性的虐待事件など被告匿名の公判増加 徳島地裁4件
徳島新聞 2018/8/17(金) 12:30配信
性的虐待事件などの刑事裁判で、被告を匿名にして審理する公判が、徳島地裁を含めた各地の裁判所で広がりつつある。
被害者の特定を避け、保護するのが目的。専門家は秘匿の必要性を認めつつ、憲法で定める「裁判公開の原則」から慎重な運用が必要としている。
徳島地裁では2016年、被告の男が同居する子どもに被害を負わせた傷害事件で実施。
17年はゼロ件だったとみられるが、18年は既に3件に上っている。
7月10日に初公判が開かれた県内初の監護者わいせつ事件では、人定質問を口頭で行わずに被告に起訴状を見せて確認したほか、開廷表の被告名を「甲」と記載するなどした。
07年の刑事訴訟法改正で、法廷での被害者特定事項の秘匿が可能になった。
一般的には被害者側のみ秘匿されるが、被告名が分かれば被害者の特定につながるとの判断から、被告の氏名や住所も秘匿対象にするケースが出ている。
児童虐待や、教師が教え子に性的被害を負わせた事件などで適用されることが多い。
裁判所によって判断が分かれる事例も。
佐賀県の高校教諭が教え子の女子生徒にみだらな行為をした児童福祉法違反事件では、11年に佐賀地裁が被告名を伏せたのに対して、福岡高裁の控訴審では被告名が秘匿事項から外され公開された。