そのうちに
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<先行き着実に保有増の見方>
今後の保有方針について、三井住友信託銀は「来期も、適正なスプレッドが確保できる限りにおいて、リスク耐性の強固な案件に取り組
んでいく方針」とした。
新生銀は「当面は現状のアロケーションの範囲で推移させる方針」と回答。みずほ銀は「市場動向を見極めつつ検討していく」とした。
金融庁は3月末、証券化商品の保有にあたってのリスク評価を厳格化する規制を導入したが、日本国債の利回りが低く、日本の金融機
関による外貨建て金融商品への投資は続くと専門家はみている。
SMBC日興証券・下里裕吉マーケットアナリストは、米ドルの調達コスト上昇で、米ドル建て商品の中でも「スプレッドのあるモーゲージや
クレジットに、資金が向かう可能性が高い。クレジットの中では、CLOを手掛けざるを得ない」と指摘。「どんどんCLOのエクスポージャー
を上げることはないにせよ、粛々と積み増す方向ではないか」と予想している。 みずほ、AIで中小に無担保融資、来月から、迅速に資金供給。
2019/04/10 日本経済新聞 朝刊
みずほ銀行は5月、人工知能(AI)を活用して返済能力を評価する、中小企業向けの無担保融資を始める。法人融資にAIを使うのは
大手行で初めて。口座の入出金情報などを分析し、財務諸表だけでは見えない商流や事業の将来性から金利などを算出する。非対面
でコストを抑えながら、従来は融資が難しかったスタートアップなどへの融資を拡大する。
AIを使った非対面の融資では、リクルートホールディングスやオリックス系のアルトア(東京・千代田)など異業種が先行する。ただ対象
企業は自社のサイトや会計ソフトの利用業者が対象だった。幅広い顧客を持つ銀行が参入することで、中小の資金繰りの改善につなが
る可能性がある。
みずほ銀が5月に始める中小やスタートアップ向けの無担保融資では、スマートフォン(スマホ)などで申し込み、融資実行まで来店せ
ずに完結する。決算書類は不要で、みずほ銀が口座の入出金のほか、顧客が同意したクラウド会計ソフトや電子商取引(EC)サイトでの
販売データなどを収集。企業ごとの融資上限や金利をはじき出す。
融資上限は1千万円で貸付期間は最長1年。用途は運転資金で、主に飲食業や小売業の利用を想定する。10分ほどで金利などの
条件が示され、最短で2営業日で資金が振り込まれる。みずほ銀に口座を持つ企業が対象だが将来は同行口座がなくても利用できる
ようにする。審査モデルの他行への販売も視野に入れる。
銀行の法人融資は、顧客が決算書類を持って来店する必要があり、申し込みから融資実行まで2週間程度かかる。審査も通常は2
〜3期分の決算書類が必要だ。このため多額の運転資金が必要なスタートアップや、将来性はあっても足元の業績が悪い企業の急な
資金ニーズに機動的に対応するのが難しい。
また中小零細には「RM」と呼ばれる営業担当者を配置していないことも多い。このため非財務データを入手しようとすると、人件費など
のコストがかさみ採算も合わない。みずほ銀は非対面でコストが軽い利点を生かし、担保や保証に頼らない「事業性評価融資」の拡充
につなげる狙いだ。 金融政策、効果と副作用を考慮し適切に運営していく=黒田日銀総裁
https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-idJPKCN1RM0SH
[東京 10日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は10日、都内で開かれた信託大会であいさつし、物価2%目標の実現には
時間がかかり、海外経済を中心にさまざまなリスクが存在する中で、金融政策は効果と副作用の両方を考慮しながら適切に
運営していくことが大事だ、と語った。
総裁は、日本経済について「輸出・生産面に海外経済の減速の影響がみられるものの、緩やかに拡大している」とし、輸出に
ついて「中国向けの資本財や情報関連財を中心に、足元弱めの動きとなっており、これが最近の生産面の弱さにつながって
いる」との認識を示した。
一方、国内需要は「堅調な動きが続いている」と述べ、「企業・家計の両部門で、景気拡大の基本的なメカニズムは維持され
ている」と認識。
内需は先行きも「増加基調をたどる」とするとともに、海外経済も「中国における景気刺激策の効果などから、総じてみれば緩や
かに成長していく」との見通しを示した。
物価は「景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べると、弱めの動きが続いている」としながらも、「最近では、原材料価格や
人件費の上昇などを反映し、食料工業製品を中心に価格引き上げの動きが増えてきている」と指摘。
今後もプラスの需給ギャップが継続し、企業の価格設定スタンスが積極化していけば「企業や家計の予想物価上昇率も徐々に
高まっていく」との見方を示した。
その上で、「2%の物価安定の目標の実現にはなお時間を要する。海外経済の動向を始め、さまざまなリスク要因も存在する」
と指摘。
金融政策運営は「需給ギャップがプラスの状態ができるだけ長く続くよう、ベネフィットとコストの両方を考慮しながら、適切な政策
運営を行っていくことが大事」とし、「現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが適当」と説明した。 金融溶ける境界線(4)「信頼」で勝てるか(迫真)終
2019/04/12 日本経済新聞 朝刊
メガバンクで社長が自ら発表する案件は、それほど多くない。2月20日、みずほフィナンシャルグループ社長の坂井辰史(59)は本社
で新たなサービスの説明にのぞんだ。「安全、信頼を競争の源泉とすることに大きな意味がある」。デジタル通貨「Jコインペイ」で、銀行
を脅かす新たな決済サービスに対抗するという決意表明だった。
Jコインはスマートフォン(スマホ)でQRコード決済や利用者間の送金ができる。銀行口座からアプリに一定額をチャージしておき、買い
物は即時決済する。Jコインを使う送金や銀行口座への戻し入れは無料。口座に戻すと手数料がかかるLINEペイなどとの違いはここに
ある。
みずほがこだわったのは利便性だけではない。「時間をかけてもいい。しっかりやれ」。昨年末、こんな指示が行内に飛んだ。2019年
初めに開始する案もあったJコインは、サイバー犯罪やマネーロンダリング(資金洗浄)を防ぐシステムの構築に万全を期した。過去にシス
テム障害で苦しんだ経験から、金融は「信頼」がすべてとの思いは強い。
「オール福島でキャッシュレス決済というビジネスチャンスに対応したい」。3月20日、福島県郡山市で開かれた中小事業者向けのセミ
ナー。主催した東邦銀行専務の竹内誠司(60)は約70人に語りかけた。竹内の横には同じ福島を地盤とする第二地銀の福島銀行と大
東銀行の担当者が並んでいた。3行を結びつけたのも、Jコインだ。
福島県は11年の東日本大震災後、訪日客の戻りが鈍い。「福島は通過点にすぎないのか」。竹内の目にこう映った福島でも、福島市
や郡山市では新興の決済サービスを利用できる小売店が増えてきた。このままでは、疲弊する地元経済を立て直す切り札を奪われる。
3行が手を組むために、銀行系のサービスを選んだのは自然の流れだ。
だが、サービスの価値は銀行が決めるものではない。白河市の物販店で働く永沼朋美(33)はセミナーでJコインの概要を聞いたが、導
入はためらう。「JAバンクや信用金庫など身近な金融機関が参加していない」。Jコインのアプリはできたが、加盟店集めは始まったばかり。
まだ買い物では使いにくい。
溶ける金融の境界線で銀行は生き残れるのか。時間との勝負も始まっている。 米国株、反発で始まる 銀行決算を好感、ディズニー株急騰も支え
2019/04/12 22:51 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=松本清一郎】12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発して始まった。
午前9時50分時点では前日比264ドル高の2万6407ドルで推移している。主要企業の先陣を切って
2019年1〜3月期決算を発表した米銀行最大手JPモルガン・チェースの業績が予想以上に好調で、
銀行株を中心に決算期待の買いが広がった。
ドイツ長期金利が大幅上昇 ユーロ圏や中国の経済指標に反応
2019/04/12 23:20 日経速報ニュース 米国株、ダウ小反落で始まる、ゴールドマン株下落が重荷
2019/04/15 22:51 日経速報ニュース 米ゴールドマン1─3月期は大半の業務で減収、株価下落
https://jp.reuters.com/article/goldman-results-idJPKCN1RR1WN
[15日 ロイター] - 米金融大手ゴールドマン・サックス(GS.N)が15日発表した第1・四半期(1─3月)決算は、ほぼすべての
主要業務で減収となったものの、コスト削減策が奏功し1株利益は市場予想を上回った。
米シティ、第1四半期利益が予想上回る 投資銀行部門が好調
https://jp.reuters.com/article/citigroup-results-idJPKCN1RR1WU
[15日 ロイター] - 米金融大手シティグループ(C.N)が15日発表した第1・四半期(3月31日まで)決算は減収となったが、
経費削減や投資銀行部門の好調、純金利マージンの拡大などで利益は予想を上回った。 三井住友FL、水力発電拡大、運営にらみ資本参加。
2019/04/16 日本経済新聞 朝刊
三井住友ファイナンス&リース(SMFL)は、水力発電所の改修や開発を手がける「みらいエネルギー・パートナーズ」
(東京・港)に30%を出資した。これまでのように発電機をリースで納めるだけでなく、発電所の運営に乗り出すことをにらみ、
資本参加して知見を深める。 「割高」株に殺到するマネー
2019/04/16 22:34 日経速報ニュース
株式市場で株価が会社の解散価値を大きく上回る「割高」銘柄に投資マネーが群がっている。上場企業による2020年3月期業績見通し
発表が4月下旬から本格化するが、米中貿易交渉など外部環境が不透明で、業績が回復するかは予断を許さない。海外勢の打診買いは
一部の人気銘柄に向かい、さらなる人気に拍車をかけている。
ファーストリテイリング、KDDI、ソフトバンクグループ――。16日の東京市場ではこの3銘柄で日経平均株価を98円強押し上げた。共通
するのはPBR(株価純資産倍率)が日経平均を構成する225銘柄の平均(1.14倍)を上回る点だ。PBRが6倍のファーストリテイリングは
一時2%高、7倍の資生堂は一時1%高となり、いずれも年初来高値を付けた。
PBRは株価を1株あたり純資産で割ったもので、純資産と比べ株価が割安かを判断する。PBRが1倍を下回れば純資産から見た株価
は割安、1倍を超えれば割高と判断できる。16日は利益確定売りの目立った中国関連銘柄でもダイフクやハーモニック・ドライブ・システム
ズなどPBRの高い銘柄は上昇が続いた。
背景にあるのがぬぐえぬ業績への懸念だ。ある大手運用会社のファンドマネジャーは「自動車などPBRが低い割安株は慎重な業績予
想を出してくるだろう」とみる。4月に入り「景気減速下でも安定した業績成長が見込める成長株の割合を高めている」と明かす。
指数に連動した運用をするパッシブ資金の流入も時価総額の大きな高PBR株の上昇に一役買う。英系投資ファンド、オービス・インベス
トメントの日本法人の時国司社長は「海外勢が機械的に似た銘柄に投資する流れだ」と指摘する。
こうした同質性の動きが市場全体に反映される。高PBR銘柄群は海外勢が好む成長銘柄と重なる。東証株価指数(TOPIX)グロースは
4月に年初来高値を更新したが、割安銘柄群で構成するTOPIXバリューは上昇が鈍い。ある外資系証券のトレーダーは「大型連休後の
上昇の可能性を考え、持たざるリスクを意識する海外勢がPBRが高い成長銘柄に打診買いを入れている」と話す。
ただ、割高株相場は息切れしやすい。腰の入った相場上昇には物色の広がりが欠かせない。相場の先行きを占う上で、投資家が注目
するのが23日の日本電産の決算発表だ。
永守重信会長兼最高経営責任者が1月に前期業績を下方修正した際に「世界的に受注や売り上げ、出荷がガタンガタンと落ちた」と発
言すると、投資家心理は冷え込んだ。それから3カ月。ファイブスター投信投資顧問の大木将充氏は「永守氏の発言が世界経済に前向き
になれる『そこそこの内容』なら市場の雰囲気は明るくなる」と期待する。
期初の会社の業績計画は弱い数字となりやすい。減益もありうるため海外勢、個人とも強気になりきれないのが今の相場だ。だが「人の
行く裏に道あり花の山」という相場格言を信じるならば、意外な仕込み時かもしれない。 日銀、来年末にも日本株最大株主に、公的年金上回る。
2019/04/17 日本経済新聞 朝刊
株式市場で日銀の存在感が一段と大きくなっている。日本経済新聞の推計では、日銀は2020年末にも公的年金を上回り、日本最大の
株主となる見通しだ。機関投資家・外国人が主導して発展してきた日本の資本市場は、中央銀行が主導するこれまでにない段階に入る。
日銀は、日本株に投資する上場投資信託(ETF)を年間約6兆円購入している。日銀の保有残高(時価ベース)は3月末時点で28兆円強
となった。東証1部の時価総額の4・7%に相当する。日銀が同じペースで買い続けると仮定すると、20年11月末には約40兆円に増える。
現在6%超を保有すると見られ、最大の株主である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を上回る計算だ。
個別企業でみると、日銀の存在感は一段と増す。日銀が公表する買い入れ基準などをもとに実質保有額を試算すると、日東電工やファナ
ック、オムロンなど23社で筆頭株主になったもよう。上位10位以内の株主を指す「大株主」基準では3月末時点で、上場企業の49・7%と
半数で日銀が大株主となった。
日本の資本市場は、資本規制緩和に対する警戒感から株式持ち合いが形成され、個人から銀行や保険会社などに主役が交代したのが
第1幕だ。
その後、海外投資家の影響力が急速に増した段階を第2幕とすると、日銀が市場の主役となってきた現在は第3幕といえる。公的年金に
代わって日銀が最大株主となる来年末は日本の資本市場の転換点となる。
日銀は、市場の不安定な動きを抑え、2%の物価上昇率目標を達成するための金融政策の一環として日本株を購入している。日銀の黒
田東彦総裁は16日の国会答弁で、「企業や家計の(消費や投資など)前向きな経済活動を支える」と意義を強調した。株高は投資家に資
産効果をもたらし、心理を明るくするなど、経済に及ぼす好影響は少なくない。
ただ純投資目的で株式を保有しているわけではない日銀が市場の主役となる副作用は大きい。経済協力開発機構(OECD)は15日に公
表した対日経済審査報告書で日銀のETF買い入れについて「市場の規律を損ないつつある」として懸念を示した。日銀がETFを通じて業績
にかかわらず、幅広く株式を買うためだ。東証1部では、過去10年間で5回以上赤字を計上した企業は計54社にのぼる。新日本科学など
赤字の回数が8回に達した企業も存在する。
日銀が筆頭株主とみられる企業の幹部は「株式報酬などで従業員の士気を高めようとしても、日銀買いで株価が下がりにくいため、効果
が期待しにくい」と漏らす。
株安局面に転じて日銀の自己資本が毀損する事態になれば、通貨の信認も揺らぎかねない。日銀の雨宮正佳副総裁は3月に国会で「日
経平均株価が1万8000円程度を下回ると保有ETFの時価が簿価を下回る」との試算を示した。足元の株価水準からは距離があるが、将
来の景気後退局面などで含み損が発生する可能性はゼロではない。
満期を迎えると償還する国債や社債と違い、ETFには満期がない。残高を減らすには市場に売却する必要があるが、株価の下落を招かな
いように長い時間をかけて慎重に売却せざるを得ない。
【表】日銀が筆頭株主とみられる主な企業
社名 実質保有比率(%)
日東電工 15.3
ファナック 12.7
オムロン 12.5
日本ハム 12.2
宝HD 11.7
東海カーボン 11.0
安川電機 10.3
サッポロHD 8.0
ユニチカ 6.7
京王電鉄 6.3
(注)3月末時点、日銀買い入れ基準と日経会社情報DIGITALの株主情報などから推計、一部略称 債券15時 長期金利が一段と低下、マイナス0.030% 先物は反発
2019/04/18 15:08 日経速報ニュース 銀行スマホ決済「バンクペイ」今秋に、手数料抑え競合追う。
2019/04/23 日本経済新聞 朝刊
デビットカードの運営を担う日本電子決済推進機構は22日、スマートフォン(スマホ)を使ったQRコード決済「Bank Pay」(バンクペイ)を
今年秋に始めると発表した。店頭でスマホをかざすと代金が銀行口座から引き落とされるしくみだ。異業種からの参入で決済サービスの独
占が崩れるなか、主導権の奪還をめざす金融界の試みには課題も残る。
利用者はアプリをダウンロードし、最大8つの口座を登録する。決済時に店側のQRコードを読み取ったり、自らのスマホに表示したりする
ことで支払いを済ませる。銀行のキャッシュカードで支払い、口座から代金を直接引き落とす「Jデビット」のスマホ版だ。
当初は2020年4月に始める計画だった。今年10月の消費増税で、現金を使わないキャッシュレスの買い物にポイントを還元する政府の
施策に合わせ、半年前倒しした。地方銀行や信用金庫、JAバンクなど700以上の金融機関が参加の意向を伝え、「将来的には1千以上
が対応する予定だ」(推進機構)という。
金融機関が加盟店を開拓すると決済額に応じた手数料が入る。決済に関連した膨大なデータを分析すれば、金融商品の提案にも生か
せるようになると期待を込める。
「オールバンクでやらなければLINEのような相手には勝てない」。検討会を立ち上げた昨年8月上旬、大手行の担当者は銀行界挙げた
取り組みの必要性を力説した。
背景には、決済を事実上独り占めしてきた銀行が脇役に降りることへの危惧がある。通信業界ではインフラを提供する事業者は「土管」と
呼ばれ、価値を生むのは土管を通して消費者にコンテンツを届ける事業者だ。
QRコード決済で先行するLINEペイやPayPay(ペイペイ)では、あらかじめ銀行口座などを登録してもらうが、支払時に現金が引き落とさ
れても銀行側の実入りは乏しい。「インフラのただ乗り」(関係者)を許しているのが実情だ。金融界が主導権を取り戻せなければ、通信業
界のように土管化しかねないとの危機感は強い。
小売店や飲食店など加盟店を開拓する際の武器は1%台とした低廉な手数料率。Jデビットという既存の基盤を使うことで投資を抑え、最
大3%以上とされる競合より有利な料率にした。店側もタブレット端末やQRコードを記したステッカーの準備で事足り、新たな専用端末もい
らない。
それでも手数料の安さはもろ刃の剣だ。地方銀行の担当者が「認知度を上げるにはポイントの還元が不可欠」と訴えるように、料率が低
ければ還元に回すポイントの原資を稼ぐのは難しい。利用を促すしくみが乏しいなか、どう利用者に浸透を図るかが課題となる。
「銀行が提供する複数の決済サービスで混乱を与えてはいけない」。推進機構は最近開いた検討会でこう呼びかけた。そんな懸念に応
えるように「はまPay」を手がける横浜銀行は22日、自ら開拓した加盟店をバンクペイでも使えるよう加盟店の相互開放を検討すると発表
した。みずほ銀行が3月に地銀と始めた「Jコインペイ」とあわせ、銀行界が足並みをそろえられるかは今後の普及に向けた試金石となる。 東芝メモリに出融資伝達、政投銀と3メガ、計1.3兆円。
2019/04/24 日本経済新聞 朝刊
日本政策投資銀行と3メガバンクは23日までに、東芝メモリホールディングスに総額1兆3千億円の出資と融資を実行する意向を伝えた。
政投銀が3千億円の優先株を引き受け、みずほ、三井住友、三菱UFJの3行は計1兆円を融資する。5月下旬に契約を結ぶ見通しだ。大型
の資金調達にめどがたち、年度内の上場をめざす東芝メモリには追い風となりそうだ。
正式な契約を結ぶ前に、出資や融資の意思を明らかにする「コミットメントレター」を各行が東芝メモリに送った。
政投銀は政府の出資金を一部使う「特定投資業務」の一環で、議決権のない社債型優先株を3千億円引き受ける。2014年に1千億円で
引き受けた九州電力の優先株を上回り、一企業への拠出額では最高額となる。
政投銀は「東芝メモリの企業価値だけでなく、産業競争力の底上げにもつながる」と出資を決めた。
みずほ、三井住友、三菱UFJの3メガ銀などが計9千億円を融資し、運転資金として1千億円のコミットメントライン(融資枠)を設ける。東芝
メモリは融資金をもとに借入金を返済するほか、米アップルなど取引先が持つ優先株を約5300億円で買い戻す。
融資にあたって、3メガ銀は19年度内の新規株式公開(IPO)を努力義務とした。上場が実現すれば貸出金利を引き下げる条項を盛り込む。 日銀決定会合、大規模緩和を修正 フォワードガイダンスを明確化
2019/04/25 12:36 日経速報ニュース
日銀は24〜25日に開いた金融政策決定会合で、短期の政策金利をマイナス0.1%、長期金利である10年物国債金利をゼロ%程度に
誘導する金融緩和策(長短金利操作)の現状維持を賛成7、反対2の賛成多数で決めた。そのうえで、政策運営方針をより明確にする
ためにフォワードガイダンスを強化し、少なくとも2020年春ごろまで低い長短金利の水準を維持することを明示した。
同時に発表した4月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、政策委員が示した2021年度の消費者物価指数(CPI)上昇率見通
しは、消費税率引き上げと教育無償化政策の影響を除き1.6%だった。
金利操作のための国債買い入れについては、保有残高の増加額が「年間約80兆円をめどとしつつ、弾力的な買い入れを実施する」と
した。国債以外の資産買い入れ方針については、上場投資信託(ETF)の保有残高を年約6兆円、不動産投資信託(REIT)を年約900
億円に相当するペースで増加するよう買い入れることなどを全員一致で決めた。 <東証>三菱UFJ、日銀緩和修正で一時売り先行
2019/04/25 12:49 日経速報ニュース
(12時45分、コード8306)後場寄り直後は三菱UFJに売りが先行し、一時は前日比7円20銭安の544円30銭と前引け(546円)を
下回った。日銀は25日まで開催した金融政策決定会合で、政策運営方針をより明確にするためにフォワードガイダンスを強化し、
少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持すると明示した。金融緩和策の長期化が意識されて債券
相場が強含むと、銀行株には売りが先行した。ただ相場全体が持ち直すなか、銀行株にも買い戻しが入り、その後は上げに転じ
る場面もあった。 野村の前期、最終赤字1004億円 のれんの減損響く
2019/04/25 16:25 日経速報ニュース
野村ホールディングス(8604)が25日発表した2019年3月期の連結決算(米国会計基準)は、最終損益が1004億円の赤字
(前の期は2193億円の黒字)だった。ホールセール部門で814億円ののれんの減損損失を計上したほか、不透明な市場環境
のなか顧客の取引が減少し個人営業部門も大幅減となった。
収益合計(金融費用控除後)は25%減の1兆1167億円、税引き前損益は377億円の赤字(前の期は3281億円の黒字)だった。
ホールセール部門はのれんの減損に加え、債券取引が低調に推移し日本を含む全地域で減収となった。個人営業部門は手数
料収入の減少などにより税引き前利益は495億円と前の期から半減した。
同日記者会見した北村巧財務統括責任者(CFO)は、個人営業部門が大幅減益となったことについて、「客のニーズを拾いき
れなかったことを反省している。対応策として株、債券、投信に加え、オルタナティブ商品も併せて提案できるよう商品戦略の見
直しに着手する」と述べた。
併せて同社は業績悪化の責任を取り、野村ホールディングスと野村証券の取締役と執行役について、19年3月期の業績に
連動する変動報酬(=役員賞与)をゼロとすることを明らかにした。 野村、10年ぶり赤字、前期最終1004億円、構造改革進まず、大和なども4割超減益。
2019/04/26 日本経済新聞 朝刊
野村ホールディングス(HD)は25日、2019年3月期の連結最終損益(米国会計基準)が1004億円の赤字に転落したと発表した。
通期で赤字転落は09年3月期以来10年ぶり。08年の金融危機後に買収した米リーマン・ブラザーズののれん代を減損処理したこと
が大きな要因。ただ、本業では不振が長引く債券売買事業や国内個人営業(リテール)の構造問題にメスを入れるのが遅れた面は否
めない。
大和証券グループ本社の最終利益も42・3%減の638億円、SMBC日興証券も45・5%減の347億円だった。構造不況の波が大
手証券に襲いかかっていることを浮き彫りにした。
「極めて不本意な決算」(野村の北村巧財務統括責任者=CFO)、「アベノミクスが始まって以来、最も厳しい1年」(大和証券グルー
プ本社の佐藤英二最高財務責任者=CFO)――。
野村は1年前の18年3月期決算で2193億円の黒字を計上していた。赤字額が4ケタに膨らんだのは採算性が悪化した証券事業に
メスを入れるのが遅れたためだ。個人営業部門とアセットマネジメント部門もそれぞれ5割前後の減益となった。
大手証券を襲う構造問題の1つは市場部門だ。長引く金融緩和政策による低金利環境で債券売買のトレーディングで収益が激減した。
野村の日米欧を中心とした債券等のトレーディング収益は約2300億円で、前の期から1000億円程度減少した。1月以降は米長期
金利の変動が大きく、回復可能性はあるものの、債券トレーディングの事業規模について欧州で5割、海外全体で4割を縮小する構造
改革に追い込まれた。
2つ目はリテールの不採算構造だ。野村の営業部門の税前利益は前の期から52%減の495億円となり、金融危機当時の水準まで
逆戻りした。預かり資産は2倍弱に増え、株式相場も大きく上昇しているのに利益を生まない。大和の個人部門の経常利益も同52%減
の246億円と半減した。
追い打ちをかけたのが「回転売買」を控えたこと。金融庁が求める顧客本位の営業に基づき、各社は毎月分配型投信や株式の頻繁な
売買を手控えている。積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の導入で、投資家に低コストや長期投資の投資先選定の傾
向が強まり、株式の売買仲介や投信の販売に伴う手数料収入が減少した。
3つ目はそもそもデジタル化対応に出遅れた危機感の薄さだ。20年前にインターネット証券会社が営業を開始して以降、若い投資家
を奪われても、店舗と人を軸に据えた対面販売の事業モデルを改革できなかった。野村は4月に全部門横断でデジタル活用を検討する
「未来共創カンパニー」を立ち上げ、LINEと組んで準備を進める合弁証券会社も開業を急いでいる。
しかし、対応策が後手に回った結果、野村は赤字転落した。今後数年かけて30以上の店舗を統廃合し、黒字回復を急ぐことになった。
大和とSMBC日興も無縁ではない。大和の佐藤CFOは「一歩踏み込んだコスト構造の見直しの検討を始めている」と明言。SMBC日
興の近藤雄一郎専務も「抜本的なコスト改善を計画している」と踏み込んだ。 武田、1500億円下振れ、シャイアー買収費など重荷、前期税引き前。
2019/04/26 日本経済新聞 朝刊
武田薬品工業は25日、2019年3月期の連結税引き前利益(国際会計基準)の予想を下方修正すると発表した。これまでの会社見通
しに比べ1502億円(61%)減の950億円。アイルランド製薬大手、シャイアーの買収手続きにかかった費用のほか、同社が抱える在庫
の評価替えや特許の償却など会計上の損失処理が重荷となった。
武田は1月8日にシャイアーの買収を完了し、2月1日に18年4〜12月期の決算を発表した。このとき、シャイアーの業績を約3カ月分含
む通期の利益見通しは、会計処理や費用の見通しを立てるのが困難なため修正は見送り、4月に発表するとしていた。
税引き前利益を大幅に下方修正した主な理由の一つは買収関連費用だ。約6兆円を投じたシャイアー買収は、日本企業による海外企
業のM&Aとして過去最大規模だっただけに、銀行や法律事務所に支払った助言費用などが1260億円にのぼった。
もう一つが会計上の処理だ。買収時には対象企業の資産などを、すべて時価(市場価格)に洗い替えする。シャイアーのような製薬会社
は、原価を基にした在庫の評価と市場での売価の乖離(かいり)が大きいため、武田は在庫評価を4500億円ほど上乗せした。
この分だけシャイアーは売上原価が上がり、約3カ月で約820億円の減益要因になった。残る3700億円前後もシャイアーの売り上げに
応じて1年ほどで計上されるとみられ、その後は影響がなくなる。
このほか、シャイアーが持つ医薬品の特許など無形資産の償却費用が約990億円あった。税引き前利益はこうした会計上の処理によ
って1860億円下押しされた。
純利益については「現在計算中のため」として、予想を取り下げた。
武田はシャイアー買収によるコスト低減効果について、22年3月期までに税引き前ベースで少なくとも年14億ドル(約1554億円)として
いる。
キャッシュフロー(現金収支)を伴わない会計上の処理などで減益となったが、本業は好調を維持している。前期の売上高はシャイアーの
約3カ月分が上乗せされたほか、武田の主力薬の販売も伸び、予想比3470億円(20%)増の2兆970億円となった。為替や事業売却
などの影響を除いた「コア利益」は4割増の4590億円だった。 三井住友銀、資金洗浄対策改善へ。
2019/04/26 日本経済新聞 夕刊
三井住友銀行は26日、米ニューヨーク連邦準備銀行からマネーロンダリング(資金洗浄)防止に関する内部管理が不十分と
の指摘を受け、改善措置を講じることで同連銀と合意したと発表した。制裁金は科されていない。外部の専門家による助言を
得ながら対策の高度化に努める。同連銀は三井住友銀ニューヨーク支店を点検した結果、マネロン対策で必要な水準に達して
いないと指摘した。 低格付け債に熱視線、運用難、利回り求め急浮上、日銀の政策も後押し(ポジション)
2019/04/27 日本経済新聞 朝刊
国内で初めて無担保普通社債が発行されてから34年。社債市場の歩みはほぼ平成の世と重なる。改元目前のいま、にわかに市場
の関心を集めるのが格付けの低い社債だ。長引く金融緩和で運用難に直面する投資家は、多少の信用リスクを負ってでも利回りを追求
する。日銀の政策対応も投資家を後押しする。
「社債の金利水準の低さにがくぜんとする」。富国生命保険の小野寺勇介財務企画部長はこうこぼす。今週の流通市場では三井不動
産の残存7年物の社債が0・28%で取引された。原発のテロ対策工事で揺れる関西電力の残存4年物の利回りは0・19%だ。5年前は
同程度の年限で、三井不債が0・5%、関西電債は0・6%程度だった。
発行市場でもトヨタファイナンスなど高格付け債の発行金利はゼロに迫る。2013年に日銀が始めた異次元緩和、16年のマイナス金利
政策を受けて社債金利は低下の一途をたどる。債券投資家は少しでも高い利回りを求めて低格付けの債券に目線を向け始めた。
「投資適格」で最も格付けの低いトリプルB格の社債売買が盛り上がるか――。日銀が25日に「適格担保」の条件緩和を発表すると、債
券市場の関係者は沸いた。
適格担保は、日銀が金融機関を対象に資金供給オペ(公開市場操作)する際に受け入れる担保のこと。従来、社債を担保に使うには「
シングルA格以上」が条件だったが、「トリプルB格以上」に緩める。
これに呼応し、「オペに参加する地域金融機関がトリプルB格の社債に投資できるよう内部基準を緩和する可能性がある」(大和証券の
大橋俊安チーフクレジットアナリスト)。投資家層の厚みが出れば市場は活性化する。トリプルB格には東芝や川崎汽船、トクヤマなど財務
立て直しの途上にある企業が多い。
「投機的等級」であるダブルB格の公募社債も初めて登場する。消費者金融大手のアイフルは5月下旬にも、1・5年債を発行する予定だ。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が昨年、ダブルB格にも投資できる体制を整え、運用会社も対応しようとするなかで、待ち望ま
れていた1号案件だ。
ニッセイ基礎研究所の徳島勝幸・年金研究部長は「日本版ハイイールド債(高利回り債)市場に向けた一歩」とみる。証券会社はアイフル
に続く低格付け債の発行に向けて水面下で動き始めた。米国ではハイイールド債の利回り低下も警戒されるが、日本はようやく市場が立
ち上がる段階だ。
2000年代半ばをピークに社債の売買代金は細る一方だった。金融規制の強化やマイナス金利の影響で社債市場のダイナミズムは低
下してきた。低格付けの社債の投資は信用リスクの高さに見合った分析や管理体制が求められる。そうした社債の発行や売買が活発に
なれば市場の厚みが増す。令和日本の社債市場は新たな時代を迎えることになる。 みずほ・政投銀がカルソニックカンセイ優先株、計700億円取得。
2019/05/01 日本経済新聞 朝刊
みずほ銀行と日本政策投資銀行は、自動車部品大手カルソニックカンセイの親会社、CKホールディングス(CKHD)の優先株を
それぞれ約350億円取得する。CKHDが欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)から自動車部品部門のマネッティ・
マレリを買収する資金の一部となる。
優先株のほか、邦銀大手による約6500億円の融資も決まった。融資にはみずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、三井住
友信託銀行が参加する。
CKHDは優先株だけでなく普通株も新規発行し、親会社である米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が引き受
ける。CKHDの現預金と合わせ約8000億円の買収資金の全容が固まった。
政投銀の優先株取得のうち、約200億円は政府からの出資金が充てられる。民間企業の成長資金供給を目的とする「特定投資業
務」の一環で、日本の自動車部品の世界での競争力を確保する狙いがある。みずほ銀と政投銀がリスクをとって優先株の取得に踏み
切ることで、巨額の融資が集まりやすくなった側面がある。
電動化や自動運転などによる次世代車の開発競争が活発化している。カルソニックカンセイは自動運転に関わる電子部品、マネッ
ティは電子制御装置(ECU)に強みを持っている。互いの強みを生かして独ボッシュなど世界の自動車部品メーカーに対抗する。 IDを非表示にする場合 ※1!extend:none::1000:512
IDを表示し、強制コテハンは表示しない(5ch標準設定と同じ)
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IDを表示し、強制コテハンを表示!extend:checked:vvvvv:1000:512
IDを表示し、IPアドレスと強制コテハンを表示!extend:checked:vvvvvv:1000:512 りそなHD純利益26%減、前期、外債売却損で。
2019/05/11 日本経済新聞 朝刊
りそなホールディングスが10日発表した2019年3月期の連結決算は、純利益が前の期比26%減の1751億円だった。
含み損を抱えた外国債券などの売却が利益を約227億円押し下げた。20年3月期の連結純利益の見通しは前期比9%
減の1600億円とした。
同日、自社株買いの実施も発表した。発行済み株式の1・29%にあたる3千万株、総額100億円を上限に13日〜6月
14日に取得する。りそなは03年に注入された公的資金の返済を進めてきたが、株主還元が目的の自社株買いは初となる。 りそなHDの前期、純利益26%減 傘下3行統合の影響などで
2019/05/10 16:48 日経速報ニュース
りそなホールディングス(8308)が10日発表した前期(2019年3月期)の連結決算は、純利益が前の期比26%減の1751億円だった。
グループの関西アーバン銀行、近畿大阪銀行、みなと銀行の3行の経営統合に伴う税務の影響や、前の期に計上した保証子会社の
再編による利益がはく落したことが重荷になった。
本業のもうけを示す実質業務純益(グループ5行合算ベース)は同8%減の1953億円だった。債券関係損益の損失計上などが響いた。
今期(20年3月期)の連結業績目標で、純利益は前期比9%減の1600億円とした。配当予想は年21円(中間10円50銭、期末10円50
銭)と前期と同額にした。
あわせて、発行済み株式数(自己株式を除く)の1.29%にあたる3000万株、100億円を上限とする自社株買いを発表した。取得期間は
5月13日から6月14日。 銀行と貸金業界、信用情報を共有、21年度めどにローン残高や返済状況、過剰な個人融資抑制。
2019/05/15 日本経済新聞 朝刊
銀行業界はローンを過剰に借り入れた多重債務者を減らすため貸金業界との連携を強化する。2021年度にも借り手の信用情報に
ついて自己破産といった「事故情報」に加え、ローン残高や返済履歴を共有し、融資審査に利用する。事実上の融資抑制策となるが、
銀行業界は収益性の高い個人向けのカードローン事業の健全性を高める方が重要だと判断した。
貸金業界とは対照的に個人への融資規制が緩かった銀行業界で、カードローンの審査が厳しくなりそうだ。
全国銀行協会が運営する信用情報機関の全国銀行個人信用情報センターが貸金業界系の日本信用情報機構(JICC)やシー・アイ
・シー(CIC)と個人の信用情報を共有する。システム改修を経て、早ければ21年度にも実現する。
全銀協はすでに貸金業界系の2機関とカードローンの延滞や自己破産といった事故情報に加え、キャッシュカードの紛失情報を共有し
ている。今回の連携で借入残高の情報を加えることで、銀行はローンを申し込んだ人が貸金会社からいくら借りているかを把握できる。
収入に比べて過度な借金を抱え、多重債務者になりそうな人を事前につかんで、融資を断ることができる。
日銀によると銀行、信用金庫のカードローンは18年12月末で約1049万件ある。貸金業界の無担保ローン情報が加わると、単純合
算で約4220万件の残高情報が照合できるようになり、多重債務を防ぐための情報の厚みが格段に増す。全銀協は現在、月次で更新
しているカードローンの利用データを貸金業界と同じ日次に改め、共有情報を照合しやすくする。
消費者ローンを巡っては、多重債務問題を受けて10年に完全施行となった改正貸金業法で、貸金会社による融資を借り手の年収の
3分の1までとする総量規制が導入された。その後、貸金業の融資は減り、3月時点で3件以上の借り入れた人は119万人超と10年
度比で7割弱減った。
一方、銀行のカードローンは総量規制の対象から外れている。多重債務問題の「抜け穴」と批判されたこともあり、約8割の銀行が年
収に見合って融資できる上限額を厳しくした。17年以降はカードローン広告の自粛も申し合わせた。
こうした対応で18年12月末の残高は約5兆7千億円と前年比で0・8%減り、8年ぶりに前年末の水準を下回った。ただ、残高は10
年度比でなお約1・8倍の高い水準になっている。
全銀協が3月に公表した調査では銀行と貸金会社の両方を利用している人の約40%で、借入総額が年収の3分の1を超えていた。
この比率は18年1月公表の前回調査から5ポイント上昇している。
全銀協は3月から「貸付自粛制度」も始めた。ギャンブル依存症や浪費癖があると個人信用情報センターに自主申告している人には、
カードローンの申し込みがあっても融資しない仕組みだ。日本貸金業協会は同様の制度を導入済みで、全銀協か貸金業協会のいずれ
かに申請すれば自動で情報が共有される。
情報共有で分析可能な顧客データが増えれば、人工知能(AI)の活用によって、ローン審査の改善にも寄与する可能性もある。近年
は利用者がスマートフォンなどで入力した個人情報から、AIが信用力を割り出して金利や融資額を決める手法が広がってきている。
銀行と貸金会社の情報共有が広がれば、審査の速度や正確性が向上する。
▼個人信用情報機関 個人向けローンの融資額や残高、返済や延滞状況といった信用情報を集め、会員が融資判断の際に参照で
きるようにする組織。銀行、消費者金融会社、クレジットカード会社、信販会社などの会員を対象に情報を収集・提供する。業態ごとの
主に3つの機関がある。融資・与信審査の迅速化や過剰借り入れの防止を図るために欠かせない役割を担っている。 「ダイナース」120億円減損、三井住友トラスト、会員数伸び悩む。
2019/05/15 日本経済新聞 朝刊
三井住友トラスト・ホールディングスは14日、2019年3月期連結決算で「ダイナース」ブランドのカード会社について約120億円を
減損処理する方針を決めた。15年にすべての株式を取得したが、会員数の伸び悩みで業績が振るわないため。連結納税制度の導
入で税負担が軽くなり、純利益は1750億円としていた従来予想の範囲に収まりそうだ。
傘下の三井住友信託銀行は米シティグループから400億円強でシティカードジャパンを買収し、社名を「三井住友トラストクラブ」に
改めた。富裕層が比較的多いダイナースカードの保有者に対し、信託銀行の金融サービスを提供するといった相乗効果を期待した。
ただ、新システムの開発・導入が遅れ、積極的な営業政策を展開しづらかった。口座は45万前後で足踏みし、買収後の純利益も
10億〜20億円程度にとどまっていたようだ。のれん代を前倒しで処理し、20年3月期以降の償却費を抑える。
あわせて三井住友信託と傘下の日興アセットマネジメントは7月に監査等委員会設置会社へ移行する。業務を執行する取締役に
権限を委譲し、取締役会は経営戦略を活発に議論できるように組織を見直す。 武田、最終赤字3830億円、シャイアー買収、関連費が重荷、今期、新薬開発の速度カギ。
2019/05/15 日本経済新聞 朝刊
武田薬品工業は14日、20年3月期の最終損益(国際会計基準)が3830億円の赤字(前期は1091億円の黒字)になる見通しと発表
した。最終赤字は5期ぶり。アイルランド製薬大手シャイアーの買収に伴う費用が重荷になる。今後はシャイアーが手掛ける有望な新薬候
補を計画通り販売につなげることが、市場の評価を高める条件になる。
シャイアーの在庫の評価替えに伴う会計上の負担が重荷となり、営業損益は1930億円の赤字(前期は2049億円の黒字)となる見通
し。9日に発表した点眼薬事業などの売却は業績予想に織り込まなかった。
半面、売上高に当たる売上収益は57%増の3兆3000億円を見込む。シャイアーの業績が初めて年間で寄与する。「シャイアーとの統
合は速いペースで進んでいる」。都内の武田本社で開かれた記者会見で、クリストフ・ウェバー社長はこう強調した。
本業のもうけを示す「コア利益」は92%増の8830億円の見通し。世界で販売する14の主力薬品の販売が好調に推移する。前期に売
り上げが35%伸びた潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」は今期も20〜30%増える見通し。血液がん治療薬「ニンラーロ」も
2〜3割増える。
シャイアーとの統合によるコスト削減も貢献する。22年3月期までに税引き前で14億ドル(約1550億円)としていたコスト効果の目標を
約20億ドルに引き上げた。コスタ・サルウコス最高財務責任者(CFO)は14日、日本経済新聞社の取材に対して「21年3月期までに目
標の7割を達成する」と語った。
中長期の成長力のカギを握るのは、開発中の新薬候補の成否だ。統合を通じてシャイアーが強みを持つ希少疾患向けの開発案件が候
補に加わった。血小板関連やウイルス感染症などは第3段階(最終段階)にある。
シャイアーから開発を引きついだ新薬候補で有望視されるのが、食道炎向けで第3段階の治験が進む「TAK―721」だ。既存の薬より
炎症を抑えやすいという。国内証券アナリストによると、28年3月期のピーク時に396億円の売り上げ計上を見込む。
武田が開発を進めてきた新薬では「TAK―788」が有望だ。非小細胞肺がんで幅広い原因に対して効果を持つとされる。市場ではピー
クの35年3月期の売上高が672億円になるとの見方がある。武田は同薬について今期中に第3段階の治験を始める見通しだ。
武田の株価は直近高値を付けた今年3月に比べて1割低い。市場が重視するのが新薬開発のスピード感だ。シャイアーから引き継いだ
希少疾患などの新薬開発を円滑に進められるかが、株価回復のカギを握る。
【表】シャイアーとの統合で希少疾患などの新薬候補が加わった
第2段階〓(開発中期) 第3段階〓(最終段階)
武 田 がん、消化器、中枢神経 がん
シャイアー 希少疾患(慢性肺疾患、遺伝性の難病) 消化器、希少疾患(血小板関連、ウイルス感染症)
(注)主要5領域(がん、消化器、希少疾患、中枢神経、血液製剤)が対象 追加緩和、今すぐ検討しているわけではない=黒田日銀総裁
https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-monetary-policy-idJPKCN1SL09T?il=0
[東京 15日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は15日午前の衆院財務金融委員会で、物価安定目標に向けたモメンタムが
損なわれた状況になれば追加緩和の検討を行うという従来の考え方を繰り返した。その上で「追加緩和はモメンタムが失わ
れる状況になった時の話で、今すぐ追加緩和を検討しているということではない」とした。前原誠司委員(国民)の質問に答えた。
米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が金融政策の正常化プロセスを停止しているものの、現時点で、緩和する
ということではないとした上で「リーマン・ショック後のような状況とはかなり違うと思っている」と述べた。
ただ、米中貿易摩擦が長期化するなどリスクが顕在化し、日本経済に影響が出て物価安定目標に向けたモメンタムが損なわ
れることになれば「当然、追加緩和を検討していく」と述べた。
緩和の手段については、短期政策金利の引き下げ、長期金利操作目標の引き下げ、資産買い入れの拡大、マネタリーベース
の拡大ペースの加速などが考えられるとし「効果とともに金融仲介機能や市場機能に及ぼす影響もバランスよく考慮する必要
がある」と述べた。政策のコストとベネフィットを比較考量しながら「さまざまな手段を組み合わせて対応することも含めて、その
時々の状況に応じて適切な方法を検討していく」とした。
また、現時点では「すぐに物価安定目標が達成される状況にはなく、しばらくは強力な金融緩和を続けることが必要」とした。 焦点:日本の国債市場、令和で一段と膠着 消費増税の不透明感も影響
https://jp.reuters.com/article/japan-bond-market-idJPKCN1SM0OV
[東京 16日 ロイター] - 令和入り後、日本の国債市場が一段と膠着している。円高・株安が進んでいるにもかかわらず、15日まで
の7営業日で先物終値2JGBv1の値幅はわずか1銭。10年債金利JP10YTN=JBTCもマイナス0.055%近辺で小動きとなっている。
日銀の金融政策に変化は当面予想しにくいとして、海外勢が米独などの国債市場に「主戦場」を移しているほか、消費増税を巡る不
透明感が売買を手控えさせているとの指摘が出ている。
<「動かない日銀」の見方広がる>
日銀は当面動かない──。円債市場にこうした見方が広がったのは、4月24─25日の金融政策決定会合で日銀がフォワードガイダ
ンスを変更してからだ。
同会合で、金融政策の方向性を示すフォワードガイダンスは「海外経済の動向や消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確
実性を踏まえ、当分の間、少なくとも2020年春ごろまで、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定している」に変更さ
れた。
従来は「2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ」とされていたことから、消
費増税の影響にかかわらず、2020年春ごろまで現在の政策を続ける姿勢を明確化させたと受け止められている。
同会合以前からも、日銀の金融政策変更余地は乏しいというのが市場に広く浸透した見方だった。だが、フォワードガイダンスで「現
状維持」を強調したことにより、少なくとも2020年春までは、金融引き締め方向だけでなく、金融緩和方向の政策変更も可能性が低
くなったとみられている。
4月会合は「(日銀は)結果的にはしばらくは『動かない』ということを宣言した形となった」とJPモルガン証券・債券調査部長の山脇貴
史氏は話す。
<海外勢は米独市場に移動>
海外では、米連邦準備理事会(FRB)は利上げを停止し、今度は利下げの思惑が浮上。緩和強化に動いている欧州中央銀行(ECB)
も次の一手が注目されている。
米国債市場は逆イールドが一部の年限で発生しているが、ドイツの国債市場はまだ長短金利差が大きく、フラットニングの余地がある。
一方、日本の金利曲線は超長期ゾーンに至るまでべったりとゼロ近辺に張り付いている。
金利がマイナス圏にある中長期債を積極的に買う主体は「海外勢か日銀ぐらい」(国内証券)とされる。「米独市場などの方が今は面白
いとして、海外投資家はそちらに向かっている」(外資系投信)ことが、円債市場が一段と膠着する1つの要因になっている。
財務省が公表する「対外及び対内証券売買契約等の状況」によると、中長期債で海外投資家は昨年10月以降、7カ月連続で買い越
しが続き、今年1─2月には2兆円超に膨らんだが、3─4月は1兆円台前半と買いの勢いは鈍化した。
最新の数字となる5月5─11日の週は5535億円の買い越しとなったが、「米国による対中関税を巡り、世界中でリスク回避ムード
が強まった割には、買い越し額は膨らまなかった」(国内証券)という。
「月2兆円規模という過去にないペースで買いを入れた結果、ロングを膨らませ過ぎた面もあるのだろう」と三菱UFJモルガン・スタンレ
ー証券、シニア債券ストラテジストの稲留克俊氏はみている。 <消費増税の有無、焦点は日本株か>
日本の消費増税を巡る先行き不透明感が強くなっていることも、投資家に円債市場での売買を手控えさせている。
消費増税の延期は、財政状況の悪化を予想させ、債券の売り材料となる。2度目の延期(16年6月1日)の際はほとんど影響がなか
ったが、1度目の延期(14年11月18日)の際には、債券価格がいったん下落し、その後反発している。
増税実施か延期か──。市場はまだ見定めている段階だが、「増税延期でも、国債格下げがなければ下がったところで買えばいい。
状況が不透明な今は動く必要はない」(前出の外資系投信)とされ、相場膠着の要因になっている。
16日の円債市場で、国債先物終値は前日比7銭高の上昇。令和になって初めて「1銭」の壁を破ったが、大引けにかけて伸び悩んだ。
「世界的な金利低下(債券価格上昇)が鮮明化しており、さすがに円債市場にも影響してきた。日本株が下がり過ぎなければ増税延
期の思惑も高まらないだろう」とパインブリッジ・インベストメンツの債券運用部長、松川忠氏は指摘する。
日経平均.N225の下落幅は16日は125円だったが、令和に入ってからは16日までに1195円に達した。16日の終値は2万1062
円だが、2万円を切ってくれば、消費増税延期の可能性上昇として円債売りの材料になるとの見方も出ている。本来、株安は債券買
いの要因だが、行き過ぎれば逆方向の思惑を高めることにもなりそうだ。 上場地銀の7割、減益、前期最終、不良債権の処理費3倍に。
2019/05/17 日本経済新聞 朝刊
地方銀行の収益環境が厳しさを増している。上場する78の地方銀行・第二地方銀行・グループの2019年3月期決算は全体の7割の
55行が最終減益だった。超低金利の影響で本業の稼ぐ力が伸びず、不良債権の処理費用も前の期の約3倍に膨らんだ。国内景気の
拡大局面でも稼げない地銀の姿が浮き彫りになった。(関連記事7面に)
19年3月期の連結純利益の合計は11%減の8604億円で、3期連続の減益となった。投資用不動産向けの不正融資問題で赤字に
転落したスルガ銀行を除くとほぼ横ばいだが、2期連続で1兆円を割る低水準だ。
貸し出しや投資信託販売など、手数料収入による本業利益(コア業務純益)は6%減の1兆1899億円だった。日銀のマイナス金利政
策を受けて地銀の長期貸出金利は平均で1%を割っている。一部の地銀は利ざやがマイナスに陥った。これ以上、利ざやが縮小すると
「銀行業務が成り立たない」(筑邦銀行の佐藤清一郎頭取)状況だ。
融資先の業績が悪化すると破綻に備えて貸倒引当金を計上する。こうした与信費用は3247億円と約3倍に急増した。武蔵野銀行は
曙ブレーキ工業の私的整理などを受けて107億円の損失を計上した。
融資先の業績不振で特に目立つのは中小企業だ。前の期までは経営が堅調で引当金の「戻り益」を計上する地銀も相次いだが、一転
して状況が変わった。「(中小企業では)人手が確保できず売り上げが増えない」(東北銀行の村上尚登頭取)と指摘する声がある。
地銀は成長力の高い企業を探すが、有望な融資先の開拓は足踏みしている。低金利で利ざやが小さいなか積極的に融資先を増やす
動きが出づらい面がある。
各行の見通しでは、20年3月期の連結純利益は合計で前期比2%増の8755億円の見込み。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の
笹島勝人氏は「店舗の削減などで大幅にコストを減らさないと収益力の改善は難しい」と指摘する。 金融庁「限界地銀」に照準、業務改善命令も視野、含み益6000億円消失、運用難に拍車。
2019/05/17 日本経済新聞 朝刊
地方銀行が正念場を迎えている。上場地銀78行・グループの2019年3月期決算は全体の7割で最終減益となり、収益を支えてきた
有価証券運用でも含み益が約6千億円減るなど苦戦が鮮明だ。低金利の長期化や人口減少で収益環境が厳しさを増すなか、経営戦略
の見直しは急務だ。金融庁は将来にわたって収益力が低い「限界地銀」に対し、業務改善命令も視野に抜本的な対応を迫る。(1面参照)
日本経済新聞のまとめによると、19年3月期の有価証券の含み益は合計で約4兆7千億円と18年3月期と比べて11%減った。金額
にして6千億円近くが消失した計算だ。青森県のみちのく銀行は21億円の含み損に転落(前の期は16億円の含み益)。日本株で運用
する投資信託で株安の流れが響いたという。このほか、福島銀行でも15億円の含み損となった。
「不良債券」の処理に動いた地銀も目立った。池田泉州銀行は外国債券などの含み損の処理で93億円の損失を計上。関西みらいフィ
ナンシャルグループ傘下のみなと銀行は、米国債を中心に有価証券70億円あまりを損切り。債券関係損益が33億円の赤字となった。
多くの地銀で誤算となったのが米金利の上昇だ。18年秋に米長期金利が3・2%台と約7年ぶりの水準に上昇(債券価格は下落)する
まで、少しでも高い利回りで運用したい地銀は米国債投資に動いた。だが、一部の地銀では想定外の金利上昇で含み損が発生し、なく
なく損切りを迫られたもようだ。
米金利は18年11月以降は低下基調にあるが、運用助言会社の和キャピタルの小栗直登社長は「目先の金利収益を追う運用から脱
せておらず、高度化に向けた人材育成が必要だ」と指摘する。
さらに地銀の運用難は拍車がかかる可能性が高い。野村証券によると、20年3月期に償還を迎える国債は4兆2千億円に達する見通
しだ。すでに19年3月期だけで5兆円近い国債が償還した。リーマン・ショックから10年。日銀が大規模緩和を進めた結果、長期金利は
ゼロ%近くまで低下した。過去に仕込んだ比較的高い利回りの国債が一斉に償還していっており、運用資金の振り向け先を見つけるの
は容易ではない。
日銀は4月に公表した金融システムリポートで、約6割の地銀が10年後の28年度に最終赤字になると試算した。人口減少や低成長
による資金需要の低迷で貸し出しが細るとの見立てだが、有価証券運用についても「益出し余力は低下してきており、金融機関の間で
ばらつきも大きくなっている」と指摘している。実際、地銀が持つ日本国債は19年2月時点で約20兆円と異次元緩和が始まる前から半
減した。
全国の地銀を監督する金融庁は将来の収益性に着目し、本業の赤字が続く地銀には経営の抜本的な見直しを迫る方針だ。19年3月
期の決算を踏まえ、今後5年間ほどの本業の利益や自己資本比率を試算。貸出金や有価証券の運用による利息配当金が一定の水準
を下回る地銀に対しては、有価証券の益出し余力が十分か、追加の経費計上が必要かなど見通しの妥当性を検証する。
九州地方のある地銀頭取は「同じ地元で体力のない他の地銀を救済する経営統合も想定しなければならない」と警戒する。
本業の赤字が続いたり、国内銀行に最低限求める自己資本比率が4%を下回ったりしそうな地銀には業務改善命令を出すことも視野
に入れる厳しい内容だ。地銀の体力があるうちから早めに経営改善に動き、持続可能なビジネスモデルを描き直す――。地銀の経営を
支えてきた有価証券運用を含めて経営戦略の再構築は待ったなしだ。ある金融庁幹部は「地銀トップの当事者意識が問われている」と
指摘する。 三井住友銀が気候変動ファンド NGOの格付けを世界で初活用
https://www.sankeibiz.jp/business/news/190520/bse1905200500002-n1.htm
三井住友銀行が、気候変動問題に積極的な企業に運用対象を絞った投資信託の取り扱いを開始することが分かった。提携する
国際非政府組織(NGO)が気候変動への取り組み状況により企業を評価し、銘柄選定に反映させる。NGOによる評価を銘柄選定
に活用する投信は世界初という。
6月に長野県軽井沢町で開かれる20カ国・地域(G20)のエネルギー・地球環境分野の閣僚会議で気候変動問題に注目が集ま
るのを契機に、環境に配慮した商品の販売を決めた。
英国の国際的なNGO「CDP」が二酸化炭素(CO2)の排出削減策や、気候変動によるリスクに備えているかなどの観点で企業
を格付けする。
商品名は「SMBC・アムンディ クライメート・アクション」。運用はフランスの大手運用会社アムンディの子会社が手がけ、三井住
友銀が販売する。投信の銘柄は欧米株を中心とし国内株も7%程度入る。申込期間は今月27日から。
銀行業界では、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が15日、原則として石炭火力発電への新規融資をやめると発表するなど、
環境問題への取り組み姿勢が強まっている。 3メガで独り負けのみずほが新経営計画で描く「坂井社長色」
https://diamond.jp/articles/-/202603
「細かい数字にこだわる様子は、人によってはマイクロマネジメントだと感じるだろう」――。約8万人の従業員を抱えるみずほフィナン
シャルグループ(FG)。この“巨大戦艦”を統べる坂井辰史社長をよく知るあるOBは、こうした表現でその経営スタイルを言い表す。
しかし、昨年の社長就任当初にこうした周囲の人物評を坂井社長本人にぶつけてみたところ、「私自身はビジョナリーだと思っている
」と反論。経営トップとして「3〜5年後をイメージしてビッグピクチャー(大局)をとらえないと経営できない」という持論を展開した。
そして5月15日、みずほFGはその坂井社長が率いるようになって初となる新たな経営計画を発表した。その中身を見てみると、坂井
社長の「ビジョナリー論」を象徴する要素が散りばめられていた。
代表的なのが、通例では3年ごとだった計画の期間を5年に伸ばしたこと。みずほFGは今回の計画において、デジタル化や少子高齢
化の進展に対応した「次世代金融への転換」の実現を掲げたが、「3年という期間だと今までの延長線上に(物事を)見てしまう」(坂井
社長)ことがネックとなる。そこで、「目に見える形で成果を上げる」(同)ために、今年から「中期」という言葉を取り「5ヵ年経営計画」と、
5年という長期間で事業プランを描いていく考えだ。
さらに、本業のもうけを示す「連結業務純益」を、5年後に9000億円にするという強気の収益計画を掲げた。その強気ぶりは、昨年5月
に発表された2018年3月期決算の連結業務純益4578億円と比べればわかる。大きな利益剥落がなかったこの実績と比べると、およそ
倍増となる大きな数字をぶち上げたのだ。
露呈する3メガの「2強1弱」
だが、新経営計画と同じタイミングで発表された19年3月期決算は、強気の目標をにわかには信じがたい有り様だ。連結業務純益は
前年同期比14%減の3933億円で、連結純利益に至っては同83%減の965億円まで落ち込んでいる。
その主因は、次期勘定系システムの減損処理と外国債券の含み損処理を一気に行ったこと。一連の損失は、将来にわたりみずほF
Gの決算を苦しめると考えられていたため、坂井社長も「(損失の)一括処理がベストの選択だと確信している」と胸を張るが、他の2メガ
バンクに大きく水を空けられた印象は否めない。
また、みずほFGは新たな経営計画から、これまで掲げてきた経費率という経営指標を外した。「重要な指標だが、経営の管理手法の
一つに過ぎない」(坂井社長)とし、その代わりに自己資本利益率(ROE)を重視するという。
しかし、姿を消したその経費率も、みずほFGの新経営計画の実現可能性に影を落とす。数字が小さいほど経営が効率的であることを
示す指標だが、19年3月期の実績を見れば、三菱UFJFGは71.0%、三井住友FGは60.3%という中で、みずほFGは78.8%。みずほFGは
他の2メガの後塵を拝している。
確かに、どこの銀行のトップも決算を総括すれば「厳しい」と言葉がこぼれる時代だ。その証拠に、19年3月期決算において、3メガバン
クグループはそろって前年比で最終減益。低金利環境がもたらした本業の融資事業の低迷は相変わらずだが、加えて昨年は、米国の
金利上昇やそれに伴う株式市場の急落が発生したことで、各社の市場運用部門が稼ぎ損なっている。
例えば三菱UFJFGは、連結業務純益で1兆0785億円となり前年同期比13%減、連結純利益だと同12%減の8726億円だ。詳細を見
ると、子会社のシステム開発が頓挫したことを主因に2027億円の特別損失を被ったことに加え、市場運用部門が同883億円減の不調だ
ったことが大きく響いた。
また三井住友FGも、連結業務純益は前年同期比1%減の1兆1923億円、連結純利益は同1%減の7267億円と振るわない。市場運用
部門は増益を保ったが、「上期の貯金で下期の苦しいところを支えた」(太田純社長)と、昨年後半の相場の急変にはさいなまれたようだ。
とはいえ、連結純利益では三菱UFJFGが業界最大手ながら、連結業務純益で見れば三井住友FGが三菱UFJFGを追い抜くなど、上位
2社が見せるトップ争いに対してみずほFGは食らい付く気配がない。「2強1弱」。19年3月期の決算は、3メガバンクグループの“構図”を
際立たせる結果となった。 坂井社長が説くマインドセット
「最後に一言申し上げます」。5月15日、居並ぶ報道陣に対して新たな経営計画を一通り説明した坂井社長は、独特の言い回しでこう
切り出した。「今回の経営計画は、あえてあらかじめ定められた目指すべき姿に向かって進むという形にはしていません」「むしろこの計
画は、私たちみずほにとっての一種の運動論、あるいは行動論だと考えています」――。
前述の通り、新たな経営計画には「5年後に9000億円」といった数字の計画があり、それを実現するための重点的な取り組み分野も
記されている。しかし、事業部門別の具体的な戦略プランに関しては、経営計画に記載されている内容は乏しいのが現状だ。
その一方で人材育成面では、職員の熱意や専門性を重視すること、それを支えるために、社員のやりたい仕事を重視した人事制度に
変えると明記した。つまり、今回の経営計画は、戦略以上に“マインドセット”としての側面が強いと訴えたかったわけだ。
「利益倍増計画」という「ビッグピクチャー」を掲げた坂井社長だが、数字をぶち上げるだけであれば誰でもできる。経営手腕が問われる
のは、どのようにその計画を実行に移し、実現するかだ。
みずほFGの内情に詳しい金融関係者は「みずほの経営陣は他のメガバンクと比べて、細かいところまで詰めて稼ぐという執念に欠け
る」と語る。新経営計画の成否は、周囲が坂井社長の特徴だと語る「マイクロマネジメント」が、今後適切な形で発揮されるかどうかに
懸かっている。 日銀、政権の政策、逆風、教育無償化など、物価下押し要因に(ポジション)
2019/05/21 日本経済新聞 朝刊
日銀の政策手詰まり感が強まっている。国内では安倍政権が主導する政策が2%の物価安定目標の達成に逆風となる。目標未達な
ら追加緩和を求める声が強まりかねないが、有効な追加緩和策は限られる。一方、世界経済の不透明感を背景に、米欧の中央銀行は
正常化路線を一時休止した。日銀自身の円高進行の「抑止力」は乏しく、円高リスクをはらんでいる。
20日発表の2019年1〜3月期の国内総生産(GDP)速報値は、マイナス成長も見込んでいた市場予想に反して前期比実質0・5%
増となった。市場はひとまず好感し、リスク回避姿勢の後退で株高・円安が進んだ。
日銀の黒田東彦総裁は17日、都内で講演し「物価安定の目標に向けたモメンタム(勢い)は引き続き維持されている。時間はなおか
かるものの、2%に向けて徐々に上昇率を高めていく」と強調した。だが日銀の内憂外患は深まるばかりだ。
日銀は13年度に「2年程度で2%」の物価安定目標を掲げたが、14年4月の消費増税の影響を除くと年度ベースで上昇幅が1%を超
えない。
19年後半を見込む景気回復シナリオにも米中の対立激化が影を落とす。米トランプ政権は経済成長を一段と後押しするため、米連邦
準備理事会(FRB)に利下げを迫る。実際に利下げとなれば日米の金利差が縮まり、円高圧力が強まる。
物価の下押しリスクは安倍政権による政策にも内在する。10月には消費増税を控え、その増収分を財源に使う幼児教育・保育などの
無償化は物価のマイナス要因になる。内閣府はCPIの総合指数を0・3ポイント程度押し下げると見込む。
携帯電話料金引き下げも相次ぐ。10月の楽天の参入により値下げ競争が一段と過熱する可能性もある。BNPパリバ証券の河野龍太
郎氏は、通信料引き下げがCPIを0・3ポイント下げるとみる。
外国人労働者受け入れ拡大を賃金が上がりにくくなる要因とみる向きもある。みずほ銀行の唐鎌大輔氏は「賃金上昇の足かせになり
、物価下押し要因となる」とみる。そうなれば物価上昇の勢いを判断する際に重視する需給ギャップ(日本経済全体の需要と潜在的な供
給力の差)にマイナス作用が働く可能性がある。
第2次安倍政権の発足直後の13年1月、政府と日銀の共同声明には「政策連携を強化し、一体となって取り組む」と明記した。しかし
2%物価安定目標を達成する見通しは立たず「政府の政策との整合性は疑問だ」(唐鎌氏)との声も聞かれる。日銀幹部も「携帯料金引
き下げや教育無償化による物価への影響は否定できない」と認める。
巨額債務を抱えながら政府が財政出動を続けられるのは、日銀の金融緩和で国債利払い費が低水準で済んでいるからだ。安倍政権
は日銀の後押しで長期政権を築きながら、上がらぬ物価に苦慮する日銀のハシゴを外す――。そんな構図が浮かぶ。物価目標を達成で
きないまま、景気後退と円高が進む展開も現実味を帯びる。
安倍政権主導の政策が物価下押し圧力に
外国人労働者の受け入れ拡大
新たな在留資格「特定技能」を新設する改正出入国管理法が4月に施行。賃下げ圧力などが働く可能性
携帯電話料金の引き下げ
菅官房長官が昨夏に「4割程度引き下げの余地がある」と発言。各社が順次引き下げへ
教育無償化
10月の消費税率引き上げを財源に幼児教育・保育などを無償化。安倍政権が2017年衆院選で公約に掲げて勝利 ETF買い入れは株価変動抑制に効果、株価引き上げ効果は大きくない=日銀総裁
https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-etf-idJPKCN1SR061
[東京 21日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は21日の衆議院財務金融委員会で、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れ
は株価の引き上げが目的ではなく、その効果があっても大きなものではないとの認識を示した。ただ、株価の変動を抑制している
のは事実とも語った。川内博史委員(立憲)の質問に答えた。
黒田総裁は、日銀によるETF買い入れは、リスクプレミアムに働きかけ、経済・物価にプラスの影響を及ぼしていくと説明。現在は、
株式市場のリスクプレミアムの状況に応じて弾力的に買い入れ額を上下させており「リスクプレミアムが拡大することを防止、変動
幅を小さくしているという意味では、株価の大きな変動を抑制している効果があるのことは事実」と述べた。ただ「株価引き上げが目
的ではない。東証時価総額の4%程度の保有であり、株価引き上げの効果があってもそれほど大きなものではない」と指摘した。
昨年9月末でETFの市場の時価総額は37兆円、このうち日銀は29兆円を保有している。
現代貨幣理論(MMT)については「理論モデルがはっきりしない」とした。そのうえで、日本の財政当局は機動的な財政運営ととも
に、中長期的に持続可能な財政構造を確立するための取り組みを進めており、市場の信認確保に努めていると指摘。そのため、M
MTが前提としている「財政赤字や債務残高を考慮しないというスタンスにはない」とし、金融政策についても「物価安定目標実現の
ために最も適切なイールドカーブ形成を促すよう国債を市場から買い入れている。これは、物価の安定のために実施しており、財政
ファイナンスではない」と述べた。
総裁は「日本の財政や金融政策運営はMMTが想定している状況とは全く異なっている」と繰り返した。 債券、15年ぶり買い越し、大手銀4月、世界経済減速懸念で。
2019/05/22 日本経済新聞 朝刊
大手銀行が債券を買っている。日本証券業協会が21日までにまとめた4月の売買動向(短期証券を除く)によると、同月としては15年
ぶりに買い越しに転じた。例年、新年度が始まる同月は債券を売る傾向が強い。ただ世界経済の減速懸念から「安全資産」である国債な
どの需要が高まったほか、そもそも保有残高が少なく、売り余地が狭まっているようだ。
日証協が公表した公社債の投資家別売買動向によると、大手銀(都市銀行)は4月に債券を6306億円、買い越した。4月は利益目標
を早めに達成するために、保有する債券を売って利益を確保する傾向がある。当初はこうした売りが出たが、次第に買いが優勢になったと
いう。
理由は主に2つ。1つ目は米中貿易摩擦を背景に世界経済の減速懸念が強まったことだ。米欧の中央銀行が相次いで金融引き締め路
線を停止。日銀がまとめた3月の全国企業短期経済観測調査(短観)でも大企業製造業の景況感が大幅に悪化し、景気の先行き懸念か
らリスク回避の資金が国債に集まった。
2つ目はすでに銀行が持つ債券が大幅に減っていることだ。日銀は異次元の金融緩和に伴い、銀行から大量の国債を買い続けてきた。
銀行は様々な取引の担保に差し入れるために一定の国債を持っておく必要がある。
日銀のある政策委員も3月の金融政策決定会合で「金融機関の国債保有額が資金調達の担保として最低限、必要な水準まで近づいて
いる可能性がある」と指摘している。このため、日銀は4月の決定会合で銀行が日銀から資金調達する際の担保の要件を緩和することを
決めた。 大手金融グループ 経営効率化を加速 低金利で環境厳しさ増す
2019年5月22日 20時17分
長引く低金利で経営環境が厳しさを増していることから、大手金融グループは、経営の効率化を急ぐ方針を相次いで打ち出しています。
このうち、三井住友銀行のSMBCグループは、店舗で行う書類づくりなど単純な事務作業を機械化することによって、今年度末までに
これまでの計画よりおよそ1000人分多い、5000人分近い業務量を削減することにしています。
また、過去に大量採用した行員の退職が進むことで、人員の数は、今年度末までにおよそ4000人減る見込みだということです。
一方、三菱UFJ銀行は店舗の統廃合の計画を上積みし2023年度末までに全体の35%にあたるおよそ180の店舗を減らすことにしてい
るほか、業務量についても従来の計画より500人以上多い1万人分以上を減らすとしています。
さらに、みずほフィナンシャルグループも統廃合する店舗を従来の計画より30店舗増やし2024年度までに130店舗減らすほか2026年度
までに1万9000人の従業員を減らすとした計画を、できるかぎり前倒しで取り組むとしています。
長引く低金利による収益の低下に加えて、IT企業など新たなライバルの参入で金融業界を取り巻く経営環境は厳しさを増しており、各
グループにとって、利用者の利便性を損なわずにどう効率化を進めるかや、成長が見込める分野にどう人材を振り向けていくかが課題
になっています。 三井住友FG、ITで省力化5000人 業務削減、1000人弱分上振れ
https://www.sankeibiz.jp/business/news/190523/bse1905230500003-n1.htm
三井住友フィナンシャルグループがITなどによる省力化技術を活用し、2017〜19年度の中期経営計画の期間中に、ローン関連
事務などの業務量を5000人弱分削減する見通しであることが22日、分かった。従来計画から1000人弱分上振れする。
17日に開催した投資家向け説明会で明らかにした。超低金利の長期化で国内の収益環境は厳しさを増しており、店舗なども含め
合理化に力を入れている。計画期間中に国内の人員が定年退職などの自然減で4000人減る見込みであることも示した。
業務量削減は、定型的な仕事を自動化する「ロボティック・プロセス・オートメーション」(RPA)と呼ばれる技術の活用が中心だ。同
じメガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループやみずほフィナンシャルグループも国内事業を抜本的に見直している。 米長期金利が1年8カ月ぶり低水準、NY株は232ドル安
2019/05/29 05:32 日経速報ニュース 545文字
【ニューヨーク=後藤達也】米長期金利の低下が続いている。28日の債券市場で米10年物国債の利回りは2.26%と2017年9月以来、
1年8カ月ぶりの低さに低下(価格は上昇)した。米中貿易戦争が世界経済に悪影響を与えるとの懸念が強く、安全資産である米国債を
買う動きが続いている。米株式市場では売りが先行し、米ダウ工業株30種平均は先週末より237ドル安い2万5347ドルに下落した。
トランプ米大統領は27日、訪問先の日本で「中国は合意したがっているが、私たちはその用意がない」と述べた。中国も歩み寄る姿勢は
見せておらず、市場では米中戦争が長期化するとの見方が増えている。23日に発表された5月の米製造業の景況感指数も大きく悪化し
ており、米景気の先行きにも警戒感が出始めている。
長期金利が短期金利を下回る「逆イールド」という状態も一段と進んでいる。米モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏は「貿易交
渉の結果にかかわらず、米景気減速や景気後退のリスクが起こり始めている」と指摘する。市場では米連邦準備理事会(FRB)が年内に
1〜2回利下げするとの観測も強まっている。
米株式市場では、長期金利の低下で利ざやが縮小するとの観測から、ゴールドマン・サックスなど金融株が大きく値を下げた。 日銀の桜井審議委員、「追加緩和、現時点で不要」、副作用を意識。
2019/05/31 日本経済新聞 朝刊
日銀の桜井真審議委員は30日、静岡市で記者会見し、米中貿易摩擦の再燃などを踏まえて「景気はかなり微妙な段階に来ており、
(先行きの)不確実性も高まった」と語った。景気や物価を下支えするため、大規模な金融緩和が長期化するとの見通しを示した。ただ、
銀行収益の悪化など副作用を意識し「追加緩和は現時点で必要ない」との認識も示した。
桜井氏はこれまでも地方での講演や会見の場で追加緩和に慎重な意見を述べてきた。こうした姿勢を今回も維持した。
経済情勢が大きく悪化するなど「必要があれば、いろんな手段を考えていく」とも語った。当面は中国の景気対策の効果をはじめとする
海外経済の動向や10月に予定する消費増税の影響を慎重に見極める考えを示した。
桜井氏は金融緩和が長引くことで「地方の金融機関の経営はトレンドとして厳しい状況にある」と認めた。そのうえで、運用難の金融機
関が投融資を増やすなど「リスクを抱えつつあるかもしれない」と指摘した。金融緩和の副作用を「今までと違う観点から広く慎重に考え
る必要がある」と強調した。 ▽31日の起債予定
発行体 年限 発行額
・武田(4502) 60年 5000億円
(劣後債、5年5カ月目以降の期限前償還条項付き) アクアパレス, ,palace,0019,
アトリエなにわ, ,naniwa,naniwa,
エクセレントクラブ男爵, ,dvip,5229,
エメラルド皇帝, ,e-vip,0923,
エル・クィーン, ,会員ページなし,
エルドール, ,avip,1977,,
MSJグループ(サブマリン・姿麗人・ミンク), ,3WAY,7221,
オーキッド倶楽部, ,会員ページなし,,
オペラ, ,operamember,yoisigoto
カモミール, ,member,ree,
クラブオアシス,→サンタ・フェG,,,,
クラブ華, ,member,55hana,
ケリーヒルズ, ,netmember,birkin
コルドンブルー, ,cordon,4126
サテンドール, ,1126,
サブマリン,→MSJグループ,3WAY,7221
サンタ・フェG,個人ごとに違うものが必要(クラブオアシス、ビッグマン、サンタ・フェ、セリアオペラ、シーザースパレス),,,,
シーザースパレス,→サンタ・フェG,,,,
シャトー・ルイ(川崎), ,louiloui,cl1232,
シャトーペトリュス, ,1288,,
ジャルディーノ, ,gvip,0915,
女帝, ,3875,6938,
d-collection, ,d-coll,3500, ハールブルグ, ,6802,4977,
薔薇の園, ,3872,0077,,
ピカソ,,picasso,651028,
フォーシーズン(吉原 ,,imadesho,abenomics
プレジデントクラブ, ,1918,0202,
ボジョレ・ヌーボー, ,12345,montrachet,
マティーニ, ,sting80,police08,
マティーニ(携帯), ,sting80,police08,
マンダリン, ,mandarin,first3,
ムーランルージュ, ,3874,1299,
メイクアップ, ,mvip,0209,
阿吽(あうん), ,会員ページなし,
王室, ,okg3790,0338713790
王様と私, ,会員ページなし,
牛若丸, ,ushiwaka,bestsoap,
金瓶梅(吉原),※★でS有無 p、ハート有無も意味あり, ,
金瓶梅PLATINUM,※★でS有無 p、ハート有無も意味あり,会員ページなし,,
銀馬車, ,会員ページなし,
恵里亜, ,eria,0071,
迎賓館, ,GK,4194,
姿麗人, ,→MSJグループ,,,
石亭本店, ,sekitei40,※6桁の数字
石榴, ,zakuro,vip3396,
多恋人倶楽部, ,talent,2222,
秘書室, ,5603,4463,
麗嬢, ,reijou,777 米国株、買い先行 米の対メキシコ関税見送りを好感
2019/06/10 22:42 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=戸部実華】10日の米株式相場は買い先行で始まった。午前9時35分現在、ダウ工業株30種平均は
前週末比175ドル51セント高の2万6159ドル45セントで推移している。トランプ米大統領が7日夜、メキシコからの全輸入品
への関税発動を見送ると発表した。サプライチェーン(供給網)が寸断される事態が回避され、買い安心感が広がった。
メキシコに生産拠点を持つ自動車のゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターが高い。相対的に安全資産とされる
米国債は売られて米長期金利が上昇しており、利ざや改善期待からゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど
金融株に買いが優勢となっている。 金利低下、日銀のジレンマ、容認なら、年金の運用難拍車、阻止なら、円高を招くリスク(ポジション)
2019/06/11 日本経済新聞 朝刊
米国発の金利低下が日銀のジレンマを深めている。幅広い年限で国債利回りの低下(債券価格は上昇)が進むなか、さらなる下げを
容認すれば金融緩和の副作用が強まる半面、食い止めようとすれば円高を招くリスクもあるためだ。超低金利を生かした財政支出で景
気や物価の押し上げを求める声も強まっており、日銀の政策運営のかじ取りは難しさを増している。
長期金利の指標になる10年債利回りは7日に一時、マイナス0・135%と2年10カ月ぶりの低い水準まで低下。10日も上昇機運は
乏しかった。
米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測で米金利が急低下し、日本の金利も下がっている。プラスの利回りを確保しようと、償還
までの期間が10年超の超長期債への投資も活発化。半年前に0・9%台だった40年債の利回りは足元で0・4%を下回る。長短の金
利差が縮まり、利回り曲線(イールドカーブ)は寝た状態になっている。
日銀は短期金利をマイナス0・1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する「長短金利操作」を政策の柱に据える。2016年のマイナス金
利政策の導入後、長期金利がマイナス0・3%まで下がるなど利回り曲線全体が沈み、年金の運用難や金融機関の収益圧迫といった
副作用に対応するため16年9月から今の政策に切り替えた。昨年夏の微調整を経て長期金利は「マイナス0・2〜プラス0・2%程度」
の範囲に収まるよう誘導している。
ある日銀幹部は「長期金利はまだ下限(マイナス0・2%)まで距離があり、問題ない」と話す。だが市場では「金利はかなり微妙な水
準まで下がり、一段の低下は金融緩和の副作用を深刻にする」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純氏)との声も出る。
市場参加者が注目するのは一段の金利低下時の日銀の出方だ。食い止める場合、国債の買い入れオペ(公開市場操作)を減額した
り、買い入れる国債の利回りに下限を設定したりする手がある。ただ日米で同時に金利が下がる局面で日銀が金利低下を容認しない
となれば、日米金利差は縮小し、円高を招きかねない。
日銀は金融政策の軸足を金利の操作に置く一方、国債購入などを通じたマネタリーベース(資金供給量)の拡大方針も維持している。
ここ数年の国債保有残高の急拡大に伴い、残高の増額ペースは鈍っているが、長期金利を下げないように一段と購入を抑制すれば政
策の整合性が取れなくなる恐れも出てくる。
日銀内では長期金利の下限を厳密にマイナス0・2%とはせず、それ以上の金利低下もある程度容認する案も浮かぶ。その場合でも
「金融機関の体力は長短金利操作を始めたころよりも落ちている」(大和証券の谷栄一郎氏)ため、副作用への対策をセットで講じる必
要に迫られそうだ。
足元では世界景気の先行き不安などを理由とした大規模な追加経済対策も取り沙汰され始めた。超低金利が続くなかでは財政規律
への意識も緩みがち。金利低下は財政政策と金融政策の境界線を曖昧にしかねない危うさもはらむ。 なんじゃこのスレはあああああああああああああああああ 米国発の金利低下で日銀板挟み
https://www.sankeibiz.jp/business/news/190613/bse1906130500005-n1.htm
米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測を背景にした米国発の金利低下で日本銀行が板挟みに陥りそうだ。金利低下
による景気刺激を優先すれば金融機関の収益力悪化など大規模金融緩和の副作用が拡大し、逆に金利を上げようと手を打てば日
米の金利差縮小で円高が進みかねない。これまで以上に慎重な手綱さばきを求められる。
日銀は昨年7月から、長期金利の変動幅がプラス0.2%〜マイナス0.2%程度の範囲に収まるよう国債売買などの市場調節(オ
ペレーション)で誘導する方針を示している。指標となる新発10年債の終値利回りが今月5日にマイナス0.130%と2年10カ月ぶり
の低水準に沈んだ(価格は上昇)ことで徐々に防衛ラインが意識されそうだ。
長期金利が一段と低下した場合、日銀はどんな手を打つのか。副作用の拡大を防ぐには、金融機関からの国債購入額を減らして
金利を押し上げる必要がある。
ただ、市場ではFRBが早ければ7月にも利下げに動くとの観測が強まり、米国の長期金利も低下している。日米の金利が同時に
下がる場面で日本だけ押し上げに動けば、日米の金利差が縮小するとの思惑から円を買ってドルを売る動き強まり円高が進みかね
ない。
また、今月末に見込まれる米中首脳会談が決裂するなど貿易摩擦が一層悪化した場合、FRBの利下げが加速し急激な円高にな
りそうだ。日銀も景気下支えや円高防止のため利下げを含む追加緩和を検討せざるを得ず、副作用は拡大する。
このため、日銀は副作用への配慮と追加緩和の優先順位を問われる局面に入りそうだ。桜井真審議委員は「どちらを取るのかとい
うジレンマに陥ったとき、バランスを考えなければいけない。大変厳しい判断を迫られる」と指摘している。 銀行の議決権行使のあり方、今後の検討課題=高島・全銀協会長
https://jp.reuters.com/article/japan-banks-idJPKCN1TE0WP
[東京 13日 ロイター] - 全国銀行協会の高島誠会長(三井住友銀行頭取)は13日の定例会見で、銀行が持つ政策保有株式の
議決権行使について、どのような対応が望ましいかは引き続き検討していく必要があるとの考えを示した。
日本版スチュワードシップ・コードの浸透で、機関投資家は議決権行使結果の開示を進めているが、銀行は開示していない。高島会
長は「一般の機関投資家は投資家を背後に抱えているため、積極的に開示が必要」とする一方で、銀行は一般の機関投資家と立場
が異なり、銀行勘定で政策保有株式を保有していると説明。「スチュワードシップコードに対応して開示をすることにはつながらない」と
語った。
その上で、「今後は、スチュワードシップ活動でどのような役割を発揮するのかは検討していく必要がある」との認識を示した。 日本株ADR14日 売り優勢、LINEが下落 ソニーは3%高
2019/06/15 05:08 日経速報ニュース 162文字
【NQNニューヨーク=横内理恵】14日の米株式市場で日本株の米預託証券(ADR)には売りが優勢だった。
同日の米株式相場が反落し、日本株のADRにも売りを誘った。LINEやホンダ、武田が下落。野村や三菱UFJも安い。
一方、米ヘッジファンドが半導体部門の分離・独立を要求したと伝わったソニーが3%あまり上昇。みずほFGも上げた。 武田、「背伸び」でメガファーマに 重い債務が課題
2019/06/19 21:24 日経速報ニュース
武田薬品工業は6.2兆円の巨額買収をテコに、製薬企業で世界9位の売上高を手に入れた。ライバルを見渡すと、薬を生む資金力は
なお武田を上回る。「背伸び」した分、重い債務というハンディも背負う。出遅れたバイオ製薬でトップになるには、焦点を絞った投資が
求められる。
「世界のトップテンでも、グローバルに売り上げが成長する薬を14も抱えているところはない」。5月14日の決算説明会で、クリストフ・
ウェバー社長は世界で戦う力を強調した。
製薬企業が新薬を生む方法は自力か外部から種を買うかの大きく2つがある。研究開発と購入のどちらにも資金をつぎ込める潤沢な
現金創出力が欠かせない。
この力を測るため、研究開発費(R&D)に、本業で稼ぐ現金に近いEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)を足した「R&D+EBIT
DA」を「創薬資金力」と見立てて比較した。「創薬資金力」から基礎研究や治験に費用を振り向け、他社やベンチャー企業の製品を購入
する。
1位のジョンソン・エンド・ジョンソンの「創薬資金力」は4.3兆円と1年で第一三共を買収できる規模がある。研究開発に年1.2兆円を投
じ、自前で薬を生む力に定評がある。17年にはスイスのバイオ医薬品大手を3.4兆円の現金で買収し、自前と購入の両輪をフル回転さ
せている。
米ファイザーは3.3兆円。特許切れを買収で乗り切る「ファイザーモデル」で成功している。19年12月期も疼痛(とうつう)治療薬「リリカ」
の米特許が6月に切れるが、利益水準は前年並みを維持する見込みだ。
武田はどうか。買収ではシャイアーの現金を生む力を強調してきた。シャイアーは希少疾患向けの薬が主軸のため、治験が小規模で
すむ。
ただ、買収後の20年3月期の「創薬資金力」は1.4兆円と上位10社の平均2.5兆円の半分強しかない。現金を生む効率を示す売上高
に対する「創薬資金力」の割合は約40%と平均50%のトップ10に劣る。グローバル品が14あっても利益率の高い大型薬が少ない。
財務面での課題も大きい。買収により有利子負債は約5.7兆円にまで膨らんだ。有利子負債を「創薬資金力」で割ると4.2倍程度と、
他のメガファーマの実績値(0〜2倍台)と比べると突出して高い。
武田の株価が8430円の最高値を付けたのは07年と12年も前だった。糖尿病など生活習慣病の領域でヒットが多く1.8兆円の手元資
金を蓄えたが、そこが製薬業界の転換点だった。
創薬のカギは化学合成で作る「低分子化合物」から、抗体などを利用する「高分子化合物」にシフトし、競争環境も一変した。急成長
する米アッヴィは抗体医薬の抗リウマチ薬「ヒュミラ」の売上高が6割を占める。有望な種を抱えるベンチャー企業も取り合いだ。ファイザ
ーは17日、米バイオ医薬品会社を1.2兆円で買うと発表した。
シャイアーの買収は、10年に渡って苦しんだ武田の起死回生を狙う1手だ。多額の負債を抱えながら、バイオ医薬品でも先行するライ
バルと戦うには資源の集中が欠かせない。
ウェバー社長は非中核資産の売却に乗り出し、5月にはシャイアーから引き継いだ点眼薬事業などを売却すると発表した。売却資金
で有利子負債の1兆円余りを返済する予定だ。
疾患領域も絞る。がん、中枢神経、消化器系疾患と、シャイアー買収で加わった希少疾患と血液製剤の5分野で業界トップを狙う。開
発中の新薬候補ではようやく、バイオや中分子など低分子以外の技術に基づく製品が約7割になっている。
「総花主義、自前主義からの脱却」(坂根正弘取締役会議長=コマツ相談役)が今回の買収策のテーマだった。まだ投資家からの信
頼を十分には得られておらず、株価は17年末に比べ4割安の水準で低迷が続く。医薬品業界に詳しい北川哲雄・青山学院大学名誉教
授は「買収の目利き力や創薬力があることを実績として示すまでは市場の評価は得られない」と指摘する。
日本発のメガファーマと認められるようになるために「創薬資金力」を引き上げながら、それを使った開発でも優位に立ち続ける――。
船出したTAKEDAの航海は決して順風満帆ではない。 「金融相場に幕」警戒感―決算悪化、緩和で支えられず(スクランブル)
2019/07/13 日本経済新聞 朝刊
金融緩和への期待が世界の株高を支える相場が続いている。11日の米市場ではダウ工業株30種平均が史上初の2万7000ドル
超えとなり、12日の東京株式市場でも日経平均株価は小幅高となったが、市場のムードは楽観からはほど遠い。これから本格化する
4〜6月期の決算発表で業績の悪さが意識されれば、「金融相場が終わる」との警戒感が出始めている。
「欧米の中長期投資家はみな、今は動けないと話している」(CLSA証券の釜井毅生エグゼキューション・サービス統括本部長)。米
連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言から7月の0・25%の利下げがほぼ確実視されるのに投資家の腰を重くしている
のが、目前に迫る4〜6月期決算だ。
□ □
日本企業の業績は米中貿易摩擦の影響を受け始めている。4〜6月期の業績は前年同期に比べて2ケタ減益との見方が多い。現状
の株価は一定程度の業績悪化は織り込んでおり、決算発表が「悪材料出尽くし」となる可能性もあるが、想定より悪い決算が続けば「
下期回復のシナリオが修正されるリスク」もある。
3〜5月期決算に対する市場の反応にも2つの見方に揺れる投資家心理が透けてみえる。3〜5月期の純利益が前年同期比7割減
だったと発表した安川電機。受注動向の改善を好感する声もあったが、12日の株価は一時5%安に沈んだ。
□ □ 日本に先駆け4〜6月期決算発表が始まる米国では、今決算が下期回復シナリオの修正にとどまらず、金融相場の終わり
を招く可能性を指摘する声が上がる。
UBSのストラテジスト、フランソワ・タハン氏はS&P500種株価指数と米国の「サプライズ指数」との関係に注目する。サプライズ指数
は、経済統計の事前の市場予想と結果の乖離(かいり)幅を指数化した指標で、市場予想に対して実績が悪ければ指数は低下する。
今年2月以降、サプライズ指数が低下すると株価は上昇した。景気が悪くなればFRBが緩和をして支えるとの期待からだ。
2007〜08年にもサプライズ指数と株価が逆行したが、08年9月に突如崩れ、サプライズ指数と株価が連動して下がった。きっかけ
はS&P500の「予想1株当たり利益(EPS)の伸び率が0%を下回ったこと」(タハン氏)。業績悪化が顕在化すれば緩和期待では株
価を支えられない。同じ現象は01年にも起きている。S&P500の予想EPS成長率は急速に低下し足元で4・5%程度。決算が悪けれ
ばマイナスに転じてもおかしくない。
これまでは緩和期待が景気や企業業績の悪さを覆い隠すことで株高を演出してきた。米国株は日本株ほど業績悪化を織り込んでお
らず、決算で成長率が下がって金融相場が終幕したときの影響は大きい。
日本株の投資家にとって、日本企業の下期回復シナリオが修正されることに米国株の下落が重なれば最悪のケースとなる。今回の
決算は投資戦略の再考につながるかもしれない。 マイナス金利の深掘り、金融仲介機能はさらに低下=全銀協会長
https://jp.reuters.com/article/jba-takashima-boj-idJPKCN1UD14N
[東京 18日 ロイター] - 全国銀行協会の高島誠会長(三井住友銀行頭取)は18日午後の定例会見で、日銀のマイナス金利
深掘りの可能性について「マイナス金利深掘りによる物価上昇の効果については、慎重に見極める必要がある」と述べ、副作用
にも留意する必要があるとの認識を示した。
マイナス金利深掘りの副作用については「金融仲介機能のさらなる低下を引き起こす」と指摘するとともに、金融機関の収益低下
を招き、その結果として「銀行システムの格付けが引き下げられれば、外貨調達コストの増加などを通じて悪循環的に金融仲介
機能不全に陥るリスクがある」との見解を示した。
日本政府による韓国向け輸出管理の運用の見直しについては「あくまで輸出管理の厳格運用。金融規制を含めた対抗的な制裁
措置とは性格がまったく異なる」と述べ、今後、金融規制措置には至らないとの見通しを示した。その上で「民間ベースのビジネス
関係は金融を含めて健全に清々と行われている。従来通り、Win−Winのビジネス関係を維持したい」と語った。 アサヒ、豪ビール最大手買収、1.2兆円で合意。
2019/07/20 日本経済新聞 朝刊
ビール国内首位のアサヒグループホールディングスは19日、ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)から
オーストラリア事業を買収することで合意したと発表した。取得価格は1兆2000億円。国内ビール市場が2018年まで14年連続で
縮小する中、海外で需要が伸びる高級ビールの販路を広げる狙い。日本のビール大手による海外のビール会社の買収で1兆円を超え
るのは初めて。(関連記事7面に)
買収するのはインベブ傘下のカールトン&ユナイテッドブリュワリーズなど。同社は豪州で5割弱のシェアを持つ最大手で、「ビクトリ
アビター」といったブランドで知られる。18年12月期の売上高は約1700億円。最終的な買収額は契約完了時に対象事業が持つ
現金や負債などを考慮するため流動的な面がある。
同国の高級ビール市場は伸びており、アサヒは今回の買収で主力「スーパードライ」の販路確保につなげる狙いもある。
インベブはアジア子会社の上場を市況などを理由に7月に断念した。過去のM&A(合併・買収)に伴う巨額負債の圧縮などのため
に代替の資金調達手段を求めていた。アサヒは高級ビールの世界展開を成長戦略に掲げており、海外M&Aに積極的だ。16〜17年
には計1兆2000億円を投じ、インベブから相次ぎ欧州ビール事業を買収していた。
最大2000億円、普通株で調達。
2019/07/20 日本経済新聞 朝刊
アサヒグループホールディングスは19日、自己株式の活用を含む普通株式で最大2000億円を調達すると発表した。買収による
財務悪化に対応する。野村証券などが引き受ける。このほか劣後債2000億円や社債などの発行も検討する。買収資金にあてる
約1兆2000億円のブリッジローン(つなぎ融資)は三井住友銀行が全額融資する。 90歳まで運用せず生きると…、老後資産、6割超で枯渇、三菱UFJ信託調査。
2019/07/29 日本経済新聞 朝刊
老後への備えに注目が集まるなか、資産運用せずに90歳まで長生きした場合、6割を超える世帯で金融資産が枯渇する恐れが
あることが三菱UFJ信託銀行の調査でわかった。2千人超に家計の保有資産や収支を個別に聞き取り、推計した。「人生100年時
代」に備えた資産運用の重要性を訴える狙いがある。
調査によると、退職後から全く資産運用しない場合、90歳まで金融資産を保てる世帯は全体の34%にとどまった。年率3%で運
用すれば全体の53%、このケースで介護費用が生じなければ、全体の84%が90歳時点でも金融資産が残っているという。201
7年の日本人の平均寿命は女性が約87歳、男性が約81歳。
17年の家計調査によると、高齢者世帯の貯蓄額の中央値は1600万円強。今回の調査はこの中央値に合わせる形で退職時の
保有資産が600万〜3千万円となる50歳以上の男女、約2200人を調べた。資産は持ち家を除き、退職金など金融資産を対象とし
、公的年金などの収入額、生活費やローンの返済といった支出額を聞き取った。
そのうえで各種統計に基づき、海外旅行や住宅改修、介護など老後に生じる可能性がある大きな出費を織り込み、保有資産が何
歳までもつかはじいた。
金融庁の審議会は6月、平均値で老後資金に2千万円の蓄えが必要だとする報告書を出し、物議をかもした。 米利下げでも…国内金利は上昇?―融資の25%「低採算」、日銀、不良債権化を警戒。
2019/07/30 日本経済新聞 朝刊
日本で続く低金利は運用難を招き、一部でゆがみが生じている。日銀によると2017年度の銀行融資は全体の約25%が
「貸し倒れリスクに見合わない低い金利」で、調査を始めた01年度以降、最高だった。大規模緩和に伴うカネ余りを背景に企
業向け融資は毎年3%前後で伸びているが、リスクや採算を度外視した融資は将来の不良債権につながる恐れがある。
日銀が帝国データバンクの情報に基づき、総資産利益率(ROA)と借金依存度を基準に貸出金利との関係を調べた。
利益率が低かったり、借金への依存度が高かったりする企業にもかかわらず、優良企業より低利な融資の比率は25%に
達した。金融機関別に見ると低採算の融資が全体に占める割合が「25〜30%」となっているのが29%と最多で、「40〜45
%」も2%あった。
信用力が乏しく「ミドルリスク」と呼ばれる企業向け融資は本来、金利が高く、厚めに利ざやを取ることができるため銀行の
採算は改善する。ただ融資先の開拓が難しくなるなか、規模を確保するために貸し倒れリスクを反映しない低い金利での融
資が広がっている。
低採算の融資先は利払い能力が低いこともあり、日銀は「景気悪化や金利上昇などのショックが起きると、信用コストが急
激に増える可能性がある」と指摘。ただ銀行融資の増加は日銀による超低金利政策の結果でもある。大量のマネーが本来
貸すべきでない相手に回っているともいえる。 <東証>武田が8カ月ぶり安値 大和は判断下げ、「ニンラーロ」売り上げ予想減額
2019/08/16 11:18 日経速報ニュース
(11時15分、コード4502)武田が続落している。一時前日比84円(2.3%)安の3531円と、昨年12月19日以来およそ8カ月ぶりの
安値をつけた。アイルランド製薬大手シャイアーの買収費用負担で、2020年3月期が最終赤字になる見通しを示すなど業績悪化
への懸念が株価の重荷となるなか、大和証券が15日付で武田株の投資判断を5段階中で上から2番目の「2(アウトパフォーム)
」から真ん中の「3(中立)」に引き下げたことも売りを促している。
大和は売り上げが大和想定を下回っていることなどを理由に、血液がん治療薬「ニンラーロ」や高血圧薬「アジルバ」の売上高予
想を減額した。2019年7〜9月期以降の想定為替レートも1ドル=105円と従来の110円から円高・ドル安方向に見直し、全体の
業績予想も引き下げ、目標株価は従来の4500円から3700円に見直した。担当アナリストの橋口和明氏は同日付のリポートで「開
発パイプラインの現況に鑑みれば楽観的かもしれないが、今後の動向次第では評価上昇余地が浮上する可能性はある」とみていた。 マイナス金利「深掘り」判断に割れる日銀、円高圧力・副作用の板挟み。
2019/08/30 日本経済新聞 朝刊
金融緩和手段としてマイナス金利を深掘りすることを巡り日銀内で意見が割れている。鈴木人司審議委員は29日、一段と金利が
低下すればむしろ緩和効果が反転しかねないと懸念を表明。一方、別の委員は7月の金融政策決定会合で深掘りすべきだと主張し
た。深掘りは円高抑止に一定の効果があるとみる向きもあるが、副作用も大きく慎重に是非を検討する。
「副作用を上回る効果があるかは非常に慎重に検討する必要がある」。鈴木氏は29日の熊本市での記者会見でこう述べ、マイナ
ス金利の深掘りに慎重な考えを重ねて示した。すでにマイナス圏に沈む長短金利がさらに下がれば、利ざやの縮小や運用難が銀行
収益を圧迫。自己資本比率の低下を避けたい銀行は融資を絞り、むしろ緩和の効果が反転する可能性にも触れた。
収益低下に耐えられなくなった銀行が預金に手数料を課し、実質的に預金がマイナス金利になりかねないとの認識も示した。そのう
えで「現時点で緩和の必要性はない」と述べた。
マイナス金利政策は銀行が日銀に預ける当座預金残高の一部にマイナス0・1%を適用するしくみ。余剰資金を日銀に積んでおくこ
とに「罰金」を課し、お金を融資や投資に振り向けさせることで経済の好循環につなげるのが本来の狙いだ。
現在マイナス金利が適用されている当座預金残高は約19兆円で、単純計算で銀行界の「実害」は190億円。ただ長期金利も含め
た金利全体を押し下げることで、低い金利で調達し、それより高い金利で貸すことで得られる利ざや収入が大幅に縮むというのがマイ
ナス金利政策に伴う銀行界への本質的な影響だ。
マイナス金利を深掘りしても、銀行の経営体力が弱れば、本来の目的である貸し出し増を通じた経済の刺激効果は限られるとの見
方も多い。一方、片岡剛士審議委員は7月の金融政策決定会合で、「短期政策金利を引き下げる(マイナス金利を深掘りする)ことで
金融緩和を強化することが望ましい」として、金融政策の現状維持に反対票を投じた。
黒田東彦総裁は同会合後の記者会見で「マイナス金利については色々な意見があることは承知している」と述べたうえで「片岡委
員の考え方で、委員会で共有されているわけではない」と述べた。金融政策を決める9人の政策委員の中で鈴木氏は緩和慎重派、片
岡氏は緩和積極派とみられていることを考慮する必要はあるがハードルが高い手段との認識が強い。
ただ米中摩擦を背景に、外国為替市場では円高基調が続く。26日には約7カ月ぶりの円高・ドル安水準となる1ドル=104円台に
突入した。米連邦準備理事会(FRB)が9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げに踏み切れば、日米金利差が縮小し
円高が進む可能性もある。
マイナス金利の深掘りは副作用も大きい半面、市場では「深掘り↓日米金利差の縮小に一定の歯止め↓円高抑止」との見方もある。
ある幹部は「やりたいと思わないが、やらざるを得なくなる局面がくるかもしれない」と話す。刻々と変わる米中摩擦の情勢やそれで振
れる金融市場の動向をにらみながら次の一手を探ることになる。 INCJ、コマツ、三井住友銀などが新会社設立 建設業者向け決済サービス提供
2019.8.30 17:37
INCJ(旧産業革新機構)とコマツ、三井住友銀行などは30日、建設業者向けに資材の購入費の立て替えといった決済サービス
を提供する新会社を共同で設立したと発表した。業者の業務効率化を支援する狙い。来年度以降の収益化を目指し、将来的にはリ
ース事業なども展開する予定。
建設業者は専用アプリで資材を購入できるようになり、受発注や経理などの事務業務を効率化させる。さらに過去の取引データな
どを分析して与信を行い、資材費の立て替えなどを行い、業者の資金繰りや財務体質の改善を図る。
一般的に建設業者が売り上げを受け取れるのは工事の完了後。先だって必要な資材費は負担だった。デジタル化が遅れている企
業も多く受発注などの事務業務も膨大だった。人手不足や就業者の高齢化もあり業務効率化は急務だった。
社名は「ランドデータバンク」で資本金は4億円。出資比率はINCJが70%、コマツが15%、三井住友銀行、三井住友ファイナンス
&リース、三井住友カードがいずれも5%。 急騰する銀行株 上昇続くか 市場関係者に聞く
2019/09/11 14:57 日経速報ニュース
銀行株の戻りが鮮明だ。米中貿易協議の進展期待などを背景に米国の長期金利が底入れの兆しをみせている。利ざや悪化懸念
が和らぎ、9月に入ってからは世界的に銀行株が買われている。一方で、来週17〜18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)も含め
、世界の中央銀行の政策金利の引き下げは今後も相次ぐ見通しで、長期金利の上昇の持続性には疑問が残る。銀行株の上昇は続
くのか。市場関係者に聞いた。
■高井晃・大和証券アナリスト
「中長期的には高配当利回り株として上昇」
足元の銀行株の上昇は米長期金利が上昇したことに加え、円安進行で日銀のマイナス金利深掘り懸念が後退したことが大きい。
銀行株は今年に入り米中貿易摩擦の激化を背景とした米長期金利の低下に連動する形で大きく売られていたが、米金利の反転を
きっかけにこれまでの売りの持ち高を買い戻す動きが起きた。
メガバンクは業績懸念が地銀に比べ小さいことも追い風だ。海外比率の高いメガバンクは米連邦準備理事会(FRB)の利下げで
米ドルの調達コストが低下するメリットを享受できる。メガバンク株は今回の上昇が一服しても高い配当利回りは投資妙味を誘う。
中長期的には高配当利回り株としての側面が強くなり、株価はゆっくりと上昇していくだろう。
■佐藤雅彦・SMBC日興証券アナリスト
「戻しは短期的、銀行株の低迷続く」
銀行株の上昇は長く続かないだろう。足元の銀行株高は米長期金利の上昇が要因だが、FRBは今後も利下げを継続するとの見
方は強い。その状況下で投資家が米国債の売却を続ける可能性は低い。
今年に入り銀行株の下落が続いたのは米中貿易摩擦の激化による米長期金利低下に連動したもので、6月以降は円高進行に
よる日銀のマイナス金利深掘りが意識されたことも加わっている。再び円高が進めば日銀のマイナス金利深掘りへの思惑が高まり
、銀行株の上値を抑える。メガバンク株の利回りは高いが、下支え要因となるのであれば年初からの下げがここまで大きくなること
はなかったはずだ。米中貿易摩擦が短期間で解決するとも思えず世界的な低金利は続くため、中長期でも銀行株の低迷は続くだろう。
■市川雅浩・三井住友DSアセットマネジメント
「FRBの利下げでバリュー株買いは一服」
銀行株を始め割安(バリュー)株上昇の要因となっている米長期金利の上昇は続かず、結果的に巻き戻しも短期で終わる可能性
が高い。米長期金利が1.5%近辺から上昇し始めたのは、FRBの大幅な利下げを市場が織り込み過ぎ、短期筋を中心にいったん
利益確定売りが進んだためだ。米中貿易交渉のニュースで一喜一憂するが、この問題が短期間で解決するとは恐らく誰も思ってい
ないはずだ。
長い目で見れば債券など安全資産への資金流入は続く。FRBの利下げも続くため、米10年債が2.0%近辺まで上昇すれば今後
は割安感から押し目買いが入り再び低下する可能性は高い。17〜18日のFOMCで利下げが実施されれば、そうした先行きに対
する意識が再度強まりバリュー株買いの動きは一服するだろう。 割安株の買い戻し鮮明 悲観論後退、成長株からシフト
2019/09/11 20:30 日経速報ニュース
東京株式市場で割安株を買い戻す動きが鮮明となっている。米中貿易摩擦などを背景に、外部環境に業績が左右されにくい
安定成長株などを好む動きが続いてきたが、足元では流れが逆転。米中対立を巡る過度な警戒感が和らぐとともに、PER(株
価収益率)など投資尺度でみて割安感のある金融株や素材関連の上昇が目立っている。
11日は三菱UFJフィナンシャル・グループが約5カ月ぶりの高値を付け、野村ホールディングスは年初来高値を更新した。神戸
製鋼所や総合商社など素材・資源株も軒並み上昇した。幅広い業種で、収益力や保有資産からみて相対的に割安な水準にあ
る銘柄に資金が向かった格好だ。8月までPBR(株価純資産倍率)1倍割れの場面もあったトヨタ自動車は年初来高値を更新し
た。
対照的にPBRやPERが高めの銘柄群は株価がさえない。第一三共は前週末対比で5%安、オリエンタルランドは同3%安
だった。これまで世界景気の先行きとは関係なく安定成長できる事業モデルを強みにマネーの逃避先となっていたが、米中閣
僚級協議の再開など好材料が出たことで投資家心理が好転。マネーが割安株へシフトした。
PBRの低い銘柄で構成する、東証株価指数(TOPIX)の「バリュー指数」は8月下旬の年初来安値から9%上昇。米国市場
で割安株の買い戻しが鮮明になり、東京市場にその流れが波及した側面もあった。
成長株を買い持ちし、割安株を売り持ちしていたヘッジファンドの持ち高解消という需給要因が割安株上昇を主導しているよう
だ。「日本株そのものの割安さに着目した長期投資家の資金も流入している」(マッコーリーキャピタル証券の増沢丈彦氏)との
指摘もあり、物色の流れが変わる可能性もある。 再送-日銀決定会合こうみる:新たな文言、次回の予告ではない=みずほ証 丹治氏
https://jp.reuters.com/article/idJPL3N26A119?il=0
[東京 19日 ロイター] -
<みずほ証券 チーフ債券ストラテジスト 丹治 倫敦氏>
日銀は公表文に新しい文言を入れてきた。「海外経済の減速の動きが続き、その下振れリスクが高まりつつあるとみられるもとで、
日本銀行は物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれるおそれについて、より注意が必要な情勢になりつつあると判断して
いる」としたうえで、「次回の金融政策決定会合において、経済・物価動向を改めて点検していく」とした。
これは市場の期待感をつなぎとめるためのもので、次回の会合で具体的に追加緩和策が検討されることを予告するものではない
だろう。急激な円高が進まない限りは、次回も現状維持になると予想している。
後場、円債が買われているのは、市場の一部に期待があった超長期ゾーンのスティープ化促進策が見送られたことが一因ではな
いか。具体的な政策予想があったわけではないようだが、金利上昇懸念が剥落するなかで、買いが強まっている。
ただ、9月以降の金利上昇は、米中対立緩和期待など海外の要因がドライバーだった。海外情勢に大きな変化がない限り、金利低
下トレンドになるとはみていない。 日銀、緩和カード温存、「経済・物価来月に再点検」、円高リスクを警戒。
2019/09/20 日本経済新聞 朝刊
日銀は19日の金融政策決定会合で現行の金融緩和策の維持を決めた。米連邦準備理事会(FRB)をはじめ世界の中央銀行が
金融緩和に動くなか、今後の円高リスクなどをふまえ、貴重な緩和カードを温存した格好だ。世界経済の下振れには警戒を強めてお
り、10月に景気や物価動向を再点検する方針も表明した。(会見要旨5面に)
日銀は決定会合後の声明文で、海外経済について「減速の動きが続いている」として判断を引き下げた。米中の追加関税の引き
上げが進み、中東情勢の緊迫化で原油価格が一時急騰するなど景気の下押し要因も増えたためだ。
経済協力開発機構(OECD)が19日発表した2019年の世界の実質経済成長率の見通しは2・9%で、前回5月から0・3ポイント
下方修正した。
日銀が今回動かなかったのは、国内の景気や物価にはまだ波及していないと判断したためだ。黒田東彦総裁は19日の記者会見
で「個人消費は比較的底堅く推移し、設備投資もしっかりした計画になっている」と述べた。
18日にはFRBが2会合連続の利下げを決め、先週には欧州中央銀行(ECB)も利下げや量的緩和の再開に動いた。米欧との内
外金利差の縮小から円高が進めば輸出企業の収益悪化や株安を招く恐れがあったが、足元の円相場は1ドル=108円前後で推移。
一時104円台を付けた8月下旬より円安・ドル高の水準にあり、日銀が現状維持を決めるのを結果的に後押しした。
日銀は主要中銀の中でいち早く大規模な金融緩和に取り組んできたとはいえ、直近の動きだけをみれば、金融政策を維持する少
数派だ。超低金利が地方銀行などの収益圧迫や年金基金の運用難を招くといった副作用も顕在化しつつあり、日銀としては可能なら
緩和カードは温存しておきたいというのが本音だ。
一方で市場参加者から無策とみられれば円高圧力が強まりかねない。このため決定会合後の声明文を通じて次回の10月末の決
定会合で「経済・物価動向を改めて点検していく」と打ち出した。
10月会合はもともと四半期ごとの「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表するタイミングだが、状況次第で追加緩和に動く
可能性があると市場に印象づける狙いが透ける。会見で追加緩和への姿勢を問われた黒田氏は「前回の会合よりも前向きになって
いるかと言われればその通りだ」と応じた。
ただ日銀は7月の会合後の声明文でも物価上昇のモメンタム(勢い)が損なわれそうになれば「ちゅうちょなく追加的な金融緩和措
置を講じる」との一文を加えた経緯がある。米欧が利下げという現実の政策変更に踏み出すなか、「口先緩和」でどこまで市場の期待
をつなぎ留められるかは微妙だ。
黒田氏は追加金融緩和に関して「政策のベネフィット(効果)とコスト(副作用)をしっかり比較考量して適切な措置を考える」と述べ、
副作用にも目配りする考えを重ねて示した。 黒田日銀総裁会見の要旨、消費増税の影響大きくない、追加緩和さらに前向きに。
2019/09/20 日本経済新聞 朝刊
問 欧米の中央銀行が金融緩和に踏み切るなか、現状維持の判断をした理由は。
答 どの国の中央銀行も、自国の経済・物価の安定を実現する目的で、それぞれの置かれた状況に応じて金融政策を運営してい
る。主要国の金融政策は国際金融市場や世界経済におよぼす影響があり得るが、その大きさは経済情勢や市場環境によって異な
る。日銀としてはこうした状況を注意深く確認しつつ、毎回の会合で適切な金融政策運営に努めている。
問 あえて次回会合での点検を明示した。政策の枠組みを変更する可能性があるのか。
答 通常、年4回の展望リポートでは、経済指標などから今後の経済・物価の動向を予測する。それを踏まえて金融政策を行うとい
う点では特に違うことはない。追加緩和を仮に議論する場合にも、現在の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の全体の枠組み
を変更する必要があるとは思っていない。
問 新たな条項を入れたことで、前回会合と比べて金融緩和にさらに前向きになったのか。
答 追加緩和について前回より前向きなのかと言われれば、その通りだ。海外経済の下振れリスクは高まりつつあるとみており、
次回の会合で十分に経済・物価情勢を点検していく。
問 日銀には緩和をさらに進める余地が少ないとの声があるが。
答 米連邦準備理事会(FRB)の政策金利は2%程度で、単純に比較すると、日銀の政策金利はマイナス0・1%なので緩和余地
が少ないかもしれない。他方で欧州中央銀行(ECB)は政策金利をマイナス0・5%に引き下げており、ECBと比べればまだ緩和余
地がある。いずれにせよ、以前から述べている4つの選択肢とその組み合わせにより金融緩和の余地は十分にある。
問 マイナス金利の深掘りは追加緩和の有力な選択肢か。
答 短期金利の引き下げ、長期金利の操作目標引き下げ、資産買い入れ拡大、マネタリーベースの拡大ペース加速という4つの選
択肢やその組み合わせがあり得るというのは前から言っている。マイナス金利引き下げも入っている。その時の決定会合で議論して
効果と副作用を十分勘案して適切な緩和措置を行う。現時点で何かを優先的に選択することはない。
問 銀行が口座維持手数料を導入するなどして、預金金利を実質的にマイナスにすることについての考えは。
答 欧州はユーロ圏に限らず、中央銀行が政策金利を深掘りしているが、個人の預金金利がマイナスになっているという話はあまり
聞かないので日本でそうなる可能性はないと思う。口座維持手数料は各金融機関が経営判断で決めることで、私からコメントするこ
とは差し控える。
問 現在の国債のイールドカーブ(利回り曲線)の水準は適切か。
答 超長期国債の金利が下がりすぎると年金や生命保険の運用利回りが下がるのではないかという消費者心理への影響があり得
る。適切なイールドカーブになるよう国債買い入れについて必要な調整を行っていく。
問 長期金利が低下したときの対応は。
答 海外の金利低下とともに国内金利が下がるのは市場機能が発揮されている面もあるので、それをすべて止めなければならない
というのも変だ。ただ10年物国債の金利の操作目標としてゼロ%程度と申し上げているので、それを外れる状態をいつまでも容認す
るということはない。国債買い入れのプログラムを市場の状況に応じて修正しており、今後も必要に応じてやっていく。
問 消費増税を踏まえ、財政政策の重要性は。
答 財政政策は政府の所管だ。一般論として、中銀が金融緩和を推進する状況で財政支出を拡大する場合には、相乗効果で景気
刺激効果がより強力になる。消費増税については様々な措置が講じられており、現時点で大きく経済が影響を受けるとはみていない。
消費者心理はいろいろなところで影響されるので十分注視していきたい。 問 米国景気などの海外経済リスクは。
答 米国経済は比較的堅調だ。特に消費がしっかりしていて賃金も上がっている。すぐに景気後退に陥る可能性はあまりないと思う。
欧州経済はやや減速の状況が続き、ECBが措置をとった。中国経済も減速しているが、財政金融政策などの措置をとっている。それ
ぞれ状況に応じて中銀が政策をとっている。
問 米国での住宅価格上昇などバブル経済のリスクをどう見るか。
答 今の時点で大きなバブルがあるとか、金融規制の網が十分でなく大変なことになる懸念があると言っている国際機関や中銀はな
い。ただリーマン・ショックの反省もあるので注意深く見ている。今の時点で、特に先進国の金融システムで何かリスクがたまっていると
は考えていない。
問 米国の短期金利上昇の背景をどう見るか。財政問題が反映されているとの見方もある。
答 季節的な要因も重なっており、財政や金融に大きな構造的な問題があるとは思わない。FRBは迅速に流動性を供給して対応し
た。国際金融市場の動向には注意していきたい。 マイナス金利深掘りの見送りを「歓迎」、全銀協会長。
2019/09/20 日本経済新聞 朝刊
全国銀行協会の高島誠会長(三井住友銀行頭取)は19日の記者会見で、日銀が追加の金融緩和策としてマイナス金利の深掘り
を見送ったことを「歓迎したい」と述べた。そのうえで「(金融機関に与える)副作用の緩和策がすべて実行されても悪影響を完全にオ
フセット(相殺)することにはならないだろう」と今後の深掘りをけん制した。
日銀は2016年2月に始めたマイナス金利政策で、銀行などが日銀に開く当座預金の一部から金利を徴収している。現在の金利
幅はマイナス0・1%で、決定会合の前には緩和の強化策の一つとしてマイナスの金利幅を広げるのではないかとの観測もあった。
高島氏は「銀行の健全性が損なわれれば金融仲介機能が低下するなどのデメリットがある」と話した。
マイナス幅の拡大で貸出金利が一段と下がれば銀行の収益を圧迫し、預金者に負担を求める口座維持手数料の導入論にも波及
する可能性がある。欧州では一定の残高を持つ預金者から手数料を徴収する動きが広がっている。高島氏は「口座の維持や管理に
コストが発生しているのは事実だが、マイナス金利と別に論じられるべきものだ」と指摘した。 住宅ローン、ネットに軸足、大手行、長期金利低下でシフト、投資商品にも余波。
2019/09/26 日本経済新聞 朝刊
長期金利がマイナス圏で推移するなか、金融商品に影響が広がってきた。住宅ローンは採算が悪化し、大手行はコストのかからない
インターネット販売へのシフトを促している。投資商品でも債券中心の「安定型」は運用が厳しくなった。効率化や、よりリスクの高い商品
への移行など、金融機関は工夫を迫られている。
日本の10年物国債利回りは8月に急低下し、一時は過去最低のマイナス0・3%に近づいた。米欧の中央銀行が金融緩和を再開した
ことで、世界的に金利低下圧力が強まっている。9月前半にマイナス幅が縮小する場面もあったが、水面下での推移が定着している。
大手行は毎月末に翌月の住宅ローンの適用金利を公表しており、各行は9月の適用金利を引き下げるとみられていた。しかし、指標と
なる10年固定型を引き下げたのは大手5行のうち、りそな銀行だけだった。
市場の金利が低下しても、住宅ローン金利が下がりにくくなっている。この現象はデータをみれば明らかだ。5行平均の最優遇金利は
9月時点で0・729%。7月以降、ほぼ横ばいだ。その結果、長期金利との乖離(かいり)幅は8月末に1・02ポイントと2011年5月(1・
06ポイント)以来の大きさとなった。
住宅ローンの審査などにかかるコストを考慮すれば、金利収益の低下は限界に近づいている。長期金利と住宅ローン金利の格差には
大手行の苦しい台所事情が透ける。3メガ銀行の居住用住宅ローンの残高は19年3月末で前年比3%減の31・6兆円。14年度以降
、毎年数%ずつ減っている。
だが銀行にとって住宅ローンは、個人の顧客と生涯の資産形成に関われる重要な商品だ。個人との長い取引の手掛かりを得るため
、「ある程度の採算は度外視して続けなければならない」(大手行幹部)。そこで各行が力を入れるのが販売の効率化だ。
三菱UFJ銀行は17年4月にインターネット経由で新規契約を受け付ける電子化を開始した。19年9月には不動産会社経由での販売
でも顧客自身がスマートフォンで事前審査の申し込みができるサービスを始めた。「来店者の減少により、ネットと不動産会社経由での
販売を重視している」(担当者)という。三井住友銀行やみずほ銀行も住宅ローンの審査や契約を電子手続きでできるようにしている。
一方、インターネット系銀行は金利の低さと簡便な手続きを売りに残高を伸ばしている。住信SBIネット銀行は19年3月期の新規の貸
出額が約8200億円と、前の期比18%増加。低金利の継続を見据えて変動型を重視しており、同行では9月現在で35年物の最優遇
金利で0・457%を提示した。大手行とは逆に対面での営業にも力を入れており、専属の銀行代理店「ローンプラザ」を首都圏を中心に
14店舗展開し、ネットでの契約に抵抗感のある顧客の開拓に動いている。
投資商品でも変化が起きている。SMBC日興証券は運用を一任するファンドラップで、最もリスクの低いタイプの商品「RU1」に初めて
株式を組み入れる。これまでは国内外債券40%、オルタナティブ(代替)資産60%で運用してきた。
今月からリバランス(資産の再配分)を開始し、国内外株式の組み入れ比率は20%程度を予定している。日本や欧州でのマイナス金
利に加え、米国も金利低下傾向が続いていることを受け、相対的に値動きの大きい株式にも投資してリスク分散や収益源の多角化を図る。
日銀の長期金利の誘導目標は「0%程度」。黒田東彦総裁は日本経済新聞とのインタビューに「(長期金利の低下が)行きすぎれば当
然チェックする」と話したが、長期金利を無理に引き上げることに対しては慎重な姿勢を示している。マイナス圏が続けば、商品の中身や
サービスのあり方は見直しを迫られそうだ。 三井住友FG、電子契約推進へ新会社、弁護士ドットコムと。
2019/09/26 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は企業の契約手続きを電子化する取り組みを進める。10月に弁護士ドットコムと共同出資会
社をつくり、ネット上で契約書の締結や保管ができるクラウドサービスを始めると25日に発表した。書類のやり取りで生じる印紙代や
郵送費の削減と業務の効率化を後押しする。
担当者がネット上に契約書をアップロードし、クリックすれば契約が成立するしくみ。企業間の売買や業務委託に関する契約書だけ
でなく、同意書や発注書での活用も見込んでいる。新会社への出資比率は三井住友FGが51%、弁護士ドットコムが49%で、10月
中に業務を始める予定だ。
契約書の締結や保管に限らず、人工知能(AI)の活用で文書を校正したり、追加すべき条項を提案したりする機能も今後加える。三
井住友FGは契約に伴う資金決済の拡大に商機を見いだす。 マイナス金利、CPでも続々、日銀政策、調達変える。
2019/09/27 日本経済新聞 朝刊
企業がお金を3カ月など短い期間で借りるために発行するコマーシャルペーパー(CP)でマイナス金利が相次いでいる。キリン
ホールディングスや王子ホールディングスなどがマイナス0・01〜0・0001%で資金を調達した。市場関係者によると、CPの発
行残高に占めるマイナス金利の割合は3〜4割に達する。銀行融資からCPへの調達シフトも一部起きているもようで、日銀のマ
イナス金利政策が企業の資金調達に変化をもたらしつつある。
マイナス金利でCPを発行したのはキリンHDや王子HDのほか、DICや三越伊勢丹ホールディングス、横浜ゴムなど。いずれも
発行金利はマイナス0・01〜0・0001%だった。企業はお金を借りたうえで、さらに利息も受け取ることになる。証券保管振替機
構によると、CPの発行残高は8月末で約21兆3000億円。金融機関のCP担当ディーラーによると「このうち3〜4割がマイナス
金利」という。
CPは社債と似た商品性を持つ。満期までの期間が1年未満ならCP、1年以上は社債となる。社債では、マイナス金利での発
行実績はまだないが、CP市場ではマイナス金利が広がっている。
日銀は16年にマイナス金利政策を導入し、銀行が日銀に預けるお金(当座預金)の一部にマイナス0・1%の金利を適用してい
る。銀行などの金融機関がマイナス金利でもCPを購入せざるを得ないのは、日銀に0・1%の金利を支払うよりはまだ損失を抑え
られると判断しているためだ。 M&A絡む節税の抜け穴封じへ、ソフトバンクGが発端、財務省「意図的な赤字」問題視。
2019/10/20 日本経済新聞 朝刊
財務省は、ソフトバンクグループ(SBG)が用いたM&A(合併・買収)に絡んだ節税策を防止する方針を固めた。同一グループ内の
資本取引で実態に変化がないにもかかわらず巨額の赤字を意図的につくり出して、ほかの部門の黒字と相殺して法人税を減らす手
法を認めない。予期せぬ大規模な節税につながった制度の抜け穴をふさぐ。
財務省が問題視しているのは、子会社などが中核事業を放出して企業価値が落ちた状態にしてから売却し、簿価と売却額の差だ
け赤字を発生させる仕組みだ。このため、子会社の中核事業を手放す際には簿価も目減りさせるルールを軸に検討する。子会社を売
却しても簿価と売却額の間に差がなくなり、意図的に赤字をつくれなくなる。
与党の税制調査会での議論も踏まえて、2020年度の税制改正大綱に関連法令の見直し方針を盛り込みたい考えだ。
SBGは買収したアーム・ホールディングス(HD)と、その中核事業を担う子会社の「アーム・リミテッド」に関する資本取引で大規模
な節税を実施した。開示資料などによると、SBGは18年3月にリミテッド株の4分の3をアームHDから配当という形で吸い上げた。
これにより、アームHDの実質的な価値は大きく目減りした。
SBGは買収時より価値が大幅に落ちたアームHD株の8割弱を同じく傘下にあるソフトバンク・ビジョン・ファンドなどに売却して赤字
を発生させた。この赤字をほかの事業で生じた黒字と相殺し、SBGの法人税負担はゼロになった。中核事業のアーム・リミテッドは親
会社が変わったが、SBGの傘下にあることに変わりない。
一つ一つの取引に違法性はなく、制度の抜け穴となっていた。国税庁からの相談を受け、財務省は今夏ごろから対策の検討を始め
ていた。一部有識者の間では、包括的に税逃れを制限する規定をつくるべきだという意見もあった。 日銀決定会合、先行き指針修正検討、利下げ可能性明示へ。
2019/10/31 日本経済新聞 朝刊
日銀は31日の金融政策決定会合で、政策金利の先行き指針(フォワードガイダンス)を修正する検討に入った。現在は「少なく
とも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利」を続けるとしているが、将来の利下げの可能性を盛り込む方向で調整する。
日銀は今会合で追加緩和は見送る公算が大きいものの、指針の修正で緩和に前向きな姿勢を改めて示す。
指針は中央銀行が将来にわたり、緩和的な金融環境が続くことを約束するための手段で欧州中央銀行(ECB)も導入している。
日銀は18年7月、現在の超低金利を「当分の間」、続けるとする指針を導入。19年4月に「当分の間、少なくとも20年春ごろまで」
と時期を明確にする修正を施した。
今回は、約束する金利水準について、利下げの可能性を明示する方向で調整。日銀は2%の物価安定目標に向けたモメンタム(
勢い)が損なわれるおそれが高まった場合には、現在マイナス0・1%の短期政策金利の引き下げ(利下げ)を含めて「ちゅうちょなく
追加緩和する」と表明している。
このため指針でも、利下げを含めて緩和に前向きであることを明示するのが妥当との判断に傾いている。現時点で日銀が早期に
利上げに動くとみている市場参加者は皆無のため、超低金利を約束する期間を単純に延ばすことには懐疑的な声が多い。今回の
会合で指針修正を議論し、最終判断する。 株高に乗れない国内勢―「高所恐怖症」急落の記憶残る(スクランブル)
2019/11/06 日本経済新聞 朝刊
5日の東京株式市場では米景気や米中の貿易摩擦についての明るい話題を受けて、海外短期筋の買いが入った。だが一方で
国内の機関投資家は株高の流れに乗れていない。長期的な株高に対する自信の無さと、2018年に経験した株式相場の急落の
記憶から買いの手が鈍い。「持たざるリスク」とのはざまで足踏みが目立っている。
「やはりという印象」。ある国内運用会社の担当者がこう評価したのは、この日に三菱UFJフィナンシャル・グループが財務省に提
出した、企業14社の保有比率引き下げを記した大量保有報告書だ。「足元の株価を踏まえて、利益確定売りを出したのだろう」。
三菱UFJは、日経平均株価が上昇の勢いを強めた9月中旬から、保有株の売却を積極的に進めてきた。
□ □
このところの上昇相場では、海外投資家の買いばかりが目立っている。日本取引所グループの投資部門別売買動向(現物と先物
の合計)を見ると、9月から2兆6000億円を買い越した。対照的に金融機関と投資信託を足した国内機関投資家は計1兆5000億
円の売り越し。国内勢は直近の相場を格好の利益確定の場とみている。
売らざるをえない事情もある。資産に占める日本株の組み入れ比率をあらかじめ定めている投資家も多い。「年金基金などは株高
によって目安を超え調整のため株を売却した」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏)との見方がある。
さらにまとまった買いに動けない大きな理由は「高所恐怖症」だ。ファイブスター投信投資顧問の大木将充氏は「日本株の長期的
な上昇に自信が持てないことが最大の要因だ」と指摘する。
□ □
日本経済新聞のまとめでは、国内製造業の20年3月期純利益予想の引き下げ幅は1日時点で合計1兆円に迫る。市場では「これ
以上悪くならない」との期待も強い一方、企業の長期的な成長を描けず「短期で売却しようという判断が働く」(大木氏)という。
急落の記憶も新しい。18年2月と10月には、高値圏にあった日経平均が約1000円下げた日がそれぞれあった。大木氏は「昨年
の記憶もあり、多くの投資家は恐る恐るこの10月を迎えた」と話す。米連邦準備理事会(FRB)が10月に利下げを決めて金融相場
の色彩が強まっている。「当面は株高は続くだろうが、誰かが『高値つかみ』というババを引く相場になる」(農林中金全共連アセット
マネジメントの山本健豪氏)と警戒心が先に立つ。
もっとも慎重派は悪材料を凝視しがちだ。山本氏も「当面の悪材料はない」と話す。18年から続く米中の貿易摩擦については、トラ
ンプ米政権が対中制裁関税を一部撤回すると報じられた。英調査会社IHSマークイットが算出する世界の製造業の購買担当者景気
指数(PMI)は3カ月連続で上昇している。
慎重な国内投資家の心理が好転するのは「株高が定着した後ではないか」(国内証券)と突き放す声もある。
国内勢が保有比率を下げた主な銘柄
提出日 銘柄 保有者 保有比率(%)
11月5日 アインHD 三菱UFJFG 7.24→7.21
Jフロント 三菱UFJFG 7.47→6.36
資生堂 三菱UFJFG 8.76→7.25
クラレ 三菱UFJFG 7.66→6.03
10月23日 東建物 SMBC日興証券 5.38→4.02
JUKI 三井住友DSアセット 6.84→5.93
シノケンG 東京海上日動火災保険 6.26→4.99
(出所)大量保有報告書 日本株「真空地帯」が招く一段高 日米で売り手不在
2019/11/06 21:54 日経速報ニュース
日本株の「年末高」の条件が整いつつある。カギは良好な需給環境だ。6日の日経平均株価は連日で年初来高値を更新し、昨年
10月の高値(2万4270円)まで1000円を切った。過熱感を示す指標も一部にあるが、11月は日米で金融政策が動かず、短期筋が売
りを仕掛けるタイミングは乏しい。
「熱狂感なき株高」。国内証券首脳の今回の高値更新に対する感想だ。日経平均が2万円を割りそうになったのはわずか2カ月半
ほど前。10月に米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀の金融政策決定会合を無風で通過したとはいえ、日米の株価指数が軽々
と節目を超えていくのはさすがに強すぎる印象もある。
一方で「日経平均が年内に2万4000円台を回復する可能性が出てきた」(みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリスト)との声
も増えてきた。理由の一つが2万3000円以上の価格帯に「戻り待ちの売り手」が少ないことだ。
今年に入ってからの日経平均の価格帯別売買代金(日時の終値ベース)を見ると「2万2000円以上、2万3000円未満」には約65兆
円の売買があった。ここは9月下旬以降の上昇でクリアした。2万3000円以上は11月に入っての約5.5兆円しかなく、高値づかみした
投資家がほぼいない「真空地帯」だ。
昨年10月の高値近辺ではこの価格帯に48兆円の売買代金があった。だが、昨年末の急落で損切りとなった部分も多いとみられる。
今年10月以降に上昇した主な銘柄を見ると、半導体から製薬、陸運など幅広い業種が全体を押し上げている。
上昇ペースが速かった分、過熱感も強まっている。6日時点での25日移動平均線との乖離(かいり)率や日経平均の騰落レシオ(2
5日移動平均)でみると目先は調整が入りやすい。
みずほ証券の三浦氏は高値を追う条件に東証1部の売買代金が2兆5000億円程度を維持することをあげる。日経平均が大きく上昇
した5日は約2カ月ぶりに3兆円を超えた。「先物買いで様子見をしていた海外投資家が現物を買い始めた可能性がある」。6日もほぼ
条件をクリアした。
日本株が連動しやすい米国株市場でも需給の軽さが目立ち始めた。米証券業界の自主規制機関である金融取引業規制機構(FI
NRA)によれば、投資家が金融機関から株式購入のために借り入れた資金(証拠金債務)の残高は9月末で5559億ドル(約61兆
円)だ。
米株の時価総額(ニューヨーク証券取引所とナスダックの合計)に対する比率は1.6%と、08年のリーマン・ショック以降の最低を記
録した。日本の信用取引と同じ仕組みで、信用買いが「枯渇」しているということは、上昇局面で利益確定による売りが出にくくなって
いることを示す。
11月は日銀や米連邦準備理事会(FRB)による金融政策の変更がなく、主要イベントは米中貿易交渉に絞られる。交渉の行方は
予断を許さないが、米中摩擦が緩和に向かうなら、年末と言わず11月中にも高値を試すかもしれない。 みずほ系・丸紅、米航空リース買収、1900億円。
2019/11/07 日本経済新聞 朝刊
みずほフィナンシャルグループ(FG)系のみずほリース(旧興銀リース)は6日、丸紅と共同で、米大手航空機リース会社エアキャ
ッスルを2020年6月までに買収すると発表した。投資額は2社で約1900億円とみられる。丸紅は既に同社株を3割弱保有してお
り、既存株主から残りの株を買い取る。成長が見込まれる航空機リースを共同で強化する。
エアキャッスルは04年設立で、約280機の航空機を保有する。丸紅が28・8%の株を持ち、みずほリースも16年にエアキャッス
ルと合弁の航空機リース会社を設立している。みずほリース単独の投資額は約690億円で、関係会社を通じて利益を取り込む。
みずほリースとエアキャッスルの合弁は機内の通路が1本の「ナローボディー」を中心に扱うが、エアキャッスル本体は通路が2本
ある「ワイドボディー」も扱っている。 為替と日本経済(中)「通貨安=株高」は例外――購買力低下、長期的な重荷(チャートは語る)
2019/11/17 日本経済新聞 朝刊
20カ国・地域(G20)で為替相場と株価の関係を分析すると、日本では当然と思われる「通貨安=株高」は世界的に見れば
少数だ。円安で企業の円換算利益が膨らむことを投資家は好感するが、一方で物価や各国との貿易から見た「実質実効レー
ト」(3面きょうのことば)は下がって購買力が落ち、企業は海外での投資が難しくなる。円安頼みで持続的な成長は望めない。
2000年以降、36業種別の日経平均株価と為替の連動性を見ると、自動車や電機など主力銘柄が多い10業種は円安の局
面で株高という関係が明確に出た。円高時に株高という結果が出る業種はない。日本株全体では「円安=株高」といえる。
G20では、この関係は日本と米国だけにみられる。米は1990年代後半に当時のルービン財務長官が提唱したとされる「強い
ドル」政策のもと、海外資金を集めて株高につなげた。一方で円と同じように、投資家がリスクをとって株を買う「リスクオン」の時
にドル安と株高が併存する傾向もあるようだ。
欧州各国は為替と株価に明確な関係はない。通貨安が自国からの資本流出を招く新興国は基本的に「通貨高=株高」だ。
日本株を半世紀以上にわたり分析してきた岡三オンライン証券の伊藤嘉洋氏は「日本も1980年代半ばまでは円高で株高だ
った」と振り返る。円高は国の信用力が高いことを意味し、データでも80年代は円高期に株高になっていた。
ところが90年代には明確な関係がなくなる。2000年代は円安で株高の傾向となり、10年代には関係が強くなる。大和証券
の木野内栄治氏は「デフレで円高による輸入物価の下落が意識されにくくなり、株価との関係が薄くなった」と話す。
株高の裏側で、円安は購買力の低下を招く。
貿易の状況を表す指標に「交易利得」がある。金額が大きいほど有利に貿易ができていることを示すものだ。11年をゼロとする
今の統計で見ると、18年度の利得は2兆7千億円。00年度の7分の1にすぎない。この間に海外のモノやサービスを買う力を映
す円の実質実効レートが4割下がり、18年度は00年度に比べると不利な貿易だった。
円安時は海外への投資も割高になる。経済産業省のデータを見ると、国内企業の海外での設備投資は円安になって3年ほどで
減る傾向にある。M&A(合併・買収)に占める海外比率も同じだ。
貿易による所得が縮み、企業が投資をしなければ成長は鈍る。物価や為替の違いを除いた購買力平価(PPP)ベースで見た日
本の1人あたり名目国内総生産(GDP)は18年までの20年間で7割伸びたが、米国は2倍弱、中国は7倍超だ。日本は成長が
弱く、豊かさを示すPPPベースでも米中より伸びが小さい。
日本は円高のメリットが感じにくい国との指摘もある。国内で供給される財とサービスに占める輸入品の比率が17%(17年)と、
経済協力開発機構(OECD)平均の28%に比べて低いためだ。「円高は企業に一時的な痛みがあるが、家計への恩恵は少ない。
だから円高恐怖症をぬぐえない」(第一生命経済研究所の熊野英生氏)
円安がもたらす短期的な株高に目を奪われていると、購買力の低下を通じて日本経済の地盤沈下を招きかねない。 地銀、不良債権処理費2倍、中小の経営悪化で、4〜9月、7割が減益・赤字。
2019/11/20 日本経済新聞 朝刊
地方銀行の苦境が続いている。上場する78の地銀・グループの2019年4〜9月期連結決算について、18年に巨額の赤字
だったスルガ銀行を除いてみると、不良債権の処理費用が前年同期の2倍以上になった。リーマン・ショック後に支援を続けた
中小企業の経営難が響いた。7割にあたる56行が最終減益か赤字で、事業の改革を進める必要性が高まっている。
投資用不動産向け融資で不祥事があったスルガ銀は18年4〜9月期に巨額の赤字に陥った。78の地銀・グループは同行を
除いた数字で19年4〜9月期を見ると、経営が厳しさを増していることが分かる。
19年4〜9月期の連結最終損益の合計額は前年同期比16%増の5515億円。スルガ銀を除くと5355億円で7%の減益だ。
「全体として収益的に厳しい環境を反映している」。常陽銀行の笹島律夫頭取(全国地方銀行協会会長)は今回の決算について
こう語る。
収益を押し下げる要因となったのが「与信費用」の増加だ。融資先の業績悪化による将来の貸し倒れに備えて積む引当金や、
不良債権として損失処理する費用などを含む。スルガ銀を除いたベースでみると、4〜9月期の与信費用は計1077億円で2・2
倍に膨らんだ。
背景にはリーマン・ショック後にできた中小企業金融円滑化法に基づき、返済猶予などで支援した企業の経営難が顕在化してき
たことがある。
西日本フィナンシャルホールディングスは前年同期は融資先の業績回復などで引当金からの「戻り益」があったが、4〜9月期は
一転して32億円の与信費用を計上した。谷川浩道社長は「債務者に対して利払い猶予などの対応をしてきたが、思ったように進
捗せず息切れしてきた」と語る。
帝国データバンクによると、同法にもとづき返済猶予を受けた後、再建できずに倒産した企業の件数は18年度は480件で3年
連続で増加。19年4〜9月の累計でも255件と前年度を上回るペースで倒産が相次いでいる。担当者は「後継者などが確保でき
ずに事業継続を断念するケースが出ている」と指摘する。
本業で稼ぐ力は低迷したままだ。貸し出しで稼いだ資金利益は1兆7366億円で4%減った。日銀によると地銀の新規の長期貸
出金利は8月時点で1%を下回る。顧客の獲得競争は激しく、「貸出金利が下げ止まらない」(三重銀行の渡辺三憲頭取)。
債券や株式など有価証券の運用は持ち直し、4〜9月期の含み益は3月末より8%増えた。米金利の低下(債券価格は上昇)で
米国債の含み益が出たとみられる。
78行は今回の決算から、自ら保有する投資信託の解約益を除いた利益を開示した。約9割の地銀は解約益で本業の「コア業務
純益」を補完していた。低金利の市場環境は国内外で長引いており、今後の運用による収益は細る可能性がある。
島根銀行、みちのく銀行、東日本銀行の3行は最終赤字。島根銀は9月、異業種であるSBIホールディングスから出資を受ける
方針を発表。みちのく銀はライバルの青森銀行と包括業務提携に向けて検討を始めた。コンコルディア・フィナンシャルグループの
東日本銀には、グループ中核の横浜銀行が新頭取を派遣し経営立て直しをめざす。
20年3月期の連結純利益は前期比0・3%減の8575億円の見込み。期初の増益予想から一転して、4期連続の減益となる見
通しだ。 地銀、不良債権処理費2倍―地域商社やネット銀設立、収益多様化の動き相次ぐ。
2019/11/20 日本経済新聞 朝刊
地方銀行は新たな収益源の獲得に向けて動いている。地域商社やインターネット銀行の設立によって取引先の販路開拓を支
援したり、若者向けの新サービスを投入したりする。低金利は長引くとみられ、単純な貸し出しに頼らないビジネスモデルの構築
が急務だ。
地域商社は地域産品やサービスの販路を開拓することで取引先企業の成長につなげようとする事業だ。融資先の売上高が増
えれば設備投資など新たな資金需要が生まれ、地銀の収益向上につながると期待される。
北海道銀行は2015年、北海道総合商事を設立。地理的に近いロシアを念頭に、農業分野などで道内企業の進出を支援して
いる。山口フィナンシャルグループ(FG)や第四北越FGなども地域商社を通じて地元産品を県外などに売り込んでいる。
金融庁もこうした動きを後押しする。10月に監督指針を改正し、地域商社をつくりやすいように業務範囲を明示した。投資子会
社を通じた事業会社への出資規制も緩和している。
ふくおかFGは20年度中にも、地銀として初めてとなるスマートフォン専業銀行「みんなの銀行」を設立する。営業基盤の九州に
とらわれず、首都圏などで銀行になじみの薄い若者らを取り込む。
決済分野はIT(情報技術)企業が台頭している。島根銀行と福島銀行はデジタル分野で知見のあるSBIホールディングスとの資
本提携に動いた。地銀による収益源の多様化は、再編のきっかけにもなる。 マイナス金利の深堀り余地「十分ある」、緩和方向意識−日銀総裁
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-19/Q16U0KDWLU6I01?srnd=cojp-v2
国債買い入れがこれ以上できないことない、ETFも必要−国会答弁
追加緩和は副作用に配慮、金融システム不安定化リスク大きくない
日本銀行の黒田東彦総裁は19日の参院財政金融委員会で、現行マイナス0.1%の政策金利について深掘りの余地は十分にある
と改めて表明するとともに、市場残高の5割程度を保有する国債の買い入れ増も可能との認識を示した。
日本の経済・物価の先行きについて、海外経済を中心に引き続き下振れリスクに注意が必要とし、「日銀は緩和方向を意識した
政策運営が適当な状況にある」との考えを表明。日銀が重視する2%の物価安定目標に向けたモメンタム(勢い)は「維持されてい
る」としながらも、「目標実現に時間がかかっており、残念」と語った。
物価目標の実現に向けて「在任期間と関係なく最大限努力する」とし、物価上昇のモメンタムが損なわれる恐れが一段と高まる
場合には「政策金利の引き下げを含めて追加緩和を躊躇(ちゅうちょ)なく検討する」との意向を示した。同総裁の任期は2023年4月
まで。
緩和手段は長短金利目標の引き下げ、資産買い入れの拡充、マネタリーベースの増加ペースの加速のほか、その組み合わせ
など「さまざまな余地がある」とした上で、マイナス金利の深堀りも「余地は十分にある」と説明した。
市場残高の5割程度を保有する国債については、「まだ市場に十分あり、買い入れがこれ以上できないということはない」とし、
現時点で国債買い入れの限度も考えていないと述べた。指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れも「リスクプレミアムの過度
な拡大・変動を防ぐ役割があり、引き続き必要な措置」と指摘。日銀の保有は株式市場全体の5%程度に過ぎず、「市場機能に影
響を与えていることはない」との見解を示した。
もっとも総裁は、追加緩和措置を検討する際には、政策の効果と副作用を考慮して「最適な組み合わせによる政策をとる」との
考えも表明。低金利の長期化が金融機関収益の圧迫を通じて金融システムが不安定化するリスクがあるが、総裁はそうしたリス
クは「現時点では大きくない」と語った。
総裁は、10月の金融政策決定会合で決めた新たな政策金利のフォワードガイダンス(指針)について、「物価安定の目標に向
けたモメンタムが損なわれる恐れに注意が必要な間、政策金利について現在の水準を維持する、あるいは状況によっては現在の
水準よりも引き下げる方針を明確にした」と説明した。
総裁は同委員会で、半期に一度の「通貨および金融の調節に関する報告書」の概要説明と答弁を行った。 日銀、27営業日ぶりETF買い入れ 703億円
2019/11/20 18:35 日経速報ニュース
日銀は20日、株価指数連動型の上場投資信託(ETF)を27営業日ぶりに購入した。購入額は703億円と、前回10月9日から
1億円減った。株式相場が下落した日に買い入れの見送りが続いていたため、市場では「ステルステーパリング(見えざる緩和
縮小)」が始まった可能性が指摘されていた。今回の買い入れは投資家に一定の安心感を与えそうだ。
20日午前は東証株価指数(TOPIX)が前日比0.6%下落した。日銀はETF買いのルールを明示していない。だが、市場では
過去の実績からTOPIXが午前に0.5%以上下落したら、買いが入るとみなされている。0.2%台の下げで買いが入った日もある
が、13日に0.497%安となった際には買いを見送っていた。
日銀の年初からの買い入れ累計額は約4兆円で、年6兆円の買い入れ目標を大幅に下回る。東海東京調査センターの仙石
誠シニアエクイティマーケットアナリストは「下げ幅がある程度になれば、日銀が買いに動くことを確認できたのは安心感につな
がる」とみていた。 IMFが緩和長期化の副作用言及、日銀は長期金利目標の年限短期化を
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-25/Q1I75ADWLU6801?srnd=cojp-v2
金融政策は緩和スタンス維持を、物価目標レンジ化で政策に柔軟性
大手行の資本上積みや、規制の適用拡大なども求める
国際通貨基金(IMF)は25日に公表した日本経済に関する審査(対日4条協議)に関する声明で、イールドカーブのフラット化に
よる金融機関収益や年金・保険の資金運用への悪影響に言及し、低金利の長期化による金融システム面への副作用対策として
、長期金利目標の対象としている国債の年限短期化などを提言した。
声明では、日本経済の先行きについて「国内需要の緩やかな成長は外的環境の悪化によって損なわれつつあり、下振れリスク
が増大してきている」と指摘。潜在成長率を高め、物価安定を実現するには「日銀の緩和的金融政策スタンスが維持されるべきだ」
とする一方、「金融政策の持続可能性を高め、金融安定性リスク増大の緩和のために、金融政策と金融セクター政策のさらなる連
携が図られるべきだ」としている。
その上で、緩和長期化が金融機関の収益性に与える影響を抑制するため、イールドカーブコントロールでの利回り0%の目標値
の設定対象を「10年物国債から満期のより短い国債に変更し、国債のイールドカーブをスティープ化する」ことを提言した。
また、緩和的な金融環境の下で、金融面での脆弱(ぜいじゃく)性が高まってきていることを踏まえ、政府に対して、貸付損失が
生じた場合に備え、大手銀行にその吸収のための資本上積みを求める仕組みであるカウンターシクリカル資本バッファーの引き上
げや、国内基準行への適用などを求めている。
IMF声明における金融政策と金融セクター政策
物価上昇率の低さに貢献している構造要因を踏まえ、物価目標に合致したインフレ水準の再評価の実施。日銀は物価目標達成が
中長期的なものであることを強調しつつ、インフレ目標を幅で提示し、政策の柔軟性を高めることを検討し得る
日銀は現在の「二つの柱」政策戦略を、インフレ予測ターゲティング(IFT)の採用によって強化することも検討できる
日銀の政策ガイダンスは、1)日本国債買い入れの量的ガイダンスをやめること、2)マネタリーベースからオーバーシュート型コミット
メントを切り離すことで簡略化され得る
金融庁は強力なミクロプルーデンス監督・規制を通じ、銀行に対しリスク管理とリスク耐性の強化を促し続けるべきだ。手段としては
、リスクプロファイルに照らした資本要件の個別設定、フォワードルッキングな形で貸倒引当金を積むことの奨励がある
地方銀行が収入源の多様化、ITとフィンテックの活用改善、再編により、健全性を確保できるように金融庁は促し続けるべきだ
金融庁は危機管理・破綻処理の枠組みを、例えば国内のシステム上重要な銀行(D−SIB)全行に総損失吸収力(TLAC)要件の
適用範囲を拡大することで強化すべきだ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています