12年前の古い記事ですが、既出だったらすみません。

[16歳の決意]浅田真央「絶対に勝ちたかった」
http://number.bunshun.jp/articles/-/12279 
 11月下旬、浅田真央の新しいコスチュームはまだ完成していなかった。
 深紅に、金のレースをあしらった衣装には、まだ何本も針がついていたし、しつけ糸でとめられただけの箇所もあった。
 彼女は、それを12月1日からのNHK杯で着るつもりでいた。
 「アメリカ杯では、黒いのを着ていたんだけど、ちょっとリンクに沈んじゃうから、明るい色がいいかなと思って」
 コスチュームに袖を通して、真央はすぐに、いくつかの注文を出す。
 肩が落ちるから、背中にゴムを通してもらわないと。それから、袖も少し長いと思う。もっと短くしないと気になっちゃって、ジャンプが跳びにくい。
 袖は一方だけが長く、そこからさらにフリルが幾重にも重なって付いていた。真央は、それも気に入らなかった。しつけ糸を抜き、フリルのない袖を肩口近くまで捲り上げて、笑う。
 「ほら、このほうがずっといいよ。シンプルだし、ジャンプにも影響しない」
 短い試着の間、彼女は何度か「ジャンプ」と口にした。口調は自然で柔らかだったが、それは、近づいてきている試合への意気込みを思わせる。