2017-09-19
理学・作業療法士学生、指導役と相次ぐトラブル 養成課程・実習環境、見直しへ

毎日新聞2017年9月8日 大阪朝刊

 リハビリの専門家として病院や福祉施設などで働く理学療法士や作業療法士の国家資格の取得に必要な臨床実習で、実習先の施設に勤務して指導役となる両療法士と学生とのトラブルが相次いでいるとして、元学生や専門家らから改善を求める声が上がっている。
 理学療法士の養成課程について詳しい専門家による調査では、2009年度から昨年度まで、回答した学生の約6割が臨床実習について「不当な待遇と感じた」と答えた。
 また、実習先での指導役からのパワハラが原因で自殺したとして、大阪市内の学生の妻が実習を受けた施設の運営法人らに損害賠償を求めて大阪地方裁判所に提訴する事態も。
 厚生労働省は6月に専門家による検討会を設け、養成施設への外部評価導入など指導体制の見直しに乗り出した。【林由紀子】

理学・作業療法士学生、指導役と相次ぐトラブル 養成課程・実習環境、見直しへ


●「相性が単位左右」
 09年度から臨床実習について、学生にアンケート調査をしてきた九州地方の専門学校教員の松崎秀隆・保健医療学博士によると、毎年約6割の学生が臨床実習で「不当な待遇と感じた」と答えるという。
 具体的な内容としては、指導役の理学療法士から受けた仕打ちとして「無礼、冷淡な態度」「悪い成績をつける、単位をあげない(と言われた)」「忙しいとあまり指導されない」−−などが挙がるという。
 また、厚生労働省が今年1月、全国の両療法士の養成施設を対象に行った調査では、大野さんのように理学療法士を目指して留年した学生のうち20%(作業療法士は25%)で臨床実習が留年の原因とした。
 また、臨床実習に絡んで学生から受けた相談などの内容を聞くと、約2割が指導役とのトラブルを巡るものだった。