>>879
糸井
ダンスのようにピタッと合わせることが。

羽生
はい。けど、それだけをずっと見てると、やっぱり、ぼくが観客目線だったら納得はいかないなと。

糸井
きつい観客ですね、それは。いますかね、それをそこまで感じてる人って。

羽生
いますよ。

糸井
ああ、ほかのダンスと比べたら。

羽生
はい。音楽の合わせ方だけじゃなく、いろんな面で。たとえばバレエダンサーから見たら、音楽の合わせ方は似ているかもしれないけど、フィギュアスケートのバレエ的な所作っていうのは、確実に、なんだろう、至ってない部分がありますし、ヒップホップダンサーから見たら、やっぱりフィギュアスケートをやってる選手は、やっぱりリズムの取り方が甘い、って言われかねないですし。でも、もちろんそれは、しかたない部分もあって、やっぱり費やしている年数、時間が違うんですよ。さっきも言ったように、フィギュアスケートって、そもそも修練が難しいジャンルなんですよね。いろんなことをやらなきゃいけないから。だけど、バレエやダンスの方たちは、表現の所作やリズムに合わせることの修練を何十年とやってるわけじゃないですか。それをぼくらが奮起して1、2年練習したところでそんなに簡単にはできないですし、逆に、バレエやヒップホップの動きを氷上でできるかといったら難しいでしょうし。ただ、ほかの表現と比べてそれくらいの差は存在しているんだというのは、意識しておいたほうがいいと思うんです。