21日に亡くなられた平尾誠二氏の言葉を引用しておく。
「スポーツの原点というのは、たとえば子どものころに始めた野球――それも近
所の子どもたちが集まってやっていた三角ベースのノリでしょ。自分の意思で始
めて、日が暮れてボールが見えなくなるまで夢中でやって、母親が『晩御飯だよ』
と呼びに来ると解散。それが中学生になってクラブに入ると、球拾いばかりで野
球をやらせてもらえず、そのうえ坊主にしろと管理される。このまったく違う世界
を、僕らより前の世代は当たり前だと思っていたかもしれないけど、『おかしいぞ、
何でそんなことするの?』と思うようになった。これは極めて当然なことで、こう
いう矛盾の重なったところが、日本のスポーツなんです。」
「僕は、『こんなのは、スポーツ本来の姿ではない。もっと楽しいもんや』と感じ
ていました。スポーツの本質が崩され、『管理だ、義務だ』という方向に走ると、
今度は、『連帯感だ、自己犠牲だ』とわけのわからない言い訳をする。だから、日
本のスポーツはダメなんです。グラウンドでプレーするのは個人。なのに、これで
は最後のところで『勝ちたい』というテンションが高まらない。日本が強くならな
い理由は、そこにあると思いますよ」
すでに25年前にこういうことを語られていた。改めて惜しい人をなくした。合掌。