田村さんの後悔
プー君は保健所で殺処分される一歩手前で動物愛護団体に救出され、田村さんの元に来た。団体スタッフの「殺処分直前
まで行った子は、新しい飼い主に深い恩義を感じている」という言葉が真実かはわからないが、プー君はいつもどこか遠
慮しているような、控え目な猫だった。
田村さんはそんなプー君がいじらしくて、文字通りわが子のように愛した。「少しでも苦しませたくなかった。でも病
気がわからないがゆえに、痛い・辛い・怖い思いをさせてしまった」
■ 獣医にも得手不得手がある
 田村さんは後悔する。そしてこうも言う。「最初から高度な検査のできる病院に行っていれば、同じ寿命であっても苦
しめず、緩和ケアができたのではないか。でも山ほどある動物病院のどれを選べばよいのか、飼い主にはまったくわから
ない。だからカリスマという触れ込みを信じてあの病院に行ったのだが……」