>>375
私自身も同程度のことをした人には同程度の刑罰を科すべきであるという考え方に反対している
わけではありません。その観点からすると、職業裁判官(及び検察官、弁護人)によって共有されている
量刑相場に従って判決が出ていたのにはひとつの合理的な量刑のあり方であったといえると思います。

個人的には、裁判員制度においては、死刑と無期懲役、無期懲役と有期懲役、実刑と執行猶予という質的に
異なる刑罰を科す場合に裁判官と裁判員がお互い議論する点において有益であると考えています。
個人的には懲役8年と9年の違いなど、量的な違いにとどまる場合にこれを裁判員と議論するのは
ナンセンスと考えていますが、制度上はそのような議論も評議においてなされることになっています。

メディアを利用した者勝ちというのが不公平であり適当でないのは全く同感です。耳目を集める事件は
公判の進行についても報道がなされることが多いですが、マスメディアが、たった6人の裁判員のために
報道を制限するより、1億2000万人の日本人に対して事件を報道するほうが利益が大きいと考えて
識者によるコメント、被害者によるコメント、公判での証拠以外の独自取材に基づく情報などを報道すると
裁判員の身動きが取れなくなってしまうことも考えられます。マスメディアとの関係も裁判員制度では
難しい問題です。