青嶋の文章は正直嫌いだけどこの内容にはいろいろ共感した

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浅田真央のスケートは、人の心を打つのだろうか?

そんな論議を取材の場ですることが、時々ある。
日本には高橋大輔、鈴木明子、さらには町田樹と、
パフォーマンスで魅了できるスケーターがたくさんいる。
浅田真央にももちろん独特のチャームがあり、
多くの人が「真央ちゃん」の頑張る姿に心惹かれているだろう。

しかしそれは国民的アイドルである彼女の存在感やキャラクターが引き起こすものであり、
演技者としての彼女が、最上級なのかどうか、と。

高橋や鈴木といった、どうしようもなく観客を引きつける力を持つスケーターは、
表現技術の高さもさることながら、とても大きなメッセージを発しながら滑っているのではないか。

浅田真央には、決定的にそれが欠けているのではないか、という見方がある。
彼女は滑りながら、他者に愛を乞わない。演技に関して、ほとんど人の評価を必要としない。
彼女は、今でも他者に向けて「私を見て!」「私を愛して!」
というメッセージを、スケートを通じて発することはない。
それを物足りなく感じる人もいるだろう。
また逆に、こちらに向けた愛情を感じられない孤高のアイドルの姿に、
心惹かれる人も少なからずいるだろう。

多くの人は恋をするとき、双方のコミュニケーションの果てに恋愛が成就する、
そんなパターン。しかし自分に見向きもしない相手を一方的に好きになり、
ひたすら追いかける。そんな恋愛に喜びを求めるタイプもいるだろう。

前者がフィギュアスケートを見たとき、惹かれるのは高橋大輔や鈴木明子の演技。
彼らのパフォーマンスには、見る者との間にコミュニケーションがある。
一方、恋愛タイプが後者の人は、浅田真央の外側に何かを放たないスケートに、
強い魅力を感じるかもしれない。