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 と指摘するのは、数々の大手企業の広告戦略、SNSマーケティング戦略の立案や実施に従事してきた桜美林大学准教授の西山守氏である。

「大谷さんの場合は少しずつ小出しに情報を発信していきましたよね。インスタグラムでの初公表時は日本人女性だと伝え、さらに囲み取材で自ら対応するとも書いた。どのタイミングでどんな情報を出せばいいかを、緻密に計画した印象を受けました」


「夫婦と球団の良好な関係もアピールできていた」

 結果、大谷は事態の主導権を握れた、と西山氏は語る。

「お相手のプライバシーを守りつつ世間の期待にも応えようと、大谷さんはメディアやファンが暴走しないようコントロール、つまりは主導権を握っていた。お相手とのツーショットでいえば、所属球団の公式Xを通じて公表したことで、夫婦がドジャースと良好な関係であることもアピールできていました。著名人が夫婦のツーショットを自ら公表すれば、お惚気(のろけ)や嫌味に捉えられてしまい、熱狂的なファンから反感を買う可能性もありますから」(同)

 対して羽生はといえば、

「羽生さんも事態をコントロールしたかったはずですが、お相手に関する情報を完全に秘匿したことで、ファンやメディアの間で消化不良が起きて、結果的に主導権を握り損ねたように見受けられます」(同)

 思い起こせば、大谷や羽生よりもはるか以前に、世界を舞台に活躍し滞りなく結婚発表を済ませた先人がいる。2008年、ニューヨーク・ヤンキースに在籍していた松井秀喜氏(49)は、夫人が「一般人」であるとして顔や名前を公表しない代わりに、直筆の似顔絵を披露して話題をさらったのだ。

 顔も名前も出さない、という点では羽生にも通じるのだが、松井氏の場合、今日に至るまで彼の考えは尊重されている。