諸悪の根元は、解雇規制にある。
(中略)
会社としては、解雇できないとなると、正社員を雇えないということになり、雇用調整のため、
契約社員や派遣やアルバイトを活用することになる。結果、ハイリターンを得られる正社員の地位は安泰で、
それに対し、ローリターンの非正規雇用者は雇用の調整弁として、吹けば飛ぶような立場にならざるを得ない。

よく指摘されていることだが、解雇が原則として自由のアメリカより、雇用規制の厳しいヨーロッパ諸国の方が、
失業率も高く、失業期間も長い。解雇を規制することは、既に雇用されている労働者には有利だが、
会社が新たに労働者を雇用するインセンティブを失わせるので、現時点で雇用されていない失業者や非正規雇用者には不利に働くのだ。
労働組合やマスコミが「労働者保護」をいうとき、連中の胸中にあるのは、正社員(組合員)の既得権に過ぎない。
例えば、最低賃金の引き上げは、いま働いている労働者には望ましいが、労働需要を減らすことになるので、
失業者や非正規雇用者の保護にならないだけでなく、かえって不利に働く。

ローリスク・ハイリターンの悦楽 宮本督弁護士
http://www.nakashimalaw.com/essay/miyamoto/0912.html