野球というスポーツは肉体と肉体がぶつかりあう命がけの格闘技でありながら同時にチームワークという要素が
何よりも要求される(つまり自己犠牲が必要とされる)団体競技であり、しかも囲碁や将棋に匹敵するような高度
な駆け引きと頭を使う要素を伴い、勝敗の分かれ目が運という名の偶然に支配されると同時に心臓の拍動を倍加さ
せる精神的プレッシャーという目に見えない魔物とも戦わなければならないという神経戦が支配するスポーツであり、
その面白さの真髄は動と静の絶えざる交代劇によって演出される白熱のドラマともいうべきものであり、それを見る
者はまさにいかなる作り物のドラマよりもましてわくわくする期待、スリル、興奮、失望、・・・etc.を味わうこと
のできるドキュメントであり、まさに見るスポーツとしてはあらゆる要素の備わったスポーツというべきだろう。
そしもう一つ加えて言うと野球というスポーツはまさに人生という名のドラマを濃縮した縮図でもあり、それは
いかなる人生訓にも増してわれわれの人生に響くよき教えを隠し持っている。高校野球が類稀なる感動を与え続
ける理由にはこのような不可思議な魅力にもあると思われる。