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「天才は天才を知る」

 初日公演後、羽生選手は“舞台裏”をこう明かしました。

「前半の部分、大地さんの登場前の部分は、シェイ=リーン・ボーンさん(プロスケーター、羽生選手の振り付けも担当)に振り付けをしていただいきました。大地さんの登場後は、大地さんが振り付けをしてもらっている方にお願いをしました。いわゆる、舞台の振り付けです。前半のフィギュアスケートの振り付けを滑っている自分と、後半の舞台の振り付けを滑っている自分の演技にギャップがでないように滑り込んできました」

 大地さんは、どうだったのでしょう。先述した約25メートルの距離については、位置的な難しさを認めつつも、「息が合った。すごく“コラボ感”を感じることができました」と落ち着いた口調で語りました。

 では、“コの字型”の客席については?

「(普段は)だいたい正面にしかお客様がいらっしゃらないんですけど、今回は“コの字型”にお客様がいらっしゃったもので。広い空間で、楽しくやらせていただきました」

 大地さん自身、新しいチャレンジを楽しんでいたようです。

 羽生選手が体操男子個人総合で五輪連覇(12年ロンドン、16年リオデジャネイロ大会)を達成した内村航平さんと“共演”を果たしたのは昨年3月10日から12日にかけてです。

 当初は、同じスポーツとはいえ、“異業種コラボ”を不安視する声もありましたが、終わってみれば大成功でした。

 あの時、私の脳裡には「天才は天才を知る」という言葉が浮かびました。そして今回、またも、それを実感することができました。言うなれば“異次元コラボ”です。

 パートナーの持ち味を、しっかり引き出しながら、アイスショーの新地平を切り拓き続ける羽生選手。次のチャレンジが楽しみです。