で共有されているわけではない」と述べた。金融政策を決める9人の政策委員の中で鈴木氏は緩和慎重派、片
岡氏は緩和積極派とみられていることを考慮する必要はあるがハードルが高い手段との認識が強い。
ただ米中摩擦を背景に、外国為替市場では円高基調が続く。26日には約7カ月ぶりの円高・ドル安水準となる1ドル=104円台に
突入した。米連邦準備理事会(FRB)が9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げに踏み切れば、日米金利差が縮小し
円高が進む可能性もある。
マイナス金利の深掘りは副作用も大きい半面、市場では「深掘り↓日米金利差の縮小に一定の歯止め↓円高抑止」との見方もある。
ある幹部は「やりたいと思わないが、やらざるを得なくなる局面がくるかもしれない」と話す。刻々と変わる米中摩擦の情勢やそれで振
れる金融市場の動向をにらみながら次の一手を探ることになる。 INCJ、コマツ、三井住友銀などが新会社設立 建設業者向け決済サービス提供
2019.8.30 17:37
INCJ(旧産業革新機構)とコマツ、三井住友銀行などは30日、建設業者向けに資材の購入費の立て替えといった決済サービス
を提供する新会社を共同で設立したと発表した。業者の業務効率化を支援する狙い。来年度以降の収益化を目指し、将来的にはリ
ース事業なども展開する予定。
建設業者は専用アプリで資材を購入できるようになり、受発注や経理などの事務業務を効率化させる。さらに過去の取引データな
どを分析して与信を行い、資材費の立て替えなどを行い、業者の資金繰りや財務体質の改善を図る。
一般的に建設業者が売り上げを受け取れるのは工事の完了後。先だって必要な資材費は負担だった。デジタル化が遅れている企
業も多く受発注などの事務業務も膨大だった。人手不足や就業者の高齢化もあり業務効率化は急務だった。
社名は「ランドデータバンク」で資本金は4億円。出資比率はINCJが70%、コマツが15%、三井住友銀行、三井住友ファイナンス
&リース、三井住友カードがいずれも5%。 急騰する銀行株 上昇続くか 市場関係者に聞く
2019/09/11 14:57 日経速報ニュース
銀行株の戻りが鮮明だ。米中貿易協議の進展期待などを背景に米国の長期金利が底入れの兆しをみせている。利ざや悪化懸念
が和らぎ、9月に入ってからは世界的に銀行株が買われている。一方で、来週17〜18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)も含め
、世界の中央銀行の政策金利の引き下げは今後も相次ぐ見通しで、長期金利の上昇の持続性には疑問が残る。銀行株の上昇は続
くのか。市場関係者に聞いた。
■高井晃・大和証券アナリスト
「中長期的には高配当利回り株として上昇」
足元の銀行株の上昇は米長期金利が上昇したことに加え、円安進行で日銀のマイナス金利深掘り懸念が後退したことが大きい。
銀行株は今年に入り米中貿易摩擦の激化を背景とした米長期金利の低下に連動する形で大きく売られていたが、米金利の反転を
きっかけにこれまでの売りの持ち高を買い戻す動きが起きた。
メガバンクは業績懸念が地銀に比べ小さいことも追い風だ。海外比率の高いメガバンクは米連邦準備理事会(FRB)の利下げで
米ドルの調達コストが低下するメリットを享受できる。メガバンク株は今回の上昇が一服しても高い配当利回りは投資妙味を誘う。
中長期的には高配当利回り株としての側面が強くなり、株価はゆっくりと上昇していくだろう。
■佐藤雅彦・SMBC日興証券アナリスト
「戻しは短期的、銀行株の低迷続く」
銀行株の上昇は長く続かないだろう。足元の銀行株高は米長期金利の上昇が要因だが、FRBは今後も利下げを継続するとの見
方は強い。その状況下で投資家が米国債の売却を続ける可能性は低い。
今年に入り銀行株の下落が続いたのは米中貿易摩擦の激化による米長期金利低下に連動したもので、6月以降は円高進行に
よる日銀のマイナス金利深掘りが意識されたことも加わっている。再び円高が進めば日銀のマイナス金利深掘りへの思惑が高まり
、銀行株の上値を抑える。メガバンク株の利回りは高いが、下支え要因となるのであれば年初からの下げがここまで大きくなること
はなかったはずだ。米中貿易摩擦が短期間で解決するとも思えず世界的な低金利は続くため、中長期でも銀行株の低迷は続くだろう。
■市川雅浩・三井住友DSアセットマネジメント
「FRBの利下げでバリュー株買いは一服」
銀行株を始め割安(バリュー)株上昇の要因となっている米長期金利の上昇は続かず、結果的に巻き戻しも短期で終わる可能性
が高い。米長期金利が1.5%近辺から上昇し始めたのは、FRBの大幅な利下げを市場が織り込み過ぎ、短期筋を中心にいったん
利益確定売りが進んだためだ。米中貿易交渉のニュースで一喜一憂するが、この問題が短期間で解決するとは恐らく誰も思ってい
ないはずだ。
長い目で見れば債券など安全資産への資金流入は続く。FRBの利下げも続くため、米10年債が2.0%近辺まで上昇すれば今後
は割安感から押し目買いが入り再び低下する可能性は高い。17〜18日のFOMCで利下げが実施されれば、そうした先行きに対
する意識が再度強まりバリュー株買いの動きは一服するだろう。 割安株の買い戻し鮮明 悲観論後退、成長株からシフト
2019/09/11 20:30 日経速報ニュース
東京株式市場で割安株を買い戻す動きが鮮明となっている。米中貿易摩擦などを背景に、外部環境に業績が左右されにくい
安定成長株などを好む動きが続いてきたが、足元では流れが逆転。米中対立を巡る過度な警戒感が和らぐとともに、PER(株
価収益率)など投資尺度でみて割安感のある金融株や素材関連の上昇が目立っている。
11日は三菱UFJフィナンシャル・グループが約5カ月ぶりの高値を付け、野村ホールディングスは年初来高値を更新した。神戸
製鋼所や総合商社など素材・資源株も軒並み上昇した。幅広い業種で、収益力や保有資産からみて相対的に割安な水準にあ
る銘柄に資金が向かった格好だ。8月までPBR(株価純資産倍率)1倍割れの場面もあったトヨタ自動車は年初来高値を更新し
た。
対照的にPBRやPERが高めの銘柄群は株価がさえない。第一三共は前週末対比で5%安、オリエンタルランドは同3%安
だった。これまで世界景気の先行きとは関係なく安定成長できる事業モデルを強みにマネーの逃避先となっていたが、米中閣
僚級協議の再開など好材料が出たことで投資家心理が好転。マネーが割安株へシフトした。
PBRの低い銘柄で構成する、東証株価指数(TOPIX)の「バリュー指数」は8月下旬の年初来安値から9%上昇。米国市場
で割安株の買い戻しが鮮明になり、東京市場にその流れが波及した側面もあった。
成長株を買い持ちし、割安株を売り持ちしていたヘッジファンドの持ち高解消という需給要因が割安株上昇を主導しているよう
だ。「日本株そのものの割安さに着目した長期投資家の資金も流入している」(マッコーリーキャピタル証券の増沢丈彦氏)との
指摘もあり、物色の流れが変わる可能性もある。 再送-日銀決定会合こうみる:新たな文言、次回の予告ではない=みずほ証 丹治氏
https://jp.reuters.com/article/idJPL3N26A119?il=0
[東京 19日 ロイター] -
<みずほ証券 チーフ債券ストラテジスト 丹治 倫敦氏>
日銀は公表文に新しい文言を入れてきた。「海外経済の減速の動きが続き、その下振れリスクが高まりつつあるとみられるもとで、
日本銀行は物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれるおそれについて、より注意が必要な情勢になりつつあると判断して
いる」としたうえで、「次回の金融政策決定会合において、経済・物価動向を改めて点検していく」とした。
これは市場の期待感をつなぎとめるためのもので、次回の会合で具体的に追加緩和策が検討されることを予告するものではない
だろう。急激な円高が進まない限りは、次回も現状維持になると予想している。
後場、円債が買われているのは、市場の一部に期待があった超長期ゾーンのスティープ化促進策が見送られたことが一因ではな
いか。具体的な政策予想があったわけではないようだが、金利上昇懸念が剥落するなかで、買いが強まっている。
ただ、9月以降の金利上昇は、米中対立緩和期待など海外の要因がドライバーだった。海外情勢に大きな変化がない限り、金利低
下トレンドになるとはみていない。 日銀、緩和カード温存、「経済・物価来月に再点検」、円高リスクを警戒。
2019/09/20 日本経済新聞 朝刊
日銀は19日の金融政策決定会合で現行の金融緩和策の維持を決めた。米連邦準備理事会(FRB)をはじめ世界の中央銀行が
金融緩和に動くなか、今後の円高リスクなどをふまえ、貴重な緩和カードを温存した格好だ。世界経済の下振れには警戒を強めてお
り、10月に景気や物価動向を再点検する方針も表明した。(会見要旨5面に)
日銀は決定会合後の声明文で、海外経済について「減速の動きが続いている」として判断を引き下げた。米中の追加関税の引き
上げが進み、中東情勢の緊迫化で原油価格が一時急騰するなど景気の下押し要因も増えたためだ。
経済協力開発機構(OECD)が19日発表した2019年の世界の実質経済成長率の見通しは2・9%で、前回5月から0・3ポイント
下方修正した。
日銀が今回動かなかったのは、国内の景気や物価にはまだ波及していないと判断したためだ。黒田東彦総裁は19日の記者会見
で「個人消費は比較的底堅く推移し、設備投資もしっかりした計画になっている」と述べた。
18日にはFRBが2会合連続の利下げを決め、先週には欧州中央銀行(ECB)も利下げや量的緩和の再開に動いた。米欧との内
外金利差の縮小から円高が進めば輸出企業の収益悪化や株安を招く恐れがあったが、足元の円相場は1ドル=108円前後で推移。
一時104円台を付けた8月下旬より円安・ドル高の水準にあり、日銀が現状維持を決めるのを結果的に後押しした。
日銀は主要中銀の中でいち早く大規模な金融緩和に取り組んできたとはいえ、直近の動きだけをみれば、金融政策を維持する少
数派だ。超低金利が地方銀行などの収益圧迫や年金基金の運用難を招くといった副作用も顕在化しつつあり、日銀としては可能なら
緩和カードは温存しておきたいというのが本音だ。
一方で市場参加者から無策とみられれば円高圧力が強まりかねない。このため決定会合後の声明文を通じて次回の10月末の決
定会合で「経済・物価動向を改めて点検していく」と打ち出した。
10月会合はもともと四半期ごとの「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表するタイミングだが、状況次第で追加緩和に動く
可能性があると市場に印象づける狙いが透ける。会見で追加緩和への姿勢を問われた黒田氏は「前回の会合よりも前向きになって
いるかと言われればその通りだ」と応じた。
ただ日銀は7月の会合後の声明文でも物価上昇のモメンタム(勢い)が損なわれそうになれば「ちゅうちょなく追加的な金融緩和措
置を講じる」との一文を加えた経緯がある。米欧が利下げという現実の政策変更に踏み出すなか、「口先緩和」でどこまで市場の期待
をつなぎ留められるかは微妙だ。
黒田氏は追加金融緩和に関して「政策のベネフィット(効果)とコスト(副作用)をしっかり比較考量して適切な措置を考える」と述べ、
副作用にも目配りする考えを重ねて示した。 黒田日銀総裁会見の要旨、消費増税の影響大きくない、追加緩和さらに前向きに。
2019/09/20 日本経済新聞 朝刊
問 欧米の中央銀行が金融緩和に踏み切るなか、現状維持の判断をした理由は。
答 どの国の中央銀行も、自国の経済・物価の安定を実現する目的で、それぞれの置かれた状況に応じて金融政策を運営してい
る。主要国の金融政策は国際金融市場や世界経済におよぼす影響があり得るが、その大きさは経済情勢や市場環境によって異な
る。日銀としてはこうした状況を注意深く確認しつつ、毎回の会合で適切な金融政策運営に努めている。
問 あえて次回会合での点検を明示した。政策の枠組みを変更する可能性があるのか。
答 通常、年4回の展望リポートでは、経済指標などから今後の経済・物価の動向を予測する。それを踏まえて金融政策を行うとい
う点では特に違うことはない。追加緩和を仮に議論する場合にも、現在の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の全体の枠組み
を変更する必要があるとは思っていない。
問 新たな条項を入れたことで、前回会合と比べて金融緩和にさらに前向きになったのか。
答 追加緩和について前回より前向きなのかと言われれば、その通りだ。海外経済の下振れリスクは高まりつつあるとみており、
次回の会合で十分に経済・物価情勢を点検していく。
問 日銀には緩和をさらに進める余地が少ないとの声があるが。
答 米連邦準備理事会(FRB)の政策金利は2%程度で、単純に比較すると、日銀の政策金利はマイナス0・1%なので緩和余地
が少ないかもしれない。他方で欧州中央銀行(ECB)は政策金利をマイナス0・5%に引き下げており、ECBと比べればまだ緩和余
地がある。いずれにせよ、以前から述べている4つの選択肢とその組み合わせにより金融緩和の余地は十分にある。
問 マイナス金利の深掘りは追加緩和の有力な選択肢か。
答 短期金利の引き下げ、長期金利の操作目標引き下げ、資産買い入れ拡大、マネタリーベースの拡大ペース加速という4つの選
択肢やその組み合わせがあり得るというのは前から言っている。マイナス金利引き下げも入っている。その時の決定会合で議論して
効果と副作用を十分勘案して適切な緩和措置を行う。現時点で何かを優先的に選択することはない。
問 銀行が口座維持手数料を導入するなどして、預金金利を実質的にマイナスにすることについての考えは。
答 欧州はユーロ圏に限らず、中央銀行が政策金利を深掘りしているが、個人の預金金利がマイナスになっているという話はあまり
聞かないので日本でそうなる可能性はないと思う。口座維持手数料は各金融機関が経営判断で決めることで、私からコメントするこ
とは差し控える。
問 現在の国債のイールドカーブ(利回り曲線)の水準は適切か。
答 超長期国債の金利が下がりすぎると年金や生命保険の運用利回りが下がるのではないかという消費者心理への影響があり得
る。適切なイールドカーブになるよう国債買い入れについて必要な調整を行っていく。
問 長期金利が低下したときの対応は。
答 海外の金利低下とともに国内金利が下がるのは市場機能が発揮されている面もあるので、それをすべて止めなければならない
というのも変だ。ただ10年物国債の金利の操作目標としてゼロ%程度と申し上げているので、それを外れる状態をいつまでも容認す
るということはない。国債買い入れのプログラムを市場の状況に応じて修正しており、今後も必要に応じてやっていく。
問 消費増税を踏まえ、財政政策の重要性は。
答 財政政策は政府の所管だ。一般論として、中銀が金融緩和を推進する状況で財政支出を拡大する場合には、相乗効果で景気
刺激効果がより強力になる。消費増税については様々な措置が講じられており、現時点で大きく経済が影響を受けるとはみていない。
消費者心理はいろいろなところで影響されるので十分注視していきたい。 問 米国景気などの海外経済リスクは。
答 米国経済は比較的堅調だ。特に消費がしっかりしていて賃金も上がっている。すぐに景気後退に陥る可能性はあまりないと思う。
欧州経済はやや減速の状況が続き、ECBが措置をとった。中国経済も減速しているが、財政金融政策などの措置をとっている。それ
ぞれ状況に応じて中銀が政策をとっている。
問 米国での住宅価格上昇などバブル経済のリスクをどう見るか。
答 今の時点で大きなバブルがあるとか、金融規制の網が十分でなく大変なことになる懸念があると言っている国際機関や中銀はな
い。ただリーマン・ショックの反省もあるので注意深く見ている。今の時点で、特に先進国の金融システムで何かリスクがたまっていると
は考えていない。
問 米国の短期金利上昇の背景をどう見るか。財政問題が反映されているとの見方もある。
答 季節的な要因も重なっており、財政や金融に大きな構造的な問題があるとは思わない。FRBは迅速に流動性を供給して対応し
た。国際金融市場の動向には注意していきたい。 マイナス金利深掘りの見送りを「歓迎」、全銀協会長。
2019/09/20 日本経済新聞 朝刊
全国銀行協会の高島誠会長(三井住友銀行頭取)は19日の記者会見で、日銀が追加の金融緩和策としてマイナス金利の深掘り
を見送ったことを「歓迎したい」と述べた。そのうえで「(金融機関に与える)副作用の緩和策がすべて実行されても悪影響を完全にオ
フセット(相殺)することにはならないだろう」と今後の深掘りをけん制した。
日銀は2016年2月に始めたマイナス金利政策で、銀行などが日銀に開く当座預金の一部から金利を徴収している。現在の金利
幅はマイナス0・1%で、決定会合の前には緩和の強化策の一つとしてマイナスの金利幅を広げるのではないかとの観測もあった。
高島氏は「銀行の健全性が損なわれれば金融仲介機能が低下するなどのデメリットがある」と話した。
マイナス幅の拡大で貸出金利が一段と下がれば銀行の収益を圧迫し、預金者に負担を求める口座維持手数料の導入論にも波及
する可能性がある。欧州では一定の残高を持つ預金者から手数料を徴収する動きが広がっている。高島氏は「口座の維持や管理に
コストが発生しているのは事実だが、マイナス金利と別に論じられるべきものだ」と指摘した。 住宅ローン、ネットに軸足、大手行、長期金利低下でシフト、投資商品にも余波。
2019/09/26 日本経済新聞 朝刊
長期金利がマイナス圏で推移するなか、金融商品に影響が広がってきた。住宅ローンは採算が悪化し、大手行はコストのかからない
インターネット販売へのシフトを促している。投資商品でも債券中心の「安定型」は運用が厳しくなった。効率化や、よりリスクの高い商品
への移行など、金融機関は工夫を迫られている。
日本の10年物国債利回りは8月に急低下し、一時は過去最低のマイナス0・3%に近づいた。米欧の中央銀行が金融緩和を再開した
ことで、世界的に金利低下圧力が強まっている。9月前半にマイナス幅が縮小する場面もあったが、水面下での推移が定着している。
大手行は毎月末に翌月の住宅ローンの適用金利を公表しており、各行は9月の適用金利を引き下げるとみられていた。しかし、指標と
なる10年固定型を引き下げたのは大手5行のうち、りそな銀行だけだった。
市場の金利が低下しても、住宅ローン金利が下がりにくくなっている。この現象はデータをみれば明らかだ。5行平均の最優遇金利は
9月時点で0・729%。7月以降、ほぼ横ばいだ。その結果、長期金利との乖離(かいり)幅は8月末に1・02ポイントと2011年5月(1・
06ポイント)以来の大きさとなった。
住宅ローンの審査などにかかるコストを考慮すれば、金利収益の低下は限界に近づいている。長期金利と住宅ローン金利の格差には
大手行の苦しい台所事情が透ける。3メガ銀行の居住用住宅ローンの残高は19年3月末で前年比3%減の31・6兆円。14年度以降
、毎年数%ずつ減っている。
だが銀行にとって住宅ローンは、個人の顧客と生涯の資産形成に関われる重要な商品だ。個人との長い取引の手掛かりを得るため
、「ある程度の採算は度外視して続けなければならない」(大手行幹部)。そこで各行が力を入れるのが販売の効率化だ。
三菱UFJ銀行は17年4月にインターネット経由で新規契約を受け付ける電子化を開始した。19年9月には不動産会社経由での販売
でも顧客自身がスマートフォンで事前審査の申し込みができるサービスを始めた。「来店者の減少により、ネットと不動産会社経由での
販売を重視している」(担当者)という。三井住友銀行やみずほ銀行も住宅ローンの審査や契約を電子手続きでできるようにしている。
一方、インターネット系銀行は金利の低さと簡便な手続きを売りに残高を伸ばしている。住信SBIネット銀行は19年3月期の新規の貸
出額が約8200億円と、前の期比18%増加。低金利の継続を見据えて変動型を重視しており、同行では9月現在で35年物の最優遇
金利で0・457%を提示した。大手行とは逆に対面での営業にも力を入れており、専属の銀行代理店「ローンプラザ」を首都圏を中心に
14店舗展開し、ネットでの契約に抵抗感のある顧客の開拓に動いている。
投資商品でも変化が起きている。SMBC日興証券は運用を一任するファンドラップで、最もリスクの低いタイプの商品「RU1」に初めて
株式を組み入れる。これまでは国内外債券40%、オルタナティブ(代替)資産60%で運用してきた。
今月からリバランス(資産の再配分)を開始し、国内外株式の組み入れ比率は20%程度を予定している。日本や欧州でのマイナス金
利に加え、米国も金利低下傾向が続いていることを受け、相対的に値動きの大きい株式にも投資してリスク分散や収益源の多角化を図る。
日銀の長期金利の誘導目標は「0%程度」。黒田東彦総裁は日本経済新聞とのインタビューに「(長期金利の低下が)行きすぎれば当
然チェックする」と話したが、長期金利を無理に引き上げることに対しては慎重な姿勢を示している。マイナス圏が続けば、商品の中身や
サービスのあり方は見直しを迫られそうだ。 三井住友FG、電子契約推進へ新会社、弁護士ドットコムと。
2019/09/26 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は企業の契約手続きを電子化する取り組みを進める。10月に弁護士ドットコムと共同出資会
社をつくり、ネット上で契約書の締結や保管ができるクラウドサービスを始めると25日に発表した。書類のやり取りで生じる印紙代や
郵送費の削減と業務の効率化を後押しする。
担当者がネット上に契約書をアップロードし、クリックすれば契約が成立するしくみ。企業間の売買や業務委託に関する契約書だけ
でなく、同意書や発注書での活用も見込んでいる。新会社への出資比率は三井住友FGが51%、弁護士ドットコムが49%で、10月
中に業務を始める予定だ。
契約書の締結や保管に限らず、人工知能(AI)の活用で文書を校正したり、追加すべき条項を提案したりする機能も今後加える。三
井住友FGは契約に伴う資金決済の拡大に商機を見いだす。 マイナス金利、CPでも続々、日銀政策、調達変える。
2019/09/27 日本経済新聞 朝刊
企業がお金を3カ月など短い期間で借りるために発行するコマーシャルペーパー(CP)でマイナス金利が相次いでいる。キリン
ホールディングスや王子ホールディングスなどがマイナス0・01〜0・0001%で資金を調達した。市場関係者によると、CPの発
行残高に占めるマイナス金利の割合は3〜4割に達する。銀行融資からCPへの調達シフトも一部起きているもようで、日銀のマ
イナス金利政策が企業の資金調達に変化をもたらしつつある。
マイナス金利でCPを発行したのはキリンHDや王子HDのほか、DICや三越伊勢丹ホールディングス、横浜ゴムなど。いずれも
発行金利はマイナス0・01〜0・0001%だった。企業はお金を借りたうえで、さらに利息も受け取ることになる。証券保管振替機
構によると、CPの発行残高は8月末で約21兆3000億円。金融機関のCP担当ディーラーによると「このうち3〜4割がマイナス
金利」という。
CPは社債と似た商品性を持つ。満期までの期間が1年未満ならCP、1年以上は社債となる。社債では、マイナス金利での発
行実績はまだないが、CP市場ではマイナス金利が広がっている。
日銀は16年にマイナス金利政策を導入し、銀行が日銀に預けるお金(当座預金)の一部にマイナス0・1%の金利を適用してい
る。銀行などの金融機関がマイナス金利でもCPを購入せざるを得ないのは、日銀に0・1%の金利を支払うよりはまだ損失を抑え
られると判断しているためだ。 M&A絡む節税の抜け穴封じへ、ソフトバンクGが発端、財務省「意図的な赤字」問題視。
2019/10/20 日本経済新聞 朝刊
財務省は、ソフトバンクグループ(SBG)が用いたM&A(合併・買収)に絡んだ節税策を防止する方針を固めた。同一グループ内の
資本取引で実態に変化がないにもかかわらず巨額の赤字を意図的につくり出して、ほかの部門の黒字と相殺して法人税を減らす手
法を認めない。予期せぬ大規模な節税につながった制度の抜け穴をふさぐ。
財務省が問題視しているのは、子会社などが中核事業を放出して企業価値が落ちた状態にしてから売却し、簿価と売却額の差だ
け赤字を発生させる仕組みだ。このため、子会社の中核事業を手放す際には簿価も目減りさせるルールを軸に検討する。子会社を売
却しても簿価と売却額の間に差がなくなり、意図的に赤字をつくれなくなる。
与党の税制調査会での議論も踏まえて、2020年度の税制改正大綱に関連法令の見直し方針を盛り込みたい考えだ。
SBGは買収したアーム・ホールディングス(HD)と、その中核事業を担う子会社の「アーム・リミテッド」に関する資本取引で大規模
な節税を実施した。開示資料などによると、SBGは18年3月にリミテッド株の4分の3をアームHDから配当という形で吸い上げた。
これにより、アームHDの実質的な価値は大きく目減りした。
SBGは買収時より価値が大幅に落ちたアームHD株の8割弱を同じく傘下にあるソフトバンク・ビジョン・ファンドなどに売却して赤字
を発生させた。この赤字をほかの事業で生じた黒字と相殺し、SBGの法人税負担はゼロになった。中核事業のアーム・リミテッドは親
会社が変わったが、SBGの傘下にあることに変わりない。
一つ一つの取引に違法性はなく、制度の抜け穴となっていた。国税庁からの相談を受け、財務省は今夏ごろから対策の検討を始め
ていた。一部有識者の間では、包括的に税逃れを制限する規定をつくるべきだという意見もあった。 日銀決定会合、先行き指針修正検討、利下げ可能性明示へ。
2019/10/31 日本経済新聞 朝刊
日銀は31日の金融政策決定会合で、政策金利の先行き指針(フォワードガイダンス)を修正する検討に入った。現在は「少なく
とも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利」を続けるとしているが、将来の利下げの可能性を盛り込む方向で調整する。
日銀は今会合で追加緩和は見送る公算が大きいものの、指針の修正で緩和に前向きな姿勢を改めて示す。
指針は中央銀行が将来にわたり、緩和的な金融環境が続くことを約束するための手段で欧州中央銀行(ECB)も導入している。
日銀は18年7月、現在の超低金利を「当分の間」、続けるとする指針を導入。19年4月に「当分の間、少なくとも20年春ごろまで」
と時期を明確にする修正を施した。
今回は、約束する金利水準について、利下げの可能性を明示する方向で調整。日銀は2%の物価安定目標に向けたモメンタム(
勢い)が損なわれるおそれが高まった場合には、現在マイナス0・1%の短期政策金利の引き下げ(利下げ)を含めて「ちゅうちょなく
追加緩和する」と表明している。
このため指針でも、利下げを含めて緩和に前向きであることを明示するのが妥当との判断に傾いている。現時点で日銀が早期に
利上げに動くとみている市場参加者は皆無のため、超低金利を約束する期間を単純に延ばすことには懐疑的な声が多い。今回の
会合で指針修正を議論し、最終判断する。 株高に乗れない国内勢―「高所恐怖症」急落の記憶残る(スクランブル)
2019/11/06 日本経済新聞 朝刊
5日の東京株式市場では米景気や米中の貿易摩擦についての明るい話題を受けて、海外短期筋の買いが入った。だが一方で
国内の機関投資家は株高の流れに乗れていない。長期的な株高に対する自信の無さと、2018年に経験した株式相場の急落の
記憶から買いの手が鈍い。「持たざるリスク」とのはざまで足踏みが目立っている。
「やはりという印象」。ある国内運用会社の担当者がこう評価したのは、この日に三菱UFJフィナンシャル・グループが財務省に提
出した、企業14社の保有比率引き下げを記した大量保有報告書だ。「足元の株価を踏まえて、利益確定売りを出したのだろう」。
三菱UFJは、日経平均株価が上昇の勢いを強めた9月中旬から、保有株の売却を積極的に進めてきた。
□ □
このところの上昇相場では、海外投資家の買いばかりが目立っている。日本取引所グループの投資部門別売買動向(現物と先物
の合計)を見ると、9月から2兆6000億円を買い越した。対照的に金融機関と投資信託を足した国内機関投資家は計1兆5000億
円の売り越し。国内勢は直近の相場を格好の利益確定の場とみている。
売らざるをえない事情もある。資産に占める日本株の組み入れ比率をあらかじめ定めている投資家も多い。「年金基金などは株高
によって目安を超え調整のため株を売却した」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏)との見方がある。
さらにまとまった買いに動けない大きな理由は「高所恐怖症」だ。ファイブスター投信投資顧問の大木将充氏は「日本株の長期的
な上昇に自信が持てないことが最大の要因だ」と指摘する。
□ □
日本経済新聞のまとめでは、国内製造業の20年3月期純利益予想の引き下げ幅は1日時点で合計1兆円に迫る。市場では「これ
以上悪くならない」との期待も強い一方、企業の長期的な成長を描けず「短期で売却しようという判断が働く」(大木氏)という。
急落の記憶も新しい。18年2月と10月には、高値圏にあった日経平均が約1000円下げた日がそれぞれあった。大木氏は「昨年
の記憶もあり、多くの投資家は恐る恐るこの10月を迎えた」と話す。米連邦準備理事会(FRB)が10月に利下げを決めて金融相場
の色彩が強まっている。「当面は株高は続くだろうが、誰かが『高値つかみ』というババを引く相場になる」(農林中金全共連アセット
マネジメントの山本健豪氏)と警戒心が先に立つ。
もっとも慎重派は悪材料を凝視しがちだ。山本氏も「当面の悪材料はない」と話す。18年から続く米中の貿易摩擦については、トラ
ンプ米政権が対中制裁関税を一部撤回すると報じられた。英調査会社IHSマークイットが算出する世界の製造業の購買担当者景気
指数(PMI)は3カ月連続で上昇している。
慎重な国内投資家の心理が好転するのは「株高が定着した後ではないか」(国内証券)と突き放す声もある。
国内勢が保有比率を下げた主な銘柄
提出日 銘柄 保有者 保有比率(%)
11月5日 アインHD 三菱UFJFG 7.24→7.21
Jフロント 三菱UFJFG 7.47→6.36
資生堂 三菱UFJFG 8.76→7.25
クラレ 三菱UFJFG 7.66→6.03
10月23日 東建物 SMBC日興証券 5.38→4.02
JUKI 三井住友DSアセット 6.84→5.93
シノケンG 東京海上日動火災保険 6.26→4.99
(出所)大量保有報告書 日本株「真空地帯」が招く一段高 日米で売り手不在
2019/11/06 21:54 日経速報ニュース
日本株の「年末高」の条件が整いつつある。カギは良好な需給環境だ。6日の日経平均株価は連日で年初来高値を更新し、昨年
10月の高値(2万4270円)まで1000円を切った。過熱感を示す指標も一部にあるが、11月は日米で金融政策が動かず、短期筋が売
りを仕掛けるタイミングは乏しい。
「熱狂感なき株高」。国内証券首脳の今回の高値更新に対する感想だ。日経平均が2万円を割りそうになったのはわずか2カ月半
ほど前。10月に米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀の金融政策決定会合を無風で通過したとはいえ、日米の株価指数が軽々
と節目を超えていくのはさすがに強すぎる印象もある。
一方で「日経平均が年内に2万4000円台を回復する可能性が出てきた」(みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリスト)との声
も増えてきた。理由の一つが2万3000円以上の価格帯に「戻り待ちの売り手」が少ないことだ。
今年に入ってからの日経平均の価格帯別売買代金(日時の終値ベース)を見ると「2万2000円以上、2万3000円未満」には約65兆
円の売買があった。ここは9月下旬以降の上昇でクリアした。2万3000円以上は11月に入っての約5.5兆円しかなく、高値づかみした
投資家がほぼいない「真空地帯」だ。
昨年10月の高値近辺ではこの価格帯に48兆円の売買代金があった。だが、昨年末の急落で損切りとなった部分も多いとみられる。
今年10月以降に上昇した主な銘柄を見ると、半導体から製薬、陸運など幅広い業種が全体を押し上げている。
上昇ペースが速かった分、過熱感も強まっている。6日時点での25日移動平均線との乖離(かいり)率や日経平均の騰落レシオ(2
5日移動平均)でみると目先は調整が入りやすい。
みずほ証券の三浦氏は高値を追う条件に東証1部の売買代金が2兆5000億円程度を維持することをあげる。日経平均が大きく上昇
した5日は約2カ月ぶりに3兆円を超えた。「先物買いで様子見をしていた海外投資家が現物を買い始めた可能性がある」。6日もほぼ
条件をクリアした。
日本株が連動しやすい米国株市場でも需給の軽さが目立ち始めた。米証券業界の自主規制機関である金融取引業規制機構(FI
NRA)によれば、投資家が金融機関から株式購入のために借り入れた資金(証拠金債務)の残高は9月末で5559億ドル(約61兆
円)だ。
米株の時価総額(ニューヨーク証券取引所とナスダックの合計)に対する比率は1.6%と、08年のリーマン・ショック以降の最低を記
録した。日本の信用取引と同じ仕組みで、信用買いが「枯渇」しているということは、上昇局面で利益確定による売りが出にくくなって
いることを示す。
11月は日銀や米連邦準備理事会(FRB)による金融政策の変更がなく、主要イベントは米中貿易交渉に絞られる。交渉の行方は
予断を許さないが、米中摩擦が緩和に向かうなら、年末と言わず11月中にも高値を試すかもしれない。 みずほ系・丸紅、米航空リース買収、1900億円。
2019/11/07 日本経済新聞 朝刊
みずほフィナンシャルグループ(FG)系のみずほリース(旧興銀リース)は6日、丸紅と共同で、米大手航空機リース会社エアキャ
ッスルを2020年6月までに買収すると発表した。投資額は2社で約1900億円とみられる。丸紅は既に同社株を3割弱保有してお
り、既存株主から残りの株を買い取る。成長が見込まれる航空機リースを共同で強化する。
エアキャッスルは04年設立で、約280機の航空機を保有する。丸紅が28・8%の株を持ち、みずほリースも16年にエアキャッス
ルと合弁の航空機リース会社を設立している。みずほリース単独の投資額は約690億円で、関係会社を通じて利益を取り込む。
みずほリースとエアキャッスルの合弁は機内の通路が1本の「ナローボディー」を中心に扱うが、エアキャッスル本体は通路が2本
ある「ワイドボディー」も扱っている。 為替と日本経済(中)「通貨安=株高」は例外――購買力低下、長期的な重荷(チャートは語る)
2019/11/17 日本経済新聞 朝刊
20カ国・地域(G20)で為替相場と株価の関係を分析すると、日本では当然と思われる「通貨安=株高」は世界的に見れば
少数だ。円安で企業の円換算利益が膨らむことを投資家は好感するが、一方で物価や各国との貿易から見た「実質実効レー
ト」(3面きょうのことば)は下がって購買力が落ち、企業は海外での投資が難しくなる。円安頼みで持続的な成長は望めない。
2000年以降、36業種別の日経平均株価と為替の連動性を見ると、自動車や電機など主力銘柄が多い10業種は円安の局
面で株高という関係が明確に出た。円高時に株高という結果が出る業種はない。日本株全体では「円安=株高」といえる。
G20では、この関係は日本と米国だけにみられる。米は1990年代後半に当時のルービン財務長官が提唱したとされる「強い
ドル」政策のもと、海外資金を集めて株高につなげた。一方で円と同じように、投資家がリスクをとって株を買う「リスクオン」の時
にドル安と株高が併存する傾向もあるようだ。
欧州各国は為替と株価に明確な関係はない。通貨安が自国からの資本流出を招く新興国は基本的に「通貨高=株高」だ。
日本株を半世紀以上にわたり分析してきた岡三オンライン証券の伊藤嘉洋氏は「日本も1980年代半ばまでは円高で株高だ
った」と振り返る。円高は国の信用力が高いことを意味し、データでも80年代は円高期に株高になっていた。
ところが90年代には明確な関係がなくなる。2000年代は円安で株高の傾向となり、10年代には関係が強くなる。大和証券
の木野内栄治氏は「デフレで円高による輸入物価の下落が意識されにくくなり、株価との関係が薄くなった」と話す。
株高の裏側で、円安は購買力の低下を招く。
貿易の状況を表す指標に「交易利得」がある。金額が大きいほど有利に貿易ができていることを示すものだ。11年をゼロとする
今の統計で見ると、18年度の利得は2兆7千億円。00年度の7分の1にすぎない。この間に海外のモノやサービスを買う力を映
す円の実質実効レートが4割下がり、18年度は00年度に比べると不利な貿易だった。
円安時は海外への投資も割高になる。経済産業省のデータを見ると、国内企業の海外での設備投資は円安になって3年ほどで
減る傾向にある。M&A(合併・買収)に占める海外比率も同じだ。
貿易による所得が縮み、企業が投資をしなければ成長は鈍る。物価や為替の違いを除いた購買力平価(PPP)ベースで見た日
本の1人あたり名目国内総生産(GDP)は18年までの20年間で7割伸びたが、米国は2倍弱、中国は7倍超だ。日本は成長が
弱く、豊かさを示すPPPベースでも米中より伸びが小さい。
日本は円高のメリットが感じにくい国との指摘もある。国内で供給される財とサービスに占める輸入品の比率が17%(17年)と、
経済協力開発機構(OECD)平均の28%に比べて低いためだ。「円高は企業に一時的な痛みがあるが、家計への恩恵は少ない。
だから円高恐怖症をぬぐえない」(第一生命経済研究所の熊野英生氏)
円安がもたらす短期的な株高に目を奪われていると、購買力の低下を通じて日本経済の地盤沈下を招きかねない。 地銀、不良債権処理費2倍、中小の経営悪化で、4〜9月、7割が減益・赤字。
2019/11/20 日本経済新聞 朝刊
地方銀行の苦境が続いている。上場する78の地銀・グループの2019年4〜9月期連結決算について、18年に巨額の赤字
だったスルガ銀行を除いてみると、不良債権の処理費用が前年同期の2倍以上になった。リーマン・ショック後に支援を続けた
中小企業の経営難が響いた。7割にあたる56行が最終減益か赤字で、事業の改革を進める必要性が高まっている。
投資用不動産向け融資で不祥事があったスルガ銀は18年4〜9月期に巨額の赤字に陥った。78の地銀・グループは同行を
除いた数字で19年4〜9月期を見ると、経営が厳しさを増していることが分かる。
19年4〜9月期の連結最終損益の合計額は前年同期比16%増の5515億円。スルガ銀を除くと5355億円で7%の減益だ。
「全体として収益的に厳しい環境を反映している」。常陽銀行の笹島律夫頭取(全国地方銀行協会会長)は今回の決算について
こう語る。
収益を押し下げる要因となったのが「与信費用」の増加だ。融資先の業績悪化による将来の貸し倒れに備えて積む引当金や、
不良債権として損失処理する費用などを含む。スルガ銀を除いたベースでみると、4〜9月期の与信費用は計1077億円で2・2
倍に膨らんだ。
背景にはリーマン・ショック後にできた中小企業金融円滑化法に基づき、返済猶予などで支援した企業の経営難が顕在化してき
たことがある。
西日本フィナンシャルホールディングスは前年同期は融資先の業績回復などで引当金からの「戻り益」があったが、4〜9月期は
一転して32億円の与信費用を計上した。谷川浩道社長は「債務者に対して利払い猶予などの対応をしてきたが、思ったように進
捗せず息切れしてきた」と語る。
帝国データバンクによると、同法にもとづき返済猶予を受けた後、再建できずに倒産した企業の件数は18年度は480件で3年
連続で増加。19年4〜9月の累計でも255件と前年度を上回るペースで倒産が相次いでいる。担当者は「後継者などが確保でき
ずに事業継続を断念するケースが出ている」と指摘する。
本業で稼ぐ力は低迷したままだ。貸し出しで稼いだ資金利益は1兆7366億円で4%減った。日銀によると地銀の新規の長期貸
出金利は8月時点で1%を下回る。顧客の獲得競争は激しく、「貸出金利が下げ止まらない」(三重銀行の渡辺三憲頭取)。
債券や株式など有価証券の運用は持ち直し、4〜9月期の含み益は3月末より8%増えた。米金利の低下(債券価格は上昇)で
米国債の含み益が出たとみられる。
78行は今回の決算から、自ら保有する投資信託の解約益を除いた利益を開示した。約9割の地銀は解約益で本業の「コア業務
純益」を補完していた。低金利の市場環境は国内外で長引いており、今後の運用による収益は細る可能性がある。
島根銀行、みちのく銀行、東日本銀行の3行は最終赤字。島根銀は9月、異業種であるSBIホールディングスから出資を受ける
方針を発表。みちのく銀はライバルの青森銀行と包括業務提携に向けて検討を始めた。コンコルディア・フィナンシャルグループの
東日本銀には、グループ中核の横浜銀行が新頭取を派遣し経営立て直しをめざす。
20年3月期の連結純利益は前期比0・3%減の8575億円の見込み。期初の増益予想から一転して、4期連続の減益となる見
通しだ。 地銀、不良債権処理費2倍―地域商社やネット銀設立、収益多様化の動き相次ぐ。
2019/11/20 日本経済新聞 朝刊
地方銀行は新たな収益源の獲得に向けて動いている。地域商社やインターネット銀行の設立によって取引先の販路開拓を支
援したり、若者向けの新サービスを投入したりする。低金利は長引くとみられ、単純な貸し出しに頼らないビジネスモデルの構築
が急務だ。
地域商社は地域産品やサービスの販路を開拓することで取引先企業の成長につなげようとする事業だ。融資先の売上高が増
えれば設備投資など新たな資金需要が生まれ、地銀の収益向上につながると期待される。
北海道銀行は2015年、北海道総合商事を設立。地理的に近いロシアを念頭に、農業分野などで道内企業の進出を支援して
いる。山口フィナンシャルグループ(FG)や第四北越FGなども地域商社を通じて地元産品を県外などに売り込んでいる。
金融庁もこうした動きを後押しする。10月に監督指針を改正し、地域商社をつくりやすいように業務範囲を明示した。投資子会
社を通じた事業会社への出資規制も緩和している。
ふくおかFGは20年度中にも、地銀として初めてとなるスマートフォン専業銀行「みんなの銀行」を設立する。営業基盤の九州に
とらわれず、首都圏などで銀行になじみの薄い若者らを取り込む。
決済分野はIT(情報技術)企業が台頭している。島根銀行と福島銀行はデジタル分野で知見のあるSBIホールディングスとの資
本提携に動いた。地銀による収益源の多様化は、再編のきっかけにもなる。 マイナス金利の深堀り余地「十分ある」、緩和方向意識−日銀総裁
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-19/Q16U0KDWLU6I01?srnd=cojp-v2
国債買い入れがこれ以上できないことない、ETFも必要−国会答弁
追加緩和は副作用に配慮、金融システム不安定化リスク大きくない
日本銀行の黒田東彦総裁は19日の参院財政金融委員会で、現行マイナス0.1%の政策金利について深掘りの余地は十分にある
と改めて表明するとともに、市場残高の5割程度を保有する国債の買い入れ増も可能との認識を示した。
日本の経済・物価の先行きについて、海外経済を中心に引き続き下振れリスクに注意が必要とし、「日銀は緩和方向を意識した
政策運営が適当な状況にある」との考えを表明。日銀が重視する2%の物価安定目標に向けたモメンタム(勢い)は「維持されてい
る」としながらも、「目標実現に時間がかかっており、残念」と語った。
物価目標の実現に向けて「在任期間と関係なく最大限努力する」とし、物価上昇のモメンタムが損なわれる恐れが一段と高まる
場合には「政策金利の引き下げを含めて追加緩和を躊躇(ちゅうちょ)なく検討する」との意向を示した。同総裁の任期は2023年4月
まで。
緩和手段は長短金利目標の引き下げ、資産買い入れの拡充、マネタリーベースの増加ペースの加速のほか、その組み合わせ
など「さまざまな余地がある」とした上で、マイナス金利の深堀りも「余地は十分にある」と説明した。
市場残高の5割程度を保有する国債については、「まだ市場に十分あり、買い入れがこれ以上できないということはない」とし、
現時点で国債買い入れの限度も考えていないと述べた。指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れも「リスクプレミアムの過度
な拡大・変動を防ぐ役割があり、引き続き必要な措置」と指摘。日銀の保有は株式市場全体の5%程度に過ぎず、「市場機能に影
響を与えていることはない」との見解を示した。
もっとも総裁は、追加緩和措置を検討する際には、政策の効果と副作用を考慮して「最適な組み合わせによる政策をとる」との
考えも表明。低金利の長期化が金融機関収益の圧迫を通じて金融システムが不安定化するリスクがあるが、総裁はそうしたリス
クは「現時点では大きくない」と語った。
総裁は、10月の金融政策決定会合で決めた新たな政策金利のフォワードガイダンス(指針)について、「物価安定の目標に向
けたモメンタムが損なわれる恐れに注意が必要な間、政策金利について現在の水準を維持する、あるいは状況によっては現在の
水準よりも引き下げる方針を明確にした」と説明した。
総裁は同委員会で、半期に一度の「通貨および金融の調節に関する報告書」の概要説明と答弁を行った。 日銀、27営業日ぶりETF買い入れ 703億円
2019/11/20 18:35 日経速報ニュース
日銀は20日、株価指数連動型の上場投資信託(ETF)を27営業日ぶりに購入した。購入額は703億円と、前回10月9日から
1億円減った。株式相場が下落した日に買い入れの見送りが続いていたため、市場では「ステルステーパリング(見えざる緩和
縮小)」が始まった可能性が指摘されていた。今回の買い入れは投資家に一定の安心感を与えそうだ。
20日午前は東証株価指数(TOPIX)が前日比0.6%下落した。日銀はETF買いのルールを明示していない。だが、市場では
過去の実績からTOPIXが午前に0.5%以上下落したら、買いが入るとみなされている。0.2%台の下げで買いが入った日もある
が、13日に0.497%安となった際には買いを見送っていた。
日銀の年初からの買い入れ累計額は約4兆円で、年6兆円の買い入れ目標を大幅に下回る。東海東京調査センターの仙石
誠シニアエクイティマーケットアナリストは「下げ幅がある程度になれば、日銀が買いに動くことを確認できたのは安心感につな
がる」とみていた。 IMFが緩和長期化の副作用言及、日銀は長期金利目標の年限短期化を
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-25/Q1I75ADWLU6801?srnd=cojp-v2
金融政策は緩和スタンス維持を、物価目標レンジ化で政策に柔軟性
大手行の資本上積みや、規制の適用拡大なども求める
国際通貨基金(IMF)は25日に公表した日本経済に関する審査(対日4条協議)に関する声明で、イールドカーブのフラット化に
よる金融機関収益や年金・保険の資金運用への悪影響に言及し、低金利の長期化による金融システム面への副作用対策として
、長期金利目標の対象としている国債の年限短期化などを提言した。
声明では、日本経済の先行きについて「国内需要の緩やかな成長は外的環境の悪化によって損なわれつつあり、下振れリスク
が増大してきている」と指摘。潜在成長率を高め、物価安定を実現するには「日銀の緩和的金融政策スタンスが維持されるべきだ」
とする一方、「金融政策の持続可能性を高め、金融安定性リスク増大の緩和のために、金融政策と金融セクター政策のさらなる連
携が図られるべきだ」としている。
その上で、緩和長期化が金融機関の収益性に与える影響を抑制するため、イールドカーブコントロールでの利回り0%の目標値
の設定対象を「10年物国債から満期のより短い国債に変更し、国債のイールドカーブをスティープ化する」ことを提言した。
また、緩和的な金融環境の下で、金融面での脆弱(ぜいじゃく)性が高まってきていることを踏まえ、政府に対して、貸付損失が
生じた場合に備え、大手銀行にその吸収のための資本上積みを求める仕組みであるカウンターシクリカル資本バッファーの引き上
げや、国内基準行への適用などを求めている。
IMF声明における金融政策と金融セクター政策
物価上昇率の低さに貢献している構造要因を踏まえ、物価目標に合致したインフレ水準の再評価の実施。日銀は物価目標達成が
中長期的なものであることを強調しつつ、インフレ目標を幅で提示し、政策の柔軟性を高めることを検討し得る
日銀は現在の「二つの柱」政策戦略を、インフレ予測ターゲティング(IFT)の採用によって強化することも検討できる
日銀の政策ガイダンスは、1)日本国債買い入れの量的ガイダンスをやめること、2)マネタリーベースからオーバーシュート型コミット
メントを切り離すことで簡略化され得る
金融庁は強力なミクロプルーデンス監督・規制を通じ、銀行に対しリスク管理とリスク耐性の強化を促し続けるべきだ。手段としては
、リスクプロファイルに照らした資本要件の個別設定、フォワードルッキングな形で貸倒引当金を積むことの奨励がある
地方銀行が収入源の多様化、ITとフィンテックの活用改善、再編により、健全性を確保できるように金融庁は促し続けるべきだ
金融庁は危機管理・破綻処理の枠組みを、例えば国内のシステム上重要な銀行(D−SIB)全行に総損失吸収力(TLAC)要件の
適用範囲を拡大することで強化すべきだ 恩恵は海外勢のみ?マイナス深掘り、利回り差拡大でも 邦銀に預金の「ゼロ制約」
2019/11/25 22:13 日経速報ニュース
米欧の中央銀行による金融緩和に一服感が漂うなか、緩和カードを温存し続けてきた日銀の動向に注目が集まっている。金融
市場の安定を背景に12月も追加緩和はしないとの見方が多いが、肝心の物価動向は心もとない。市場の一部にはマイナス金利
の深掘りを長短の利回り差を広げて運用難を和らげる策とみる向きもあるが、恩恵を受けるのは海外勢だけとの冷めた見方が多い。
「超長期金利がそのままで、中短期金利が下がることで(利回り曲線の傾斜が急になる)スティープ化が進めば、利回りの低下を
補う収益も期待できるかもしれない」―。三菱UFJ信託銀行の池谷幹男社長(信託協会会長)は21日の記者会見で、マイナス金利
の深掘りに伴う運用への影響を問われてこう述べた。
運用の基本は低い金利でお金を調達し、より高い利回りのものに振り向けて利ざやを稼ぐこと。一般的に短期の金利は低く、長期
になるほど高い。池谷氏は、あくまで長めの金利が下がらなければという前提つきで、短期金利の引き下げを意味するマイナス金利
の深掘りの影響に言及した。
長短金利差を示す利回り曲線(イールドカーブ)の傾きが急なほど、運用には追い風となる。このため「イールドカーブの傾きこそが
重要だ」との考えに立てば、曲線の始点である短期政策金利を下げるマイナス金利の深掘り自体が傾きを強めるため、運用難への
対応で一定の効果を持つという理屈も成り立つ。
ただ、みずほ証券の上野泰也氏はマイナス金利の深掘りが副作用対策になるとの見方には重要な論点が抜け落ちていると指摘
する。邦銀の調達の大半を占めるのが預金という点だ。「なんらかの形でリテール預金にマイナス金利を適用するのが現実問題とし
ていかに難しいかを見落としている」と話す。
銀行の預金金利は普通で0.001%、定期でも0.01%と預金者からみれば「実質ゼロ%」だが、裏返せばマイナスには沈んでいない。
いみじくも、日銀の黒田東彦総裁もマイナス金利を深掘りしても「個人預金金利をマイナスにするというところは見当たらないと思う」と
重ねて述べている。
しかもマイナス金利を深掘りしても、長めの金利がそのまま維持される保証はない。むしろ、イールドカーブ全体が下押しされると考
えるほうが自然だろう。では深掘りで誰が得をするのか。ある日銀幹部は「短期の、より深いマイナス金利で調達し、浅めのマイナス
金利で運用して利益をあげられるのは海外勢だろう」と話す。
現実的に邦銀は調達サイドの預金金利をマイナスにできない制約を抱えている。イールドカーブ全体がマイナス圏に沈めば、恩恵を
受けるのはゼロ金利制約のある預金を持たない海外投資家ということになる。もっとも、この構図は同じくマイナス金利政策を導入して
いる欧州での邦銀の手法に通じる。
日銀が追加緩和の是非を判断する物価動向は、10月の消費増税というかさ上げ要因を加味しても弱めの動きが続いている。日銀
が12月以降、追加緩和に踏み切るのか、その手立てがマイナス金利の深掘りなのかは予断を許さないが、誰が得をするのかは見過
ごせない論点だろう。 NY金融・外為ハイライト マネー再拡大が阻む金利上昇、株最高値にも動じず
2019/11/26 07:25 日経速報ニュース 905文字
【NQNニューヨーク=張間正義】米中協議の進展期待を背景に米主要株価指数が最高値を更新しても、安全資産とされる債券
価格の下落(金利上昇)にはつながらない。中長期の物価上昇期待が高まらないのに加え、米連邦準備理事会(FRB)の保有
資産の再拡大が演出する過剰流動性が債券相場を支えている。 租税回避地、みずほが係争、国税「84億円申告漏れ」、税制複雑、リスク浮き彫り。
2019/11/27 日本経済新聞 朝刊
みずほ銀行は租税回避地(タックスヘイブン)に置いた特別目的会社(SPC)の税務処理をめぐり、東京国税局から約84億円の
申告漏れを指摘され、過少申告加算税を含め約20億円を追徴課税された。処分取り消しを求め、東京地裁に提訴した。26日まで
に関係者への取材で分かった。租税回避を防ぐ税制を適用した国税当局に、みずほ側は「租税回避にはあたらない」と反論。タック
スヘイブンをめぐる日本企業の税務リスクを改めて浮き彫りにした。
訴状などによると、処分対象は2016年3月期。みずほ銀行は「国税当局と当行に見解の相違があるため訴訟を提起しているの
は事実。係争中のため詳細については回答を差し控える」と日本経済新聞の取材に答えた。
親会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)とみずほ銀行は08年のリーマン・ショック後に自己資本を増強した。みずほFGが0
8年12月にタックスヘイブンの英領ケイマン諸島につくったSPCが有価証券(優先出資証券)を約3600億円発行するスキームを利
用し、資本を調達。スキームに違法性はない。
優先出資証券を15年6月に償還し、投資家に出資金を完済した時に、争点となる事態が起きた。
投資家に返すお金は、みずほ銀行が別のSPC(100%出資)から形式上、借りている資本性のある融資(劣後ローン)の返済額
が原資。資本増強時とは逆の流れで投資家にお金が戻った。だが、お金は投資家にすべて返したのに、形式的にみずほ銀行によ
るローンの利払いがSPCの利益とみなされてしまった。そこが盲点になった。
東京国税局は「外国子会社合算税制」(タックスヘイブン対策税制)を適用し、100%出資しているSPCの利益をみずほ銀行の利
益と合算して、法人税額を計算すべきだったと指摘した。合算すれば税額は増す。
タックスヘイブン対策税制とは日本企業が法人税率の低い国・地域にある関係会社を利用して法人税を圧縮するのを防ぐ制度だ。
1978年に導入された。適用されるとタックスヘイブンにある関係会社の利益が日本企業に合算され、税負担が増える。適用は一
定の条件があり、日本企業がタックスヘイブンにある関係会社の利益を実質的にどの程度、享受する権利を持っているかも判断要
素の一つとなる。
みずほ銀行は「一連の資金調達のスキームや構造、資金の流れにおいて何ら租税回避の実態を伴うものではない。課税処分は
違法だ」と訴訟で主張している。確かに問題となったSPCは資本増強で使われた「箱」にすぎず、利益を隠すために使ったものでは
ない。
みずほ銀行は訴状で、SPCの決算を1日ずらしただけで、形式的にほぼ利益が出ないようにでき、課税処分の対象にならなかっ
たと主張。あくまで当局の法令解釈が誤っているとの立場だ。一方、国税当局は過去の判例を引き合いに、悪意がなくても形式的
に申告漏れに当たれば課税処分できると説明する。
日本企業は海外展開が増え、タックスヘイブンが関連する取引も多い。ソフトバンクグループ(SBG)では、買収した米携帯電話大
手スプリントなどがタックスヘイブンに保有していた子会社をめぐり対策税制が適用された例もある。
タックスヘイブン対策税制は何度も改正が重ねられ、複雑で分かりにくいとの声も多い。ただ、ひとたび企業が課税処分を受けれ
ば、負担は重くのしかかる。実態はもとより、形式的にも課税処分を受けないような細心の注意と、それを支える体制整備が重要に
なってきている。 2年物国債の入札低調、追加緩和観測の後退映す。
2019/11/29 日本経済新聞 朝刊
財務省が28日に実施した2年物国債の入札は低調な結果だった。応札額を落札額で割った応札倍率は4・13倍で、前回
(4・81倍)を下回った。日銀の追加緩和観測が後退しており、金利低下(債券価格の上昇)が進みにくいとの認識が投資家
の間で広がったようだ。
「日銀の利下げが遠のいているとの観測が弱めの入札につながった」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊氏は
指摘する。27日には日銀の桜井真審議委員が神戸市での記者会見で追加緩和の可能性を問われ「積極的に動く必要があ
るかといえば、まだその段階ではない」と述べた。
米国の感謝祭の休みに重なり、入札参加者が少なかったことも影響したとみられる。28日の国内債券市場では低調な入札
を受けて、2年債の利回りが前日比0・015%高いマイナス0・185%に上昇した。
ただ、今後も金利上昇が続くかについては懐疑的な見方が多い。岡三証券の鈴木誠氏は「マイナス金利の2年債は超長期
債に比べれば需要は弱く、市場環境で上下に動きやすい」と話す。米中通商交渉の先行き不透明感も続いており、鈴木氏は
「今後もマイナス0・2%付近でもみ合うのではないか」と指摘する。 マイナス金利は有害−PIMCOが批判に加わる、重大な欠陥3点
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-12-04/Q1Z1OOT1UM0X01?srnd=cojp-v2
デンマークでは小口の顧客にコストを転嫁する銀行が増える
スウェーデン中銀は今月にもマイナス金利解消へ
債券ファンド大手の米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)が、マイナス金利政策には効果より弊害の方が
大きいと指摘するグループに加わった。
PIMCOは3日公表したリポートで、マイナス金利の重要な欠陥を3つ挙げた。第1は銀行の収益性を圧迫し、貸し付けを減
らす結果になる可能性があることで、第2は市場のリターンを押し下げ固定給付を提供する年金基金と保険会社にとって「深
刻な難題」になることだ。貯蓄者が貧しくなっているように感じる「幻想」を生み出し消費を抑制することが3番目の問題点だと
している。 世界経済は前向きだが不確実性も大きい、緩和方向維持が適当=日銀総裁
https://jp.reuters.com/article/kuroda-boj-comment-idJPKBN1YN0N3
[東京 19日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は19日、金融政策決定会合後の会見で、当面の政策運営について、
世界経済には前向きな動きがみられるものの、不確実性が大きく経済・物価の下振れリスクには注意が必要だとして、
引き続き緩和方向を維持した政策運営を行っていくことが適当だと述べた。 今日の債券 長期金利、プラス圏に 2年入札に警戒感
2019/12/24 08:07 日経速報ニュース
24日の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは小幅に上昇(価格は下落)し、プラス圏での取引となり
そうだ。米中対立が和らぐとの見方が、安全資産とされる債券に売りを促すとみられる。24日に財務省が実施する2年物国債入札
は海外投資家の需要が一時的に後退するとみられ、弱い結果になるとの警戒感がある。ただ、国内勢を中心に余剰資金の運用先
としての国債需要が根強く、10年債の相場の下値は限定的だろう。 後退する追加緩和観測、市場が見透かす日銀の受け身の姿勢
2019/12/24 12:36 日経速報ニュース
金融政策の影響を受けやすい短い期間の債券利回りが上昇(価格は下落)している。新発2年物国債の利回りは24日に一時、
マイナス0.095%に上昇し、日銀の短期の政策金利であるマイナス0.1%を上回った。市場で日銀によるマイナス金利深掘りという
追加緩和観測が一段と後退しているのが、利回りを押し上げている。市場参加者は、環境次第で追加緩和もあり得るという日銀
の受け身の姿勢をかぎ取っているようだ。
2年債利回りは2018年8月以来、1年4カ月ぶりの高さに上昇した。主因は「日銀のマイナス金利深掘りを織り込む動きが、はが
れ落ちた」(国内銀行の市場担当者)ことだ。
米中貿易協議や英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感による海外経済の下振れリスクを背景に、日銀は夏以降、市場に
追加緩和を織り込ませるような発信を続けていた。7月の金融政策決定会合では「ちゅうちょなく、追加的な金融緩和措置を講じ
る」との文言を加え、9月には物価目標に向けたモメンタム(勢い)が損なわれるおそれに「より注意が必要な情勢になりつつある
」と強調。そのうえで次の10月会合で「経済・物価動向を改めて点検する」とわざわざ追記した。
10月までに米連邦準備理事会(FRB)は3会合連続で利下げし、欧州中央銀行(ECB)はマイナス金利の深掘りと資産買い入
れ拡大の再開を決めた。
これに対し日銀は10月、政策の先行き方針であるフォワードガイダンスを変更した。物価目標に向けた勢いが損なわれるおそれ
に注意が必要な間は「現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移」と、政策金利に利下げ方向のバイアスを加えた。
それでも日銀は追加緩和には踏み込まなかった。24日公表の10月30〜31日の金融政策決定会合の議事要旨によると、多くの
委員が「先行き、相応の長い期間にわたって緩和方向を意識した政策運営をしていく必要があることが確認された」ことを踏まえ、
フォワードガイダンスの見直しが適当と判断していた。利下げの可能性は足元で相当低下しているとはいえ、マイナス金利政策が
当面続くことも意識されやすくなっている。
野村総合研究所の木内登英氏は「フォワードガイダンスに利下げバイアスが入ったままでも、金融正常化に向けたガイダンスとし
て使うことは可能」と指摘する。市場との対話にフォワードガイダンスは有効な手段だといい、「日銀は金融緩和だけでなく正常化
も含めた両にらみの政策運営を続ける」とみる。
国庫短期証券(TB)なども上昇しているほか、5年あたりまでの利回り曲線は逆イールドが解消してきた。追加緩和観測は大幅
に後退している。とはいえ、超長期債相場は底堅い動きを続けるなど、本格的な日本経済の先行きの回復をみているとは言いが
たい。世界経済がよほど好転しない限り、金融政策はおろか、フォワードガイダンスですら変更はなさそうとの見方がやや優勢だ。 TOPIX改革、日銀緩和に波紋、連動型ETF、年4.2兆円購入、銘柄限定で効果低下も。
2019/12/25 日本経済新聞 朝刊
東京証券取引所の市場改革が日銀の金融緩和策を巡って波紋を起こしている。東証1部に上場する全銘柄が対象の東証株価指数
(TOPIX)を、より流動性の高い銘柄に絞り込んだ新指数に衣替えする案が浮上しているためだ。日銀は緩和効果を幅広く行き渡らせ
るために上場投資信託(ETF)の買い入れでTOPIXの割り当てを増やしてきた。改革はこの動きに逆行しかねず、日銀も行方を注視し
ている。(1面参照)
金融庁の金融審議会は11月、東証の市場改革で、TOPIXを銘柄を絞り込んだ新指数にするのが望ましいとの方針を示した。TOPIX
に含まれる約2000銘柄には、流通する株が少なくて売買が低調な銘柄も多い。このためTOPIXに沿って買うと、流通量が少ない企業
の株価が押し上げられ、実態にそぐわないとの指摘が出ていた。
24日に金融庁が示した改革案では、大株主の保有分を除いた浮動株の時価総額を基準として銘柄を絞り込むことが提言された。
一方、日銀は大規模な金融緩和の一環で年間約6兆円を目安にETFを買っている。買い入れ枠の半分弱の2・7兆円をTOPIX連動
のETFに充てていたが、2018年に全体の7割強の4・2兆円を振り向けるよう運営方針を見直した。
代わりに、TOPIX・日経平均株価・JPX日経インデックス400の3指数に連動するETFの買い入れ枠は減らした。「時価総額の大き
い特定の銘柄に偏ることなく、広く市場全体に緩和効果が及ぶようにする」(日銀)のが狙いだった。TOPIX銘柄の絞り込みは、この動
きと逆行することになる。
TOPIXの銘柄数が減ると、ETFの買い入れを通じて日銀が市場に出回っている浮動株の多くを保有し、他の投資家の買う余地を狭
めているというゆがみをさらに強める懸念が浮上する。
野村証券の試算によると、11月時点で日銀はETFを通じて上場企業全体の時価総額の約5%を間接保有する。なかでも日経平均
やTOPIXへの組み入れ比率の大きい銘柄への影響は大きい。
例えばアドバンテスト株では発行済み株式の2割を日銀がETF経由で保有する。ファーストリテイリングやTDKなどほか33銘柄でも
1割以上を保有するとみられる。
日銀の黒田東彦総裁は19日の記者会見で、TOPIX改革について「株式市場が企業の資金調達の場としての機能を高める、また
一方で資産運用の魅力を増すという観点から様々な改革を議論していると承知している」と指摘。その上でETF買い入れへの影響は
「金融審で議論しているので、その結果などを踏まえて対応の要否を含めて検討していきたい」と述べるにとどめた。
第一生命経済研究所の藤代宏一氏は「より流動性が高く、成長力のある銘柄に資金が流れる方が日本経済の活性化につながり
、理にかなっている」と指摘する。「日銀の資金には公的な意味合いも強い」として、日銀マネーが選抜された銘柄に流れ込むTOPIX
改革は合理的だと評価する。
日銀幹部は「金融庁はこれまで運用してきた投資家にも配慮し、市場の連続性は考えているはず」と、ある程度の銘柄の多様さが
確保されると期待。金融政策の効果につながる問題だけに改革を注視する。緩和が長期化するなか政策の整合性をとる難しさは日銀
内外で増している。 ___
/ミ彡ミミ彡彡彡:-__
/ミ;ミ彡ミ彡ミ彡ミ彡彡>
‖彡 彡ミ彡====--- 人 \
‖ 彡彡/ ミ ミ
/ 彡/ ミ ミ
| 彡| _ __ _ __ ミ ミ 壊れたテープレコーダーは不要です
彡_/ _=ミミミミミミ 川_/ミミミミミミ=_ ミノミ
彡/┫ /~●\ ┠┨ /~●\ ┣ミ彡 物価モメンタム損なわれる恐れ高まれば、躊躇なく緩和=日銀総裁
‖| \二三/| |\三二/ |丑| https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-idJPKBN1ZE02W
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黒黒黒栗# \ /田\ /藁黒黒黒黒黒黒#\
黒黒黒黒## \ /田田 \/藁黒黒黒黒黒黒黒#| リース「Oneみずほ」に壁―東京センチュリー、NTTと提携、銀行の規制に緩和機運(金融コンフィデンシャル)
2020/02/11 日本経済新聞 朝刊
1月10日、みずほフィナンシャルグループ本社に坂井辰史社長、藤原弘治みずほ銀行頭取を訪ねる人物がいた。系列リース最大
手、東京センチュリーの浅田俊一社長だ。「NTTと提携を交わし、出資を受け入れる」。ほのめかした決断は、東京センチュリーに連
結グループ入りを求めたみずほの意向と真っ向から反する内容だった。
東京センチュリーは6日、NTTと筆頭株主の伊藤忠商事を対象とする第三者割当増資を発表した。NTTと伊藤忠を合わせた出資
比率は、みずほと親密先の合計を超す。浅田氏が古巣のみずほから距離を置いた背景に何があったのか。
旧第一勧業銀行系の東京センチュリーと旧富士系の芙蓉総合リース、旧日本興業系の興銀リースの3社が並ぶリース事業は、良
くも悪くもみずほを象徴していた。歴史もカラーも異なる旧3行が結びつきを保ちつつ競い合うのがみずほ流。グループ内のライバル
心が活力になる効果と、まとまりの弱さが併存した。
1年前、みずほは懸案だったリース事業の再編へ一歩を踏み出した。丸紅と組んで興銀リースに追加出資し、連結対象の持ち分
法適用会社にした。興銀リースは2019年10月に社名を「みずほリース」へ改め、グループの一翼を担う姿勢をアピールした。
興銀リースに続く形でグループ入りを促すみずほと、首を縦に振らない残る2社。みずほが特にこだわったのが東京センチュリーだ
った。双方の駆け引きはこの1年、水面下で熱を帯びた。緊張が頂点に達したのは19年6月の株主総会にかけての攻防だった。
みずほは株主総会で東京センチュリー経営陣の提案に賛成しない可能性をちらつかせ、グループ入りを迫った。だが、東京センチ
ュリーからは「みずほがこういう荒っぽい手で来るなら、我々も徹底的にやるべきだ」との声が漏れ、みずほへの反感が芽生えた。
リースの「Oneみずほ」を阻んだ心理面の壁だ。
東京センチュリーにとって現実的な壁が銀行法の規制だった。銀行グループに入ると、不動産関連の取引や資産の面で厳しい制
約が課される。不動産案件を積極的に手掛けてきた東京センチュリーは経営のダメージになると懸念した。
足し合わせれば他の2メガ銀グループを上回る系列リース会社を引き寄せるのは、みずほにとっては理にかなう。半面、東京センチ
ュリーからすれば、戦略の自由度を落とす判断は株主への背信行為になりかねない。両者のミゾは埋まらないまま年を越え、東京セ
ンチュリーはNTTとの提携へと傾いた。
振り返ると、08年のリーマン危機でリース業界が大慌てしたのはほんの10年余り前。日銀が異次元の金融緩和を続ける今、当
時の緊張感は過去のものになり、リース業界を包むムードも様変わりした。みずほの呼びかけが響かないのは足元の金融環境も
映し出す。
では、系列3社が団結する「大みずほリース」構想は幻に終わるのか。先行きを占ううえで、気になる動きが出てきた。銀行に対す
る規制のあり方を大がかりに見直そうという機運だ。
日本は異業種から銀行への参入にはオープンなのに対し、銀行の業務拡大には制約が多い。「楽天は銀行を運営できても、銀行
は楽天を経営できない」という銀行界の不満は、みずほの苦悩と重なる部分がある。
「ガチガチの規制を見直し、銀行本体はともかく、銀行持ち株会社に課す制限をもう少し柔軟にしたらどうだろう」。金融庁ではそんな
頭の体操が語られる。銀行がもっと自由にリース業を営めるようになれば、みずほと系列リースを取り巻く風景も変わり得る。
もちろん、こうした風を生かすも生かさないも、坂井氏が率いるみずほ経営陣の胆力と求心力にかかっている。独特の流儀で育ん
できた強さを損ねず、中央集権的な思想を浸透させる手綱さばきが試される局面は続く。リース再編の次の幕が開くまで、それほど
時間はかからない。関係者の間には、早くもそんな緊迫感が漂っている。 マーケットの話題、配当権利付き最終日はいつ?(市場点描)
2020/03/28 日本経済新聞 朝刊
27日は3月期決算企業の配当などの権利付き売買最終日だった。だが数日前からこの日を巡って投資家に困惑が広がっている。
企業が新型コロナウイルスの影響で株主総会の開催を延期した場合について、東京証券取引所が「配当の権利を得られる基準日が
変わり、配当を受け取れない可能性がある」と注意喚起したためだ。
問題となっているのは、配当の支払いを決める総会決議日が基準日より3カ月を超えた日になる場合だ。総会延期にあたって新たに
基準日を設定する必要が出てくる。27日までに株を買っていても、新しい基準日まで株を持ち続けなければ配当を受け取れない。
インターネット上では著名投資家がこの問題を懸念するつぶやきが話題になっている。ただネット証券への問い合わせは「目立って増
えてはいない」。
大半の企業は「本来の総会日程も決まっていない」(トヨタ自動車)状態だ。このため機関投資家は様子見姿勢が強い。株主総会では
なく、取締役会の決議で配当支払いを決められるように定める企業も増えている。「株価指数に関連するような大企業ではこの問題の影
響はないのではないか」(松井証券の窪田朋一郎氏)との見方もある。 2020/04/07 18:00
三井住友FG(8316)
日系大手証券、レーティング引き下げ、中立。目標株価引き下げ、3,000円。
日系大手証券が4月7日、三井住友フィナンシャルグループ<8316>のレーティングをやや強気(2)から中立(3)に引き下げた。
同様に、目標株価も4,500円から3,000円に引き下げた。因みに前日(4月6日)時点のレーティングコンセンサスは4.25(アナリ
スト数12人)で「やや強気」の水準、目標株価コンセンサスは4,579円(アナリスト数12人)となっている。
04/08 8316 三井住友FG 大和 3格下げ 4500円→3000円 2020/04/07 18:00
三菱UFJFG(8306)
日系大手証券、レーティング引き下げ、中立。目標株価引き下げ、450円。
日系大手証券が4月7日、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>のレーティングをやや強気(2)から中立(3)に引き下げた。
同様に、目標株価も650円から450円に引き下げた。因みに前日(4月6日)時点のレーティングコンセンサスは4.3(アナリスト数
10人)で「やや強気」の水準、目標株価コンセンサスは632円(アナリスト数10人)となっている。
04/08 8306 三菱UFJFG 大和 3格下げ 650円→450円 2020/04/07 18:00
みずほFG(8411)
日系大手証券、レーティング引き下げ、中立。目標株価据え置き、135円。
日系大手証券が4月7日、みずほフィナンシャルグループ<8411>のレーティングをやや強気(2)から中立(3)に引き下げた。
一方、目標株価は135円を継続。因みに前日(4月6日)時点のレーティングコンセンサスは3.08(アナリスト数12人)で「中立」
の水準、目標株価コンセンサスは163円(アナリスト数12人)となっている。
04/08 8411 みずほFG 大和 3格下げ 135円継続 米国株、続伸しダウ285ドル高 FRBの金融緩和政策の拡大で
2020/04/10 05:27 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=張間正義】9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸した。前日比285ドル80セント(1.2%)高の
2万3719ドル37セントで終えた。
FRBの企業向け資金供給和を好感し、JPモルガン・チェースやシティーグループなど銀行株が大幅高。 2020年04月10日10時11分
三菱UFJなどメガバンクが高い、FRBによる資金供給策で欧米銀行株が急伸
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>や三井住友フィナンシャルグループ<8316>、みずほフィナンシャルグループ<8411>
といったメガバンクが高い。
米連邦準備理事会(FRB)は9日、一般企業に対する融資など2兆3000億ドルの緊急資金供給策を発表。大企業などから
社債の買い取りを行うことも明らかにした。この発表を受け、金融市場の安定化に向けた期待が高まり、欧米の銀行株が急伸。
米国のJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ、英国のバークレイズなどが値を上げた。
この流れのなか、日本のメガバンクにも買いが膨らんでいる。 <東証>りそなHDが小動き、SMBC日興が目標株価引き下げ、与信費用増で収益圧迫
2020/04/10 12:33 日経速報ニュース
【材料】SMBC日興証券は9日付けのリポートで、りそなホールディングスの目標株価を従来の450円から350円に引き下げた。
与信費用の増加で収益が圧迫されるとの見方から、2021年3月期の連結純利益が1100億円程度になるとの見通しを示した。
従来予想から400億円近く引き下げたことになる。新型コロナウイルスの影響で個人向け、法人向けともに営業環境が厳しく、
「当面は『コロナ前』に戻らないと予想」と担当アナリストの佐藤雅彦氏は指摘する。 2020/04/10 14:05
三井住友FG(8316)
米系大手証券、レーティング強気継続。目標株価引き下げ、3,250円。
米系大手証券が4月10日、三井住友フィナンシャルグループ<8316>のレーティングを強気(買い)に据え置いた。
一方、目標株価は4,820円から3,250円に引き下げた。因みに前日(4月9日)時点のレーティングコンセンサスは
4.17(アナリスト数12人)で「やや強気」の水準、目標株価コンセンサスは4,454円(アナリスト数12人)となっている。
04/10 8316 三井住友FG GS 買い継続 4820円→3250円 04/10 8306 三菱UFJFG GS 買い継続 710円→510円 2020年04月15日09時14分
三井住友---上方シグナル発生が近づく
4000円を挟んだもち合いレンジから、2月以降の下落により3月23日には2507.5円まで下落。足元ではダブルボトム形成後
のリバウンドをみせてきており、25日線が支持線として機能している。一目均衡表では雲を下回っての推移が続いているが、
遅行スパンは実線に接近してきており、上方シグナル発生が近づいている。 15日の米株式市場で金融大手のゴールドマン・サックス株が売り先行後に下げ渋っている。
朝方は前日比5.1%安の169.15ドルをつけたが、小幅に上げに転じる場面もあった。
15日発表した2020年1〜3月期決算は与信費用がかさみ、利益が半減した。ただ、売上高
が市場予想を上回ったことを材料視する買いが徐々に優勢になった。
15日の米株式市場で大手銀行のバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)が売られ、一時は前日比7.7%安
の21.91ドルまで下落した。15日朝に発表した2020年1〜3月決算は新型コロナウイルス対応による
貸倒引当金の積み増しで大幅減益となり、嫌気した売りが出た。
同じく大幅減益決算を発表したシティグループも一時6.2%安を付けた。 2020年04月16日09時10分
三菱UFJなど銀行株が安い、決算悪受けた米金融株安に追随
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>、三井住友フィナンシャルグループ<8316>、みずほフィナンシャルグループ
<8411>いずれも続落。
前日の米国株市場ではNYダウが一時700ドル超の下げとなったが、そのなか、バンク・オブ・アメリカなど大手金融
機関の決算悪が嫌気され銀行株の下げが全体地合い悪を助長する形となった。貸倒引当金の計上などが利益を押し
下げたが、東京市場でもメガバンクの業績への警戒感が売りを誘発している。 2020年04月22日09時07分
三菱UFJなどメガバンクが安い、米大手金融株軒並み安受け売り圧力表面化
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>、三井住友フィナンシャルグループ<8316>などメガバンクが売られている。
前日の米国株市場では新型コロナウイルスの影響による経済先行き不透明感から債券に資金が流れ、米10年債利
回りは再び0.6%台を下回ってきた。ゴールドマン・サックスやシティグループなど大手金融株が大きく売り込まれて
おり、この流れが東京市場にも波及している。
メガバンク3社は配当利回りが6%台を超えており、下値ではインカムゲイン狙いの買いも入りやすいが、内需企業の
与信コストの上昇なども警戒され目先は売り圧力が強い。 サウジ石油1兆円借り入れ 三井住友銀が融資幹事か
https://www.sankei.com/world/news/200422/wor2004220041-n1.html
2020.4.22 23:29
サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコが、約100億ドル(約1兆800億円)の融資を受けることを検討しており、
協調融資の幹事に三井住友銀行と英HSBCを選んだことが22日明らかになった。ロイター通信が報じた。両行は融資
団の組成に向け、他の金融機関との調整役を担う。
アラムコは借り入れた資金を、石油化学大手サウジ基礎産業公社の株式取得に充てる。昨年3月に同公社の株式の
70%を政府系ファンドから691億ドルで買い取ると発表していた。石化部門を強化し、事業の多角化を加速する。 三井住友FG、SBIと提携、スマホ金融で顧客拡大、本体出資も視野。
2020/04/28 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)とSBIホールディングス(HD)はスマートフォン向け金融サービス(3面きょうのことば)など
デジタル分野を軸に包括提携する。三井住友がSBI傘下のスマホ専業証券に出資するほか、SBIが設けるデジタル分野の企業に
投資する1000億円規模の新ファンドにも出資する。異業種からの金融業参入が相次ぐなか、メガバンクとネット証券最大手が組ん
で対抗軸をつくる。(関連記事7面に)
週内にも基本合意する。両社は将来的に本体の資本提携も視野に一段と連携を深める考えだ。
金融業界ではスマホを使った決済や資産運用を中心に業種の垣根を越えた競争が激しくなっている。LINEのような異業種がスマ
ホアプリで得た顧客情報を武器に、決済や証券、保険で顧客の囲い込みを進めている。楽天は通販や旅行から金融にまたがる巨大
な経済圏を築いている。
三井住友FGはインターネット証券最大手のSBIと組むことで異業種に対抗する。これまで後れをとっていた融資や運用などの個人
向けサービスのデジタル化に弾みをつけるほか、SBIとともにスマホ向けの新たな営業体制をつくる。
SBI傘下のネット証券会社は口座数が510万を超える。ネット証券2位の楽天証券(410万超)を引き離し、野村証券の530万あ
まりにも迫る。SBIはネット専業銀行やスマホ専業証券も手掛けており、三井住友FGはデジタル化を進めるうえで最適の協力相手だ
と判断した。
まず三井住友FGが6月中をメドにスマホ専業のSBIネオモバイル証券(東京・港)の発行済み株式の20%を取得する。投資額は
数十億円の見通しだ。ネオモバイルは銀行、証券、保険の各分野の金融商品を取り扱える「金融サービス仲介業」の登録を目指す。
スマホでは簡単な操作で多様な選択肢から金融商品を選ぶことができるようになり、政府も金融サービス仲介業を創設するなどし
て企業間の競争を促している。三井住友FGとSBIはネオモバイルを窓口として若年層を取り込み、両社が手掛ける投資信託や保険
など幅広い金融商品を選べるようにする考えだ。
ネオモバイルは買い物でつくポイントなどを使った投資サービスを手がけており、投資経験の少ない20〜30代を主な顧客とする。
一方、三井住友FG傘下のSMBC日興証券の顧客はシニア世代が中心だ。両社が連携することで、幅広い世代の顧客開拓を加速
する。
SBIは年内にもデジタル技術に関わる企業に投資する新たなファンドを1000億円規模で創設し、三井住友FGから出資を受け入
れる。
新ファンドはフィンテックやブロックチェーン、次世代通信規格「5G」といった分野に投資していく。三井住友FGとSBIは出資先の
テクノロジー企業と事業面での連携も深め、デジタル戦略を加速させていく。
対面販売でも連携する。資産運用の相談窓口を全国展開するSBIマネープラザとSMBC日興証券で人材交流や運用商品の相互
利用を進める。同証券はSBIマネープラザへの出資も視野に入れる。
地域金融機関の証券ビジネスの支援事業も共同で展開する。SBIが掲げる複数の地方銀行と連携する「地銀連合構想」で協力す
る。SBIは5月以降、地銀に共通システムやフィンテックのサービスを提供する新会社を設立する方針で、三井住友FGはこの新会社
に出資する方針も固めた。 SBI、店舗・法人部門を増強、楽天経済圏に対抗。
2020/04/28 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)とSBIホールディングスが包括提携に乗り出す。三井住友FGがネット分野の強化を見据
える一方、SBIが狙うのはメガバンクが抱える顧客基盤や、傘下のSMBC日興証券の営業力だ。SBIは総合金融グループと手を
組むことで、金融分野でも存在感を高める「楽天経済圏」に対抗していく。(1面参照)
証券ビジネスを軸に業容を広げてきたSBIの北尾吉孝最高経営責任者(CEO)は「個人向け金融サービスを網羅する」と宣言。
利益規模、顧客基盤ともネット証券では圧倒的で、対面営業型の大手証券にも肉薄する。
もっとも、ネット証券業界では「ゼロ化」まで視野に入った手数料の引き下げ競争が激しく、成長のハードルは上がっている。楽天
市場やクレジットカード事業といった「楽天経済圏」を武器に顧客規模を広げてきた楽天証券は強敵に映る。
SBIはこれまでも地銀との実店舗の展開や法人部門の強化など、伝統的な金融ビジネス分野を強化してきた。あくまでネット中心
の楽天に対してSBIは「リアル」の強化を軸に据える。今回の包括提携でも三井住友銀行が全国に持つ企業の顧客基盤にアクセス
できるとSBIにとっては戦略の幅が一気に広がる。
三井住友FGの傘下の有力証券、SMBC日興も全国に141以上の営業拠点と3000人以上の証券営業体制を抱える。地銀との
ビジネス拡大を進めるSBIにとって、営業面で協力関係を築く効果は大きい。
SBIとSMBC日興がシステムや事務部門を数年かけて共通化することも今回の包括提携に盛り込まれる見通しだ。新規株式公開
(IPO)引き受けでも共同主幹事案件の増加を目指す。
ネット証券ではauカブコム証券が三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)とKDDIの傘下で、デジタルを軸に通信と金融の融合
を目指している。SBIは三井住友FGとの提携で対面の強化という全く異なる戦略を狙う。業態の垣根が崩れる中、新しいビジネスモ
デルを模索する動きは他の金融機関でも活発になりそうだ。 三井住友FGとSBI、難題にらみスピード決着、包括提携、楽天証券の買収は不発に。
2020/04/29 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)とSBIホールディングス(HD)が28日、包括提携すると正式発表した。スマートフォン金融
や対面営業など互いの強みを生かすことで思惑が一致。手数料の無料化や顧客の高齢化など事業環境の激変に対応する。金融
業界で「デジタル」と「リアル」の陣取り合戦が繰り広げられるなか、既存の大手が組んで対抗する。
「近未来の金融地図を見通し、互いが果実を得られる戦略的な提携ができた」。28日、SBIHDの決算説明会で北尾吉孝社長は
力を込めた。
交渉が本格化したのは2月中旬だ。手数料引き下げ競争が激しさを増し、代わりの収益源を見いだしたいSBIHD。自前主義に限
界を感じ、外部との提携に活路を求めた三井住友FG。北尾氏は会見で「双方がリーダーシップを取った。太田さんでなければ難しか
った」と話し、三井住友FGの太田純社長とのパイプを強調した。
三井住友FGにも提携の方向感をめぐって複数案が出ていたが、トップの親近感が異例のスピード合意に導いた。
実は三井住友FGにはほかにも候補がいた。昨年、秋から冬にかけ検討されたのが楽天証券の買収だ。中核子会社のSMBC日興
証券は販売力で大手の一角を占めるがデジタル分野は手薄。野村HDがLINE(ライン)と協業し、大和証券は独自でネット分野を開
拓する中で出遅れていた。
親会社の楽天が期待した売却額は3千億〜4千億円。楽天市場を中心とする楽天経済圏からの切り離しという条件もつき、交渉は
打ち切りになった。「ヤフー」のZホールディングス・LINE陣営と組む案も浮上したが、「現実的なSBI」(関係者)に落ち着く。
包括提携に踏み出した両社の突破口はどこか。
一つはスマホ金融だ。SBIHDは傘下にスマホ専業のSBIネオモバイル証券(東京・港)を持ち、三井住友FGから2割の出資を受け
る。買い物のポイントを投資資金に回せるサービスが売りで、デジタルに親しむ20〜30代の若年層が主要顧客。ネオモバイルで資産
形成層を掘り起こし、保険や資産運用といった両社のサービスに呼び込む青写真を描く。
もう一つは三井住友FGが持つリアルの全国ネットワーク。
SMBC日興は全国に141の支店網がある。SBIの資産運用の相談窓口「SBIマネープラザ」は約30店。富裕層などの資産運用
を通じ、株式のネット取引で得る手数料収入から、顧客と長期に関係を結んで収益を得るビジネスへの転換を急ぐが、営業力はまだ
弱い。
強い個性のリーダーが引っ張る異例のタッグだが、提携効果をいかに素早く引き出せるかが今後の課題となる。
融資や個人向け証券といった本丸でどれだけ互いの関与を許すかや、本体同士の資本提携に発展するかが焦点。北尾氏は28日、
「メインバンクのみずほ銀行に恩をあだで返すことはない」と話した。みずほが巻き返しに出る可能性もある。
IT(情報技術)や携帯電話関連の企業が本業で築いた顧客網を武器に金融サービス市場をうかがう。だが簡単に収益には結びつか
ない。
auカブコム証券は今も株式の過半を三菱UFJフィナンシャル・グループが保有するが、相乗効果は少ないとみられ、KDDIの出資受
け入れにつながった。SBIはZHDとも金融事業で包括提携を結ぶが成果を出すのはこれから。北尾氏は「双方にウィンウィンなのか
吟味しながら考える」と話すにとどめた。 日銀ETF買い入れ、市中流通残高に応じた購入に変更−5月から
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-30/Q9KQMGDWRGG701
日本銀行は30日、指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れについて、日銀保有分を除いた市中に流通する残高に比例して
購入する方法に5月1日から変更すると発表した。現在は銘柄ごとの時価総額に比例して買い入れを行っている。
日銀が大規模なETF買い入れを進めている中で、浮動株比率が低くなる銘柄が出ていることなどが市場で問題視されていた。
日銀は3月に開いた金融政策決定会合で、ETF買い入れの一段の積極化を決定。保有残高をそれまでの年間約6兆円増加さ
せるペースから、「年間約12兆円に相当する残高増加ペースを上限に、積極的な買い入れを行う」ことを決定した。
これに伴い、買い入れ額が大きく変動する可能性があるため、これまで金額で示していた買い入れ額の配分の表示を比率に変更
。TOPIXに連動するETFを約75%とし、TOPIX、日経225、JPX日経400の3指数に連動するETFを約25%とした。 銀行の出資規制緩和、フィンテック参入、届け出で、法改正検討。
2020/05/06 日本経済新聞 朝刊
政府・自民党は銀行グループのIT(情報技術)事業などへの参入を後押しする。金融とITを融合したフィンテック企業などに出資する
場合は金融庁への届け出だけで済むように改める。子会社の売り上げへの規制を緩め、ネット広告やシステムの外販もしやすくする。
フィンテック市場で資本力の高い銀行が支配を強めればイノベーションが進まないなどの懸念もある。今後の制度設計が焦点となる。
自民党のプロジェクトチームが近く提言をまとめる。政府は6月につくる成長戦略に反映し金融庁の審議会で検討する。来年の通常
国会で銀行法改正案の提出を目指す。
米アマゾン・ドット・コムなど国内外でIT大手が金融に進出する一方、邦銀は本業以外に制限がある。邦銀の異業種参入への規制は
緩和してきたがさらに事業会社との競争条件を近づける。成長分野のフィンテックを中心に収益確保を促す。
銀行の持ち株会社は事業会社に15%までしか出資できない。金融庁が認可すればフィンテック企業などに15%超を出せる。政府・
自民党は認可要件を改め機動的に参入できる仕組みを検討する。
銀行のシステムや顧客データを活用した事業もしやすくする。システム開発や広告を担う子会社が売り上げの過半を銀行関連にしな
ければならない規制を緩める選択肢がある。銀行の決済システムなどの外販先を広げ、広告業では住宅ローンの契約先への広告配
信などを促すことを想定する。
グループ内の銀行と証券で海外の法人顧客の情報を共有する際の制限も緩和する。邦銀は顧客の同意が必要で外銀との競争条件
で不利にある。
自民党のプロジェクトチームは銀行の国内での不動産仲介業への参入を求める。取引先の事業再生を支援する過程で出てきた不動
産の売却案件などに絞る案だ。銀行が店舗の閉鎖時にその不動産を自由に賃貸できるようにすることも要望する。
事業会社による銀行業への参入に制限を検討する。事業会社が新たに保有できる銀行の対象範囲を狭める案が浮上する。 薄れる「5月売り」懸念―売り残が招く意外高(スクランブル)
2020/05/09 日本経済新聞 朝刊
東京株式市場で、5月の株価下落を表す相場格言の「セル・イン・メイ(5月に売れ)」への懸念が後退している。新型コロナウイルス
が経済に及ぼす悪影響への警戒が続くなかでも8日の日経平均株価は2万円の大台を回復した。背景を探ると需給面で買い戻しを
促す材料が浮上しており、意外高につながっているようだ。
8日の市場では、すかいらーくホールディングスやDMG森精機が6%高となり、日経平均(3%)を大きく上回る上げ幅となった。
いずれも足元で空売り比率が高い銘柄で、買い戻しの動きが優勢だった。非鉄金属など、空売り比率の高い業種も上昇した。
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「今年はセル・イン・メイは来ない」。こう話すのは、リブラ・インベストメンツの佐久間康郎氏だ。4月中旬以降、リクルートホールディン
グスや第一興商といった銘柄に新規に買いを入れた。
リクルートは求人数の減少、第一興商はカラオケボックスの需要減による収益への不安から大きく売り込まれていた銘柄だが、8日
にはそれぞれ4%高、8%高となった。
佐久間氏が先行きの下値不安が小さいと判断する指標が、株価指数先物と現物の価格差を利用して取引する裁定取引の動向だ。
東証によると、4月24日時点での裁定取引に伴う現物株の売り残高(期近・期先合計)は過去最高の2・4兆円まで積みあがった。
市場で先安観が台頭していた4月半ばまで先物の売りが膨らみ、その過程で安くなった先物を買って割高な現物を売る取引が拡大。
裁定売り残が急増した。
市場関係者の脳裏をよぎるのが、昨年秋の上昇相場の再来だ。昨年9月にも裁定売り残が2兆円を超える水準まで膨らんだあと、
買い戻しの動きが進んで年末にかけて株価が上昇した。
「経済の悪化を織り込んだ結果、悪い経済指標が出ても市場は不感症になっている」(楽天投信投資顧問の平川康彦氏)という。
金融緩和でマネーが流れ込むことによる需給要因が、実体経済と株価の乖離(かいり)につながっている。
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二番底につながるセル・イン・メイが起こらなければ、空売り勢による損失覚悟の買い戻しが発生し、一段高となるシナリオも出始
める。「今後の株価を押し下げる悪材料は当面見当たらず、日経平均は夏までに2万3000円をうかがう」(JPモルガン証券の阪上
亮太氏)との見立てがささやかれる。
ただ、過剰流動性を背景にした株価回復には危うさも見え隠れする。8日の株式市場ではペッパーフードサービスが前日比7%高
、レナウンが4%高となった。いずれも直近で「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」が財務諸表に付された企業だ。
業績や財務に対する懸念がある企業まで買い上げられている。
世界的な金融緩和は「稼いだ利益で負債の利払いをまかないきれないような企業の延命につながる」(りそなアセットマネジメント
の黒瀬浩一氏)との指摘がある。需給面の材料に依存した株高が、リスクの蓄積と隣り合わせにある点には十分な注意を払うべき
だろう。 マツダ、3000億円融資要請、3メガ銀などに、前期、営業益5割減。
2020/05/10 日本経済新聞 朝刊
マツダが3メガ銀行などに対し、計3000億円規模の融資を要請したことが9日、明らかになった。日本や北米で販売苦戦に陥って
いたところに新型コロナウイルスの感染拡大で収益環境が急速に悪化している。事業活動に関わる現金の流れもマイナスとなってお
り手元現金を積み増す。
産業界はトヨタ自動車が計1兆円の融資枠設定を金融機関に求めるなど安全網の拡充に動いている。ただ、金利や手数料などの負
担も背負い込むことになり、コロナ危機の長期化に耐えられるかが焦点となる。
3メガ銀行や日本政策投資銀行、三井住友信託銀行などに融資を要請した。銀行側も応じる見通しで、一部は実行済みだ。
マツダは2019年12月末時点で現預金を約5000億円、有価証券を約630億円持つ。融資枠も三井住友銀行などから約2000億
円を確保している。ただ、有利子負債(3面きょうのことば)は6500億円あり、同4〜12月期のフリーキャッシュフロー(純現金収支)は
1300億円の赤字になっている。
感染拡大の影響は深刻だ。20年2月の販売台数は14%落ち込み、3月も33%減となった。欧州が54%減、米国が42%減と急減
した。日本や北米での販売は感染被害の広がる前から落ち込む。2月には20年3月期の販売台数予想を前の期比6万台減の150万
台(従来予想は155万台)に下方修正している。
生産調整も続く。日本やメキシコなど内外の工場で稼働休止や減産に踏み切った。
販売や生産減が響き、20年3月期の本業のもうけを示す連結営業利益は400億円程度と、前の期に比べて5割減ったようだ。3割減
を見込んでいた従来予想から減益幅が広がる。 社債、日産が示す安堵感 日銀が「堕天使債」予備軍に買い
2020/05/08 20:00 日経速報ニュース
社債市場で企業の資金調達環境への改善期待が出ている。日銀が、投資不適格になることが警戒されている日産自動車の
社債を買い入れたとみられるためだ。新型コロナウイルスを背景にした投資家の慎重姿勢が和らいでいる。信用リスクの高い企
業を中心に、社債利回りの低下につながりそうだ。
「日銀は再びサプライズを提供してくれた。社債投資家はみんな助けられた」と国内のファンドマネジャーは話す。日銀は8日実
施した社債の買い入れオペで、日産の社債を買い入れたもよう。4月の金融政策決定会合で買い入れ枠を増額すると発表した後
、初めての社債オペだった。
日産の社債は投資不適格に格下げされる「堕天使債」になる可能性が市場で取り沙汰されてきた。投資不適格とは格付けが
ダブルB格以下の銘柄を指す。
格付け会社のムーディーズ・ジャパンは日産を3月に「Baa3(トリプルBマイナスに相当)」に引き下げ、さらに格下げ方向で見直
す姿勢だ。2026年に償還する日産の社債の国債に対する上乗せ金利(スプレッド)は1.44%と2月末の0.7%から急騰していた。
日銀は社債オペの買い入れ対象をトリプルB格相当以上としたうえで、独自の信用力評価と合わせて判断している。投資家は
前もって日銀に売りたい銘柄を提示し、日銀がその可否を示して買い入れする。日産社債の売りを提示した投資家などに聞き取り
したところ、日銀は8日のオペで買い入れたという。
日産は現時点でトリプルB格を保つが、市場は先行きを不安視。一部では日銀の買い入れ対象から除外されるとの観測も出ていた。
信用力が相対的に低いとされるほかの銘柄も今回の買い入れ対象となったようだ。ムーディーズがBaa3を付けたJFEホールデ
ィングスや住友化学(その後、格付けを取り下げ)などだ。
新型コロナ禍の対応として、米連邦準備理事会(FRB)はいち早く堕天使債の買い取りを発表。「日銀も堕天使債候補の買い取り
を打ち出したことで、市場に一歩踏み込んだメッセージを送った」とマニュライフ・インベストメント・マネジメントの押田俊輔クレジット調
査部長はみる。
5月8日の社債オペでは日銀の買い入れ価格の指標となる「案分レート」がマイナス0.12%まで急低下し、7カ月ぶりにマイナスと
なった。最近のオペよりも高値で買い入れたことを示す。
投資家からは「(価格上昇で)利益確定売りの機会になった」との声が聞かれ、心理の改善につながっている。アセットマネジメント
Oneの加藤晴康ファンドマネジャーは「日銀オペの買い入れ対象銘柄には素直に買いで応じたい」と話す。
QUICKによると償還までの年限が4〜7年でトリプルBプラスのスプレッドは4月末に0.77%で天井を打ち、徐々に低下し始めている。
4月は投資家のリスク回避姿勢が鮮明で、格付投資情報センター(R&I)がトリプルB格を付与する企業では、電力会社くらいしか
社債を発行できなかった。ただ「6月以降はトリプルB格の起債に期待が持てる」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の池崎陽大デ
ット・キャピタル・マーケット部長)という。
日銀の追加緩和策によるテコ入れで、社債市場におけるマネーの目詰まりはひとまず改善に向かいつつある。もっとも景気低迷が
長引けば日本でも堕天使債が増える懸念が高まる。危機時とはいえ、日銀依存の高まりをどこまで許容するのか。重い宿題を背負
ったともいえる。( 3メガ銀、純利益横ばい、前期、今期は株主還元焦点に。
2020/05/13 日本経済新聞 朝刊
3メガバンクは15日、2020年3月期の連結決算を発表する。純利益は3メガ銀合計で前の期比横ばいの1兆7千億円程度だった
もよう。新型コロナウイルス対応で収益の下振れ要因となり得る貸倒引当金は、多くが21年3月期に計上される。収束への道筋が
なお不透明であるため、どの程度損失に備えるべきか読みかねており、株主に還元する利益を抑制するかが焦点に上っている。
20年3月期の純利益は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が前の期比40%減、三井住友FGが4%減となる一方、みずほ
Gは4・6倍となる見通しを公表している。みずほは前の期に基幹システムの大規模減損を計上しており、その反動増益で、実質減益
とみられる。
不透明な状況下で、今まで還元重視を打ち出していた株主対応も聖域ではなくなる可能性がある。配当と自社株買いを合わせた総
還元額は、三菱UFJで19年3月期に約4400億円だった。三井住友は3200億円、みずほは1900億円と、各社とも利益比で高水
準を維持してきた。
「悩ましいのはむしろ今期だ」。3メガ幹部がそろってこう話すのは21年3月期の貸倒引当金の扱いだ。銀行は融資の回収見込みに
応じて、損失に備えた引当金を積む。新たに積み立てた分は費用として計算する。 銀行貸出残高、4月伸び率、「リーマン」以来の高水準。
2020/05/13 日本経済新聞 朝刊
全国銀行協会は12日、全国の銀行の4月末の貸出金残高が522兆434億円となり、前年同月比で20兆814億円、率にして
4%増えたと発表した。伸び率は米リーマン・ショック後に経済混乱が起きていた2009年4月以来、11年ぶりの高水準となった。
新型コロナウイルスの感染拡大により営業や生産を休止する企業が相次いでおり、資金繰りを支援するための融資が積み上がった。
3メガバンクなど大手行の残高は4・9%増で、地銀に比べて高い伸びとなった。政府は緊急経済対策で企業の資金繰り支援を後
押ししてきた。信用保証協会を通じて金融機関の融資に付ける保証を拡充。日銀も融資の原資をゼロ金利で金融機関に貸し出す制
度を3月に始めた。 4月の銀行貸出残高、前年比3.1%増 都銀はリーマン後以来の高水準
2020/05/13 10:27 日経速報ニュース
日銀が13日発表した4月の貸出・預金動向(速報)によると、全国の銀行(都市銀行、地方銀行、第二地方銀行)の貸出平均残高
は前年同月比3.1%増の482兆8637億円だった。伸び率は前月(2.2%)を上回った。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、手元
資金を厚くしておきたい企業向けの貸し出しが増えた。
業態別では都市銀行が同3.4%増の224兆8144億円で、伸び率はリーマン・ショック後の2009年1月(3.6%)以来の高水準だった。
地方銀行と第二地方銀行は合計で同2.9%増の258兆493億円だった。
手形や小切手を除き、譲渡性預金を含む預金平均残高は都銀、地銀、第二地銀を合わせて前年同月比4.2%増の755兆2057億円
だった。残高は過去最高となった。 武蔵野大・深尾氏「いつか来る信用不安、そしてインフレタックス」〜コロナ後の資本主義
2020/05/13 13:00 日経速報ニュース
新型コロナウイルスの感染拡大で景気の冷え込みが鮮明になるなか、政府は過去最大規模の緊急経済対策を打ち出し、財政
支出の財源を国債発行に頼っている。日銀も国債購入上限の撤廃などの対応策を決めた。新型コロナによる緊急事態宣言の一部
地域での解除も始まろうとするなか、対策は今後の日本の景気や財政構造にどのような影響を与えるのか。日銀出身で前日本経
済研究センター理事長の深尾光洋・武蔵野大学教授に聞いた。
(聞き手は日経QUICKニュース 大石祥代)
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■社会のあり方激変 金融政策には限界
――新型コロナ禍は日本の景気をどの程度下押しするでしょうか。
「2008年のリーマン危機より景気は悪化しそうだ。20年1〜3月期の日本の国内総生産(GDP)は、19年の水準から10%から15
%減少するとみている。人の動きが制限され、打撃が大きい」
「新型コロナについては解明できていない部分も多い。他の感染症を引き起こすウイルスのように、感染で免疫ができても数年で
なくなってしまう可能性もある。ワクチンができても定期的に接種を受けないといけなくなれば、長期的に感染率を低く維持するのは
難しい」
――社会のあり方が大きく変わるということでしょうか。
「全然違ったものになるかもしれない。大規模なスポーツイベントや大型競技場でのライブなどはもうできない。海外への渡航などに
もワクチン接種が義務化されるといった制限が加われば、航空機の需要は激減する」
「テレワークが進んで学校や企業、医療分野でのオンライン活用が普及する。公的な手続きも簡略化される。大抵のものがリモート
で済むようになれば都心のオフィス需要が低下し、都心の不動産価値が下落する。不動産業でオフィスビルなど不動産を保有してい
る企業のバランスシートが悪化するなどの影響も出てくるだろう。混乱が落ち着くまで景気への下押し圧力は続く」
――日銀は4月27日に開いた金融政策決定会合で、コロナ感染拡大で厳しさが増す景気を下支えするため、国債購入枠の制限撤
廃やコマーシャルペーパー(CP)、社債の買い入れ強化などを決めました。
「ゼロ金利下で中央銀行ができることは限られている。日銀はほとんど意味がないことをやっている。日銀が何か行動を示さないと円
高になるリスクがあるため、動いているにすぎない」
「量的緩和は当初のアナウンス効果が強いだけで、長期化するとその効果は薄れる。マイナス金利についても、日銀当座預金のほん
の数パーセントに付けているだけで、大半の銀行は日銀からプラスの金利を受け取っている」 ■直ちに日本の信用不安起きず 財政健全化は「インフレタックス」に依存
――一方、日本の財政を考えると国債発行が増えて財政健全化が遠のいています。グローバル市場で日本の信用問題が意識される
リスクが高まりませんか。
「財政健全化は当分棚上げになるだろう。一時的にせよ、大きく影響を受けるとみられる非製造業を支えないといけない。支援継続に
は限りがあるため、他のビジネスに移ってもらうことになるだろう。例えば、レストランは弁当宅配業者や顧客の家に出張して料理を作る
など、事業を転換するということだ」
「コロナ禍で日本だけを対象とした信用不安は起きないだろう。いまは米欧アジア、どこも財政が悪い状態で、お金の逃げる先がない」
「ただ、投資家の信用は無限ではない。どこかで政府が信用をなくす時がくる。どの時点で信用不安が発生するかは誰にもわからない
が、その時点で国債や銀行券から不動産や貴金属などへの資金移動が発生する可能性が高い」
――財政再建は進められますか。
「前向きな解決策はなく、最終的にはインフレで政府債務の大部分を帳消しにする、いわゆる『インフレタックス』に頼らざるを得なくなる
のではないか。財政赤字の拡大に伴い、政府への信用が薄れ国債価格が暴落し長期金利が上昇する。物価上昇で政府は税収が増え
る一方、名目の負債金額はそれほど変わらないため、財政は健全化する」
「ただ、物価上昇で貨幣価値が低下し、預金や国債などで金融資産を保有していた国民は大きな損失を被る。民間から政府への所得
移転が起こるわけで、あったと思うお金が突然なくなる」 銀行規制緩和、自民提言へ、「フィンテック優先」に反動、コロナ対応、信頼左右。
2020/05/14 日本経済新聞 朝刊
政府・自民党が銀行の規制緩和に動き出す。同党が近くまとめる提言は銀行の業務範囲の縛りを緩めるのが柱で、ここ数年の
フィンテック優先の流れの揺り戻しの面もある。超低金利や人口減で銀行の苦境は深まっている。新型コロナウイルスの影響が
拡大するなか、金融インフラを支える銀行の存在意義を問い直す機運も出ている。
「今回のコロナ危機が『銀行絶滅前』だったのがせめてもの救いだ」――。金融庁幹部はこう話す。緊急事態宣言に伴う経済活
動の急停止で、銀行には売り上げや収入が激減した中小企業や個人から資金繰りの相談が殺到している。5月からは民間金融
機関による実質無利子、無担保融資も始まった。
もちろん、フィンテック企業もスマートフォンを使って24時間、融資申し込みができたり、預金口座の出納状況で条件を決めて迅
速に融資したりするサービスなどで存在感を高めている。フィンテック企業が提供する「速い、安い、便利」なサービスは健全な競
争を生み、利用者にもメリットが大きい。
ただ、小口融資が中心で、数百万〜数千万円といった資金需要にこたえる機能には乏しい。政府がととのえた制度融資や現金
給付の実務の担い手も銀行だ。
メガバンクや地方銀行など従来型の金融機関、店舗を持たないネット専業銀行、フィンテック企業それぞれ役割は異なる。勃興
期でもあり、ここ数年は政策的にフィンテック企業を後押しする動きが続いた。自民党の提言には、一方的に攻め込まれる構図だ
った銀行への規制を緩めて、異業種とのバランスをとりたいとの意向がにじむ。
「先生の紹介案件」といった具合に、融資判断への不当な介入を避けるために、銀行は伝統的に政治と距離をおいてきた。ただ
今年1月、全国銀行協会が開いた賀詞交換会は例年にはない場面があった。全銀協会長ら銀行首脳、麻生太郎金融相とともに、
10人以上の国会議員がひな壇で記念撮影に納まった。
「フィンテック推進も大事だが、銀行をたたき過ぎるのもどうかという認識が広がってきたように感じる」。参加者の一人はこうつぶ
やいた。金融の暴走が招いた1990年代後半の不良債権問題や2008年のリーマン・ショックと異なり、今回のコロナ危機は、い
かに金融が実体経済を支えられるかがカギを握る。
「やっぱり銀行は頼りになる」という再評価につながるのか、「雨の日に傘を貸してくれない」との批判が強まるのか。コロナ対応
は銀行、フィンテック企業双方にとって今後の環境を決定づける岐路になる。 4月の貸出残高、過去最高、3%増、大企業向け伸びる。
2020/05/14 日本経済新聞 朝刊
日銀が13日に発表した4月の貸出・預金動向(速報)によると、全国の銀行と信用金庫の貸出平均残高は前年同月比3%増の
553兆4863億円だった。統計の公表をはじめた2000年1月以来、約20年ぶりに過去最高を更新した。新型コロナウイルスの
招く経済の停滞に備え、企業が資金を確保する動きを反映したが、過度な貸し出し増を警戒する声もある。
貸出残高の伸び率は17年8月(3・2%)以来、2年8カ月ぶりの大きさだった。業態別では3メガバンクなどの大手行の伸び率が
3・4%と地銀や信金より大きくなり、大手行と取引の多い大企業向けの融資が活発だった様子がうかがえる。
金融機関はバブル崩壊後に不良債権の処理に追われ、1990年代後半から2000年代半ばまでほぼ一貫して貸出残高を縮小
してきた。アベノミクスによる景気回復局面では不動産向けやM&A(合併・買収)向けを中心に融資を伸ばしてきたが、コロナ危機
後は手元資金を厚くしておきたい企業の「守り」のニーズを受け、一段と貸し出しを伸ばしている。
5月からは政府の緊急経済対策を踏まえ、実質無利子・無担保の融資が民間金融機関でも始まった。日銀も企業の資金繰りを支
える金融機関に有利な条件で資金を供給するオペ(公開市場操作)を拡充している。銀行や信金による貸し出しも当面、拡大を続け
る公算が大きい。 4月の貸出残高、過去最高 3%増、大企業向け伸びる
https://www.nikkei.com/nkd/industry/article/?DisplayType=1&n_m_code=121&ng=DGKKZO59040410T10C20A5EE9000 自社株買い、光と影―需給か財務か、迷う投資家(スクランブル)
2020/05/14 日本経済新聞 朝刊
自社株買いは買い材料か――。日本企業の株主重視を示すとして、好感されてきた自社株買いだが、評価を巡って投資家の判断
が揺れている。コロナ禍による自社株買いの見送り機運は、株式需給悪化を招くのは必至。半面、資金流出抑制で企業財務を下支え
し、中長期の競争力を高めるとの見方もある。個別事例に沿って光と影に目をこらす局面だ。
日経平均株価が前日比99円(0・5%)安となった13日、隠れた主役として注目を集めたのは前日に2020年3月期決算を発表した
トヨタ自動車株の動きだった。15年以降、決算発表に合わせて自社株買いを発表してきたが、今回は見送り。結局2%安で引けた。
5月は例年であれば自社株買いの最盛期。だが今年は「相当減るだろう」(大和証券の阿部健児チーフストラテジスト)との見立てが
市場では優勢となっている。
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実際、5月12日までの自社株買い発表の累計額はわずか数百億円。過去6年間の5月の月間平均(約1兆4000億円)と見比べる
と、その差は歴然といえる。新型コロナウイルスで先行きが見通せないなか、手元資金の確保を重視する企業の方針が鮮明だ。
市場の側からは需給悪化が懸念される。12年末のアベノミクス開始以降、株主に配慮した経営が浸透して企業は自社株買いに前
向きに取り組んできた。いまの株価水準が本来の企業価値に比べて割安、といった経営者の強気な姿勢を示す意味合いもある。東証
の投資部門別売買動向によると、企業が主体の「事業法人」の買い越しは累積で16兆円に達する。
米国では自社株買いの停止が相場の波乱を招いたとされる例もある。18年10月中旬、米ダウ工業株30種平均が週間で1000ド
ル下落した。この時期は決算発表前の企業が自社株買いを控える「ブラックアウト(停電)期間」にあたる。急落のきっかけは長期金
利の上昇や米中貿易摩擦の激化だったが、ここまで振れ幅が大きくなった一因は買い手となる企業の不在だ。
現在の相場環境を見渡せば悪材料には事欠かない。新型コロナの感染再拡大に加え、米中対立再燃への警戒感も増している。
市場が小康状態にあるのは、経済危機を乗り越えようと各国が積極的な金融緩和・財政政策を打ち出した効果が大きい。悪材料でひ
とたび売りが広がれば、日銀の上場投資信託(ETF)買いだけで吸収できるか心もとない。
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もっとも、個別企業に照らせば、より複雑だ。トヨタの自社株買い見送りについて「非常に合理的で理解できる」。ファイブスター投信
投資顧問の大木将充運用部長はこう指摘する。手元資金を温存し、不測の事態への備えを固める点を評価する。むしろ「減配や無配
も考えないと、現下の危機を乗り越えられない企業も多いのではないか」とみる。
前日に自社株買いを発表した銘柄でも、13日は第一建設工業は1%安、東ソーは小幅安。個社の財務状況によるが、この局面では
無理に自社株買いをしなくてもよい、そんなメッセージを市場が発しているようにもみえる。欧米では借金を重ねて自社株買いにあてる
企業も珍しくはなかったが、潮目は変わった。
限られた資金をどのように活用するのか。自社株買いを実施する企業はもとより、有効性を見極めて銘柄選別する投資家の眼力が問
われそうだ 。 <東証>三井住友FGがもみあい 店舗配置見直しも、与信費用の動向不透明
2020/05/20 14:37 日経速報ニュース
(14時30分、コード8316)三井住友FGがもみ合い。19日、傘下行の店舗配置を見直すと発表した。2022年度までに4分の3にあたる
300店舗について、業務の多くをIT(情報技術)で効率化し、個人の資産運用相談などに重点を置く「軽量店」に転換するという。ただ、
将来的なコスト削減効果で業績を押し上げるとの期待もあるが、買いは広がらず、下げに転じる場面もある。
3月に付けた安値からの戻りは東証株価指数(TOPIX)が約20%となっているのに対し、三井住友FGは約16%ほど。三菱UFJ(83
06)、みずほFG(8411)なども同様に戻りは弱い。
銀行株の戻りの弱さについて、マネックス証券の大槻奈那チーフアナリストは「金利低下による資金収益の減少に加え、新型コロナ
ウイルスの影響で、借入金の返済猶予や条件変更を求める企業が急増しており、将来的な不良債権を生む可能性を懸念されている」
と指摘する。「足元の与信費用は大幅に増加しているが、それで十分かはなお不確実性が高い状況だ」との見解を示した。 2020年05月20日09時29分
三菱UFJなどメガバンクが軟調、米長期金利が再び0.6%台に低下
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>、三井住友フィナンシャルグループ<8316>などメガバンクが軟調。前日の米国株市場
ではゴールドマン・サックスやバンク・オブ・アメリカなど大手金融株が軒並み軟調な展開を強いられた。経済活動再開による景気
回復期待はあるものの、依然として新型コロナウイルスの感染第2波に対する警戒感は根強く、パウエルFRB議長は19日の議
会証言で追加支援策に前向きな姿勢を示したが、内需回復には時間がかかるとの見方も出ている。そうしたなか、米10年債利
回りは再び水準を切り下げ、前日終値ベースで0.68%と0.7%台を再び下回ってきた。東京市場でも米国事業を展開するメガ
バンクには買い手控え材料となっている 日銀のコロナ対応戦略を問う(上)財政下支え、リスク増大、国債購入制限なく、米欧意識。
2020/05/20 日本経済新聞 朝刊
新型コロナウイルスが招く金融市場の混乱や経済の悪化を踏まえ、日銀は3月と4月の金融政策決定会合で2会合連続の追加緩和
を決めた。黒田東彦総裁は「中央銀行ができることは何でもやる」という。海外の中銀も危機対応を急いでいる。コロナ対応をめぐる日銀
の戦略を点検する。
「財政と金融政策の協調をさらに進めた形で見せられないか」。4月27日の決定会合の前、日銀内ではこんな議論が交わされていた。
念頭にあったのは新型コロナ対応で過去最大の経済対策を組んだ政府の動きだ。
対策を盛った2020年度補正予算の事業規模は117兆円に膨らんだ。日銀は4月会合で企業の資金繰り支援策を拡充する腹づもりで
はあったものの、「それだけで済むのか」との緊張感が解けなかった。
未曽有の危機下で政府との連携を強調し、国債売りの動きをけん制するには「政策の見せ方を変える必要があった」(幹部)。すでに長
期金利を0%程度に誘導する政策を導入し、国債発行が増えても金利上昇を抑えられるという理屈を唱えるだけでは十分ではない。
踏み込んだのは日銀による国債購入の上限と見なされていた「年80兆円のめど」の撤廃だ。4月会合の公表文では14年10月から使
ってきた80兆円の表現が消えた。ここ数年、長期金利が低水準で日銀の国債保有の伸びも鈍く「めど」は形骸化していた。政策の実質
的な枠組みを変えず、緩和強化を演出する効果を狙った。足元の長期金利は0%近辺で推移し、ひとまず波乱は起きていない。
国際協調をにらみ、「米連邦準備理事会(FRB)の動きを意識した」(ある幹部)。FRBは米国債売りが広がった3月半ば、5千億ドル(
約54兆円)の国債を買い入れる量的緩和政策を再開した。その1週間後には購入額を「必要な分」と実質無制限に切り替えた。日銀が
踏襲した言い回しだ。欧州中央銀行(ECB)も3月、イタリアなどの長期金利上昇を受けて欧州各国の国債購入を積み増し、危機モード
は世界に広がっている。
中銀が国債購入で金利を抑えこめば国は財政出動に動きやすい。一方で国の財政赤字を中銀が実質的に穴埋めする財政ファイナンス
の構図が常態化すれば危機後も財政規律が緩む副作用が懸念される。日銀もそのリスクを意識しており、実は「無制限の国債購入」も
二重の意味を帯びている。
「80兆円のめどを外しておけば、状況が落ち着いたときも具体的な金額の制約を受けず、国債購入を減らしやすい」。ある幹部はこんな
見方を示す。国債を「必要な分だけ購入する」という方針は、将来的な金融緩和の「出口」の局面にも生かせるというわけだ。
だが、もともと先進国で最悪水準だった日本の債務残高はさらに膨らみ、政府の利払い負担増につながる「金利正常化のハードルはさ
らに高まった」(ゴールドマン・サックス証券の馬場直彦氏)。トランプ米大統領がマイナス金利政策を要求するなど、中銀への政治圧力が
再び強まる米国と異なり、日銀への政治の風圧は目立たない。日銀の意識としては踏み込んだ政策に動いたおかげといえるが、日銀が
財政下支えの泥沼から抜け出せないリスクも増した。 日銀のコロナ対応戦略を問う(中)年度内にも最大株主に、市場安定、「物言わぬ」代償も。
2020/05/21 日本経済新聞 朝刊
「また上場投資信託(ETF)の購入を減らした」。株式市場で日銀の投資行動の変化が思惑を呼んでいる。
13〜15日は毎日1000億円強のETFを買い入れたが、1日あたりの購入額は月初から200億円減った。3月には2000億円強を
買う日もあり半減だ。日銀は新型コロナウイルスの感染拡大で急速な株安が進んだ同月、ETFの購入枠を年12兆円に倍増したばかり。
何があったのか。
日銀は民間投資家のリスク許容度を高め、積極的な投資を後押しすることがETF購入の狙いと説明する。その尺度は必ずしも明確で
はないが、内部では3月の日経平均株価の急落局面で「PBR(株価純資産倍率)が0・8倍台まで下がり、さすがに売られすぎだ」との
声が出ていた。
日経平均は3月下旬から持ち直しに転じ、PBRも企業の実質的な解散価値を示す1倍まで回復した。日銀は市場の落ち着きをみて、
購入額を減らしたようだ。
日銀の2つの思いが読み取れる。一つは株式相場の崩落時に「最後の買い手」として支える姿勢。もう一つは自らの積極投資が市場
のゆがみを招くことへの警戒心だ。
ETF購入は白川方明前総裁時代に始まり、黒田東彦総裁になって増額を重ねた。保有残高は31兆円。東証1部の時価総額の6%
弱に当たる。現在の購入ペースを続ければ、2020年度中に公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を抜き、
日本最大の株主になる。
金融政策の一環としてETFを購入する日銀は投資先企業の経営監視という株主の役割を積極的に果たさない「物言わぬ株主」だ。
株主総会での議決権行使はETFの運用会社に委ねている。GPIFが投資先の企業価値を高めようと動き始めたのに対し、日銀は株価
を支えても押し上げようという意識は乏しい。
株式市場に直接介入する政策を取る中央銀行は主要国では日銀だけだ。米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)は市場
の価格発見機能の低下や損失リスクといった副作用を懸念して踏み込んでいない。
日銀内でも株安で財務が毀損したり、国への納付金が減ったりすれば、世論の批判が高まると懸念する声がある。コロナ禍はこうした
声をかき消し、さらなる投資を迫る。
「かなりの規模の買い入れが可能だ」。黒田総裁は企業が資金調達で発行するコマーシャルペーパー(CP)と社債の購入枠を計20兆
円と約3倍にした4月の措置をこう強調する。市場に安心感を与え、調達金利を押し下げる狙いがある。
「本来は企業の信用リスクは取りたくない」。ある日銀幹部は揺れる胸中を明かす。個別の社債は債務不履行によって損失が膨らむリ
スクもある。だが「資金繰りに苦しむ大企業が今後増えることを考えれば、政策対応はやれるだけやったほうがいい」(別の幹部)という
意見が強まった。
FRBは投資不適格の水準に格下げされた社債も購入し、さらに踏み込む。米国ではFRBのリスク資産への投融資で政府が損失吸収
材になる資本を出す仕組みで、大胆な手を打ちやすい。日銀がどこまでリスクを取るべきかについての議論は深まってはいない。 日銀のコロナ対応戦略を問う(下)企業融資、北風から太陽へ、「奨励金」で銀行誘導狙う。
2020/05/22 日本経済新聞 朝刊
日銀は22日、臨時の金融政策決定会合を開く。決めるのは新型コロナウイルスの感染拡大に苦しむ企業を助けるため、金融機関
に融資の原資を有利な条件で提供する新たな資金供給策だ。政府の緊急経済対策で始めた実質無利子・無担保融資と連動する。
4月の決定会合で骨子をまとめ、詳細な中身を検討してきた。
「銀行を応援する内容だ」。大手行幹部は手放しで歓迎する。新制度は日銀がゼロ金利で資金供給するうえ、金融機関の利用実績
に応じて日銀当座預金に0・1%のプラス金利も付ける。3月に創設した新型コロナの特別オペ(公開市場操作)も似た仕組みだ。融資
の「奨励金」に近い。
日銀は2016年以降、当座預金の一部にマイナス金利を課して投融資を促してきた。金融機関を動かす手段が「北風」から「太陽」に
転じた。
効果はすでに表れている。新型コロナの特別オペは4回実施し、合計で約12・6兆円を供給した。企業倒産や大量解雇の懸念が高
まり、日銀にとって「企業金融の円滑化が最も重要」(黒田東彦総裁)になっている。
4月24日に実施した特別オペで1回の供給額が100億円台まで減っていた。てこ入れが必要だと判断した日銀はその3日後の会合
で当座預金残高に0・1%の金利を付ける措置に踏み込んだ。
「事実上のマイナス金利政策の修正だ」。野村証券の西川昌宏氏は指摘する。4月時点でマイナス金利の適用対象額は約25兆円。
新型コロナ対応の特別オペですでに約12兆円を供給し、今後の利用拡大などを見込めば、マイナス金利の対象額と逆転する可能性
は高い。
マイナス金利政策は導入以降、マイナス0・1%の金利水準を一度も引き下げていない。経営が圧迫される銀行界の反発が強いうえ、
導入時に急速な円高が進んだ経緯から、市場安定策としての効果も疑わしいためだ。
黒田総裁は政策の選択肢を狭めないよう、マイナス金利についてなお深掘りする余地があると強調する。一方で最近では「現時点で
は必要ない」とも発言している。
米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)など海外中銀と支援策を競うような状況が続く。FRBは政府の出資金も踏まえて
投融資のファンドを設け、銀行から中小企業向けの貸出債権を買い取る。ECBは金融機関にマイナス金利で資金供給している。日銀
も主に大企業を助けるコマーシャルペーパー(CP)・社債の購入拡大に加え、中小企業支援も重視しているとのメッセージが必要だった。
金融機関への大規模な資金供給の結果、FRBやECBは総資産が急激に膨らんでいる。08年のリーマン・ショック時には中央銀行
の総資産が緩和の度合いを測る物差しの一つになった。当時の日銀の対応は市場に「規模が小さく、遅い」と判断され、急激な円高が
進み、政治家や企業経営者から批判を浴びた。
5月はもともと定例の政策決定会合を予定しておらず、22日の会合は約9年ぶりの臨時会合となる。日銀があえて既定路線の政策を
「臨時」で決める背景には、機動力をアピールする狙いが透ける。日銀の危機対応力が試される局面は続く。 大手消費者金融、新規融資が減少、外出自粛など響く。
2020/05/22 日本経済新聞 朝刊
新型コロナウイルスの感染拡大で政府が緊急事態宣言を発令した4月以降、大手消費者金融の新規融資が減っている。大型連休に
外出自粛要請の期間が重なり、不急の消費が控えられたことが要因だ。一律10万円の定額給付金の支給が決まったことや、国が小
口資金を無利子で貸し付けていることなども消費者金融の利用減の背景にあるとみられる。
アコムの4月の新規申込数は3月比で4割減った。SMBCコンシューマーファイナンス(旧プロミス)も3割減少し、新生銀行グループ
のレイクALSA(アルサ)も同程度の減少率だったとみられる。
例年、年度末で資金需要が旺盛な3月に比べ、月末から大型連休に入る4月は新規申し込みが1割程度減ることが多い。この4月は
緊急事態宣言という特殊事情が加わった。百貨店や外食店などの多くが営業を控えたことで、生活必需品以外にお金を使うこと自体が
減ったようだ。
政府は3月から、コロナ禍で収入が減った世帯に無利子で最大20万円を貸し付けている。4月下旬には一律10万円の定額給付金の
支給も決まった。足元の生活資金のメドがついたことで消費者金融の利用が減った可能性もある。 大手行が医療向け支援枠、三井住友は1000億円。
2020/05/23 日本経済新聞 朝刊
三井住友銀行は22日、新型コロナウイルス患者を受け入れる医療機関などを支援するファンドを立ち上げると発表した。病院や
医療機器メーカーに総額で最大1千億円を通常より低い金利で融資する。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)やみずほFGも
投資ファンドを通じて資金繰りを支える計画で、大手行による支援が広がっている。
三井住友銀は新型コロナの患者に対応する医療機関などに最長5年間、資金を貸し出す。医療機関が診察してから診療報酬を
受け取るまでには2カ月かかる。政府が緊急事態宣言を出した4月以降、医療機関では新型コロナ以外の患者数が減っている。
資金繰りが苦しくなるとみられる6月を前に支援を手厚くする。
大手行が医療向け支援枠 三井住友は1000億円
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59461720S0A520C2EA4000/ 銀行の自前融資、点検へ、金融庁、企業支援の強化求める。
2020/05/27 日本経済新聞 朝刊
金融庁は新型コロナウイルスの影響で苦しむ企業への資金繰り支援で、金融機関による自前融資(プロパー融資)の残高を点検
する。政府は金融機関が貸し倒れリスクを負わない信用保証を拡充したが、ノーリスクの融資にばかり熱心で自前融資はちゅうちょ
する例もあるという。公的な制度融資と機動的な自前融資のセットで企業支援を強化するよう求める。
明らかに制度融資のみに偏っている場合は検査に入ることも検討する。政府は新型コロナを受けて、日本政策金融公庫による特別
融資を実施し、倒産で融資が焦げ付いた際に返済を100%肩代わりする信用保証のしくみを復活させた。1日から始まった民間金融
機関による実質無利子、無担保の融資も信用保証が組み込まれている。
全国銀行協会によると4月末の融資残高は前年同月比4%増と11年ぶりの高水準となったが、公的制度による押し上げ分も多い
とみられる。必要資金を行き渡らせるため政府系金融機関の「代理店業務」も重要だが、一定のリスクをとっても機動的に支援すべ
きだと金融庁は考えている。自前融資の残高点検で「リスクがなければ貸す」という姿勢にメスを入れる。
一方、返済順位が通常の融資など一般債権に劣る「劣後ローン」を資本とみなせることを改めて明確にする。同ローンの供給は官
民ファンドなどが中長期的な企業支援策として検討しており、金融機関が追加融資しやすい環境を整える。コロナ前に「正常先」だ
った企業については、一時的に売り上げが落ち込んでも不良債権扱いしなくてよい運用も改めて打ち出す。 ETF評価益92%減、日銀3月末時点、8年ぶり低水準。
2020/05/28 日本経済新聞 朝刊
日銀が27日発表した2019年度決算によると、保有する上場投資信託(ETF)の時価から簿価を差し引いた評価益は3月末時点
で3081億円だった。前年同月末(3・9兆円)から92%減り、8年ぶりの低水準になった。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大
で3月に日本株相場が急落し、ETFの評価益も大きく目減りした。
日銀の黒田東彦総裁は3月半ばの国会答弁で、日銀保有のETFの評価損が2兆〜3兆円規模に達しているとの試算を示していた。
その後に相場が持ち直し、3月末の日経平均株価は損益分岐点の1万8500円程度を上回ったため、損失の発生は回避できた。
ただ、ETF購入の拡大や長期化に伴い、株安に弱い財務体質になっている。
保有する不動産投資信託(REIT)の評価益も3月末は467億円と6割近く減った。個別の保有銘柄の急落を受け、10年にREIT購
入を始めて以来、初となる減損処理を実施した。 デジタル通貨、スイカ連結、3メガ銀・JR東など検討。
2020/06/03 日本経済新聞 朝刊
3メガバンクとJR東日本などは、デジタル通貨や電子マネーの相互利用に向けた検討を始める。3メガのデジタル通貨をJR東の
Suica(スイカ)と連携できるようにする方向だ。デジタル通貨や電子マネーを使うキャッシュレス決済は急速に利用者が増えている。
参入が相次いで競争が激しくなっており、囲い込みより利便性を高めて顧客の裾野を広げる。
みずほ銀行は地方銀行などと組み、送金やQRコード決済に使える「Jコインペイ」をすでに発行している。三菱UFJフィナンシャル・
グループは独自のデジタル通貨「coin(通称MUFGコイン)」の発行を検討中。ただ銀行勢はペイペイなどの新興企業に比べて出遅
れている。
JR東日本が発行するSuicaは発行枚数が約8000万枚と利用者が多い。銀行系と比べると、銀行口座とのお金のやりとりができ
ないといった違いがある。
インターネットイニシアティブ(IIJ)の持ち分法適用会社で暗号資産(仮想通貨)交換のディーカレット(東京・千代田)が事務局となり、
連携に向けた協議会を立ち上げる。3メガバンクのほか、JR東など10社程度が参加する見通し。金融庁や経済産業省、日銀なども
オブザーバーとして参加する。
協議会は例えば「Jコインペイ」の利用者がスイカで支払えるようにするためのプラットフォームなどを検討する。取引内容を分散型
台帳(ブロックチェーン)技術で記録するかといったセキュリティー面も議論する。
協議会は今秋メドに方向性を出す予定だが課題も多い。デジタル通貨や電子マネーが預金口座と双方向につながれば預金保険
の適用やマネーロンダリング(資金洗浄)の対策強化も必要になる。 米国株、ダウ続落 金融緩和長期化で銀行株に売り ナスダック指数は初の1万台
2020/06/11 05:06 日経速報ニュース 410文字
【NQNニューヨーク=岩本貴子】10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落した。前日比282ドル31セント安の2万6989ドル
99セント(速報値)で終えた。米連邦準備理事会(FRB)が10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でゼロ金利政策を2022年末ま
で続ける方針を示した。公表した米国債の毎月の購入額も市場予想の上限に近かった。これを受けて長期金利が低下して銀行株
が大幅安となり、相場を下押しした。資本財など他の景気敏感株にも売りが広がった。
一方、PER(株価収益率)が高いハイテク株は金利低下で相対的な投資妙味が増す。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価
指数は4日続伸し、66.59ポイント高の1万0020.35と初めて1万台で終えた。スマートフォンのアップルとインターネット通販のアマゾ
ン・ドット・コムが連日で上場来高値を更新。ソフトウエアのマイクロソフトも4%高と大幅上昇し、上場来高値を付けた。 三井住友FG、クルーに出資、取引先の事業創出支援。
2020/06/16 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は大企業とスタートアップを結ぶサービスを提供するCreww(クルー、東京・目黒)に約20%
出資した。新型コロナウイルス禍などの社会課題を前に、大企業であっても社内資源のみで成長を目指すのが難しくなっている。新規
事業の創出にスタートアップの技術を生かせる環境を整え、取引先の事業拡大を促す。
出資額は非公表だが、数億円規模とみられる。
クルーはオンライン上で大企業とスタートアップをつなぐ「Steams(スチームス)」と呼ぶサービスを展開している。1万社程度ともいわ
れる国内のスタートアップのうち4800社が登録しており、大企業との間で500を超える共同事業を生み出してきた。 三菱UFJ銀、中国債券の決済代理資格、邦銀で初取得。
2020/06/16 日本経済新聞 朝刊
三菱UFJ銀行は15日までに中国人民銀行(中央銀行)から中国債券の売買や管理を担う決済代理人の資格を取得した。海外
投資家が中国本土の債券市場で直接取引するには決済代理人を介するのが原則で、三菱UFJ銀は邦銀初の指定となった。既存
の香港経由の取引に比べて取引相手が増えるため、長期で大規模の投資がしやすくなる。
中国外の銀行では米JPモルガン・チェースや英HSBCホールディングスなどに続き8行目の取得だ。これまで日本の投資家は
海外銀行経由で複雑な事前登録や外国語での売買指示が必要で、本土の債券市場に直接参入するハードルが高かった。三菱
UFJ銀に口座があれば日本語でのやりとりをもとに、中国の投資家と相対で国債や地方政府債、金融債などを取引できるように
なる。
これまで日本の投資家による債券取引は香港経由の「債券通(ボンドコネクト)」と呼ぶ手法がほとんどだった。取引相手は10社
に限られ、短期売買が中心となる。投資残高も海外投資家による本土直接取引の1割程度だ。三菱UFJ銀は年金などの長期投
資を仲介し、中国本土市場に広げる。 自治体取引、採算で選別、三菱UFJ銀、窓口の収納代行料上げ、数円→数百円、交渉決裂辞さず。
2020/06/17 日本経済新聞 朝刊
三菱UFJ銀行は地方自治体から請け負う税金などの収納代行業務について手数料を引き上げる。現在は1件あたり無料もしくは
数円。2021年4月から数百円の水準とする。個々の業務の採算を重視する姿勢を強め、引き上げ交渉がまとまらない自治体につ
いては収納代行を取りやめる。
三菱UFJ銀は約200の自治体と手数料引き上げを巡り交渉中だ。銀行にとって収納代行は事務処理が煩雑なわりにもうけになり
にくい。公的サービスとして続けてきた面がある。最大手の同行が手数料上げに動くことで、他の金融機関も追随する公算が大きい。
住民税や固定資産税、国民健康保険料などは銀行が自治体に代わって支払いの窓口になっている。自治体ごとに複数の金融機
関を支払いの取扱金融機関として指定している。口座振替やコンビニ、電子納税サイト「eLTAX(エルタックス)」などでも払えるが、全
体の約4割にあたる数億件について銀行の窓口で受け付けている。
三菱UFJ銀は19年4月から、取引が収納代行のみで店舗が少ない地域の約200自治体を対象に手数料の引き上げ交渉を進め
てきた。同行が収納代行業務を請け負う自治体の約半数、件数ベースでは約1割にあたる。
大半は手数料の引き上げに応じない見通しで、取扱金融機関から離脱することになる。手数料の引き上げ交渉は窓口での支払い
が対象で、離脱後も口座振替は残す方針。
代行手続きは手間がかかる。税金や公金の収納は自治体から郵送される紙の納付書をもとに手続きする。個人や企業は納付書に
必要事項を記入して窓口に持ち込み必要額を振り込む。各支店は納付書をまとめて事務処理センターに送付。約150人が1枚ごとに
記載内容と納付額に誤りがないことを確かめている。
そのうえで毎日、収納金と納付書一式を自治体向け業務のとりまとめ役である指定金融機関(指定金)に送るのが収納代行の業務
となる。
しかも納付書の仕様や延滞の手続きは自治体ごとに異なる。お金の移動とともに確認用の納付書も一緒に動くため運送コストもか
さむ。三菱UFJ銀は年間1000万件を超える窓口処理を受け付け、数十億円の赤字になっているという。
金融インフラの維持を担う銀行はこれまで、公的サービスである自治体向けの取引を通常業務と切り離して考えてきた。このため赤
字構造でも、収納代行業務は「地域で商売するためのエントリーチケット」(銀行関係者)と受け止めてきた。
超低金利の長期化に伴う収益環境の悪化で状況は一変した。過去からの慣例として残る「丼勘定」を許容できなくなっている。各行
はコストや需要に応じて手数料体系の見直しを進めてきた。すでに両替や海外送金など個人や企業向けの手数料を引き上げており、
自治体にも対象を広げる。
全国銀行協会が事務局を務める勉強会のアンケート調査では、税公金の収納代行が窓口業務に占める事務量の割合を1割以上と
答えた金融機関が64%にのぼった。各行とも税公金など各種手続きを担う従来型店舗を減らす方針を掲げており、三菱UFJ銀に追随
する動きは増える見通しだ。
支払窓口として機能してきた銀行が受け付けをやめれば、利用者の利便性が低下する恐れがある。ネット経由で税公金を払えるサ
ービスなどの利用を促すとともに、自治体側もサービスに見合った対価や収納代行の負担を減らす手立てを真剣に考える必要がある。 銀行株、「手数料下げ論」が招く牙城崩壊 遠い復活
2020/06/17 14:29 日経速報ニュース
世界的な低金利環境下で収益減にあえぐ銀行株に悩みの種がまた1つ増えた。高止まりしたまま、長らく変わってこなかった銀行
の振込手数料にメスが入る可能性が高まっている。マイナス金利導入に始まり、政治に翻弄され続けてきた銀行株が復活する日は
ずっと先になりそうだ。
「40年以上不変である銀行間手数料を合理的な水準へ引き下げたい」。安倍晋三首相は16日の未来投資会議で、銀行の振込手
数料についてこう述べ、麻生太郎財務・金融相に具体的な検討を進めるよう指示した。
4月21日に公正取引委員会が公表した報告書を皮切りに、銀行間手数料の見直し議論が盛り上がっている。金融とIT(情報技術)
を融合したフィンテック企業が次々に生まれ、キャッシュレス決済の競争が激化するなか、銀行が独占してきた決済インフラの開放を
促す狙いがある。
とくに公取委が疑問視したのが銀行間手数料だ。仮に一般の利用者がインターネットで買い物をすると、銀行を通じて代金を支払う
ことになる。その際、銀行間の送金は「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」を通じて実施される。送金時に発生するのが
銀行間手数料で、振り込む側の銀行が相手側の銀行に手数料を払う。銀行間手数料は1973年に全銀システムが稼働を始めた際に
導入された。
銀行間手数料は本来、銀行同士が互いの交渉で決めることになっている。だが、実際は3万円未満の送金は117円、3万円以上は
162円に設定され、50年近く変わっていないのが現状だ。米国などでは銀行間手数料に該当するものはない。為替業務の自動化が
進んだ今、事務コストを大幅に上回っているとの指摘もある。手数料が引き下げられれば、銀行にとっては収益の押し下げにつなが
るが、株価への影響はいかほどか。
マネックス証券の大槻奈那チーフ・アナリストが「短期的な株価への影響は限られる」と話すように、意外にも市場インパクトは大きく
ないとの声が多い。銀行間手数料はメガバンクが地方銀行に支払っているケースが多く、手数料引き下げによる収益減少の影響を
受けるのは、地方銀行など地域金融機関との見方が一般的だ。とはいえ、手数料収入に占める内国為替(資金取引)の割合はそれ
ほど多くない。
たとえば、千葉銀行(8331)の2019年3月期の有価証券報告書をみると、手数料収入などの「役務取引等利益」は国内だけで566
億円。そのうち、「為替業務」は75億円で、手数料収入に占める内国為替の比率は13%にすぎない。収益面から考えれば、現時点で
は軽微といえそうだ。実際、17日の東京株式市場でも三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は一時1.9%安、千葉銀が1.7%安、
コンコルディア・フィナンシャルグループ(7186)が1.4%安まで下落したものの、その後は持ち直しており、相場の地合い悪化で下げ
た面が大きい。
だが長い目でみれば、これまで国内の決済システムを独占することで収益を稼いできた銀行にとって、「不動産などの大口取引でも
安全性の高いキャッシュレス決済ができるようになれば、寡占の牙城が崩れるのは必至で、時代に沿った収益体質への見直しは急務
」(大槻氏)といえる。欧米に比べて金融システムの遅れが目立つ日本の金融機関は、政府から突きつけられた課題にどう答えるのか。
新サービスの展開など抜本的な解がない限り株価の上値は重そうだ。 三井住友FG − 【四季報先取り】三井住友FG
詳細
【後 退】国内外とも貸出残高増。利ザヤ下げ小幅。ただ有証利息配当金減少。新型コロナ影響で対面営業鈍化し運用商品販売や
法人向け手数料が上期停滞。与信費用は4500億円と大幅増見込み、経常益後退。
【予 防】新型コロナ影響で19年度に予防的引き当て400億円。20年度もコロナ影響で、2600億円引き当て。新中計開始、アジア
では現地商業銀行の買収も検討。 三菱UFJFG − 【四季報先取り】三菱UFJFG
詳細
【後 退】買収2社通期寄与。新型コロナ対応もあり、国内・海外とも貸出残高伸びる。ただ、利回り低下で外貨資金収益が縮小。
序盤の対面営業鈍化で、資産運用関連を中心に手数料も停滞。与信費用は4500億円と大幅増を見込む。経常益は後退。
【加 速】23年度までの店舗削減を17年度比35%減から40%減に。与信費用のうち2000億円を新型コロナ関連と見込む。 みずほFグループ − 【四季報先取り】みずほFグループ
詳細
【後 退】貸出残高増。事業承継やM&A関連手数料伸長。ただ、協調融資や為替手数料厳しい。与信費用も新型コロナ影響で
2000億円と増加。人件費抑制でも規制対応や先行投資で経費横ばい。経常益後退。
【支 援】新型コロナの資金繰り支援は、対応ファンドを総額1兆円規模まで拡大、資本性ローンの提供にも注力。リサーチ、コンサル
子会社を21年4月メドに再編。 邦銀の国際与信500兆円、3月末最高金利低下で外債投資。
2020/06/18 日本経済新聞 夕刊 3ページ 294文字 書誌情報
日銀が18日発表した国際決済銀行(BIS)の統計によると、3月末の邦銀の国際与信残高は4兆6906億ドル(約501兆円)
だった。2019年12月末から2四半期連続で過去最高を更新した。新型コロナウイルスの感染拡大による経済の停滞の影響で、
国債などの金利低下(価格の上昇)が続くとみた邦銀が外債投資を増やした。
国際与信統計は銀行の国内の本支店から海外への貸し出しのほか、国債や社債、株式など海外への証券投資も含む。邦銀
の海外支店から海外顧客への貸し出しも対象。
国別では米国向けの伸びが大きく、12月末と比べると2692億ドル増えた。米連邦準備理事会(FRB)は3月に大幅に利下げ
した。 存在感高める個人投資家。
2020/06/18 日本経済新聞 夕刊
下がりそうで下がらない。17日の米国株式市場でダウ工業株30種平均は前日比170ドル安で終えたが、終日方向感が定まらな
かった。下値を拾っているのは誰か。市場参加者はこの日も、強気に傾く個人投資家の影を感じ取っていた。
□ □
「問題点を指摘した場合、解決しない限り先に進めない」。米証券取引委員会(SEC)のクレイトン委員長は17日朝、米CNBCでこ
う述べた。話題は経営破綻後に新株発行を公表した米レンタカー大手ハーツ・グローバル・ホールディングスだ。指摘内容の詳細は不
明だが、同社はこの日午後に新株発行を中断すると発表した。
デイトレーダーはそこにも売買機会を見いだした。ハーツ株は午前の売買停止前に個人の買いで急騰。クレイトン氏の発言を受け、
増資による希薄化懸念が遠のいたと解釈したようだ。ハーツ株は無価値になる恐れがある。株主の取り分がない以上、株式数の多
寡は株価に影響しないはずだ。
だが、そんな理屈は通用しなくなっている。個人主導で異様な値動きをするのはハーツ株だけではない。
例えば中国の不動産仲介サイト、房多多(ファンドゥオドゥオ)。ナスダック上場の同社株は9日に突如急騰し、10日に急落した。個
人投資家がイナゴのように一気に買い集まり、あっという間に売り抜けた結果だ。房多多の英語表記「FANGDD」が、米フェイスブック
やアップルなど人気企業の頭文字を並べた「FAANG」に似ているのが乱高下の一因とされた。
個人の受け皿になっているのが新興ネット証券のロビンフッドだ。口座数は今年に入って約300万増え、1300万超になったという。
他のネット証券も口座数は急増。1人当たりは少額でも、集まれば相場の流れをつくる力がある。
個人が投じるお金の一部は政府の給付金だ。CNBCによると、円換算の年収が400万〜800万円程度で給付金を受けた家計の
場合、もっとも増えたのは貯蓄。2位が引き出したままの現金だ。株式投資は3位で他の支出を上回る。
□ □
3月以降の上昇相場では有名人も誕生した。「株は上がるもの」が信条のポートノイ氏だ。喜怒哀楽を織り交ぜて売買を実況するツ
イッターは約150万人のフォロワーを抱える。
個人の存在感が大きくなっているのは現物株だけではない。決済機関のデータによると、個人とみられる最小単位のオプション取引
が急増している。レバレッジをきかせた個人の売買が増えると、相場全体の変動を増幅する可能性がある。
ウォール街のプロは自分たちを打ち負かしかねない個人を冷ややかにみるが、例外はいる。超高速で売買を繰り返すHFT(ハイ・フ
リークエンシー・トレーディング)業者だ。ロビンフッドは個人の注文をHFT業者に回送している。ロビンフッドを通じた売買が増えるほど
HFTも潤う関係だ。一方、ロビンフッドはたびたびシステム障害を起こしており、巨大化する「ダークプール」の危うさを指摘する声もある。
前回、米国市場で個人の影響力が高まったのは2000年前後。IT(情報技術)バブルの崩壊で多くは退場した。今回の熱狂はどん
な結末を迎えるのか。失業保険給付金の積み増しは7月に終わる予定だ。 つまずいたETF貸付(日銀ウオッチ)
2020/06/19 日本経済新聞 朝刊
「これほど利用が少ないとは……」。日銀が保有する上場投資信託(ETF)を金融機関に貸し付ける制度を始めた12日夕、ある幹部
は落胆の色を隠せなかった。
新規貸付額の公表値は「ゼロ」。実際の利用額が5千万円未満だったため、億円単位で表示できず四捨五入された。2日目の15日
、利用額は正真正銘のゼロとなった。16日は2億円を記録したものの、日銀が32兆円ものETFを保有していることを考えれば極めて
低調な滑り出しといえる。
ETFの貸付制度は2019年4月に検討を始め、同年12月に導入を決めた。日銀が証券会社から申し込みを受け、入札を経て貸し出
す。日銀のETF購入によって市場に出回る商品が減り、証券会社が投資家からの大量の売買注文に機動的に対応できないなど流動
性が低下していることに配慮した措置だった。
「ETFの貸借市場の活性化を通じて金融機関がマーケットメーク(価格形成)機能をより発揮しうるようになる」。日銀の黒田東彦総裁
はこう意義を強調していた。事務方も原案では月1回だった入札頻度が市場関係者に不評だったため、毎日の実施に変更するなど工
夫を凝らしてきた。
「金融機関がまだ慎重なのだろう」。日銀内では制度開始の周知とともに利用も増えるとの見方がある。「すばやくETFを調達したい
機関投資家の需要はある」(資産運用会社)と利用を探る動きも出ている。
市場からは低調な利用について「想定通り」との声が上がる。
日銀は貸付制度を始めた12日にも1001億円のETFを購入した。20年は同日までの買い入れ額が計約4・4兆円に達し、すでに昨
年1年間の実績を超えた。
「日銀が大量購入を続ける限り、多少貸し出しに回したところで流動性の低下という副作用は緩和されない」(証券会社)。第一生命
経済研究所の熊野英生氏は「新制度はETFの大量購入を取り繕うための継ぎはぎだらけの政策」と話す。
黒田総裁は16日の金融政策決定会合後の記者会見で「ETF買い入れは当面積極的に行う」と述べた。市場の安定を重視する姿勢
だが、膨れ上がった保有ETFをどう処分し、中銀による市場介入の度合いを緩めていくかの道筋はみえない。 2020/06/18 18:00
三井住友FG(8316)
日系大手証券、レーティング強気継続。目標株価引き下げ、4,400円。
日系大手証券が6月18日、三井住友フィナンシャルグループ<8316>のレーティングを強気(買い)に据え置いた。
一方、目標株価は4,600円から4,400円に引き下げた。因みに前日(6月17日)時点のレーティングコンセンサスは
4.25(アナリスト数12人)で「やや強気」の水準、目標株価コンセンサスは4,248円(アナリスト数12人)となっている。
06/19 8316 東1 三井住友 みずほ 買い継続 4600→4400円 巣ごもり投資家、世界で急増 給付金も元手 相場動かす存在に
2020/06/20 23:00 日経速報ニュース 1719文字
世界で個人投資家が急増している。新型コロナウイルスの感染拡大で外出を自粛、自宅でスマートフォンを使って株式を売買する。
休業補償や給付金も元手となっており、投資家層の広がりにつながっている。短期的な値上がりを期待した投資など一部に投機色も
みられ、活発な売買で相場を動かす存在になりつつある。
米国で若者を中心に人気なのが、売買手数料が無料の新興インターネット証券、ロビンフッドだ。1〜3月に300万の新規口座が開
設され、3月以降に取引額が急増した。米ネット証券大手TDアメリトレード・ホールディングの5月の1日平均の売買高は327万枚と約
4倍に膨らむ。
日本でも口座開設が急増している。ネット証券大手5社の新規口座開設数は新型コロナ前の2019年12月は12万件だったが、3〜5
月は18万〜31万件になっている。
個人投資家が約8割を占める中国でも、外出できない個人が「暇つぶし感覚で」(中国の国都証券)株式売買に乗り出した。上海、深
?の両市場を合わせた売買代金は2月に20兆元(300兆円強)に迫り、3月も19兆元を上回った。中国株バブルが崩壊した直後の15年
秋以来の規模だ。
個人の投資熱の背景にあるのが、「巣ごもり」と「臨時収入」だ。
スマホで取引できるアプリも増え、外出制限などで時間を持て余した個人が自宅で投資している。米フロリダ州に住む29歳の女性は
「小遣い稼ぎの感覚」と話す。
経済下支えで各国が打ち出す政策も後押しする。米国のクレジットカード決済状況では、4月22日までの1週間で個人投資家の決済
額が前年同期比約3倍になった。アーネスト・リサーチはこのタイミングで政府から最大1200ドルの現金給付があったことで、売買が伸
びたと分析する。
日本でも1人10万円の特別定額給付金の支払いが始まり、マネーフォワードの調査では13%の人が「投資資金」を使い道に挙げた。
もともとは税金である給付金の一部が投資に回っている。
個人の増加は市場を活性化するが、現状は「元手の資金が少なく、リスクをとり早く利益を出そうとする」(LINE証券の米永吉和・共同
最高経営責任者)傾向もある。資産運用でなく、閉鎖しているカジノなどの代わりという面も透ける。
6月に特別買収目的会社と合併し上場した米ニコラ・モーター。ロビンフッド利用者の株式保有状況がわかる「ロビントラック」によると
、保有者は15万人を超える。手がける燃料電池トラックはまだ量産していないが、時価総額は約230億ドル(約2兆5000億円)と一時、
米フォード・モーターを上回った。
ロビントラックの上位にはアメリカン航空やクルーズ船のカーニバルといった業績不振企業も目立つ。経営破綻したハーツ株も保有者
が一時17万人を超え、破綻前の株価を上回る一因となった。
日本では日経平均株価に連動して2倍の値動きをする金融商品の人気が高い。SBI証券で8〜12日に買いが増えた銘柄にはこうい
った商品や、新薬開発中で業績がまだ伴っていないバイオベンチャーなどが上位だ。
中国でも好業績で値動きが軽い銘柄に集中する。白酒を手掛ける貴州茅台酒の株価は1400元を超えた。時価総額は1兆8千億元超
と中国工商銀行(約1兆4千億元)を上回り、中国本土株では首位に躍り出た。
相場全体への影響も無視できなくなっている。「新債券王」の異名を持つ投資家ジェフリー・ガンドラック氏は9日、オンライン説明会で
ロビントラックに注目しているとし「株高の一因は個人の買いだ」と話した。
米ゴールドマン・サックスは12日のリポートで「個人の活発な売買が、市場全体で銘柄入れ替えの動きを増幅させている」と指摘した。
6月は日米ともに株価指数が大きく下落した日があったが、「個人投資家などの短期筋が利益確定に動いた」(三菱UFJモルガン・スタ
ンレー証券の藤戸則弘氏)との声も出る。
足元では3月の急落時に投資を始め、株高で得た資金を他の銘柄に回す好循環が続いている。ただ投機色の強い取引が続くと、損失
に転じた個人マネーが逆回転を始め、相場のさらなる混乱につながる可能性もある。 不良債権処理費用、国内5大銀1.2兆円、今期。
2020/06/27 日本経済新聞 朝刊
新型コロナウイルスの感染拡大で日本の金融機関も費用が膨らむ。5大銀行グループは2021年3月期に約1・2兆円の不良
債権処理費用を見込む。感染の第2波が生じれば追加も避けられない。金融庁は特に制限を出していないものの、各グループは
株主還元の拡大には慎重だ。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)など5大グループが5月の決算発表時に見積もった不良債権処理費用の合計は前期比
9割増で、リーマン危機があった09年3月期の約2兆円に次ぐ水準だ。取引先の破綻などで融資が回収できなくなる事態に備え
、多額の引当金の計上を見込む。
見積もりはあくまで暫定的なものにすぎない。各グループとも上半期中の感染収束を前提に数字を組み立てている。第2波、第3
波が発生すれば費用が膨らむ懸念がある。「危機の広さ、深さ、期間の長さは極めて不透明で先を見通せない」(みずほFGの坂井
辰史社長)
国内の大手行は米銀と比べ、自己資本に一定の余裕がある。26日の株主総会で三井住友FGの太田純社長は「今の株価には
全く満足していない」と述べ、将来的な株主還元の強化に含みを持たせた。
ただ5グループとも期初時点で21年3月期の増配と自社株買いの発表を見送っている。
金融庁は現時点で配当制限などの措置には距離を置き、金融機関の自主的な判断に委ねている。今後は株主還元が企業の資
金繰り支援の足かせにならないか見極めていく方針だ。 キャッシュレス各社「紐付け」争奪、次の頼みはマイナンバー、ポイント還元きょう終了、浸透へ行政依存なお。
2020/06/30 日本経済新聞 朝刊
キャッシュレス推進を狙った政府のポイント還元制度が30日に終了する。総額7000億円以上の政府予算を投じた結果、電子マネー
やQRコード決済はある程度普及した。事業者の次なる頼みの綱は9月に始まる「マイナポイント」制度だ。使えるキャッシュレス事業者は
1人1つに限られ、早くも顧客争奪戦が始まっている。
「1人1事業者」
QR決済の利用頻度は、政府のポイント還元前から2・6倍に増加――。調査会社のインテージ(東京・千代田)が消費者4千人の決済
手段ごとの利用回数を調べたところ、6月のQR決済のシェアは9・7%と2019年7〜8月から大きく伸びた。電子マネーは4割増、クレジ
ットカードも1割増だった。
経済産業省によると、還元事業には約115万店が参加し、3割が還元事業を機に初めてキャッシュレス決済を導入した。最大5%分の
還元に、人との接触を避ける新型コロナウイルス対策も加わってキャッシュレスは普及した。
だが依然として現金決済は多い。19年の国内のキャッシュレス比率は27%。過去最高を更新したが、上昇幅は3ポイントと前年とほぼ
同じだ。19年10〜12月のポイント還元効果が出たとは言いにくい。
カギを握るのは、9月に始まる国の還元制度「マイナポイント」だ。マイナンバーカードと紐(ひも)づけたキャッシュレス決済を利用すると、
25%分が5千円を上限に還元される。予算額は2458億円。複数の決済手段が使えた6月までのポイント還元と異なり、利用できる決
済手段は1人1つに限られる。7月の申し込み開始に合わせ、各社が登録者の確保に動く。
追加還元を準備
スマホ決済「auペイ」を運営するKDDIは29日、マイナポイントの登録者に追加で1000円分のポイントを付与すると発表した。イオンは
電子マネー「WAON」で最大2千円、メルカリ子会社のメルペイも1000円分のポイント付与を打ち出す。
マイナポイントとは別に地方自治体では独自の動きもある。ソフトバンクグループなどが出資するPayPay(ペイペイ)と浜松市は7月、市
内の飲食店など4000店以上で支払額の30%をポイント還元する取り組みを始める。還元額は計5億円で超過分も含めて負担は全て
市の予算だ。
同様の対策を検討する自治体は多く、コロナ対策で国が交付する補助金も活用できる。
決済事業者が行政予算に頼るのは、各社の事業が赤字続きのためだ。先行投資として大規模な消費者還元などを続けた結果、ペイ
ペイは20年3月期の営業損益が822億円の赤字だった。LINE傘下のLINEペイも19年12月期は191億円の営業赤字だ。
赤字でも事業を続けるのは、スマホ決済が多様なサービスに使う「スーパーアプリ」の基盤になるためだ。だからといって「いつまでも赤
字を続けるわけにはいかない」(LINEペイの池田憲彦事業開発室長)。ここにきて、もう一つ追い風が吹き始めた。
「決済インフラの料金が硬直的なことはキャッシュレス普及の課題だ」。公正取引委員会は4月、NTTデータの決済インフラ「CAFIS(キ
ャフィス)」について指摘した。QR決済の入金やカード決済ではCAFISを使うが、1回の決済額が少ないほど負担割合が増す利用料金
の仕組みだったからだ。
同社は6月10日、10年以上固定していた料金を下げると発表。さらに、銀行間の送金を担う「全国銀行データ通信システム」も、銀行
が40年以上高止まりしていた手数料の引き下げを検討する。
あるQR決済事業者は6月、取引銀行から入金や振込手数料の引き下げを打診されたという。「銀行に支払う手数料が下がれば、収益
改善や店舗側の負担引き下げにもつながる」と期待する。
官の支援にも限界はある。インフラコストの引き下げも進む中、使い勝手を高めるなど、今後はサービスの担い手としての知恵が問われ
る。 三井住友、カード決済の売り上げ入金を最大月6回に。
2020/07/01 日本経済新聞 朝刊 9ページ 635文字 PDF有 書誌情報
カード大手の三井住友カードは7月から、クレジットカード決済による売り上げの加盟店への入金を月2回から最大6回に増やす。
小売店などに最短5営業日後に売り上げを届けるようにし、カード決済の普及を促す。これまでは長くて1カ月以上かかるケースも
あり、中小店がキャッシュレス決済に尻込みする一因となっていた。
三井住友カードは3年間で5万店舗への導入を目指す。7月から加盟店の要望に応じ、毎月「5日・10日・15日・20日・25日・月
末」の最大6回売上金を集計し、5営業日後に入金できるようにする。三井住友銀行の口座を利用する場合は手数料は無料で、同
行以外の場合は1回440円徴収する。これまで、売上高の振り込みは月2回だった。
カード会社が店舗に高頻度で売上金を振り込むのは難しいとされてきた。カード所有者の決済が口座から引き落とされるのが月に
1回のため、企業が受け取った現金に見合わない支出を迫られるためだ。
三井住友カードは手元資金を手厚くして対応に踏み切り、中小店舗にクレジットカード決済の活用を促す。新型コロナウイルス禍で
資金繰りに悩む店舗が増えており、決済から売り上げの入金までの期間が短いスマートフォン決済に対抗する狙いもある。
キャッシュレスをめぐっては、決済時に購入額の最大で5%を実質割り引くポイント還元制度が6月末に終了。キャッシュレス決済の
普及が鈍化する可能性が懸念されている。三井住友カードは7月以降も、一部カード会社が撤廃する手数料の上限を据え置く。 割安高配当株、相場下支え、感染再拡大で安定志向、IT主導の潮目変化?
2020/07/15 日本経済新聞 朝刊
配当利回りの高さに着目した投資家の買いが相場を下支えしている。14日の東京株式市場では日経平均株価が反落するなか、
指標面で割安な不動産や商社などの高配当銘柄の逆行高が目立った。決算を控えて、相場をけん引してきたIT(情報技術)株に高
値警戒感が広がり、新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う景気の先行き不透明感から安定志向が強まった。
14日の東京市場で日経平均は前日比197円(1%)安となった。前日の米株式市場でハイテク株が売られた流れを受け、日本で
も半導体関連株や電気機器株などが崩れた。半面、高配当利回り銘柄で構成する「東証配当フォーカス100指数」は横ばい圏にと
どまった。
例えば、配当利回りが7%台(QUICKコンセンサス)のキヤノンが2%高となったほか、会社計画で配当利回りが5%台の住友商
事や4%台の野村不動産ホールディングスが逆行高を演じた。東証の業種別株価指数でみても、この日、最も上昇率が高かったの
は配当利回りが高い「不動産」だった。
背景にあるのは決算をきっかけに、IT株がけん引してきた相場の潮目が変わるとの見方だ。4月以降、「アフターコロナ」における
有望な業種として、IT関連などのハイテク株に資金が集中していた。
だが、これから本格化する3月期企業の2020年4〜6月期決算で、あまり想定していなかった業績の変調や今後の成長への負
の影響が明らかになれば、期待が先行しただけに「ハイテク株への失望売りが膨らみ、バリュー株物色に移る可能性がある」(国内
証券)。なかでも、より配当などの面で安定性があると評価された高配当株が買われる構図といえる。
米国ではカリフォルニア州で再び経済活動抑制の動きが出るなど、世界経済の先行き不透明感もくすぶる。UBSウェルス・マネジ
メントの居林通ジャパン・エクイティ・リサーチヘッドは「ここからはIT関連株の上値を追うよりも、高配当な割安株に投資妙味がある」
と話す。
さらに、これまで出遅れていた高配当銘柄の買い戻しに着目する機関投資家もいる。ある外資系運用会社の担当者は「ショートポ
ジション(売り持ち高)がたまっている銘柄を先回り買いするため、バランスシートを分析して仕込んでいる」と明かす。
海外ではコロナ禍で公的支援を受けた企業に株主還元を慎重にするよう求める動きもあるが、手元流動性が高い日本企業にはそ
うした圧力はない。安定配当への安心感は支えだ。ピクテ投信投資顧問の西村光彦氏は「決算で高配当の持続性が確認され、海
外投資家が買い戻してくる可能性が高い高配当銘柄は注目だ」とみる。
もっとも、市場では「相場の不透明感が強まるなかで投資家の資金の逃げ場になっているだけで、決算が一巡すれば高配当株の
物色が終わり、再びグロース(成長株)相場に戻るのではないか」(国内証券のトレーダー)との声もあった。 問 金融機関の株主還元に関する認識は。
答 欧米の金融機関は日本の金融機関に比べると配当性向が高い。日本の金融機関は資本や流動性を手厚く持っており、
今回のような事態に対して欧米の企業や金融機関よりスムーズに対応できている。今の時点で、日本の金融機関に配当や
株主還元策をやめなさいという必要があるとは考えていない。 割安株人気、圏外の銀行―日米低金利、膨らむ引当金(スクランブル)
2020/07/16 日本経済新聞 朝刊
株式市場で新型コロナウイルスのワクチンが製造されて景気復調につながるとの期待が強まり、世界的に景気敏感株が買い戻され
ている。日経平均株価は15日に6月10日以来、約1カ月ぶりの高値をつけて2万3千円に迫った。ただ景気敏感株のなかでも金融株
は「蚊帳の外」にあり、なかでも日米主要銀行の株価は低位に沈んだままだ。
「景気敏感株は久しぶりの勢いだ。ヘッジ(保険つなぎ)の意味も込め少し保有してみた」(日本株ヘッジファンドの運用者)。15日の
日本株市場でファナックが1月の年初来高値を更新し、自動車株も上昇。売り方の買い戻しも巻き込んだ日産自動車は一時前日比9%
高に達した。
前日の米国株市場でエネルギーや機械、自動車といった業種が買われた相似形となった。米バイオ製薬モデルナのワクチン開発が
順調とも伝わり、景気の先行きに前向きな見方が出た。
□ □
これらの景気敏感株は、株価指標で割安と位置付けられるバリュー株とも呼ばれる。業績の成長期待は高いが割高なグロース(成長
)株と対比される。
もっとも割安株の代表、銀行は出遅れている。日本の3メガバンクは年初来で2〜3割安で日経平均(3%安)より不調が鮮明だ。業
種別日経平均でも銀行は全体より振るわない。5月に割安株が買われた局面と違い今回は遅れが目立つ。
コロナ影響を緩める政策は世界的に株価を支えているが、銀行の収益源である金利を低位に押しやった。
加えて14日発表の米大手銀の2020年4〜6月期決算ではJPモルガン・チェース、シティグループ、ウェルズ・ファーゴの貸倒引当
金が計280億ドル(約3兆円)に拡大。リーマン・ショック時以来の規模だ。
JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は「政策効果で表れていないだけで景気後退の影響は今後目にすること
になる」と慎重だ。
□ □
三井住友DSアセットマネジメントでバリュー運用のチームを率いる山本誠司氏は銀行株に対し「中立」だ。「(大きいほど収益につな
がる)米長短金利差が平たん。与信費用も増えそうで銀行株は持ちづらい」と話す。ヴィレッジ・キャピタルの高松一郎氏も「金利上昇機
運がなく買う理由が見当たらない」という。
バンク・オブ・アメリカの世界の機関投資家調査によると、7月分(2〜9日実施)で投資家の現金保有比率が前月に比べやや上昇した。
過去最高の比率だった4月から6月までは大幅低下しており、現金を株などの投資資産に急激に振り向けてきた。その動きが一服しつ
つあると読める。
そんな中での景気敏感株の物色は持続性が疑われ、業種として悪材料がある銀行はそもそも買いにくい。
10年物国債利回りから期待インフレ率を差し引いた米実質金利はマイナス圏にある。現金で保有すると実質的な価値が目減りする
ため、いずれはコロナショック後の株価復調をけん引してきた成長株に再び資金が向かうとの見方が根強い。
ニューヨークのある米個人投資家は14日に成長株の米ハイテク株が急落したのを見て買った。「他に選択肢はない」と足元で沸く景
気敏感株はいざ知らず、銀行株には目もくれない様子だった。 三井住友FGの4〜6月期、純利益60%減 新型コロナで与信費用増
2020/07/29 17:17 日経速報ニュース
三井住友フィナンシャルグループ(8316)が29日発表した2020年4〜6月期の連結決算は、純利益が前年同期比60%減の
860億円だった。新型コロナウイルスの感染拡大による企業の業況悪化を受けて貸倒引当金を積み増すなど与信関連費用が
増え、利益を圧迫した。前年同期と比べ持ち合い株の売却が減ったことなども響いた。
一方、新型コロナ対応の資金繰り支援融資の拡大を背景に企業向け融資が伸びたほか、米金利の低下(債券価格は上昇)
で債券の売却益が増えたことなどが下支えした。
本業のもうけを示す実質業務純益(三井住友銀行単体)は9%増の1675億円だった。21年3月期の連結業績予想は純利益
が前期比43%減の4000億円で、従来予想を据え置いた。 三井住友FG、20年4―6月期純利益は60.1%減の861億円
[東京 29日 ロイター] - 三井住友フィナンシャルグループ(8316.T)が29日発表した2020年4―6月期連結純利益は、前年
同期比60.1%減の861億円だった。年度目標4000億円に対する進捗率は22%。新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴
い、クレジットカードの買物手数料やホールセールの非金利収入などが減少した。
連結粗利益は、前年同期とほぼ横ばいとなる6779億円だった。本業のもうけを示す連結業務純益は2.9%減の2614億円。
新型コロナ感染拡大の影響を受け、取引先企業の業績悪化に備えた与信関係費用が前年より772億円増えて1148億円と
なった。 [東京 29日 ロイター] - 三井住友フィナンシャルグループ(8316.T)が29日発表した2020年4―6月期連結純利益は、前年
同期比60.1%減の861億円だった。年度目標4000億円に対する進捗率は22%。新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴
う与信関係費用の増加が響いた。
連結粗利益は、前年同期比41億円減の6779億円。新型コロナの影響でクレジットカードの買物手数料やホールセールの非金
利収入などが減少したが、海外金利の低下局面をとらえた債券売却益の増加などによりほぼ横ばいの水準を維持した。本業の
もうけを示す連結業務純益は2.9%減の2614億円だった。
取引先企業の業績悪化に備えた与信関係費用が前年より772億円増加し1148億円となった。年度予想は4500億円。銀行の
資金利益は、3.5%増の2097億円だった。 第1・四半期は「想定内の範囲」(広報担当者)で推移したため、通期業績予想は変
更しなかった。 三井住友の最終利益60%減 コロナで貸し倒れ費用増加
2020.7.29 22:52
三井住友フィナンシャルグループが29日発表した令和2年4〜6月期連結決算は、最終利益が前年同期比60・1%減の
860億円となった。新型コロナウイルスの感染拡大により融資先企業の経営が悪化しており、貸し倒れに備えた与信費用
が膨らみ、利益を押し下げた。
与信費用は1148億円で3倍に増加した。年間では4500億円を見込んでいる。ただ新型コロナの収益への影響は「想定
の範囲内だ」としており、年間の最終利益予想は43・2%減の4千億円を維持した。 三井住友銀とSBI証券が協業へ 口座間の自動移動を検討
2020/07/30 05:30 日経速報ニュース 341文字
三井住友銀行とSBI証券は双方の口座にある資金を自動的に移動できるようにする方向で検討に入る。4月に合意した包括提携の
一環で、銀行口座の残高を証券側に自動に振り替えられるようにし、投資家の利便性を高める。
包括提携はSBI証券傘下でスマートフォン専業のSBIネオモバイル証券に三井住友銀行が20%出資し、デジタル金融分野で協業す
ることが柱。協業をSBI証券にも広げる。資金移動を簡単にするほか、8月にもSBI証券が三井住友銀行の相続サービスを顧客に紹介
し、銀行口座開設を促す方針。
ネオモバイル証券は同社の品ぞろえに三井住友の外貨預金やカードローンを加えるほか、両社で新たに小口ローンを開発する。双方
の顧客向けアプリから口座残高を確認できるようにし、サービスの一体化を加速させる。 2020年07月30日14時15分
SBIは反発、三井住友FGとスマホ向け金融サービスで連携強化
SBIホールディングス<8473>は3日ぶりに反発している。きょう昼ごろ、4月に締結した三井住友フィナンシャルグループ<8316>と
の戦略的資本・業務提携に関し、スマートフォン向け金融サービスの提供などについて連携を強化していくと発表しており、これが
好感され上げ足を強めた。同社グループのSBIネオモバイル証券と三井住友FG傘下の三井住友銀行との間で、金融商品・サービ
スの相互紹介や借入サービスの提供、両社のスマホアプリ内での口座連携などを行う。また、同じくSBIグループのSBI証券との間
では、同社の顧客が三井住友銀行の店頭で相続相談が行える体制などを整備していくという。
同時に、21年3月期第1四半期(4〜6月)の連結決算を発表しており、売上高1111億100万円(前年同期比20.6%増)、純
利益162億8400万円(同39.4%増)となった。 みずほFGの4〜6月期、純利益25%減 コロナで与信費用が増加
2020/07/31 15:56 日経速報ニュース 243文字
みずほフィナンシャルグループ(8411)が31日発表した2020年4〜6月期の連結決算は、純利益が前年同期比25%減の
1223億円だった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う与信関係費用の増加が響いた。本業のもうけを示す実質業務純益
(みずほ銀行とみずほ信託銀行の2行合算ベース)は3%増の1691億円だった。
21年3月期通期の連結業績は従来予想を据え置いた。純利益は前期比29%減の3200億円を見込む。年間配当も1株あ
たり7円50銭で据え置いた。 [東京 31日 ロイター] - みずほフィナンシャルグループ(8411.T)が31日発表した2020年4―6月期の連結純利益は
前年同期比24.6%減の1224億円だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う与信関係費用の増加が押し下げた。
グループの連結粗利益は9.2%増の5695億円、連結業務純益は23.1%増の2317億円だった。
取引先企業の倒産や業績悪化に備えた与信関係費用は、前年同期と比べ373億円増加の390億円を計上した。 大手銀、政策株削減足踏み―5大銀、純利益48%減、4〜6月、与信費用は32倍に。
2020/08/05 日本経済新聞 朝刊
三菱UFJフィナンシャル・グループなど5大銀行グループの2020年4〜6月期決算が4日、出そろった。純利益は合計で4422億
円と、前年同期比で48%減った。新型コロナウイルスの感染拡大により融資先の業績が悪化。倒産などに備える与信関係費用は
合計で32倍に膨れた。
与信費用には貸し倒れに備えて積む引当金や、不良債権を処理する費用を含む。対面営業の自粛により、投資信託や保険など個
人向けの金融商品の販売も落ち込んだ。
4日に発表した三菱UFJの純利益は53%減の1834億円。前年同期の与信費用では過去に積んだ貸倒引当金の戻り益を計上し
たが、今期は1450億円の費用超過になった。外国債券の売却益やインドネシアの銀行の新規連結で費用増を補えなかった。
足元の与信費用は「想定内にとどまっている」というのが各行で共通認識だが、新型コロナの感染者数の増加傾向が続くなかでは
融資先の業績の先行きは見通しづらい。
政府や日銀の資金繰り支援策を受け、邦銀の貸し出しは急増した。5行合計の6月末の貸出金残高は3月末を14兆円上回った。
融資が拡大した分、新型コロナの影響が長引けば銀行の業績にも下押し圧力がかかりやすい。将来のリスクを先取りして融資の管
理を高度化する必要性は高まっている。 決算後は「K型」相場に―成長力の有無で評価二分(スクランブル)
2020/08/06 日本経済新聞 朝刊
4〜6月期の決算発表を通過すれば日本株は「K型」相場に――。最近よく聞かれるシナリオだ。コロナ株安とその後の戻り相場を
経て、今後は業績の優劣によって上がる株、下がる株がはっきり分かれるという。世界経済のV字回復見通しは遠のき、株が全般に
買われる局面は当分期待できないかもしれない。
「米国の投資会社が、日本株投資部門の一部を身売りしようと相手を探している」。ファンド業界でささやかれる話だ。手放すのは、
業績が悪くても株価指標面からみれば「売られすぎ」であるバリュー株(割安株)を専門に投資するチームだとされる。
5日の東京株式市場で日経平均株価は小幅に反落した。前日4日には、日経平均が378円高と2日続伸。業績悪化に苦しむ自動
車や鉄道といった割安株が軒並み大幅上昇し、市場で話題になっていた。
□ □
だがこの日は戻り売りが優勢となり、例えばマツダやJR東海は前日比2%安となった。決算発表を終えて「業績悪化が株価に織り
込まれれば、後は割安株が本格的に見直される」と期待していた投資家は肩すかしにあった。
その一方で、指標面からは株価が高いものの業績拡大への期待が強いという銘柄は総じて快調だ。代表銘柄の一つ、エムスリー
は連日、上場来高値を更新。時価総額は4兆円弱とJTや三井住友FGに迫る。
コロナ危機下の二極化相場は「K」の字形を連想させる。はじめに株価が一直線で下降した後に反発。その途中からは、右肩上が
りの銘柄と、右肩下がりの銘柄とに分岐する。智剣・Oskarグループの大川智宏氏は「コロナ後の新しい競争環境に企業が対応でき
るかどうかで市場の評価が二分された」とみる。
同氏が主要約1300社について市場予想平均(1年先の1株利益)の上位2割の銘柄と下位2割の銘柄を取り出し、利益成長率を
算出したところ、両グループ間の格差が前年より60%強と、かつてない水準に広がっている。さらに、PER(株価収益率)が高い銘
柄を売って低い銘柄を買った場合の収益性を調べると効果は薄れている。
□ □
同様の傾向は米国でも起きている。アマゾン・ドット・コムなど利益成長率が高いハイテク株にマネーが集中してナスダック総合株
価指数は年初来2割上昇。旧来型産業を含むダウ工業株30種平均は水面下だ。
背景にあるのが人々の行動変容。人と物の移動が物理的に滞り、その影響度合いは業種や企業によって大きく異なる。一般的
な景気悪化局面であれば幅広い業種で業績が悪化する。リーマン・ショック後の世界的な景気後退局面でも企業の株価は全般に
下がった。
世界景気が低迷するなかで自律成長を遂げられる企業に投資家は注目する。各国中央銀行による資金供給や、実質金利の低下
が、成長株の相対的な割高感を和らげている面もある。
「成長株を押し目買いする」。運用者がいま本命視しつつある運用戦略だ。反対にバリュー株投資は瀬戸際にある。今後は運用
スタイルによって成績が二極化する可能性が高い。 7月の銀行貸出金、伸び率過去最高、3カ月連続。
2020/08/08 日本経済新聞 朝刊
全国銀行協会は7日、7月末の全国の銀行の貸出金残高が535兆2170億円と、前年同月比6・9%増えたと発表した。
伸び率は比較可能な1999年10月以降で最高になった。5月の6・4%増、6月の6・8%増に続き、3カ月連続で過去最高
を更新した。
6月末の残高に比べると0・04%減だった。当面の資金繰りを手当てした企業は増え「足元の融資の要請は一服している」
(大手行幹部)との声がある。 三井住友FG系とセールスフォース、中小支援で提携。
2020/08/11 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)傘下で企業のデジタル化を支援するプラリタウン(東京・千代田)は、米セールスフォース
・ドットコムの日本法人と提携する。三井住友FGの取引先の中小企業にセールスフォースが手掛ける営業支援ツールを導入し、
生産性の向上につなげる。
プラリタウンは三井住友FGが5月に設立した。業務効率化につながるサービスを自社のサイトに集約して提供している。三井住
友FGの10万を超える取引先に、年内にもセールスフォースのサービスを販売できるようにする。セールスフォースが持つマーケテ
ィングの知見も共有する。 三井住友FG、子会社とセールスフォースの提携発表
2020/08/11 11:41 日経速報ニュース 292文字
三井住友フィナンシャルグループ(8316)は11日、傘下で法人向けのプラットフォーム事業を扱うプラリタウン(東京・千代田)が
米セールフォース・ドットコムの日本法人と業務提携すると発表した。三井住友FGの取引先の中堅・中小企業のデジタル化を支
援し、企業競争力の強化につなげる。
プラリタウンは三井住友FGが5月に設立し、8月11日に法人向けの新たなプラットフォームサービスの提供を始める。業務の効
率化につながるデジタルサービスを手掛ける複数の企業と協業し、これらのサービスをプラリタウンが提供するアプリやウェブサイ
トに集約して顧客に提供するという。 高配当株に資金流入、4〜6月決算で方針確認、建設など出遅れ解消進む。
2020/08/12 日本経済新聞 朝刊
東京株式市場で配当利回りの高い銘柄に資金が流入している。4〜6月期決算で配当維持や増配の方針が確認され、買い安心感
が強まった。高値圏にある米ハイテク株など成長銘柄をいったん利益確定し、出遅れていた割安株の中から配当利回りを目安に選別
投資している。足元で米長期金利が下げ止まっており、債券から高配当株への資金シフトもあるようだ。
11日の日経平均株価は前週末比420円(2%)高と約3週間ぶりの高値を付けた。8月相場に入って日本株の上昇をけん引している
のは配当利回りでみて割安感のある銘柄群だ。日経平均高配当株50指数はこの日、4%上昇した。「海外短期筋や個人投資家の買
いが中心」(国内証券トレーダー)という。
東証業種別指数でみても値上がり率トップは配当利回りが高い「不動産」で、前営業日に比べて7%上げた。「建設」も4%上昇。この
ほか、地銀や化学といった出遅れ業種でも、高配当銘柄が大きく値上がりした。岡三証券の松本史雄チーフストラテジストは投資家の
物色の方向性について「世界経済回復への期待が高まり、出遅れ株の中から業績底入れが期待できる高配当銘柄などに選別投資し
ている」と指摘する。
不動産や建設はコロナ下のテレワークの広がりでオフィス需要が減少するとの懸念から不透明感が台頭している。景気敏感の銀行
や化学も相場全体に比べて売られていたが、7月末以降はむしろ日経平均(5%高)を上回って推移している。
ここにきて出遅れの解消が進んだきっかけは4〜6月期決算だ。通期の配当見通しを据え置いたり、配当予想を未定から前期並みに
したりした銘柄に買い安心感が出てきた。
日経高配当株50は7月末比で8%上げている。構成銘柄のひとつである宇部興産は、7月31日に21年3月期の年間配当予想を維
持したうえで中間配と期末配に分けて開示したところ、株価はその後8%上昇した。
予想配当利回りが5%超の長谷工コーポレーションは7月末比7%高、3%台の東急不動産ホールディングスも同16%高となっている。
地銀の山口フィナンシャルグループが前週末に発表した4〜6月期の連結純利益は46%減益だったが、今期の増配予想を維持したと
ころ、株価は11日に11%上昇した。
ゴールドマン・サックス証券の建部和礼ストラテジストは、このところの高配当株への買いについて「新型コロナの影響で財務基盤が
傷つくなかでも、株主還元を続ける姿勢が投資家に評価されている」とみる。
こうした傾向がどれだけ続くか市場の見方は分かれる。野村証券の高田将成氏は「米国の長期金利に下げ止まり基調が見られること
でバリュー株の物色が一定程度続く」とみる。足元では超低金利の債券から高利回り株への資金移動もあるようだ。一方、「成長株優
位の流れは変わっていない」(国内証券トレーダー)との声も根強い。 三井住友FG社長太田純氏―フィンテックと融合必要(日本DXの課題経済界に聞く)終
2020/08/13 日本経済新聞 朝刊
金融業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるため、銀行の業務規制のさらなる緩和を要望したい。2017年の銀行法
改正により、金融とIT(情報技術)を融合したフィンテックなどを手掛ける「銀行業高度化等会社」に議決権の保有制限を超える出資が
可能となった。ただ、認可制なので迅速な審査によるビジネスの支援をお願いしたい。
金融機関がグループとしてデジタル業務を推進すると、他産業との関わりも増える。しかし銀行の子会社はグループ外からの収入が
大きくなってはならないという「収入依存度規制」がある。フィンテックを通じたサービスを外部に提供したいとき、壁になり得る。
金融業界など民間のDX技術を生かせば、行政を効率化することもできる。政府は景気対策として特別定額給付金を支給しているが
、地方公共団体は口座確認だけで膨大な手作業に追われた。マイナンバーカードと生体認証で円滑に本人確認し、個人口座も結びつ
けるべきだ。当社の子会社の技術を使えば、金融取引のためにオンラインで本人確認を完結できる。
新型コロナウイルス対応で銀行のデジタル化は格段に向上した。ネットバンキングなどの利用件数は4月に前年同月比36%増とな
った。ビジネスをウェブ上でマッチングする事業は参加企業が約4千社に拡大。印鑑の不要な電子契約の事業は、4月の件数が前月
比10倍となった。
銀行員は「人間ならでは」の能力を伸ばしていく必要がある。いまや人工知能(AI)が業況を予測できる半面、ベンチャーの成長性を
判断するのは難しい。過去のデータと照合するだけではない、与信管理の改善も求められている。 バリュー株、逆襲の芽―金利と業績、持続性を左右(スクランブル)
2020/08/13 日本経済新聞 朝刊
8月に入り、株式市場では投資家の物色動向に大きな変化が起きている。一極集中で買われてきたグロース(成長)株が大きく売ら
れる一方、これまで見向きもされなかったバリュー(割安)株が突如買われ始めたのだ。ついに、長期にわたってグロース株に劣後して
きたバリュー株の逆襲が始まったのか。市場はその行方を固唾をのんで見守っている。
グロース株は高い利益成長を続ける銘柄だ。PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などでみたバリュエーション(株価評価)
が割高でも許容される。業種ではハイテクや医薬にグロース株が多い。
□ □
一方、バリュー株は、本源的な企業価値に比べて株価が割安に放置されている銘柄を指す。PERやPBRは低く、業種では素材や自
動車、商社、銀行がバリュー株のその代表格だ。
日本では2017年半ば以降、グロース株がバリュー株のパフォーマンスを上回る「グロース優位」の展開が一貫して続いている。
「バリューは死んだ」。そんな言葉も機関投資家たちの口にのぼるほどだったが、今月に入り、物色の傾向が変わった。グロース株が
売られ、バリュー株が買われるようになったのだ。
なぜ突然、物色動向が変わったのか。「米長期金利のリバウンドが、最大の理由だ」。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真チ
ーフ・ポートフォリオストラテジストはいう。
金利と、グロース株のバリュエーションには反比例の関係がある。金利が下がれば、グロース株の将来の利益を現在価値に割り引く
際の割引率が下がり、グロース株の高いバリュエーションが許容されるからだ。
だが、米10年債利回りが4日の0・507%を底に11日には0・668%まで上昇。投資家は米大手IT(情報技術)をはじめとする世界
のグロース株を売り、利益確定に動き始めた。
一方、バリュー株が対照的に買われて株価が反転した背景には、企業業績の下げ止まりへの期待がある。
「4〜6月期が業績のボトムになるというコンセンサスが形成された。業績の底入れ局面ではバリュー株が真っ先に買い戻されやすい
」。JPモルガン証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストはいう。
問題は、バリュー株の反発のマグニチュードと持続期間だ。多くの投資家はグロース優位の相場で保有銘柄が一握りの成長株に偏っ
ている。16年後半におきたような半年以上にわたるバリュー相場が来れば、機関投資家のパフォーマンスは大きく出遅れてしまう。
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金利と企業業績が、本格的なバリュー相場が来るかどうかのカギを握る。
「米財政赤字の拡大で米国債の需給が悪化し、米長期金利は上昇していく可能性が高い」。SMBC日興証券の圷正嗣チーフ株式ス
トラテジストは指摘する。
過去数年、バリュー株の反発は1〜2週間で一巡してきた。今回のバリュー株の反発もごく短期間にとどまる可能性がある。
だが、市場の専門家たちは米長期金利の下げ止まりを見てこう口をそろえる。「今回が短期に終わったとしても、その後、本格的なバ
リュー株のリバウンドが来るのは間違いない。問題はいつ来るのかだ」(三菱モルガンの古川氏)と。人気のグロース株にポジションを
集中させるのは、リスクが大きくなっている。 株高、コロナ後の期待先行、日経平均・NY株、半年ぶり高値、業績と乖離広がる。
2020/08/14 日本経済新聞 朝刊
世界で株式市場に資金が流入している。13日の日経平均株価は2月以来の水準となり、12日の米ダウ工業株30種平均とともに
半年ぶりの高値となった。新型コロナウイルス下でも成長が期待できるIT関連が株高をけん引する。ワクチン開発への期待も高まり、
株価は景気回復を織り込みつつあるが、悪化している企業業績との乖離(かいり)は広がっている。
13日の東京市場で日経平均は前日比405円(1・8%)高の2万3249円となった。今週に入っての上げ幅は900円(4%)を超えた
。世界全体の株価の動きを示すMSCI全世界株指数は12日に2019年末比で上昇に転じた。
新型コロナへのワクチン開発の進展と、それに伴う経済活動の本格的な再開への期待感が市場の強気を後押ししている。トランプ米
大統領は11日、バイオ製薬のモデルナから1億本のワクチン購入契約を交わしたと発表。ロシアではプーチン大統領が自国開発した
ワクチンを承認した。
世界経済が正常化し、景気回復につながるとの見方から、景気の影響を受けやすい銘柄にマネーが向かっている。
トヨタ自動車は13日、14年9月以来となる8営業日連続の上昇となった。低迷していた銀行株も今週は買われ、13日は東京エレク
トロン(3%高)やファナック(2%高)など、機械や半導体といった業種の上昇が目立った。「株式市場はウィズコロナの次の『脱コロナ』
を見据えている」(岡三証券の松本史雄氏)
新型コロナによる市場混乱からの回復を主導したのは、ハイテク株だ。MSCI全世界株業種別指数の年初からの騰落率をみると、
新型コロナ後でも成長が見込める情報技術が21・8%高と突出している。金融(19%安)、エネルギー(31%安)などは下落したま
まだ。
米アップルや米アマゾン・ドット・コムといった米国の巨大ITの株価は大きく上昇。ハイテク株の比率が高い米ナスダック総合株価指
数は今月、史上最高値を付けた。各国・地域の代表的な株価指数をみると、半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)がある台湾
株の上昇が目立つ。台湾や中国以外の国は依然として小安く、けん引役となるIT銘柄が少ない日本は前年末比2%安の水準だ。
株式市場には行き場を失ったマネーが流れ込んでいる。
各国の中央銀行はコロナ禍に対応して相次いで量的金融緩和を通じて市場にマネーを供給している。「資金の新規流入と循環物色
が生じている」(ジョーンズトレーディングのマイケル・オルーク氏)と、緩和マネーが銀行など景気敏感株と、ハイテク株の間を循環しな
がら、指数をじりじりと切り上げている。
金融緩和で金利が「蒸発」したことも株高につながっている。債券などの金利商品では利益を得にくくなり、一定のリスクがあって割
高にも見える株式に向かっている。
日本企業の上場企業の21年3月期の純利益は前期比で4割近く減る見通し。米国企業の20年度も約2割の減益だ。QUICK・フ
ァクトセットによると、株価が1株あたり利益の何倍にあたるかを示すPER(株価収益率)は、1年先の利益水準に基づくと日経平均で
26倍、ダウ平均は25倍とリーマン・ショック後の09年以来の高水準にある。一見すると過熱のサインだ。
ところが2年先の利益でみると日経平均とダウ平均とも19倍と17〜18年並みにとどまる。株式市場はコロナ禍で経済活動が停
滞している今期よりも、経済活動が再開した来期の利益を織り込んでいる。金利商品の代わりに資金を投じるなら、多少割高で今後
の利回りが小さくてもいいという判断もある。
低金利と株高が両立する「ゴルディロックス(適温)相場に入ってきた」(SMBC日興証券の圷正嗣氏)との見方もあるが、株高は金
融緩和や財政政策に支えられ、実体経済の回復はまだ遠い。ワクチンも期待先行の面が大きい。ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏
は「ワクチンができた後に経済が正常化するところまで株価が織り込んでおり、さらに上値を追う材料には乏しい」と指摘している。 コロナで特損7000億円超、店の休業や工場停止で倍増、4〜6月、助成金処理、企業で差。
2020/08/26 日本経済新聞 朝刊
新型コロナウイルスの流行を受けて2020年4〜6月期決算では、これまでにない決算処理が相次いだ。店舗の休業や工場の
稼働率低下に伴うコストを特別損失に計上する企業が目立ち、上場企業2088社(金融除く)の特損は合計7000億円強と、過
去5年で最も多い。政府の助成金の計上方法も企業によって差があり、注意が必要だ。
特損は、17日までに決算を開示した3月期決算企業のうち継続比較できる企業を日本経済新聞が集計、合計7181億円と前
年の2倍強になった。会計に日本基準を採用している企業が、通常であれば売上原価や一般管理費に計上する費用の一部を特
損に組み入れた。
例えば日産自動車は工場などの「操業停止等に伴う損失」として固定費など393億円を特損として開示。マツダは204億円、
スズキも153億円を同様に計上した。日本公認会計士協会は3月以降にコロナ禍を受けた監査上の留意事項を示して、政府要
請などを受けて営業を停止した場合の固定費は「特別損失の要件を満たし得る」としているためだ。
決算の際には、企業や会計士が事業の動向にあわせ計上範囲を判断している。
国際会計基準(IFRS)を採用しているトヨタ自動車やホンダはこうした損失を営業費用として計上している。営業損益をライバル
や過去の実績と比べる場合は、こうした損失を考慮して収益力を判断する必要がある。
休業手当を支払う企業を支援する政府の雇用調整助成金は、計上する項目が会社によって異なる。
丸井グループは店舗に関わる従業員の同助成金8億8000万円を特別利益に計上、本部従業員などの分は営業外収益に計上
している。一方、東京ディズニーランドなどの運営会社オリエンタルランドは雇用調整助成金を、休園期間中に発生した人件費や
減価償却費から差し引いたうえで「臨時休園による損失」として特損211億円を計上している。
こうしたコロナ関連費用の会計処理は、次の四半期決算や年間の決算でも続きそうだ。ちばぎんアセットマネジメントの奥村義弘
氏は「損失が一時的か、構造的に続くのかなど見極めにくい部分がある」と話す。
今春には開示を見送っていた年間の業績予想を示す企業も増えたが、企業によって予想の前提となる新型コロナの収束時期の
想定も異なっている。会計制度に詳しい大和総研の藤野大輝研究員は「業績や財務情報だけでなく、リスクや経営方針といった
財務以外の情報を積極的に開示する姿勢が求められる」と指摘している。 日銀、ゼロ金利残高増、3カ月連続最大、銀行の負担軽減で。
2020/08/27 日本経済新聞 朝刊
金融機関が日銀に持つ預金口座のうち、ゼロ金利が適用される残高が増えている。7月まで3カ月連続で過去最大を更新した。
新型コロナウイルスに対応した日銀の資金繰り支援に伴う優遇措置などの結果だ。一方でマイナス金利の適用残高は7月に約2
割減少した。デフレ脱却をめざすマイナス金利政策の形骸化を指摘する声も出ている。
民間銀行は日銀との取引や銀行間決済などを円滑にするため日銀に当座預金を開設している。この預金の金利は日銀がお金
の流れをコントロールする重要な手段の一つ。
2016年から導入したマイナス金利政策は、一定の基準を超えた残高にマイナス0・1%の金利をつける。民間銀行は日銀にお
金を積んでおくだけでは損をするので、積極的な投融資に動くという効果を狙っている。
銀行からお金を貸してもらいやすくなった家計や企業が消費や設備投資に動けば、景気や物価にプラスになる。金融緩和を推し
進める大胆な一手という位置づけだった。
直近の7月の日銀当座預金の残高は前月比3%増の427・6兆円だった。その内訳に金融政策の変質が浮かぶ。マイナス金
利の残高は19%減の23・6兆円で5カ月ぶりに減った。プラス金利の残高は208・2兆円でほぼ横ばいが続く。
大きく増えているのがゼロ金利の残高で、9%増の195・7兆円だった。5月から3カ月連続で過去最大を更新した。
ゼロ残高が伸びているのは、日銀が3月に始めた新型コロナウイルス対応の特別オペ(公開市場操作)の分が大きい。国債など
を担保に金融機関に最長1年の資金を供給し、その2倍の残高をゼロ残高に加算する。7月下旬時点では27・1兆円の利用があ
り、50兆円超がゼロ残高に加わった計算になる。
日銀は当座預金の総額からプラス残高とゼロ残高を差し引いた残りの部分にマイナス金利を適用している。マイナス残高が増え
すぎないように調整するため、ゼロ残高を増やしている面がある。
実際、日銀はコロナ対応でゼロ残高を加算する優遇と合わせ、預金のうちマイナス残高ではなくゼロ残高として扱う割合自体も高
めている。全体としてマイナス残高は6月(29・0兆円)から大幅に減少した。
背景にあるのは、コロナ禍に苦しむ企業の資金繰りを支える金融機関への配慮だ。日銀が異次元緩和を始めた13年以降、金利
の急低下で銀行の利ざやは縮小し、収益環境は厳しさを増している。
足元でも融資の原資として日銀の資金供給を受ける銀行は日銀当座預金が膨らみやすい。そこでマイナス残高ばかり増えてし
まうと、貸し出し意欲を冷やすことになりかねない。日銀は4月からコロナ特別オペの残高に応じて0・1%の金利をつける措置も導
入するなど、金融機関の負担軽減に腐心している。
マイナス金利政策それ自体の修正が難しい事情もあるとみられる。物価上昇率2%の目標達成の切り札として始めた政策を撤
回すればデフレ脱却への取り組みの抜本的見直しが必要と認めることになりかねないためだ。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの鈴木明彦氏は「日銀はマイナス金利政策を形骸化しようとしている」と指摘する。金融緩
和の象徴的な取り組みであるマイナス金利政策を捨てきれないまま、その副作用への配慮に追われる日銀の姿には、金融政策
の限界に直面する苦しさがのぞく。 株、FRB新指針が揺るがす買いの前提 成長株高に黄信号
2020/08/28 12:27 日経速報ニュース
米連邦準備理事会(FRB)が想定外の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開いた翌日、28日午前の日経平均株価は反発した。
終値は前日に比べ83円(0.36%)高の2万3292円。FRBの打ち出した新しい政策指針を好感した買いが優勢だったものの、一時
下げに転じるなど上値は重かった。米国では長期金利が上昇しており、日経平均を押し上げてきたグロース(成長)株高に黄信号
が灯っている。
FRBは27日、市場関係者にとって「サプライズ」となる臨時のFOMCを開き、金融政策の新たな指針を決めた。ただ、タイミングこ
そ早かったものの、導入した2%超のインフレを容認する「平均物価目標」はこれまで市場関係者の間で想定されていたもので、内
容そのものは新味に乏しかった。
27日のダウ工業株30種平均が160ドル高となったことを受け、28日の東京市場は買い先行した。米長期金利が2カ月半ぶりの高
水準となり、運用収益の改善期待から保険業や銀行業の買いが目立った。「米国のゼロ金利長期化→景気回復期待→株高・債券
安」と、一見わかりやすい話のようにみえるが、話はそう単純でない。
「金利が上昇しグロース株が上がらなくなる可能性がでてきた」(国内運用会社のファンドマネジャー)――。28日午前の東証株
価指数(TOPIX)のバリュー株指数は1.5%高に対し、同グロース指数は0.3%高にとどまった。米長期金利が低位で安定するなか
、成長期待の強いグロース株が買われてきたが、その前提が崩れ始めている。28日午前の日経平均を押し下げた上位銘柄には
東エレク、ソフトバンクグループ、エムスリーのグロース株が並んだ。27日の米株式市場でも、ハイテク株比率の高いナスダック総
合株価指数や、主要な半導体関連株で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が下落した。
FRBが打ち出した金融政策の新たな指針も「あくまで政策金利の話」(第一生命経済研究所の藤代宏一・主任エコノミスト)。長
期金利に誘導目標を打ち出した訳でもなく、景気回復期待で米長期金利の上昇傾向が続くシナリオもゼロではない。
日経平均は新型コロナウイルスの感染拡大による相場急落後、ハイテク株を中心とした寄与度の高い値がさのグロース株上昇
に支えられ値を戻してきた。低位安定していた米長期金利が上昇に向かえば、その前提が崩れ日経平均が伸び悩み、逆に景気
敏感株の影響が強いTOPIXが上昇しやすくなる。終値でコロナ急落前の2月21日を超えられない日経平均の足踏みが長引く公
算が大きい。
28日17時には健康問題が取り沙汰される安倍晋三首相の会見が予定され、政治先行きも気になるところ。万が一、首相交代な
どとなれば、海外投資家にとってはマクロ経済の前提すらも崩れるのかもしれない。当たり前だと思っていた状況が変わる頭の体
操は怠れない。 真の成長戦略待つ市場―次期政権、デジタル化急務(スクランブル)
2020/08/29 日本経済新聞 朝刊
安倍晋三首相が28日、辞任を表明した。金融緩和や積極的な財政出動といった「アベノミクス」を打ち出し、変化に乏しいとみら
れていた日本に投資家の関心を引き戻した。ただ政権後半では経済成長の遅れへの失望から外国人投資家は去り、新産業育成
など課題が残る。振り返ると長期政権の終了後1年を境に日経平均株価の値動きは分かれている。
「株式市場からみれば80点だ」。コモンズ投信の伊井哲朗社長は8年弱の安倍政権を総括する。日銀による上場投資信託(ET
F)買い入れ拡大や「黒田バズーカ」と呼ばれる緩和政策を呼んだアベノミクスは、外国人投資家をひき付けた。在任期間中の日経
平均株価は2倍以上になった。
□ □
多くの投資家が評価したのはコーポレートガバナンス改革だ。自己資本利益率(ROE)で8%以上を目指すとした有識者による提
言への後押しが「取り組みが遅れていた日本株の再評価につながり、低コストで株価を引き上げる効果を得た」(ガバナンス・フォ
ー・オーナーズ・ジャパンの小口俊朗代表取締役)。
ただ、こうした熱狂から投資家が覚めるのも早かった。「15年の後半からは、期待に対して成果が不十分で遅いという評価に変わ
り売りが広がった」(ゴールドマン・サックス証券のキャシー・松井副会長)。18年には日経平均株価がバブル崩壊後の最高値を2
6年ぶりに更新したが、世界の相場回復に追随した側面が大きい。外国人投資家の買越額はピークの20兆円から3兆円に減って
おり、受け皿となる個人投資家層の育成は進んでいない。
「IT(情報技術)担当大臣の人選を見ると、デジタル化の推進などに無関心に見えた」(コモンズ投信の伊井氏)。新型コロナウイ
ルスの流行は、安倍政権が推し進められなかった企業の生産性改革などの課題を浮き彫りにした。こうした遅れが企業の収益力
を押し下げると、外国人投資家が一段と遠ざかる。
□ □
香港などに代わる金融都市構想といった、投資マネーをひき付けるために規制緩和が不可欠な分野でも「強固な権力基盤を持
っていた安倍政権でもできなかったことを、後任で達成できるのか」(楽天投信投資顧問の平川康彦・第二運用部部長)との疑問
が先行している。今後は「金融政策を二人三脚で推進してきた黒田東彦日銀総裁の動向が、株価に大きなインパクトを与える」(
同)という。
28日は午後2時すぎに首相辞任の意向が伝わると、日経平均株価は一時600円安まで急落した。終値は326円安まで戻し
たが「今日の反応は1時間では織り込みきれていない。来週にかけて売り優勢のラリーが続く」と国内運用会社のトレーダーは話
す。
過去の長期政権が幕を閉じた後の日経平均株価を見ると、数カ月から1年程度は上昇する傾向があるが、その後に明暗が分か
れる。新政権の滑り出しではそれまでの政策を引き継ぎ、投資家も様子見ということが多いが、1年もたつと新たな課題が浮上する。
「まだ日本株に期待している外国人投資家はいる。ただ長期的には日本株でなくてもよいと見切られるリスクがある」とガバナン
ス・フォーの小口氏は指摘する。コロナ後の世界でどう日本株の魅力を示すか。新首相にはスピード感が求められている。 銀行融資枠契約37%増、7月、3カ月連続で伸び最高。
2020/09/01 日本経済新聞 朝刊
企業が一定の範囲内で銀行から融資を受けられるコミットメントライン(融資枠)の契約額の伸びが続いている。日銀が31日
発表した7月の契約額は前年同月比37%増の48兆6500億円だった。新型コロナウイルス感染拡大による資金繰り悪化に
備えた企業の動きを反映し、伸び率は3カ月連続で過去最高を更新した。 金融庁、銀行の規制緩和・DX推進、コロナ対策で方針、事業会社に出資後押し、脱・ハンコへ慣行見直し。
2020/09/01 日本経済新聞 朝刊
金融庁は31日、2020事務年度(20年7月〜21年6月)の金融行政方針を発表した。新型コロナウイルスの影響で変革を求め
られる企業を支援しやすくするため、銀行の出資規制などを緩和する。香港など海外金融機関を対象に事業登録の手続きを簡素化
し、日本に金融ビジネスを呼び込む。「コロナ時代」に対応した柔軟な規制・監督のあり方が問われる。
安倍晋三首相が辞任を表明し、自民党では次期首相となる後継者レースが本格化している。ただ誰が引き継いでも、新型コロナ
で打撃を受けた経済の立て直しが最大の課題で、金融行政の役割が引き続き重要となる。
7月に就任した氷見野良三長官も「企業が新しいリスクに挑戦するのを金融システムで支えたい」と強調し、金融行政方針では新
型コロナ対策を前面に打ち出した。まずは金融機関に企業の資金繰りを支えるよう求める。5月に始まった民間金融機関による実質
無利子・無担保融資に加え、借金の返済条件の緩和などを促す。
新型コロナの収束が遠のけば、資金繰り支援だけでは企業の事業継続が危ぶまれる可能性がある。官民ファンドの地域経済活
性化支援機構(REVIC)の専門人材などを生かした中堅・中小企業の資本支援にも踏み込み、今後は経営改善や事業再生に軸
足を移す。
企業が新たな環境に対応しやすいよう銀行業の規制緩和を進める。事業会社に対する銀行の出資規制などを緩め、関連するビジ
ネスを手掛けやすくする。地方の中小企業の事業再生や事業承継、ベンチャー企業の育成などに、銀行が積極的に乗り出せるよう
後押しする狙いだ。
金融サービスの進化にはデジタルトランスフォーメーション(DX)が不可欠だ。全国銀行協会と協力し、キャッシュレス化に対応した
小口決済システムの構築や、高止まりした銀行間手数料の見直しに取り組む。
フィンテック企業の参入も後押しする。6月の法改正でスマートフォンアプリなどで住宅ローンや投資信託、保険など異なる分野の
商品を一体的に扱える「金融サービス仲介業」を創設した。21年の施行に向けて運用体制を整える。
家計では住宅ローンの返済などが重荷となりつつある。新型コロナの影響で失業し生活難に陥った個人や個人事業主を対象に
、住宅ローンの返済を減額・免除する特例措置を設ける。全銀協などが自然災害の被災者を対象に設けた指針を年内にも改正する。
書面や押印、対面を前提とした金融機関との取引のデジタル化も急がれる。顧客の利便性を高めるため、不要な手続きの廃止や
電子化など業界慣行の見直しを進める。 マイナス金利「見直さず」、日銀副総裁、新政権でも緩和継続。
2020/09/03 日本経済新聞 朝刊
日銀の若田部昌澄副総裁は2日、電話会議方式で記者会見を開いた。退任を表明した安倍晋三首相の後任選びが本格化する
なか、「政府と連携・協調し、一体となって財政・金融政策を運営していく」と述べ、新政権のもとでも金融緩和路線を継続していく
べきだとの見方を示した。マイナス金利政策については「見直しは全く考えていない」と語った。
政府・日銀は第2次安倍政権発足直後の2013年1月、物価上昇率2%を目標に掲げた共同声明をまとめた。財政拡大と金融
緩和のポリシーミックス(政策協調)のもとで大規模な金融緩和を進めてきた。
若田部氏は一連の政策について「(安倍首相の)後任には全く関係なく、日銀としては今行っている政策が適切だと考えている
」と強調。コロナ禍で加速したポリシーミックスは「最善の政策で、少なくとも枠組みを変えることは考えていない」とした。
米連邦準備理事会(FRB)は雇用の回復を目指し、一時的に2%超の物価上昇率を容認する姿勢を打ち出している。若田部氏
は「雇用や所得自体を目標にするという議論ではないが、海外の事例は非常に参考になる」と言及した。
日銀は記者会見に先立ち、佐賀県の企業経営者ら向けにオンラインで金融経済懇談会を開いた。若田部氏は「ウィズコロナ時
代の金融政策のあり方について検討を深めていくべきだ」と話した。 三井住友銀がマイナス利回り社債、国内初、ユーロ建てで1260億円。
2020/09/05 日本経済新聞 朝刊
三井住友銀行は利回りがマイナスの社債を発行する。ユーロ建ての担保付き社債で10億ユーロ(約1260億円)を調達する。
日本企業が社債市場からマイナス金利で資金調達するのは初めて。世界的に金融緩和が続くなか、借り手が金利を受け取る異
例の状況が発生する。
三井住友銀が近く発行する社債の満期は5年で、「カバードボンド」と呼ぶ住宅ローン債権を裏付けにした債券。金利が0・01%
の社債を額面100ユーロあたり100・895ユーロで発行するため、三井住友銀は実質的にマイナス0・168%で資金調達できる。
欧州では欧州中央銀行(ECB)がマイナス金利政策を導入しており、銀行が余剰資金をECBに預けるとマイナス0・5%の金利
が発生する。三井住友銀が発行する社債で運用すれば、利回りはマイナスになるものの、損失幅は相対的に小さくなる。マイナス
利回りの社債には一定の需要があり、欧州企業による発行が増えている。
国内ではトヨタ自動車グループのトヨタファイナンスが2019年、利回り0%の普通社債を発行した。マイナスでの発行は三井住
友銀が初めてとなる。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済収縮で企業の資金繰りは厳しさを増している。三井住友銀は調達した資金を欧州で
の企業向け融資などにあてる。 途上の経済政策(5)変質した異次元緩和、かすむ「2%」、株高・円安に軸。
2020/09/09 日本経済新聞 朝刊
黒田東彦総裁率いる日銀は、安倍晋三首相によるアベノミクスの主軸を担い続けた。異次元と銘打った金融緩和は歴代最長政
権の原動力となった。目標とする2%の物価上昇率は遠く、緩和長期化のきしみも目立つ。
政府・日銀による二人三脚の出発点は2013年1月の共同声明だ。首相の強い意向を踏まえ、日銀による2%の物価目標を盛
った。同年3月に就任した黒田総裁は国債や上場投資信託(ETF)などを大量購入する異次元緩和を始めた。
家計や企業のマインドが好転し、当初1年ほどの物価は上昇基調をたどった。その後は14年4月の消費増税や原油相場の下落
が響き、頭打ちになる。日銀はマイナス金利政策の導入などで立て直しを図ったが、勢いは取り戻せなかった。
雇用環境の改善で安倍政権が物価目標達成への関心を失うなか、異次元緩和の役割は徐々に政権が重視する株高・円安基調
の維持に変質する。
16年7月には英国の欧州連合(EU)離脱決定による市場混乱を受け、ETFの購入額を倍増。19年に米中貿易摩擦の激化で米
連邦準備理事会(FRB)が利下げすると、日銀はマイナス金利を深掘りする可能性をちらつかせて円高進行をけん制した。新型コ
ロナウイルスの流行後は市場安定に一段と傾斜した。
「緩和策の効果があるからではなく、金融市場の反応を考えるとやめることが難しいため続けざるを得なかった」。元日銀審議委
員で野村総合研究所の木内登英氏はこんな見方を示す。
日銀の総資産は8月末に683兆円とアベノミクス前の12年11月末から4・4倍に拡大した。SMBC日興証券によると、4〜6月
期の国内総生産(GDP)比でみた総資産は日銀が130%近く、40%に満たないFRBなど海外中銀より圧倒的に大きい。日銀の
国債保有額は発行残高全体の4割以上を占める。
ドイツ証券の小山賢太郎氏は「国債利回りを抑え込む日銀の緩和策が政府の財政運営を支えている」と話す。
株式市場にもひずみが広がる。日銀のETF保有額は23倍となり、多くの上場企業の実質的な大株主となった。相場の安定と引
き換えに株主による経営監視などの規律が働きにくくなった。
「当面はコロナ禍への対応が最優先課題で金融政策の方向性は変えようがない」(日銀幹部)との見方は多い。安倍首相の後継
選びで優勢な菅義偉官房長官は円高への警戒心が強いとされ「利下げなどの政策対応を求められる可能性もある」と別の日銀関
係者はいう。
FRBが「平均2%」の物価上昇をめざす新方針を示すなど、海外でも緩和策が長引く様相にある。安倍首相退任後も日銀にとって
のアベノミクスは続く。 銀行株安が示す景気回復シナリオの揺らぎ
2020/09/09 12:32 日経速報ニュース
9日の東京株式市場で日経平均株価が一時、節目の2万3000円を下回った。前日の米市場で電気自動車(EV)のテスラ株
が先週末比21%安となったのをきっかけにハイテク株が売り込まれた流れを受けた。この日は従来ハイテク株安局面で相場を
下支えしてきた銀行株にも売りが目立った。ハイテク株と銀行株のダブル安は、市場の先行きへの不安心理を映す。
9日午前の日経平均株価は前日終値比365円(1.6%)安の2万2908円で取引を終えた。米ハイテク株安でソフトバンクグルー
プや東京エレクトロン、エムスリーなどハイテク・成長株への売りが目立った。もっとも、それは自然な展開ともいえる。この日注目
されたのはハイテク株に並んで下げがきつかった銀行株だった。
業種別日経平均をみると銀行は午前中で前日比3%安。下落率は業種別で3番目に大きい。このまま午後の取引が終われば
下落率は7月31日以来の大きさとなる。
銀行株の重荷となったのは、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞が長引きそうだとの警戒感。市場がワクチ
ン開発で先行しているとみていた英アストラゼネカの治験が副作用への懸念で中断した。経済活動本格再開の前提となるワクチ
ン開発が遅れるほど景気の戻りも遅くなるとの見方から、景気動向に敏感な銀行株が象徴的に売られた。
ここ最近はハイテク株が売られる日には代わりに景気敏感株への買いが入り、相場を下支えするケースが多かった。しかし「銀
行を筆頭とした景気敏感銘柄も売られ始めている。市場の雰囲気が変わり始めた」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則
弘チーフ投資ストラテジスト)との声が出てきた。
ナスダック総合株価指数の過去最高値更新など米ハイテク株高を主導してきたテスラの急落。かねて過熱感が指摘されていた
が、日本のハイテク株もしばらくはその余波から逃れられそうにない。
一方で9日の銀行株安が映すように、遠くない将来の経済活動正常化や景気回復というシナリオ自体が揺らげば、過熱感の調
整とは意味が変わってくる。変調を嗅ぎ取った市場からは「2万1000円くらいまで調整する余地はある」(みずほ証券の三浦豊シニ
アテクニカルアナリスト)との声も聞かれる。調整が長引き下値余地が想定以上に大きくなる展開への備えが必要かもしれない。 米株反発 長期マネーに安定感(NY特急便)
2020/09/10 06:42 日経速報ニュース 1285文字
9日の米株式相場は大幅上昇した。前日まで急落していたIT(情報技術)株が反発した。先週来の急落を含め、動きが目立つ
のは短期筋。潤沢なマネーを背景に投資信託など長期の投資家はむしろ押し目買いが優勢だ。債券市場や為替市場の混乱は
少なく、IT株の乱高下で投資家心理の打たれ強さがかえってみえた面もある。
9日のナスダック総合指数は前日比2.71%上昇した。8日までの4営業日の下落分の4分の1ほどではあるが、1日の上昇率と
しては約4カ月ぶりの大きさだ。経済指標などで特段追い風となる材料はなかった。前日までの短期筋のろうばい売りが一巡し、
自律反発が強く出たとの指摘が多い。
7〜8月に短期の値ざやを狙う個人投資家を中心に米IT株はマネーゲームの様相を呈した。テスラは年明け以降で株価が6倍
に達し、売買代金も1日で500億ドル超を記録したこともある。過熱の反動で、極端に持ち高を傾けていた投資家の反対売買が交
錯した面が強い。
だが、投資家の多くがパニックに陥っていたわけではない。上場投資信託(ETF)の資金流出入が物語る。ナスダックの主要10
0銘柄に投資する人気ETFの「インベスコQQQ」には4日に16億3千万ドルの資金が入った。流入額は約2カ月ぶりの多さだ。ほ
かの米国株ETFも急激な資金流出はみられない。
ETFの資金の出し手は中長期スタンスの個人や機関投資家だ。先週以降のナスダック株の急落は短期筋の持ち高調整を長期
投資家が支えていた構図になる。
市場心理が打たれ強かったことは他の市場の動きにも表れている。「炭鉱のカナリア」と呼ばれ、危機の兆候を示すとされる米
低格付け社債はナスダックが急落した3〜8日も売りは限定的だった。主要なETFの下落率は1.4%となったが、この程度の値下
がりは毎年何度もあり、ナスダックとは様相が異なる。
米国債市場は落ち着いており、金やドルも極端な値動きはない。市場では「あくまで短期スタンスの株式投資家の動揺で、金融
市場全体が強いリスクオフに陥ったわけではない」(米銀の運用担当者)との指摘が増えている。
金融緩和が長期化するのが確実な中で、マネーがジャブジャブの状態は長く続く公算が大きい。安全資産の国債の金利は0%
台に沈んでおり、行き場をなくしたマネーは株式などリスク資産にもある程度振り向けられる状況は変わらない。株安局面で、マネ
ーがETF経由でしみ出すように株式に向かった。
米国株の乱高下への警戒感を映すVIX指数は28.81と4日の高値(38.28)からは大きく低下した。ナスダックを対象にした同様
の指数は高止まりしているが、米国株全体の急落懸念は少し和らいでいた。
米連邦準備理事会(FRB)は15〜16日には米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。パウエル議長は8月に物価上昇率が2%
を超えても金融緩和を続ける姿勢を示したばかり。金融市場にも動揺を起こさぬよう発言に慎重を期す可能性が高い。先週来のナ
スダックの乱高下は「夏の急上昇にガス抜きが入った」(ヘッジファンド)とみなす声も少なくない。 銀行の自社株買い9割減、株主還元、コロナで抑制、取引先支援へ資金蓄える。
2020/09/11 日本経済新聞 朝刊
コロナ禍で株主への還元を抑制する動きが銀行界で広がっている。4〜8月に公表された今期の自社株の取得総額は前年の
同じ期間で比べると9割減った。株主意識の高まりで近年高水準で推移していたが、急減速した形だ。欧米では金融当局が株
主還元を自粛するよう求めている。日本でも取引先の支援に備え、自ら資金流出に制限をかける銀行が増えている。
株式を上場するメガバンクや地銀などの銀行(金融持ち株会社も含む)87行を対象に、自社株買い(発表ベース)の累計額を調
べた。
企業が自社株買いをすると市場に出回る株式が減り、株価が上がることが多い。資本効率を高める効果もあることから近年、株
主還元策のひとつとして力を入れる銀行が増えていた。
4月以降、自社株買いを発表したのは新生銀行と紀陽銀行、じもとホールディングス、東和銀行、山口フィナンシャルグループ(F
G)の5社。前年の同じ時期には24社が自社株買いを決めており、コロナ禍で銀行が資金流出に制約をかけている様子が見て取
れる。
自社株買いを決めた5行も全てが還元を目的としているわけではない。山口FGは自社株買いと同時に劣後債による資金調達を
発表。「地域を支える備えも行っており、株主還元だけに軸足を置いているわけではない」(総合企画部)。東和銀行はストックオプ
ションに伴う取得で、還元策とは一線を画している。
海外では金融当局が自社株買いなどの株主還元に制約を課している。欧州中央銀行(ECB)は2021年1月まで、自社株買い
と配当の自粛を求めた。米連邦準備理事会(FRB)も自社株買いと増配に制限をかけている。
FRBは米大手34銀行がコロナ禍で最大7000億ドル(約74兆円)の貸倒損失を計上する可能性があると警鐘を鳴らしている。
銀行の健全性が大きく毀損される可能性が残る中で、「欧米の当局は株主よりも企業や個人の支援を優先すべきだという姿勢を
示してきた」(SMBC日興証券の村木正雄グローバル金融ストラテジスト)。
日本の金融当局は現状、株主還元を禁じていない。「株価と役員報酬が直接連動しており、報酬が高額な米国と日本の金融機
関を同じ土俵で比べることはできない」(金融庁幹部)といった背景がある。
それでも多くの銀行が資金流出を伴う自社株買いに否定的なのは、新型コロナが業績に与える影響が見通せないためだ。上場
87行(予想を開示していない銀行を除く)は今期、純利益で24%の減益を見込んでいる。だが、コロナ禍が一段と深まれば、想定
よりも減収幅が広がる可能性がある。「今自社株買いを発表すればサプライズを演出できるが、現実的にはハードルが高い」(大手
行幹部)
一方、自社株買いとならぶ株主還元の柱である配当までは制限の動きが及んでいない。上場87行(同)による21年3月期の
配当総額は1兆3027億円と、前期並みの水準となる見込みだ。
銀行の多くが累進的な還元方針を掲げていることに加え、「配当は年金受給者などの生活の糧となっており、自粛を要請するの
は難しい」(別の金融庁幹部)。日本のメガバンクなどは欧米の金融機関と比べて現状、資本余力がまだ大きい事情もある。
とはいえ、経済が冷え込み取引先の支援に想定以上の資本を使うことになれば、配当も聖域とは言えない。取引先の支援と株
価の維持をどう両立させるかというジレンマに銀行は直面している。 海外マネー「選挙は買い」―出遅れ日本株に見直し論(スクランブル)
2020/09/11 日本経済新聞 朝刊
世界の中でも株価が出遅れていた日本株に対し、投資家の間で見直し機運が広がり始めた。従来は売り材料だった企業業績と
政治状況が、逆に買い材料と受け止められ始めたからだ。中でも安倍晋三首相からの約8年ぶりの政治トップの交代は、海外マネ
ーの関心が戻る大きなきっかけになっている。本当に「万年割安株」の汚名を返上できるのか。
「米ハイテク株の株価の調整は、日本株にはむしろプラスに働く」(JPモルガン・アセット・マネジメントの前川将吾グローバル・マ
ーケット・ストラテジスト)。市場では、そんな見方が浮上している。
日本株は、GAFAやテスラなど成長株と正反対の値動きをすることが多いバリュー(割安)株の比率が高いからだ。「機関投資家
の一角では成長株への一極集中は行きすぎとみて、バリュー株に資金をシフトする動きが始まっている。自動車や素材などバリュ
ー株比率が高い日本株は振り向け先になる」(前川氏)
とはいえ、いくら株価が割安だとしても、企業業績というファンダメンタルズの裏づけは必要だろう。
□ □
日本株出遅れの最大の理由は、業績底入れが欧米よりも遅れているからだ。
日米独企業の12カ月先予想1株利益(EPS)の推移をたどれば一目瞭然だ。
いずれも新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化した3月からアナリストの業績予想は急降下。その後、米独では6月に下方修
正が一巡し、4〜6月期決算発表を境に予想EPSは明確に改善方向へ転じた。
日本は4〜6月期決算を経ても下方修正が止まらなかった。このため、7月以降は日本株の上昇は頭打ちになり、業績底入れを
理由に上昇を続ける米独株について行けなくなった。
だが足元は下方修正がおおむね一巡したようにみえる。「7〜9月期決算発表では一定の下方修正が出るだろうが、そこが業績
の大底。その後は上向きに転じる」。SMBC日興証券の圷正嗣チーフ株式ストラテジストは指摘する。
□ □
そんな局面で飛び出したのが安倍首相の退任だ。
「スガはいつ解散に踏み切るのか」。野村証券の池田雄之輔チーフ・エクイティ・ストラテジストには、顧客の海外投資家からこん
な質問が相次いでいる。
市場は、14日の自民党総裁選での菅義偉官房長官の勝利は織り込み済み。関心は早期の衆院解散・総選挙の有無に移って
いる。「海外投資家からスルーされてきた日本株が、久々の首相交代で注目を集めている。早期に解散総選挙に打って出れば、
スガノミクス期待で日本株ラリーが起きる可能性が高い」(池田氏)
2000年以降の衆院選時の株価をみると、自民党が議席を増やした場合は株価は大きく上昇し、横ばいの17年も株価は上げ
た。逆に自民党が議席を減らした場合は株価はさえない。
企業業績の底入れも早期の解散総選挙もコロナの感染が落ち着くことが条件になるが、日本株のこれまでとは状況が変わりつ
つあるのは事実。後から振りかえると、ウォーレン・バフェット氏の商社株買いは日本株の転換点だったということになるかもしれない。 菅氏、財務省・金融庁・日銀の「縦割り」も打破
2020/09/14 02:00 日経速報ニュース
「行政の縦割りを打破する」――。16日に次の首相に就くとみられる菅義偉氏(現官房長官)が、繰り返し口にしてきた言葉であ
る。無意味な役所の垣根を壊し、国民にとってプラスになる政策を積極的に打ち出すということだ。そうした観点から、菅氏は政府
と日銀の協調も重視しそうだ。新型コロナウイルス感染拡大の悪影響が長引きそうな中、景気の回復や金融市場の安定確保は
重要性を増している。財務省、金融庁、日銀の緊密な連携による効果的な対応を一段と促すだろう。
縦割り行政の弊害の例として、菅氏がしばしば挙げるのがダムだ。全国のダムには国土交通省が所管するダム以外に、経済産
業省所管の電力用や農林水産省所管の農業用水用などがある。このうち国交省所管以外の「利水ダム」は水害対策にほとんど活
用されてこなかったという。だが、毎年のように起きる豪雨災害への対応は待ったなしの課題。そこで政府は今年6月から発電や
農業用などのダムも洪水対策に使えるよう運用を改めたのだ。
第2次安倍晋三政権が発足した直後の2013年1月に起きたアルジェリア人質事件でも、菅氏は縦割りの弊害を痛感したとされ
る。イスラム武装勢力がアルジェリアの天然ガス関連施設を襲撃、日本人10人が犠牲になったこの事件では、現地の状況につい
て各省庁から異なった情報がバラバラに入り、迅速な対応が取りにくくなる要因になった。この反省が、のちに国家安全保障政策
の司令塔である国家安全保障会議(NSC)の設立へとつながった。
■コロナ対応はこれからが正念場
そして、菅氏は為替・金融政策の分野でも縦割り是正の必要性を感じてきたようだ。その証拠は、財務省、金融庁、日銀の幹部
が集う「国際金融資本市場にかかわる情報交換会合」の設置に、菅氏の意向も働いていたとされることだ。16年3月にスタートした
同会合(通称、3者会合)は、マーケットの混乱時に開催され、市場をけん制するもの。政府と日銀が市場動向の監視で緊密に連
携する場であり、「菅政権」の下でも存続すると予想する声が多い。
財務省は財政や為替政策、金融庁は金融行政、日銀は金融政策とそれぞれの役割は異なるが、3者がバラバラに動くようでは
政策の効果も限られてしまう。コロナ危機対策はこれからが正念場だけに、それでは困るわけだ。菅氏は連携を一段と強めようと
するだろう。
3者の連携とは具体的には以下のようなことだ。
例えば、コロナ対応には巨額の財政支出が必要だが、財源を手当てする国債発行を円滑に進めるには、日銀による積極的な国
債買い入れによる長期金利の安定が重みを持つ。日銀は今春、無制限の国債買い入れ方針を打ち出したが、長期国債の年間購
入額はまだそれほど増えていない。16年9月に政策の軸足を資金供給から金利操作に転換した後、購入額を減らしてきたが、そ
の動きが反転したわけではないのだ。だが、長期国債の発行が本格的に増えるのはこれからとみられ、日銀による買い支えへの
期待は強まるだろう。
一方、日銀が超低金利政策に粘り強く取り組むためには、その金融システムへの打撃を和らげることが必要で、金融庁が地方
銀行の再編を促すことも重要になる。だからこそ、菅氏は最近、「地方の銀行について将来的には数が多すぎるのではないか」と
語ったのだろう。
円高の防止には為替政策だけでなく金融政策も貢献できる。菅氏は「必要であればしっかりと金融政策をさらに進めたい」と述
べている。円相場の上昇に1ドル=100円を突破するような勢いがついた場合、短期政策金利(現行マイナス0.1%)を下げるマイ
ナス金利深掘りなどの追加対応を求める局面も出てくるかもしれない。
■無駄遣いは潜在成長率低下の要因にも
もちろん、政府と日銀の協調には注意点もある。日銀が単なる政府の赤字の穴埋め役になるなら、財政の規律が緩み、無駄な
支出も増えかねない。それではかえって日本経済の実力(潜在成長率)を下げかねないと有力日銀OBは言う。ワイズスペンディ
ング(賢い支出)の観点も欠かせないだろう。
いずれにせよ、「菅政権」の下では財務省、金融庁、日銀がいかに効果的に連携するかが、経済・市場動向を左右する要素とし
て重みを増しそうだ。 SMBC日興、SBI系に出資、地銀との共同出店に参画、資産運用、地方の富裕層開拓。
2020/09/16 日本経済新聞 朝刊
SMBC日興証券は、SBI証券傘下で対面営業店舗を全国展開する「SBIマネープラザ」に3割強出資し、持ち分法適用会社と
する方針を固めた。2020年内をメドに出資を完了する見通しだ。SBIは地方銀行との共同店舗の出店を加速している。SMBC
日興は営業員の派遣や金融商品の提供で、これを支援し、地銀の開拓につなげる。
SMBC日興は週内にも出資を発表する。三井住友フィナンシャルグループ(FG)は4月にSBIホールディングス(HD)と包括提
携。既に三井住友FGがSBI系のスマホ証券への出資を発表するなどデジタル戦略で連携しているが、対面営業でも連携を強化
する。
SBIマネープラザは地銀との共同店舗の展開に注力してきた。足元では清水銀行や筑邦銀行など地銀12行と共同で15店を
運営しており、今後も店舗網を増やす方針だ。10月には仙台銀行と共同で宮城県石巻市に新規出店する。
資本提携をきっかけに、今後は地銀との共同店舗を2社で拡大していく。SMBC日興は、地銀との共同店舗に資産運用のコン
サルティング経験のある同社の営業員などを派遣する。出資完了を経て、20年度内には社員を店舗に派遣する仕組みをつくり、
地銀の証券業務をサポートする。
SBIは第二地銀との連携に強みを持ち、都市部以外でも顧客層を開拓してきた。SMBC日興は営業員の派遣を通じて、三井
住友FG内で進めてきた「銀証連携」のノウハウを地銀に提供。将来的には、新規株式公開(IPO)株など金融商品の提供も行う。
地銀を巡っては、大手証券の“陣取り合戦”が起きている。都市部の営業が中心の大手証券は地銀との連携を通じて、これま
でアクセスしにくかった地方の富裕層の開拓を狙っている。
地銀の「連合構想」を掲げ、先行するSBIHDは資本提携を拡大しており、既に4行に出資した。SBIHD以外では野村証券が
19年8月に山陰合同銀行と証券事業の統合で合意。20年1月には阿波銀行とも業務提携を発表した。東海東京フィナンシャル
・ホールディングスは横浜銀行など有力地銀と共同出資で証券会社を立ち上げている。
地銀にとっても資産運用を中心とする証券業務は、成長の期待できる数少ない分野だ。そのため地銀では証券事業への参入
が相次いできたが、業務に精通した対面営業員の不足などで苦戦するケースが目立つ。地銀業界では「自前」での展開ではな
く、大手証券と連携することで業容拡大を図る動きが広がっている。 三井住友FG、医療ITを買収、顧客の病院、業務効率化。
2020/09/16 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は15日、医療IT(情報技術)ベンチャーのプラスメディ(東京・新宿)を買収したと発表した。
医療機関の業務を効率化するプラスメディのサービスを三井住友FGの顧客に提供する。個人の医療データを匿名化して蓄積し、新
たな事業に活用することも検討する。
既存の株主から株式を取得した。買収額は非公表。
プラスメディは医療機関の業務を効率化するスマートフォンのアプリ「マイホスピタル」を提供している。スマホで病院での順番待ち
の確認や診察料の後払いのほか、診断や検査の結果も確認できる。三井住友FGの取引先の医療機関にアプリを紹介し、業務の
効率化に役立てる。
病院などからカルテの情報や検査結果などを取得し、患者がアプリ上で健康を管理できる仕組みも整える。三井住友FGの谷崎
勝教執行役専務は記者会見で、「データがたまれば創薬や医療にも活用できる」と述べた。 決済側・銀行、双方に甘さ、不正引き出し、みずほでも、高度な認証法を金融庁が要請。
2020/09/17 日本経済新聞 朝刊
キャッシュレス決済サービスとひもづいた銀行口座から不正に預金が引き出される被害が広がっている。NTTドコモに続き、Pay
Pay(ペイペイ)やLINEペイなどにも波及した。決済事業者と銀行の双方に本人確認の甘さや相手頼みの意識があり、犯罪者集団
が隙を見逃さずに突いてくる構図が浮かぶ。
「預金者にたいへんな心配をかけており、地銀界を代表しておわびする」。全国地方銀行協会の大矢恭好会長(横浜銀行頭取)は
16日の記者会見で、ドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」とひもづいた地銀口座から預金が不正に引き出された問題で陳謝した。
一連の不正は決済事業者と銀行の安全対策の甘さが引き起こした。
最も甘かったのは地銀とゆうちょ銀行の預金がドコモ口座から引き出された例だ。ドコモ口座は匿名のメールアドレスだけで登録で
きた。銀行側でも、預金口座の番号と暗証番号を入力すればドコモ口座とひもづけ、預金口座から入金できた。
銀行を装うサイトに入力させるフィッシングなどで、口座番号と暗証番号を入手すれば本人でなくても引き出せた。被害に遭った預
金者の届け出を受けて、警察による捜査が進む見通しだ。
金融庁は2019年にセブンペイなどの決済サービスで不正が相次いだことを受け、キャッシュレス事業者への立ち入り検査などを
進めてきた。ただキャッシュレス決済などを手掛ける資金移動業者は70を超えており、十分な検査を終えないうちに不正が発覚した。
誤算だったのは、事業者と接続する銀行側でも本人確認の手続きが不十分だった点だ。口座開設などで厳格な手続きをとる銀行
でも、キャッシュレス口座とひもづける際の認証は甘かった。金融庁幹部は「接続部分のチェックは十分ではなかった」と認める。
金融庁は15日、資金移動業者と銀行に対し、一度しか有効でないワンタイムパスワードなどの高度な認証の仕組みを接続時に導
入するよう要請した。不備があれば入金サービスを一時停止するよう求めた。
決済サービス「Jコインペイ」を手掛けるみずほ銀行は16日、同サービスで一部の地銀との連携を一時的に中断したと明らかにした。
北洋銀行や山陰合同銀行など27行と新規の口座登録を停止し、15行とは入金も止めた。不備がないかどうかを確認するためという。
みずほ銀は同日夜、過去に複数の決済サービス経由で預金口座から不正な引き出しがあったこともホームページ上で記載した。
決済サービス名は明らかにしていない。
今回、ドコモ口座と連携するすべての銀行で不正引き出しが起きたわけではない。三井住友銀行は16日時点で被害は出ていな
い。同行は口座をひもづける際、すでにワンタイムパスワードを発行している。
手間をかけない利便性と安全性の向上は相反するが、(1)口座開設時の確認(2)口座をひもづける際の確認(3)不正利用がない
かの監視(4)不正が起きたときの補償――がそろわないと利用者が安心できない状況になってきた。
不正引き出しが確認された決済サービス
(9月16日までの各社の発表や取材をもとに作成)
ドコモ口座〓(NTTドコモ) 地銀など11行で145件(2678万円)
Kyash ゆうちょ銀で3件(23万円)、イオン銀で1件(30万円)
ペイパル ゆうちょ銀で2件(1万円)
PayPay ゆうちょ銀で1〜8月に17件(141万円)
メルペイ ゆうちょ銀で2月以降に3件(49万円)
LINEペイ ゆうちょ銀で1月以降2件(49万円) 三井住友THLD − 【四季報先取り】三井住友THLD
詳細
【後 退】新型コロナ影響で貸出残高増える。国内は利ザヤ低下でも、海外は利ザヤ改善し、資金利益堅調。ただ、営業活動
減り、不動産や運用コンサルなど手数料が停滞。与信費用も高水準見込み、経常益後退。
【移 行】4〜6月の来店客数は前年同期比40%弱落ち込む。ネットやテレホンバンキングでのコンサル営業加速。店舗や拠
点ビルのフロア返却など固定費削減進める。
三菱UFJFG − 【四季報先取り】三菱UFJFG
詳細
【後 退】買収2社通期寄与。新型コロナ対応で貸出残高増。国内利ザヤ縮小でも海外改善し、資金利益健闘。序盤の債券売
却益も大きい。ただ、資産運用など手数料収益は厳しい。与信費用大幅増で経常益後退。
【提 携】傘下銀行がウェルスナビと業務提携、顧客にロボアド提供。イスラエルのフィンテック企業と合弁設立、アジアのスター
トアップ向けにAI融資を展開。
みずほFグループ − 【四季報先取り】みずほFグループ
詳細
【後 退】序盤に外債売却益膨らむ。海外の社債発行など法人向け手数料が伸長。個人向けも運用商品販売が好調。新型コロ
ナの資金繰り支援で貸出残高増える。だが、国内貸出利回りは下落。与信費用も下期にかけて大幅に増える公算。経常益は
後退。
【提 携】ソフトバンクと融資・スマホ証券・決済代行分野で提携。スマホ決済のJコインペイは募金機能など顧客接点拡充。 9/18 13:21
三井住友FGがもみ合い、東海東京調査センターは「ニュートラル」・目標株価3100円に引き下げ
三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>が前日終値付近でもみ合い。東海東京調査センターでは17日付で、投資判断を
「アウトパフォーム」(強気)から「ニュートラル」(中立)に、目標株価を4100円から3100円に、それぞれ引き下げている。
バリュエーション基準について、主要5行平均の調整後純利益ベースのPER7.4倍を採用するとしている。目標株価3100
円は、21年3月期同証券予想の調整後連結一株利益417.6円に対し、調整後PER7.4倍を適用し算出されている。現行
株価と目標株価の乖離率がプラスマイナス15%未満であることから、「ニュートラル」に引き下げるとしている。
同センターでは、連結業務純益について、21年3月期9650億円(前期比9%減、銀行側計画は9700億円)、22年3月期
1兆170億円、23年3月期1兆710億円と試算。コロナ禍の影響は徐々にはく落を見込むものの、世界経済の回復は緩やか
であろうとし、同行の事業基盤である国内中堅・中小企業は低迷が続くと予想、グローバルCIBや海外S&Tの強化も課題とみ
られるとしている。
午後1時4分時点の株価は前日比2円安の3092円。 9/23 08:25
チームスピリ、三井住友が実施する「テレワーク導入支援プログラム」に参画
チームスピリット<4397.T>は前週末18日、三井住友フィナンシャルグループ(三井住友)<8316.T>および三井住友銀行が
実施する「テレワーク導入支援プログラム」に参画すると発表した。
「テレワーク導入支援プログラム」は、20年5月に厚生労働省が公表した「新しい生活様式」における「働き方の新しいスタ
イル」を受けて、三井住友グループおよび三井住友銀行が、テレワーク導入を進める国内中堅・中小企業を支援する企画。
同プログラムの主旨に賛同する事業者のサービスを三井住友グループの取引先が導入した際には、当該サービスにかかる
初年度の費用の一部を三井住友が銀行が負担するという。 生損保、運用難で配当狙い―相場下支え、一巡後警戒も(スクランブル)
2020/09/24 日本経済新聞 朝刊
4連休明けの東京株式市場は大方の予想に反して底堅い展開となった。月曜日に欧米市場の株価が大きく下げた流れを引き
継ぎ軟調な展開とみられたが、日経平均株価は小幅安で踏みとどまった。下支えしたのは運用難の生損保や地銀など国内機関
投資家による高配当銘柄の物色だ。ただ、9月末に向けた限定的な買いで一巡後に警戒感も漂う。
「今日も配当狙いで買いましたよ」。ある国内金融機関の運用担当者は明かす。23日の株式市場では、今期の配当利回りが5
%を超える三菱商事やソフトバンクが逆行高となった。中間配当狙いの買いが相場を下支えし、一時200円安まで下げた日経平
均株価の終値は13円安にとどまった。
東京証券取引所がまとめる投資部門別売買動向によると、3月や9月は例年、生損保などの大手機関投資家が現物株を買い越
す傾向が強い。「海外の機関投資家は配当狙いや決算対策のために意識して買うことは少なく、期末買いは日本特有の現象」(海
外保険会社の運用担当幹部)のため、日本市場と海外市場の連動性が薄れることがある。
□ □
さらに新型コロナウイルスの感染拡大で広がった各国の利下げや金融緩和で外債などの債券投資による運用益の確保も難しく
なっているのも連動性の乖離(かいり)を後押しする。配当の魅力が相対的に増し、「押し目買いのチャンスとみて慌てて動いた」(
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏)。
一方で、本来はこうした配当狙いの買いが入るはずの石油元売りや金融株は軟調な展開となった。「減配リスクの小さい企業が
物色対象となり、そうでない企業は対象から外される」(楽天投信投資顧問の平川康彦氏)との見方がある。
配当狙いの買いは、権利落ち日の来週火曜日以降に一巡する。10月以降に足元の水準を維持できるかどうかは不透明感が漂
う。
連休明けの株安懸念の発端となったのは、欧州のコロナ感染の再拡大だった。足元の世界の株式市場は「景気回復を期待して
9月に入って優勢だった景気敏感株の買いがしぼみ、再びハイテク株に買いの矛先が向かっている」(三菱モルガンの藤戸氏)傾
向がある。
□ □
日本では製造業購買担当者景況感指数(PMI)が好不調の節目とされる50を下回って推移し、景気敏感株が弱含んでいる。2
3日には代表的な景気敏感株の日本製鉄が5日続落した。
日本株は景気敏感株の比率が高く、アップルやアマゾン・ドット・コムを擁する米国や、アリババ集団や騰訊控股(テンセント)など
のある中国に比べてハイテク銘柄の厚さで見劣りする。「世界的な景気回復傾向が続く基調は変わらず、下値は限定的」(アリアン
ツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之氏)との見方は根強いが、国内勢の買いが止まったときのもろさも意識すべき
局面にさしかかっている。 米株安横目、粘る日本株―「3低」バネに伸びしろ期待(スクランブル)
2020/09/25 日本経済新聞 朝刊
日本株が粘りをみせている。23日に525ドル(1・9%)の下げとなった米ダウ工業株30種平均に対し、24日の日経平均株価
は258円(1・1%)安にとどまった。年明けからの日米の株価指数でみても、騰落率で日経平均が米ダウ平均を9月に逆転した。
過熱した米ハイテク株高の調整から日本株の相対的な底堅さがみえてきた。
「7月、8月に米国のハイテク株を買い上がったファンドの巻き戻しがまだ続いている。偏りすぎた修正だ」というのは野村証券の
高田将成氏だ。ヘッジファンドの持ち高をみると、この修正は10月初めまで続きそうだと同氏はみる。逆に多くの日本株は出遅れ
た分、「相対的に資金が向かいやすい」という。
□ □
日本株の底堅さが目立つ理由として市場でいま上がる説明には共通項がある。いろいろな「低さ」だ。
その一つは世界の投資家の日本株への配分だ。バンク・オブ・アメリカの9月のファンドマネジャー調査では、エネルギー株や銀
行株、国別では日本や英国の配分を絞っているとの結果だった。一方で回答者の80%が米IT(情報技術)株に過大なポジション
が集中していると認めており、逆回転が始まるや、待避先として日本株が浮上した。
次の低さは株価の評価だ。特にPBR(株価純資産倍率)からみて、日本株は万年割安株とされてきた。しかし、ウォーレン・バフ
ェット氏による商社株買いが市場での見方を変えた。「やはりインパクトはあった。そこから海外ファンドの知り合いから問い合わせ
が相次いでいる」(国内投信会社幹部)
バフェット氏だけでない。大量保有報告書をたどっても、中小型株を中心に多様なファンドの名が混ざってきた。
日本株投資の長いユーソニアン・インベストメンツを傘下に入れたグランサム・マヨ・バン・オッテルロー(GMO)は、中国塗料やト
ーセイの大株主で顔を出す。「日本は米国よりもかなり割安だ。コロナ禍でいったん不透明になったが、今後も企業統治改革が進
むとみている」(同社のドリュー・エドワーズ氏)
さらにもう一つ「低さ」を加えるなら、IT活用の低さを数えていいだろう。菅政権が掲げるデジタル庁創設に象徴されるように、コロ
ナ禍で露呈したのは日本のデジタル化の遅れだ。いまや「菅トレード」とも呼ばれ、IT分野の新たな担い手の企業群が東証マザー
ズ指数の高値をけん引するのは、その期待の表れだろう。
□ □
もちろん米ハイテク株高の行き過ぎの反作用にすぎなかったとなるかもしれない。「米ハイテク株の調整が一巡したあと再び、や
はり成長株優位か、割安株の巻き返しが続くかがぶつかる場面が来るだろう」(野村の高田氏)
大事なのは今の「低さ」を次の変化に生かし、うねりを日本の内側で作り出せるかだろう。「IT活用の加速など、日本株だからこ
そ買いたいと思う理由が強まれば投資家の関心はより高まる」(東京海上アセットマネジメントの中川喜久氏)。日本株に求められ
るのは自力で価値を高めて飛べる力だ。 電子決済、安全は相手任せ、口座不正出金で被害広がる、銀行・事業者、連携に死角。
2020/09/27 日本経済新聞 朝刊
NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」に端を発した預貯金口座からの不正出金被害が広がっている。ゆうちょ銀行では
PayPay(ペイペイ)など7種類のサービス経由で約6千万円の被害が出た。浮かぶのは銀行と決済事業者双方の安全対策の
不備と連携の死角が狙われる構図だ。各社は対策強化を打ち出すが懸念は残る。
同問題で最初に大きな被害が発覚したのはドコモだ。ドコモ口座の被害は24日午後8時時点で、2833万円だった。ただ、被
害は1件を除き不正対策を発表した9月10日以前に起きており、同社によると全35行でドコモ口座と銀行口座の新規の連携を
止めてからは新たな被害拡大の報告は無いという。
それでも不安が拭えないのは、過去に知らずに不正なドコモ口座をつくられ、自分の銀行預金がひそかに抜き取られていること
に気づいていない預金者が少なくないとされることだ。
加えて金融機関にも落ち度があることを示したのがゆうちょ銀のトラブルだった。同行ではドコモを含めた7種類のキャッシュレス
決済サービスでの不正引き出しが約6千万円(約380件)あった。最も古い被害は2017年7月で、3年以上前から断続的に被
害が出ていたことになる。
突出して被害が多い理由は安全対策の不備だ。被害が確認されていないメガバンクでは、決済サービスと預金口座の連携時
に、携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)などを使った2段階認証を導入している。預金口座から入金する際も一時的
に有効なパスワードを発行するなどの対策をとる。
ゆうちょ銀では12の決済サービスと連携しているが、こうした安全対策がとれていたのは2社分のみにとどまっていた。池田憲
人社長は24日の記者会見で「安全性に対するリスク感度が鈍かった」と不備を認めた。
ゆうちょ銀やドコモ口座など一連の不正引き出しに共通するのは、連携で生まれた隙を狙われた点だ。不正防止には自社と連
携相手双方の安全対策が欠かせないが、実際は連携先の安全対策は相手任せになっている。
ペイペイやLINEペイは登録時に携帯番号による認証を求めているが、「相手」のゆうちょ銀が口座番号と暗証番号があれば入
金可能にしていたため不正に使われた。ドコモの場合、メールアドレスだけで架空名義の口座登録ができ、そこにゆうちょ銀など
甘い金融機関のセキュリティーが重なり不正が拡大した。
銀行とキャッシュレス事業者は、安全上の懸念があるサービスを金融庁の要請で一時止めており被害がさらに広がるリスクは
小さい。ペイペイはSMS認証を導入していない金融機関には免許証やパスポートをスマートフォン経由で送る「eKYC」と呼ぶオ
ンラインでの本人確認を必須とした。
利用者保護は(1)登録や口座開設時の確認(2)口座の連携や入金時の確認(3)不正利用がないかの監視(4)不正が起き
たときの補償――を銀行と決済事業者双方が高いレベルで実現しなければ成立しない。決済サービスコンサルティングの宮居
雅宣代表は「2段階認証に加えて、eKYCなど多くの要素を組み合わせる必要がある」と指摘する。 中小、資金確保しやすく、金融庁が銀行の出資規制緩和議論へ、事業再生・承継支援促す。
2020/09/29 日本経済新聞 朝刊
金融庁の金融審議会は地方の中小企業支援を念頭に、銀行による出資の規制緩和などについて月内に議論を始める。新型コ
ロナウイルスで打撃を受けた地方経済の立て直しに向け、地方銀行が中小企業に出資し、事業再生や後継者への承継を支援し
やすい仕組みを検討する。デジタル関連の事業拡大策も議論する。来年の通常国会で銀行法改正をめざす。
「『ポストコロナ』社会の構築に向けて集中的に改革する」。菅義偉首相は16日の記者会見で、新型コロナ危機を克服し経済再
生に全力を尽くす覚悟を示し「規制改革を政権のど真ん中に置く」と訴えた。
新政権の発足後、金融分野でまず動き出すのが銀行の規制緩和だ。自民党が5月に出した提言を受けた作業で、菅首相の改
革姿勢を踏まえ議論は加速するとみられる。金融審は30日に開く作業部会で具体策の検討に着手し年内に方向性をまとめる。
地方や成長分野に銀行から必要な資金が届きやすい仕組みをつくる。
金融庁はコロナ拡大を受けて金融機関に対し、政府の実質無利子・無担保融資を使って、中小企業を中心に取引先の資金繰
りを支えるよう求めてきた。全国信用保証協会連合会によると、政府保証のついた借り入れに相当する保証承諾額は4〜7月で
累計約18兆円で前年同期の7倍超に上る。
ただコロナの収束時期が見えないなか今後は融資だけでなく、中小企業への出資など資本支援が不可欠になる。出資を受け
れば、返済に追われずに事業再生などに腰を据えて取り組める。金融審委員の翁百合日本総合研究所理事長は「コロナ後の産
業構造転換を支えるため金融も変化しないといけない」と指摘する。
金融審では中小・零細企業への出資規制緩和の具体策を検討する。
現在は銀行による事業会社への出資は議決権ベースで5%、銀行持ち株会社は同15%までしか株式保有を認めていない。
銀行が本業以外のリスクで健全性を損なわないようにするのが目的だ。
金融庁はこれまで、事業承継に限って投資子会社を通じた出資を5年限定で100%まで認めるといった特例を設けてきた。こう
した緩和策を事業再生やベンチャー支援などに広げる方向だ。銀行グループによるフィンテック企業などの設立については金融庁
への届け出だけで済むように改める。
銀行グループが持つ人材やデータ、システムなどの資源を活用しやすくする。現状はシステム開発や広告を手掛ける子会社は
売り上げの過半を銀行向けにしなければいけない規制があるが、このルールを見直す方向だ。低金利のなか、融資以外のビジ
ネスで稼ぐ力を高めてもらう。
一方で、フィンテック企業など事業会社による銀行業の参入に対しては一定の制限を設ける方向だ。米アマゾン・ドット・コムなど
国内外でIT(情報技術)大手が金融に進出するなかで、参入条件を厳しくする。
国際金融都市として日本の地位を高める制度づくりも進める。海外から投資ファンドなどを呼び込むため、日本に参入する際の
登録や検査・監督をすべて英語で対応できるようにする。同じグループの銀行と証券会社が顧客情報を共有しにくい規制の緩
和もめざす。
ただ一連の改革案では資金力を持つ銀行が有利な立場を生かし、産業界に対する支配力を強めるといった懸念も出ている。
こうした不安を払拭しながら、地方の再生につなげる金融インフラをどう構築できるかが論点となりそうだ。 みずほ20年コロナ後の進路(上)見果てぬ夢の「世界五指」、非銀行の成長見劣り。
2020/09/29 日本経済新聞 朝刊
第一勧業と富士、日本興業の3行が統合し、国内初の金融持ち株会社「みずほホールディングス」が発足してから29日で20年
となる。当時の首脳陣は「世界の五指に入る」理想を掲げたが、現実の収益力は日本の3メガバンクで3番目にとどまる。理想と現
実の落差が広がった歩みを振り返り、みずほの進路を探る。
その威容から「軍艦ビル」とも呼ばれた旧日本興業銀行の本店(東京・丸の内)跡地の再開発が30日に竣工する。都内に散らば
る銀行と証券、信託銀行の営業担当者が集結して戦略を擦りあわせる。自身も軍艦ビルで過ごしたみずほフィナンシャルグループ
の坂井辰史社長は「一体感を強め、顧客への提案力を高めたい」と期待を寄せる。
企業のM&A(合併・買収)では証券がファイナンシャルアドバイザーとして支え、銀行は買収資金のつなぎ融資を実行。財務の
回復へ資産売却が必要になれば信託銀行が仲介する――。これまで以上に「銀信証」の総力を合わせて収益機会を捉えようと、
信託ビジネスのあり方をめぐる議論が佳境を迎えている。
検討に携わる幹部は「信託銀行という器にこだわらず、機能としての専門性を上げてほしい」と注文をつける。みずほ信託の貸出
残高は今年3月末時点で4兆円。別の幹部は「信託が手掛ける企業向け融資をみずほ銀行に集約すべきだ」と畳みかける。
店舗の執務室を銀行の一角に収めて運営を効率化し、遺言信託や不動産仲介など強みを磨いて連結業績の最大化に貢献する。
そんな将来像に対し、業容の縮小につながりかねないと信託側は不安を募らせる。
それでも三菱UFJフィナンシャル・グループは信託銀行に企業向け融資から撤退させ、商業銀行へ移管する再編を一足早く実施
済み。信託ビジネスを含めた構造改革の成否はグループ統治の争点だ。みずほが銀信証の連携強化を志向するほどリースやクレ
ジットカードなど「ノンバンク」と呼ばれる分野の弱さが浮き彫りとなる。
とりわけリースは旧行ごとに有力な子会社を抱え、林立したまま。総資産を合わせれば10兆7千億円と首位のオリックス(13兆
円)に迫る規模なのに思惑がすれ違う。ある幹部は「旧行の有力者が子会社で腕を振るい、人事のしがらみもあって事業拡大の障
害になってきた」と打ち明ける。
最近3年間の連結業務純益に占める非銀行の割合は平均40%で、三菱UFJ(60%)や三井住友フィナンシャルグループ(49%)
を下回る。金融緩和の出口は見えず、「金利が上がれば収益も反転するという認識はもはやない」(リテール部門を統括する大塚
雅広専務)。それだけグループ戦略の重みは増している。
バブル崩壊まで株式時価総額で上位を席巻していた邦銀勢。世界の五指をめざしたみずほの志は日本経済の復活と重ね合わ
せていたはずだ。統合時に入行した中堅は「世界をめざす壮大さに触発されたのに」と戸惑いを隠さない。「強くなければ優しくなれ
ない」。かつての幹部が口にしていた言葉だ。新型コロナウイルスという新たな難題を前に、強さを手にするみずほの模索は続く。 NTT、3メガから4兆円、ドコモ完全子会社化、きょう正式決定へ。
2020/09/29 日本経済新聞 夕刊
NTTは上場子会社のNTTドコモを完全子会社にする。両社は29日朝、同日の取締役会で決定した場合に速やかに公表すると
発表した。一般株主が持つ3割強の株式をTOB(株式公開買い付け)で取得する。投資額は4兆円を超すとみられ、国内企業への
TOBとして過去最大となる。3メガバンクなどが邦銀として最大規模の協調融資を実行する。
29日午後にも記者会見する。NTTはグループ一体で次世代通信規格「5G」などに投資し、世界での成長につなげる。
NTTはドコモ株の66・2%を保有している。残り約34%の株式をTOBで取得する。TOB時には株価にプレミアム(上乗せ幅)を
乗せる。プレミアムが一般的な3割強とすると、買収規模は4兆円を超える。ドコモはTOB終了後に上場廃止になる見通し。
4兆円超という規模は国内企業に対するTOBとしては過去最大となる。M&A(合併・買収)でも、富士、第一勧業、日本興業の
3行の合併(現みずほフィナンシャルグループ)などの銀行再編に次ぐ規模だ。NTTは6月末で約1兆円の手元資金を持つ。買収
資金の多くは負債で調達するとみられる。
三菱UFJ銀行と三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクなどが総額4兆円以上の協調融資を実行する。邦銀による協調融資
として、これまでで最大規模となりそうだ。すでに各行は融資の意思を伝える書類をNTTに送っている。
返済期限が1年以内の短期資金とみられ、その間にNTTは長期融資への切り替えや、社債発行を検討するとみられる。協調融
資は3メガを中核とし、三井住友信託銀行や農林中央金庫など複数の金融機関が参加する。
完全子会社化によって菅政権が掲げる携帯電話料金の値下げに対応する。NTTはドコモの経営判断を素早くし、NTTコミュニケ
ーションズなど他のNTTグループ会社との連携を強化する。5Gやあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の投資を効率化して、値
下げの原資となるコスト削減につなげる。
加藤勝信官房長官は同日の閣議後の記者会見で、「(携帯電話)各社が国際的な料金水準なども参考にしながら、料金引き下
げを積極的に検討を進めることを期待したい」と述べた。
ドコモは電気通信市場における公正な競争の確保を掲げる政府措置により、1992年にNTTから分離した。設備投資に必要な
資金を調達するため、98年に東証1部に上場した。武田良太総務相は同日の記者会見で、「(当時とは)社会環境が違う」とし、
通信市場の競争を阻害しないとの認識を示した。
NTTは光技術を活用した次世代通信網を成長戦略に掲げる。完全子会社化でドコモの利益をすべてグループに取り込める。非
上場になり、収益悪化につながる値下げにも踏み切りやすくなるとみられる。 みずほ20年コロナ後の進路(中)鬼門のシステム立て直し、店舗の省人化急ピッチ。
2020/09/30 日本経済新聞 朝刊
みずほ銀行の中目黒支店(東京・目黒)では店頭手続きの変更に伴う研修が急ピッチで進んでいる。10月から来店客が店頭
に置かれたタブレットを操作すると、わざわざ窓口へ足を運ばなくても入出金や住所変更など多くの取引を済ませられるようになる。
取引に要する時間は約半分まで減り、来店客の待ち時間も短くなる。みずほは中目黒支店を皮切りに、年末までに国内の全店
舗で同様の手続きへ切り替える。それを支えるのが昨年7月までに移行を終えた新しい勘定系システム「MINORI」(ミノリ)だ。
これまで来店客が店頭で書いていた伝票類は、窓口の後ろに控える多くの事務員が業務用の端末にデータを打ち直していた。
今後はタブレットに入力された取引の内容をシステムへ直送し、人手を介さない「STP」(Straight Through Processing)化で
業務の効率を高める。
ITシステムを担当するみずほフィナンシャルグループ(FG)の石井哲専務は「必要な面積や働く人が格段に減り、店舗では資産
運用の相談などコンサルティングに専念できるようになる」と話す。ライバル行の幹部はアプリケーション(ソフトウエア)の開発費が
3割減らせるようになった点に一目置く。
みずほにとってシステムは鬼門だ。みずほ銀行とみずほコーポレート銀行が発足した2002年4月、東日本大震災が起きた直後
の11年3月にシステム障害が発生。金融庁から二度の業務改善命令を受けた。
再出発を期して11年に始まったプロジェクトは二度の遅れに見舞われ、当初3千億円を見積もった開発費は4千億円台半ばへ膨
らんだ。
「一体どんな会計処理をしているのか」。みずほが新しい勘定系システムを完成させる4カ月前の19年3月、4600億円の減損
損失を計上する見通しを明らかにすると銀行界が騒然となった。
16年4月にカンパニー制へ移行したみずほだが、複数のカンパニーをまたぐ資産は特定の部門にひも付けられてこなかった。カ
ンパニーごとにシステムがどう使われるか精査したところ、大半をリテール部門に帰着すべきだとの結論に至った。投資額の回収
が見込めなければ帳簿価格を落とす減損処理はリテールの苦境を物語っている。
実際に本業のもうけを示す業務純益は今期30億円の赤字を見込む。19年度に始まった5カ年の経営計画では23年度に同部
門の損益を1600億円の黒字にするのが目標だ。達成は容易ではない。
ある幹部は「(全国に張りめぐらせた店舗や人員の見直しで必要な経費を減らす)構造改革をやりきれるかどうかに尽きる」と指
摘する。業績の下振れにも耐えられるよう、追加の削減策も検討課題になってきた。
預金や融資、決済をつかさどる勘定系システムは業務手続きや働き方を規定する。ライバル行のシステムが30年以上前に稼
働が始まった第3次オンラインにとどまるなか、みずほはいち早く第4次へ移行した。手にした「強力な武器」(坂井辰史みずほFG
社長)をどう活用し、成長につなげていけるかが問われることになる。 みずほ20年コロナ後の進路(下)みずほFG・坂井社長、海外にめざすモデルない。
2020/10/02 日本経済新聞 朝刊
日本のメガバンクに新たな試練が訪れている。発足した当初は不良債権処理に追われ、2000年代後半には金融危機に見舞
われた。いまは低金利が定着し、異業種から金融をめざす動きも相次ぐ。みずほフィナンシャルグループの株式時価総額は統合時
から6割以上も下回り、市場の評価は厳しい。新たな銀行像の構築に腐心する坂井辰史社長に今度の展望を聞いた。
――この20年をどう振り返りますか。
「本当に山あり谷ありの20年。(分岐点と感じるのは)07年からの金融危機だ。金融が有効に機能せず、大変恐ろしい思いをし
た。それまで公的資金の完済やニューヨーク証券取引所への上場など上げ潮の時期もあったが、サブプライムローンでは大きな
損失を出してしまった」
「それでも(好況と不況を繰り返す)循環的なもので、より大きいのは20年続いた日本経済の低成長と低金利だ。コロナ禍で米
国の短期金利もゼロになった。金利のない世界で金融がどう業をなしていくのか、最も深刻で本質的な問題だ」
――金融危機の08年3月期決算で6千億円以上の損失を計上して資本を傷め、その後の再編に出遅れたとの指摘もあります。
「他メガより毀損が大きく、資本の余力にも影響があった。危機が去った後の大型再編で十分動けなかった面はあるかもしれない」
――リースやクレジットカードなどノンバンクの強化が課題です。
「成長の潜在力を捕捉しきれなかった点は否めない。現在の収益力や市場の評価が相対的に十分でないという強い問題意識
がある。それでも規模でこの経営環境を生き抜けるわけではない。付加価値を高め、顧客にとって力強くて競争力のある金融機関
であることのほうが重要だ」
――めざすモデルの金融機関はありますか。
「グローバルに経営動向を見ているが、いまそれはない。かつて日本から世界で戦おうとバルジブラケット(一流の投資銀行)を
めざした時期がある。英HSBCなどのように、新興市場の成長ポテンシャルを捉えるビジネスモデルにも注目していたが、いまは
多くの課題に直面している」
――かつて世界の五指入りを掲げていました。
「金融は実体経済の映し鏡だ。我々のマザーマーケットは日本で欧米とは経営環境が異なる。日本経済が成長するなかで、どう
存在感を高めていくかに尽きる」
――旧行意識が成長の妨げになっていませんか。
「帰属していた会社の強さを統合して外に発揮すべきだったが、内向きなことにエネルギーが割かれてしまった。それでも統合
から20年となり、全社員の7割弱がみずほ世代。いまだ旧行意識とか言うのは異様だし、実際にそうではない」
――坂井社長が描くみずほの姿とは。
「預金を集め、金利に癒やされるビジネスモデルから切り替える必要がある。スマートフォンを起点とした経済圏に、金融機能を
どうつなぐのかという観点からLINEやソフトバンクとの提携を決めた。いろいろな異業種と手を組み、次世代金融に転換していく」 7−9月銀行決算が株上昇の引き金にも−離陸に備えよと米アナリスト
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-10-06/QHR3E8DWRGGP01
大型銀行株と消費者金融株のアウトパフォームの始まりとなる可能性
選挙が近づいていることが「短期的な上げを抑制する可能性」も警告
7−9月(第3四半期)の銀行の業績について米国のアナリストらが予想の発表を始めているが、各行の決算発表が
株価上昇の引き金になる可能性があるという。
モルガン・スタンレーのベッツィ・グラセック氏は、7−9月の業績は「大型の銀行株と消費者金融株のアウトパフォーム
の始まり」となる可能性があるとして、「離陸に備えよ」とリポートで指摘。貸倒引当金の大幅な減少などを背景に、1株
(中央値)は前期比で133%増を予想する。
ベアードのデービッド・ジョージ氏は、引当金の負担が軽減されファンダメンタルズが改善しつつあるとして、1株利益は
上振れの可能性が高いとし、銀行株は「決算発表を通じて若干上昇」が見込まれると分析した。
同時に、選挙が近づいていることが「短期的な上げを抑制する可能性」を警告。「民主党大勝」シナリオの下での一段と
積極的な財政刺激策はマクロ経済成長に徐々にプラスの効果をもたらし、利回り曲線のスティープ化につながる公算が
大きいものの、同党が下院の過半数を維持してホワイトハウスと上院の過半数議席も獲得すれば法人税率引き上げリス
クが高まると指摘した。
KBWのサンジェイ・サクラニ氏は、7−9月について「引当金のピークと純金利マージン(NIM)の底は過ぎ、消費者金
融株にとって、業績正常化に向けた回復のスタートとなる」可能性が高いとの見方を示した。その上で、選挙関連ニュース
も株価動向に影響を与える可能性が高いとし、民主党圧勝は最悪のシナリオで、学生ローン、自動車ローン、クレジットカ
ードローンの順で大きく打撃を受けるだろうと分析した。 坂井氏、週休3〜4日制導入、太田氏、資金繰り支援に余力、中田氏、業界再編機運高まり(金融ニッポン)
2020/10/07 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)の太田純社長は新型コロナで経済が低迷していることに触れ「消費を刺激する施策
を採ってマインドセット(思考様式)を変える必要がある」と指摘した。打撃を受けた観光業などを念頭に「資金繰り支援は全力
でやる。それができる資本余力はある」と強調した。
太田氏は先行きについて「景気後退を背景にした低金利政策の長期化や米中対立の先鋭化、デジタル化への取り組みなど
大きなトレンド自体は変わらない」との認識を示した。 日銀・金融庁、時期・前提統一し検証、大手行の健全性。
2020/10/07 日本経済新聞 朝刊
日銀と金融庁は6日、2019年度に実施した大手銀行の財務の健全性を測るストレステストの論点をまとめた。これまで
各行が独自に検証していたが、両当局が定めた共通のシナリオに基づいて初めて分析。検証の時期や前提を統一すること
でリスクを把握しやすくなったという。今後、新型コロナウイルス流行を受けた経営状況も詳しく分析する方針。
対象は3メガ銀行グループと三井住友トラスト・ホールディングス、農林中央金庫。ストレステストは景気が大幅に悪化した
り、急速に株安・円高が進んだりした場合を想定して自己資本など銀行経営への影響を測る。
今回のテストは米金融危機並みのショックを想定し、19年度末時点で一斉に実施した。ただ足元で金融システムが安定
している点などを考慮し、結果は非公表とした。大手行の財務は健全性を保っており、早急な資本の積み増しは求められな
い見通し。 長銀レガシー復活か 地銀再編、菅・北尾会談で風雲急(永井洋一)
2020/10/07 09:56 日経速報ニュース
「7時33分、東京・虎ノ門のホテルで北尾吉孝SBIホールディングス社長と会食」――。6日朝、新聞朝刊に掲載された5日の
菅義偉首相の動静に目を落とした市場関係者の一人は直感した。「間近かもしれないな」
複数の地銀と連携する地銀連合構想を掲げるSBIがこれまでに出資した地銀は島根銀行や福島銀行など5行に上る。北尾氏
は、これを10行程度に広げる考えとされる。「第2ステップとして残りの銀行の名前や構想の具体像が近く、明らかになるはずだ。
そうなれば、他の地銀も再編に向け、走らざるを得なくなる」。前出の市場関係者は話す。
「地銀連合の『核』になるのでは」と一部でうわさされている銀行がある。SBIが3月末時点で9.5%(自己株を除く)出資する新生
銀行だ。
新生銀のPBR(株価純資産倍率)は0.3倍台。かたや地銀には、それ未満の銀行がゴロゴロある。三菱UFJモルガン・スタンレ
ー証券の辻野菜摘シニアアナリストは「新生銀が自社よりもPBRの低い地銀を株式交換方式で買収すれば、BPS(1株当たり
純資産)は濃縮化し、『新・新生銀株』は上昇する」とみる。新生銀は相対的にコストの低い資金を使って、「お値打ち」な資産を
買収することになるためだ。
新生銀は前身で1998年に破綻した日本長期信用銀行に優先株として注入された公的資金(3700億円、注入時)を完済してい
ない。優先株は普通株に転換され、3月末時点で政府の保有比率は20.3%(同)。一部減資や一部返済などを考慮した1株当た
りのコストは4624円だ(当時、政府が長銀からの回収目標とした5000億円を前提にすると7450円)。6日時点の時価(終値、13
39円)とは大きな開きがある。新生銀株の上昇は国民にとっても願ったりかなったりだ。このため、市場では「政府も後押しするだ
ろう」との読みが働いている。
長銀が発行した「リッチョー」や「ワリチョー」といった、かつての金融債を通じて築かれた地銀との関係は、いまも新生銀に残る
とされる。長銀のレガシーだ。SBIはこうした、新生銀と地銀の縁を生かしたいという思いも見え隠れする。
思惑はまだある。台湾経済紙の工商時報は先月7日、「中国信託金融ホールディング(CTBC)が新生銀の買収に動いている」
と報じた。報道によれば、日本政府の関係機関と連絡を取っているという。CTBCは東京スター銀行を傘下に置く台湾の金融大
手だ。
地銀再編はオーバーバンキングで経営体力がすり減った銀行を救済し、金融システム不安を防ぐだけが目的ではない。再編で
浮いた資本や人的資源を新規ビジネスの開発・推進に回し、地方に新たな雇用やサービスを増やす、いわば「リセット」が目的だ。
事業継承や相続相談、ビジネスの「異文化交流」や金融商品の提供など、地方にも潜在的な需要は少なくないが、1人の営業
員が数百の顧客を抱えるメガバンクや大手証券の地方支店では、そうしたサービスを十分に提供できていない。それを逆手にと
れば、地銀再生ののりしろは小さくない。例えば山口フィナンシャルグループ傘下の山口銀行は、社外取締役にリクルートジョブズ
の宇佐川邦子氏を招き人材紹介業に傾注している。
一方で、こうした地銀再生には人材や新規ビジネスを根気強く育てる時間が必要だ。マネックス証券の大槻奈那チーフ・アナリ
ストは「MBO(経営陣が参加する買収)による非上場化も有力な選択肢」とみる。地銀再編は、当事者や周辺の様々な思惑を巻
き込みながら、風雲急を告げている。 銀行、DX加速へ硬軟両様、三井住友銀、ネット口座未利用に手数料、オンライン化には特典、振込手数料無料など。
2020/10/08 日本経済新聞 朝刊
銀行が口座に手数料を課す動きが広がっている。三井住友銀行は7日、新規顧客の不稼働口座に対して手数料を徴収する
と発表した。一方、インターネットバンキングの利用者は対象から外し、銀行のデジタルトランスフォーメーション(DX)につなげ
る仕組みも取り入れた。収益環境が悪化する中、硬軟両様の顧客向け施策でデジタル化を加速させる。
三井住友銀が手数料を課すのは2021年4月以降に新たに口座を設ける人が対象。入出金などの取引が2年間ない場合、
口座管理のために年1100円の手数料を課す。ネットバンキングの利用者や口座残高が1万円以上の場合は対象外。紙の通
帳を利用する際も同550円かかるようにする。ともに18歳未満と75歳以上は対象外。
手数料については、みずほ銀行も21年1月18日から紙の通帳を希望する新規顧客は1冊につき1100円がかかるようになる。
三菱UFJ銀行も不稼働口座に課す手数料などを検討している。
一方で、メガバンクは手数料をきっかけに顧客のデジタルシフトの推進も促す。三井住友銀の場合は、手数料の対象となる新
規顧客でも、ネットバンキングを利用すれば振込時の手数料を22年3月末まで無料にする。みずほ銀も、通帳を発行しない場合
はパソコンなどで取引履歴を確認できる期間を最大10年と従来の3カ月から延ばす。
銀行がDXに取り組んでも、顧客がデジタルサービスに移行してくれなければおのずと限界がある。三井住友銀とみずほ銀は利
用者のメリットとデメリットを組み合わせて、ネット利用を促す。
こうした施策は、デジタルサービスの基盤を持つメガバンクならではともいえる。難しい判断を迫られているのが地方金融機関だ。
信用金庫では、朝日信用金庫(東京・台東)やしののめ信用金庫(群馬県富岡市)などが口座管理手数料の導入を決めており、
今年度末までに全体の約2割にあたる40超の信金が導入を予定する。地方銀行でも静岡銀行や山梨中央銀行が10月から同
手数料を導入。めぶきフィナンシャルグループ傘下の常陽銀行と足利銀行も4月に導入した。
ただし、デジタル化で遅れる地域金融機関は必ずしもメガバンクのようなメリットを同時に用意できるとは限らない。
貸出金利から預金金利を引いた「利ざや」は低下傾向が止まらず、全国の銀行の20年3月期の純利益は前の期比で5割減った。
今期はコロナ禍で貸し倒れに備える費用も増える見通しだ。手数料徴収が先行すれば顧客の反発が強まる可能性があるが、コスト
削減を優先せざるを得ない。
メガバンクも、思惑通りにDXにつながるかは不透明な要素も残る。手数料徴収の対象はあくまで新規顧客に絞られるためだ。
既存の契約者から手数料を取る場合は「不利益変更」になり手続きが煩雑になる。
海外では、一般的に口座維持にかかる費用を利用者が負担。米国の金融機関では比較的小口の預金者には月5〜20ドルの
口座維持手数料を課している。日銀によると、家計の消費支出に占める金融機関向け手数料の割合は0・01%。米国の0・23%
や英国の1・20%と比べても負担は小さく、手数料を取ること自体は国際的にみておかしくはない。
各行ともキャンペーンなどを通じてネットバンキング利用を促しており、三井住友銀は今年4〜6月のネットバンキング利用が前年
同期比で2割増えた。ただしこれは新型コロナウイルス禍による外出自粛という特殊要因もある。数でみると圧倒的に多い既存顧
客も含め、どうすれば銀行ビジネス全体のデジタルシフトを加速させられるのか。知恵を求められるのはこれからだ。 米銀主要5行、最悪期脱す、7〜9月、前期比で増益、貸倒引当金など減少、先行きには慎重姿勢。
2020/10/16 日本経済新聞 朝刊
【ニューヨーク=宮本岳則】米大手銀行の業績が最悪期を脱しつつある。JPモルガン・チェースなど5行は2020年7〜9月期
の純利益が前四半期を上回り、投資銀行業務が主力のモルガン・スタンレーは前年同期比で増益となった。新型コロナウイルス
感染拡大に伴う破綻への備えが一服した。ただ多くの経営者は景気の先行きに慎重だ。
米大手銀6行が15日までに20年7〜9月期決算を発表した。JPモルガンやバンク・オブ・アメリカなど商業銀の事業構成比が
高い主要4行の純利益合計は195億ドル(約2兆円)。コロナ感染拡大が続くなかでも、前四半期実績の2・7倍に増えた。
債券や株式など金融商品の売買を仲介するトレーディング事業が伸びたほか、貸倒引当金と貸倒損失を合わせた不良債権処
理費用(信用コスト)の計上が減った。
「マクロ経済が我々の想定通りに推移すれば、追加で貸倒引当金を繰り入れる必要はない」。米シティグループのマーク・メイソ
ン最高財務責任者(CFO)は決算説明会でこう述べた。7〜9月期に計上した信用コストは22億ドルで、前四半期に比べて7割
減った。
貸倒引当金は20年1〜3月期決算から米銀業績を下押ししてきた。年初に新しい引当金ルールが適用となり、失業率や国内
総生産(GDP)見通しなどを基に従来より前倒しで回収不能リスクを見積もるようになった。前四半期より経済見通しが悪化した
場合に引当金を積み増し、改善すれば過剰な引当金を取り崩し、利益計上できる。
大手4行の信用コストは、4〜6月期に合計で約330億ドルとなり、08年のリーマン・ショック直後の水準に膨らんだ。失業率
上昇でクレジットカード融資や住宅ローンの延滞リスクが高まり、小売りやエネルギーなど一部の企業向け融資でもデフォルト(債
務不履行)の可能性が出た。
7〜9月期はそうした巨額の引当金繰り入れを回避できた。6月時点の想定よりも景気見通しが悪化しなかった、または当初
予測よりも景気回復は早い、との見方が強まったのが大きい。
だが、総じて米銀は先行きに慎重な姿勢を見せている。政府や銀行の支援策が途切れ、貸出債権の毀損が一気に増えるケ
ースを警戒する。引当金も取り崩しを見送ったもよう。バンカメのブライアン・モイニハンCEOは「(融資が焦げ付いて)貸倒損失
の計上が本格的に増えるのは21年の半ばから」とし、景気回復の速度次第で経営破綻や個人破産が増える可能性を示唆する。
もとより低金利環境で本業の稼ぐ力は落ちている。企業や個人は銀行借り入れを減らしている。貸出金利は短期金利に連動
して下がりやすく、ネット銀行との競合で預金金利も下げにくいため、貸出金利と預金金利の差である「利ざや」も縮小が続く。
ウェルズ・ファーゴは厳しい事業環境が続くとみて、大胆なコスト削減策を打ち出した。20年7〜9月期はリストラ費用として
7億1800万ドルを計上。営業や管理部門の人員削減に加え、不動産の売却が含まれているようだ。チャールズ・シャーフCEO
は14日の決算説明会で「21年半ばまでリストラプロジェクトは続く」とした。 石炭火力融資、ゼロ目標、3メガ銀、実現へ意欲強調。
2020/10/16 日本経済新聞 朝刊
温暖化ガスの排出が多い石炭火力発電所向けの融資で、3メガバンクがそろって残高をゼロとする目標を掲げる。三菱UFJフィナン
シャル・グループ(FG)は2040年度をメドに残高をなくす方針を示す。19年5月に新規の投融資を原則として停止することを表明して
おり、残高削減の目標を明確に示し実現への意欲を強調する。
三菱UFJの石炭火力を対象とした事業融資(プロジェクトファイナンス)の残高は20年3月末で約36億ドル(約3800億円)。すでに
契約している分などを除き新規の融資実行をやめ、段階的に残高を減らす。
表明済みのみずほFGと三井住友FGに次ぐ動きとなる。達成時期は、三井住友が40年度をメドとし、50年度をメドとしていたみずほ
も40年度への前倒しを視野に入れている。投融資の原則停止についても3社で同様の方針を示している。
石炭火力を巡っては、気候変動への取り組みを重視する投資家や環境団体から批判が強まっている。融資残高が欧米の金融機関
に比べ多いとされる邦銀グループは、対応をより明確にするよう求められている。
みずほFGが6月に開いた定時株主総会では、NPO法人が株主提案を提出。気候変動の経営戦略を開示するよう定款の変更を求
めたが、否決された。
石炭火力への融資制限は欧米の金融機関が先行する。仏BNPパリバなどは石炭火力事業が売上高に占める割合が高い電力会
社などに、企業向け融資にまで踏み込んで制限をかけるとしている。 邦銀、年末越えのドル調達しやすく 上乗せ金利低水準
2020/10/21 20:30 日経速報ニュース
邦銀のドル調達環境が例年になく落ち着いている。秋は年末を越えるためのドル資金確保の動きが活発となり、邦銀が円をドルに替える
際の上乗せ金利が上がりやすい。ところが足元の同金利は、10月としては7年ぶりの低水準にとどまる。背景には何があるのか。
市場でドルを調達する際、邦銀は出し手である海外の銀行に対して調達コストを支払う。このコストはドルと円の短期金利の差に、需給に
応じて変動する「ベーシススワップ」と呼ばれる上乗せ金利を合計したものだ。
市場でドルをやりとりする期間は3カ月程度が多い。例年は10月を過ぎると邦銀が年末を越えるためのドル資金確保に動き、上乗せ金利
が上昇する傾向にある。
だが今年は様相が異なる。円をドルに3カ月間替える際の上乗せ金利は足元で0.2%程度で推移。0.4%程度だった2019年10月の半分ほ
どにとどまり、10月としては13年以来7年ぶりの低水準だ。邦銀にとって例年にないほどドルを調達しやすい環境にある。
背景にあるのが中央銀行によるドル供給だ。世界的に新型コロナウイルスの感染が拡大した3月には、企業の間で手元資金を確保する動
きが相次ぎ、基軸通貨であるドルの需給が逼迫した。
そこで日銀など主要5中銀は3月、米連邦準備理事会(FRB)と協調して市場にドルを供給する枠組みを拡大。民間銀行が中銀からドルを
調達する際の金利を引き下げたほか、それまで実施してきた1週間物よりも期間が長い3カ月物のドル供給オペ(公開市場操作)を設定した。
こうした施策が功を奏し、市場は4月以降に安定を取り戻した。日銀によるドル供給への利用額をみると、3月のピーク時には3カ月物ドル
供給オペに1回あたり738億ドル(約7兆7000億円)の応札があったが、9月下旬以降は応札ゼロが続いている。
コロナ禍を受けてFRBが相次ぎ打ち出した金融緩和もドル需給の緩和につながっている。FRBは社債やコマーシャルペーパー(CP)など
の買い入れを強化し、米国内では「ドル余り」の状態だ。
だが世界的に低金利環境が広がるなか、余ったドルの運用先は限られる。野村証券の中島武信氏は「邦銀にドルを提供すると足元で(日
米金利差に上乗せ金利を加えた)0.5%程度の利回りが見込める。ドルの出し手が増え、上乗せ金利の上昇が抑えられている」と指摘する。
足元では欧米を中心にコロナの感染が再拡大しつつあるなど景気の先行きは見通しにくく、中銀も当面警戒を続ける公算が大きい。FRB
は少なくとも23年までゼロ金利を続ける方針を打ち出している。長期にわたる緩和であふれたドルが邦銀の調達市場に流れ、ドル調達コスト
の低位安定はしばらく続きそうだ。
一時期より利用の減ったドル供給オペでも、各国中銀は市場が再び混乱するリスクを避けるため、枠組みを当面維持する姿勢だ。大手銀
行の市場部門担当者は「バックストップ(安全策)としてのオペの存在そのものが、上乗せ金利の上昇を今後も抑制する」とみる。
ドル調達コストの低下は、出し手である外銀の投資行動も変えている。これまで外銀は手持ちのドルを高い利回りで円に替え、その円で日
本の国庫短期証券(TB)を買っていた。このため例年は秋になるとTB利回りが低下していた。
だが、上乗せ金利が低い今年は「海外からみたTBの投資妙味が薄れている」(短資会社)といい、足元でTB利回りは上昇している。ドルを
取り巻く環境の変化は、他の市場にも影響を与え始めている。 銀行の店舗集約、聖域なく 日立や八幡 企業城下町も
2020/10/21 20:00 日経速報ニュース
大手行による聖域なき店舗の再編が本格化している。みずほ銀行は10月に入り、親密な大企業の創業地で複数の有人店を同じ県内の
支店に集約した。メガバンクの店舗は中心市街地の象徴的な存在でもあり、とりわけ地方では存続を求める声が根強い。各行はインターネ
ットバンキングの機能拡充を図りながら、店舗の収益見通しに応じた合理化を進める構えだ。
みずほ銀行の日立支店(茨城県)では20日、運送会社の作業員がオフィス機器を搬出する作業を続けていた。同支店は12日にJR常磐
線の各駅停車で30分程度の水戸支店に吸収され、店内にはATMと通帳繰越機だけが残されている。
みずほは同じ日、日立支店に加えて八幡支店(福岡県)を北九州支店、久留米支店(同)を福岡支店に集約した。いずれも日立製作所や
日本製鉄、ブリヂストンといった親密な取引先の子会社、協力企業が集積する産業の中心地から店舗を引き揚げたことになる。
福岡支店に統合された久留米支店は、前身の第一銀行が約100年前の1919年に開設。黎明(れいめい)期からブリヂストンを支えてきた。
戦火の空襲にも耐えた社屋は街の象徴だっただけに、ネット上でも移転を惜しむ声が相次ぐ。
大企業との取引は支店でなく、主に都市圏の法人営業部が担っており、最前線の店舗がなくなることに伴う直接的な影響は限定的だ。顧
客に手間が生じないよう、集約の対象となった店舗の名称や預金口座の番号が変わらないようにしている。
それでも各支店から工場や事業所に足を運び、口座開設や住宅ローンの融資、退職金の運用などを提案する営業は支店の銀行員が手掛
ける。店舗の移転でこうした実動部隊が手薄になりかねない。「地元企業から苦言を呈されることもあった」(関係者)という。
大手行は店舗網を見直す作業のまっただ中にある。三菱UFJ銀行は2023年度末までに店舗数を17年度末時点から200店程度(約40%)
減らす方針だ。500カ所にのぼる拠点数を24年度までに130カ所減らす計画のみずほも引き続き移転の検討を進めている。
名門という意味で話題を集めたのが、三菱UFJ信託銀行による長崎支店の移転だ。18年9月に福岡支店へ集約した。三菱グループにとっ
て長崎は三菱重工業が造船業を興した創業の地。店舗を訪れる顧客が減少の一途をたどるなか、各行とも採算性に応じて厳しい判断を迫ら
れている。
地元からの反発も予想されるが、みずほの幹部は「スマートフォンやパソコンを使った取引の利便性を高めたり、訪問を充実させたりすること
で不便をかけないようにしたい」と話す。きめ細かな対応や説明がこれまで以上に求められる局面が増えそうだ。 相場支える出遅れ生保 買い余力、配当利回り狙う
2020/10/22 20:30 日経速報ニュース
日本株の底堅い展開が続いている。新型コロナウイルスの感染再拡大が続く欧州や大統領選を控えた米国に比べて、不透明要素が少ない
日本株が海外勢に選好されているとの見方は多いが、見逃せないのが国内の機関投資家だ。特に「二番底」への警戒で出遅れも目立つ生保
はなお買い余力を残す。株の配当利回りに着目せざるを得ない環境下で相場を下支えしている。
22日の東京株式市場で日経平均株価は165円(0.7%)安の2万3474円で取引を終えた。米ダウ工業株30種平均の先物が前日比200〜300
ドルほど下げ、円相場も前日から50銭ほど円高・ドル安の水準で推移した割に日本株の下値は限られた。日銀の株価指数連動型上場投資信
託(ETF)買いが入った影響もあるが、下値で買いたい投資家が多いのも一因だ。
「上半期は見通しを外してしまった」。大同生命保険の高橋賢哉運用企画部長は苦笑交じりに話す。20年度の当初計画では日本株の残高を
維持するか増やす計画だったのに対し、結果的に上半期は日本株の残高が50億円減少。「一本調子で上がっていくのを見て、高値圏で割高と
判断して売ってしまった」(高橋氏)
大規模な金融緩和と財政出動に支えられ、株価は3月の急落を底値に上昇を続けた。欧米に比べてコロナ禍の影響が小さい日本では足元
の相場はコロナ前の水準を回復、年初来高値に迫っている。待ち構えていた買い場は訪れず、結果として相場の動きに出遅れた。
機関投資家が対象のQUICKの6月の調査で、二番底が「9〜12月に来る」と答えたのは35%、「8月までに来る」との回答は31%で、いずれ
も「二番底はない」との回答(26%)を上回っていた。経験豊富な生保などの機関投資家はもう一段の下値を探る局面が来ると身構えていたが、
当てが外れた格好となった。
東京証券取引所の投資部門別売買状況を見ても、生損保は3月の底値から8月までほぼ常に売り越し、経済活動の再開が見えた9月に入っ
て5週間連続で買い越しに転じた。足元で米大統領選を前に買いづらい局面に入り、いったん買いの手が緩んではいるが、水面下で買いに意
欲を見せている機関投資家は多い。
富国生命保険は20年度に200億円を積み増す計画だったのに対して、すでに300億円増と計画を上回る日本株買いを実行。だがそれでも「リ
スクを取る余力はある。下半期も下がった局面では計画に固執せず買っていきたい」(富国生命の小野寺勇介財務企画部長)と積極的な姿勢
だ。
太陽生命保険の本田孝宏運用企画部長も「上半期にも買ったが、下半期も配当利回りに着目して、調整局面では押し目買いのスタンスは維
持する」と話す。
低利回り時代における収益の確保を目的に、リスク許容度の範囲内での日本株への投資からは避けて通れないとの見方が多い。
東証1部の売買代金は9営業日連続で2兆円を下回り、11月3日の米大統領選を前に市場参加者の様子見姿勢は一段と強まりつつある。た
だ、相場波乱が生じた際に下値を支える国内機関投資家の買い意欲は衰えていない。こうした根雪のような買い意欲が途絶えない限り、日本
株の底堅さは続きそうだ。 銀行、自己資本比率悪化へ、日銀試算、大手行、最大4.6ポイント低下、融資慎重なら経済再生の重荷。
2020/10/23 日本経済新聞 朝刊
日銀は22日公表した金融システムリポートで、新型コロナウイルスの感染拡大が銀行経営に与える影響の分析結果をまとめた。景気の
回復が滞ると、貸し倒れに備えた与信費用の増加などで大手銀行の自己資本比率が2022年度に最大4・6ポイント下がると試算した。銀
行が融資へ慎重になれば、経済再生の足かせになると警鐘を鳴らした。
日銀は金融システムの安定性を評価・検証するため、同リポートを半年に1度公表している。今回は前回4月よりコロナ禍の影響を詳しく盛
り込んだ。
まず挙げたのが企業の資金繰り支援策などの効果だ。政府が利子を補給する実質無利子・無担保融資や給付金などの制度を踏まえ、「
円滑な金融仲介機能が維持されている」と評価した。日銀はこうした企業向けの支援策が無かった場合、赤字企業の割合が中小で40ポイ
ント以上上昇し、およそ4分の3が赤字になると試算した。
先行きはコロナ禍の収束が見通せず不透明感が強まっている。日銀は今後の実体経済の回復速度などを4つのシナリオに分け分析。景
気の持ち直しが順調に進んだり、感染再拡大で経済活動が厳しく制限され停滞したりするシナリオを示した。
今後、景気の回復が遅れれば貸し倒れに備えた与信費用が一段と膨らむ。最も厳しい見通しである経済活動が停滞するリスクシナリオで
は、22年度までに貸出残高に占める信用コストが国際的に展開する大手銀行で2%超、地方銀行などの国内基準行で3%超増える。大手
企業に比べて中小企業の手元資金は少なく、特にコロナ禍の影響が大きい飲食や宿泊業で大幅な減収が続く見通し。先行きの収益回復が
見込めなければ「廃業を選択する企業も少なくない」と指摘した。
信用コストが膨らめば、銀行の財務にも響く。リスクシナリオでは、大手銀行の自己資本比率が22年度に7・6%と19年度と比べて4・6ポ
イント低下すると試算。地方銀行などでは7・1%と同2・8ポイント下がるとした。いずれも健全性の基準を上回るものの、大手行ではあらかじ
め自己資本を規制より厚く積む際の目安となる8・5%を下回る。
日銀は自己資本比率が低下すると、銀行が貸し出しに慎重になるリスクを警戒する。一般的に同比率が8%を下回ると、銀行は貸し出しを
減らす傾向がある。日銀は景気回復が停滞するシナリオの場合、22年度に大手行の国内向け融資や地銀の貸出残高が前年を下回るとの
試算も示した。
収益を支えてきた有価証券運用にも懸念が高まる。低金利で本業の融資から得る収益が低下するなか、債券や株式など有価証券を決算
前に売却する「益出し」の余力が乏しくなっている。
日銀が算出した益出しの余力を示す値がマイナスになっている地銀は6月末時点で約10%と、18年度末(約3%)から大きく上昇した。信
用金庫は15%がマイナスだ。世界の中央銀行による金融緩和で国債の利回りが急低下しており、リターンを求めて高リスク投資を増やせば
金融システムの安定を損なう懸念もある。 3メガ銀、シーテック参加見送り、きょう閉幕、オンラインの効果疑問視。
2020/10/23 日本経済新聞 朝刊
23日閉幕する家電やIT(情報技術)の見本市「CEATEC(シーテック)」。今年は3メガバンクがそろって参加を見送った。数年前は各社が
次世代金融をテーマに競ったが、新型コロナウイルス禍のオンライン開催では目に見えないサービスを説明するのは難しいと判断した。
2017年から3年連続で出展していた三井住友フィナンシャルグループ(FG)と、みずほFG傘下のみずほ情報総研が参加を見送り、三菱U
FJFGも2年連続で不参加とした。金融ではクラウドサービスを展示するアマゾン・ウェブ・サービス・ジャパン(東京・品川)だけが出展した。
展示会はスマートフォンなどを実際に操作し、フィンテックの利便性を実感してもらうにはいい場だった。ある関係者は「隣で担当者が説明す
るのが欠かせない」とオンライン開催での不利を説明する。各社ともコスト削減を進めており、効果が薄い展示会に費用を投じにくかった面も
ある。
出展を続けるには目新しいサービスも問われる。三菱UFJは17年、開発中のデジタル通貨「MUFGコイン」を初めてお披露目した。ブロッ
クチェーン(分散型台帳)技術を使った決済や送金の手段として関心を集めた。ただ、サービス提供は始まっておらず、リクルートとの共同出
資会社を通じて20年度後半の開始を目指している。
銀行業界では「自信を持って独自性を主張できるサービスはまだ多くない」との声も聞かれる。日銀が中央銀行デジタル通貨(CBDC)の
実証実験を発表するなど、各行とも先行きの様子を注視している段階。シーテック不参加からは3メガバンクの難しい立場が浮かぶ。 三井住友銀が窓口「現金レス」、7割の300店舗、22年度までに。
2020/10/25 日本経済新聞 朝刊
三井住友銀行は全体の7割以上にあたる国内300店舗の窓口で、2022年度までに現金の受け渡しを取りやめる方針だ。現金のやり
とりは原則、高機能ATMで代替し、人員は資産運用の相談にシフトする。キャッシュレス決済の普及が加速するなか、店舗の役割を見直
す動きが広がっている。
銀行の窓口では口座への入出金や税金の納付などに対応するため多数の行員を配置している。現金の取り扱いは減ってきたものの、
常に一定の現金を用意しておく必要があるため効率が悪い。
三井住友銀行は約400店ある国内店舗のうち約300店を、窓口の行員が原則、現金の受け渡しをしない「現金レス」にする。ネットバン
キングなどキャッシュレス化を進める。現金のやり取りが必要な際は、税公金の支払いなどにも対応した高機能ATMと呼ぶ次世代端末で
する。キャッシュカードを持ち合わせていない場合や取扱額が高額なときなどは、窓口の行員がQRコードを発行し顧客がATMに読み込ま
せて入出金する。
三井住友銀行はすでに都内の一部店舗で試行しており、顧客の反応を見ながら順次、拡大する方針だ。ATMの管理は専門の事業者に
委託し行員の負担を減らす。
新生銀行など一部の金融機関は現金を取り扱わない「完全キャッシュレス」の店舗を展開している。三井住友銀行は高齢者などへの配慮
からATMで現金に対応する手段も残す。 ◎九●●「盗聴盗撮犯罪者の高添沼田ハゲエロ老義父の逮捕を要請します」
九●●の住所=東京都葛飾区青戸6ー26−5 ※盗聴盗撮犯罪者でいつもタバコを吸うふりをして高添沼田と清水の家の中をのぞいている
◎盗聴盗撮つきまとい嫌がらせ犯罪者/アナル挿入食糞愛好家で息子の嫁で自慰行為をしている高添沼田ハゲエロ老義父
高添沼田ハゲエロ老義父の住所=東京都葛飾区青戸6−26−6
【通報先】亀有警察署=東京都葛飾区新宿4ー22ー19 рO3ー3607ー0110
盗聴盗撮つきまとい嫌がらせ犯罪者/アナル挿入食糞愛好家で息子の嫁で自慰行為をしている高添沼田ハゲエロ老義父の盗聴盗撮つきまとい嫌がらせ犯罪者/愛人変態メス豚家畜清水婆婆(青戸6−23−19)の
五十路後半強制脱糞
http://img.erogazou-pinkline.com/img/2169/scatology_anal_injection-2169-027.jpg
アナル挿入食糞愛好家で息子の嫁で自慰行為をしている高添沼田ハゲエロ老義父によりバスタブで清水婆婆の巨尻の肛門にシャワーのキャップをはずしてずっぽり挿入。
そして、大量浣腸。 勢い良く噴出!腸内洗浄状態です。
http://101.dtiblog.com/b/bodytk9690/file/kan01.jpg
浣腸器と異なりどくどくと直腸内に注入され清水婆婆は激しくあえぎます
「お腹が痛い」といったところでアナル挿入食糞愛好家で息子の嫁で自慰行為をしている高添沼田ハゲエロ老義父の命令により数分我慢させます。
http://101.dtiblog.com/b/bodytk9690/file/kan02.jpg
アナル挿入食糞愛好家で息子の嫁で自慰行為をしている高添沼田ハゲエロ老義父の排出命令で出します
アナル挿入時にチンポに清水婆婆のウンコがつくのを嫌がるアナル挿入食糞愛好家で息子の嫁で自慰行為をしている高添沼田ハゲエロ老義父のために
最低5回はくりかえします
きれいな水だけになりその後ローションをたっぷり肛門に塗り込み
アナル挿入食糞愛好家で息子の嫁で自慰行為をしている高添沼田ハゲエロ老義父によるアナルプレーが始まります
http://101.dtiblog.com/b/bodytk9690/file/kan03.jpg 銀行店舗、機能別に再編、専門磨き収益向上―りそな、260店集約へ、中核店で企業融資、みずほ、来春から法人・個人を分離。
2020/10/27 日本経済新聞 朝刊
大手銀行が都市圏の店舗を法人向けと個人向けに再編する。りそな銀行は近接の店舗を束ね、企業向け融資を担う中核店をつくり、
周辺の店舗を個人型とする。みずほ銀行も幅広いサービスを提供する総合店から転換し、法人と個人にそれぞれ業務を絞った運営を
本格化させる。地域特性に応じ専門性を磨き、顧客への提案の質を高め、収益力を向上させる狙いだ。
りそなは3〜4程度の店舗を集めた「エリア」のうち、中核店が中小企業向けの融資や不動産仲介を手掛け、資産運用や住宅ローン
の相談などは個人店で担う運営に切り替える。個人店に変えた店舗でも法人向けの入出金や振り込み、税公金の支払いなど基本的
な業務には応じるという。
すでに10月から、都内の「渋谷・目黒エリア」で渋谷支店を中核店とし、周辺の中目黒支店を個人向けとする運営へ先行的に移行し
た。店舗網を保ちながら来年春に本格的な再編へ踏み切り、2022年春までに首都圏と近畿圏の約260店で集約を終える計画だ。
みずほは来年春から首都圏と近畿圏で、個人型の「みずほライフデザインプラザ」か中堅・中小企業け向けに特化した店舗へ順次改
める。まず今年10月に都内の恵比寿と目黒、麻布、広尾の各支店を個人向けとした一方、法人向け業務の大半を六本木支店へ集約
した。
同じ地域内で法人向けの融資などを手掛ける担当者をひとつの店舗に集め、円滑な情報交換や若手への教育を強化。企業に対する
提案の幅を広げ、収益機会を追求できるようにする。運営の見直しが企業の負担とならないよう銀行の担当者は原則変えない方針だ。
三井住友銀行は約400店のうち、23年春までに4分の3程度を個人の資産運用などコンサルティングを専門とした店舗に切り替える
予定。三菱UFJ銀行も24年春までに全体の約4割にあたる140店程度を大幅に業務を絞った店舗とする計画で、一部を相談業務に
特化した形態に改める。
各行が店舗の役割を見直すのは、あらゆる業務を担う均質的な総合店が逆に弱みとなりかねないからでもある。
企業の経営課題は取引先の開拓や後継者の育成、利益の確保など多岐にわたる。ある大手行が約1万の中小企業に自社の課題を
尋ねたところ、銀行の本業である資金調達を挙げた経営者は20%程度にとどまった。
事業主が銀行に求めるのは、ビジネスマッチングによる取引先や販路の紹介、事業承継への備えなど高度で複雑になっている。大手
行の幹部は「なんでも器用にこなせるだけではこれから通用しなくなる」と危機感を隠さない。一方で個人向けの店舗では、老後に備え
た資産形成など専門的なコンサルティングがこれまで以上に求められる。
「年商10億円以上の企業が地域内に少ない」「金融資産を持つ富裕層が他地域より多い」など、立地や地域特性に応じて各店舗の
役割が明確になれば業務の効率化も進めやすくなる。
全国銀行協会の統計から算出すると、大手行の業務粗利益に対する経費の比率(経費率)は19年度に65%と4年前から約10ポイ
ント上昇している。長引く低金利で収益の確保は難しさを増しており、店舗のスリム化には経費を下げたい銀行側の事情も透ける。 2020年10月30日11時15分
メガバンク揃って頑強な値動き、7〜9月期米GDP受けた米長期金利上昇が追い風
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>、三井住友フィナンシャルグループ<8316>、みずほフィナンシャルグループ<8411>の
メガバンク3社が、全体軟調地合いのなかでいずれも前日終値を上回る水準で頑強な値動きをみせている。
前日の米国株市場ではシティグループやJPモルガンなど大手金融株が買い優勢となり全体相場押し上げに寄与した。7〜9月
期の米GDPが市場予想を上回る急回復を示すなど景気に対する過度な不安が後退し、米長期金利が上昇したことが追い風とな
っている。米10年債利回りは29日終値ベースで0.82%台まで急速に戻した。
東京市場でも米国事業を展開するメガバンクには追い風材料となっている。 企業の今期予想、上振れが下振れの3倍 増益率は4.8% 決算前半戦レビュー
2020/11/02 07:47 日経速報ニュース
上場企業の2020年4〜9月期の決算発表が前半のピークを終えた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で業績には逆風が吹く。
だが期初に立てた21年3月期通期の見通しを上方修正するケースが目立っている。株式市場は予想の上振れを好感し、地合いが悪い
なかで日本株の相対的な底堅さを演出している。
QUICKが10月30日時点で集計したところ、2021年3月期の営業利益が前期を下回ると予想する企業は1213社で、上回る企業は518
社となった。全体の営業利益は前期比32.5%減る計算になる。コロナ禍で設備投資が控える動きが広がったり、外出自粛で交通量も減
ったりするなど、経済活動が大きく抑制された影響が出ている。
一方、期初の予想と比べて営業利益を上方修正した企業は260社と、下方修正した80社の3.3倍に上る。期初比の増益率は4.8%だ。
新型コロナという未曽有のショックで、期初時点では世界経済や経営環境の先行きは見通しにくい。保守的な予想を示していたが、4〜
6月期に業績の底を迎えていたことが分かり、先行きの見通しを引き上げた企業が多いようだ。
市場で驚きの声が集まったのがファナック(6954)。連結営業利益は3%減の854億円と、385億円としていた従来予想の2.2倍に引き
上げた。中国市場の回復で工作機械の需要増加が著しい。中国向けに生産設備を納める企業で追い風が吹いている。
ソニー(6758)は10月28日、連結純利益が前期比37%増の8000億円と、従来予想の12%減の5100億円から引き上げた。ゲーム部門
が伸び、米中貿易摩擦の打撃を受ける画像センサーの不調を補った。一転増益となったことを市場は好感し、29日にソニー株は一時7%
高になった。
上方修正した銘柄への買いが相場全体を下支えする。日経平均株価は10月に月間で0.9%下落した。ただ、米ダウ工業株30種平均が
4.6%下がったのと比べると傷は浅い。好決算銘柄を物色する決算プレーが下値を堅くしている。
ただ、上方修正しても必ず株高になるとは限らない。武田薬品工業(4502)は10月29日に連結純利益が前期比2.8倍の1240億円になる
見通しを示し、従来予想から320億円引き上げた。ただ、物足りないとして市場は売りで反応。30日は6%安となった。
今回初めて通期見通しを発表した企業も多く、全体の傾向が当初計画から上向いているとは言い切れない。新型コロナは欧米で再び猛
威を振るい、米国では感染者数が再び拡大。米大統領選も見通せない。足元で業績の上振れ期待が広がるが、油断は禁物だ。 2020年11月04日08時51分
三井住友---シグナル転換のタイミング近づく
足元では緩やかな調整トレンドを形成しており、下降する25日線に上値を抑えられている。ただし、7月安値接近によるボトム形成が
意識されるほか、直近の上昇で25日線を捉えてきており、これを上放れてくるようだとシグナルがやや好転してきそうである。
一目均衡表では雲を下放れているが、雲下限に接近してきている。11月半ばには雲のねじれが起きるため、シグナル転換のタイミン
グにもなろう。 2020年11月04日09時10分
三菱UFJなどメガバンクが高い、米10年債利回り急上昇で米金融株高に追随
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>、三井住友フィナンシャルグループ<8316>、みずほフィナンシャルグループ<8411>の
メガバンク3社がいずれも買い優勢の展開となっている。
米大統領選はバイデン氏の勝利とその後の大型財政出動を金融市場が織り込みに行く動きにある。米10年債利回りは足もと
上昇傾向を強めており、3日終値ベースで0.896%と約5カ月ぶりの水準で0.9%台が目前となっている。
これを背景に米国株市場ではゴールドマン・サックスやJPモルガンなど大手金融株が大きく買われており、これを受け東京市場
でもメガバンクに投資資金が集まっている。 三井住友◆今日のフィスコ注目銘柄◆
三井住友<8316>
足元では緩やかな調整トレンドを形成しており、下降する25日線に上値を抑えられている。ただし、7月安値接近によるボトム形成が
意識されるほか、直近の上昇で25日線を捉えてきており、これを上放れてくるようだとシグナルがやや好転してきそうである。
一目均衡表では雲を下放れているが、雲下限に接近してきている。11月半ばには雲のねじれが起きるため、シグナル転換のタイミン
グにもなろう。 住宅ローン、アプリで完結、三井住友銀、ネット銀に対抗。
2020/11/05 日本経済新聞 朝刊
三井住友銀行は2021年度にも、住宅ローンの手続きを専用のスマートフォンアプリで完結できるようにする。デジタル対応を強化し、
住宅ローンの主要客である若年層の取り込みを図る。
11月下旬に手続きを行うアプリの配信を始める。21年度にも押印や署名が不要になる「電子契約サービス」を導入し、アプリ上で全て
の手続きを終えられるようにする。
住宅ローンを申し込むには現状、審査か契約の段階で銀行の担当者と直接面談する必要がある。契約内容の理解を深めてもらうほか
、団体信用生命保険の加入に伴い、家計の見直しなどを提案する狙いがある。こうしたやりとりをウェブ会議やチャットなどアプリ上の機
能などで代替できるようにする。
住宅ローンの分野はインターネット銀行との競争が激しい。ネット銀の多くは変動型で年0・3%台の低金利を打ち出している。0・4%台
のメガバンクは商品説明の手厚さや契約後のサポートなどで差別化しているが、守勢に回っているのが現状だ。
住宅ローンの契約者は30〜40歳代が中心で、スマホでの手続きに抵抗がない顧客も多い。サービスを維持しながらデジタル化を進め
ることで、ネット銀行に流れていた顧客の取り込みを図る。
アプリの導入にあわせて、銀行の業務効率も高めてコストを削減する。将来的には業務の大半をペーパーレス化し審査期間を短縮する。 衛星データでコンサル 三井住友銀が顧客企業向けに
2020/11/09 05:00 日経速報ニュース
三井住友銀行は米国のベンチャー企業と組んで、衛星データを使ったコンサルティング業務に参入する。衛星写真や全地球測位システム
(GPS)のデータを分析し、三井住友銀がデータを顧客企業に販売する。出店場所の選定や工事の進捗管理などに役立ててもらうことを想
定している。
衛星データ解析を手掛ける米オービタル・インサイトと協業する。同社は人工知能(AI)を使って、交通量や原油の在庫など世界中の経済
活動を短時間で分析することを得意としている。三井住友銀は約10万社の顧客企業を対象に分析した衛星データを販売する。個別契約と
なり、内容や情報量で販売価格が決まる。一件あたり100万円前後になるとみられる。
三井住友銀がデータの分析に基づいた詳細なリポートも作成する。例えば、小売業向けには人の移動や交通量などのデータを分析したう
えで、出店場所選びの参考にしてもらう。
新型コロナウイルス禍で国内外の往来が制限されるなか、現地に赴く調査は難しくなっている。衛星データを使って、顧客企業の事業展開
を支援する。
欧州連合と英プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の試算によると、世界の衛星データ市場は2022年に40億ユーロ(約4900億円)と
、17年の28億ユーロから4割強増える見通しだ。欧米では軍事に加え、農業や運輸など民間部門による活用も盛んになっている。
日本では衛星データを活用する民間企業は少ない。東日本大震災などの災害時に、保険金の支払いを迅速化するために損保業界が活用
した事例が目立つ程度だ。三井住友銀によると、日本の金融機関が衛星データを分析するサービスを手掛けるのは初めてという。多くの企業
を顧客に抱えるメガバンクの参入で、衛星データの利用に弾みがつく可能性がある。 りそな、三井住友から株取得、関西みらいを完全子会社化。
2020/11/10 日本経済新聞 朝刊
りそなホールディングスは51%を出資する関西みらいフィナンシャルグループ(FG)を完全子会社化する方針を固めた。TOB(株式公開
買い付け)と株式交換で全株式を取得する。約24%を持つ三井住友FGも応じる見通しで、関西みらいは来年3月末に上場廃止となる。
経営環境が厳しさを増すなか地銀再編の動きが広がっている。(関連記事11面に)
関西みらいFGは三井住友銀行の傘下にあった関西アーバン銀行とみなと銀行、りそなの完全子会社だった近畿大阪銀行が統合。共
同持ち株会社が2018年4月に東京証券取引所へ上場した。
りそなは完全子会社化により、大手銀行2行が大株主として並ぶ状況を解消する。関西みらいの20年3月期決算は連結純利益が前の
期比94%減の39億円と厳しい。意思決定を速めてコスト削減と収益力向上を急ぐ。
関西みらいの株主はTOBに応じるか、株式交換で新たにりそな株を取得するかを選べる。TOBの応募状況によるが、りそなによる全株
式の取得額は100億円以上になる見込みだ。 関西みらい、一頭体制に、三井住友がりそなに全株放出、メガ銀発の地銀再編も。
2020/11/10 日本経済新聞 朝刊
りそなホールディングスが連結子会社の関西みらいフィナンシャルグループ(FG)を完全子会社にする方針を固めた。長引く低金利や新型
コロナウイルスの流行で金融機関を取り巻く収益環境は厳しさを増している。三井住友FGとの「相乗り体制」を解消し、経営のスピード感を
高めてお膝元の関西で地盤固めを進める狙いがある。(3面参照)
りそなは関西みらいに対し月内からTOB(株式公開買い付け)を始めるほか、関西みらいの株主にりそな株を割り当てる株式交換で完全
子会社化をめざす。関西みらいを持ち分法適用会社としている三井住友FGは全株式の放出に応じる構えだ。りそなと関西みらいは9日夜、
「完全子会社化の選択肢を含めて協議しているが、現時点で決定している事実はない」とのコメントをそれぞれ発表した。
関西みらいが発足した当初から、りそなと三井住友が大株主として名を連ねるガバナンス(企業統治)上の問題点を指摘されてきた。りそ
ながグループの一体化を深めようとしても他の株主への配慮が必要となり、思い切った手を打ちにくかった面がある。完全子会社化で「一頭
体制」に改めるとともに、親子上場の弊害も解消する。
関西みらいの2020年3月期決算は連結純利益が前の期比94%減の39億円。収益環境は統合時から悪化しており、経営陣の危機感
も強まっていた。とりわけ業務の効率性を示す経費率は約80%で、全国にある地方銀行64行の平均(68%)を大きく上回る。りそなの完
全子会社になることで間接部門を中心にスリム化し、経費の抑制で収益力を底上げしたい考えだ。
新型コロナの影響が長引くなか、取引先の支援には自己資本の充実も欠かせない。関西みらいの配当額は20年3月期で数十億円。少
数株主の声に左右されず、社外へ流出する現金を抑えれば戦略的な分野に資金を充てやすくなる。りそなにとって関西は旧大和銀行の営
業基盤でもあり、関西みらいの完全子会社化は地盤固めを進める意味合いがある。
海外でも事業展開し、国内行より厳しい自己資本規制を課される三井住友FGの戦略はりそなと一線を画している。
金融危機後にできた資本規制(バーゼル3)ではリスク資産を厳しく見積もらなければならなくなったうえ、求められる自己資本の質と量も
増えた。17年に関西3地銀の統合を発表した当時の国部毅・三井住友銀行頭取(現三井住友FG会長)は「規制強化がなければ今回の動
きはなかったかもしれない」と話していた。
それでも関西は旧住友や旧さくらにとって強固な地盤だった。三井住友銀行では店舗の約3割が関西に集中し、現在も同行が兵庫県の
指定金融機関を務めている。関西みらいの発足時から24%の株式を持ち続けたのは、こうした深い関係に配慮してきたからでもある。来
年春に関西みらいの始動から3年となるのを前に、グループとして関西を重視する姿勢が変わらないとの理解が浸透してきたとみて、資本
面での関係解消に踏み切る。
関西みらい株を放出する三井住友FGの動きで、同様に多くの地銀株を抱える他メガの動きに注目が集まりそうだ。三菱UFJ銀行は愛知
県の中京銀行に39%を出資しており、中京銀を絡めた再編が長年の懸案になっている。みずほ銀行が21%の株式を持つ千葉興業銀行
でも再編が取り沙汰されてきた。メガ銀の動向によって地銀再編に拍車がかかる可能性もある。 りそなHDの4〜9月期、最終益563億円 前年同期は769億円の黒字
2020/11/10 16:01 日経速報ニュース
りそなホールディングス(8308)
前4〜9 今4〜9 通期予想
経常収益 4,309 3,819 ―
営業利益 ― ― ―
経常利益 112,589 84,488 ―
最終利益 76,977 56,395 120,000
1株利益 33.42 24.54 52.27
(注)単位:経常収益は億円、利益は百万円、1株利益は円、▲は損失
りそなHDの4〜9月期、純利益27%減 保険などの手数料収入減
2020/11/10 16:45 日経速報ニュース
りそなホールディングス(8308)が10日発表した2020年4〜9月期の連結決算は、純利益が前年同期比27%減の563億円だった。
新型コロナウイルスによる対面営業の制約で、保険や不動産の手数料収入が減少した。本業のもうけを示す実質業務純益はグルー
プ銀行の合算ベースで同10%減の1111億円だった。
21年3月期通期の連結業績は従来予想を据え置いた。純利益は前期比21%減の1200億円を見込んでいる。 みずほFGの4〜9月期、最終益2155億円 前年同期は2876億円の黒字
2020/11/12 15:31 日経速報ニュース
みずほフィナンシャルグループ(8411)
前4〜9 今4〜9 通期予想
経常収益 19,874 15,767 ―
営業利益 ― ― ―
経常利益 396,471 267,610 ―
最終利益 287,668 215,523 350,000
1株利益 113.43 84.99 138.02
(注)単位:経常収益は億円、利益は百万円、1株利益は円、▲は損失 みずほFGの21年3月期、純利益22%減に上振れ
2020/11/12 16:32 日経速報ニュース
みずほフィナンシャルグループ(8411)は12日、2021年3月期の連結純利益が前期比22%減の3500億円になりそうだと発表した。
市場部門や大企業向けを中心に4〜9月期の業績が堅調だったほか、構造改革の進展も利益貢献するとみて、29%減の3200億円
としていた従来予想から上振れする。
あわせて発表した20年4〜9月期の連結決算では、純利益が前年同期比25%減の2155億円だった。新型コロナウイルスの感染
拡大を受け、貸し倒れなどに備える与信関係費用を計上したことが響いた。
一方で、本業のもうけを示す実質業務純益(みずほ銀行とみずほ信託銀行の2行合算ベース)は3146億円と11%増えた。国内では
預貸金の利ざやは縮小したが、海外での貸し出しが好調で補った。 三井住友F:7−9月の純利益は15%減の1840億円、与信費用悪化
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-11-13/QJPTS0DWRGG701?srnd=cojp-v2
2020年11月13日 17:26 JST 更新日時 2020年11月13日 17:59 JST
4−9月累計純利益は38%減の2701億円、通期計画に対する進捗68%
上期の与信費用は低水準にとどまるも下期予断許さず−太田社長
三井住友フィナンシャルグループの2020年7−9月期(第2四半期)の連結純利益は前年同期比15%減の1840億円だった。新型コロナ
ウイルス感染拡大の影響で与信関係費用の悪化が響いた。
13日に開示された決算資料を基に算出した。4−9月期累計の純利益は前年同期比38%減の2701億円。期初に示した通期の純利
益予想4000億円に対する進捗(しんちょく)率は68%だった。
7−9月期決算の主な内容(比較は前年同期比)
資金利益は6.1%減の3137億円
役務取引等利益は1.5%増の2688億円
株式関係損益は370億円の利益、23億円の悪化
与信関係費用は854億円ー586億円の悪化
7−9月期の連結業務純益は前年同期比1.5%増の2898億円だった。外債トレーディングなどが好調に推移した。一方、4−9月期累
計の与信関係費用は2002億円。今期計画の4500億円に対して45%の進捗(しんちょく)だった。
同日会見した太田純社長は、上期実績は金利低下局面を捉えた市場部門のオペレーションが他部門の「穴を補?(ほてん)した」とし
て「満足していない」と述べた。市場の利下げ効果は一服し、「巡航速度に戻る」とみられることから下期は慎重にみていると述べた。
また、政府などによる流動性供給により上期は与信費用が低水準にとどまったが、潜在リスクを抱えた顧客は多いとみており、下期以
降に与信費用が膨らむ可能性を指摘した。 三井住友FG、20年4―9月期純利益は37.5%減 与信費用が増加
[東京 13日 ロイター] - 三井住友フィナンシャルグループ8316.Tが13日発表した2020年4―9月期連結純利益は、前年同期比
37.5%減の2701億円だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、与信関係費用が増加した。年度目標4000億円に対
する進捗率は68%となっている。
連結粗利益は、前年同期から58億円減の1兆3774億円。本業のもうけを示す連結業務純益は同34億円減の5512億円だった。
取引先企業の業績悪化に備えた与信関係費用は、1358億円増の2002億円となった。年度見通しは4500億円。 三井住友FGの4〜9月期、純利益37%減 与信費用増や株式売却益の減少で
2020/11/13 18:17 日経速報ニュース
三井住友フィナンシャルグループ(8316)が13日発表した2020年4〜9月期の連結決算は、純利益が前年同期比37%減の2701億円
だった。新型コロナウイルスの感染拡大による与信費用の増加や、前年同期と比べた政策保有株の売却益の減少などが利益を下押し
した。一方、金利低下を背景とする債券売却益の増加や、海外での証券引受業務など、市場関連部門が利益を下支えした。
本業のもうけを示す実質業務純益(三井住友銀行単体)は5%増の3506億円だった。
21年3月期(今期)の業績見通しは純利益が前期比43%減の4000億円と、従来予想を据え置いた。太田純社長は「中央銀行の利下げ
が一服し、4〜9月期に利益を押し上げた市場部門は巡航速度に戻るだろう。与信費用の面でもまだ予断を許さず、自信を持って見通しを
引き上げられる状況には至っていない」と語った。 三井住友リース、ケネディクスにTOB 1000億円規模
2020/11/20 15:00 日経速報ニュース
三井住友ファイナンス&リースは、不動産投資ファンドのケネディクスを子会社化する方針を固めた。TOB(株式公開買い付け)を通じて
株式の過半を取得する。買収総額は1000億円規模になる。不動産事業を拡大し、非金融領域での成長を加速する。三菱UFJリースと日
立キャピタルは9月に合併を決めており、リース業界での再編が活発になってきた。
20日午後に発表する。TOBが成立すれば、ケネディクスは上場廃止になる。上場廃止後も大株主でシンガポール大手のDBS銀行は株
主にとどまる見通し。
ケネディクスは米不動産大手ケネディ・ウィルソン・インクの日本拠点として設立された。運用資産残高は約2.5兆円と国内の独立系ファン
ドで最大級の規模を誇る。
三井住友F&Lには、三井住友フィナンシャルグループと住友商事が50%ずつ出資する。総資産は6.4兆円と業界首位のオリックスに次ぐ
水準だ。
不動産事業は傘下のSMFLみらいパートナーズが手がけている。直近では154の物件を保有している。国内のリース事業は少子高齢化
などで市場の拡大が見込みづらく、ケネディクスの買収で非金融領域の拡大を加速する。
三井住友F&Lの自己資本利益率(ROE)は10%と、業界首位のオリックスと並ぶ高水準を維持している。ROEの高いケネディクスを傘
下に取り込むことで、資本効率を一段と高める思惑もある。
リース業界では総資産で3位の三菱UFJリースと6位の日立キャピタルが21年4月に合併することで合意した。三井住友F&Lとケネディ
クスの再編も含め、合従連衡の動きが広がる可能性がある。 三井住友ファイナンス&リース、ケネディクスをTOBで子会社化
[東京 20日 ロイター] - 三井住友ファイナンス&リース(F&L)は20日、不動産投資ファンドのケネディクス4321.Tの株式を公開買い
付け(TOB)し、子会社化すると発表した。中核事業の1つと位置付ける不動産事業を強化する。ケネディクスは上場廃止となる見込み。
三井住友F&Lの完全子会社が設立したSMFLみらいパートナーズインベストメント2号を通じ、1株750円で買い付け、株式の79.73
%を取得する。ケネディクスの株主は現筆頭株主との2社となる。
買い付け総額は1319億円で、買い付け期間は11月24日から2021年1月8日。
ケネディクスはTOBに賛成意見を表明した。 三井住友リース、ケネディクスにTOB、1200億円弱。
2020/11/21 日本経済新聞 朝刊
三井住友ファイナンス&リースは20日、不動産投資ファンドのケネディクスを子会社化すると発表した。TOB(株式公開買い付け)を通じて
株式の過半を取得する。買収総額は1200億円弱となる。不動産事業を拡大し、非金融領域での成長を加速する。三菱UFJリースと日立
キャピタルは9月に合併を決めており、リース業界での再編が活発になってきた。
TOBが成立すればケネディクスは上場廃止になる。上場廃止後は、三井住友F&Lグループが70%、シンガポールの不動産投資ファンド
のARAアセットマネジメントが30%の株式を保有する。
ケネディクスは米不動産大手ケネディ・ウィルソン・インクの日本拠点として設立された。運用資産残高は約2・5兆円と国内の独立系ファン
ドで最大級の規模を誇る。
三井住友F&Lには、三井住友フィナンシャルグループと住友商事が50%ずつ出資する。不動産事業は航空機リースなどと並ぶ「成長性
の高い中核事業として強化してきた」(三井住友F&Lの橘正喜社長)。
三井住友F&Lの保有物件は150以上。ケネディクスはファンド形式で物件を保有する。「持つ経営と持たざる経営のコラボレーションにな
る」(ケネディクスの宮島大祐社長)。ケネディクスの買収で非金融領域の拡大を加速する。
リース事業は低金利環境の長期化で成長が頭打ちだ。金利低下もコロナ禍でさらに進み、各社は再編や新分野の開拓による収益力の底
上げを迫られている。
業界では総資産3位の三菱UFJリースと6位の日立キャピタルが21年4月に合併することで合意した。こうした合従連衡が広がる可能性
がある。 三井住友銀、インドで620億円増資 南部に拠点も新設
金融機関 南西ア・オセアニア アジアBiz 2020/11/21 0:53
三井住友銀行はインドのニューデリー支店の擬制資本金を6億ドル(約620億円)相当、増資したと発表した。インドでは顧客1社に対して
資本金の20%までしか貸し出せないという規制があり、資本金を増強して有望な顧客への融資を増やせるようにする。18日には同国3カ
所目となる営業拠点を南部チェンナイに新設しており、貸し出しの拡大に動く。
三井住友銀は6億ドル相当のインドルピーをニューデリー支店に送金した。同支店の擬制資本金は12億ドル相当と増資前の約2倍になっ
た。現地に進出する日本の3メガバンクでは最大。資本金が増えれば1社あたりに融資できる金額が上がるため、インド企業や現地にいる
日系を含む外資企業の資金需要を取り込める。
自動車メーカーなど製造業が集積する南部に営業拠点も新たに設置した。従来はニューデリー支店から南部の営業にあたっていたが、拠
点を置いて顧客開拓を強化する。
インド経済は新型コロナウイルスの感染拡大とそれを防ぐための都市封鎖(ロックダウン)の影響などで落ち込んだが、足元では持ち直しつ
つある。携帯電話メーカーの増産計画や企業のM&A(合併・買収)も出ており、三井住友銀は資金需要が高まるとみている。 三井住友銀が現金レス店、300店計画、資産運用相談に軸足。
2020/11/27 日本経済新聞 朝刊
銀行の店舗が変わりつつある。三井住友銀行は24日、中央林間支店(神奈川県大和市)を開設し、行員による現金の取り扱いを原則
廃止した。手続きに割く時間を減らし、資産運用などコンサルティング業務に軸足を移す。みずほ銀行もタブレット端末の導入で効率化を
進める。
新店舗は東急田園都市線の中央林間駅から徒歩5分のショッピングモールの2階に開業した。入居したのは飲食店の跡地で、駅前の
一等地に店舗を構えてきた銀行からすると異例の立地だ。
店舗には一度に900枚の紙幣を扱える「高機能ATM」を導入し、行員は原則、現金を扱わない。入出金や送金をする場合は窓口で手
続きの内容を記録したQRコードを発行してもらい、高機能ATMで代替する。「小売店の『セミセルフレジ』に似た形態となる」(泉純チャネ
ル戦略部長)という。
ATMの管理は専門の業者に委託し、業務効率を高める。合理化で浮いた人材は資産運用などのコンサルティングに充てる。同行は20
23年3月までに「軽量店」と呼ぶこうした店舗を300店まで広げる方針だ。
みずほ銀行は9日に移転開業した武蔵小杉支店(川崎市)で、口座開設や振り込みなどの業務をタブレット端末で完結できるようにした。
テレビ会議を通じて信託に絡む相談に応じられるようにしており、コンサル拠点としての色彩を強める。
三菱UFJ銀行も一部の店舗を「コンサルティングオフィス」と呼ぶ相談業務に特化した店舗に切り替え、付随する手続き以外での現金の
取り扱いをやめる。 三井住友DSアセット、ドコモと投信運用で提携。
2020/12/02 日本経済新聞 朝刊
三井住友DSアセットマネジメントは1日、NTTドコモと業務提携を結んだと発表した。ドコモが持つ人口の統計情報を投資信託など
金融商品の運用に生かす。第1弾として17日に公募株式投信を新規設定する。経済統計や企業財務とは異なる非伝統的な情報を
活用し、収益力の高い運用をめざす。
三井住友DSアセットが活用するのはドコモの「モバイル空間統計」で、携帯電話のネットワークを使って地域ごとの人口分布や年代
構成が把握できる。
新たに設定する投信「データ戦略分散ファンド」は日米の株式や債券、金に分散投資する。ドコモのデータを使い、商業施設などの人
口動態から経済動向を予測し、資産配分を変えるなどして収益を得る。
こうした非伝統的なデータは「オルタナティブデータ」と呼ばれ、資産運用業界で注目を集めている。三井住友DSアセットは今後、オ
ルタナデータのさらなる活用方法をドコモと研究する。 インドネシア商業銀買収に意欲、アジア拡大戦略は維持=三井住友FG社長
https://jp.reuters.com/article/interview-smbc-ohta-idJPKBN28V20Y
[東京 22日 ロイター] - 三井住友フィナンシャルグループ(FG)の太田純社長はロイターとのインタビューで、インドネシアの商業銀行の
買収に意欲を示した。同社は「アジアに第2、第3の三井住友グループを作る」戦略を掲げており、インドネシアを最重要国の一つと位置付
けている。太田社長は、新型コロナウイルスの感染状況を注視しつつ、戦略は大枠で維持すると語った。
三井住友FGは、インドネシアで出資していた年金貯蓄銀行(BTPN)と現地法人を合併させた2019年、さらなる銀行ビジネスの拡充を目
指して、地場のプルマタ銀行の買収に名乗りを上げた。しかし、最終的に価格面で折り合わずに断念し、アジアでの戦略拠点とした同国で
の計画は未完のままだ。
太田社長は、プルマタ銀の買収を逃したのは「大変痛かった」と振り返った上で、「プルマタのような対象があればまた考えたい」と述べた。
国内では低金利環境が長引いていることなどから、三井住友FGは海外にも収益機会を求めてきた。太田社長は、金融ビジネスは国の経
済成長との関連が強いとして、戦略を進めていく上で「国内総生産(GDP)が伸びる国で、それを享受できる形で(ビジネスを)やっていく」
基本姿勢を維持する方針を明らかにした。
インドネシア以外では、フィリピン、インド、ベトナムなどでさらなる事業展開を探る考えも示した。
一方、新型コロナの影響については、在宅勤務が普及する中で生産性やイノベーションが損なわれる側面があると指摘。社内で調査した
ところ、在宅勤務によって生産性が向上した部門はなかったとの報告が上がったという。
太田社長は「企業としての生産性が向上することが前提」とし、在宅勤務は限定的に運用する考えを示した。
三井住友FGの本部では、ピーク時には5割強の人員が在宅勤務を行っていたが、足元では1─2割程度にまで減っている。 非金融サービス、ワンストップで、三井住友FG・太田社長、介護や医療、定額で仲介へ。
2020/12/22 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は、非金融サービスをワンストップで提供する体制を整える。太田純社長が日本経済新聞のインタ
ビューで、行員が介護や医療などのサービスを定額で仲介する方針を明らかにした。取引先のデジタル化支援など、グループの非金融サ
ービスを法人客に一気通貫で提案する組織も立ち上げる。超低金利下で非金融サービスを一段と強化する。
三井住友銀行は近年、コンサルティング重視の店舗改革を進めてきた。2017〜19年度に約430の個人向け店舗を相談業務に軸足を
置いた店舗に転換。効率向上のため20年度には窓口で現金を扱わない店舗を導入した。今後3年以内に「(全店舗中)300店は現金の
取り扱いを抑え、相談業務に一層注力する軽量店舗に切り替える」。
太田氏は「資産運用をリテール業務の本丸」と位置づけ、顧客層に合わせたマーケティング戦略を打ち出す。富裕層には「SMBC日興証
券を核に、銀行と証券、信託でブランドや戦略、商品を共通化する」一方で、準富裕層には「デジタルを活用し、(顧客ひとりひとりに照準を
合わせた)『パーソナライズドマーケティング』を深耕する」方針だ。
高齢者向けサービスも拡充する。三井住友銀は18年、SMBC日興証券などとグループ横断で「人生100年時代プロジェクトチーム」を
発足。太田氏は「金融にとどまらず、我々が仲介する形で(非金融を含めた)サービスを提供していく」と述べ、介護や医療、相続、事業など
の相談業務を一気通貫で担うサービスを来年度にも始める考えを示した。
法人向けビジネスは、超低金利の長期化で貸し出しに依存した従来のビジネスモデルが厳しさを増している。太田氏も「顧客にソリューシ
ョンを提供し、結果として融資がついてくるビジネスモデルに変えないと、利回りの競争だけではとてもじゃないがやっていけない」と指摘する。
「ソリューリョンプロバイダー」としての役割を重視し、近年は取引先のIT化を支援する子会社の設立や医療ベンチャーの買収など矢継ぎ
早に手を打ってきた。太田氏はこうしたサービスを統合し、一貫して提案する組織を21年4月にもつくることに言及。「お客様に対してより付
加価値の高いテーラーメードの提案をしていく」とした。 非金融サービス、ワンストップで 三井住友FG・太田社長 介護や医療、定額で仲介へ
https://www.nikkei.com/nkd/industry/article/?DisplayType=2&n_m_code=122&ng=DGKKZO67547690R21C20A2EE9000 新型コロナで「弱み露呈」、米で証券業務強化へ−三井住友F社長
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-12-21/QLF901T0AFB601?srnd=cojp-v2
投資銀行業務が明暗、大手との業務提携も選択肢に早急に対応必要
アジアでは出資候補先をリストアップ、買収も視野に具体的検討入る
三井住友フィナンシャルグループの太田純社長は、新型コロナウイルスが影響した経営環境下で同社の「弱みが露呈した」と考えている。
低金利政策がもたらした米資本市場の活況を十分に取り込むことができなかったからだ。
「こういう環境でも稼げるポートフォリオを持っておくべきだ」。太田氏は11日のインタビューで新型コロナによる教訓をこう語った。対応策
として考えられるのは業務提携による米証券業務の強化で、「早急な手当てが必要」との認識を示した。米大手投資銀行なども提携対象
の選択肢に含まれるとしている。
新型コロナが市場を直撃した上半期は、国内外で融資を中心とした商業銀行が苦戦する一方、債券引き受け(DCM)やエクイティ引き
受け(ECM)を中心とした投資銀行業務に強い金融機関が収益を拡大。明暗が分かれた。
三井住友Fは、海外で銀行と証券業務を融合した「CIBビジネス」の高度化に取り組んでおり、米国中心の証券業務強化を課題として
きた。新型コロナ禍では、米国での社債発行の増加を受けてDCMやデリバティブ収益を伸ばしたが、太田氏は「銀行の顧客基盤を生かし
きれていない」として取り込みが不十分だったとの認識を示した。
足かせ
海外証券業務の強化には、企業の合併・買収(M&A)などを通じて外部事業を取り込むという選択肢があるが、同社の場合は傘下の
三井住友銀行が2019年4月にニューヨーク連邦準備銀行と交わした合意書が米市場での買収や出資の足かせとなっている。
合意書では、マネーロンダリング(資金洗浄)防止に関する内部管理体制が不十分として改善措置を求められており、米国証券会社な
どの買収には慎重にならざるを得ない。
太田氏は「すぐに動けないことは、痛恨の極み」であるとし、内部管理体制が当局に認められるまでは、買収ではなく業務提携を検討し
ていると述べた。同社が持つ顧客層と証券会社の持つ専門性との融合は有効と考えており、「バルジブラケット」と組むことも選択肢として
除外しない意向を示した。
バルジブラケットは、JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスなど米系の巨大投資銀行を指し、コロナ禍でも資本市場の活況を取
り込み好調な業績を上げている。
アジアでは出資候補先をリストアップ
アジア地域の事業展開については、ベトナムやフィリピン、インドで提携や出資が可能な銀行をリストアップしており、個別に具体的な検
討を進めていることを明らかにした。
太田氏は以前から、国内総生産(GDP)が伸びている国での商業銀行の買収を選択肢にすると述べており、アジア地域での総合金融
サービス提供に向け、過半数の出資も視野に模索する。
同社は、08年にベトナムのエグジムバンクを持分法適用関連会社化した。インドネシアでは、40%出資していた年金貯蓄銀行(BTPN)
を19年に連結子会社化の上、現地法人と合併させるなどアジア地域での存在感を高めてきた。
買収先銀行を中核とした事業基盤の強化はインドネシアで進捗(しんちょく)しており、ホールセールでは証券やリース、リテールでは資
産運用などを展開。新型コロナ感染拡大による非対面の需要の高まりで、BTPNのデジタルバンキング預金残高は22年12月に19年12月
比で約3倍の1580億円を見込む。
自己株買い「できればやりたい」
また、太田氏は自己株取得について、新型コロナの影響を見極めたいと述べた。ただ、株価は割安な水準にあるとして「今は自社株を
買うのが一番よい投資だというのも分かっている」と述べ、「できればやりたい」との思いもにじませた。19年度は約1000億円の自己株取
得を実施していた。 日本株ADR23日 高安まちまち、野村が上昇
2020/12/24 06:24
【NQNニューヨーク=岩本貴子】23日の米株式市場で日本株の米預託証券(ADR)は高安まちまち。
野村は買われた。三菱UFJや三井住友FGも高い。一方で、オリックスや武田は売られた。 2020年12月25日10時01分
https://kabutan.jp/stock/news?code=8316&b=n202012250258
<注目銘柄>=三井住友FG、配当利回り6.0%は妙味大
三井住友フィナンシャルグループ<8316>に注目したい。株価は3月に付けた安値から徐々に上昇しているが、依然として低水準に
あり投資妙味が膨らんでいる。
三大メガバンクのなかでは収益性はトップを誇る。21年3月期連結純利益は前期比43.2%減の4000億円を見込むが、足もと
7〜9月期の同利益は前年同期比14.9%減の1840億3500万円と減少幅が縮小している。今後、新型コロナウイルスワクチン
が普及し国内外の景気回復が進めば、22年3月期に向けて金利上昇による利ザヤ拡大で業績回復期待が見込める。
指標面ではPBR0.3倍台、配当利回り6.0%は魅力的と言える。配当は「累進的」とし、配当維持もしくは増配する方針としてい
ることも評価ポイントだ。(れい) NY金融・外為ハイライト 長期金利、薄れる下振れ懸念 追加政策が成長後押し
2020/12/29 07:31 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=岩本貴子】28日の米債券市場で長期金利の指標となる10年債利回りは横ばいだった。前営業日比横ばいの0.92%
で取引を終えた。トランプ米大統領の署名で、議論が長引いていた新型コロナウイルス関連の追加経済対策が27日に成立した。短期的な
景気の一段の落ち込みへの警戒がやや薄れ、一時0.96%まで上昇した。市場では、2021年にかけて、緩やかな金利上昇を見込む声が広
がっており、足元の水準で米国債に買いを入れるのは難しくなりつつある。
米国では「バイデン次期政権は、新型コロナのワクチンの増産に向けて国防生産法を発動することを計画している」と伝わっている。先進
国を中心に想定よりもワクチンの生産・供給が早期に進めば、製造業だけでなくサービス業でも経済活動の再開が早まる。市場では21年
にかけて米長期金利は上昇基調になるとの見方が優勢になりつつある。10年債利回りについてバンク・オブ・アメリカは21年終わりまでに
1.5%まで上昇するとみている。
「ブルーウエーブ」金利上昇(ウォール街ラウンドアップ)
2021/01/07 日本経済新聞 夕刊
米民主党が上院も主導権を握ることになった。5日のジョージア州での決選投票では2議席とも民主党候補が勝利したと米メディアが
報道。上下院とも民主党が支配する「ブルーウエーブ」となり、バイデン次期大統領の政策の実現可能性が高まった。国債増発の思惑
から米長期金利は急上昇。米連邦準備理事会(FRB)が金利抑圧に動くかが焦点になってきた。
決選投票で2議席とも民主党が勝利すれば、上院の議席数は共和党、民主党とも50となる。法案の賛否が同数で割れた場合はハリ
ス次期副大統領が決裁するため、事実上民主党が多数を占めることになる。
賭けサイトや世論調査によれば、開票直前の段階では民主党が上院を支配できるかはおおむね五分五分という見立てだった。だが、
開票が進むにつれ、民主党が優位との見方が広がった。米東部時間6日朝には民主党勝利をほぼ織り込み、同午後4時ごろには米メ
ディアが相次いで民主党の2議席獲得を伝えた。
□ □
金融市場で最も大きく反応したのは米国債市場だ。「大きな政府」が基本姿勢の民主党の政策が通りやすくなれば、財政出動はトラン
プ政権以上に膨らむ公算が大きい。開票作業中に米10年物国債利回りは約10カ月ぶりに1%台に上昇。財政リスクの影響を受けやす
い30年物国債はより金利上昇が目立った。
バイデン氏が大統領に就任するのは1月20日。ゴールドマン・サックスのアレック・フィリップス氏は「近い将来に6000億ドル規模の追
加経済対策が通るだろう」とみる。加えて年後半にも大規模な財政支出が見込まれ、増税はある程度限定されたものになるという。
株式市場はやや複雑な反応をみせた。金利上昇は景気や市場心理に悪影響を与える一方、巨額の経済対策や政策運営の円滑化は
株価に追い風だ。銀行株や割安株は上昇した一方で、これまで堅調だったIT(情報技術)株には売りが目立った。ダウ工業株30種平均
は1・44%上昇したが、ナスダック総合指数は0・61%安と主要株価指数の動きはねじれる形となった。
□ □
投資家の関心は長期金利の上昇が一時的なものにとどまるかどうかだ。インベスコのマット・ブリル氏は「2議席とも民主党が勝利すれば
、米10年債は1・25%まで上昇する」と話す。2020年の株高は超低金利が重要な起点だっただけに、前提が揺らげば投資家心理は一
変しかねない。
焦点となるのはFRBだ。金融システムの安定や景気下支えのため、FRBは大量の米国債を買い、金利を抑えてきた。ただ、金融市場
の動揺が強かった20年3〜4月と比べると国債購入量を減らしており、金利の緩やかな上昇は容認してきた。20年12月の米連邦公開
市場委員会(FOMC)では購入する年限の長期化などが議論されたが、購入方針は据え置かれた。
ただ、パウエル議長は新型コロナウイルスが経済に与える打撃や不確実性の大きさを繰り返し強調し、強力な緩和を続ける構えを示して
きた。仮に国債購入を強化すれば財政ファイナンスは色濃くなるものの、目先の景気や株価にとっては追い風だ。直近の金利上昇を受け、
今後FRB高官からメッセージが出てくるか、投資家の関心が高まっている。
(ニューヨーク=後藤達也) 株高、死角は米金利上昇―生保マネーが債券シフト?(スクランブル)
2021/01/08 日本経済新聞 朝刊
7日の日経平均株価は急反発した。市場が注目していた米ジョージア州での上院議員選決選投票で民主党が2議席を確保し、バイデン
次期政権による大型経済対策への期待が高まった。しかしこの日の株高に違和感を抱く市場関係者もいる。増発観測から米国債の利回り
が節目の1%を超えて上昇。投資マネーが株から債券へ流れる可能性が浮上しているからだ。
「株高をどう解釈したらよいのかわからない」。国内の機関投資家の担当者は朝、一様に困惑の表情を浮かべた。前日の米株式市場でダ
ウ工業株30種平均が史上最高値を更新。東京市場で日経平均株価の上げ幅は一時500円を超えた。
米国で大統領と上下院を民主党が確保する「トリプルブルー」となれば、株式相場には逆風だとの見方が事前には優勢だった。上院を共和
党が握っていれば、市場が嫌う富裕層らに対する増税策を抑制できるとの理由からだ。
□ □
そもそも2020年11月の米大統領選以降、世界的に株高が再加速した背景にはそうした安心感があった。その前提を崩す決選投票の結
果となったにもかかわらず、市場は世界景気に敏感な銘柄を中心とする株買いで反応した。
株価急反発の裏で別のシナリオが浮かび上がる。投資マネーの債券シフトだ。決選投票を受けて米10年物国債の利回りは1・0%台と、約
10カ月ぶりの水準に上昇した。
「利回りが1%を超えたことに対する安心感はある」。国内の大手生命保険の運用担当者は話す。米10年国債利回りは、コロナ禍が悪化
した昨春以降、0・5〜0・7%前後と低迷し、日本の機関投資家に米国債購入をためらわせる要因となってきた。
だが1%となれば話は別。日本生命保険や第一生命保険が21年3月末に想定する米長期金利の水準は1%。1・1%を上限と考えていた
生保もある。固定的な金利を収益源とする保険会社が受ける恩恵は大きい。
7日の東京市場では、運用難の解消につながるとの見方から、保険会社の株価が急伸した。第一生命ホールディングス、T&Dホールディ
ングスはともに一時10%上昇。損害保険会社株も軒並み上昇した。
□ □
富国生命保険の小野寺勇介財務企画部長は「債券で利回りを取れない機関投資家の存在が昨年来の株高の一因になったのは確かだ」
と打ち明ける。生保の場合、運用資産の中核を債券が占めるが、国内外ともほぼゼロ金利だったため株式資産を増やす傾向にあった。
小野寺氏が注目するのは今後1週間の米金利動向だ。足元の米長期金利の動向について、市場では米連邦準備理事会(FRB)の金融
緩和姿勢は不変として再び低下するとの見方と、バイデン次期政権による財政出動・国債増発や景気回復期待から上昇を続けるとの見方
に分かれる。
「仮に1週間後も下げ止まらず米金利が上がり続ければ株価には重荷になる」と小野寺氏はみる。これから生保各社が策定する21年度
の運用計画に影響を与える可能性もある。
6日の米市場でハイテク企業の比率が高いナスダック総合株価指数は前日を下回った。日本でも東証マザーズ指数は反落した。ピクテ投
信投資顧問の松元浩グローバル資産運用部長は「米長期金利が1%に達したことで世界は変わった」と話す。ハイテク株がけん引する20
年型の株高が終わりを迎えた可能性に留意する必要がある。 三井住友フィナンシャルグループ・太田純社長
https://www.sankeibiz.jp/business/news/210109/bse2101090700001-n1.htm
■決済・資産運用の強化で収益
−−新型コロナウイルスの感染が再拡大している
「影響の長期化が見込まれる企業では、将来を見据えた資本性の資金調達や増資の動きがある。今後、雇用調整助成金の
特例措置など政府のサポートが薄くなった場合の影響が懸念される。今年度の信用コストは当初の想定には届かなそうだが、
これが来年度にずれ込むのか、感染再拡大によって新たに出てくるのか予断を許さない状況だ」
−−低金利環境が長期化する中、どこで稼ぐか
「金利は当面上がらない前提で、ビジネスモデルの変革に取り組んでいる。個人向けビジネスは店舗のあり方を見直すなど
コスト削減の取り組みを進めると同時に、需要のあり方が変わってくるところに注力する。キャッシュレス決済戦略を強化し資産
運用業務のシェア向上を目指す」
−−キャッシュレス推進の取り組みは
「日本のキャッシュレス化はクレジットカードを中心に進む。クレジットカードの業務を垂直統合し、顧客の利用データが蓄積され
る仕組みを作った。三井住友銀行のスマートフォン向けアプリを通じ、特定の顧客に向けた広告ビジネスを来年度にも始めたい。
データビジネスを強化する」
−−資産運用業務はどう強化していくか
「富裕層取引を強化し、また資産形成層の貯蓄から投資への流れを取り込む。ブランドを統一し、商品の共用や営業員の相互
受け入れなど、グループ一体で展開している」 NY金融・外為ハイライト 米長期金利、FRB1.5%程度まで容認か
2021/01/12 07:53 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=横内理恵】米長期金利の上昇が止まらない。11日の米債券市場で長期債相場は5日続落し、長期金利
の指標である10年債利回りは1.14%と昨年3月以来の水準に上昇した。今後数年にわたる財政拡張が米景気拡大と国債の発
行増につながり、中長期的な金利上昇は不可避だ。市場では1.5%近辺までは米連邦準備理事会(FRB)も容認するとの見方が
多く、当面は金利が上昇しやすい地合いが続きそうだ。
米10年債利回りは5日に節目の1%を突破した後、勢いが止まらず、昨年末からの1週間あまりで0.23%水準を切り上げた。昨
年は0.5〜0.9%という低めのレンジで推移することが多かったが、「1.25%を上限のメドとしたレンジに切り上がりそうだ」(TD証券)
との声があった。
ジョージア州の上院決選投票の結果を受けて民主党が大統領と上下両院の議会運営で多数派となり、財政支出拡大観測から
急激に金利上昇圧力が強まった。バイデン政権が早々に取り組むとみられるのが家計への現金給付を600ドルから2000ドルに引
き上げる案や、失業保険の拡充措置などの延長、州・地方政府支援などが含む追加の経済対策だ。現金給付増額だけで4000億
ドルの支出になるとみられ、バイデン氏は前週末に数兆ドル規模の策を提案する方針を示していた。1兆ドルを超える支出には党内
外から反対が出る可能性が高いため、多くのエコノミストは2〜3月中に1兆ドル未満の対策が成立するとみる。
バイデン政権の政策としては21年後半に大規模なインフラ・環境投資が実現する可能性もある。法人税増税の可能性は残るもの
の、上院での勢力拮抗で、米経済の逆風となる規制強化などは進みにくいとみられている。新型コロナウイルスワクチンの普及もあ
り、JPモルガンは21年10〜12月期の米実質国内総生産(GDP)の前年同期比成長率の予想を5.3%増に、ドイツ銀は6.3%増へと
上方修正した。12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)時にFRBが公表した成長率見通しの4.2%からかなり上振れする公算だ。
景気回復に水を差しかねない急ピッチの金利上昇に警戒感はないのだろうか。米債券市場では期待インフレ率が上昇しているこ
とでインフレ連動債の利回りが示す実質金利はマイナス圏にあり、過去最低水準で推移している。金融引き締めが起こっていない
として、現時点ではFRB幹部からも金利上昇を許容する発言が目立つ。市場ではFRBの量的金融緩和の縮小時期が「21年末
に早まる」(ドイツ銀)との予想も出ており、金利押し上げの一因にもなっている。
一方、金利上昇があまりに急とみなした場合はFRBの介入もありそうだ。市場では「10年債利回りが早い段階で1.5%近辺に近
づいた場合には、急騰を抑制するためにFRBが購入する国債の年限を長期化する緩和拡充に動く」(RWプレスプリッチのラリー・
ミルスタイン氏)との見方が多い。現在すでに2%前後に上昇している期待インフレ率が、ここからは10年債利回りほど上がらない
可能性が高く、実質金利の上昇に対してFRB内で懸念が高まる可能性はある。それでもそうしたFRB幹部の警戒感が表面化する
までは金利の上昇基調が続くことになりそうだ。 2021/01/13 22:45
三井住友FG(8316)
21年3月期経常予想。対前週0.7%上昇。
三井住友フィナンシャルグループ<8316>の経常利益予想コンセンサスは、前週値の628,233百万円から0.7%上昇し、
632,337百万円となった。因みにレーティングコンセンサスは4.4で変わらずのまま。 米国株式決算カレンダー
2021/01/15 07:00(予定) JPM ジェイピー・モルガン・チェース 4Q NYSE
2021/01/15 09:00(予定) C シティグループ 4Q NYSE
2021/01/15 09:00(予定) WFC ウェルズ・ファーゴ 4Q NYSE
2021/01/19 07:00(予定) BAC バンク・オブ・アメリカ 4Q NYSE
2021/01/19 08:00(予定) GS ゴールドマン・サックス 4Q NYSE コラム:コロナ対応の日銀金融政策、マイナス金利継続がより容易に=鈴木明彦氏
https://jp.reuters.com/article/column-akihiko-suzuki-idJPKBN29P073
[東京 20日] - 新型コロナウイルス感染の経済的打撃が広がる中、日銀の金融政策はデフレ脱却よりもコロナ対応に大きく
かじを切った。
デフレ脱却の旗を降ろしたわけではないが、「新型コロナ対応金融支援特別オペ」(以下、特別オペ)による資金供給が急速に
拡大し、12月のマネタリーベースは前年比約100兆円の増加となった。かつて同80兆円増加を目標に掲げていた時すら上回
る拡大ペースだ。
また、日銀による国債購入がマネタリーベース増加の主役だった時とは異なり、マネーが日銀当座預金に滞留するのではなく、
金融機関からの貸し出しとして市中にしみ出している。この結果、金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量である
マネーストックは、バブル期以来の高い伸びとなった。本当の意味での量的緩和が実現したとも言える。
しかも、この強力な金融緩和を、政策金利を下げることなく実現した。カギを握ったのは、特別オペの利用残高見合いで日銀当
座預金に0.1%を付利したことだ。
金融機関が日銀の特別オペを利用して、企業への貸出しを拡大させれば、0.1%の金利がもらえるというマイナス金利のメリット
が受けられる。一方、−0.1%が付利される政策金利残高は依然として存在しているので、遊んでいるお金にはマイナス金利の
負担がかかってくる。
マイナス金利政策による「アメ」と「ムチ」の相乗効果は大きく、特別オペによる貸出残高は50兆円を超えている。 3メガ、脱炭素で海外投資、相次ぎインフラファンド、太陽光や風力で安定収益。
2021/01/22 日本経済新聞 朝刊
メガバンクグループが海外のインフラに投資するファンドを相次いで設立している。三井住友フィナンシャルグループ(FG)は再生
可能エネルギーの発電設備などへの投資向けに設け、みずほFGと三菱UFJFGも新たに立ち上げる。各国は「脱炭素」のインフラ
投資を急ぐほか、交通関連などの新設・更新需要も大きい。超低金利環境が長引くなかで安定した利回りを確保できる分野と期待
を集めている。
三井住友FG傘下の三井住友DSアセットマネジメントは2020年末に海外のインフラ向け債権に投資する100億円規模の第1号
ファンドを立ち上げた。機関投資家からの引き合いが強く、さらなる需要が見込めると判断。21年度にも200億円規模のファンド設
立を目指す。
グループの三井住友銀行などが組成するプロジェクトファイナンス(事業融資)の債権をファンドが買い取る。ファンドは生命保険や
年金基金などの機関投資家から資金を募り、事業融資から得る金利収入を投資家に支払う。ファンドが買い取る債権は、太陽光や
洋上風力などの再生可能エネルギー発電設備のほか、空港や有料道路などが対象になる。
みずほFG傘下のアセットマネジメントOneも国内外のインフラ向け貸出債権に投資するファンドを設立する。同社としては3号目で
、規模は1000億円と過去の第1号、第2号のそれぞれと比べ倍以上に膨らむ。
三菱UFJFGは2月にも、傘下の資産運用会社を通じてESG(環境・社会・企業統治)に配慮したインフラファンドを立ち上げる方針
だ。
みずほ、三菱UFJの両グループとも海外の機関投資家から資金を募る。3メガグループがつくるファンドは国内の投資家からの調
達が主流だったが、海外勢の引き合いも強いとみて資金を取り込む。
世界では50年などに温暖化ガス排出の実質ゼロをめざすと表明する動きが相次ぎ、バイデン米大統領は20日の就任と同時に温
暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」に復帰する大統領令に署名した。各国で再生可能エネルギー利用を拡大するためのインフラ
投資が膨らむ。
人口の増加が続く新興国では交通など生活や経済発展を支えるインフラ開発の資金ニーズも高まっている。先進国でも老朽化した
インフラの更新需要が大きい。米マッキンゼー・アンド・カンパニーは35年までに世界で毎年3・7兆ドル(約383兆円)の投資が必要
になると試算している。インフラを整備する政府や事業者にとって、まとまった資金の出し手となるファンドへの期待は大きい。
インフラファンドの立ち上げは、投資家側の事情ともかみ合う。世界的な低金利環境で債券での運用が厳しくなる中、2%前後で安
定した利回りが期待できるインフラ投資の魅力は小さくない。企業の社債などと異なり直接プロジェクトに資金を投じるため、ESGへ
の貢献がわかりやすい点も投資家のニーズを捉えている。
英調査会社プレキンによると、世界でのインフラファンドの資金調達額は19年に1150億ドル(約12兆円)と10年から3・4倍に増
えた。
20年は新型コロナウイルスの影響で6年ぶりに減ったが、21年1月には米大手投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ
(KKR)がアジアのインフラに投資するファンドで39億ドルを集めた。マネックスグループもネット証券として初めて環境インフラなど
のプロジェクトに投資するファンドを3月にも立ち上げる方針だ。
銀行はファンドに債権を売却すると金利収入は得られなくなる一方、長期間にわたって債権を抱える必要はなくなる。資本効率に
対する投資家の目線が厳しくなる中、バランスシートを拡大することなく融資の実行に伴う手数料収入を得られるため、銀行にとって
もファンドを活用する利点は大きい。 SMBC日興、純利益2倍に、4〜12月。
2021/01/28 日本経済新聞 朝刊
SMBC日興証券が27日発表した2020年4〜12月期の連結決算は純利益が555億円と、前年同期の約2倍となった。
国内外の株式相場の急回復を受け、個人投資家の株取引や投資信託の販売が伸びた。企業の資金調達も活発で、法人向
け事業も堅調だった。 北陸の太陽光発電取得、三井住友FL、新たな収益源に。
2021/01/28 日本経済新聞 朝刊
三井住友ファイナンス&リース(SMFL)は、太陽光電池メーカーの米ファースト・ソーラーの日本法人から北陸の太陽光発電所
を買収した。取得額は二百数十億円とみられる。再生可能エネルギー市場の拡大を見込み、資本参加する太陽光発電事業の発
電容量を2025年までに60万キロワットと現在からほぼ倍増させ、新たな収益源とする。
今回買い取ったのは、石川県と富山県にまたがる石川沢川太陽光発電所。ゴルフ場計画跡地を再開発して建設された発電所
で、18年に運転を始めた。発電容量は7万1千キロワット、年間発電量は一般家庭の約2万3千世帯分にあたる7710万キロワ
ット時と北陸の太陽光発電では最大規模だ。発電所の保守管理はファースト・ソーラーに委託する。
SMFLは今後、手薄だった日本海側での太陽光発電所の開拓を進める。降雪などで冬場の日射量が少ない一方、土地代が安
く大型の発電所を効率的に展開しやすいとみている。これまでは日射量が多い太平洋側に集中していた。同社は太陽光発電など
再生可能エネルギーを航空機と不動産事業に次ぐ第3の柱に育てる方針だ。 コード一部流出、情報漏洩はなし、三井住友銀。
2021/01/30 日本経済新聞 朝刊
三井住友銀行は29日、事務手続きで用いるシステムのソースコードが流出していたと明らかにした。システムは銀行内で
のみ使われており顧客情報の漏洩やセキュリティー上のリスクにつながることはないとしている。
システムの開発を委託した企業から流出したという。同行は今後、警察とも相談して対応する予定だ。 三井住友FGの4〜12月期、最終益4339億円 前年同期は6108億円の黒字
2021/02/02 15:30 日経速報ニュース
三井住友フィナンシャルグループ(8316)
前4〜12 今4〜12 通期予想
経常収益 34,791 28,948 ―
営業利益 ― ― ―
経常利益 811,829 594,881 ―
最終利益 610,830 433,929 400,000
1株利益 443.60 316.70 291.88
(注)単位:経常収益は億円、利益は百万円、1株利益は円、▲は損失 三井住友FG、20年4―12月純利益は29%減の4339億円
[東京 2日 ロイター] - 三井住友フィナンシャルグループが2日発表した2020年4―12月の連結純利益は、前年同期比
29.0%減の4339億円だった。年度目標は4000億円。
取引先企業の業績悪化に備えた与信関係費用は、1383億円増加して2347億円となった。
連結粗利益は、前年同期から30億円減の2兆0703億円。本業の儲けを示す連結業務純益は同111億円減の8106億円
だった。
市場事業部門や資産運用ビジネスが堅調に推移したほか、ホールセール・グローバル事業部門の回復が続いた。 三井住友FG、4―12月期純利益は4339億円 通期予想は据え置き
[東京 2日 ロイター] - 三井住友フィナンシャルグループが2日発表した2020年4―12月期の連結純利益は、前年同期比
29.0%減の4339億円だった。年間予想の4000億円に到達したが、上方修正はしなかった。
連結粗利益は同0.1%減の2兆0703億円、連結業務純益は1.3%減の8106億円と、ほぼ横ばいの水準を維持した。
海外金利の低下局面をとらえた債券売却益の増加により、市場事業部門が堅調に推移した。
取引先企業の業績悪化に備えた与信関係費用は、前年同期と比べ1383億円増加の2347億円となった。
新型コロナウイルス影響の長期化や予防的な与信関係費用の計上などを見込み、通期の連結純利益予想は前期比43.2%
減の4000億円で据え置いた。
IBESのコンセンサス予想では、アナリスト12人の予想平均値は5001億円となっている。 三井住友FG、純利益29%減、4〜12月、与信コスト増。
2021/02/03 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループが2日発表した2020年4〜12月期の連結決算は、純利益が前年同期比29%減の
4339億円だった。新型コロナウイルスの感染拡大による取引先の業況悪化に備え、与信関係費用に前年同期の2・4
倍となる2347億円を計上したことが響いた。
本業のもうけを示す業務純益は1%減の8106億円だった。外出自粛の影響で消費性ローンやクレジットカードが苦戦。
債券の売却益などで市場部門は堅調だったが、補えなかった。
21年3月期通期は純利益で前期比43%減の4000億円を見込んでおり進捗率は108%に達した。現時点で明確な
懸念はないものの新型コロナの影響が不透明として従来予想は据え置いた。 みずほ純利益12%減、4〜12月。
2021/02/02 日本経済新聞 朝刊
みずほフィナンシャルグループが1日発表した2020年4〜12月期連結決算は、純利益が前年同期比12%減の3544
億円だった。新型コロナウイルスによる企業業績の悪化を受け、貸し倒れなどに備える与信関係費用が981億円と4倍に
膨らんだ。保有株式の減損損失も響いた。
政府や日銀の資金繰り支援策で、21年3月期の与信費用は期初に見込んだ2000億円より少なく済む見込み。4〜12
月期の純利益は通期予想(3500億円)を上回ったが、「新型コロナの長期化がもたらす影響を見極める必要がある」として
予想を据え置いた。 大手銀3グループ、年度利益目標に到達 コロナ警戒し上方修正見送り
[東京 4日 ロイター] - 大手銀行3グループの第3・四半期決算が4日、出そろった。三菱UFJフィナンシャル・グループの
4─12月期連結純利益は、前年同期比3.3%増の6070億円で、年度目標の6000億円を上回った。他の2行も同様の
結果となったが、いずれも新型コロナウイルスの影響長期化を警戒し、年度目標の上方修正は見送った。
三井住友フィナンシャルグループは同29.0%減の4339億円、みずほフィナンシャルグループは12.2%減の3544億円
だった。2行とも減益となったが、それぞれ年度目標に到達した。
与信関係費用は、三菱UFJFGが年間予想の約7割、三井住友FGとみずほFGが約5割と、想定の範囲にとどまった。政府
の企業への資金繰り支援策などが奏功した。
ただ、足元では緊急事態宣言が延長されるなど、新型コロナ感染拡大の影響の長期化が懸念される。1月に感染者数が一
時急拡大するなど、先行きの不確実性は払拭できず、3行ともに年度の純利益予想は据え置いた。
JPモルガン証券の西原里江シニアアナリストは、1─3月期に貸倒引当金などの与信関係費用の増加を見込む。「緊急事態
宣言の影響がビジネスにどう出ているか、銀行側はできるだけ早く把握して保守的に引当金を積んでいくだろう」と話している。 コロナ後意識し内需株 「割安放置」を個人が物色−証券部 秦野貫
2021/02/17 21:50 日経速報ニュース
株高が続く中で低位株に物色の矛先が向かってきた。17日の東京株式市場は新型コロナ禍で業績を伸ばすグロース(成長)株に利益確
定売りが広がった一方、株価水準が低い景気敏感銘柄に資金が集まった。値動きの重さが嫌気されてきた一群だが、コロナワクチンの接
種開始で経済の正常化期待がふくらみ、じわり見直しの買いが広がる。
「明らかに物色の対象が変わってきた」。しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹氏は話す。
17日の日経平均株価は3営業日ぶりに反落した。調整売りが際立ったのは従来株高をけん引してきた銘柄。オンライン診療を手がけるメド
ピアは10%下げ、約2カ月ぶりの安値に。フリーマーケットアプリのメルカリは8%、医師向け情報サイトのエムスリーは4%それぞれ下落した。予
想PER(株価収益率)が100倍を超えるほど買われてきた銘柄への売りが目立つ。
反対に上昇が目立ったのが、従来あまり注目されてこなかったような景気敏感株。建設資材のベルテクスコーポレーションは12営業日続
伸で上場来高値を更新。空港業務や小売りを手がけるJALUXやアート販売のアールビバンも4〜5%上昇した。株価水準が比較的低く、数万
円といった小口投資が可能な銘柄が多い。
共通するのは@PBR(株価純資産倍率)などからみて市場の評価が低かったA最近の決算発表で増益を確保するか減益幅が縮小B国内
景気がコロナ禍から立ち直れば利益拡大が見込める――という点だ。特に投資家が注目するのが国内景気の行方だ。
東京都で確認されたコロナ感染者は6日連続で400人を下回り、医療関係者へのワクチン接種も始まった。「ワクチン接種が本格的に広が
りアフターコロナが意識されれば、国内景気敏感株が見直される」(藤原氏)という。外食や旅行の一角などすでに株価が高くなった銘柄より
、先回り買いの効果が上がりやすいのが低位株だ。
個人投資家は大幅な株高によって懐に余裕を感じている。QUICKの17日の発表によると、信用取引で買った株式の含み損益の度合いを示
す信用評価損益率は12日申し込み時点でマイナス8.01%。前の週からマイナス幅が0.32ポイント縮小し、2018年2月(マイナス4.77%)以来3年
ぶりの小ささだった。
国内景気敏感株に個人マネーが向かう流れは局所的な動きとはいえない。短期売買主体の個人が選好しやすいのは変動率(ボラティリテ
ィー)が高い銘柄。上場間もないようなIT(情報技術)関連企業が多い東証マザーズ市場の時価総額は20年3月から10月にかけて倍増した
が、その後は一進一退。換金売りして景気敏感株にシフトする動きが続いているとみられる。
信用取引の買い残高は2兆7000億円超に高まっているが、「個人株主は信用評価損益率のマイナスが一桁になると物色が活発になる」(
SMBC日興証券の太田千尋氏)。株高で投資余力の増した個人が割安株の買いを強めるとすれば、成長期待銘柄を軸としてきた株高は転
換点が近づき、業績評価を中心とする緩やかな循環物色の局面を迎えるかもしれない。(秦野貫) コロナ後意識し内需株―「割安放置」を個人が物色(スクランブル)
2021/02/18 日本経済新聞 朝刊
株高が続く中で低位株に物色の矛先が向かってきた。17日の東京株式市場は新型コロナ禍で業績を伸ばすグロース(成長)株に利益
確定売りが広がった一方、株価水準が低い景気敏感銘柄に資金が集まった。値動きの重さが嫌気されてきた一群だが、コロナワクチンの
接種開始で経済の正常化期待がふくらみ、じわり見直しの買いが広がる。
「明らかに物色の対象が変わってきた」。しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹氏は話す。
17日の日経平均株価は3営業日ぶりに反落した。調整売りが際立ったのは従来株高をけん引してきた銘柄。オンライン診療を手がける
メドピアは10%下げ、約2カ月ぶりの安値に。フリーマーケットアプリのメルカリは8%、医師向け情報サイトのエムスリーは4%それぞれ下
落した。予想PER(株価収益率)が100倍を超えるほど買われてきた銘柄への売りが目立つ。
反対に上昇が目立ったのが、従来あまり注目されてこなかったような景気敏感株。建設資材のベルテクスコーポレーションは12営業日
続伸で上場来高値を更新。空港業務や小売りを手がけるJALUXやアート販売のアールビバンも4〜5%上昇した。株価水準が比較的低
く、数万円といった小口投資が可能な銘柄が多い。
共通するのは(1)PBR(株価純資産倍率)などからみて市場の評価が低かった(2)最近の決算発表で増益を確保するか減益幅が縮小
(3)国内景気がコロナ禍から立ち直れば利益拡大が見込める――という点だ。特に投資家が注目するのが国内景気の行方だ。
東京都で確認されたコロナ感染者は6日連続で400人を下回り、医療関係者へのワクチン接種も始まった。「ワクチン接種が本格的に広
がりアフターコロナが意識されれば、国内景気敏感株が見直される」(藤原氏)という。
外食や旅行の一角などすでに株価が高くなった銘柄より、先回り買いの効果が上がりやすいのが低位株だ。
個人投資家は大幅な株高によって懐に余裕を感じている。QUICKの17日の発表によると、信用取引で買った株式の含み損益の度合い
を示す信用評価損益率は12日申し込み時点でマイナス8・01%。前の週からマイナス幅が0・32ポイント縮小し、2018年2月(マイナス
4・77%)以来3年ぶりの小ささだった。
国内景気敏感株に個人マネーが向かう流れは局所的な動きとはいえない。短期売買主体の個人が選好しやすいのは変動率(ボラティリ
ティー)が高い銘柄。上場間もないようなIT(情報技術)関連企業が多い東証マザーズ市場の時価総額は20年3月から10月にかけて倍増
したが、その後は一進一退。換金売りして景気敏感株にシフトする動きが続いているとみられる。
信用取引の買い残高は2兆7000億円超に高まっているが、「個人株主は信用評価損益率のマイナスが一桁になると物色が活発にな
る」(SMBC日興証券の太田千尋氏)。株高で投資余力の増した個人が割安株の買いを強めるとすれば、成長期待銘柄を軸としてきた株
高は転換点が近づき、業績評価を中心とする緩やかな循環物色の局面を迎えるかもしれない。 「バブル的株高」が生まれた過程−十字路
2021/02/19 11:30 日経速報ニュース
日経平均株価は30年半ぶりに3万円の大台に乗せた。一方、新型コロナウイルス禍という危機的状況の中での株高には違和感が拭え
ず、「バブルではないか」との声は絶えない。では相場はなぜ、バブル的活況を呈しているのか。
背景には、今回の危機によってもたらされたかつて経験がないほどの「二極化」がある。特に米国で顕著だ。コロナ禍では打撃が一様に
は広がらず低所得者層、中小企業、特定の業態に失業が集中した。一方で打撃がほとんどない業態も多い。特に上場企業全体でみれば
業績の落ち込みは限られている。
しかし政府や中央銀行は雇用回復を最大化するため大規模な財政・金融緩和を続けざるを得ず、上場企業にとっては「過剰緩和」となって
いる。財政・金融緩和が見直される局面では株高が揺らぐはずだが、雇用の回復が鈍い分、すぐに起こる可能性は低い。
一方で株高に対する懐疑心が株高を持続させている側面もある。例えば、あまりに異常な状態が続いているがゆえに、機関投資家は20
20年から常に一定の慎重姿勢を保っている。過度に強気ポジション(持ち高)に偏っていない分、相場が崩れづらくなっている。また企業も
慎重姿勢を続けている。20年10〜12月期は売上高が回復したがコスト削減の手綱は全く緩めず、決算が驚くべき良好な内容となった。強い
危機感は事業再編などの改革も促している。
実は、相場は急上昇したが東証株価指数(TOPIX)の予想PER(株価収益率)は昨年8月から横ばい圏が続く。つまり昨年後半からの株高
は予想1株利益の回復に沿ったものだ。予想EPSがさらに切り上がれば、一段の株高も否定できない。リスクへの配慮を怠れない局面だ
、相場がさらに上昇するリスクも念頭に置いておきたい。
(SMBC日興証券 チーフ株式ストラテジスト 圷正嗣) 三井住友FG系、診察や会計をスマホでスムーズに
2021/02/21 20:00 日経速報ニュース
三井住友フィナンシャルグループ(FG)傘下のIT企業、プラスメディ(東京・新宿)は、病院を訪れた患者の診察や会計の順番待ちを減ら
せるスマートフォン向けのアプリを売り込む。決済や処方薬を記録する機能も盛り込んで、患者と医療機関の双方の手間を減らす。2023年
までに500カ所を超える医療機関での導入を目指す。
アプリ「マイホスピタル」は通院する患者が自分のスマホにダウンロードして使う。電子診察券の機能を内蔵し、診察の順番待ちの状況を
確認することができる。クレジットカードを使った診療費用の決済もできるため、診察後に会計の順番を待つ必要がなくなる。
処方箋や服用している医薬品の情報を管理することもでき、処方箋情報を薬局にFAXできるマイホスピタルの機能を使えば、薬局を訪れ
る前に薬が準備される。
運用に必要なシステムを医療機関向けに無料で提供し、患者が決済時に払う150円の利用料で収入を得る。現在は東京都内の病院1カ
所で運用しているが、今後三井住友銀行などグループの営業網を使って医療機関に採用を促す。
診察の効率化にもつなげる。特定の疾患の検査や健康診断の結果など患者情報も記録できる。プラスメディはマイホスピタルの活用を広
げることで蓄積される健康データを分析して、利用者にあわせた食事指導など疾病予防の情報提供も行う計画だ。医療機関にとっても院内
の混雑解消につながり、窓口業務を削減できるといった利点がある。
プラスメディは16年に創業し同アプリを開発。19年9月に三井住友FGが株式の大半を取得して連結子会社にした。三井住友FGはデータ
の提供・管理をする情報銀行としての事業展開を視野に入れる。秘匿性の高い個人の医療情報を安全に管理できるデータ管理のノウハウ
を活用してプラスメディの事業展開を支える。 投機の「大義」いつまで 枯れる売り持ち、調整の予兆(永井洋一)
2021/02/22 16:32 日経速報ニュース
米長期金利上昇への警戒から、米株の持ち高を見直し、日本株に少し分散しようという海外マネーが東京株式市場に流れ込んでいる。
だが、米金利が先々の米連邦準備理事会(FRB)による「バブル潰し」の金融引き締めを予見しているとしたら日本株も無傷では済まない。
22日の日経平均株価は一時400円以上上昇したが、伸び悩んだ。
「世紀の巨大投機だ」。複眼経済塾のエコノミスト、エミン・ユルマズ氏は話す。その象徴は米電気自動車(EV)テスラと暗号資産(仮想
通貨)ビットコインの急騰だ。
テスラの時価総額は19日時点で7499億ドル(79兆円)。1年前はトヨタ、独フォルクスワーゲン(VW)、日産自などの「日仏連合」の「ビッ
グスリー」合計の約半分だったが、いまや2倍だ。ビットコインのドル建て価格は1年で5倍以上になった。
ユルマズ氏は「米国の投機のエネルギーが社会的な『大義名分』という点で過去のバブルとは異質だ」と指摘する。テスラは脱炭素社会
の象徴。ビットコイン人気は中央銀行による通貨発行独占への反発がある。「空売りヘッジファンドを締め上げよう」という呼びかけで空売り
の多い銘柄に買いが殺到したのも金融エリートへの反感だ。
「大義の投機」の余波は日本にも及ぶ。最近の急伸についてパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズの宮島秀直氏は、「米株の高
値波乱を警戒して分散投資対象としていたビットコインのボラティリティー(変動率、リスク)が上昇してしまい、新たな分散先の確保に迫ら
れた投資家が矛先を日本株に向けた」とみる。
空売り銘柄の急騰は日本でも観測される。一例は旅客の急減で赤字の京王と小田急だ。1年前に比べ株価はいずれも4割以上上昇した。
東急や東武と明暗を分ける。「空売りが株価上昇の誘い水になっている」(市場関係者)。京王と小田急2社合計の信用売り残は173万株と
1年前比10倍に膨らんだ。
「割高な京王を空売りし、割安な東急を買う『ペアトレード』が裏目に出た」(同)。空売り勢が買い戻しを迫られ株価上昇に弾みが付くと、
割高とみた別の参加者の空売りが増える。空売りの増加は、その決済のための買い戻しを期待した投機の買いを呼び、株価は一段高と
なる。売り残が増えながら上げが加速する「踏み上げ相場」のメカニズムだ。「機関投資家は現値以下で空売りしてはいけないという規制
があり、売り方は制度上、不利」との声もある。
米国では株高のエネルギーである「売り持ち」に変化の兆しがある。世界最大の上場投資信託(ETF)、「SPDR・S&P500」を対象とした
プットオプション(売る権利)の総建玉が1月下旬、約6年9カ月ぶりの水準に減少した。米株は過去、このプットの建玉が減ると株価が上が
りにくくなる傾向がある。
大義の投機には政治や社会情勢、世論の変化が影響する。英国の研究機関の推計によれば、「電気の塊」であるビットコインの維持に
必要な年間電力消費量はオランダ1国分に膨らんだ。地球環境に負荷をかける存在とみなされれば、ビットコインは一転して「大義の売り」
を浴びかねない。中国で浮上したテスラ車の品質問題が米中関係に影を落とさないか、懸念する市場関係者もいる。「大義」の潮流から
目が離せない。 預金保険料、来年度引き下げへ、金融機関への収益貢献は限定的。
2021/02/23 日本経済新聞 朝刊
預金保険機構は金融機関の破綻に備え、銀行や信用金庫から集める預金保険料を2021年度に引き下げる方針だ。実効料率を現行の
0・033%から0・031%とする方向で調整を進めている。引き下げは2年ぶり。金融機関の破綻がなく、機構の責任準備金が積み上がって
いるため。
預金保険料は金融機関の破綻時に預金の一部を払い戻す原資となる。金融機関の負担は小さくなく、例えばゆうちょ銀行は19年度に6
00億円弱を負担した。料率の引き下げは預保機構が3月に開く運営委員会で正式に決める。
料率の引き下げによって金融機関は一定の収益改善を見込めるが、新型コロナウイルスの流行で手元資金を手厚くしようと企業などが預
金額を膨らませている。預貯金が増えれば金融機関の負担は重くなるため、地方銀行のなかには料率を下げても「収益への貢献は限定的
だろう」との声もある。
現行制度では規模や経営の状況にかかわらず、金融機関から一律に保険料を集めている。金融庁は健全性が高いほど料率を低くするし
くみの導入を検討しており、経営改善に向けた努力を促したい考えだ。 LINE新銀行が開業を最大2年延期、120億円追加出資で巻き返しへ
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/09717/
日清食HDが11カ月ぶり安値 みずほ銀などが保有株売却へ
2021/02/22 1 日経速報ニュース
売り出しの内訳は、みずほ銀行が168万8000株、三菱UFJ(8306)傘下の三菱UFJ銀行が79万株、
三井住友FG(8316)傘下の三井住友銀行が56万3000株。みずほ銀行は2020年3月末時点で保有
する株式の5割、三菱UFJと三井住友は3割強に相当する規模を売却する見通し。
売り出し価格は未定で、海外の機関投資家の比率を高めるため海外市場で売却するという。 信用買い残高水準、2年2カ月ぶり規模、金融株目立つ。
2021/02/25 日本経済新聞 朝刊
東京証券取引所が24日発表した信用取引の買い残高(19日申し込み時点、東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は
2兆8183億円と前週に比べて919億円増え、2年2カ月ぶりの高水準となった。信用売り残も増加し、高値圏にある銘柄には売りが
優勢となっている。
この週(15〜19日)は週初に日経平均株価が急伸して3万円台を回復した。相場の上昇局面では通常、投資家は利益確定を目的
に信用買いの持ち高を減らすことが多いが、信用買い残は3週ぶりの増加となった。
みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは「日経平均が大台を超えたことで株価上昇に勢いが出るとみて、出遅れていた個
人投資家が買いに走った」と指摘。週後半に株価が調整するなかでも「手じまいせずに持ち続けている可能性がある」とみる。
信用買いが特に目立ったのは金融株。株高に伴う保有株の損益改善や売買手数料の増加への思惑から三菱UFJフィナンシャル・グ
ループや野村ホールディングス、東海東京フィナンシャル・ホールディングスなどの買い残高が増えた。
信用残の増加額は買いが売りの4倍多かったが、相場の先行きを警戒する声もある。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリ
ストは「個人の買い意欲が旺盛な一方で海外勢は売りに動いており、相場が転機に入る可能性がある」と指摘した。 「正常化トレード」の波―持ち高偏り解消、波乱の芽(スクランブル)
2021/02/25 日本経済新聞 朝刊
コロナ禍が生み出した株高の中身が変わろうとしている。世界的な新規感染者の減少とワクチン接種が経済活動の正常化期待を呼んで
いる。ただ同時に米金利の上昇が進み、これまでの株価の先高期待を逆に打ち消しているのが今だ。「コロナトレード」から「正常化トレード」
へのシフト。それは楽観側にも悲観側にも持ち高に偏り過ぎがなかったかを問う。
日経平均株価が3万円を割り込んだこの日、逆行高となったのがJALだ。寄り付きの成り行き注文ですでに44万株の買い越しを記録。
この規模の買い越しはこの半年ではなかった。
エムスリー対JAL――。この相対株価が株式市場の変化を端的に映す。エムスリーは医療情報サイトを世界展開し成長期待を集める企業
の代表だ。一方でJALは人の移動が止まり厳しい苦境に陥っている。
□ □
昨年1月は両社の株価はほぼ同水準だったが、コロナ禍が起きて、評価を分けた。前者を後者で割った倍率はエムスリー優位で一本調子
で駆け上がった。
1月には6倍近くに上がった。再び緊急事態宣言に動いた最も厳しいときだ。しかしそこがピークとなり逆回転。感染を抑えられれば、悲観は
修正され業績は戻るとの読みが、次第に説得力を持ち始めている。
これまでの持ち高を反対に売買する株式市場の「手替わり」。米個人投資家が空売りのヘッジファンドを締め上げる動きも起きたタイミングで
もあった。
個々の業績と株価を照らし合わせる局面との声が増えてきた。「合理化の努力次第で業績回復の速度に差が出るし、期待が先行した企業
は納得できる利益を出せるか。二元的な株価ではなく、多様な株価形成になる」(東京海上アセットマネジメントの中川喜久氏)
正常化への視線は世界で広がる。米クルーズ船運航のカーニバルが増資を決めたが、23日の株価は買いで応じた。米百貨店メーシーズ
も直近四半期の損益が予想を上回る黒字となった。
対照的に米テスラは急反落。今の市場は2つのベクトルがぶつかり合う。1つは経済活動の正常化へ向けた期待の広がり。ただその反対
として、株高を支えた金融緩和が長くは続かない可能性への警戒だ。
長い目でみて金利高と株高は両立せず、いいとこ取りは限りがある。23日に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が長期の金融緩
和方針を示したが、徐々に切り上がる米長期金利が世界の市場の関心の中心にあるのは間違いない。
米国株の水準を利益と長期的に比較した「CAPEレシオ」によれば、今の株価は2000年のIT(情報技術)バブル時の高さに近づきつつある。
□ □
「株式市場はバブルか?」。米著名投資家のレイ・ダリオ氏がSNS(交流サイト)に投稿したバブル指数が話題だ。伝統的指標との比較や
新たな買い手の登場、市場心理など6つを使う。1929年と2000年のピークは100%。今は77%だとする。
これとは別に気になる動きもある。米国で資産運用会社が顧客からの解約を突然停止した。資産価値の算定が正しくないとの指摘が起点
になったとの報道だ。
市場環境が変わるとき、ファンドに思わぬ損失が出ることも過去何度も見てきた。「正常化」が別の波を起こす可能性も気がかりになる局面
に入ってきた。 ホットストック:銀行株しっかり、米10年債1年ぶり1.4%超えが手掛かり
[東京 25日 ロイター] - 三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ
など銀行株が総じてしっかりとなっている。前日の米国市場で10年債利回りは1.8ベーシスポイント(bp)上昇の1.3824%。
一時1.435%と1年ぶりに1.4%を超えるなど、金利上昇による収益への好影響が手掛かりにされた。 米銀行株が14年ぶり高値、国債利回りスティープ化などで景気に楽観論
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-02-24/QP1JUSDWLU7701?srnd=cojp-v2
KBW銀行株指数が24日、2007年以来の高値に上昇した。
新型コロナウイルスワクチンの普及や経済対策案に加え、米国債利回りのスティープ化で米景気回復への楽観論が広がった。
(スティープ化:短期金利と長期金利の差が大きくなることをいいます) 「日銀離れ」探る市場―ETF減額、正常化へ節目(スクランブル)
2021/02/26 日本経済新聞 朝刊
日経平均株価3万円達成後の日本株市場で、ひとつの変化が起きている。日銀の上場投資信託(ETF)の買い入れがぱったり止まった
のだ。下げ相場の日にも「音なし」の日銀をみて、市場は「テーパリング(購入額の減額)」を織り込み始めた。開始から10年を経過した異
形の金融政策は、正常化に向けた最初のターニングポイントに差し掛かった。
午前の東証株価指数(TOPIX)下落率が0・5%を超えた日は日銀が必ず動く――。100%の確率で的中してきた経験則が崩れたのは
、2月に入ってからだ。18日(午前のTOPIX下落率は0・54%)、19日(0・76%)、24日(0・89%)と下落率が0・5%を超えた日にいず
れも日銀は動かなかった。
□ □
「『点検』を前に布石を打っているのだろう」。野村証券の池田雄之輔氏は指摘する。日銀は3月の政策決定会合で政策運営の点検結果
を公表する。「イールドカーブ・コントロール」やETF購入を中心に手法を見直すとみられる。
「平時は買い入れを抑え、相場が大きく下がったときに大きく買うよう方針を変えるのでは」。ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏は読む。
6兆円目標は廃止して12兆円の上限を残せば「0〜12兆円の範囲で柔軟に動ける」と指摘する。
日銀が瀬踏みするまでもなく、市場は「日銀離れ」を探り始めている。株価が歴史的な水準にある現状では「(株価の)リスクプレミアムに
働きかける」という政策意義が薄れているのは衆目一致するところだ。
市場はテーパリングの先も読み始めた。日銀が封印してきた「出口論」が、市場で議論され始めたのだ。
□ □
口火を切ったのが、元日銀理事の櫛田誠希氏が昨秋公表した提言だ。ETFを国民に配るのは「目指す意味のある出口論」とした。
1998〜99年の香港が先例だ。相場底割れを防ぐため香港金融管理局が一時的に買った株を、個人に割引価格で販売したのだ。モル
ガン・スタンレーMUFG証券の山口毅氏は「ETFを日銀から政府が買い取って国民に割引で譲渡すれば、リフレの果実を国民に分配でき
る」と指摘する。
「かけ声倒れだった『貯蓄から投資へ』を実現できるプランだが、世論の合意が前提となる。現時点で15兆円を超えるETFの含み益が
あるうちに早く議論を始めるべきだ」。ニッセイ基礎研の井出氏はいう。
日銀はついに日本株の実質的な筆頭株主になった。いつまでも出口論を封じていては、保有構造の正常化は遠のくばかりだ。市場はす
でに覚悟を決めている。(編集委員 川崎健) 日経平均1200円超の下落、金利急上昇を警戒−日銀総裁発言後に一段安
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-02-25/QP3T6IDWX2PT01?srnd=cojp-v2
26日の東京株式相場は大幅に反落。日経平均株価は4%近く値下がりし、下落率は2020年4月1日以来約11カ月ぶりの
大きさになった。
日本株指数は午後の取引で下げ幅を拡大。日本銀行の黒田東彦総裁が衆院財政金融委員会で上場投資信託(ETF)の
買い入れについて、現在の金融市場調節方針においても「十分にメリハリのある柔軟な買い入れができる」と見解を示した後
に売りが膨らんだ。 日本株、年金売り重荷 年度末まで持ち高調整
2021/03/02 21:23 日経速報ニュース
2日の東京株式市場で、前日に700円近く反発した日経平均株価は前日比255円安の2万9408円で引けた。株式市場に波乱を
もたらした米金利の急上昇が一服して資金は市場に戻りつつあるが、一部投資家の売り圧力が増している。特に年度末の3月末
に向け、年金の持ち高調整の売りが株価の重荷になる可能性がある。
2日は朝方に先物主導で日経平均は一時3万円近くまで上昇し、ファーストリテイリング、ソフトバンクグループ(SBG)が昨年来
高値を更新した。だが、午後に入ると次第に売りが膨らみ、日経平均の下げ幅は一時300円を超え、ファストリ、SBGも下げに転じた。
不安定な市場で懸念されているのが年金の売りだ。東京証券取引所が発表する投資部門別売買状況で年金などの売買が反映
される信託銀行の動向を見ると、年初から2月3週目までの売越額の累計は8599億円と、日本株の最大の売り手になっている。
年金は公的年金、企業年金ともポートフォリオに占める日本株の割合を一定に定めるケースが多い。ところが年初からの株価急伸で
日本株の資産額が増え、この割合が目標値より上振れている可能性が高い。
例えば日本最大の年金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、日本株の割合を25%前後とする。20年9月末に24.
06%、12月末に25.28%と推移するが、21年年初からの株価変動をふまえると足元で26%以上に膨らんだ可能性がある。大和証券
の阿部健児チーフストラテジストはGPIFが公表した20年3月末時点の保有銘柄などを基に、日本株の売り余力を試算した。「日本
株の割合が25%となる水準と比べて1兆円以上の売り出し余地がありそうだ」という。
GPIFは「市場での売買は長期的視点に基づいて適時に行う」としており、実際に持ち高調整に動いているかは定かではない。だ
が、大和証券が過去の保有残高や市場での流動性などからGPIFによる売買の影響度を試算したところ、影響が比較的大きい東邦
ホールディングス、NTT、大阪ガスの2日の下げ幅は1%を超えた。
企業年金でも日本株の売却を検討する基金が増えている。ある精密機器メーカーの年金基金の担当者は「運用益確保の観点から
も国内株式の売却を検討したい」と話す。今後も株高が続けば「全体のバランスをみて、日本株の保有比率をさらに落とすかもしれな
い」と明かす。同基金は数カ月前にも運用ポートフォリオを見直し、2割弱を占めていた国内株式を半分ほど売却した。
ある娯楽用品メーカーの年金基金は「株価がさらに上がれば日本株の売却を検討する」と話す。同基金では株式などリスク性資産
の保有割合を50%程度と決めており、日本株がさらに上がればこれに抵触するおそれがある。
東海東京調査センターの鈴木誠一チーフエクイティマーケットアナリストは「3月後半に予定されている日銀の金融政策決定会合や
米連邦公開市場委員会(FOMC)に注目する投資家が多く、通過するまで投資家が積極姿勢をとりづらい」と話す。企業業績の改善
についての見通しは明るいが、持ち高調整が続くとみられる3月末までは需給面で株価の上値が抑えられやすい環境が続きそうだ。 金融機関「脱・銀行」へ、改正法案決定、DX事業など後押し。
2021/03/06 日本経済新聞 朝刊
低金利や人口減少に苦しむ金融機関が新たなビジネスに乗り出しやすいよう規制が緩和される。政府は5日、銀行法など金融関連
改正法案を閣議決定した。銀行が地方企業に出資したり、デジタル分野の事業を手掛けたりするのを後押しする。
銀行法の改正は「脱・銀行」にカジを切る選択肢を増やす狙いがある。銀行子会社は金融庁の認可をとればシステム販売やデータ分
析、広告業、人材派遣業などが制限なくできるようになる。
出資規制も緩める。従来、銀行による事業会社への出資は5%、銀行持ち株会社は15%までだった。地域活性化をめざす企業には
投資子会社を通じて100%出資できるようにする。
金融機能強化法の改正で、主に地方銀行の経営基盤を強める。合併や経営統合に伴うシステム統合などに補助金を出す。5年間の
時限措置として改革を急がせる。岡三証券グローバル・リサーチ・センターの高田創理事長は「銀行は集中改革期間に入る。新たな事
業モデルを打ち出す覚悟が問われている」と強調する。 三井住友FG、GoogleのAI採用で銀行DX加速
2021/03/10 05:15 日経速報ニュース
三井住友フィナンシャルグループ(FG)が最先端の人工知能(AI)活用にアクセルを踏む。
米グーグルが開発した自然言語処理に特化したAIである「BERT(バート)」をベースにしたAIシステムをこのほど開発した。SMBC日興
証券など2社のコールセンターの照会応答支援業務を皮切りに、三井住友銀行をはじめとするSMBCグループ全体で活用する。同AIシス
テムの外販も視野に入れており、国内金融機関にBERTの導入が加速する可能性がある。
コールセンターの総コスト2割削減へ
新たに開発したのはコールセンターの照会応答業務を支援するAIシステムだ。顧客からの電話やメールを受けたオペレーターが端末に
検索用の文章を入力すると、対応する回答を掲載した社内FAQ(よくある質問と回答)のウェブページやPDF文書を表示。オペレーターが
顧客の問い合わせに素早く正確に答えられるようにする。
AI技術スタートアップの米オルガナイズのほか、日本総合研究所およびJSOL(東京・中央)と共同開発した。2021年6月から、まずSMB
C日興証券と三井住友カードのコールセンターで使い始める。 米金利高、恐れるべきか―日本の景気敏感株に恩恵(スクランブル)
2021/03/11 日本経済新聞 朝刊
10日の日経平均株価は8円高と方向感に欠ける展開だった。そんな無風の相場でも、水面下では重要な変化が起きている。景気
敏感株を中心に個別株物色は旺盛で、米長期金利の上昇に対する過度の警戒が薄れ始めたのだ。経験則では米金利上昇時にこそ
日本株は世界株をアウトパフォームしてきた。米金利高を過度に恐れる必要はないかもしれない。
「相場下落の値幅をみれば、日本株は今回の米金利急騰のマイナスの影響をおおむね織り込んだ。あと10営業日前後で、再び相
場は上昇基調を取り戻すだろう」。JPモルガン証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストは指摘する。根拠は過去の米金利上昇時の
日本株の平均パターンだ。過去の米金利急騰時の日本株の平均下落率は6%程度で、20営業日程度で相場は底入れし、その後は
反転した。
□ □
米長期金利が節目の1・5%を超えた2月25日を起点と考えると、今の株価調整幅は6%と過去の平均パターンに達した。もう少し日
柄が必要ということになるが、その後は米金利が日本株には追い風になると阪上氏はみる。景気回復を伴う米金利上昇時に日本株は
強含みやすいからだ。
景気が本格回復する局面では実質金利が上がる。米実質金利とMSCIジャパンをMSCIワールドで割った日本株の相対株価を重ね
ると、両者の動きはほぼ一致する。米実質金利が上がっている局面でこそ日本株は世界株をアウトパフォームしてきたのだ。
日本株と米実質金利には単なる相関関係ではなく、因果関係が働いているとみられる。理由は2つある。
1つ目は、米金利上昇が映し出す景気回復は、製造業をはじめ景気敏感株の構成比率が世界で最も高い日本株に有利に働くことだ。
確かに、金利上昇は企業価値を計算する際、将来キャッシュフローを現在価値に割り引く際の「割引率」を押し上げる。言い換えると、
金利上昇はPER(株価収益率)など株価のバリュエーション指標(利益の何倍まで買われているのか)を押し下げる。ところが、景気回
復で将来の1株利益(EPS)が増えるとなれば話は変わってくる。金利上昇と株価上昇が併存することになる。特に日本株に多い景気
敏感株はその傾向が顕著だ。
2つ目の理由は、ドル円相場と日本株の関係だ。米実質金利の上昇を受けてドルが買われれば、円安効果で日本の輸出企業の業績
が押し上げられる。
□ □
今回はどうか。SMBC日興証券の圷正嗣チーフ株式ストラテジストは「2013年や18年と異なり、今回は金利高が『リスクオフの円高
』を招いていない」と指摘。「円安を通じて素直に日本株にプラスに効きやすい」という。量的緩和縮小を示唆した当時のバーナンキ米連
邦準備理事会(FRB)議長の発言が金利上昇を招いた13年5〜6月の「テーパー・タントラム」や、米利上げに端を発する18年2月の
「VIXショック」とは異なり、今回は円高ではなく円安が進む。
16〜17日には米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えており、米金利はしばらく神経質な値動きが続きそうだ。再び世界の投資家
心理を冷ますリスクは拭えないが、そんな不安定な局面でこそ日本株の投資家は忘れてはならない。米金利上昇は、日本株にとって
チャンスになりえることを。 日銀、緩和長期化に備え、決定会合、政策修正へ、長期金利、小幅変動容認を検討。
2021/03/19 日本経済新聞 朝刊
日銀は19日の金融政策決定会合で、金融緩和策の一段の長期化を見据えた政策修正に踏み出す。焦点の一つである長期金利の
誘導策は、変動を認める幅を現状より若干広げてプラスマイナス0・25%程度とすることを検討する。低金利環境を保ちつつ一定の範囲
内で金利の上下動を促して金融機関の収益改善につなげ、緩和の持続性を高める考えだ。
日銀は短期金利をマイナス0・1%、長期金利を0%程度に誘導する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を金融緩和策の柱に
据える。今回の決定会合後に結果を示す政策点検では、長短金利操作の枠組み自体は維持する。低金利政策の長期化で市場機能の
低下や金融機関収益の悪化といった副作用も強まっているため、より効果的で持続的な運営方法に改める方針だ。
焦点になるのが長期金利の変動幅の扱いだ。日銀は現在、プラスマイナス0・2%程度の変動は認める方針を示している。新型コロナウ
イルス感染拡大後の長期金利はこの変動幅より小さい範囲内での動きにとどまっている。市場機能の低下で、金融機関が国債売買で収
益を上げる機会も減った。
このため日銀は長期金利の変動を促す措置を検討する。変動を認める幅をプラスマイナス0・25%程度と若干広げる案を議論する。日銀
の政策点検では、長期金利が上下で計0・5%の範囲内で動く分には経済に与える影響は限られるとの結果が出ており、変動幅を柔軟に
する余地があるとみている。
変動幅の拡大を巡っては、日銀の黒田東彦総裁が5日の国会答弁で「必要とも適当とも思っていない」と話した。米金利の急上昇に伴い
日本の金利上昇も目立っていた場面で、変動幅の拡大が金利上昇の容認と受け取られ、国債の売り圧力が強まることをけん制する発言
だった。
一方、8日には雨宮正佳副総裁が講演で「金利の大幅な変動は望ましくない結果をもたらしうる」と指摘しつつ、「一定の範囲内であれ
ば緩和効果を損なわずに国債市場の機能にプラスに作用する可能性がある」と主張した。目先はコロナ対応で低金利を維持する必要が
ある半面、緩和の長期化を見据えれば一定の変動を認める仕組みも講じる必要がある。日銀の市場との対話も難しさを増している。 株、日経平均型ETF購入除外に動揺 「健全な下落」に期待も
2021/03/19 16:40 日経速報ニュース
日銀は19日まで開いた金融政策決定会合で、上場投資信託(ETF)の購入方法を改め、日経平均株価連動型ETFを今後買い入れ
ない方針を示した。全て東証株価指数(TOPIX)連動型とする。同日午後の結果公表後、東京株式市場で日経平均株価は下げ幅を
一時600円近くに拡大し、動揺が広がった。今後は日経平均のボラティリティー(変動率)がこれまでより高まるとの指摘がある半面、
相場トレンドへの影響は小さいとの見方が多い。
「結果公表を受けて、すぐソフトバンクグループ(SBG、9984)とファーストリテイリング(9983)を売った」――機関投資家からはそうし
た声が聞かれた。日経平均寄与度が大きい銘柄は後場に相次いできょうの安値を更新した。
ただ、ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「妥当な政策変更だ」と一定の評価を与える。「2月末時点でアドバ
ンテスト(6857)やファストリ、TDK(6762)の日銀保有比率が20%を超えているなど、個別銘柄に与える『ゆがみ』が大きかったが、そう
した恐れが低くなる」と話す。日銀も19日の政策点検結果で、日経平均とJPX日経400連動型は「買い入れにより一部の構成株式の間
接保有比率の上昇が進みやすい」と認めていた。
日銀はさらに、原則で年6兆円、最大で年12兆円としていたETFの買い入れについて「原則年6兆円」の枠の撤廃を決めた。同日示し
た金融緩和策の効果点検では「市場が不安定な時ほど、買い入れ規模が大きいほど、買い入れ1単位当たりの効果が大きいことが示
唆される」と言及。株価が高水準で推移している間は買い入れを見送る半面、危機時には大量に購入できるようにしたい考えだ。
布石はあった。今年に入り、日銀は1回あたりのETF買い入れ額を501億円に減額。さらに日経平均が3万円の大台に乗せていた2月
18日には、TOPIXの午前終値が前日比0.5%以上下げたにもかかわらず、買い入れを見送った。これまでは0.5%以上下げると購入する
「0.5%ルール」の存在が指摘されており、同条件のもとで見送るのは5年ぶりだったため市場の話題を集めた。
ソニーフィナンシャルホールディングスの菅野雅明チーフエコノミストは「海外投資家の間では、これまで日銀が買い支えるために『健全
な株価下落局面』が訪れにくく、自分たちが買うチャンスがないとの不満の声も上がっていた」と指摘する。今後は国内の個人投資家など
を含め、押し目買いの機会が提供されやすくなる可能性がある。
19日の日経平均は確かに瞬間的に下げ幅を拡大する場面はあったものの、ニッセイ基礎研究所の井出氏は先行きについて「日銀の買
い入れでかさ上げされていた分が和らいだ後は、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)などに応じて再び堅調に推移するのではない
か」と予想。あわせて「今後はこれまで買い入れてきた日経平均連動型ETFをどのタイミングでTOPIX連動型に置き換えていくかが焦点
になる」とみていた。 銀行株急騰の落とし穴 続かぬ金利上昇、過去にも−経済部 三田敬大
2021/03/19 21:42 日経速報ニュース
19日の東京市場で銀行株が急騰した。日銀がこの日の金融政策決定会合で、許容する長期金利の変動幅を拡大すると決めた。
金利上昇による貸出事業の収益改善などで銀行株が買われやすくなるとの思惑が強まった。ただ、この日の株高を主導したのは短
期筋が中心。長期投資家の脳裏には、金利上昇期待がすぐにはげ落ちた2018年の苦い記憶がある。
「今日は銀行株の日でしたね」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の斎藤勉シニアストラテジスト)。この日は三菱UFJフィナンシャル
・グループ株が18年11月以来の高値を付けるなど銀行株が気を吐いた。時価総額全体の5%程度を占める銀行株の上昇で、東証株価
指数(TOPIX)は0.2%とわずかながらも上昇して引けた。
金利が上昇すると、銀行が企業や個人向けの貸出金利を上げやすくなることに加え、低金利環境を前提に成長株へ向かっていた投
資マネーが割安株に戻りやすくなるため銀行株の追い風となりやすい。
もっとも、この日は「日銀発表に反応して買っているのは個人かヘッジファンドなど短期筋」(国内中堅証券トレーダー)。長期投資家は
「特に中下位の地銀は怖くて買えない」(国内バリュー株ファンドの運用担当者)と冷めた見方も多い。
長期投資家は何を警戒しているのか。手掛かりは前回、日銀が長期金利の変動容認幅を拡大した2018年7月31日の政策変更だ。
黒田東彦総裁は当時の会見で「これまでの2倍の変動が念頭」と発言し、市場は0.2%程度までの上昇を容認したと受け止めた。ところ
が、日銀は直後の8月には予定外の国債の買いオペ(公開市場操作)を実施するなどけん制に動く。「日銀は結局、金利上昇を許さない」
――。10年物国債利回りは結局、0.2%に届くことなく低下基調に戻った。
今回は「プラスマイナス0.25%程度」と数字を明確にしている分、逆に言えばここが上限になるということでもある。この日の会見で黒田
総裁は意図について「政策の持続性や機動性を高める」ためと強調した。そもそも、当時と今の10年債利回りを比べると、国内が当時と
同水準の0.1%程度、上昇した米国でも3%前後あったのが1.7%に下がった。金利面では収益性が抜本的に改善する水準にはほど遠い。
割安株として物色されることについても、前述のバリューファンドの担当者は「物色するなら経済正常化をにらんで海運や自動車の方が
期待できる」との立場だ。
三菱UFJ国際投信の友利啓明チーフファンドマネジャーは銀行株について「ビジネスモデルの限界に前向きに手を打っているかを見る
必要がある」と慎重な見方を崩していない。銀行株が自律的に上昇していくには、金利の復活に頼るのではなく、事業構造をどう転換し
ていくのかを提示することが不可欠だ。 日銀、ETF501億円買い入れ 11営業日ぶり、変更は4月に(22日)
2021/03/22 17:49 日経速報ニュース
日銀は22日、株価指数連動型上場投資信託(ETF)を501億円買い入れた。購入は11営業日ぶりで、購入額は前回と同じだった。
この日の午前は東証株価指数(TOPIX)が前週末比1.11%下落していた。
不動産投資信託(REIT)は11日連続で買い入れを見送った。設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援する
ためのETF(新型ETF)は、前週末と同じ12億円を買い入れた。
保有するETFの貸し付けはなかった。
日銀は19日まで開いた金融政策決定会合でETF購入について原則年6兆円の目安を削除した。買い入れ対象をTOPIX銘柄に連
動するもののみに絞ることも決めた。ただ実際の変更時期については「黒田東彦総裁が別に定める日から実施する」と説明していた。
「4月の月初を想定している」(日銀広報)という。 米連邦準備制度理事会(FRB)は午前、新型コロナウイルス感染拡大後の市場の動揺を受けて導入した銀行自己資本規制を
緩和する特例措置について、予定通り3月末に終了すると発表した。特例措置では、自己資本を増額しなくても、国債などへの
投資を増やせるようにしていた。
市場では、銀行が国債売却に動くとの見方が広がり、長期金利が上昇(国債価格は下落)。一時1.75%を付けた。株式市場
では、投融資への悪影響が懸念され金融株が大きく下落し、相場全体を押し下げた。 邦銀の海外投融資最大、昨年末530兆円、国内低金利、背景に、高依存に財務リスク。
2021/03/23 日本経済新聞 朝刊
邦銀の海外への投融資が伸びている。国際決済銀行(BIS)の統計によると2020年末時点で4・8兆ドル超(約530兆円)と過去最
高を更新した。国内の低金利を背景に海外の国債や証券化商品などへの投資を増やさざるを得ない構図が鮮明だ。21年は金融市場
の変動が大きくなっており、地方銀行を中心に財務リスクも高まっている。
BISは各国の国際与信(最終リスクベース)を四半期ごとに統計としてまとめている。統計はそれぞれの国における銀行の国内本支店
から海外への貸し出しのほか、国債や社債、株式などへの証券投資を含む。国外にある支店から海外顧客に向けた貸し出しも対象だ。
邦銀の海外投融資は20年9月末時点でおよそ4・6兆ドルと世界最大。同年12月末時点の国内分集計では3四半期ぶりに過去最高
を更新し、前年同月比の伸び率は約9%と、4年3カ月ぶりの大きさとなった。邦銀の国際与信は15年9月末に初めて首位に立って以降
右肩上がりで伸び続けてきたが、ここに来てペースが一段と上がっている。
メガバンクなどは海外で融資業務を手掛けているが、国際与信統計の集計を担当する日銀は足元の残高増について「邦銀が海外の国
債や証券化商品、投資信託などへの投資を増やしている」(金融市場局)と説明する。
もともと国内の低金利環境の長期化で海外への投融資を増やさざるを得ないという状況に、昨年は新型コロナウイルス禍が拍車をかけ
た。日銀による企業の資金繰り支援策や政府の財政出動、消費低迷による預金の積み上がりで国内ではマネーストック(通貨供給量)が
大きく伸びている。膨らんだ緩和マネーを背景に、銀行が資金を海外資産に振り向ける動きが加速した。
銀行の運用依存度が高まるほど市場動向が収益を左右するリスクも高まる。特に一部の地銀はすでにその兆候が表れている。20年4
〜12月期決算では、福島銀行が海外株式など含み損の出ていた有価証券売却で損失を計上し、21億円の最終赤字となるなど、海外
市場の動きが業績を大きく左右するようになっている。
対外・対内証券投資によると、2月末に米長期金利が急上昇(債券価格は急落)した局面では国内勢が外債を大きく売り越した。海外
に活路を求めなければならない事情が変わらない中で、銀行にとってリスク管理の負担は重くなってきている。
マネックス証券の大槻奈那チーフ・アナリストは「市場が急激に変動すると、保有する海外資産の価格が下落して銀行のバランスシート
を弱めかねない」と指摘する。外国為替市場で円相場は対ドルで下落基調にあるなど、すべての動きが逆風なわけではないが、膨らませ
てきた海外資産の変動率の上昇は銀行財務の圧迫要因となりそうだ。 配当4%超、銀行株保有で金利上昇に備え(大槻奈那)
https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1&ng=DGXZQOFZ152MQ0V10C21A3000000&scode=8316&ba=1 日銀のETF購入、TOPIX型に来月から一本化。
2021/03/24 日本経済新聞 朝刊
日銀は23日、金融緩和策の一環で買い入れている上場投資信託(ETF)の対象を、4月1日から東証株価指数(TOPIX)型に
一本化すると発表した。これまで含めていた日経平均型の購入をやめる。3月18〜19日に開いた金融政策決定会合で、ETFの
購入対象の見直しや買い入れ額の柔軟化を決めており、今回、実施時期などを明らかにした。
日銀は従来、買い入れ額の約75%をTOPIX型、残りの約25%をTOPIX型と日経平均型、JPX日経400型としていた。 「彼岸底」探る日本株―米金利の重荷、業績で克服(スクランブル)
2021/03/25 日本経済新聞 朝刊
多くの投資家の目には想定を超える株安と映っているに違いない。24日の日経平均株価は4日続落し、この間の下落幅は1811円
(6%)に達した。この下げはいつまで続くのか。足元の株安の根っこには、急激といえる米長期金利の上昇が横たわる。そうである以上
、株価の先行きを読むには、米金利と日本株の位置関係を確かめる必要がある。
「米金利上昇のスピードが一定幅を超えると投資家のリスク回避姿勢が強まり、米金利上昇への耐性が強いはずの日本株にもマイナ
スに効いている」。ゴールドマン・サックス証券の建部和礼氏は指摘する。
足元の株安の起点は先週16〜17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。
2021年の米成長率見通しが6・5%に上方修正される一方、23年末までゼロ金利政策を続ける方針は維持された。経済過熱による
インフレ懸念が強まり、米10年債利回りは先週末に1・75%まで上昇した。
米金利と日本株の適正な位置関係はどこにあるのか。予想1株利益(EPS)を株価で割った益回りから米10年債利回りを引いた「日米
イールドギャップ」をたどると、15年以降は4%が下限になっている。15年5月と18年1月に、日米イールドギャップはちょうど4%まで低下
した後にはね返されているからだ。
□ □
この数値は下がれば下がるほど、債券価格に対して株価が割高になっていることを示す。過去2回はイールドギャップがちょうど4%まで
低下したところで株価が下落に転じ、株価の割高さは解消されていった。
足元は米金利上昇によってイールドギャップが23日時点で4・02%まで低下していた。4%の経験則が当てはまるのであれば、益回り
は上昇するしかない。予想EPSを一定と考えれば株価は下がるほかなく、これが今回の株安につながっていると考えられる。
一方、益回りは予想EPSが増加することによっても上昇する。企業業績が回復していけば、米長期金利の影響を相殺できるわけだ。言
い換えると、米金利上昇の影響を日本株が克服できるかどうかは、企業業績次第ということになる。
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「外需型の製造業がけん引して回復するとみていた企業業績はさらに上振れするだろう」。SMBC日興証券の圷正嗣氏は21年度に4割
増、22年度に1割増とみていた上場企業の経常増益率の上振れを予想する。「ワクチン接種に伴い内需型企業の業績回復が期待できる
ほか、在宅勤務の継続や出張費の削減などで企業のコスト構造が改善する」とみるからだ。
日本では「節分天井、彼岸底」という相場格言が語り継がれてきた。3月中旬に相場が底を入れる根拠は決算対策売りが一巡するから
とされるが、海外投資家のシェアが高まる近年では「彼岸底」は当たらない格言のひとつになってきた。
だが今年はこの「彼岸底」が久々に的中するかもしれない。米長期金利の上昇に目を奪われていると、相場を読み誤るだろう。 金融庁「企業の返済猶予を」、銀行に資金繰り支援要請。
2021/03/26 日本経済新聞 朝刊
金融庁は25日、飲食・宿泊業などを中心に新型コロナウイルスの影響が長期化していることを踏まえ、銀行などに資金繰り支援を
徹底するよう要請した。融資先が赤字に陥っていても即時返済を求めず柔軟に対応するよう促した。
政府が23日に新たな金融支援策をまとめたことを受けた措置。銀行融資では企業が2期連続の赤字になった場合に借入金の一括
返済などを迫る契約条項(コベナンツ)を設けることがある。コロナの影響で条項に抵触してもただちに発動せず、返済条件の変更など
に適切に応じるよう求めた。
支援策では日本政策投資銀行など政府系金融機関による融資で、民間との協調融資を原則とするルールを停止することを盛り込ん
だ。民間金融機関には政府系任せにせず取引先の事業再生計画の策定などを後押しするよう要請した。会計監査で企業の将来予
測について過度に悲観的に判断しないよう留意することも働きかけた。 米国株、ダウ反落で始まる 利益確定売り先行 金融株が安い
2021/03/29 22:54 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=戸部実華】29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落して始まり、午前9時35分現在は
前週末比55ドル60セント安の3万3017ドル28セントで推移している。前週末に過去最高値を更新し、目先の利益を確定する売りが先
行した。投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントの投げ売りに関する観測報道も投資家心理の重荷となっている。
新型コロナウイルスのワクチン普及で米経済活動の正常化が進むとの期待を背景に、ダウ平均は26日に過去最高値を更新した。
足元で上昇が目立っていた機械のハネウェル・インターナショナルやクレジットカードのアメリカン・エキスプレスなどが売られている。
欧米メディアによると、投資会社アルケゴスが先週、保有株の下落で打撃を受けて資産を投げ売りした。取引に関連した金融機関
の損失や相場全体への影響が警戒されている。金融のゴールドマン・サックスが安い。米預託証券(ADR)の野村やスイスのクレディ
・スイス・グループは大幅安となっている。市場では影響について「一時的なものか、より広範囲に及ぶ問題の予兆か見極めたい」
(SIAウェルス・マネジメント)との声もあり、積極的な売買は手控えられている。
NY株ハイライト 金融株への資金流入が一服 「アルケゴス」余波警戒
2021/03/30 06:37 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=岩本貴子】29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸した。前週末比0.3%高の3万3171ドルで
取引を終え、連日で過去最高値を更新した。新型コロナウイルスのワクチンが普及し経済活動が正常化に向かうとの期待が強い
中で、さえない動きだったのが、景気の持ち直しで恩恵を受けるはずの金融株だ。米投資会社のアルケゴス・キャピタル・マネジメ
ントに関連する取引の影響がどこまで広がるのか見通しにくく、終日軟調に推移した。
複数の欧米メディアによると、投資会社アルケゴスは先週、保有株の下落で打撃を受け、担保の追加差し入れ(追い証)を求め
られた。しかしアルケゴスは追加担保を差し入れることができなかったため、取引していた金融機関は持ち高の整理を迫られたという。
そのうちのひとつとされるクレディ・スイス・グループは29日、損失計上の可能性を明らかにすると同時に「クレディ・スイスやほか
のいくつかの銀行は、ポジションの整理の過程にある」と発表した。29日の欧州市場でクレディ株は14%安。米顧客との取引に関
連して約20億ドルの損失が生じる可能性があると発表した野村ホールディングス(HD)の米預託証券(ADR)も29日の米市場で1
4%安となった。
今回の取引の影響がクレディと野村HDだけにとどまるのか市場はまだ確信できてない。アルケゴスとの取引に関与していると伝
わったドイツ銀株も3%安で取引を終え、モルガン・スタンレーにも売りが優勢だった。米メディアによると、米証券取引委員会(SEC)
は「先週から事態を監視しており、市場関係者と連絡をとっている」という。
市場の懸念は2つある。ひとつは「アルケゴスの取引に関連する売買がまだ終わっていないのではないか」という点だ。アルケゴ
スが前週に投げ売りをしたと伝わったメディアのバイアコムCBSは29日に7%安、ディスカバリーは約2%安となり、持ち高解消の
売りが続いているとの懸念を強めた。
もうひとつはほかのヘッジファンドに関連する取引だ。アルケゴスの取引は、特定の銘柄にレバレッジ取引が過度に集中していた
ことにも原因があるとみられている。足元の米株式市場では一部のハイテク株や環境関連銘柄に取引が偏っている。「一時的なも
のか、より広範囲に及ぶ問題の予兆か見極めたい」(SIAウェルス・マネジメント)と考える投資家は積極的に動きにくい。
米国では各州で新型コロナワクチンの接種可能な住民の範囲を広げる動きが出ており、バイデン米大統領は29日の記者会見で、
4月19日までに米国民の成人の90%が新型コロナワクチンの接種を受けられるようになるとの見通しを示した。経済活動の正常化
期待を受けて、企業収益が徐々に上向くとの見方も強まっている。株式相場を支えるファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は決し
て悪くないものの、今回の問題が一部の銘柄への売りで終わるのか市場全体に影響するのか見えてくるまで、上値を抑える要因と
して意識されそうだ。 レバレッジ解消続くか―過剰リスクの逆回転警戒(スクランブル)
2021/03/30 日本経済新聞 朝刊
2020年度の権利付き最終売買日となった29日、株式市場は前週末の米市場の混乱の余波に翻弄された。米投資会社の投げ売り
が株価急落や大手証券会社の損失につながる見込みとなり、リスク回避の動きが優勢になった。昨年春のコロナ禍以降の上昇で過剰
なリスクが市場に蓄積しているのではないか。高値に酔う市場がほころびへの警戒を強めている。
午後2時すぎ。前週末に比べ300円ほど高い水準で推移していた日経平均株価が急速に上げ幅を縮め、一時はわずか20円高となっ
た。主因は「クレディ・スイスの開示をきっかけにしたリスクオフ。米株先物売りから日本株にも広がった」とある外資系証券のトレーダーは
指摘する。
渦中の米アルケゴス・キャピタルは金融機関から資金を借り、レバレッジ(てこ)をかけて株式に投資していた。株価が下落し追加の担保
を求められたが、応じられず売却を余儀なくされた。クレディ・スイスは損失発生の可能性を開示し、市場ではアルケゴス関連とみられている。
1兆円を超えるアルケゴスの売却額や証券会社の損失の大きさに市場関係者は驚いた。ただ、29日の市場では「サプライズではあった
が、数日で収まる」(CLSA証券の釜井毅生エグゼキューション・サービス統括本部長)と楽観的な見方が優勢で、日経平均も取引終了直
前に再び上昇し、終値は207円高だった。
□ □
今回の損失劇を仏BNPパリバ傘下のファンドが解約停止に陥りサブプライムローン問題の入り口となった07年のパリバ・ショックになぞ
らえる向きもある。コモンズ投信の伊井哲朗社長は「当時と比べて金融機関の規制が強まっており、金融機関の信用創造には影響が及ば
ないと見ている。下がれば買いたい銘柄も多い」と話す。金融システムに問題が生じるとみる市場関係者は少ない。
ただ、レバレッジの解消が株価の急落を招く現象が頻発するリスクはある。ゴールドマン・サックスが顧客の持ち高を集計したところ、買
いと売りの合計は、ネットの持ち高や現金の合計に比べ250%以上に膨らんでいる。近年では最も高い水準だ。
アルケゴスは500%近いレバレッジをかけていたとの見方もある。投資先の米メディア大手のバイアコムCBSは昨年末から3月22日の
高値まで3カ月間で3倍近く上昇していた。増資計画で株価が下がるとアルケゴスは他の銘柄まで売らないといけなくなった。
□ □
金融危機はサブプライムローン関連商品にリスクが蓄積した。今回はハイテクなど特定銘柄に人気が集中する「ハーディング現象」が起
きている。高速通信規格「5G」や電気自動車(EV)など、デジタル化や脱炭素のテーマに適合した人気銘柄なら割高でも買う動きが広が
っていた。
米テスラなど成長株に選別投資する米アーク・インベストメント・マネジメントの旗艦上場投資信託(ETF)もそうした資金集中を促した一
つだ。1年間で純資産が10倍になった。アークの旗艦ファンドは3月に入り資金流出が目立ち、年初来の運用成績はマイナス圏に沈む。
レバレッジの解消とハーディングの逆回転が連鎖して急騰から急落へ転じる銘柄が増えるリスクを抱える。アルケゴス問題は、投資家の
慢心へのツケが小さくないことを示している。 三菱UFJフィナンシャル・グループなど5大銀行が保有する株式の2020年度末の含み益は合計で9兆円程度と、
19年度末比で3兆6000億円の大幅増加となったもようだ。大和証券の高井晃チーフアナリストが31日、試算した。
日銀が大規模金融緩和の一環で買い入れている上場投資信託(ETF)の含み益も大幅なプラスとなった。
東証株価指数(TOPIX)などを基に試算した。株式相場が新型コロナウイルスの感染深刻化で急落した19年度末
から大きく回復したことを反映した。高井氏は、含み益の増加で自己資本比率が改善するなどとして「銀行財務に
ポジティブな影響を与える」と指摘。今後も保有株削減時に多額の売却益を期待できるとの見方を示した。 個人が狙う「品薄」銘柄―ハイテク過熱、需給に注目(スクランブル)
2021/04/03 日本経済新聞 朝刊
景況感の改善などで日経平均株価が再び3万円の大台に近づく中、個人投資家の買い意欲も回復している。ただ、ハイテク株を中心
に過熱感への警戒は続く。そこで注目するのが需給だ。長期保有の個人が多く、少額の買いで上昇しやすい隠れた品薄銘柄に関心が
高まっている。
2日は東京エレクトロンやレーザーテックなど半導体関連銘柄を中心に買いが優勢だった。米企業景況感が上向くなかでも米長期金利
の上昇が一服し、株価指標面で割高な成長期待の高い銘柄に資金が流入している。
S&P500種株価指数は1日に初めて4000の大台を付けた。海外投資家の運用リスクを取る姿勢が強まるとの期待も出ている。
日経平均が上昇するなかでも、戻り待ちの売りへの警戒感は乏しい。東京証券取引所が発表する投資部門別の売買動向によると、3
月下旬にかけて投資信託や信託銀行の売り越しが目立った。
ある外資系証券の株式トレーダーは「地方銀行や年金基金といった国内勢が益出しやリバランスを目的に売りに動いたためだ」とした上
で、「これらは期末特有の売買で今後は一巡する公算が大きい」と話す。
個人投資家の売り圧力も減っている。個人の現物株の売買動向をみると、売越額の直近半年のピークは日経平均が2万4000円近辺
に位置した11月第2週の約6883億円。そこから株価水準は大きく切り上げたが売越額の規模は減少傾向にある。
東証株価指数(TOPIX)が年初来高値を付けた3月第3週の個人の売越額は約3186億円にとどまった。既に利益確定を完了し、買い
持ち高が少なくなった証左といえる。
売り手退潮に伴う上昇期待が高まるなか、需給分析を重視する市場参加者は品薄株に注目する。東海東京調査センターの鈴木誠一チ
ーフエクイティマーケットアナリストは(1)個人投資家の保有比率が高い(2)個人株主1人当たりの保有株数が市場平均を下回る(3)株
主優待制度がある――との条件を満たした銘柄を有望視する。
鈴木氏は「この条件を満たすと株主優待狙いで長期保有を前提とした個人株主が多いと推測される」と指摘。実質的な浮動株が少ない
「隠れ品薄銘柄」とみなせるという。
隠れ品薄銘柄の一例は高島屋だ。鈴木氏の試算によると自己株などを除いたベースの浮動株に占める個人株主の比率は約55%で、
市場平均の約26%を上回る。高島屋は年初来で3割近く値上がりした。他にもJ・フロントリテイリングや吉野家ホールディングスといった
隠れ品薄銘柄の好調さが目立つ。
株主優待制度があり個人株主の比率が高い銘柄は、小売りやサービスといった業種が多いのが特徴だ。新型コロナウイルスのワクチン
接種拡大で経済活動の正常化が進むと期待されるなか、需給と業績の両面で注目が集まる可能性がある。
過去10年を振り返ると、海外勢は4月に現物株を買い越す傾向がある。良好な需給環境のなかで上値期待が高まりやすいと言えそう
だ。(日経QUICKニュース田中俊行、井川遼) 7日オンラインセミナー 三井住友FG太田社長が語る−銀行ビジネス変われるか デジタルで導く破壊と創造
2021/04/05 02:00 日経速報ニュース
NIKKEI Financialは7日午後7〜8時、会員限定のオンラインセミナー「銀行ビジネス変われるか〜デジタルで導く破壊と創造」を
開きます。お招きするのは、デジタル戦略の重要性を訴える三井住友フィナンシャルグループの太田純社長。デジタルで銀行ビジ
ネスをどう変えるのか、改革の先に描く新たな銀行の姿とは。メガバンク首脳が率直に語ります。セミナーはNIKKEI Financialのサ
イト内で配信します。
太田社長は1982年(昭57年)京大法卒、旧住友銀行に入行。プロジェクト・ファイナンス事業に草創期から長く携わり、営業の
最前線に精通するバンカーです。その後は中枢のITや財務責任者を歴任。2年前に満を持して社長・最高経営責任者(CEO)に
就きました。
おのずと現場重視の姿勢はトップ就任後も変わりません。焦点のデジタル分野で「社長製造業」を掲げ、若手・中堅社員による
現場起点のアイデアをどんどん吸い上げる。「OK。じゃあ君自らやってよ」。彼らが指揮する新会社を続々と立ち上げ、旧来型金
融の破壊と新たな創造に挑みます。
一方、メガバンクとして足元のコロナ禍に加え、マイナス金利など構造問題にどう対処していくのか。国内戦略提携や海外M&
Aへの方針は――3メガ社長インタビューの第1弾。モデレーターはNIKKEI Financial編集長の佐藤大和がつとめます。 米バークシャー、円建て社債発行へ 日本株投資拡大か
2021/04/05 18:11 日経速報ニュース
著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイが円建て社債の発行を準備していることが5日、
わかった。円建て社債の発行は2019年、20年に続く3回目。初回は4300億円、2回目は1955億円を調達しており、今回も発行額は
数千億円規模に達するとみられる。
8日に社債の発行条件を決める。発行を予定するのは償還までの期間が5年、10年、15年、20年の4本となる見通しだ。主幹事は
BofA証券、JPモルガン証券、みずほ証券が務める。
市場では5年債の利率は約0.2%になると想定されている。日本国債を上回る格付けを取得するとみられ、社債投資家の需要が集
まる可能性がある。
2回目の社債発行後には伊藤忠商事や三菱商事など日本の5大商社株に投資した経緯がある。今回も社債で調達した資金で商社
株に再投資するとの見方が浮上し、5日の東京株式市場では一時、三井物産の株価が前週末比5%、丸紅が4%上昇する場面があ
った。
バフェット氏は基本的に株式を長期間保有し、企業のキャッシュフロー(現金収支)からみた「割安さ」をもとに投資判断する。主な投
資先はコカ・コーラやアメリカン・エキスプレスなど「誰もが知る大企業」が多いとされる。
ただ、近年は米国に投資マネーが集中したことで、米国内ではバフェット氏が好んできた割安株が減少。収益機会を求めて日本株に
投資対象を広げたとの見方がある。
バークシャーによる商社株投資の背景には「低金利の円建て社債で調達した上で、変動率が低く高配当利回りの株を買えばほぼ確
実にサヤが抜ける」(岡三証券の松本史雄チーフストラテジスト)との指摘がある。
商社株の配当利回りは2〜4%台で、前回発行した中で最も年限が長い40年債の表面利率は2%。株価が安定すれば安定的な収
益を狙えるとの見立てだ。市場では商社以外の日本株の投資先候補として銀行株や通信株などが取り沙汰されている。
バークシャーは20年8月に日本の商社株への投資を明らかにした際に「長期保有を目的としている」と明言しており、株価の動向次第
では投資先への出資比率を5%から9.9%に引き上げるともしている。今回調達する円建て資金を商社株の出資比率引き上げにあてる
可能性もある。 量子計算機で不正検出率向上、NECなど、金融用AIに活用。
2021/04/07 日経産業新聞
NECと三井住友フィナンシャルグループ、日本総合研究所は次世代計算機と期待される量子コンピューターを使い、クレジット
カードの不正利用を検知する精度を高める技術を開発した。人工知能(AI)に学ばせるための不正利用データを仮想的に作り出
す工夫を加えた。データ作成という量子コンピューターの新たな使い道を提案し、金融分野でも利用を広げる。 外国人は4月に日本株を買う 配当回避後に買い戻し−編集委員 川崎健
2021/04/07 17:51 日経速報ニュース
下がりそうでなかなか下がらない相場とはこのことか。7日の日経平均株価は前日終値を挟んで一進一退だった。高値警戒感がくすぶる
一方、投資家の旺盛な個別株物色が相場を支えている。では、誰が買っているのか。外国人投資家を巡るあるアノマリー(経験則)が浮か
び上がる。どうやら外国人には、4月に日本株を買うクセがあるようなのだ。
「世界的な金利上昇を受けたバリュー相場は一巡しつつある。これからはマクロ経済や金利動向が左右する『金融相場』から、個別企業の
業績が物色動向を決める『業績相場』へと移っていく」。JPモルガン証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストはいう。
つまり「森を見る展開から、木を見る展開へと相場つきが変わる」というわけだ。そうであれば、今後はどのような「木」が買われるのだろう
か。阪上氏は過去の金融相場が一巡した後の相場動向を分析したうえで、配当利回りやPER(株価収益率)など業績関連のバリュエーショ
ン指標が有効になると指摘する。
実際、7日は大東建託や大林組、長谷工コーポレーションなど住宅建設セクターの一角の株価上昇が目を引いた。いずれも、今期予想配
当利回りが3%を超える高配当銘柄だ。業績相場への移行がすでに始まっているという証左だろう。
さらに、この3銘柄はもうひとつの共通項がある。外国人持ち株比率が36〜49%といずれも高いのだ。
そこで4月にみられるある1つの法則が浮かび上がる。外国人持ち株比率が高く、かつ配当利回りが高い銘柄がアウトパフォームしやすい
という経験則だ。
なぜだろうか。「非居住者または外国法人については株の売却益は日本で課税されない一方、配当に対しては源泉徴収がなされる」。
野村証券の高田将成クロスアセット・ストラテジストは指摘する。それゆえに「外国人は高配当銘柄を中心に3月末までにいったん日本株を
売却し、4月に買い戻すというインセンティブがある」というのだ。
「配当取り」ならぬ「配当回避」だ。確かに、日本の税法では本国との二重課税を避けるために株式売却益は非課税だが、配当金には15
.315%が源泉課税される。この二重課税を避けるために、3月末の配当権利確定日までにいったん日本株を売却するという行動は合理的だ
ろう。
さらに長期保有が前提の外国人投資家であれば、配当落ち後の4月に同じ銘柄を買い戻すのだろう。
4月に外国人が日本株を買うというのはよく知られたアノマリーだ。実際、2002年から20年までの19年間を振り返ると、このうち18回(発生
確率95%)で外国人は日本株を買い越していた。さらに、4月の平均買越額は6740億円と12カ月の中で最大だ。
的中率が高いアノマリーではあるが、外国人投資家が日本特有の年度ベースに従って動くはずもなく、理由の部分についてはよく分かっ
ていなかった。それが日本の税制が由来の行動だとすれば、合点がいく。
このアノマリーは株価動向にも着実に効いている。外国人保有比率が高い上位20%の銘柄群を買い、下位20%を空売りする投資戦略のパ
フォーマンスは、3月末を境に一気に上昇。5月末(40営業日後)にかけて2.5%のリターンを上げるという結果が出る。
さらに、外国人持ち株比率が高い銘柄の中から予想配当利回りが高い銘柄を取り出すと、リターンはさらに上がる。野村証券によると、こ
の銘柄群の4月の平均超過リターンはプラス0.79%。外国人持ち株比率と予想配当利回りがともに低い銘柄群(マイナス0.54%)を大幅に超
えた。
「外国人は4月に日本株を買う」というアノマリーは的中率が高い一方、一時的な需給要因でもある。外国人が3月の「配当回避」で売った
株を買い戻せば終わるからだ。その後も継続的に外国人がその銘柄を買い続けてくれるかどうかは、その企業の業績次第であるのはいう
までもない。( 政投銀、飲食・宿泊特化の資本支援、コロナ下、劣後ローンや優先株出資、金融規律維持に危うさ。
2021/04/14 日本経済新聞 朝刊
日本政策投資銀行が新型コロナウイルスの感染拡大に伴い営業の自粛や時短が長引く飲食・宿泊業界に特化した資本支援を
始めた。すでに借り入れが膨らんでいる企業に財務負担を大幅に軽くした形で資本を入れる。規模や業績を問わず企業側の負担
は一律で、民間協調の原則も棚上げした。スピード重視の特別措置は金融規律をゆがめる危うさもはらむ。 米銀、投資業務けん引、1〜3月、大手4行が最高益、融資需要なお厳しく。
2021/04/17 日本経済新聞 朝刊
【ニューヨーク=宮本岳則】米大手銀行の2021年1〜3月期決算が出そろった。売買仲介や株式の引き受けなど投資銀行業務が
けん引役となり、各行とも大幅増益を達成した。融資を中心とした商業銀行業務は低調だった。
JPモルガン・チェースとゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、シティグループは四半期として過去最高益を更新し、他行も大
幅増益を達成した。
投資銀行業務が好業績を支えている。機関投資家の売買が活況でトレーディング事業が伸びた。株式引受業務では特別買収目的会
社「SPAC」の上場ブームが追い風となった。M&A(合併・買収)を検討する企業も増え、各行からは「仕掛かり案件は過去最高レベル」
(ゴールドマンのスティーブン・シャー最高財務責任者=CFO)といった声が聞かれた。
貸倒引当金の戻し入れも会計上の利益を底上げした。シティグループのマーク・メイソンCFOは「新型コロナウイルス予防ワクチンの接
種が広がり、消費も回復している」と述べ、貸し倒れリスクの後退を指摘した。JPモルガンとバンク・オブ・アメリカ、シティ、ウェルズ・ファ
ーゴの4行は20年上期に合計約450億ドル(約5兆円)の引当金を計上したが、21年1〜3月期までに4割程度を戻し入れた。
投資家は貸付利息や有価証券利息など資金運用で得られる収益(資金利益)を注視している。商業銀大手4行の21年1〜3月期実
績をみると、ウェルズの前年同期比2割減を筆頭に、そろって2ケタ減となった。
「融資需要は厳しい」。JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)はこう指摘した。消費はコロナ前水準まで回復してき
たが、クレジットカードの融資残高は低水準にとどまるという。政府からの給付金を借り入れ返済に充てる消費者もいる。
本業で稼げず、リストラを迫られている銀行もある。シティは15日、オーストラリアや中国、韓国など13市場の消費者向け銀行業務か
ら撤退すると発表した。ウェルズも非中核部門の売却や店舗閉鎖を進めている。
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一覧に戻る 邦銀海外融資、高リスクに傾斜、日銀リポート、航空機ファイナンスなど。
2021/04/21 日本経済新聞 朝刊
日銀は20日公表した金融システムリポートで、国内金融機関の海外投融資に関するリスクを分析した。世界的な低金利環境下で高い
利回りを求め、資源開発など一部の事業向け融資が低格付けの案件に傾斜していると指摘した。米投資会社を巡る巨額損失問題が国内
金融機関にも波及するなか、市場運用部門でも海外発のショックに影響を受けやすくなっている構図を浮き彫りにした。
日銀は金融システムの安定性を評価・検証するため同リポートを半年に1度公表している。今回は邦銀の海外向け融資と市場運用のリ
スクを詳しく分析した。
まず大手行などの手がける海外向け融資について、企業・事業向けなど5分野の格付け構成を点検した。大半を占める企業向け融資で
は7割近くが投資適格の案件だった。一方、資源開発を中心とするプロジェクトファイナンス(事業融資)では6割、航空機ファイナンス関連
などでは7割近くが投資適格から外れた高リスクの案件だった。
海外における事業融資は、2008年のリーマン・ショック後に欧米の金融機関が規模を縮小するのと入れ替わる形で邦銀が存在感を高
めてきた分野だ。石油・ガス関連の案件が多いのが特徴だが、国際社会で脱炭素の機運が高まるなかでエネルギー産業の将来には懸念
が強まる。
航空機関連は新型コロナウイルス禍で旅客需要が急減し、航空機の価格が大幅に下がっている。低格付けの融資で返済が滞るリスクが
高まりかねないだけに、日銀は海外向け融資について市場環境の変化に注意するよう警鐘を鳴らした。
国内金融機関の有価証券運用についても分析した。地方銀行などは投資信託や外国債券に積極的に資金を振り向けており、海外の資
産価格が急落する場面では日本勢の損失が膨らみやすくなっている。
一方、欧米の投資ファンドが日本企業を買収するなど、海外から日本への投資も増えつつある。ファンドの日本株売買が銀行の保有する
持ち合い株の価格に影響するといった余波も生じやすい。リポートでは、国内の金融機関と海外の投資ファンドの間で資産構成の重複が
進んでいるとして、海外発のショックが国内に波及しやすい構図を指摘した。
低金利環境の長期化で貸し出しによる利ざやが縮小し、海外への投融資を収益の柱に据える銀行は多い。3月に表面化した米投資会社
アルケゴス・キャピタル・マネジメントを巡る損失は、日本の金融機関が海外との顧客取引を拡大するなかで起きたが、こうした問題が特殊
な事例とは言い切れない可能性もある。
金融機関が財務の健全性を維持するには、投融資のリスク管理の徹底が必要になる。日銀が金融機関に対して実施する21年度の考査
では、リスクに見合った内部管理体制が整備されているか重点的に点検する方針だ。 動かぬ日銀、今月ETF購入ゼロ 株式市場に広がる不安
2021/04/21 12:39 日経速報ニュース
日銀の動きに株式市場が不安を募らせている。日銀は20日、東証株価指数(TOPIX)が午前に前日比1.25%安となったが、
上場投資信託(ETF)を買い入れなかった。3月にETF購入の方針を変更し4月から適用すると公表したが、まだ買っていない。
月間で購入がゼロとなると、黒田東彦日銀総裁が就任して以降で初めてとなる。テーパリング(段階的な金融緩和の縮小)か
――。市場関係者は身構えている。 「一人負け」の日本株に勝算はあるか 転機は5月下旬−編集委員 川崎健
2021/05/03 02:00 日経速報ニュース
新年度に入り、日本株の失速が鮮明だ。史上最高値圏で推移する欧米株と比べると、日本株は「一人負け」の状況。日本の新型コロナウ
イルスの感染再拡大やワクチン接種の遅れが影響しているが、現在進行する企業の決算発表も大きな原因だ。果たして日本株に勝算はあ
るのか。
ソニーグループ、村田製作所、エムスリー……。2021年3月期決算発表が前半の山場をむかえた先週の日本株市場。決算発表後に株価
が急落する銘柄が相次いだ。ソニーや村田製は22年3月期の会社予想が市場予想を下回ったことが嫌気され、エムスリーは会社側が今期
予想を「非開示」としたのを理由に売りが膨らんだ。
「例年以上に会社予想に注目が集まっているだけに、ガイダンスが市場予想に届かない場合は利益確定売りが出やすい。一方、多くの投
資家はまだ買いに慎重で、決算発表が一巡してガイダンスが出そろうまでは押し目買いに動きづらいのではないか」。野村証券の池田雄之
輔チーフ・エクイティ・ストラテジストはこう分析する。
2月に日経平均株価が30年半ぶりに3万円の大台を回復する過程で、日本株は欧米株をアウトパフォームした。だがその後は徐々に上値
を切り下げてきており、4月中旬以降は日本株の「独歩安」の展開となっている。
新型コロナ感染の再拡大とワクチン接種率の低さに加え、市場の事前予想を下回る会社の決算ガイダンスが、日本株固有の売り材料にな
っているのは間違いない。
それでは、弱い会社ガイダンスは本当に売り材料なのだろうか。
日本企業の期初見通しが慎重な数字になりやすいのは今に始まったことではない。さらに「保守的なガイダンス」が理由で株が長期にわた
って売られつづけることはない。期初の保守的なガイダンスが当初は売り材料になったとしても、時間が経過するにつれて「上方修正余地が
大きい」と投資家の解釈が変わっていくのはよくあることだ。
2010年度以降に当初の会社ガイダンスが結果的に保守的だった年は、計3回あった。決算発表直前の市場のコンセンサス予想(経常利
益)を会社側のガイダンスが3%以上下回り、かつ最終的な決算の着地がコンセンサスを3%以上上回った14年度、15年度、17年度の3回だ。
この3回の東証株価指数(TOPIX)の平均パターンをたどると、決算発表が一巡する5月下旬が相場の転機になったという事実が浮かぶ。
それまでおおむね横ばい圏で推移してきた相場が5月下旬に流れが変わり、年末にかけて上放れしている。
そして、「保守的なガイダンス」の年の相場の平均パターンに今年の日経平均を重ね合わせると、今のところ相場は似たような推移をたど
っていることもわかる。
仮に今年も「保守的なガイダンス」の平均的な相場パターンをたどっていけば、年末にかけて日経平均は3万3000〜3万4000円程度まで
上昇してもおかしくないことになる。
もちろん、現時点では強気すぎるようにみえるこのシナリオの実現は、これから順調に業績上方修正が増え、最終的な決算が期初予想を
大きく上回って着地するのが大前提だ。逆に、これから下方修正が相次げば、期初の会社ガイダンスは保守的どころか楽観的すぎたという
ことになり、相場が大きく調整するのは言うまでもない。
日本株分析の専門家の多くは、今年度は期を通じて業績の上方修正が増え、期初予想が結果的に「保守的」という結果に終わる可能性
が高いと指摘する。
たとえば野村証券の池田雄之輔氏は、マクロ指標から計算するトップダウン予想で主要企業の今年度の1株利益が前年度比57%増える
とみている。これは現時点ではおよそ3割増とみている市場のコンセンサス予想の2倍近い増益率だ。
SMBC日興証券の圷正嗣チーフ株式ストラテジストも今年度の業績予想を強気にみている専門家の一人だ。
「日本企業の業績を大きく左右するグローバル景気が順調に回復しており、中でも今回は製造業の回復が著しいのが最大のポイント。過
去を振り返ると、製造業の景況サイクルが回復している間は、日本企業の業績が欧米企業をしのぐ傾向が強かった」と指摘する。 圷氏は日本の産業構造を欧米と比較すると、「川上産業」の構成比率が相対的に高い点も、日本企業の業績にとって追い風になるとみる。
日本企業については、販売先企業の数が、仕入れ先企業と販売先企業の合計数に占める比率は21年2月末時点で38.1%(中央値)で、
米国企業(33.6%)や欧州企業(29.7%)を上回る。
これは、日本の産業は素材や電子・自動車部品など「川上産業」の構成比率が、サービスや小売りなど「川下産業」の構成比率よりも相対
的に高いことを示している。
「日本企業は全体としてみれば、世界に部品や素材を供給するグローバルサプライヤーの性格が強い。従って、半導体で典型的にみられ
るようなグローバルの需要回復に供給が追いつかない『川上インフレ』は、日本企業にとって欧米企業よりも相対的に有利に働くだろう」。圷
氏はこう分析する。
そうであれば、決算発表時の保守的なガイダンスを嫌って株価が弱含んでいる銘柄が多い今の局面は、日本株は格好の「仕込み時」とい
うことになる。世界的なリスク回避を招きかねない米国株の調整リスクには警戒が必要だが、今後の日本株に勝算は十分ある。 大手銀、割安に少額送金、スマホ活用、地銀も参加へ。
2021/05/11 日本経済新聞 朝刊
大手銀行が割安な手数料で送金できるスマートフォン向けサービスを始める。まず、三菱UFJ、三井住友、みずほ、りそな、埼玉りそな
銀行の5行で始める。割高と批判されてきた銀行の送金手数料がスマホを使った決済で下がる。
今は同じスマホ決済事業者の利用者同士なら送金が無料で、若い世代を中心に利用が広がる。大手行はライバルであるスマホ決済
事業者や地方銀行にも参加を呼びかける。会社が違っても割安に送金することで、利便性を高めたい考えだ。
5行は7月にも少額の送金を担う新会社を設立する。2022年1月にもスマホ送金のシステムを構築し、22年度早期にサービスを始め
る方針だ。一部の地銀は参加の意向を示している。 三井住友トラの前期、純利益13%減 政策保有株式はゼロ方針に
2021/05/13 17:33 日経速報ニュース
三井住友トラスト・ホールディングス(8309)が13日発表した2021年3月期(前期)の連結決算は、純利益が前の期比13%減の
1421億円だった。株式や関連したデリバティブ(金融派生商品)で損失を計上したほか、システム費用の前倒し処理が利益を圧
迫した。
本業のもうけを示す実質業務純益(連結)は同2%増の2947億円だった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い投資信託や
保険の販売、不動産仲介における手数料収入が減ったものの、業務の効率化や、オンライン対面活動の定着による時間外給与
や交通費などの費用削減が支えとなった。
22年3月期の連結純利益は前期比9%増の1550億円を見込む。1株あたりの年間配当予想は160円と前期の150円から積み
増した。
4月1日付で三井住友トラの社長に高倉透氏が就任し、新体制下で持ち合い株式など政策保有株式の保有を原則ゼロにする
方針も発表した。資本効率向上の一環で、まずは今後2年間に時価ベースで2500億円程度を削減する。 三井住友Fの今期純利益、17%増の6000億円を計画
コロナもあり「保守的に見積もった」
ブルームバーグ 2021/05/14 22:38
三井住友フィナンシャルグループは14日、今期(2022年3月期)の連結純利益予想が前期比17%増の6000億円になると発表した。
ブルームバーグが集計したアナリスト予想の平均6101億円を下回った。
発表資料によると、本業のもうけを示す連結業務純益は前期比3.3%増の1兆1200億円を見込む。新型コロナウイルスによる影響は
残るものの、グローバル事業部門や国内の個人・法人ビジネスで収益増加を見込む。与信関係費用は3000億円と前期実績比で
605億円減少する見通し。
コロナ影響は個人消費低迷によるコンシューマーファイナンス事業などで残る一方、航空機リース事業などでは改善するとみている。
連結業務純益ベースで700億円(前期は1000億円)、与信関係費用で1000億円(同1700億円)の減益要因として織り込んだ。純利
益ベースでは1200億円(同1900億円)の下振れ要因となる。
同日会見した太田純社長は、日本経済はコロナのワクチン接種進捗(しんちょく)に伴い、緩やかに回復すると指摘。与信関係費用に
ついては、コロナ変異株の影響も考えて「保守的に見積もった」と説明した。
自社株買いについては、現在の同社株価や資本状況を見れば、検討の余地はあると指摘。資金繰り支援の需要を見極めるため現時
点では判断を保留したが、「適切なタイミングで適宜検討する」と述べた。
同時に発表した前期(21年3月期)の連結純利益は前の期比27%減の5128億円だった。与信関係費用の増加が響いた。期初に示
した純利益予想4000億円は上回った。 三井住友F:今期純利益17%増の6000億円、自社株買いは適宜検討
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-05-14/QSZRTLDWLU6Z01
日本経済はワクチン接種の進捗に伴い緩やかに回復へ−太田社長
今期はグローバル事業や国内の個人・法人事業での収益増加見込む
三井住友フィナンシャルグループは14日、今期(2022年3月期)の連結純利益予想が前期比17%増の6000億円になると発表した。
ブルームバーグが集計したアナリスト予想の平均6101億円を下回った。
発表資料によると、本業のもうけを示す連結業務純益は前期比3.3%増の1兆1200億円を見込む。新型コロナウイルスによる影響は
残るものの、グローバル事業部門や国内の個人・法人ビジネスで収益増加を見込む。与信関係費用は3000億円と前期実績比で605
億円減少する見通し。
コロナ影響は個人消費低迷によるコンシューマーファイナンス事業などで残る一方、航空機リース事業などでは改善するとみている。
連結業務純益ベースで700億円(前期は1000億円)、与信関係費用で1000億円(同1700億円)の減益要因として織り込んだ。純利益
ベースでは1200億円(同1900億円)の下振れ要因となる。
同日会見した太田純社長は、日本経済はコロナのワクチン接種進捗(しんちょく)に伴い、緩やかに回復すると指摘。与信関係費用に
ついては、コロナ変異株の影響も考えて「保守的に見積もった」と説明した。
自社株買いについては、現在の同社株価や資本状況を見れば、検討の余地はあると指摘。資金繰り支援の需要を見極めるため現時
点では判断を保留したが、「適切なタイミングで適宜検討する」と述べた。
同時に発表した前期(21年3月期)の連結純利益は前の期比27%減の5128億円だった。与信関係費用の増加が響いた。期初に示し
た純利益予想4000億円は上回った。 「気候変動対応が最重要」、全国銀行協会新会長に高島誠氏。
2021/07/01 日本経済新聞 朝刊
全国銀行協会の新会長に1日、就任した高島誠・三井住友銀行頭取は日本経済新聞のインタビューで、「気候変動問題への対応が
最重要アジェンダ(課題)だ」と述べた。取引先の脱炭素化に向け、銀行界の旗振り役を担う。課題解決力を高め、脱炭素や新型コロナ
ウイルス対策などで銀行がコンサルティング能力を発揮していくことの重要性も強調した。
高島新会長は、大手行などが投融資先を含めた温暖化ガスの削減目標を掲げていることに触れ、「カーボンニュートラル(排出量実質
ゼロ)に向けた取引先の取り組みをどう支援するかが一番重要なポイントだ」と指摘。「顧客の行動計画を銀行が理解して、よりグリーン
な事業になってもらうべく対話していく」と述べた。
コロナ対策としては、3月末に終了した民間金融機関の実質無利子・無担保融資を通じて計約12兆4000億円(決定額ベース)を融資
した。「資金繰り支援には最優先で取り組んできており、今後もこの方針は変わらない」とした上で、コロナ後を見据え「取引先のビジネス
を持続的にしていくために、経営のコンサルティングを通じて支援していく」と強調した。
11月にも施行される改正銀行法で金融以外の新事業参入や、事業会社への出資に関する要件が大幅に緩和されることなどを念頭に
「ソリューションを提供していくことが銀行界が目指していく方向だ」と述べた。グループ内の銀行と証券会社間で顧客情報の共有を制限
する「ファイアウオール規制」を緩める案を金融庁が示したことに「日本の資本市場全体の活性化に寄与する」と歓迎した。 三井住友FG、インドのノンバンク買収へ 2200億円投資
2021/07/06 18:33 日経速報ニュース
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は6日、インドのノンバンク大手フラトン・インディア・クレジット・カンパニーを買収すると発表した。
約20億ドル(約2200億円)を投じ、発行済み株式の74.9%を取得する。三井住友FGは今年に入って、ベトナムやフィリピンの金融機関に
相次いで出資している。インドへの進出を通じて、成長が続くアジアへの展開を加速する。
当局の認可を前提に、2021年内にもシンガポールの投資会社テマセクの子会社から株式を取得する。将来的には発行済み株式の全
てを取得し、完全子会社にすることを目指す。
フラトン・インディアは、1994年に設立されたインドのノンバンク大手。約1万4000人の従業員を抱え、国内に650を超える支店を張り巡
らせる。
強みを持つのが、中小企業や個人向けローンの分野だ。成長性の高い都市部のほか、金融サービスが行き届いていない地方の農村
部にも幅広く顧客基盤を有する。貸出残高は2021年3月期に2505億ルピー(約3700億円)と同国内で10位以内に入る。
貸し出しから得られる利ざやも21年3月期時点で11.3%と、世界的な金融緩和で先進国を中心に利回りが低下する中でも高水準を維持
している。インドのノンバンク市場は年2ケタ台で伸びており、今後も経済成長を背景に住宅ローンなどの拡大が期待できる。
売上高にあたる業務粗利益(円換算ベース)は21年3月期に前の期比12%減の476億円、最終損益は182億円の赤字(前の期は114
億円の黒字)だった。新型コロナウイルス禍で政府が返済猶予を求めたことなどから、貸し倒れに備える費用が膨らんだ。三井住友FGは
足元で新規の感染者が減っていることなどから今後、資金需要の回復が進むとみて買収に踏み切った。
三井住友FGはアジアの経済成長を取り込むため、現地の金融機関への出資を加速している。4月にはベトナムのノンバンク大手のFE
クレジットに、6月にはフィリピンのリサール商業銀行(RCBC)に出資を決めた。フラトン・インディアは足元でオンライン融資などデジタル
分野にも注力しており、三井住友FGが持つノウハウを横展開することで、相乗効果の創出も狙う。 4〜6月(4)日本株「一人負け」、海外勢離れ、著名ファンドが運用停止(QuarterlyReview)終
2021/07/08 日本経済新聞 朝刊
日本株の存在感が一段と低下している。2021年4〜6月の日経平均株価は1%の下落と、20カ国・地域(G20)ではトルコに次ぐ
2番目の悪さだった。先進国では「一人負け」の様相だ。ワクチン接種の遅れで景況感の改善が鈍かっただけでなく、著名なヘッジフ
ァンドが日本株運用の停止に追い込まれるなど、海外マネーの長期の日本株離れが目立っている。
4〜6月はG20のうち16カ国・地域で代表的な株価指数が上昇し、首位はアルゼンチンの30%高だった。先進国では米英独が3
〜5%高と日経平均の弱さが目立つ。
日本の景況感の改善は海外に比べ鈍い。6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)では米欧が60台と高水準が続くが、日本は
52・4と前月比で悪化した。「欧州株や新興国と比べて、ワクチン接種の遅れで業績改善が見劣りする日本株を手放した」とラッセル
・インベストメントの箱崎真紀子ディレクターは話す。
「日本経済の低成長ぶりが改めて懸念されている」(外資系証券会社の株式営業担当者)という面もある。国際通貨基金(IMF)の
経済成長率の予測では23〜26年には0・5〜1・1%の低成長に戻ってしまう。
日本株は景気に敏感な製造業が多く、世界景気の回復初期には投資マネーが集中しやすい。20年秋から21年初めまで株価の
上昇率が高かったのはそのためだ。ただ、高齢化による国内市場の縮小や有望な新興企業を生み出す力の弱さを懸念し、海外勢は
中長期の投資では日本株を敬遠している。短中期のトレードが主体で買いが継続しない。
長期マネーはじわじわと抜け出している。
「投資家とのコミュニケーションをとっていたロンドンのグループ本部の決定だ。淡々と受け入れるしかない」――。英ヘッジファンドの
ホライゾン・アセットの戴興宇日本法人社長は語る。6月末で日本株の運用は停止した。日本拠点は閉鎖し、香港拠点での中国株
運用に注力する方針だ。
ホライゾンは米ソロモン・ブラザーズの副会長を務めた著名トレーダーの明神茂氏が共同最高投資責任者(CIO)として参加した。
「日本株運用に特化した『第1世代』の大物の引退は寂しい。海外投資家の日本株への関心の薄さを象徴する」と外資系運用会社
の営業担当者は話す。
ホライゾンの運用資産額を日本投資顧問業協会の開示資料でたどると、日本株人気の変化と連動している。アベノミクスへの期待
が高まった13年度以降に増加し、16年度末は4167億円に膨らんだ。期待が後退すると残高は減少し、19年度末には2467億円
と4割減った。その間、日銀の上場投資信託(ETF)買いなどで日経平均は支えられても海外勢の日本株離れは続いていた。
3月には英マン・グループで日本株ファンドのヘッドを務めたスティーブン・ハーカー氏が引退。日本株の運用を40年弱にわたり手が
けていた。日本株運用者の引退やファンドの閉鎖が目立つ。
モーニングスター・ダイレクトによると、自国以外で販売する日本株の公募投資信託の純資産額は21年5月末に459億ドル(約5兆
400億円)と、3年前に比べてほぼ横ばいだった。一方で中国株投信は889億ドルと同期間に5割増えた。
日本株の光明は企業統治改革だ。仏アクサ・インベストメント・マネージャーズのジョンポール・テンペリー氏は、ニトリホールディング
ス(HD)による島忠への対抗TOB(株式公開買い付け)の成立を変化の好例とみる。「ガバナンスが改善し、株価の割安さが修正され
つつあることを、多くの海外勢に理解される必要がある」と話す。(大西康平) Google、日本で金融本格参入へ 国内スマホ決済買収−【イブニングスクープ】
2021/07/09 07:07 日経速報ニュース
米グーグルが日本で金融事業に本格参入することが8日までにわかった。国内のスマートフォン決済会社を200億円超で買収し、インド
や米国に続き日本でも2022年をめどに自社グループで送金・決済サービスを始めるもようだ。巨大IT(情報技術)企業の参入で金融と異
業種の合従連衡が一段と加速する。
グーグルが買収するのはスタートアップ企業のpring(プリン、東京・港)。17年に決済代行のメタップスや、みずほ銀行などが共同出資し
て設立した資金移動業者だ。複数の関係者によると、グーグルがみずほ銀行などプリンの既存株主から全株式を200億〜300億円で取得
する方向で最終調整に入った。
日本は先進国のなかでもキャッシュレス決済の普及が遅れており、開拓の余地が大きいと判断したようだ。米国のITプラットフォーマー
は膨大な顧客基盤やデータを生かし、金融に事業領域を広げている。グーグルの参入で日本でもデジタル金融を巡り既存の金融機関や
ネット企業との競争が激しくなる。
グーグルの広報担当者は日本経済新聞の問い合わせに対し「噂や臆測にはコメントしない」と回答した。
プリンは銀行口座をひも付けて入金し、QRコード決済ができるアプリを手がける。登録者は数十万人程度とみられるが、チャット感覚で
送金もできる使い勝手の良さが若年層を中心に支持を集める。残高は手数料なしで銀行口座に戻したり、セブン銀行のATMから出金した
りできる。提携する銀行はメガバンク3行を含む50行を超える。
国内のスマホ決済事業者としては珍しく法人サービスも展開する。日本瓦斯(ニチガス)など約400社が社員の経費精算や個人事業主
への報酬払いなどに採用している。グーグルとは法人向けの展開も視野に入れているようだ。
グーグルは主力のネット広告やクラウド事業に続き、金融を新たな収益の柱に据える。15年に始めたスマホ決済「グーグルペイ(旧ア
ンドロイドペイ)」は40カ国・地域で展開し、月間利用者数は1億5000万人を超える。米国では20年11月にアプリを刷新し、21年に米銀大手
シティグループなど11の金融機関と組み、銀行口座サービスを始めると発表した。
グーグルは日本でもグーグルペイを展開しているが、他社のクレジットカードや電子マネーを登録したうえで決済するサービスにとどまる。
スマホ上で複数の支払い手段を管理する財布のような仕組みで、単体での決済手段はない。グーグルはプリンの買収によって独自の送
金・決済機能を備えることで利用者を増やす考えだ。
グーグルペイの国内利用者数は非公表だが、日本での存在感は小さい。消費者庁の20年12月調査によると、使用頻度の高いキャッシ
ュレス決済のうち、グーグルペイを含むその他スマホ決済は6%と、クレジットカード(82%)や電子マネー(52%)、QRコード決済(42%)を大き
く下回る。
日本ではZホールディングス系の「PayPay(ペイペイ)」や、楽天グループの「楽天ペイ」などネット企業がスマホ決済と共通ポイントを組み
合わせて、電子商取引(EC)や携帯通信サービスなどの経済圏への囲い込みを強めている。金融サービスは国ごとに規制や慣習が異
なるため、グーグルは現地企業と組み展開を図る。
国内のキャッシュレス決済は、19年10月の消費増税にあわせた政府のポイント還元事業も背景に広がっている。中でもQRコード決済
が急拡大しているものの、クレジットカードを含む20年のキャッシュレス決済比率は3割に満たない。7〜9割に上る韓国や中国を大きく
下回る。
先行する米国では巨大IT企業の金融事業への参入が相次いでいる。アップルはゴールドマン・サックスと組み、クレジットカード事業に
参入した。世界で30億人規模が使うフェイスブックなどはデジタル通貨「ディエム(旧リブラ)」の発行を目指す。グーグルも日本での決済
事業を皮切りに金融サービスを広げる可能性が高い。 「財務強化し2、3年内に上場めざす」全保連の迫社長−九州・沖縄 戦略トップに聞く
2021/07/21 19:14 日経速報ニュース
沖縄発の家賃保証サービス大手、全保連(那覇市)が業績を拡大している。家賃保証サービスは家主の家賃滞納リスクを低減し、
借り主は保証人を見つけるなどの手間が省ける。全保連はメガバンクや損害保険大手と組み、家主への各種サービスを提供し、需
要をつかんでいる。迫幸治社長に戦略を聞いた。
――家賃保証はどのようなサービスですか。
「アパートなど賃貸物件を所有する家主に対し、部屋の借り主が家賃滞納した際に家賃を保証するサービスだ。借り主は保証料とし
て初年度は契約時に家賃1カ月分の50%程度、翌年度から年約1万円を支払うと保証人も敷金も必要ない。賃貸物件を管理し、家賃
収納を代行する不動産管理会社が主要顧客だ」
――過去5年間、保証料等収入は年2桁の増収率です。強みは。
「三井住友フィナンシャルグループと組んで信託口座を利用した家賃支払いの決済サービスを2015年に開発した。最大の特徴は家
賃の収納代行会社などが万が一経営破綻しても、家賃が信託財産として分別され、家主に保全される点だ」
「口座振り替えを使っているので借り主が支払った家賃は即日家主に送金する。仮に残高不足で家賃が引き落とせなかった場合も、
一時的に家賃を立て替えて家主に送金する。サービスには損害保険ジャパンと共同開発した保険も無料で付く。借り主が孤独死した
場合などの原状回復費用や、家賃の減価分を一定で保証する内容で好評を得ている」
――今後の経営目標は。
「株式上場だ。時期は2〜3年以内を目指している。財務強化に向け、3月末に投資ファンド3社を引受先とする増資を実施し、45億円
を調達した。資金はシステム投資やデジタル関連の人材採用に充てる予定だ」
――2001年にサービスを始めました。
「沖縄に移住後、消費者金融に携わっていたころ、業界の先行きに限界を感じ、新たなビジネスを模索していた。不動産会社の知人
から家賃滞納の問題を聞き、銀行融資の貸し倒れリスクを回避する保証協会のようなビジネスができないかと思いついた」
――新型コロナウイルスの影響は。
「家賃の滞納などを心配していたが、国の支援もあり影響はほとんどなかった。むしろ営業のやり方をテレワーク中心に変えて、効率
が上がった」
――海外展開は考えていますか。
「不動産管理システムは各国によって違いがあり、欧米は借り主がデポジット(保証金)を支払うスタイルが主流だ。アジアは不動産
管理が普及していない国が多いが、制度が整えば、将来は市場参入を検討したい」
(聞き手は那覇支局長 佐藤一之) みずほ、4〜6月期純利益2倍 税金費用の圧縮効果で
2021/07/30 21:30 日経速報ニュース
みずほフィナンシャルグループが7月30日発表した2021年4〜6月期の連結決算は、純利益が前年同期比約2倍の2505億円だった。
グループの資本を持ち株会社に集中させるため子会社による自己株取得を進めた結果、税金費用の圧縮効果が約700億円発生し利
益を押し上げた。
本業のもうけを示す連結の業務純益は前年同期比16%減の1943億円だった。個人向けの運用商品販売などは好調だった。融資の
焦げ付きに備える与信関係費用は22年3月期通期で1000億円を見込んでいたが、4〜6月期は大企業や海外向けで引当金の戻し入
れが進み、26億円の利益を計上した。
22年3月期の連結純利益については前期比8%増の5100億円となる予想を据え置いた。 2021/08/19 22:45
三井住友FG(8316)
22年3月期経常予想。対前週5.4%上昇。
三井住友フィナンシャルグループ<8316>の経常利益予想コンセンサスは、前週値の881,500百万円から5.4%上昇し、
928,986百万円となった。対前年実績で見た場合24%の増益予想から30.7%増益予想に上方修正されたことになる。
因みにレーティングコンセンサスは4.5で変わらずのまま。 株式こうみる:海外リスクで地合い悪化、中長期上昇トレンド変わらず=三井住友DSAM 市川氏
[東京 1日 ロイター] -
<三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト 市川雅浩氏>
中国の電力不足への警戒感が高まっている。電力不足は10月一杯は続きそうで、中国景気の減速リスクが意識されている。
供給面への波及も気がかりだ。米連邦準備理事会(FRB)も懸念を示しているが、供給制約が長引くと、新型コロナウイルスワ
クチンの普及で経済が再開するといった、楽観的な相場展開は期待しにくくなる。
ほかにも、米長期金利の上昇や債務上限問題、中国恒大集団の資金繰り懸念など、海外発のリスク要因が増えてきており、
相場の地合いは弱い。外部環境が落ち着かない限り、好調が見込まれる国内企業の決算に焦点が当たりにくくなりかねない。
足元の環境を企業が警戒し、市場で期待されているほどには上方修正がないかも知れない。
ただ、中長期的なトレンドは上向きで変わらないだろう。米長期金利の内訳は実質金利の押し上げの方が期待インフレの高ま
りより大きい。いわば良い金利上昇の部類とみなせるため過度な心配は必要ない。原油高も、ハリケーンの影響が大きく、一
過性とみることが可能だ。中国は中長期の改革を重視しているが、それでも景気を冷やすことはないだろう。今のところ、景気
の腰折れや後退までは織り込む必要はなさそうだ。
供給制約による企業活動への影響が長引けば3万円の回復には時間がかかるかも知れないが、日経平均で年末3万1200
円とする予想は現時点で変更しない。 2021年10月06日09時23分
三菱UFJ、第一生命HDなど買われる、米長期金利がフシ目の1.5%台乗せ
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>、第一生命ホールディングス<8750>がいずれも続伸するなどメガバンクや大手生保
への買いが目立つ。ここにきて米国では原油市況の高騰に加え非鉄・穀物など商品市況の上昇を背景にインフレ懸念が高まっ
ており、米長期金利の上昇が顕著となっている。
前日の米10年債利回りは終値ベースで1.52%台まで上昇、フシ目の1.5%を再び上回ってきた。これを受けて米国株市場
ではゴールドマン・サックス<GS>が3%超の上昇となったほか、シティグループ<C>、JPモルガン<JPM>、バンカメ<BAC>など大
手金融株が軒並み買われている。
東京市場でも米国事業を展開する大手金融株は運用環境の改善思惑から買いを誘導している。 三井住友銀、法人向け外為取引遅延、一部でシステム障害。
2021/10/13 日本経済新聞 朝刊
三井住友銀行は12日、外国為替に使うシステムの一部で障害が発生したと発表した。現在は復旧している。店頭や
インターネット上で同システムを介した取引ができなくなり、法人向けの外為取引に遅延が生じた。今後の状況次第で
は、個人の取引にも影響が出る可能性があるという。
午後0時50分ごろからシステムが使えなくなり、午後5時20分ごろに復旧した。詳細は調査中だが、機器の故障が
原因とみている。影響のあった取引先数は現在、確認している。決済を中心に代替システムで対応していたが、通常よ
り取引に時間を要したという。 三井住友銀、最大91件の外為取引に遅れ 12日のシステム障害で
[東京 13日 ロイター] - 三井住友銀行は13日、前日に発生したシステム障害の影響により、最大91件の外国為替取引に
遅れが生じ、順次対応を進めていると発表した。13日の外為関連取引は通常通り受け付けている。
三井住友銀は障害の原因について、外為関連システムが利用する共通ストレージ制御サーバーのネットワーク部品の一部が
故障したためだと説明。遅れが生じているのは主に法人向けの仕向送金で、現在は送金先の金融機関とも連携して手続きを
進めているという。 日本株ADR13日、高安まちまち ソニーG上昇、三井住友FGは下落
2021/10/14 05:11 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=川上純平】13日の米株式市場で日本株の米預託証券(ADR)は高安まちまちだった。
同日のダウ工業株30種平均が前日とほぼ同水準で終え、日本株ADRも方向感を欠いた。ソニーGや武田
が上昇した一方、三井住友FGや三菱UFJは下落した。 2021年10月14日09時11分
三菱UFJ、第一生命HDなど軟調、米消費者物価指数発表を受け米長期金利が低下
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>などメガバンクや第一生命ホールディングス<8750>など大手生保が軟調な推移
となっている。
ここ米長期金利の先高観測が強まっていたが、前日に発表された9月の米消費者物価指数は、事前の市場予測とほぼ
一致したことで過度なインフレ懸念が後退、米10年債利回りは1.5%台に低下した。これを受けて米国株市場ではJPモ
ルガン<JPM>が2.6%安と値を下げたほか、バンカメ<BAC>、シティグループ<C>など金融セクターが総じて売りに押され
た。
東京市場でも米国事業を手掛ける大手金融株にこの流れが波及している。 JPXの清田CEO、金融所得課税の強化「慎重な議論を」
2021/11/25 16:55 日経速報ニュース
日本取引所グループ(JPX、8697)の清田瞭最高経営責任者(CEO)は25日の定例記者会見で、株式の配当や売買にかかる
金融所得課税の強化について与党の税制改正大綱に検討課題として明記するとの報道について「極力慎重な論議をしてもらい
たい」と語った。
清田氏は「市場を預かる者として日本の株式市場の成長を見据える上で、重要なポイントだと考えている」と指摘。株式による
売買益や配当が給与以外の所得の源泉となるなか、課税強化が投資家の収入圧迫をもたらさないよう慎重に議論するよう求め
た。「海外投資家も含めて(金融所得課税の強化に対する)市場の警戒感は高い」とも述べた。
SMBC日興証券の社員が金融商品取引法違反(相場操縦)の疑いで証券取引等監視委員会の強制調査を受けたことについ
て、清田氏は「詳細な情報は入手しておらず、事実関係が明らかになるのを待ちたい」と語った。その上で「事実であれば市場の
公平公正な運営に責任を持つJPXとしては、あってはならないことが起きたことになり、非常に心配している」と話した。 ソフトバンクG、外資系金融から借り入れ急拡大、拡大路線、株担保の調達増、三菱UFJ後退で国内勢に濃淡。
2021/06/17 日本経済新聞 朝刊
ソフトバンクグループ(SBG)が外資系金融機関からの借り入れを増やしている。2021年3月期末時点で首位のみずほ銀行に続く
2〜4位を外資系が占めた。株式を活用した業務に強い外資系が、SBGが保有する中国アリババ集団などの株式を担保にした融資
などで存在感を示した。業績変動の大きい投資会社化が進むSBGに対し、三菱UFJ銀行が融資額を減らすなど国内勢には濃淡が
出ている。
SBGが6月23日に開く定時株主総会の招集通知で明らかになった。2位の米JPモルガン・チェースは20年3月期末の6位から順
位を上げ、金額は3・6倍の8293億円になった。3位のフランスのBNPパリバ(6015億円)、4位の米ゴールドマン・サックス(5932
億円)はいずれも20年3月期末では上位10社に入っていなかった。
一方で邦銀の存在感は低下した。みずほ銀は首位を維持したものの、金額は8500億円と7%減った。三井住友銀行は4770億円
と28%減り、順位も2位から5位に下がった。三菱UFJ銀行は3位から8位に後退した。SBGへの融資姿勢について、3メガバンクは
「個別案件につき回答を差し控える」とした。
順位変動のきっかけとなったのが、SBGが20年3月に発表した「4・5兆円プログラム」と呼ぶ大規模な資産売却と資金化策だ。具
体的にはアリババ集団や通信子会社ソフトバンク(SB)などの保有株を売却したり、担保に差し出してローンを調達したりして、総額
4兆5000億円を確保する。調達した資金のうち、2兆円を負債の返済に充て、2兆5000億円で自社株買いをするというものだった。
外資系は株を担保にした融資で邦銀よりも実績がある。邦銀の担保は不動産が基本で、株のように短期間で価格が変動する資産
を担保とする融資は得意としていない。20年にはSBGで上場株ファンドの運用子会社が稼働した。同子会社の借入金は前期末時点
で約1兆8000億円。多くを外資系から調達しているとみられる。
借入先の順位変動について、SBGの後藤芳光・最高財務責任者(CFO)は「(開示対象とならない)コミットメントライン(融資枠)など
を含めれば、メガバンク3行は依然、借入先の上位にある」としている。SBG向けの貸出額の増加について、JPモルガン、ゴールドマ
ンは「コメントを控える」とした。
金融市場では、SBGの拡大路線を邦銀のみでは支えきれなくなっているとの見方もある。大手4行の各期末時点でのSBG融資額
と、中核的自己資本(普通株式等Tier1資本)に占める比率を調べると、各行とも上昇基調でみずほ銀は1割を超える。一般に銀行に
は特定の企業グループに、無担保で一定額を超えて融資できない規定がある。
三菱UFJ銀は「提携先の米モルガン・スタンレーも含め、投資会社となったSBGに対して慎重な姿勢が際立つ」との声が同業他社
からは漏れる。親密な関係が続くみずほや三井住友でも、個別企業への融資で取れるリスクへの限界が見え隠れする。
ある邦銀幹部は、SBGの事業構造の変化を指摘する。キャッシュフローが安定する通信子会社のソフトバンクは18年に上場し、SB
Gの出資比率は直近で約4割まで低下した。SBGはリスクを取った投資事業を主軸にしており、邦銀では「融資に際して信用力の判
断が難しくなっている」という。
SBGでは銀行借り入れの依存度が低下し、市場からの資金調達が増えている。単体の有利子負債では銀行借り入れが9%にとど
まる一方、社債調達が4割弱に達した。5月にも個人向けにハイブリッド債4050億円の発行を決めた。外資系はSBG向け融資を増や
すことで、株式や債券の引き受けビジネスでも稼ぎたい思惑がある。
SBGは世界的に見ても金融機関への手数料の支払額が多く、「SBGとの関係で大きく出世する人もいる」(外資系投資銀行業界)と
さえいわれる。SBGは投資事業で一段と自己資金を活用するようになっており、そのリスク評価を巡って米銀と邦銀の姿勢の違いがさら
に広がる可能性もある。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています