>>721
“演歌が好きで、北島三郎さんのテープを100本近く持っていて、夜はいつもヘッドホンでテープを聴いていました。
そのまま寝てしまうことも多く、夜の巡回の時にヘッドホンを外してあげたことを思い出します。
一番思い出に残っているのは、横浜市のホールで行われた北島三郎さんのコンサートに2人で行ったことです。
社会勉強のために電車を使って行き、切符も自分で買うことができました。
会場で同じ湯飲みを2つ買うのでどうしてだろうと思ってみていると、そのうちの1つを
「これはね、先生に記念にあげる」と言ってプレゼントしてくれて、本当にうれしかったです。
その湯飲みを仲間にもうれしそうに自慢していました。
私も、もらった湯飲みはそれからずっと自宅で使っていて、今も湯飲みを見ると彼のことを思い出します。
亡くなったことを聞いた時には、まさかと思いました。なんで、あんないい人が亡くならなくてはいけなかったのか、
今もわかりません。”

(NHKオンライン「19のいのち −障害者殺傷事件−」)