映画『北京冬季五輪2022』陸川監督インタビュー 被写体としての羽生結弦・アイスホッケーについて語る
沢田聡子ライター
1/15(月) 7:30

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/2d8b93edad50283338d8feeb79782640d5f2758f

>2022年北京冬季五輪公式映画『北京冬季五輪2022』が、1月12日より日本で公開されている。13日には陸川(ルー・チュアン)監督が来日し、グランドシネマサンシャイン池袋で舞台挨拶を行った。14日にはドラマの撮影のため帰国するという陸川監督に、お話を伺った。

>――フィギュアスケーターの羽生結弦さんは、フォトグラファーにとって大変魅力的な被写体として有名です。監督は、被写体としての羽生さんをどのようにご覧になりましたか

私も、羽生結弦さんがとても好きです。ただアスリートですし、大変著名な方でもありますので、実は取材の過程はとてもとても難しかった。私としては、できれば羽生選手をフォローして、たくさんのことを記録したかったのです。多くの人に相談しましたが、最終的にはそれは実現できませんでした。でも私としては、とても羽生選手を尊敬しています。

――映画では、記者会見中の羽生さんを真横から撮影していたのが印象的でした。私も会見には出席していましたが、記者席からはあの姿は見えません。真横という角度から撮影した意図を教えていただけないでしょうか

実を言うと、正面から撮影することはできなかったのです。でも、横で見ている時に共鳴する思いがあり、すぐに撮影しました。なぜかと言うと、彼の側面を見た瞬間、私は彫刻の“縛られたプロメテウス”を思い出したのです。古代の神々の物語(ギリシア神話)の中で、プロメテウスは天上から人類のために火を盗み、その罰として全能の神ゼウスにより山に縛りつけられ、鷲に肝臓を食われ続けます。プロメテウスにとって苦しい経験ですが、人類にとって彼はヒーローです。羽生選手の挑戦した4回転アクセルも、スポーツにおいて人類の極限を超えるような高い理想です。それはまさに、プロメテウスが人類のために火を盗むような行為だと考えました。自分を犠牲にしてオリンピックのスピリットを達成するような挑戦をした羽生選手に共感し、その瞬間の羽生選手をプロメテウスの彫刻に重ねて撮影しました。