【禁断】小狼×知世をひっそり語るスレ【村八分】
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小狼×さくらの公式カップルに萌える人が大多数の中、あえて小狼×知世のカップリングについて語りましょう。
一度このカップリングを語ろうものなら、しゃおさくのお姉さま方に絶対零度の視線を浴びることは必至。
変人っぷりを自覚して今まで内に秘めていたけれどツイッターなどでは語る余地もない…などとお嘆きのあなた!
溜まり溜まった小狼×知世への想い、妄想をお待ちしております。 さくらちゃんとのカプを応援したいけどこれも良いね! 「小狼 知世」でググると"小説"がサジェストされるぐらいだから隠れた需要はあるんだろうなあ >>41
人いると思います
ぼくはじめて40のレスです クリアカード編の雹ふってる話で知世ちゃん庇ってるのが良かったな 小狼は己の行動に動揺を隠せなかった。
「なぜ、大道寺をかばってしまったのだろう」
クラス対抗の競技大会でのことだった。
小狼がバドミントンの試合をしていると、突然季節外れの雹が降り始めた。球技大会は一旦中断し、カードの仕業を疑った小狼たちが人気のない場所で対応策を練っていると、大粒の雹に襲いかかられたのだ。
危ない、そう思った時、小狼がかばっていたのはさくらではなく大導寺知世だった。
羽のように、軽かった。もともと白く華奢だとは思っていたが、未発達の自分の力でさえやすやすと抱えることができた。
折れそうなほど、か弱かった。触れた肩は細く、がっちりとしてきた自分の肩とは全然違っていた。「たくましくなった」といった知世の言葉の意味が今ならよくわかる。
大道寺には魔力がない。誰かが彼女を守らねばならないが、さくらはカードを封印しなければならないし、封印の獣ケルベロスはさくらのサポートをしている。となれば彼女を守ることができるのは必然的に俺一人。
そう、自分に言い聞かせてはみるが、友人の方を抱いてまで庇う必要があったのか。だいたい、クロウカードに襲われた時でさえ知世をかばったことはなかったというのに。
戸惑う小狼の鼻の奥に、知世を庇った時、長い髪からほのかに香った芳香が今も残る。
「大道寺……」
ふうわりとした知世の笑顔が浮かんでは消えた。 >>45
描写力が半端ないですわ!
この二人は無自覚のまま相手を尊重した行動をして、後でどうしてだろうって悩むのが出発点っぽいな〜 良いけどひとつ訂正があるな
>クロウカードに襲われた時でさえ知世をかばったことはなかったというのに。
メイズの回とかボイスの回とか。 知世目線で書いてくれた人が柔らかい文体でいいなと思ったんだけど自分には難しかったから小狼目線で書いてみた
だいぶ雰囲気が違うからどうかなと思ったんだけど
ぼんやり15話後の話も浮かんできているので気が向いたら投稿する
>>52
その辺はさくらに指摘されて気づく流れにしたくて
でも今回は小狼一人に的を絞りたかったので諦めた
これまた気が向いたら形にしてみる
広い心で読んでくれてありがとう >>54
自分で読み返すと粗が目立つなあと思ったりするけど、あざます
こちらこそ、あなたの洗練された文章には憧れを持ちますわ
お話の雰囲気については各々の色があっていいんじゃないかな
このキャラクターはこうじゃないといけない、みたいな決まりがスレ内で設けているわけではないと思うので
小狼目線の続きはもちろん、あなたの知世目線のお話も読んでみたい さくら「小狼くんに連絡したいのに できないよ……」 恋愛関係じゃないけど、深い信頼関係がある男女キャラクターが絡むシチュエーションに萌える
男女間の友情という人によっては否定される基盤に立っているのが美しい
そんな関係で肩を掴んで庇われたりしたらもう! さくら「小狼くん 小狼くん……小狼くん………小狼くん 小狼くん 小狼くん……小狼くん 小狼くん 小狼くん 小狼くん……」 >>50
>>55
>>60
>>64
地味にくるからやめてくれる……? 「小狼も来ればよかったのに、大道寺さんち!」
小狼は、突然の来訪者に眉をしかめた。
普段は静まり返った301号室に溌剌とした少女の声が響き渡る。
「木之本さん、残念がってたわよ」
ご機嫌な様子で李邸に現れたのは、言わずと知れた李苺鈴だ。不快感を露わにする小狼など意に介さず、ずかずかと家の中にあがりこむ。
「苺鈴!何をしにきたんだ、突然。連絡も寄越さないで」
「やだ、おばさまに言われたのよ。小狼がちゃんと生活しているか見てくるようにって。……って、なにこの部屋!何にもないじゃない。偉や私がいた時とは大違いね」
ガランとしたリビングを一瞥した苺鈴の言葉に、ぐ、と一瞬小狼は言葉を詰まらせる。その様子に苺鈴はいたずらっぽく笑って、本来の目的を提示した。
「ね、小狼、ちょっとパソコン借してくれる?」
「え?」
「見せたいものがあるの。だから、早く」
渋々と小狼は苺鈴を自室に案内した。パソコンを立ち上げ、苺鈴も使えるように設定を整えてやると、苺鈴はありがと、とウィンクを寄越して、颯爽とキーボードをいじくりはじめた。苺鈴の女王様的振る舞いに、『変わらないな、苺鈴も』と心の中でつぶやく。
ため息をついてベッドの上に腰掛けた。
確かに、今日は知世の家に招待されていた。しかし、小狼は断った。さくらと知世、そのどちらの顔もまともに見られる気がしなかったからだ。
先日の球技大会の後、自分の心の中にある新しい感情に気がついた。それがいつ生まれたものかはわからないが、確かに小狼の心の中で息づいていた。一方で、さくらを抱きしめた自分がいる。
『何やってるんだ、俺……』 『いち、に、さん、いち、に、さん』
小狼が考えを巡らせていると、リズムをとる声が流れてきた。
「これは……」
「ふふふ、懐かしいでしょ。私が小狼と一緒に観たいって言ったら、大道寺さんがデータをコピーしてくれたの。一緒に見ましょ」
それは、なでしこ祭で上演された劇の練習風景だった。今よりも少し幼い自分が、一所懸命にダンスのステップを練習している。
場面が次々と移り変わる、セリフを練習するさくら。演技指導をする奈緒子。そして衣装の採寸をする知世。知世のメジャーが肩に当てられる様子が写っていて、小狼はかっと顔が熱くなるのを感じた。
「それにしても、大道寺さんも大変よねー」
「え?」
「だってそうじゃない。木之本さんを撮影しようと思ったらいろんな危険に巻き込まれるんだもの。
今日だってそうよ、また新しいカードが現れて大変だったんだから!
この間も、えっと、ヘイル、だっけ?雹の降ってくるカードに襲われたっていうし。感謝してたわよ、小狼に。おかげで怪我しなくてすんだって」
先ほどのシーンが頭の中にちらついて、小狼は平静さを失っている。けれど、努めて冷静に答える。
「当然のことをしただけだ」
「そういうと思った。でも、私、ちょっと大道寺さんのこと羨ましいと思ってたのよね」
「なんで」
「だって、小狼が木之本さんに優しいのは当然のこととしても、小狼、大道寺さんにも優しかったじゃない。
神社が迷路になっちゃった時も、大道寺さんのことはすぐに魔法で助けてあげたのに、私のことはなかなか助けに来てくれなかったし」
「何言ってるんだ。あの時はちゃんとお前のことを助けに行ったじゃないか!ただ、先生が……」
「それに、婚約解消した日!小狼、ペンギンに襲われた時、大道寺さんのことは守ってあげたのに、私のこと全然守ってくれなかったわよね。
そりゃ私は拳法の達人で、彼女はふつうの女の子なんだけど。ちょっと傷ついたわ。」
「……すまない」
自分でも気がついていなかったことを指摘されて、返す言葉がなかった。
「気にしないで。小狼が優しいのはいつものことだから。でも、小狼」
苺鈴が大きな瞳で小狼の顔を覗き込む。
「あんまり木之本さん以外の子に優しくしちゃダメよ」
見透かしたような苺鈴の言葉に小狼は胸が苦しくなった。 練習風景に飽きたのか、苺鈴は劇本番の映像を流し始めた。王子様姿の小狼、かっこいい〜!と目をキラキラさせる苺鈴は何も知らない。小狼の中に新たな感情が息づいていることを。
『この気持ちを止めることはできない』
映像の中の小狼が言った。
『私はあなたが好きです』
小狼の心臓が早鐘のように打つ。
『いいえ、いえません。私のこの想いはあなたにも。いえ、あなたには』
さくらのセリフに、パソコンの画面を見つめる苺鈴の顔を見る。
そうだ、この気持ちは誰にも告げることはできない。
特に、苺鈴には。
苺鈴はずっと俺のそばにいて。自分がさくらに惹かれているのに気がつくと、自ら身を引いた。そして、二人の後押しをしてくれさえした。
それなのに、知世を想うと自分がどうにかなってしまいそうになっているなんて、絶対に知られてはいけない。
胸の苦しさに顔を歪め、小狼は己の拳を握りしめた。 『姫!』
無のカードが発動して映像が止まる。
「残念よねぇ、ここまでしかないのが。やっぱり最後まで見たかっ……小狼?ちょっと小狼、小狼ってば!」
ハッとした小狼は顔を上げた。
小狼の表情が険しいことに気がついて、苺鈴が心配そうに尋ねる。
「大丈夫?」
「大丈夫だ。最近、少し魔法を使いすぎているから」
「もう。木之本さんのためとはいえ、ほどほどにしておきなさいよ」
苺鈴の気遣いに、小狼は自嘲的に笑った。
「心配ない」
「ならいいんだけど」
まだ少し納得していない表情の苺鈴だが、小狼が大丈夫だというのだから、大丈夫なのだろう。自分がとやかく言っても仕方がないのがわかっているので、それ以上深く追求するはやめておくことにした。
「これ、小狼から大道寺さんに返しておいてくれる?」
苺鈴は劇のデータが入ったメディアを振って見せた。
「……え?」
「大道寺さん、返さなくていいって言ってくれたんだけど、そういうわけにもいかないでしょ。それに」
椅子からぴょこんと立ち上がると、内緒話をするように、小狼の耳に顔を寄せた。
「木之本さんの最新映像入りなんだって。あとで一人で見るといいわ、ね?」
有無を言わせず件のものを小狼の手に押し付けると、苺鈴は得意そうな笑みを浮かべでひらひらと手を振った。
「じゃあ、よろしくね、小狼!」
「苺鈴!」
後には、小狼と小さなメディアが一つ。 まさかの16話へ続くで迷ったんだけどもう投稿してしまうことにした
>>52で指摘された内容を苺鈴に語らせないでどうすると思って路線変更
(さくらに指摘されるのが辛すぎたともいえる)
長いし微妙に推敲が行き届いてないし、自己満足みたいでお目汚し失礼いたしました 小狼が知世を庇うところ繋がりで苺鈴が目にした場面に繋げるとは見事!
こんなクオリティの高いST小説を読めるなんて幸せだ
それにしてもすごいなあ
何がって、キャラクターそれぞれの個性の把握がすごい
苺鈴のためにPCを使いやすくしてあげる小狼、苺鈴相手にヘイルのときの感謝を伝える知世、さくら以外の女の子にあまり優しくしないほうがいいよの苺鈴
全部声優さんの声で再生されそうなぐらいリアルな立ち振る舞いだもの 庇うところに注目してしまうのがこのスレ住民のサガよ
>>70
超乙 さくら「知世ちゃんに 小狼くんのこと聞きたいのに聞けないよ…」
気になるのに…ごはんも食べれなくなりそうだよ ダメ!でも がんばらなきゃ!」 さくら「あの時 わたし小狼くんに抱きしめられて……もう!小狼くんなんか」
さくら「やっぱり小狼くんが好き♪」 さくら「知世ちゃんにホットケーキ食べさせてあげたいな〜♪」 さくら「小狼くんにも ごはん作って持って行ってあげよ〜♪」 ヤンデレのさくらちゃんに死ぬほど愛されて眠れない小狼はよ
知世ちゃんは、仮に小狼のこと異性として意識することがあっても、別にそれで動揺したりすることはないイメージ。
さくらちゃんが一番って軸はブレないで、自分で感情の整理つけられるっていうか さくら「小狼くん、違うクラスだけど 授業中でも会いたいよ」 >>90
さくらはLove、小狼はLike?Love?の狭間でどちらも叶わぬ想いを育む知世ちゃんを見たい(*´д`*)ハァハァ さくら「お昼休み 終わっちゃったな〜」(小狼くんと離れたくないよ)
さくら「午後からもがんばる!今日 知世ちゃんにホットケーキ食べさせてあげよ〜♪」 さくら「小狼くん いま何してるかな〜電話してみよっと♪」 「これ、苺鈴から預かって来た。貸してくれてありがとう」
小狼が差し出したのは、先日知世が苺鈴に渡した記録媒体だった。
小さな物体の中には、知世が厳選した映像が詰め込まれている。
「まぁ、返してくださらなくてもよろしかったのに」
「これは大道寺のものだし、それに、苺鈴は借りたものは必ず返さないと気が済まない性質だから」
義理堅いお二人ですわ。知世はニコリと微笑んで、そっと手を伸ばした。
受け取ろうとした知世の指に、渡そうとした小狼の指先が触れた。
「す、すまない!」
小狼は何か熱いものにでも触れたかの様に手を引っ込める。
知世の心もとくん、と跳ねる。
けれど、なんでもない風を装ってにこやかに尋ねた。
「お気になさらず。それよりもいかがでした?、さくらちゃんの最新映像。超絶可愛らしかったでしょう?」
「あ、ああ。あ、……いや、その、あの、なんというか」
続きをいい淀む小狼の顔は、少し、赤い。
それは、さくらちゃんのことを話題にしたから?それともーー。
「それにしても、残念ですわ。さくらちゃんさえ許可してくだされば、スカートの中の際どいところまで激写した、超秘蔵映像もお渡しいたしましたのに……!」
えぇぇぇっと仰け反る小狼に、知世はおほほほほほ、と笑ってみせる。
たじたじの小狼がなんとか言葉を紡ぎ出す。
「だ、大道寺はすごいな。あんなにたくさん、さくらの映像を」
「それが私の使命ですから」
「それに、歌もすごくよかった」
「歌、ですか?」
「ああ、入れてくれてただろう、フォルダの一番下に」 知世はハッとした。苺鈴に頼まれてデータをコピーした時、同じフォルダに入っていた自分の歌までコピーしてしまったに違いない。
あれだけのデータを渡したというのに、律儀なことに、小狼はそれまで聞いたというのだ。
「申し訳ありません。入れるつもりはなかったんですが、間違えて一緒にお渡ししてしまったみたいですわ。お聞き苦しいものをお聞かせしてしまいましたわね」
肩をすくめて知世が謝ると、小狼は驚いたような顔をした。
「いや、そんなことはない。あの時は、カードのせいで落ち着いて大道寺の歌を聴くことができなかったから残念だと思っていたんだ。だから」
こほん、と一つ咳払いをした。
「聴けて、本当に良かった」
彼の言葉は不思議だ。私を嬉しくしてくれる。端的で、飾り気のない言葉は、人によっては怒っているように聞こえるかもしれない。けれど、その奥には彼の優しさや実直さが溢れていて、それが私の心を動かして、私の中の「何か」が形を変える。
知世は、映像を見て振り返ってみようと思うほどに自分の歌に価値を見出したことはなかった。しかし、小狼の一言で、知世は初めて思った。
たまには、自分の歌を聞いてみるのも悪くないかもしれませんわねーー。
さくらちゃんへの好きとは違う彼への気持ち。
彼を想う自分は、好きな自分が増えていく。
知世の心は一瞬触れた小狼の指先みたいに暖かかった。
なかなか返事を返さない知世の様子に、小狼は何か勘違いをしたらしい。「あ、いや、もちろんこの間音楽室で歌ってくれた歌もすごく良かったんだ!ただ、あの時は俺がピアノを弾いていたし……詩之本も一緒に歌っていたから…!」
しどろもどろでフォローしようとする小狼があまりに一生懸命で、知世はなんだかおかしくなってしまった。
「李君、そんなに慌てなくても大丈夫ですわ」
くすくすと笑い出した知世に、小狼はあっけにとられている。
「でも、そうですわね、私の歌を良かったと思ってくださるのでしたら……」
緊張した面持ちで小狼が息を飲む。
「また、ピアノで伴奏をしてくださいな」
知世の言葉に小狼の顔に穏やかな笑みが広がった。
「俺でよければ」 >>31の設定をいただきました。感謝
小狼に俺でよければと言わせたかっただけです
皆様のも是非読ませてくださいね
スレ&スペースだいぶ使わせていただき、ありがとうございました さくら「目が覚めちゃったけど まだ眠いや…寝よっと♪」(小狼くんの夢 みれるといいな\\\♥) >>97
読んでいてニヤニヤしました、使ってもらってあざます!
小狼にそんな俗世の欲望があるのかイマイチ謎だけどw
実は自分のが前に出ることにコンプレックスがあった知世の設定に先週は驚いたけど、それを生かして小狼の言葉に癒されるところは相変わらずお上手!
俺で良ければ、と承諾したのが次のお話のカギでしょうか(ニヤリッ そんな次々アイディアは浮かんでこないですw
先に投稿していただいて、それをすごく楽しませてもらったので
じゃあ自分も少し貢献してみようかと書き始めただけなので
需要があって(ここ重要)、自分の書きたいものがあったら、その時はまた書いてみます >>103
自分は表現したいシーンは割りと浮かぶんだけど、肉付けする技量がないのですよね
豊かな語彙と表現力を持つ人には憧れますね
こんなの読みたい!で投稿してみたんだけど、触発してくれた職人さんが一人でもいらっしゃって感無量ですw
需要はあるので(確実)いつでも!
お話に限らず、絵師さんなども来てくれると嬉しいですね さくら「知世ちゃんとお出かけ 楽しかったな〜♪知世ちゃんとごはん食べて帰ろ」
さくら(知世ちゃん、何か思いつめた感じだったけど 大丈夫かな……) >>96
さくら(小狼くん ずっと私のこと好きでいてね……不安だよ…) 知世ちゃんは少し変わったと思う。
最近特に綺麗だし(前から綺麗だったんだけど)、とても楽しそうだ。
それに、これを言っていいのかわからないけど、時々自分の歌を撮るためにカメラを用意していることがある。
「珍しいね、知世ちゃんが自分の撮影のためにカメラを用意するなんて」
「はい。後で見返すと修正点がよくわかりますので。おかげさまで先生にも進歩が早いと褒めていいただけるようになりましたわ。」
知世ちゃんの歌本当に素敵だもんね!と喜ぶさくらちゃんに、
「あとで李君の伴奏姿、コピーしてお渡ししますわね」
と、耳打ちするのは相変わらずだ。ゆでダコみたいになって、ほえぇぇぇぇ!と叫ぶさくらちゃんも相変わらずだし。
あと。そう、李君も。中学生になって戻ってきた李君は、物腰が柔らかくなって、よく笑うようになった。まぁ、小学生のころの李君を知っている自分としては、なんだか変な感じなんだけど。
最近は率先してピアノを弾いてくれる。昼休みにもよく音楽室で練習をしているみたいだ。一緒にお弁当が食べられなくてさくらちゃんはちょっと寂しそうだけど、知世ちゃんのコンクールが近いんだもん、仕方ないよね、と笑っていた。
「なんかちょっと、心配なんだよね」
誰にともなく呟いた言葉に
「二人はちゃんとわかっていると思うよ」
と、わかったようなわからないような顔をして山崎くんが返した。 今日も、知世ちゃんの歌を見学させてもらった。もちろん伴奏は李君だ。
曲のテンポやタイミングを打ち合わせるため、知世ちゃんがピアノの前に座る李君に話しかけている。それに真剣な眼差しで答える李君。
黒髪がさらさらと揺れて抜けるように白い肌が眩しい知世ちゃんと、少し気の強そうなところもあるけど紳士的な振る舞いの李君は、お世辞抜きに絵になっている。二人とも落ち着いていて、まさに良家のお嬢様、御坊ちゃまの図。
実際、知世ちゃんは大きな会社のお嬢様だし、李君も香港ではものすごいいいとこの御曹司なんだっけ。山崎君情報も時には侮れない。
そっとさくらちゃんの方を見てみる。さくらちゃんは楽しそうに奈緒子ちゃんと秋穂ちゃんとおしゃべりをしていて、その笑顔は幸せそのものだ。
私たちが着席して曲が始まる。他の人は目を瞑ったりして(山崎君の目が元から開いているのか閉じているのかよくわからないってことは置いておいて)聞こえてくる音に耳を澄ましている。けど、私は二人を見ていた。
歌い出しのタイミングを見計らって李君が知世ちゃんををちらりと見る。
伴奏の複雑なところで、知世ちゃんが李君の方をさりげなく気にする。
当たり前のことなんだろうけど、お互いをちらりちらりと伺う様子はなんだかこそばゆい。
二人の目があって、思わず微笑みあっている姿は見ているこちらがドキドキしてしまう。
世界にはまるで二人しかいないみたいで、少し、羨ましいーー。
魔法みたいな時間が終わって知世ちゃんが礼をした。一斉に拍手が湧き上がって、私の隣に座っていたさくらちゃんが駆け寄る。
「知世ちゃん、すっごく素敵だったよ!小狼君もすごいね!」
口々に感想を言い合う友達たちを遠巻きに眺めている私に山崎君がぽつりと言った。
「僕たちにできることは、彼らがどんな未来を選んだとしても、幸せであるように願うことだけじゃないかな」
そうだね、山崎君。さくらちゃんも知世ちゃんも李君も、みんな大切な友達だもの。
……って、山崎君、嘘を振り撒きに行かないの !! うん。アイディア湧いてきた
>>109
お待ちしていますw す、すごい…
千春ちゃんまでもがドキドキしていることで美しい絵画のような情景が浮かびます
良き作品をありがとう…ありがとう…… カツカツと黒板に数式を書き付ける彼の瞳は真剣そのものだ。
「よし、正解だ。李、よく勉強しているな」
「ありがとうございます」
軽く頭を下げて自分の席に戻る李君に、さりげなくピースサインを送る。李君は、はにかむような笑みを返してきた。
「李君、今帰り?」
「あぁ、山崎はクラブ活動か」
「うん、最近暑くなってきたから、嫌になっちゃうよ。やっぱり落語研究会があればよかったんだけど」
二人の間に歌声が流れてくる。音楽室のコーラス部だ。
「大道寺さんの声だね」
「そうだな」
頷く李君の表情は優しい。
「すごく上手くなってる。李君が練習に付き合ってるおかげだね」
「役に立てているのかはわからないけど」
「助かってるんじゃない、きっと。コーラス部の他の子も、ぜひ李君に伴奏をお願いしたいって言ってたしね。そうそう、伴奏って言えばね……」
おっと、いけないいけない。つい余計な癖が出てしまいそうになる。あはははは、と笑って誤魔化してみるけど、期待で満ちた李君の視線が辛い。
「それより、李君はまだクラブ活動やらないの?いっそコーラス部に入っちゃえばいいのに。コーラス部の人、喜ぶんじゃない?」
「いや、やらなければならないことがあるから。それに、俺が伴奏を引き受けるのは、大道寺だけだ」
「大道寺だけ」と言う言葉に不意を突かれる。「あれ、李君て……」と言いたくなるのを慌ててつぐむ。大丈夫、僕は野暮なことは言わない主義だから。それに、多分、李君にもいろいろあるんだと思うし。 「ところで、山崎」
「なにかな、李君」
「落語って、なんだ?」
・・・・・・え?
「いや、後で調べようと思っていたんだが、すっかり忘れてしまっていて。誰も質問しなかったから、多分、みんなは知っているんだよな。それは、何か、研究に値するものなんだろうか」
数学ができて英語も喋れて運動も万能。最近じゃピアノも弾けるスーパーヒーローだっていうのに、李君、君って人は……。
「落語っていうのはね……」
ぴこん、と頭の中で何かが閃く。
「そうだ、今度、みんなで観に行こうか!」
「観に、行けるのか!」
「うん。僕、調べておくから。僕は千春ちゃんと木之本さんに声をかけておくから、李君は大道寺さんを誘っておいてくれる?」
「えっ。な、なんで、俺が、大道寺を……!」
「だって、僕はこの後クラブが終わったら、チアリーディング部の終わった千春ちゃんたちと合流するし、李君はどうせ歌の練習で大道寺さんと会うでしょ?だから。よろしくね、李君」
カチコチになってしまった李君にさよならを告げて、僕はクラブ活動に向かう。
数式に向かう君、ピアノに向かう君。どんな時も李君はいつも真剣だね。
それは誰か対してもおんなじで、一生懸命に、誠実にあろうとしている。
でもね、李君。迷うことは間違いじゃないよ。今正解だと思ったことが、将来、正解かどうかはわからないんだ。いっぱい迷って、悩んで、見つけた答えなら、きっとそれが正しいんだ。
僕らはまだまだ中学生で。きっといろんなことが待っているよ。
僕の嘘に騙されたり、落語を知らなかったり。
でも僕は、そんな李君と友達になれてよかったと思う。
だから、一緒に、迷って、悩んで、答えを見つけていけたらいいね。
数学も、恋も。
ね、李君? さくら「いえいえ……続けても いいよ〜 もう!小狼くんなんか!!」 落語を見に行こうと言い出したのは山崎君で、でも千春ちゃんが断固拒否したからお流れになってしまった。多分、前に山崎君と二人で見に行って
、その後山崎君が落語家さん風になってしまって大変だったからだと思う。
結局、私が持っていた落語のDVDを貸すことで話がついたんだけど、落語を生で見られなくなった李君と秋穂ちゃんはとても残念そうだった。
「でも、なんで奈緒子ちゃんは落語のDVDなんか持っていたの?」
「落語も一人芝居の一種だから、脚本の勉強になると思って」
「へー、そうなんだ。奈緒子ちゃん、色々勉強してるんだね!」
さくらちゃんが褒めてくれて、少し、嬉しい。さくらちゃんと李君には私の脚本で劇をしてもらったから、なんだか思い入れがある二人だ。
だから、脚本の参考にさせてもらおうと思っていたけど、なかなか難しくてうまくいかない。代わりにといってはなんだけど、先日とてもいい題材を見つけてしまった。
「この間の知世ちゃんと李君、本当に素敵だったよねー」
千春ちゃんが言っているのはみんなで見学した知世ちゃんの歌の練習のことだ。私もうんうんと頷いて同意する。
そう。これが私が見つけた新しい題材だ。この間、二人の練習をみてから、ずっと新しい脚本が頭を離れない。
ある国に二人の男女がいる。
二人は密かに想いあっているんだけど、
男の人には許嫁がいて結ばれない。
あらすじ的にはこんな感じ。
配役としては、男女の役を李君と知世ちゃん、許嫁役をさくらちゃんに。それから、千春ちゃんには三人の仲をを心配するお友達役をお願いするといいかも。あと、二人の中をかき回す役なんてあったら面白そうだなって思っているんだけど……。 『大道寺』
『はい、なんでしょう、李君』
『その、今度の休みは、何か予定はあるか?』
『今度のお休み、ですか?いえ、特には』
『よかったら、落語を観に行かないか?』
『落語を、ですか?』
『ああ、実はこの間から気になっていて。山崎に聞いたら、観に行けるものだというから』
『まぁ、そうでしたの。私でよ……』
『李君、大道寺さん、おはよう!』
『うわぁぁぁぁっ』
『どうしたの?李君。そんなにびっくりして』
『な、なんでもない……』
『おはようございます、山崎君』
「落語の件なんだけどね、頑張って説得してみたんだけど、千春ちゃんが絶対嫌だっていうんだ。奈緒子ちゃんがDVDを持っているそうだから、それで勘弁してもらえないかって。あ、大道寺さんは聞いた?みんなで落語を観に行く話』
「今、ちょうど伺っていたところですわ』
「でね、どうせなら、このあいだ行けなかった動物園に行かないかってことになったんだ。どうかな?』
「それは楽しそうですわね。ぜひ参加させていただきますわ』
「そうこなくっちゃ。で、李君はどう?忙しい?』
「……俺も行く』
「よかったー。じゃ、また詳しい時間なんかは後で決めよう。大道寺さん、練習頑張ってね』
「ありがとうございます』
「李君もしっかりね。また後で!』
「ああ……』
うーん、お邪魔虫役は、山崎君がぴったりかも。 カギ括弧大ミスしてしまったので脳内変換お願いいたします
もう一つネタが温まっておりますがGWなのでお休みです
みなさま、よい休日を! SS書いてる人たちありがとう…!
正直、しゃおさくスレより居心地良くて困ってるw さくら「もう!小狼くんなんて だいっきらい!」シクシク……ポタッ シクシク ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています