■羽生「体と心のバランスが…」 ミス4つ、まさかの銀 世界フィギュア

日本経済新聞 2016/4/2 20:43

フィギュアスケートの世界選手権は1日、ボストンで男子フリーを行い、
ショートプログラム(SP)首位の羽生結弦(ANA)はフリーで184.61点と振るわず、
ハビエル・フェルナンデス(スペイン)に逆転されて2位に終わった。

練習の手応えはあった。現地で最初にプログラムを通した時もノーミスだし、6分間練習もよかったのに。羽生自身も信じられないようだ。

「試合前も落ち着いていた。なぜ悪かったのか、理解できない」。
ジャンプで転倒1つ、お手つき2つ、最も得意なトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で
オーバーターンと4つもミスしては、演技全体の流れも悪くなる。
演技構成点は8位のパトリック・チャン(カナダ)より低かった。

一つだけ明らかなのは、「すごく緊張していた」こと。
普段は名前をコールされると、さっさと演技を始める体勢に入るのに、ルール上限の30秒を使い切った。
「ゾーンに入り込めてなかった」とブライアン・オーサー・コーチ。
SPで2位に12点もの大差がつき、「落ち着き過ぎてしまったかもしれない」とも話す。

SP当日の練習でデニス・テン(カザフスタン)と衝突しかけ、怒鳴った一件は意外に尾を引き、
特に「意図的に邪魔された」という羽生の言葉へのフィギュア界の心証はよくない。
この日は右かかとを痛めている練習仲間のフェルナンデスが、スケート靴に詰め物をして出場するという一件もあり、
2人を指導するオーサー・コーチは「ユズ(羽生)にエネルギーを注ぎきれたか……」。

小さい要因は無数にあるが、ピンポイントで指摘できない難しい敗北に、「体と心のバランスがとりきれなかったかな」と羽生。
心中は悔しさが燃えさかっているそうで、さっさと記者会見を切り上げた。
「勝つという強い気持ちでここに来て、準備万端だった。それだけに立ち直るのは大変なんだ」とオーサー・コーチは羽生の胸の内を思いやった。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDH02H4A_S6A400C1UU1000/