羽生
だから、スケートをやる以前に、これがほんとうに正しいのかとか、自分だけの考えに陥ってないか、というようなことは、つねに考えてきたつもりではあるので、そういう意味では、やっぱり、スケートがあるから自分があるんじゃなくて、羽生結弦っていう人生があって、そのうえにスケートが乗っかってる、という気がしますね。

糸井
いや、すごいことです。とくに、お母さんのことばがすごい。でもそれは、親として、「子どもが幸せになる道」を照らしているわけですね。

羽生
そうですね(笑)。

糸井
人間としてダメになってもスケートをやる、っていうのを禁じるのは、その方が幸せだからですよね。

羽生
そうですね。だから、まちがいなく、ぼくは勉強が嫌いではなかったですし。なんか、最近よく、自分がスケートをやってなかったらなにしてんのかなみたいなことを考えるんですけど、医者になってるのかなとか、絵でも描いてるのかなとか、いろんなこと考えるんですけど、なにをやっているにしても、けっきょく、ぜんぶやりきるだろうなって思うんですよね。

糸井
ねぇ(笑)。