須賀啓太のTriathlonレポート
第23回日本トライアスロン選手権(2017/東京港大会)レースレビュー
■男子レビュー
結果も内容も、このレースを最後に選手として第一線を退く決意をした田山寛豪の完勝だった。
渡辺晃大朗(博慈会)と山本康貴(AS京都)がもっとバイクの早い時点で集団から飛び出していれば、
そしてバイクでもっとスピードの出せる路面の乾いた天候だったならば、もう少しおもしろい展開になっていたかもしれない。

強いて田山以外の選手の敗因を上げるならば、田山は今年これが3回目のレース。
対して今回の優勝候補の一人でもあった古谷純平(三井住友海上)は今年の2月からこの約8カ月の間に海外遠征もふくめ20以上ものレースに出ている事。
単純に考えてシーズンの疲労蓄積度が違う。だが全員が古谷のように多くのレースにでているわけではないし、
日本人男子が世界の舞台で戦う上ではそんな古谷のような条件下でも勝つ事が要求される。
以前は田山だって世界で何レースを転戦しながらも、この日本選手権に何度も勝ってきた。

田山の有終の美を祝福するのはもちろんだが、やはり真に報じるべきは女子に比べ男子はこの日本選手権が井の中であること。
世界と繋がっていないという事だ。日本選手権の優勝者がなぜ第一線を退かなければならないのか?
日本選手権11回優勝という偉業を成し遂げた選手でさえ、WTSの舞台では表彰台さえないという事実だ。
田山への祝福に日本トライアスロン連合関係者、スポンサー、そしてメディアの目も霞んでしまったおかげで田山以外の選手は助かっているが、
その事実を見れば先のブログにも書いたように2020年に向けて、世界に向けて、恥を晒したレースと言える。