特発性間質性肺炎の中で最も頻度の高いIPFの発症は通常緩徐で、検診発見例では無症状の場合もあるが、
乾性咳嗽や労作時呼吸困難を主症状とする。進行すればチアノーゼ、肺性心、末梢性浮腫などがみられる。
肺以外の症状はみられない場合も多いが、体重減少、倦怠、疲労が認められることがある。

4.治療法
難治性で進行性の肺線維症であるIPFに対しては根治療法が存在せず、従来対症療法が中心であったが、
最近では新しい治療の有効性が臨床試験により示されている。特にIPFの治療薬として認可された抗線維化薬pirfenidone、nintedanibは、
世界的にもその効果が証明され注目されている。IPF患者に対しては病態に応じての多段階治療が推奨されているが、
そのエビデンスはまだ確立されていない。

5.予後
IPFの診断確定後の平均生存期間は3〜5年間と報告されている。
特に、急性増悪を来たした後の平均生存期間は、2か月以内と予後不良である。
また、IPF、および気腫合併肺線維症では肺癌が高率に合併することが報告されており、
長期経過観察中の患者でも注意深い観察が必要である。