ぶっ込み

被災地でも違った被害 アスリートが抱える葛藤、それでもひたむきに
1/15(月) 7:00配信 朝日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/9e3b92b532fec8f96cb5381b98adb406b8d451c6

 (14日、第42回全国都道府県対抗女子駅伝競走大会)

 元日の能登半島地震で被害が大きかった石川は43位だった。1区区間賞の五島莉乃(資生堂)は、「沿道から『石川、頑張れ』という言葉が何度も届いた。走りながら胸がいっぱいだった」と涙を流した。

 チームは4日から京都で合宿をする予定だったが、地震で中止になり、選手たちが顔を合わせたのはレース3日前の11日だった。

 地震が起きた時、深浦隆史監督は金沢市内にいて、家族と外出中だった。携帯電話の地震速報が鳴り響き、「自分の人生で一番揺れた」。幸いにも、大きな被害はなかった。被災した選手もいたが、予定通りのメンバーがそろった。

 県内でも家屋や道路の損傷が激しい能登地方と、それ以外では、被害状況が大きく異なるという。深浦監督は複雑な心境を打ち明けた。「自分が(被害を)体感していないのに、偉そうに言うのはちょっと……。簡単に、スポーツで頑張ろうとは言い難い」

 13年前、東日本大震災を仙台市で被災したフィギュアスケーター羽生結弦さんの言葉を思い出す。「僕は内陸の人間であって、沿岸の人間じゃない」。羽生さんも震災について語るとき、言葉に迷うときがあったという。

 アスリートにもそれぞれ葛藤がある。だが、その上で、ひたむきに競技に打ち込む姿が、誰かの心に響くことがあるのも事実だ。(室田賢)

朝日新聞社