東芝は運転資金・追加投資資金不足で、東芝メモリ社の継続保持は不可能、売却必須。
WD社の訴訟取り下げがキーで、あとは独禁法審査待ち期間の覚悟と売却価格調整。
加えて、中国系企業で経産省が売却阻止圧力をかける鴻海売却案は非現実、というところです。

【皆さんのご意見踏まえ、以下追記】
銀行団はもはや東芝が上場廃止になってもよいとの考えです。上場廃止になると損金引当が必要ですがそこはもう準備済みで、むしろ上場廃止になるほうが情報開示をせずに色々動けることと、それよりも「現金回収」の方がはるかに大切だからです。
銀行団の緊張は高まっており、現状では「東芝を救う気などなく、とっとと現金を回収したい」と考えつつ、工場の不動産・設備が次々に担保設定されている実情です。

東芝の財務状況を最新決算短信よりあらためて確認すると、
・債務超過:5043億円
・流動負債:2兆6537億円(※流動資産:2兆5874億円)
・長期借入金/その他固定負債:1兆2257億円
つまり、借金累計が3兆8700億円超で、1年以内に返済必要な借金が2兆6537億円。それに対して1年以内に現金化可能な資産がたったの2兆5874億円。
この中で5兆円規模のビジネスを回す東芝は、約19万人の社員の労務費・固定費・資材調達といった大きな「運転資金」を必要とします。
今後銀行に借り換えに応じてもらえなかったら通常は資金ショートで倒産の方向へ向かうレベル。
従業員の給与・賞与減も当面致し方なし。。
さらに、半導体事業は業界トップのサムスン社に技術面で大きく差をつけられており、競争力保持のため数千億円〜1兆円級の追加投資が必要。
四半期900億円の利益ペースでは全くのスピード不足です。

踏まえ、よく「債務超過解消さえできればよい」という論調がありますが、そのレベルにあらず。
「もう半導体事業の売却は据え置き、じっくり数年後にIPOで資金調達すれば良い」という見立ては誤りです。
東芝は資本強化(改善)のため、大金が必要で東芝メモリ社売却は不可避。
アップル社が単独で東芝に資金を出してくれるウルトラCが発動すればまた違った景色も見えてきますが、
東芝が9/13に売却先を決めると言っているようなので、その可能性は薄いかと思われます。(梅林英昭ココラブル取締役CTO)


実に良い分析だ