>>415
内田貴(民法)は、債権成立に異論を唱えてはいるがな。
刑法学者は、たとえば山口厚などは、刑法犯成立に懐疑的傾向かな。

>>417
・珍説A:誤振込された金銭を引き出すと、(業務上)横領。(まあ、論外)
・珍説B:誤振込された金銭を引き出すと、誤振込によって預金債権は成立しておらず、預金者には引出権限がないから、
無権限での占有移転は、窓口なら詐欺、ATMなら窃盗。

こんな感じ。1000で落ちてしまったのでリンク不可能。

平成8年民事判決:誤振込でも預金債権は成立。
(誤振込された預金債権を預金者の債権者が差し押さえ、それに対し振込人が第三者異議の訴えを提起した事例)
平成15年刑事判決:誤振込でも預金債権は成立しているが(平8判決引用)、
預金者は当該金銭について最終的に自分のものにする実質的権利を有さず、誤振込であることを銀行に告げる信義則上の義務を負うから、
これを告げずに払戻請求すれば欺罔行為となり、誤振込されたものではないとの錯誤によって払戻を受ければ詐欺。

判例はこんな感じ。

両者の整合性を考えると、平8の方は預金外観を信頼した債権者の取引の安全保護というある意味特殊性のある場合だから、預金者が直接請求してきた場合はどうだったか。。
平15の方は、あえて判例変更せずとも、実質的権利がないことの告知義務で足りたというだけじゃないかと、個人的には思う。
これでATMからの払戻を窃盗に導くのも微妙だし。
振り込め詐欺(ある意味誤振込)は、錯誤により入金させた点の詐欺罪のみで、ATMからの窃盗は問題にしてなかったりするから、
何が整合的か考え出すとこの論点は深いな・・・

自分は一連の流れを傍観していた口だが、
初め珍説Aが横領だと言い張ったのに対して、それを否定するために財物の占有は銀行にあることから詐欺・窃盗に結びつけるための展開だったように思う。
珍説Bが判例にどこまで「乗って」いたかは記憶にないが、占有者は銀行という帰結を導いてくれればいいと思ってみていただけで、
その辺の間違いに気づかなかった自分もある意味同罪だな。