知人の中国人男性に対する殺人などの罪に問われ、1審・宇都宮地裁
裁判員裁判で懲役18年の判決を受けた中国籍で整体師の付佳男被告
(26)の控訴審判決が22日、東京高裁であった。
被告側は控訴審で「憲法は裁判官のみの裁判を想定しており、裁判員
制度は被告の裁判を受ける権利を侵害している」と主張したが、小西
秀宣裁判長は「憲法は裁判官以外のものを裁判所の構成員とすること
を禁じておらず、被告の権利を侵害するものではない」との合憲判断
を示し、被告側の控訴を棄却した。
裁判員制度が憲法に適合するかどうかを判断した判決は初めてと見ら
れる。
弁護側の主張に対し、判決は憲法と同時に制定された裁判所法が、
陪審制度を設けることを妨げないと規定していることなどから、
「憲法制定当時の立法者の意図も、国民の参加した裁判を排除する
ものではなかった」と述べた。
その上で、裁判員制度が有罪認定や刑の重さについては裁判員だけ
の多数では決められず、裁判官の意見を含む過半数で決めるとして
いる点に触れ「法に従った公平な裁判を求めている憲法の要請に沿
う」と結論づけた。 
また、裁判員に選任された人が裁判員を務めることを強制されるの
は苦役を禁じた憲法に反するとの主張に対しては「司法に対する信
頼の向上などを図る制度の意義の重要性を踏まえると、国民の負担
は必要最小限で憲法に抵触するとは言えない」と判断した。
(2010年4月22日11時49分 読売新聞)