例えば、
「2人姉妹が、道を歩いていたら、知らない人にいきなり刺し殺された。犯人はバッグを奪って逃走」
という事件の場合、普通だったら死刑ですよね?
でもマスコミ報道で、「被害者の姉妹は2人とも水商売で、男性関係も派手だった」などと言われ、
昔付き合ってた男なんていうのも登場して、「被害者は男の気持ちを弄ぶような、酷い女だったと発言したりする。
さらに近所のオバチャンから、「被害者姉妹は中学生の頃からDQNで、うちの娘をいじめていた」などと言われる。
しかも、報道に使われた写真はドブス。

こういう場合、素人は明らかに、先入観を抱いて法廷入りすると思います。
被害者の普段の行いは事件に関係がないから、討論の場で「被害者はロクな女じゃないから刑を軽くしましょう」とは言わないと思います。
でも、被告の生い立ちに過剰に肩入れして、情状酌量すべきだと主張するかもしれない。
普通なら考慮されないような事柄を、裁判員全員が「情状酌量すべき」と主張するかもしれない。
それで、事件だけを考えたら死刑のはずが、無期懲役になるかもしれない。
裁判員は内心「男を弄ぶような女」に復讐したような気分で満足するかもしれない。
被害者にしてみれば、報道被害を受けた上に、犯人が減刑されるという屈辱を味わうことになる。
これってフェアじゃないと思います。マスコミを味方につけた方が勝ち、という感じで。
プロの裁判官なら、「報道で被害者が悪く言われてたから、死刑にしなかったんじゃないの?」と邪推されかねない判決は下さないような気がします。
後々、自身の評判が悪くなりますから。

もちろん被告の側の方が、マスコミの作る先入観に左右される可能性は高いのかもしれない。
でもマスコミによって被害者が不利になるのは、もっと問題ですよね?
「犯罪被害者の会」は騒がないんでしょうか。
逆にこの問題点を突いていけば、裁判員制度そのものが見直されるような気もします。